みずほ日本経済情報 - みずほ総合研究所

みずほ日本経済情報
2016年2月号
◆ トピック
高まる金融市場発の景気下振れリスク
日銀はマイナス金利政策を導入したが、実体経済への追加
的な刺激効果は限定的とみられる。当面の景気は金融市場
発の下振れリスクに晒される状況が続く
◆ 景気判断
現状は踊り場。先行きは緩やかながらも持ち直し
輸出・生産は上向きつつあるものの、暖冬の影響もあって
個人消費は弱含んでいる。また、急速な円高・株価の下落
などが、企業マインドや収益に下押し圧力を加えている
1.総
括
日本経済の現状と先行
き
日本経済は踊り場にある。輸出・生産は上向きつつあるものの、暖冬の影
響もあって個人消費は弱含んでいる。中国経済の減速や株価の急落・為替の
円高推移といった金融市場の変動を背景に、企業マインドや収益には下押し
圧力がかかっている。経済の活動水準は、潜在生産量(物価変動に対して中
立的とみられる生産量)を引き続き下回っている。
先行きの日本経済は、在庫調整の進捗や天候要因の剥落などを支えに、緩
やかに持ち直すとみられる。ただし、経済活動の水準は、潜在生産量を下回
る状態が続く見込みである。
日銀は 1 月末にマイナス金利政策を打ち出した。直後の金融市場は好意的
トピック
「高まる金融市場発の
に反応したが、2 月入り後には株価が緩和前を下回る水準まで急落し、ドル円
景気下振れリスク」
相場が一時 114 円台となるなど、金融市場における効果は早くも息切れ気味
だ。実体経済への影響については、金利が 1%低下すると、乗用車の販売台数
は 2%、住宅着工戸数は 1.4%程度押し上げられる関係にあり(図表 1)
、消費
や投資に多少のプラスとなることが期待される。もっとも、2 月 9 日に長期金
利が初のマイナス圏に沈んだとは言え、今般の緩和前も既に歴史的な低金利
であり、追加的な低下幅は小幅にとどまる。マイナス金利の場合は金利の低
下による効果が現金保有の増加によって相殺されることも踏まえれば、景気
への影響はやはり限定的と言えよう。
マイナス金利政策が世界経済への懸念を背景とした市場の動揺を抑え込め
なかったことを受け、国内の景気は引き続き金融市場発の下押し圧力に晒さ
れることになる。足元の為替は企業の想定レートよりも円高に振れており、
本格化しつつある賃上げ交渉などへの影響が懸念される。また、金融市場の
高いボラティリティが、不確実性の増大という形で企業や家計のマインドを
圧迫し、経済活動を下押しする可能性もある。中でも設備投資は、不確実性
の高まりによるマイナスの影響を比較的長期にわたって受けやすい
(図表 2)
。
新年度にかけて、景気の下振れリスクを一段と注視していく必要がある。
図表 1
1%の金利低下による影響
図表 2
不確実性の増大が設備投資に及ぼす影響
2%
(%)
2.5
1%
2.0
0%
1.5
▲ 1%
1.0
▲ 2%
0.5
▲ 3%
0
0.0
乗用車販売
住宅着工
4
8
12
16
20
(カ月)
(注) 不確実性に起因する株価のボラティリティの上昇(1標準偏差分)に対す
る、設備投資の反応を図示。詳細は、みずほインサイト「不確実性の増
大と景気への影響」(2015/9/11)参照。
(資料) みずほ総合研究所試算
(注) 金利(乗用車販売は短期プライムレート、住宅着工はフラット35)およびマクロ
経済指標(全97指標)から抽出した3つの主成分を説明変数とし、アーモンラ
グを設定して推計。
(資料) 国土交通省、日本自動車工業会などより、みずほ総合研究所作成
1
みずほ日本経済情報(2016 年 2 月号)
図表 3
景気判断
2月
1月
(現状判断)
(現状判断)
(先行き判断)
総括
対
外
部
門
企
業
部
門
家
計
部
門
政
府
物
価
経済活動の方向性
踊り場にある
踊り場にある
緩やかに持ち直す
経済活動の水準
潜在生産量を下回っている
潜在生産量を下回っている
潜在生産量を下回る状態が続く
海外経済
緩やかに回復しているものの、新興国を
中心に減速感が強まっている
緩やかに回復しているものの、新興国を
中心に減速感が強まっている
新興国の減速傾向が続くものの、
欧米を中心に緩やかな回復が続く
対外交易環境
前年に比べて大幅な改善を続けている
前年に比べて大幅な改善を続けている
前年に比べて大幅な改善が続く
輸出
上向きつつある
上向きつつある
徐々に上向くものの、力強さを欠く
緩やかに増加する
輸入
足踏みしている
減少している
生産・サービス活動
上向きつつある
上向きつつある
回復に向かう
企業マインド
持ち直しの動きがみられる
弱さがみられる
緩やかに持ち直す
緩やかな増加基調に復する
設備投資
足踏みしている
足踏みしている
雇用者所得
回復傾向にある
回復傾向にある
回復が続く
消費者マインド
上向いている
緩やかに改善している
高水準で推移する
個人消費
弱さがみられる
弱含んでいる
緩やかな回復基調に復する
住宅着工
増勢が一服している
弱含んでいる
緩やかな回復基調に復する
公的需要
減少している
減少している
緩やかに増加する
税収
増加している
増加している
増加が続く
国内企業物価
前年比で低下している
前年比で低下している
前年比マイナス幅が拡大する
消費者物価
前年比ゼロ%近傍で推移している
前年比ゼロ%近傍で推移している
前年比マイナスに転じる
金融政策
金融緩和を進めている
金融緩和を進めている
2016年前半に追加緩和に踏み切る
(注) 1.矢印の向きは景気の方向性を示している。上向きが拡大局面、横向きが横這い局面、下向きが後退局面を意味する。
2.矢印の色は生産の水準感を示している。白は潜在生産量を上回る、紺は潜在生産量を下回る、白紺の縦縞は潜在生産量程度の生産量を意味する。
3.先行き判断は、3カ月程度先の経済の動きに関する判断を示している。
(資料)みずほ総合研究所
図表 4
景気の全体観を示す主要統計
FY2013
FY2014
2015Q3 2015Q4 2016Q1
-
2015/09 2015/10 2015/11 2015/12 2016/01
▲ 1.8
1.8
▲ 0.9
▲ 1.2
n.a.
CI 先行指数
CI 一致指数
前期差、Pt
-
-
前期差、Pt
-
-
-
-
-
▲ 0.1
1.5
▲ 1.4
▲ 0.7
n.a.
CI 遅行指数
前期差、Pt
DI 先行指数
%
-
-
-
-
-
0.0
18.2
▲ 0.2
50.0
0.1
40.0
0.0
55.6
n.a.
n.a.
DI 一致指数
%
DI 遅行指数
全産業活動指数 全産業
%
2.2
▲ 1.1
▲ 0.0
0.3
n.a.
