平成28年度 施 政 方 針 平成28年度の予算並びに関係諸議案のご審議をお願いするにあ たり、私の市政運営に対する基本的な考え方と新年度における施策 の大要を申し述べ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を 賜りたいと存じます。 【Ⅰ 基本的な考え方】 本市のおかれている現状は、相変わらず人口減少、高齢化、少子 化が進行し、大変厳しい状況にあります。こうした状況に対処する ためには、それぞれきめ細やかな対応に努めることはもとより、本 市の将来にわたる都市像を明確にし、市民の皆様のご理解を得なが ら、その方向性に沿った諸施策の推進が求められております。 以下、第4次沼津市総合計画に掲げられた3つの方針に沿ってご 説明申し上げます。 ま ず 、 1 つ 目 は 、「 魅 力 と 活 力 に あ ふ れ 、 に ぎ わ い に 満 ち た ま ち 」 であります。 私は、ここ数年来、まちづくりの施策に係る方向性を「かつての ような県東部で一番都市的魅力にあふれ、にぎわいのあるまち」と 定 め 、市 内 外 の 志 あ る 皆 様 の ご 協 力 、ご 支 援 を 求 め て ま い り ま し た 。 幸い、多くの方々がそれぞれの思いで沼津のまちを元気にしようと 努力してくださり、徐々にではありますが、まちなかを始め、それ ぞれの地域でにぎわいが戻ってきつつあるように感じております。 昨年は、リノベーションの手法でのまちづくりが国の地方創生に 係る交付金を活用してスタートいたしました。これまでの施政方針 でも度々申し上げておりますが、民間のやる気と私ども行政の協働 で、これからも、先に申し述べてきましたまちづくりの方向性に沿 った諸施策を推進してまいります。 1 2つ目は、 「 環 境 に や さ し く 、安 全 ・ 安 心 を 実 感 で き る ま ち 」に つ いてであります。 私は市長就任以来、本市について「田舎の魅力と都会の魅力を兼 ね備えたまち」と申しております。駿河湾を囲む豊かで美しい自然 は、ここに住む私たちの誇りであり、市の内外にその魅力をもっと 発信しなければと思っております。しかし、同時にこの豊かな恵み は時に自然災害となって我々に襲いかかる時もあります。東日本大 震災からこの3月11日で5年がたちます。ともすれば、防災意識 は薄れがちになりますので、地震・津波に限らずあらゆる自然災害 を想定し、市民の皆様とともに、まさかの時の備えを充実させるべ く引き続き努めてまいります。 3つ目は、 「 元 気 で い き い き と 暮 ら せ る ま ち 」に つ い て で あ り ま す 。 高齢化が進む中、市民共通の願いは、健康を保ち、なるべく人の 世話にならないよう暮らしていけたらということだと思います。い わゆる健康寿命を延ばすお手伝いを引き続き進めていくと同時に、 就職、出会い、結婚、出産、子育て、教育などの人生それぞれのス テージを国の方針に基づき、本市でもしっかりと支援してまいりま す。 以上、3つの方針について申し述べましたが、基本はあくまで、 市民の皆様と協働して沼津の活力を向上していくことであり、その ためには、市の様々な施策をまず市民の皆様に知っていただくこと が何よりも大切です。行政の独りよがりに陥ることのないよう、万 全の注意を払いつつ広報に努めることが大切だと考えております。 以下、新年度の取り組みについて、施策の柱に沿って説明いたし ます。 2 【Ⅱ 新年度の主な取り組み】 〔魅力と活力にあふれ、にぎわいに満ちたまち〕 まず、第一の柱「魅力と活力にあふれ、にぎわいに満ちたまち」 についてであります。 <都市的魅力の向上> 最初は、都市的魅力の向上についてであります。 沼津駅周辺総合整備事業の中核を成す鉄道高架事業につきまして は、昨年1月に事業主体である県が当初計画どおり事業を推進する という方針を正式に打ち出しました。このことを受け、本市におき ましては、本年度、担当部署に職員を増員し、本格的な用地取得交 渉を再開し、地権者との契約締結が進んでおります。本事業により 生み出される高架下、車両基地跡地及び貨物駅跡地の活用は、都市 的な魅力を高めるまちづくりに大きく寄与するものと考えており、 今後も丁寧に地権者との交渉を進め、新貨物ターミナル用地等の取 得に努めていくとともに、鉄道事業者との工事協定締結に向けた協 議や沼津駅周辺土地区画整理事業を進め、鉄道高架事業の一日も早 い着工に向けて取り組んでまいります。 香陵公園周辺の整備につきましては、新市民体育館の建設、香貫 駐車場の建て替え及び設備等の老朽化が進む市民文化センターの改 修など、エリア全体の一体的な整備を進めるため、新年度は、市民 文化センターの改修等基本計画を策定してまいります。 