改訂版 教職員用指導資料 不登校指導の手引き 大 阪 市 教 育 委 員 会 は じ め に 本市の各学校園においては、これまでも、人権尊重を基盤に一人一人の子どもを大切に した教育活動を推進し、不登校の未然防止、早期発見、課題の解決に取り組んできたとこ ろです。しかしながら、本市立学校園に在籍する約 19 万人の幼児・児童・生徒の中には 「学校園に行けない」「学校園に行かない」子どもたちがいます。この子どもたち一人一 人の課題の解決に向けて支援し、社会的な自立に向けて援助することは、教育に携わる者 の大きな責務です。 そのため、教育委員会としても、不登校問題の解決のため、様々な施策を講じてきまし た。例えば、大阪市教育センターにおいて教育相談部門が付置され、不登校の子どもの心 の「居場所」として適応指導教室を開設しました。その後、教育相談部門は大阪市教育セ ンターから移転、大阪市中央児童相談所と統合し、「大阪市こども相談センター教育相談 グループ」となり、他部署で実施していた不登校児に関わる諸事業を統合し、子どもや保 護者等が利用しやすい教育相談の体制を整備するとともに、不登校児童通所事業の実施等、 不登校の幼児・児童・生徒への支援の充実を図ってきました。 また、不登校を生みださない学校園づくりのための様々な教職員研修を実施したり、い じめや不登校等の問題解決のために「心の専門家」であるスクールカウンセラーを大阪市 こども相談センターより市立全中学校に配置し、中学校より小学校へ派遣したりしていま す。これにより、各学校園において、保護者と密接に連携してきめ細やかな対応を行うな ど、不登校問題の解決に向けて取組が進められています。 さらに、市内の拠点校に社会福祉士等の専門的な知識や技術を有するスクールソーシャ ルワーカーを配置し、学校園の要請に応じて派遣し、課題を抱えた幼児・児童・生徒に対 して、関係諸機関等とのネットワークを活用するなど、多様な支援を用いて問題解決への 対応を図ってきました。 しかし、一方では、複雑な社会の状況を反映して、虐待や養育放棄など他の課題が重な るケースや、不登校により社会とのつながりを持てないケースなど、不登校問題が多様化、 複雑化してきています。不登校の状況は一人一人異なっており、「登校させる」ことだけ を問題解決の目標にするのではなく、子どもの将来の社会的自立に向けた支援の視点を忘 れてはなりません。このためにも、本人や家庭の背景に考慮して、個々の必要に応じた柔 軟で弾力のある関わりと支援が必要となってきています。 これまで、各学校園では、多くの事例を紹介することに心がけて作成された「不登校指 導の手引き」(平成 18 年3月)を参考にするなど、不登校の子どもへの取組を進めてき たところですが、このたび、同「手引き」を関連機関の名称変更等に伴い改訂しました。 本書がすべての学校園において、不登校に対する基本的な考え方を整理し、学校園内体 制を整備することはもちろんのこと、幼児・児童・生徒を支援する教職員一人一人が子ど もの状況を見極め、一人一人に適した手立てを見出すうえで、他の校種の事例も参考にし ていただきたいと考えています。 平成 28 年1月 改訂 不登校指導の手引き 目次 はじめに Ⅰ 不登校の基本的な考え方 ・・・ 1 1 学校園における取組 ・・・ 1 2 大阪市こども相談センターの教育相談事業 ・・・ 8 ・・・ 14 ・・・ 14 ・・・ 16 Ⅱ 本市の不登校の状況 1 不登校とは 2 不登校児童・生徒数の現状と推移 3 不登校となったきっかけと考えられる状況 Ⅲ 事例 1 児童・生徒の状況の視点から ・・・ 18 2 学校の取組の視点から ・・・ 26 ・・・ 44 おわりに <資料>
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