30.0
44.4
▲ 0.1
72.2
37.5
0.9
66.7
50.0
▲ 1.0
37.5
60.0
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
3.2
1.2
▲ 0.4
▲ 1.1
▲ 1.2
0.2
0.6
0.2
n.a.
n.a.
1.1
▲ 0.3
1.4
0.7
▲ 0.9
▲ 0.8
▲ 1.4
n.a.
n.a.
n.a.
▲ 3.5
▲ 1.0
-
1.1
0.3
1.0
▲ 1.4
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
▲ 2.1
-
1.4
-
▲ 3.3
-
n.a.
-
n.a.
-
景気動向指数
前期比、%
鉱工業
国民経済計算
前期比、%
第3次産業
建設業
実質GDP
前期比、%
前期比年率、%
11.0
2.0
-
民需
寄与度、%Pt
1.7
▲ 1.5
0.2
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
公需
寄与度、%Pt
0.8
▲ 0.1
0.0
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
外需
寄与度、%Pt
名目GDP
年率、兆円
▲ 0.5
482.4
0.6
489.6
0.1
500.7
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
前期比、%
1.7
1.5
0.4
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
前年比、%
▲ 0.3
0.4
2.5
2.1
1.8
0.0
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
前期比、%
前期比、%
GDPデフレーター
内需デフレーター
前年比、%
(注) 1.全産業活動指数は農林水産業生産指数を除く。産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第3次産業は第3次産業活動指数の値。
2.実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。
3.2015年12月の実績値が発表されていない指標の2015年10~12月期比は、2015年10・11月平均の7~9月期に対する変化率。
(資料)内閣府「景気動向指数」、「四半期別GDP速報」、経済産業省「全産業活動指数」、「鉱工業指数」、「第3次産業活動指数」
2
みずほ日本経済情報(2016 年 2 月号)
2.対外部門
海外経済
海外経済は緩やかに回復しているものの、新興国を中心に減速感が強まっ
ている。米国は、1 月の雇用統計で賃金上昇率が加速するなど、サービス業の
堅調さが続いている。もっとも、製造業ISM指数をみると足元で 50 割れが
続いており、景気拡大の勢いは鈍化している。ユーロ圏は、1 月の製造業PM
Iが 52.3(12 月 53.2)と 50 を上回る水準が続くなど、緩やかな回復が続い
ている。中国は、再び減速基調を辿っている。
今後の海外経済は、新興国の減速傾向が続くものの、欧米を中心に緩やか
な回復が維持される見込みである。米国やユーロ圏経済は、個人消費が景気
の下支えとなるだろう。中国経済は資本ストック調整が重石となり、減速が
続くだろう。
対外交易環境
対外交易環境は、前年に比べて大幅な改善を続けている。1 月は素材を中心
に輸出物価の弱含みが続く一方、資源価格の下落などから輸入物価が引き続
き前年比大幅なマイナスとなった。その結果、対外交易条件の伸びは前年比
+13.2%(12 月同+14.1%)と、大幅なプラスが続いている。原油価格は低
水準での推移が見込まれるため、輸入物価は当面大幅な下落が続くだろう。
対外交易条件は大幅な前年比プラスが続く見通しである。
輸出
輸出は上向きつつある。10~12 月期の輸出数量指数(※)は前期比+1.0%
(7~9 月期同▲1.8%)と 3 四半期ぶりに上昇したものの、回復の動きは鈍い
(図表 2)
。欧州向けに持ち直しの動きがみられるほか、アジア向けが底入れ
しつつある一方、米国向けは足踏みが続いている。目先は欧米向けの自動車
輸出などの増加が見込まれるものの、世界的に生産活動の弱い状態が続いて
おり、輸出が下振れする可能性もある。今後の輸出は徐々に上向くものの、
力強さを欠く見通しだ。
(※)みずほ総合研究所の季節調整値
輸入
輸入は減少している。10~12 月期の輸入数量指数(※)は前期比▲1.8%(7
~9 月期同+0.1%)と、国内消費の弱さや生産活動の低迷などを受けて低下
した。通信機や事務用機器を含む機械機器、鉱物性燃料などの輸入が減少し
た(図表 3)
。もっとも、国内の生産活動が上向きつつあるほか、雇用の改善
が消費を下支えするとみられることから、今後の輸入は緩やかながらも増加
していくとみている。
経常収支
経常収支(季節調整値)は、高めの黒字が続いている。12 月は第一次所得収
支の黒字が拡大し、経常黒字は 19.6 兆円(年率、11 月 17.1 兆円)と高水準を
維持した(図表 4)
。円安に支えられ、今後も第一次所得収支の黒字が、経常黒
字の押し上げ要因となるだろう。また、貿易収支は、国内経済の持ち直しに伴
う輸入数量の増加が見込まれるものの、原油価格の水準が低位にとどまること、
輸出金額が持ち直すとみられることから、小幅な黒字が当面続くとみている。
その結果、経常収支の黒字幅は、高めの水準が続く見込みである。
3
みずほ日本経済情報(2016 年 2 月号)
図表 1
米欧中の業況感(製造業)の推移
図表 2
仕向地別輸出数量指数の推移
(2010年=100)
60
米国
中国
総合
120
欧州
中国を除くアジア
110
55
100
90
50
米ISM指数
80
ユーロPMI指数
中国PMI指数
45
13
14
15
70
16 (年)
11
図表 3
輸入数量指数の推移
(2010年=100)
30
原料品
13
図表 4
130
総合
12
鉱物性燃料
14
15
(注) みずほ総合研究所による季節調整値。直近値は2015年12月。
(資料) 財務省「貿易統計」より、みずほ総合研究所作成
(注)指数が50超のとき業況拡大を示す。直近値は2016年1月。
(資料)米サプライマネジメント協会、Markit、中国物流購買連合会より、 みずほ総合研究所作成
(年)
経常収支の推移
(兆円)
第一次所得収支
経常収支
25
機械機器
20
120
15
10
110
5
0
100
▲5
▲ 10
90
貿易収支
▲ 15
第二次所得収支
▲ 20
80
13
14
15
13
CPB生産指数
米国
ユーロ圏
前期比、%
アジア
製造業の業況
米国(ISM)
前期比、%
前期比、%
15
(年)
対外部門の主要統計
FY2013 FY2014
2.5
2.6
2.1
4.0
0.5
0.8
5.7
4.7
2015Q3 2015Q4 2016Q1
0.4
0.3
n.a.
0.7
▲ 0.6
n.a.
0.0
0.4
n.a.
0.8
0.8
n.a.
2015/09 2015/10 2015/11 2015/12 2016/01
0.3
0.4
▲ 0.6
n.a.
n.a.
▲ 0.0
▲ 0.2
▲ 0.9
n.a.
n.a.
▲ 0.1
1.0
▲ 0.8
n.a.
n.a.
1.0
0.3
▲ 0.2
n.a.
n.a.