まちなか居住の推進につきましては、良好な住環境の創出を目指 し、多様な世代の主体的な活動を促すサロンを開催していくほか、 土地・建物の活用を指向する所有者に対し、事業手法や資金計画等 のアドバイスを行うことができるよう、専門家の派遣支援により、 既存建築物の活用や建て替えなど、新たな土地利用促進に取り組ん でまいります。 3 また、都市機能を計画的に集積したコンパクトなまちづくりを進 めていくため、中心市街地において医療・福祉・教育・文化・商業 といった居住を支えるサービスを強化する必要があることから、こ れらサービスに係る担い手の育成を図り、まちなかの起業促進につ なげてまいります。 新年度におきましては、沼津港から中心市街地のまち歩きを楽し むための店舗や施設等を紹介する温かみのある手書き地図を作成し、 新たなまちの宝・魅力の発見に努めてまいります。 <公民連携によるまちづくり> 公民連携によるまちづくりにつきましては、市民の自発的なまち づくり活動を行政が支援し、民間の知恵と活力をまちづくりに活か していくことが重要であることから、一般財団法人民間都市開発推 進 機 構( M I N T O 機 構 )か ら の 拠 出 金 等 を 財 源 と し て 、新 た に「 民 間支援まちづくりファンド」の制度を創設し、市民等による新たな 活動や人と人をつなぐ交流の場づくりなど、ソフト・ハード両面か らの支援を行ってまいります。 また、既存の遊休不動産を活用し、まちなかに魅力ある空間を創 造していくリノベーションによるまちづくりにつきましては、本年 度は、金融業、建設業及び商工業などの関係団体で組織する推進連 絡会議の設立やシンポジウムの開催等により、人材の掘り起こしや 機運の醸成等に努めてまいりました。新年度におきましては、リノ ベーションの実践的技術を学ぶスクールの開催などによって実事業 化を目指してまいります。 市が所有する公共施設のうち、既に使用されていない、また、効 率的な利用がされていない施設について、民間のノウハウやアイデ アを活かした再生を図るため、平成28年度末をもって教育施設と しての運営を終了する少年自然の家の利活用に向けた取り組みを引 き続き行うとともに、その他の公共施設につきましても有効な活用 策を検討してまいります。 4 さらに、公共空間の活用につきましては、狩野川右岸階段堤にお いて、 「 か の が わ 風 の テ ラ ス 」と し て 日 常 的 に 利 用 で き る 河 川 空 間 の 活用が図られているところですが、公園につきましても、民間活力 の 導 入 な ど を 含 め た「 パ ー ク マ ネ ジ メ ン ト プ ラ ン 」を 策 定 す る な ど 、 更なる公共空間の利活用を促進してまいります。 <魅力発信の強化> 次に、魅力発信の強化についてであります。 冒頭で申し述べましたとおり、市政に関する様々な情報をどのよ うに広報していくかにつきましては、ICTの発達により各世代そ れぞれなじみの媒体が違うことに鑑み、10代から60代までがそ ろう市職員全員が市の広報に努める気概を持って、積極的な広報戦 略に努めてまいります。 シティプロモーションの推進につきましては、地域の魅力を使っ た新しい切り口でのイメージ発信を図るものとし、ユネスコが後援 す る N G O「 世 界 で 最 も 美 し い 湾 ク ラ ブ 」へ の 駿 河 湾 の 認 定 に 向 け 、 県 及 び 関 係 市 町 と 連 携 し て 取 り 組 む と と も に 、「 高 校 生 が 頑 張 る ま ち」というイメージの強化や市内の本格的なBARを素材とした都 市的イメージの発信等に努めてまいります。 また、民間の方々で構成している「ぬまづプロデュース課」によ るまちのブランド化を引き続き進めるとともに、フィルムコミッシ ョン活動の推進、ぬまづの宝を巡る体験型イベントの実施など、多 面的な方法により、本市の魅力発信に取り組んでまいります。 ふるさと納税による魅力発信につきましては、昨年度から寄附者 に返礼する特産品の種類を増やすなど、その魅力と利便性を高めて ま い り ま し た が 、民 間 の ノ ウ ハ ウ を 活 か し た 魅 力 あ る 特 産 品 の 開 発 、 インターネットサイト・新聞・雑誌等への広告掲載及び寄附目的と なる事業の明確化などにより、更なるPRと歳入確保を進めてまい ります。 また、多様なライフスタイルを楽しむことができる「ぬまづ暮ら 5 し」の魅力を発信するため、移住定住パンフレット・ホームページ 等での情報提供、お試し体験ツアーの実施などにより、本市への住 み替えの促進を図ってまいります。 <土地利用の推進と体系的な道路整備> 次に、土地利用の推進と体系的な道路整備についてであります。 本市の土地利用や都市整備の基本となる「都市計画マスタープラ ン」につきましては、引き続き学識経験者からの意見聴取を行い、 新年度内の改定に取り組むとともに、居住や都市機能の誘導に関す る「立地適正化計画」につきましては、平成29年度における策定 を目指してまいります。 市 立 病 院 東 側 の 土 地 利 用 に つ き ま し て は 、「 ら ら ぽ ー と 」 の 平 成 31年の開業に向けて、市街化区域への編入など開発に係る法定手 続きや交通対策など、市としての取り組みを進めてまいります。 東駿河湾環状道路西区間につきましては、国に対して長年働きか けてきた結果、昨年4月に新規事業化されることとなりました。ま た、東名愛鷹パーキングエリアは本年3月19日に、新東名駿河湾 沼津サービスエリアは平成28年度末までに、それぞれスマートイ ンターチェンジを供用開始いたします。今後、交通環境の更なる向 上が期待されることから、これを契機とした県外観光客向けのツア ープランの作成などに取り組み、交流人口の拡大を図ってまいりま す。 東海大学開発工学部の跡地につきましては、平成28年度末まで に供用開始する駿河湾沼津スマートインターチェンジに近く、利便 性の高い土地として、引き続き県とともに、地域の活性化に資する 活用について協議してまいります。 慢性的な交通渋滞の解消及び地域住民の安全対策等に資する沼津 南一色線の道路整備につきましては、 「高尾山古墳保存と都市計画道 路(沼津南一色線)整備の両立に関する協議会」での議論を踏まえ ながら、できるだけ早期に解決策を見出してまいります。 6 <文化財を活かした特色あるまちづくり> 次 に 、文 化 財 を 活 か し た 特 色 あ る ま ち づ く り に つ い て で あ り ま す 。 東日本では最古級であり歴史的価値の高い高尾山古墳につきまし ては、国指定史跡に向けた取り組みや活用計画の検討に着手してま いります。 御用邸記念公園につきましては、新年度前半に国の名勝指定を目 指すとともに、名勝にふさわしい魅力的な施設となるよう展示内容 のリニューアルを検討してまいります。 また、文化財の保護及び調査・研究の拠点となる文化財センター につきましては、旧静浦西小学校校舎を活用すべく、新年度内に改 修工事に着手し、文化財の情報発信機能が充分に果たせる施設の整 備を進めてまいります。 明治初期の擬洋風建築である戸田地区の松城家住宅につきまして は、国指定重要文化財としての適正な保存管理と修復整備を行い、 地域資源としての活用が図られるよう新年度から全面的修復に取り 組んでまいります。 原・浮島地区におきましては、白隠のみち、帯笑園及び興国寺城 跡などの整備を進め、文化的資源を活かした地区の更なる活性化に 努めてまいります。 <にぎわいの創出> 次に、にぎわいの創出についてであります。 近年、まちづくりに取り組む諸団体の自発的な活動などにより、 中心市街地では、ほぼ週末ごとにイベント等が開催されており、に ぎわいが生まれております。 沼津港につきましては、昨年12月に県が策定いたしました「沼 津港みなとまちづくり推進計画」を踏まえ、施設整備や交通渋滞対 策などの諸課題に対し、地域住民・民間事業者と行政とが、それぞ れの役割を果たしながら更なる魅力向上に取り組んでまいります。 7 戸田地区におきましては、昨年、道の駅「くるら戸田」がオープ ンし、多くの来客でにぎわっており、今後もこの「くるら戸田」を 拠点とした地域内のまちあるきマップの作成、深海魚の魅力の顕在 化、壱の湯温泉跡地に整備した「ペット用温泉」の利用促進等によ るペットツーリズムの推進、 「 地 域 お こ し 協 力 隊 」制 度 を 活 用 し た 地 域おこし活動の支援など、地域資源を活かした活性化に取り組んで まいります。 昨年4月、伊豆地域の7市6町で組織する「美しい伊豆創造セン ター」が設立されました。引き続き同センターと連携し、世界文化 遺産に登録された韮山反射炉や富士山を活用した広域的な観光を推 進するとともに、プラサヴェルデにおけるコンベンション開催に向 けた取り組みも進めてまいります。 最 近 、本 市 に お き ま し て も 、外 国 人 宿 泊 者 数 が 増 え て お り ま す が 、 更なる外国人誘客を進めるためには、どのような国を主たるターゲ ットにし、どのような戦略をもって誘客していくのかが重要である ため、本市を訪れる外国人の国別の嗜好を把握する取り組みを進め てまいります。 