グリーンレポートNo.560(2016年2月号) インフォメーション たまねぎの新作型「冬春まき栽培」の 栽培マニュアルを作成 全農では、農研機構 東北農業研究センターなどの協 月旬 力を得て、東北以南のたまねぎの端境期である7∼8月 作付期間 2 3 4 5 6 7 8 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 ▼▼ 〇〇 に安定生産できる新作型を開発し、その技術をとりまと 葉枯病、軟腐病、 りん片腐敗病 べと病 めたJA営農指導員向けの栽培マニュアルを作成した。 主な病害虫 タマネギバエ、 ネギアザミウマ 乾燥 収穫 図−1 栽培暦の例(北東北) 1)も加えた。本年2月から東北以南の全国のJAに配 防除 わかるように見開き2ページにまとめた栽培手順(図− 除草剤散布 主な作業 トとなる病害虫防除の詳しい解説と、技術内容が一目で 定植 系から構成され、全体で25ページになる。栽培のポイン 防除 播種 本書は、品種と栽培方法、病害虫・雑草防除、機械化体 〇:播種 ▼:定植 ■:収穫 付する予定で、産地の育成・活性化に活用していただけ 育期間を確保することが重要である。また、病害虫が発 れば幸いである。 生しやすい高温・多湿の梅雨期を経て生育が進むため、 病害虫防除の徹底が求められる。 東北以南で栽培する新作型開発のねらい このようなことから栽培のポイントは、①品種に応じ わが国のたまねぎは、平成25年の国産出荷量が94万t、 て3ヵ月程度の生育期間を確保する②播種適期は定植適 生鮮物の輸入が30万tあり、これらを合わせたものの約 期から逆算する③病害虫防除を徹底する、ことが挙げら 6割が加工・業務用と推定されている。加工・業務用で れる。これらを踏まえて、本マニュアルでは、適品種と は、年間を通した安定供給が求められるが、国内では、 栽培方法、病害虫・雑草防除、大規模生産にも対応する 府県産の収穫が終わる7月から北海道産の出荷が始まる 機械化体系を具体的に記述した。 8月下旬までは収穫できる産地がない。 東北以南の転作作物としても有望 そこで、全農では、農研機構 東北農業研究センター、 北海道農業研究センターのほか、弘前大学および岩手、 たまねぎは、国内生産量の約3割に相当する輸入があ 岐阜、千葉県の試験研究機関の協力を得て、東北以南で り、野菜のなかでも消費量の多い品目である。機械化一 栽培するたまねぎの新作型開発に取り組んだ。開発した 貫体系が構築さ 新作型「冬春まき栽培」は、12∼2月に播種、2∼4月 れているため、 に定植、6∼8月に収穫するもので、収量は10a当たり 大規模生産も可 4∼5tを見込んでいる。北陸以北の寒冷地や積雪地帯 能である。今回 で冬の寒さや雪害を回避し、生産を安定させるという点 紹介した冬春ま からも意義のある作型である。 き栽培は、冬の 寒さや雪害を回 品種と栽培、防除、機械化体系をわかりやすく記述 避できるため、 写真−1 東北各地で始まるたまねぎの 冬春まき栽培(岩手県) 栽培地域を3つに区分 東 北・ 北 陸 地 東北以南の冬春まき栽培は、冬季の積雪の有無や地温 域でも取り組みやすい作型(写真−1)で、水田作地帯 の上昇時期、これらに日長を加えた気象要因によって、 の転作品目のひとつとしても有望である。本マニュアル 作期に地域差が出ることがわかった。このため、本マニ がたまねぎ産地の育成、生産振興に活用され、生産者の ュアルでは、栽培地域を秋田∼岩手県以北の「北東北」 所得向上、地域の活性化に役立つとともに、輸入に奪わ と「南東北・北陸」 「関東以西」の3つに分けた。 れたシェアの奪還につながることを期待したい。 生育期間の確保と病害虫防除が栽培のポイント ●問い合わせ先 全農 営農販売企画部 事業企画課 ☎03−6271−8275 冬春まき栽培は、秋まき栽培に比べて定植後、短期間 で収穫期を迎えるので、十分な球肥大をさせるための生 【全農 営農販売企画部 事業企画課】 21
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