DI
-
-
-
-
-
50.0
49.4
48.4
48.0
48.2
ユーロ圏(PMI)
DI
-
-
-
-
-
52.0
52.3
52.8
53.2
52.3
中国(PMI)
DI
-
-
-
-
-
49.8
49.8
49.6
49.7
49.4
前年比、%
前期比、%
▲ 2.9
10.3
13.5
▲ 18.8
0.6
2.8
2.9
0.2
▲ 4.9
1.3
15.0
2.5
▲ 10.8
▲ 8.1
▲ 1.8
15.1
▲ 4.8
▲ 17.2
0.5
1.0
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
16.8
▲ 1.4
▲ 15.5
▲ 3.3
▲ 1.9
16.3
▲ 1.9
▲ 15.6
▲ 3.8
2.3
14.8
▲ 5.4
▲ 17.6
1.4
2.5
14.1
▲ 7.0
▲ 18.5
4.1
▲ 4.1
13.2
▲ 6.9
▲ 17.8
n.a.
n.a.
前期比、%
▲ 0.0
0.1
▲ 4.0
▲ 0.5
n.a.
0.8
1.4
▲ 0.8
▲ 0.9
n.a.
前期比、%
▲ 1.5
3.2
▲ 1.8
3.4
▲ 2.3
1.9
▲ 6.0
▲ 3.4
▲ 0.2
7.7
2.5
1.3
n.a.
n.a.
n.a.
▲ 4.0
▲ 1.7
▲ 2.6
10.5
7.6
1.7
5.8
▲ 1.4
2.7
▲ 5.2
▲ 4.0
▲ 3.2
n.a.
n.a.
n.a.
0.6
1.8
3.7
2.8
▲ 1.9
▲ 0.8
0.3
0.1
2.6
2.7
▲ 1.8
▲ 1.1
n.a.
n.a.
n.a.
2.1
1.0
3.7
1.3
▲ 1.6
▲ 3.1
1.8
▲ 0.3
▲ 0.4
▲ 3.1
▲ 3.1
▲ 0.6
n.a.
n.a.
n.a.
対外交易環境 対外交易条件
輸出物価
輸入物価
輸出
前期比、%
14
(注)季節調整済年率換算値。直近値は2015年12月。
(資料)日本銀行「国際収支統計」より、みずほ総合研究所作成
図表 5
海外経済
サービス収支
▲ 25
(年)
(注)みずほ総合研究所による季節調整値。直近値は2015年12月。
(資料)財務省「貿易統計」より、みずほ総合研究所作成
実質実効為替レート
輸出数量
米国向け
欧州向け
中国向け
中国を除くアジア向け
輸入
実質輸出
輸入数量
実質輸入
対外収支
経常収支
貿易・サービス収支
第一次所得収支
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前期比、%
前期比、%
前期比、%
前期比、%
前期比、%
年率、兆円
1.5
7.9
14.6
18.2
n.a.
9.2
17.9
17.1
19.6
n.a.
年率、兆円
▲ 14.5
17.4
▲ 9.3
19.2
▲ 3.3
20.5
▲ 0.6
20.8
n.a.
n.a.
▲ 4.6
17.5
▲ 2.1
22.0
0.8
19.1
▲ 0.5
21.2
n.a.
n.a.
年率、兆円
(注) 1.実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。
2.2015年12月の実績値が発表されていない指標の2015年10~12月期前期比は、10~11月平均の2015年7~9月期に対する変化率。
3.輸出数量及び輸入数量はみずほ総合研究所による季節調整値。中国を除くアジア向け輸出数量は2010年輸出金額ウェイトにより算出。
4.対外交易条件=輸出物価指数÷輸入物価指数。
(資料) 財務省「貿易統計」、日本銀行「実質輸出入」、「国際収支統計」、「企業物価指数」、「外国為替相場」、CPB Netherlands Bureau for Economic Policy Analysis
4
みずほ日本経済情報(2016 年 2 月号)
3.企業部門
生産・サービス活動
生産・サービス活動は、上向きつつある。12 月の鉱工業生産指数は前月比
▲1.4%(11 月同▲0.9%)と 2 カ月連続で低下したものの、10~12 月期でみ
れば、前期比+0.6%と 3 四半期ぶりの増加に転じた。非製造業も、11 月の第
3 次産業活動指数は前月比▲0.8%と 2 カ月ぶりに減少したが、10~11 月期平
均でみれば、7~9 月期対比+0.2%と増加基調にある(図表 1)
。
今後の生産・サービス活動は、回復に向かう見込みである。2016 年 1 月、2
月の生産計画はそれぞれ前月比+7.6%、同▲4.1%となっている。1 月の大幅
増の反動で 2 月が減少する計画となっているうえ、実績は生産計画対比で下
振れる傾向にあるため、力強い回復とはなりづらいだろう。もっとも、2015
年 6 月以降、均してみると在庫水準は改善傾向にある。今後、在庫調整圧力
は緩和するとみられ、生産は緩やかな回復が続く見込みである。非製造業に
ついても、内需の持ち直しに伴い緩やかに回復するとみられる。
企業収益・財務
企業収益は回復基調が続いているが、そのペースは鈍化している。10~12
月期の上場企業決算(2 月 8 日時点において 8 四半期連続で集計可能な上場
1,885 社)をみると、経常利益は前年同期比▲0.6%とほぼ横ばいとなった
(図表 2)
。インバウンド需要を取り込むなどした非製造業が相対的に好調な
一方、中国をはじめとした新興国の減速等により、製造業の中で減益に転じ
る企業がみられた。ただし、年度前半の円安・原油安を享受したことによる
好業績が寄与し、年度ベースでの増益は確保される見通しである。今後の企
業業績は、生産活動の持ち直しなどを受けて、緩やかな回復基調を維持する
見込みである。ただし足元では、為替が企業の想定レート(日銀短観(12 月調
査)における大企業・製造業の下期の想定為替レートは 118 円)よりも円高で
推移しており、企業収益が下振れする可能性もある。
企業マインド
企業マインドには、弱さがみられる。1 月の景気ウォッチャー調査では、現
状判断DI(企業動向関連)が 45.9(12 月:48.9)と、4 カ月ぶりに下落し、
2014 年 11 月以来の水準となった。
年初からの株安や中国減速による影響など
が要因とみられる。一方、先行きに関しては 49.2 と 2 カ月連続で上昇してい
る。背景として、年度末にかけての受注増等の季節的影響を挙げる声に加え、
取引先の販売台数や投資案件が増加するといったコメントがみられた。今後