また、外国人の来所の多い市役所窓口等において円滑な窓口対応 を す る た め 、翻 訳 ア プ リ 入 り の タ ブ レ ッ ト 端 末 を 設 置 す る と と も に 、 ハラルに係る基礎的な知識を習得するためのセミナーなどを開催し てまいります。 <産業振興> 次に、産業振興についてであります。 産業の創出につきましては、中小企業の新製品開発や販路開拓の ほか、起業創業への支援、産業分野の枠に捉われない6次産業化の 推進や農水商工の連携などに取り組み、地域産業の育成を図ってま いります。 また、地域経済の基盤を構成し、雇用の確保・創出に寄与する中 小企業の振興を図るための条例の制定に向けて取り組んでまいりま 8 す。 市外企業の誘致はもとより、市内企業の定着を促進するため、企 業立地促進事業費補助制度において、用地取得に対する補助を、こ れまでの1企業1回限りから、2回目以降も適用可能とするととも に、新規雇用者に対する補助額の増額、また新たに設備投資に対す る補助を設けるなど、制度の拡充を図るとともに、土地などの有益 な情報の提供や、立地の諸手続きに対する支援に努めるほか、工業 用地等の開発の可能性について、引き続き調査を実施してまいりま す。 若者世代からは、沼津で働きたいが市内での就職先の情報を把握 できないという声もあるため、本市における就職応援サイトを創設 し、市内企業の魅力を県内外の学生に発信していくとともに、企業 の地元採用と就労機会を拡大するため、雇用ニーズと就職希望のマ ッチングを強化し、地域産業を支える人材を確保してまいります。 農業につきましては、20年ぶりに献上茶謹製の栄誉を担うこと となり、現在、関係者が一丸となって準備を進めているところであ ります。これを契機と捉え、市内外への沼津茶の販路拡大に取り組 んでまいります。また、みかんの振興を図るため、西浦みかんのブ ラ ン ド 力 向 上 を 目 指 し 、優 良 品 種 へ の 転 換 を 促 進 し て い く と と も に 、 産地の後継者不足解消に向け、農家の嫁さがし支援にも取り組んで まいります。 また、 「 食 育 D A Y キ ャ ン プ i n ぬ ま づ 」や「 沼 津 農 林 ま つ り 」の 開催、ご当地グルメの開発等を通じて、地域で生産された農畜産物 を地域で消費する地産地消を推進してまいります。 さらには、農業基盤の整備を図るため、引き続き県が内浦・西浦 地区で進めている農道整備の着実な推進を図るとともに、耕作放棄 地対策や有害鳥獣対策等に取り組んでまいります。 水産業につきましては、生産の安定向上、流通加工の促進、消費 の拡大を図るため、引き続き出漁・水揚奨励制度による経営の下支 えをしてまいります。 9 また、昨年、内浦漁協が開設した「いけすや」を核とした特産品 の販売力強化に向けた取り組みが良いビジネスモデルとなり、他の 漁業団体においても地域の特性を活かした商品開発などが進められ ていることから、今後も漁業経営の安定化に資する取り組みを支援 してまいります。 〔環境にやさしく、安全・安心を実感できるまち〕 続いて、第二の柱「環境にやさしく、安全・安心を実感できるま ち」についてであります。 <災害に強いまちづくり> まず、災害に強いまちづくりについてであります。 「沼津市地震・津波対策アクションプラン」に基づき、ハード対 策につきましては、津波避難路・津波避難ビルの整備に対する補助 金交付や築山整備等を引き続き実施していくとともに、ソフト対策 につきましては、自主防災会強化のための防災指導員の育成、防災 アドバイザーの活用及び自主防災会への補助金交付等を通じて、地 域全体の防災意識の高揚及び防災力の向上を図ってまいります。 また、地域での安心な暮らしのためには、地域の特性を踏まえ、 予想される様々な災害に対して、適切な避難行動がとれるよう備え ておくことが重要であることから、地区ごとに実効性のある避難行 動計画を策定してまいります。 津波避難路につきましては、ブロック塀等の撤去・改善の助成制 度において植栽設置を助成対象とするなど、災害から人命を守るた めの取り組みを進めてまいります。 現在、県により南海トラフ地震における「広域受援計画」の策定 が進められており、本市といたしましても、スマートインターチェ ンジの整備が進むサービスエリアなどの新たな施設について、大規 模災害時における物資供給等のための防災拠点としての有効活用に 10 ついて検証し、迅速かつ円滑な人的・物的支援の受け入れ体制の整 備を進めてまいります。 また、大規模災害への備えとして、災害発生時のごみ処理・し尿 処理などに係る「災害廃棄物処理計画」の策定に取り組んでまいり ます。 