地域社会と障がいある人達との共助社会。 「コロニーから広く地域社会が障がい 者を受け入れる時代」に入っていると NPO 法人地域生活サポートセンターの藤井 要子施設長は強調します。鎌倉市としては初めての障がい者と地域社会との交流 のつどい「玉縄地域交流会」が 1 月 30 日、ほっと Café 玉縄台での会場を使って 開かれ、関係者らから地域社会の協力が求められました。 鎌倉市では 2 年前に、福祉施設や地域活動支援センターを判りやすく地図上 に示し、障害のある人が災害時にも取り残されないよう、誰が見ても施設の設 置個所が判断出来るようにした「避難マップ」を作成、関係者に配りました。 支援を要する人が所持する場合は、このマップに自身の細かな情報を記載し て、連絡先や障害の内容、薬の飲ませ方や安心させる方法など要支援者の特性 が一覧出来るように編纂さ れ、支援が必要な人はこのマ ップを携帯するようにして います。 一方、健常者にとっても一 口に障害と言っても極めて 広範多岐。障害をどう理解し 対処していけばよいか。いざ という時には途方に暮れる こともありますが、その際の ヒントなども含め啓蒙的内 容も盛り込まれています。東日本大震災などを教訓に、大規模災害時における 障がい者への対応、支援を訴えるものでした。 玉縄台自治会館で 1 月 30 日に開かれた交流会の会場でも、この避難マップを 参加者全員に配布して、あらためてマップの有用性と、障がい者の障害別配慮 方法などの説明が行われました。高齢になるほどうつや認知症、それに難病に 罹る人、従来の知的・精神障害や肢体不自由な人に加え、障がい者が確実に増 加している時代背景もあって、今が健常であっても、いつ我が身に障害が起こ るとも限らない、身近な問題であることが指摘されました。参加者のなかから も「高齢者への対策などはずいぶん熱心にやってきましたが、障がい者のこと にも思いを深める必要を強く感じました」と、説明に強くうなずいていました。 理解深い玉縄から 玉縄地域には、県立の鎌倉養護学校もあり障がい者の職場、 学業の場がたくさんあります。 「障害者対策は、市としても自 立支援協議会を中心に進めていますが、どうしても限界があ ります。協議会としても地域社会に出ていっていろいろお願 いしていこう」(鎌倉市福祉障害課石塚敏樹さん)。そのため に、地域の方々に障害というのがどういうもので、障がい者 をどう理解して頂くか。 (石塚さん) 一番の早道が「障害のある人達とのふれあいや交流の場をたくさん作ってい く」(石塚さん)ということ。とりわけ、鎌倉市内でも障がい者を比較的身近に見 ておられる玉縄がふさわしい。他の地域でも理解を得て頂くが、まずここから スタートしたい」(安田明鎌倉市障害福祉課長)ということでした。 玉縄台自治会では、昨年5月にほっと Café 玉縄台を発足させました。月に一 度自治会会員を中心に「お茶を飲み、ケーキを食べながら地域の懇親を深める イベントを続けてきました」(柳瀬運営委代表)が、たまたま、玉縄地域で障がい 者との交流にふさわしい会場を探していた鎌倉市側から、Café 玉縄台の会場を 使って、障がい者との交流会を開きたいとの呼びかけがあり、会場の提供に応 じたものです。 交流会では、清和園、鎌倉薫風を職場としている 5 人から支援者の協力を得 ながら自己紹介。割りばしの制作や検品、あるいは段ボールの箱作りなど。ま た、30 年前から行っている薫風学園の焼き菓子、クッキーづくりは評判で、多 くのお店で取り扱いがあること。会場でつまんでいるクッキーも実は薫風さん で作られたものだと紹介されました。 また、城廻に開設されている「笑ん座」の 3 人からは、ホウレンソウやネギ、 青首大根など野菜作りに精出していること。コサージュや小物作りなど仕事を する喜び、生きがいなどがユーモアたっぷりに披露。また、とれたての野菜は 玉縄台自治会の地元、すこや かセンターで販売され「いつ も買っています」と言った応 援の声もかかりました。 地域の人たちと障害を持 つ人たちとのテーブルを囲 んでの意見交換など、午後1 時から2時間ほどの間、会場 はいっぱいの人で、交流会の 意義は地域の人たちにも十分理解された様子でした。知的障害の子供を、認知 症を患う親が面倒をみるという。身につまされるような話もありました。高齢 者対策と同様に、地域の大きな課題の一つになってきたのも現実です。
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