の企業マインドは緩やかに持ち直していくとみられる(図表 3)
。
設備投資
設備投資は足踏みしている。一致指標である 12 月の資本財出荷(除く輸送
機器)が 2 カ月連続で減少した。先行指標である機械受注(船舶、電力除く
民需)
が夏場にかけて弱含んでいた影響が出ているものと思われる
(図表 4)
。
今後の設備投資は、緩やかな増加基調に復するとみられる。足元の機械受
注は均してみれば増加基調に復しており、企業の様子見姿勢の緩和がうかが
われる。日銀短観(12 月調査)の設備投資計画からも、投資意欲の底堅さが
みてとれ、更新投資などが徐々に増加していくだろう。
5
みずほ日本経済情報(2016 年 2 月号)
図表 1 鉱工業生産、第 3 次産業活動指数
(2010年=100)
第3次産業活動指数(右目盛)
図表 2 上場企業業績推移
(2010年=100)
(兆円)
10
105.0
120.0
建設業活動指数
115.0
110.0
103.0
105.0
102.0
100.0
101.0
95.0
100.0
90.0
経常利益
104.0
25
9
85.0
20
15
8
99.0
鉱工業生産指数
(%)
30
前年同期比
(右目盛)
10
5
7
0
98.0
ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
14Q4
(年/期)
図表 3
景気ウォッチャー調査(企業動向関連)
15Q2
15Q3
図表 4 設備投資関連指標
(2010年=100)
135
現状判断DI
60
15Q1
(注)1.各四半期は、当該3カ月に到来した四半期決算の合計。
2.2013年3Q以降、連続して決算データが取得可能で、決算期変更を
行っていない上場企業1,885社(2/8時点)の合計。
(資料)日経NEEDSより、みずほ総合研究所作成
(注)第3次産業活動指数、建設業活動指数の15年4Qは10、11月の平均。
(資料)経済産業省「鉱工業指数」「第3次産業活動指数」「全産業
活動指数」より、みずほ総合研究所作成
(DI)
65
▲5
15Q4 (年/期)
6
2015年
企業動向(全体)
130
製造業
125
非製造業
機械受注(船舶、電力除く民需)
120
55
115
110
105
50
100
95
45
資本財出荷(輸送機器除く)
90
40
13/4
13/10
14/4
14/10
15/4
15/10
建設財出荷
85
2013/1
(年/月)
13/7
14/1
14/7
15/1
15/7
(年/月)
(注)季節調整値。機械受注は、後方3カ月移動平均。
(資料)経済産業省「鉱工業指数」、内閣府「機械受注統計調査報告」より、みずほ総合研究所作成
(資料)内閣府「景気ウォッチャー調査」より、みずほ総合研究所作成
図表 5
企業部門の主要統計
FY2013
生産・サービス 鉱工業生産指数
活動
2016Q1
2015/09
2015/10
2015/11
2015/12
2016/01
▲ 1.2
0.6
n.a.
1.1
1.4
▲ 0.9
▲ 1.4
n.a.
鉱工業出荷指数
前期比、%
2.9
▲ 1.1
▲ 0.6
0.5
n.a.
1.4
2.1
▲ 2.4
▲ 1.7
n.a.
鉱工業在庫指数
前期比、%
▲ 1.2
6.2
▲ 0.9
▲ 1.5
n.a.
▲ 0.4
▲ 1.9
0.4
0.4
n.a.
%Pt
4.1
▲ 7.2
▲ 2.7
▲ 0.8
n.a.
▲ 3.6
▲ 1.0
1.2
▲ 2.4
n.a.
前期比、%
4.8
0.6
▲ 0.8
2.0
n.a.
1.5
1.3
▲ 0.1
n.a.
n.a.
第3次産業活動指数
前期比、%
1.2
▲ 1.1
0.2
0.2
n.a.
▲ 0.3
0.7
▲ 0.8
n.a.
n.a.
建設業活動指数
前期比、%
11.0
▲ 3.5
1.1
▲ 1.4
n.a.
1.5
2.6
0.4
n.a.
n.a.
売上高
製造業
非製造業
経常利益
製造業
非製造業
企業倒産件数
設備投資
2015Q4
▲ 0.4
製造工業設備稼働率指数
マインド
2015Q3
3.2
出荷・在庫バランス
収益・財務
FY2014
前期比、%
前年比、%
2.5
1.4
0.1
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
前年比、%
1.7
▲ 0.7
▲ 0.0
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
前年比、%
2.8
2.4
0.1
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
前年比、%
23.6
5.9
9.0
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
前期比、%
23.7
5.9
▲ 6.3
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
前年比、%
36.0
6.3
▲ 0.7
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
前年比、%
17.5
5.6
15.2
n.a.
n.a.
-
-
-
-
-
前年比、%
▲ 5.7
▲ 10.5
▲ 13.5
0.3
n.a.
▲ 22.4
▲ 7.4
2.7
7.3
▲ 4.2
大企業業況判断DI
%Pt
-
-
19
18
n.a.
-
-
-
-
-
製造業
%Pt
-
-
12
12
n.a.
-
-
-
-
-
非製造業
%Pt
-
25
-
25
-
n.a.
-
49.0
46.9
48.7
47.4
49.9
47.8
48.3
48.9
47.2
45.9
n.a.
中小企業景況判断指数
景気ウォッチャー調査DI(企業関連)
機械受注(船舶・電力除く民需)
%Pt
-
前期比、%
11.5
0.8
▲ 10.0
5.7
n.a.
7.5
10.7
▲ 14.4
n.a.
建築物着工床面積(非居住用)
前期比、%
7.9
▲ 6.7
▲ 4.3
▲ 2.2
n.a.
▲ 4.4
4.2
▲ 2.7
3.8
n.a.
資本財出荷(除く輸送機械)
前期比、%
5.5
4.3
▲ 1.9
▲ 0.9
n.a.
0.8
2.2
▲ 0.6
▲ 3.7
n.a.
ソフトウェア受注額
前年比、%
1.9
3.5
1.2
2.3
n.a.
▲ 0.7
4.8
1.9
1.0
n.a.