治水対策につきましては、常襲浸水地域の浸水被害を軽減するた め、沼川・高橋川流域及び大平地区に係る「豪雨災害対策アクショ ンプラン」に基づき、河道改修、排水路築造及び雨水貯留施設など の整備を進めてまいります。 ま た 、「 1 0 0 m m / h 安 心 プ ラ ン 」 の 主 要 事 業 の 一 つ で あ る 沼 川 新 放水路の整備につきましては、事業促進について県に要望しつつ、 市としても市道・河川の付け替えなど、本体工事を円滑に進めるた めの調整に取り組んでまいります。 消防・救急体制の強化・充実につきましては、4市3町による駿 東伊豆消防本部が平成28年4月1日に発足し、これにより、本市 を含む構成市町の消防力の充実強化が図られるものと考えておりま す。 一方、本市西部地域におきましては、西分署及び原分遣所を統合 し、効率的な消防・救急活動が可能となるよう、災害活動拠点とな る消防庁舎の平成29年1月の供用開始を目指し、整備を進めてま いります。 <公共施設マネジメント、インフラの耐震化・長寿命化> 次に、公共施設マネジメント、インフラの耐震化・長寿命化につ いてであります。 本市が所有する公共施設の最適化を図るための「公共施設マネジ メント計画」につきましては、本年度、有識者による審議会を立ち 上げ検討を進めておりますが、今後、市民の皆様からの意見を踏ま えつつ、基本的な考え方や施設類型ごとの方針などを新年度中にま とめてまいります。 11 公共施設におきましては、特に、学校施設及び市営住宅が高い割 合を占めており、学校施設につきましては、少子化に伴う小中学校 の児童生徒数の減少を踏まえ、児童生徒数の一定規模の確保が教育 面において必要であることから、今後における学校教育をより柔軟 かつ効果的に実施できるよう、小中一貫教育を含めた教育システム の構築に向け、適正な学校規模・配置の基本方針を策定し、地域の 実情に応じたより良い教育環境の整備を段階的に進めてまいります。 市 営 住 宅 に つ き ま し て は 、社 会 情 勢 の 変 化 を 踏 ま え 、 「沼津市営住 宅等管理・整備基本計画」を策定した上で、施設の計画的な統廃合 を推進してまいります。 橋梁につきましては、香貫大橋の耐震補強設計を行うとともに、 「橋梁長寿命化修繕計画」に基づき、引き続き東名高速道路跨道橋 の補修や新幹線跨線橋の点検などを実施してまいります。 <快適な居住環境の整備> 次に、快適な居住環境の整備についてであります。 良好な住環境の整備につきましては、災害に強く質の高い居住空 間の創出を目指す岡宮北土地区画整理事業などを引き続き進めてま いります。 既存住宅につきましては、これまで本市では、市民の生命等を守 るためTOUKAI-0事業を活用し、建築物の耐震診断・補強計 画への費用助成などを行ってまいりましたが、新年度におきまして は、住宅リフォームを通じて、様々な分野の政策課題の解決を図る 取り組みを進めてまいります。その内容としましては、若者の定住 促進の一環としての3世代居住を図るためのリフォーム等に係る奨 励金の交付のほか、従来の二酸化炭素の削減に貢献する新エネルギ ー及び省エネルギー機器の設置補助に加え、省エネリフォームに係 る補助制度の新設など、包括的な支援を行ってまいります。 公園につきましては、子育て世代の使いやすさを重視した公園の 再整備等に向けて検討を行っていくとともに、新年度は高沢公園の 12 トイレ改修や黄瀬川公園及び御浜岬公園の整備を引き続き進め、市 民の憩い空間の創出に取り組んでまいります。 公共交通につきましては、交通事業者とともに利用者のニーズを 踏まえたバス路線網の改善や地域の特性及び実情に応じた交通体系 のあり方について検討してまいります。 <環境にやさしいまちづくり> 次に、環境にやさしいまちづくりについてであります。 「エコのまち沼津」の推進にあたりましては、エコ活動コンテス ト 、地 域 エ コ リ ー ダ ー の 育 成 支 援 、ぬ ま づ エ コ - C O 2( エ コ コ ツ ) アクション事業及びぬまづの森整備事業などを引き続き実施し、市 民の皆様の自主的なエコ活動の普及促進に努めてまいります。 道路及び公園の照明灯につきましては、二酸化炭素排出量の抑制 及び維持管理費用の削減を図るため、LED照明灯への更新に向け た調査を実施してまいります。 美化意識の向上及び環境に配慮したまちづくりを推進していくた め、中心市街地における路上喫煙禁止の条例化に取り組んでまいり ます。 