X 線光子相関分光法 X-ray Photon Correlation Spectroscopy (XPCS) ●試料中のナノメータースケールの構造ゆらぎに関する情報を時分割測定 ●有機材料の高次構造など、ソフトマターの動的構造変化の分析に有効 ●高輝度の X 線により、不透明・高密度の試料にも対応 測定原理 物質にコヒーレントな(位相の揃った)X 線を入射すると、局所的な構造情報に対応した斑 点状の散乱像(スペックルパターン)が現れる。こ の散乱像の時分割測定することで、構造の時間変 化に関する情報を得ることができる。 得られる情報 ナノメータースケールの構造揺ら ぎ(ダイナミクス)を生じる系において、不均一領 図 1 X 線スペックル散乱測定の模式図*1 域のサイズ分布や運動の平均速度に関する情報が 得られる。 特徴 従来の可視光レーザーなどを使用した動的光散乱では測定できない不透明な試料や分散 材の密度が濃厚な系にも適用可能。 応用例 時分割X線スペックル測定を用いたゴム中でのフィラー凝集不均一構造の研究 (SPring-8):フィラー(カーボンブラック)充填によるゴムの高強度化メカニズムを、XPCS によ る動的分析によって調査 http://www.spring8.or.jp/pdf/ja/budding_report/2005_2006/5-1-26.pdf 図 2 XPCS 測定装置(SPring-8, BL40XU)*2 図 3 加硫ゴムの X 線スペックル散乱*2 東北放射光施設における展開 XPCS には位相の揃った高輝度の X 線が不可欠である。東北 放射光においては、これらの条件を満たす XFEL(X 線自由電子レーザー)がアップグレードオプ ションとして検討されている。 既存ビームラインとの基本スペック比較 XPCS SPring-8 SLiT-J XFEL BL40XU BL29XU 光源 - 準単色ヘリカルアンジュレータ 超長尺アンジュレータ エネルギー範囲[keV] - 8~17 4.4~37.8 エネルギー分解能 ΔE/E - ~10-2 1.3×10-4 ビームサイズ [μm] - 250×40 - 光子数(集光位置) [photons/sec] - ~1015 6×1013 *1 : http://proposal.ducr.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/ccr_usr/detail_image.cgi?num=3836&fignum=1 *2 : http://hdl.handle.net/2261/56144
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