(注)1. 実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。
2. 2015Q4の製造工業設備稼働率指数、第3次産業活動指数、建設業活動指数、機械受注は15年10~11月平均を使用。
(資料) 経済産業省「鉱工業指数」、「第3次産業活動指数」、「全産業活動指数」、「特定サービス産業動態統計調査」、財務省「法人企業統計」、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」、
帝国データバンク「全国企業倒産集計」、商工組合中央金庫「中小企業月次景況観測」、内閣府「景気ウォッチャー調査」、「機械受注統計調査報告」、国土交通省「建築着工統計調査報告」
6
みずほ日本経済情報(2016 年 2 月号)
4.家計部門
雇用者所得
雇用者所得は回復傾向にある。12 月は有効求人倍率が 1.27 倍と前月から
0.02Pt 改善した。失業率は 3.3%と横ばいとなったが、労働市場への参入が
大きく増加するなか、就業者も大幅に増加しており、中身としては良い結果
である(図表 1)
。また、12 月の名目賃金は、前年比+0.1%と増加したが、
小幅な伸びにとどまった。賞与などの特別に支払われた給与(同▲0.4%)が
押し下げ要因となったが、毎月勤労統計における調査対象の入れ替え(2015
年 1 月実施)の影響により、賞与が実態よりも低めの値となっている可能性
がある。所定内給与のプラス幅は安定して拡大しており、名目賃金の増加基
調が崩れた訳ではないとみている。物価調整後の実質雇用者所得(常用雇用
×実質賃金(※)
)は、同+0.7%(11 月同+0.3%)と増加が続いた。
今後も、雇用者所得は回復が続くだろう。非製造業に加え、製造業の新規
求人にも回復の動きがみられ、雇用情勢は改善が続く見込みである。生産・
企業収益の回復に伴い、名目賃金も所定内・所定外給与を中心に緩やかな回
復が続くだろう。
(※)消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)を用いて実質化。
消費者マインド
消費者マインドは緩やかに改善している。1 月の消費者態度指数は、
「収入
の増え方」や「雇用環境」の意識指標を中心に悪化した(図表 2)
。ただし、
年明けに株安が進んだ割には低下幅が小さく、底堅い動きと言える。今後は
雇用者所得の改善を背景に、高水準での推移が続くだろう。
個人消費
個人消費は弱含んでいる。12 月の実質消費支出(二人以上の全世帯)は、
前月比+1.0%と 4 カ月ぶりに増加した(図表 3)
。ただし、11 月まで 3 カ月
連続でマイナスとなっていた反発としては力強さに欠けており、10~12 月期
では前期比▲1.9%となった。12 月の内訳をみると、食料品が増加した一方、
自動車などを含む交通・通信費への支出が減少した。1 月の大手 5 社の百貨店
売上高は、5 社中 3 社で前年比マイナスとなった。景気ウォッチャー調査によ
ると、初売りは好調だったものの、月中旬の気温低下にもかかわらず冬物衣
料の不調が続いたといったコメントがみられた。
先行きの個人消費は、雇用者所得の回復が支えとなり、緩やかな回復基調
に復する見込みである。
住宅着工
新設住宅着工戸数は弱含んでいる。12 月の着工戸数(季調済み年率)は 86.0
万戸(前月比▲2.2%)と 2 カ月ぶりに減少し、10~12 月期でも前期比▲5.3%
(7~9 月期同▲4.2%)と 2 四半期連続のマイナスとなった。単月の内訳をみ
ると、
貸家
(前月比+1.4%)
が2カ月連続で増加したものの、
持家
(同▲5.1%)
と分譲住宅(同▲6.1%)が全体を押し下げた(図表 4)
。景気や所得の先行き
不透明感が強まるなか、家計は住宅取得に慎重となっている模様だ。
先行きの住宅着工は緩やかな回復基調に復する見込みである。緩和的な金
融環境が下支え要因となるほか、2017 年 4 月に予定される消費税率引き上げ
を受けて 4 月頃から駆け込み需要が顕在化するとみている。
7
みずほ日本経済情報(2016 年 2 月号)
図表 1
(%ポイント)
1.0
失業率の要因分解
図表 2 消費者マインドの推移
(Pt)
47
非労働力人口要因
生産年齢人口要因
就業者要因
失業率
0.8
0.6
45
43
0.4
0.2
41
0.0
▲ 0.2
39
▲ 0.4
37
▲ 0.6
▲ 0.8
14/04
14/10
15/04
13/10
14/04
14/10
図表 4 利用関係別着工の推移
(年率、万戸)
(2013年=100)
115
(年率、万戸)
持家
45
20
貸家
マンション
分譲住宅
40
18
35
16
100
30
14
95
25
12
20
10
110
実質小売業販売額
90
実質消費支出
(家計調査)
85
14/01
14/07
15/01
15/07
15
(年/月)
13
(注)実質小売業販売額の実質化及び季節調整はみずほ総合研究所による。
(資料)経済産業省「商業動態統計」、総務省「家計調査」、「消費者物価指数」より、
みずほ総合研究所作成
有効求人倍率
15
16
(年)
8
13
14
15
16
(年)
家計部門の主要統計
FY2013
就業者数
14
一戸建
(注)マンションおよび一戸建はみずほ総合研究所による季節調整値。
(資料)国土交通省「建築着工統計」より、みずほ総合研究所作成
図表 5
雇用・所得 完全失業率
15/10
(年/月)
(資料)内閣府「消費動向調査」よりみずほ総合研究所作成
消費関連指標
105
15/04
(年/月)
(資料)総務省「労働力調査」より、みずほ総合研究所作成
図表 3
35
13/04
15/10
FY2014
2015Q3
2015Q4
2016Q1
2015/09
2015/10
2015/11
2015/12
2016/01
%
3.9
3.5
3.4
3.2
n.a.
3.4
3.1
3.3
3.3
前期差、万人
47
38
22
2
n.a.
24
▲3
▲ 38
45
n.a.
n.a.
倍
0.98
1.12
1.23
1.25
n.a.
1.24
1.24
1.25
1.27
n.a.
新規求人数
前期比、%
8.4
3.6
1.9
4.6
n.a.
▲ 2.1
5.0
0.3
1.5
n.a.
所定外労働時間
前期比、%
4.8
2.0
▲ 0.2
▲ 0.3
n.a.
1.2
0.1
▲ 0.6
▲ 1.2
n.a.
名目賃金
前年比、%
▲ 0.3
0.5
0.6
0.2
n.a.
0.4
0.7
0.0
0.1
n.a.
実質賃金
前年比、%
名目雇用者所得(雇用者数×名目賃金)
実質雇用者所得(雇用者数×実質賃金)
前年比、%
▲ 1.4
0.7
▲ 2.9
1.3
0.3
1.3
▲ 0.1
1.2
n.a.
n.a.
0.3
1.3
0.4
2.1
▲ 0.4
0.7
▲ 0.1
1.0
n.a.
n.a.
前年比、%
▲ 0.4
▲ 2.2
1.1
0.9
n.a.
1.2
1.7
0.3
0.7
n.a.
%
-
-
-
-
-
40.6
41.5
42.6
42.7
42.5
消費総合指数
前期比、%
家計消費水準指数(除く住居等)
実質小売業販売額
前期比、%
1.5
▲ 4.5
0.5
0.6
n.a.
▲ 2.8
n.a.
n.a.
▲ 0.4
▲ 2.8
0.1
▲ 1.6
▲ 1.2
0.7
n.a.
▲ 2.3
n.a.
n.a.
前期比、%
2.3
▲ 4.6
1.2
0.1
n.a.
0.5
1.0
▲ 2.1
0.5
n.a.
百貨店売上高(既存店)
前年比、%
新車販売台数(乗用車)
広義対個人サービス活動指数
年率、万台
483.7
445.3
413.5
423.1
406.6
1.8
421.0
4.2
429.4
▲ 2.7
411.0
0.1
428.8
n.a.
406.6
前期比、%
1.2
▲ 1.0
0.2
0.1
n.a.
▲ 0.2
0.8
▲ 1.0
n.a.
n.a.
%Pt
-
-
-
-
-
47.0
48.1
44.4
47.7
45.6
年率、万戸
98.7
35.3
37.0
88.0
27.8
35.8
91.7
28.6
40.3
86.8
26.9
36.1
n.a.
n.a.
n.a.
89.6
28.2
39.8
86.5
27.3
34.9
87.9
27.4
36.5
86.0
26.0
37.0
n.a.
n.a.
n.a.