廃棄物対策としましては、家庭系ごみについては、使い切り・食 べ切り・水切りの3キリ運動の啓発とダンボールコンポストの普及 に よ り 生 ご み の 減 量 化 を 推 進 す る と と も に 、事 業 系 ご み に つ い て は 、 ごみ減量・資源化推進協力店「すまいるしょっぷ」を飲食店等にも 拡大し、食べ残しの減量による発生抑制を図ってまいります。 また、リユース事業として、フリーマーケットの開催に加え、子 ども服交換会の開催により、ものを大切にする心を育み、併せて子 育て世代同士の交流を図ってまいります。 中間処理施設につきましては、全国的な焼却施設の建て替え需要 の影響等により建設コストが高騰している状況を踏まえ、施設の適 切な建設時期を見極めつつ、引き続き周辺住民の皆様の合意形成に 努めてまいります。 13 最終処分場につきましては、現処分場容量の逼迫した状況を踏ま え、延命化に努めるとともに、新たな候補地の選定について引き続 き検討してまいります。 〔元気でいきいきと暮らせるまち〕 続いて、第三の柱「元気でいきいきと暮らせるまち」についてで あります。 <結婚・妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援> まず、結婚・妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援についてであ ります。 本市では、本年度から、結婚を望みながらも、異性と出会うきっ かけのない方々に対して支援を行ってまいりました。新年度におき ま し て も 、本 市 の 誇 る 地 域 資 源 を 活 用 し た 婚 活 イ ベ ン ト 等 の 開 催 や 、 公認婚活サポーター制度「縁結び隊」による仲介、婚活支援サイト 「沼津の出逢い応援課」による情報提供を行い、結婚に向けた積極 的な支援を行ってまいります。 妊娠・出産につきましては、安心して出産・育児ができる環境づ くりが重要であることから、不妊・不育症治療費及び妊婦健康診査 費等の助成を行うとともに、母子保健コーディネーターを配置し、 支援ネットワークの構築と妊産婦に対する相談・支援体制の整備を 図るなど、妊娠から出産、産後を含めた切れ目のない支援を行って まいります。 子育て環境の充実につきましては、 「 子 ど も・子 育 て 支 援 事 業 計 画 」 に基づき、民間保育所等への支援による延長保育や一時預かりなど に引き続き取り組むほか、新たに病児保育を実施するなど、子育て 世代のニーズに対応した保育サービスの充実に取り組んでまいりま す。 また、若い世代の経済的負担の軽減を図るため、第3子以降のこ 14 ど も 医 療 費 を 完 全 無 料 化 し 、こ ど も 医 療 費 助 成 を 拡 充 す る と と も に 、 幼稚園や保育所の保育料につきましては、従来の年齢制限の仕組み を撤廃し、子どもが3人以上いる全ての世帯の第2子を半額、第3 子以降を無償化いたします。 さらには、待機児童の解消に向けて、平成29年度に私立中央幼 稚園が認定こども園として開所するための施設整備に対し補助を行 うなど、認定こども園化の推進を図るとともに、新規事業といたし まして、0歳児から2歳児までの入所サポートとして、定員を超え て子どもを受け入れる保育園に対し補助してまいります。 本年度結成いたしました「子育て支援地域ネットワーク協議会」 における子育て関係者の声を反映した、積極的な子育て情報の発信 を行ってまいります。 ひとり親家庭に対しましては、新たに、小学校に入学する児童の ランドセルや学校指定用品の購入費用の助成を行うなど、経済的負 担の軽減に取り組んでまいります。 また、母子・父子自立支援員の活用を強化し、相談業務の充実を 図 る と と も に 、シ ン グ ル マ ザ ー 等 を 応 援 す る た め 、懇 話 会 を 設 置 し 、 支援のあり方について検討してまいります。 野菊園の跡地に民設民営により整備を進めております新しい母子 生活支援施設につきましては、平成29年度の開所に向けた施設整 備に対し補助を行ってまいります。 <夢ある人を育てるまちづくり> 次に、夢ある人を育てるまちづくりについてであります。 今後の沼津の教育の方向性につきましては、教育基本構想の目的 である「明日の社会を担う『夢ある人』づくり」を実現するため、 本年度に策定いたします「沼津市教育大綱」に掲げる基本的な方策 に基づく様々な施策により、教育行政の推進に努めてまいります。 この基本的な方策の一つである「コミュニケーション能力の向上 を図り、国際感覚を豊かにする教育」の具現化に向けては、中学校 15 へのALTの配置時間数を増やすとともに、新たに0歳児から3歳 児までの乳幼児期に英語に触れる機会や、児童生徒が英語のみを使 って外国人とレクリエーションを行う機会を設けるなど、英語学習 の推進に取り組んでまいります。