年率、万戸
25.9
23.6
22.9
23.1
n.a.
22.4
22.7
(注) 1. 実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。
2. 消費総合指数は四半期系列、月次系列ごとに季節調整がかけられるため、月次平均と四半期値は一致しない。
3. 実質小売業販売額は、みずほ総合研究所により実質化及び季節調整を行っている。
4. 新車販売台数はみずほ総合研究所による季節調整値。
(資料) 総務省「労働力調査」「家計調査」、厚生労働省「一般職業紹介状況」「毎月勤労統計」、内閣府「消費動向調査」「景気ウォッチャー調査」「消費総合指数」、
経済産業省「商業動態統計」「第3次産業活動指数」、国土交通省「建築着工統計」、日本百貨店協会、日本自動車販売協会連合会等
24.0
22.5
n.a.
マインド
個人消費
消費者態度指数
景気ウォッチャー調査DI(家計関連)
住宅着工
合計
持家
貸家
分譲住宅
年率、万戸
年率、万戸
8
みずほ日本経済情報(2016 年 2 月号)
5.政府部門
公的需要
公的需要は減少している。11 月の公共工事出来高は、前月比▲3.1%と 2
カ月ぶりに減少した。一方で、先行指標である 1 月の公共工事請負金額は、
前月比+3.7%と 2 カ月ぶりに増加した。2014 年度補正予算に計上された経済
対策の押し上げ効果がはく落し、公共投資は減少していたものの、先行指標
からは底入れの兆しがみられる。今後の公共投資は、人手不足の緩和や資材
価格の上昇一服も下支えとなり(図表 1)
、下げ止まっていくと予想される。
政府消費は、社会保障給付の拡大により増加傾向が続き、公的需要全体では
緩やかに増加していく見込みである。
税収
税収は増加している。12 月の国税収入は前年比+8.0%(11 月同+8.4%)
と増加した(図表 2)
。所得税収が減少した一方、法人税収、消費税収が伸び
たことが全体を押し上げた。雇用者所得の改善などが続くとみられることか
ら、今後も税収の増加が続くだろう。
経済政策
政府は 1 月 22 日、総額 96.7 兆円と過去最大の規模となった 2016 年度予算
案を国会に提出した(図表 3)
。歳入面では、57.6 兆円と過去 3 番目の税収が
見込まれている。一方、歳出面では、社会保障関係費の伸びが抑制され(前
年度+約 4,400 億円)
、防衛費も約 740 億円の微増、公共事業関係費はほぼ横
ばいに抑えられるなど、全体では約 0.4 兆円の微増に留められた。政府は、
2020 年度のプライマリーバランス(税収-(歳出-国債費)
、以下PB)の
黒字化、また、2018 年度のPBの赤字を対名目GDP比▲1%程度に留める
ことを目安としており、財政収支の改善に向けた予算編成が行われた形だ。
ただ、内閣府が 1 月 21 日に公表した「中長期の経済財政に関する試算」によ
れば、仮に楽観的な高成長シナリオ(年率成長率:実質 2%程度、名目 3%程
度)が実現しても、2020 年度のPBは同 1.1%(6.5 兆円)の赤字になると
試算されており、政府目標の達成は難しい状況だ(図表 4)
。
2017 年 4 月には消費税が 10%に引き上げられる予定だが、政府の「経済再
生なくして財政健全化なし」という基本方針を踏まえるならば、景気次第で
は増税の先送りも選択肢となろう。すなわち、昨今の原油安に伴い海外金融
機関のエネルギー産業向けの不良債権が増加し、世界的な金融不安や資源国
の財政不安が発生するリスクが無視できないなかでは、増税は景気の腰折れ
を招く可能性がある。また増税を実施する場合においても、2014 年度の消費
落ち込みが大きくなったことを踏まえると、激変緩和措置として、家計負担
の大幅な軽減策などの追加財政出動も視野に入れる必要が出てくるだろう。
9
みずほ日本経済情報(2016 年 2 月号)
図表 1
建設労働者の過不足率と建設資材価格の推移
(過不足率、%) 建設技能労働者不足率
(8職種計)
3.0
図表 2
建設資材価格
(2010年=100)
(土木用)
115
(前年比、%)
30
消費税
25
2.0
国税収入の推移
110
所得税
20
1.0
法人税
税収計
15
105
その他
10
0.0
5
▲ 1.0
100
0
95
▲ 10
▲ 5
▲ 2.0
12
13
14
15
12
(年)
13
14
15 (年)
13/1
(注)1.過不足率の定義は以下の通り。
(保出来なかった労働者数-過剰となった労働者数)/(確保している労働者数+確保出来なかった労働者数)×100。
2.建設技能労働者不足は、0を超える場合が不足、0未満は過剰を表す。
(資料) 国土交通省「建設労働需給調査結果」、一般財団法人経済調査会より、みずほ総合研究所作成
図表 3
(歳入)
金額
税収
57.6
その他の収入
4.7
34.4
公債金
73.1
0.2
▲ 2.4
社会保障関係費
32.0
0.4
地方交付税交付金等
建設国債
6.0
0.0
赤字国債
28.4
▲ 2.5
合計
図表 4
▲ 0.3 基礎的財政収支対象経費
96.7
15.3
▲ 0.3
公共事業関係費
6.0
0.0
文教及び科学振興費
5.4
0.0
防衛関係費
5.1
0.1
その他
9.5
0.0
96.7
0.4
0.4 合計
15/1
15/7
国・地方の基礎的財政収支の見通し
(対名目GDP比、%)
0.0
6.5兆円の収支改善が必要
▲ 1.0
▲ 2.0
18年度:▲1.7%
15年度:▲3.3%
20年度:▲1.1%
▲ 3.0
経済再生ケース(中長期的な経済成長率:実質2%以上、名目3%以上)
▲ 4.0
ベースラインケース(中長期的な経済成長率:実質1%弱、名目1%半ば程度)
▲ 5.0
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23 (年度)
(資料)内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(1月21日経済財政
諮問会議提出資料)より、みずほ総合研究所作成
(注)四捨五入の関係で、数値が一致しない部分がある。
(資料)財務省より、みずほ総合研究所作成
図表 5
FY2013
公的需要
14/7
(年/月)
(単位 兆円)
15年度
当初
金額
予算比
23.6
0.2
(歳出)
14/1
(注)出納整理期間を含むベース。
(資料)財務省「租税及び印紙収入、収入額調」より、みずほ総合研究所作成
2016 年度一般会計予算案
15年度
当初
予算比
3.1 国債費
13/7
政府部門の主要統計
FY2014
2015Q3
2015Q4
2016Q1
2015/09
2015/10
2015/11
2015/12
2016/01
公共工事出来高
前期比、%
19.6
5.0
▲ 0.9
▲ 3.5
n.a.
▲ 3.0
0.5
▲ 3.1
n.a.
n.a.