また、英語力を把握する目安とな る英検の受験を促進すべく、中学生を対象とした英検受験料の補助 を行ってまいります。 「 地 域 に お け る 人 と 人 と の つ な が り を 大 切 に し 、『 住 ん だ と こ ろ 』 『住んでいるところ』 『 住 む で あ ろ う と こ ろ 』を 愛 す る 心 を は ぐ く む 教育」の具現化に向けては、がんばる学校応援事業により、地域資 源や地域の人材を活用し、児童生徒の志を高める授業の実施を通し て、郷土愛の醸成と地域に貢献できる人材の育成を図ってまいりま す。 小学校の通常学級において支援を必要としている児童が年々増加 している状況を踏まえ、支援員の配置時間数を増やし、悩みや不安 の相談相手となることで、子どもたちがいきいきとした学校生活を 送れるよう対応してまいります。 平成26年度から開始しました学力保証プログラム事業につきま しては、全国学力・学習状況調査を活用した授業づくりを通して、 引き続き研究指定校による研究発表会などを行い、研究成果を市内 の小中学校に普及するなど、基礎的・基本的な知識・技能の確実な 定着と、それらを活用するための思考力・判断力・表現力の育成を 図ってまいります。 児童生徒の快適な教育環境を維持するため、引き続き学校施設の 老朽化対策を実施していくとともに、小中学校における洋式トイレ の割合を、平成27年12月末現在の31.5%から平成30年度 末には50%となるよう、新年度から3カ年で計画的に取り組んで まいります。 若年層の人口減少が進行している本市において、若者が将来、こ のまちに住みたい・住み続けたいと思えるよう、まちや地元産業な どの魅力を伝え、郷土愛を育んでいくため、高校生を始めとした若 16 者の声や活力をまちづくりに反映していく取り組みを推進してまい ります。 <住みよい地域づくり> 次に、住みよい地域づくりについてであります。 本年度策定いたします「第4次沼津市男女共同参画基本計画」で は、家庭、職場、教育及び地域の4領域において取り組みを推進し ていくこととしており、本計画に基づき、男性の家庭参画を促進す る講座の開催や女性の活躍を推進するための労働環境の整備促進な どに取り組んでまいります。 また、これまで市民の皆様の利便性向上を図るため、自動交付機 による証明書発行などの取り組みを行ってまいりましたが、より一 層の利便性向上を図るため、個人番号カードを活用したコンビニ交 付システムの導入に向け取り組んでまいります。 消費者行政につきましては、本年度策定いたします「沼津市消費 者教育推進計画」に基づき、今後も様々なトラブル等に関する消費 生活相談に対応するとともに、自立した消費者の育成のための啓発 活動を強化してまいります。 地域コミュニティ活動の拠点となる地区センターにつきましては、 第 二 地 区 に お い て 、整 備 に 向 け た 設 計 業 務 な ど を 行 っ て ま い り ま す 。 また、地区自治会が設置するLED防犯灯の設置や取り替えに対 する助成を拡充し、安全で暮らしやすい地域づくりを進めてまいり ます。 <保健・福祉・医療の充実> 次に、保健・福祉・医療の充実についてであります。 健康づくりにつきましては、市民の皆様が日常的に健康づくりに 取り組んでいただくよう健康についての意識向上を図るとともに、 自主的に健康づくりに取り組むためのインセンティブとして、健康 マイレージ推進事業に引き続き取り組んでまいります。 17 また、高齢者の皆様が住み慣れた地域で元気で自分らしく暮らせ る環境づくりを進めるとともに、介護予防のための講座等を開催す ることなどにより、健康寿命の延伸に努めてまいります。 千本プラザにつきましては、高齢者就業センターの移転を含め、 高齢者の就業を支援する機能を新たに導入することなどにより、更 なる世代間の交流と生きがい活動の推進を図ってまいります。 高齢者福祉施設の整備につきましては、 「第7次沼津市高齢者保健 福祉計画」に基づき、小規模多機能型居宅介護事業所を始め計画的 な整備に努めてまいります。 また、高齢者の実情に合わせた介護予防の取り組みを進めるとと もに、高齢者を地域で支える拠点となる地域包括支援センターの拡 充に向け準備を進めてまいります。 少子高齢化が進み、地域福祉の果たす役割がますます重要となっ ている中、本年度策定いたします「第3次沼津市地域福祉計画」に 基づき、地域の絆の必要性について啓発を図るとともに、社会福祉 協議会等と協働した福祉のまちづくりに取り組んでまいります。 また、成年後見制度につきましては、成年後見人等に対する報酬 助成を行うほか、市民後見人の育成などに取り組んでまいります。 障害者福祉につきましては、障害者差別解消法が本年4月に施行 されることから、だれもが分け隔てられることのない共生社会の実 現を目指すとともに、障害のある人が自立した生活を営み、社会参 加が促進されるよう、引き続き障害者総合支援法等に基づく質の高 い福祉サービスの提供等に努めてまいります。 生活保護制度の運用につきましては、生活保護受給者及び生活困 窮者の自立促進を図るために有効な就労準備や学習などの支援等に 引き続き取り組み、生活困窮状態からの早期自立に向けた包括的な 支援を行ってまいります。 地域の中核的医療機関である市立病院につきましては、引き続き 慢性的に不足する医師及び看護師の確保に努め、安全・安心な医療 サービスを提供してまいります。 18 また、当院は厳しい経営状況にあることに鑑み、これまでの経営 健全化に向けた取り組みに加え、今後の病院のあり方について、抜 本的な見直しをしてまいります。 【Ⅲ 行財政運営】 以上、平成28年度における施策の大要についてご説明いたしま した。 新年度の予算編成にあたりましては、今までの慣習や前例にこだ わることなく、その手法や手段を再構築する取り組みをさらに進め るとともに、民間の知恵やアイデア、資金や技術、ノウハウを取り 入れることにより、効果的・効率的な事業に転換することができる よう努めました。 この結果、新年度の一般会計及び特別会計5会計並びに企業会計 3会計の予算の合計は、1,416億8,490万円で、前年度に 比べ、23億2,920万円の減となりました。 このうち、一般会計につきましては、前年度に比べ1.9%減の 696億5,000万円、特別会計につきましては、前年度と同程 度の448億4,590万円、企業会計につきましては、前年度に 比 べ 3 .5 % 減 の 2 7 1 億 8 ,9 0 0 万 円 と な っ た も の で あ り ま す 。 行財政運営にあたりましては、現在策定中の「第3次沼津市行政 改革プラン」に基づき、人口減少・少子高齢化などの社会状況や今 後進んでいく公共施設の老朽化を見据えた中で、公共施設の管理、 統 廃 合 、複 合 化 及 び 長 寿 命 化 な ど に 取 り 組 ん で い く と と も に 、 「民間 にできることは民間に」という方針に基づき、公の施設への指定管 理者制度の導入やPFI制度の更なる活用により、民間活力の導入 を推進してまいります。 また、市有財産の有効活用や広告事業の拡大などにより新たな財 源を確保していくとともに、新地方公会計制度の導入により整備さ れる固定資産台帳などを活用し適切な資産管理や予算編成を図って 19 いくなど、更なる行財政改革を推進してまいります。 組織面では、地域自治と市民協働を一体的に推進していくため、 地 域 自 治 課 に 「 地 域 振 興 係 」、「 交 通 ・ 防 犯 対 策 係 」、「 協 働 推 進 係 」 及び「国際係」を新設し、また、シティプロモーション及びふるさ と納税などの業務をさらに推進していくことに加え、公民連携に係 る業務を推進していく組織体制を整備するため、ぬまづの宝推進課 に 「 シ テ ィ プ ロ モ ー シ ョ ン 係 」、「 ふ る さ と 納 税 推 進 係 」、「 公 民 連 携 企画係」及び「事業推進係」を新設いたします。 さらに、沼津駅周辺総合整備事業を構成する鉄道高架事業、沼津 駅周辺土地区画整理事業及び関連道路整備事業等を総合的に推進し ていくための組織体制の強化が必要であることから、 「沼津駅周辺整 備部」を新設するほか、都市計画部において、都市政策全体に係る 事 務 を 所 掌 す る「 ま ち づ く り 政 策 課 」、土 地 利 用 や 建 築 確 認 な ど の ま ちづくりの許認可に係る事務を所掌する「まちづくり指導課」及び 香陵公園周辺の整備を一体的に推進する事務を所掌する「香陵公園 周辺整備室」をそれぞれ新設するなど、行政課題に対応しつつ、市 民ニーズに合ったサービスを提供する効率的な組織の強化・改善を 図ってまいります。 以上、平成28年度に臨む施政方針を申し上げました。 市 民 の 皆 様 に は 、市 政 に 対 す る 一 層 の ご 理 解 を い た だ く と と も に 、 まちづくりへの更なる参画をお願いしたいと思います。 最後となりましたが、今後とも、ご列席の議員各位のご叱正、ご 支援を賜りますようお願い申し上げます。 20
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