公共工事請負金額
前期比、%
17.7
▲ 0.3
▲ 13.6
0.7
3.4
▲ 6.0
3.1
5.4
▲ 3.0
3.7
兆円
▲ 38.6
▲ 23.3
0.8
▲ 5.2
n.a.
0.8
▲ 4.3
▲ 0.3
▲ 0.6
3.3
前年差、兆円
▲ 4.2
15.3
▲ 1.0
3.4
n.a.
0.3
0.4
1.4
1.5
n.a.
財政フロー 財政資金対民間収支(一般+特別)
兆円
45.8
51.3
13.9
14.2
n.a.
3.3
3.5
7.5
3.2
n.a.
前年差、兆円
2.3
5.5
2.0
1.1
n.a.
0.7
0.3
0.6
0.2
n.a.
会計年度累計、兆円
47.0
54.0
16.8
31.0
n.a.
16.8
20.3
27.8
31.0
n.a.
会計年度累計、前年差、兆円
3.0
7.0
1.9
3.0
n.a.
1.9
2.2
2.7
3.0
n.a.
所得税収入
会計年度累計、前年差、兆円
1.5
1.3
1.0
0.8
n.a.
1.0
0.9
1.0
0.8
n.a.
法人税収入
会計年度累計、前年差、兆円
0.7
0.5
▲ 0.3
▲ 0.2
n.a.
▲ 0.3
▲ 0.3
▲ 0.4
▲ 0.2
n.a.
消費税収入
会計年度累計、前年差、兆円
0.5
5.2
1.3
2.4
n.a.
1.3
1.6
2.2
2.4
n.a.
一般会計租税・印紙収入
兆円
1,025.0
1,053.4
1,054.4
1,044.6
n.a.
1,054.4
1,061.2
1,070.7
1,044.6
n.a.
前年差、兆円
33.4
28.4
15.5
14.7
n.a.
15.5
15.8
17.7
14.7
n.a.
内国債
兆円
812.1
843.7
859.2
865.1
n.a.
859.2
866.7
875.3
865.1
n.a.
国庫短期証券
兆円
157.4
154.7
141.4
124.4
n.a.
141.4
141.1
140.4
124.4
n.a.
借入金
兆円
55.5
55.0
20.5
32.5
n.a.
20.5
23.8
28.1
32.5
n.a.
10億ドル
1,279.3
1,245.3
1,248.9
1,233.2
n.a.
1,248.9
1,244.2
1,233.0
1,233.2
1,248.1
財政ストック 政府債務残高
外貨準備高
(注)1.公共工事出来高、公共工事請負金額はみずほ総合研究所による季節調整値。
2.公共工事出来高の10~12月期前期比は、10~11月期の7~9月平均に対する変化率。公共工事請負金額の1~3月期前期比は、1月の10~12月期に対する変化率。
(資料)日本銀行「金融経済統計月報」、財務省「租税及び印紙収入、収入額調」、「財政資金対民間収支」、経済産業省「全産業供給指数」、国土交通省「建設総合統計」、
保証事業会社「公共工事前払金保証統計」
10
みずほ日本経済情報(2016 年 2 月号)
6.物価
国内企業物価
国内企業物価は前年比で低下している。1 月の国内企業物価指数は前年比
▲3.1%(12 月同▲3.5%)とマイナス幅が 4 カ月連続で縮小した(図表 1)
。
原油安を背景としたエネルギー価格の値下がりが企業物価を押し下げている
ものの、その影響は徐々に和らいでいる。
先行きを展望すると、国内企業物価指数は前年比マイナス幅が再び拡大す
る見通しである。原油相場の下落が続く見込みであるため、石油・石炭製品
の前年比マイナス幅は拡大するとみられる。その他の製品も、景気が力強さ
を欠く中、足元と同程度の下落幅が続く見通しである。
消費者物価
消費者物価は前年比ゼロ%近傍で推移している。12 月の生鮮食品を除く総
合指数
(コアCPI)
は前年比+0.1%と前月と同じ伸び率になった
(図表 2)
。
エネルギーによる押し下げ幅は 3 カ月連続で縮小した一方、食料(酒類除く)
・
エネルギーを除く総合指数(米国基準コアCPI)は、同+0.8%と 11 月(同
+0.9%)から上昇幅が縮小した。1 月の東京都区部コアCPIは前年比
▲0.1%(12 月同+0.1%)とマイナスに転じた(図表 3)
。米国基準コアCP
Iも同+0.4%(12 月同+0.6%)と 3 カ月ぶりの低い伸びとなった(図表 4)
。
今後のコアCPIは、前年比マイナスに転じる見通しである。原油価格は
低位で推移する見込みであり、エネルギーは足元と同程度のマイナス寄与は
が続くとみられる。また、円安によるコスト上昇分を価格に転嫁する動きが
一服するとみられるほか、景気が力強さを欠く中、基調的な物価上昇ペース
も鈍化するだろう。
金融政策
日銀は 2016 年 1 月 28 日・29 日の金融政策決定会合において、
「マイナス金
利付き量的・質的金融緩和」の導入を決めた。今回の決定では「量」
・
「質」
の部分で既存の政策を据え置く一方、新たに「マイナス金利」を追加し、今
後も、
「量」
・
「質」
・
「金利」の 3 つの次元で金融緩和を進めていくとされた。
マイナス金利のスキームとしては、当座預金残高を 3 段階の階層構造に分
割し、それぞれの階層に応じて「プラス」
「ゼロ」
「マイナス」の金利が適用
される。具体的には、当座預金残高を(1)基礎残高(+0.1%を適用)
、
(2)
マクロ加算残高(ゼロ%を適用)
、
(3)政策金利残高(▲0.1%を適用)の 3
階層に分割する。
「基礎残高」は、2015 年 1 月~12 月積み期間における平均
残高に相当する部分である。
「マクロ加算残高」は①所要準備額、②貸出支援
基金および被災地金融機関支援オペによる供給部分、③マクロ加算額(
「基礎
残高」に掛け目を掛けて算出する)の合計である。
「基礎残高」と「マクロ加
算残高」を上回る部分が「政策金利残高」としてマイナス金利が適用される。
日銀は声明文に「今後、必要な場合、さらに金利を引き下げる」と明記し
ている。原油安や円高を背景にコアCPIが一時的にマイナス圏に低下する
可能性があるほか、基調的なインフレ率も鈍化するとみられる。日銀は、2016
年前半にもう一段の追加緩和を実施するとみている。
11
みずほ日本経済情報(2016 年 2 月号)
図表 1
国内企業物価指数
図表 2
(前年比、%)
5
総平均
(前年比、%)
4
消
費
増
税
の
影
響
4
3
2
生鮮食品を除く総合CPI
コアCPI
3
コアCPI
(消費税の影響を除く)
2
1
1
0
その他
電力・都市ガス・水道
食料品・飲料・たばこ・飼料
化学製品
非鉄金属
鉄鋼
総平均(消費増税の影響を除く)
石油・石炭製品
▲1
▲2
▲3
▲4
▲5
13/01
13/07
14/01
15/01
14/07
0
消費税率引き上げの影響
エネルギー
図表 3
食料(生鮮食品・酒類を除く)
▲2
15/07
13/07
13/01
16/01
(年/月)
(資料)日本銀行「企業物価指数」より、みずほ総合研究所作成
(前年比、%)
2.0
米国基準コア
▲1
全国と都区部のコアCPI
14/01
14/07
15/01
15/07
(資料)総務省「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成
図表 4
全国と都区部の米国基準コアCPI
(前年比、%)
1.0
コアCPI(全国)
コアCPI(都区部)
1.5
0.5
1.0
0.0
0.5
▲ 0.5
0.0
▲ 1.0
米国基準コアCPI(全国)
米国基準コアCPI(都区部)
▲ 0.5
▲ 1.5
▲ 1.0
12/01
12/07
13/01
13/07
14/01
15/01
14/07
12/01
15/07 16/01
(年/月)
日本銀行国際商品指数
国内企業物価 総平均
(消費増税の影響を除く)
素原材料
企業向け
14/07
15/07 16/01
(年/月)
15/01
FY2014
2015Q3
2015Q4
2016Q1
2015/09
2015/10
2015/11
2015/12
2016/01
前年比、%
▲ 5.3
▲ 18.8
▲ 40.1
▲ 35.8
n.a.
▲ 40.7
▲ 37.2
▲ 35.4
▲ 34.7
▲ 27.1
前年比、%
1.9
2.8
▲ 3.6
▲ 3.6
n.a.
▲ 4.0
▲ 3.8
▲ 3.6
▲ 3.5
▲ 3.1
前年比、%
-
0.0
▲ 3.5
▲ 3.7
n.a.
▲ 4.1
▲ 3.8
▲ 3.7
▲ 3.5
▲ 3.2
前年比、%
3.3
▲ 3.4
▲ 7.5
▲ 6.3
n.a.
▲ 9.0
▲ 6.9
▲ 6.4
▲ 5.6
▲ 4.9
中間財
前年比、%
2.9
0.5
▲ 5.0
▲ 5.5
n.a.
▲ 5.7
▲ 5.6
▲ 5.5
▲ 5.3
▲ 4.8
前年比、%
0.1
▲ 0.4
▲ 0.9
▲ 0.7
n.a.
▲ 1.1
▲ 0.8
▲ 0.7
▲ 0.5
▲ 0.4
n.a.
総平均
国際運輸を除く
前年比、%
0.2
3.3
0.6
0.4
n.a.
0.4
0.4
0.2
0.4
前年比、%
-
0.6
0.6
0.0
n.a.
0.4
0.4
0.2
0.3
n.a.
前年比、%
0.1
3.3
0.7
0.5
n.a.
0.5
0.5
0.4
0.5
n.a.
n.a.
金融・保険
前年比、%
1.2
3.7
0.3
▲ 0.1
n.a.
0.3
0.0
0.0
▲ 0.1
不動産
前年比、%
▲ 1.1
3.0
0.1
0.5
n.a.
0.1
0.2
0.4
0.8
n.a.
運輸
前年比、%
0.7
3.7
0.3
▲ 0.6
n.a.
0.0
▲ 0.3
▲ 0.7
▲ 0.7
n.a.
情報通信
前年比、%
▲ 0.8
2.5
▲ 0.2
0.0
n.a.
0.0
0.0
▲ 0.1
▲ 0.1
n.a.
広告
前年比、%
0.6
3.2
0.1
0.3
n.a.
▲ 0.9
0.0
0.3
0.6
n.a.
リース・レンタル
前年比、%
0.2
4.1
1.0
0.0
n.a.
0.9
0.3
▲ 0.1
▲ 0.4
n.a.
諸サービス
前年比、%
0.6
3.8
1.3
1.1
n.a.
1.2
1.2
1.1
1.1
n.a.
総合
前年比、%
0.9
3.0
0.1
0.2
n.a.
0.0
0.3
0.3
0.2
n.a.
生鮮食品を除く
(消費増税の影響を除く※当社推計値)
酒類を除く食品・エネルギーを除く
(消費増税の影響を除く※当社推計値)
耐久消費財
前年比、%
0.8
-
2.8
0.8
▲ 0.1
▲ 0.1
0.0
-
n.a.
-
▲ 0.1
-
▲ 0.1
-
0.1
-
0.1
-
n.a.
-
前年比、%
0.2
-
2.1
0.4
2.3
0.6
0.9
-
n.a.
-
0.9
-
0.7
-
0.9
-
0.8
-
n.a.
-
前年比、%
▲ 0.9
3.0
2.3
4.1
n.a.
3.9
3.8
4.2
4.2
n.a.
前年比、%
0.7
3.3
2.0
1.6
n.a.
1.9
1.5
1.7
1.7
n.a.
n.a.
半耐久消費財
金融政策
14/01
最終財
サービス価格 (消費増税の影響を除く)
消費者物価
13/07
物価の主要統計
FY2013
商品市況
13/01
(注)消費税率引き上げの影響を除くベース。
米国基準コアCPIは、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合。
(資料)総務省「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成
(注)消費税率引き上げの影響を除くベース。
(資料)総務省「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成
図表 5
12/07
前年比、%
前年比、%
非耐久消費財
前年比、%
2.1
4.4
▲ 1.0
▲ 0.8
n.a.
▲ 1.5
▲ 0.7
▲ 0.8
▲ 1.1
一般サービス
前年比、%
0.0
1.3
0.5
0.5
n.a.
0.5
0.4
0.6
0.5
n.a.
公共サービス
前年比、%
1.5
3.1
0.8
0.3
n.a.
0.8
0.4
0.3
0.3
n.a.
%
0.04
0.02
0.01
0.04
0.04
0.01
0.07
0.08
0.04
0.07
無担保コール翌日物金利(末値)
(注)実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。
(資料)日本銀行「企業物価指数」、「企業向けサービス価格指数」、「日本銀行国際商品指数」、「金融経済統計月報」、総務省「消費者物価指数」
12
みずほ日本経済情報(2016 年 2 月号)
2 01 6年 2月 10 日
発行
[執筆担当]
市川雄介(総括)
03-3591-1289
yusuke.ichikawa@m iz uho-ri.co.jp
小西祐輔(企業)
03-3591-1294
yusuke.konishi@mi zu ho-ri.co.jp
坂中弥生(外需)
03-3591-1242
yayoi.sakanaka@mi zu ho-ri.co.jp
多田出健太(住宅・物価)
03-3591-1283
kenta.tadaide@miz uh o-ri.co.jp
松浦大将(雇用・消費)
03-3591-1435
hiromasa.matsuura @m izuho-ri.co.jp
川口 亮(政府)
03-3591-1243
ryo.kawaguchi@miz uh o-ri.co.jp
●当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものではあり
ません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに基づき作成されておりますが、その正
確性、確実性を保証するものではありません。また、本資料に記載された内容は予告なしに変更され
ることもあります