海外調査の実施について

資料7
財政制度等審議会 財政制度分科会
海外調査の実施について
平成28年2月5日
調査の趣旨
趣旨
 リーマン・ショック後のG7及びGIIPS諸国の財政健全化の状況をフォローアップす
るとともに、国際機関(IMF、OECD、EU)の意見を聴取し、日本の「経済・財政再
生計画」の実行の参考となる教訓を導く。
※ 昨年秋の財政制度分科会においては、ドイツ、ギリシャ、ポルトガルを取り上げ、欧州
債務危機後の財政健全化の取組を中心に状況を整理。
※ 前回の海外調査は平成26年に実施
調査手法
 各国の財政当局、経済・財政関連のシンクタンク、国際機関等を訪問し、実務者・
有識者からヒアリングを行う。
 4グループに分かれ、1グループにつき委員2名の体制で調査を行う。
今後の報告
 調査結果を財政制度分科会に報告するとともに、その後、海外調査報告書として
取りまとめる。
1
調査体制及び調査日程
1.欧州①
 出張者:佐藤主光委員、竹中ナミ委員
 日 程:平成28年2月28日~3月5日
 訪問先:イギリス、アイルランド、EU(ベルギー)
<ヨーロッパ>
2.欧州②
 出張者:中空麻奈委員、宮武剛委員
 日 程:平成28年3月6日~3月12日
 訪問先:ドイツ、イタリア、ギリシャ
3.欧州③
 出張者:赤井伸郎委員、遠藤典子委員
 日 程:平成28年3月13日~3月19日
 訪問先:フランス、スペイン、ポルトガル、OECD
<北アメリカ大陸>
4.北 米
 出張者:末澤豪謙委員、 田中弥生委員
 日 程:平成28年3月6日~3月12日
 訪問先:アメリカ、カナダ、IMF
2
主な調査事項
各国の財政健全化の状況
1.財政健全化計画の具体的な内容と進捗状況
・ 各国で導入されている法律やルール等の財政規律
・ リーマン・ショック後の各国の財政健全化計画の具体的な内容と実績
2.経済・財政運営と構造改革の取組
・ 財政健全化と経済成長を両立させる取組の内容(成長戦略等)
・ 少子高齢化対策や労働市場改革等の構造的課題への取組の内容
3.財政健全化の取組に対する評価
・ 財政健全化が経済や国民生活等に与えた影響
・ 財政健全化の見通しと実績、及びその評価
4.今後の財政健全化等の取組
国際機関(EU、IMF、OECD)への調査事項
1.各国の財政健全化や構造改革等の取組への評価
2.構造的財政収支等の財政運営のルールに関する評価
3
各国の経済状況①
○ 実質GDP成長率
○ G7ではリーマン・ショック後、アメリカ経済は底堅い回復。イギリス、フランス、ドイツでは2012年に成長率が落ち
込んだが、その後回復傾向。
○ GIIPS諸国ではアイルランドが高い成長率を達成。他の国も長く低迷が続いたが、ギリシャを除き足元ではプラス
成長を実現。
≪G7諸国(イタリア除く)≫
(%)
6.0
リーマン・ショック
(2008年9月)
(%)
6.0
≪GIIPS諸国≫
リーマン・ショック
(2008年9月)
ギリシャ危機
(2009年10月)
ギリシャ危機
(2009年10月)
アイルランド
4.0
4.0
スペイン
イギリス
アメリカ
ドイツ
カナダ
2.0
ポルトガル
2.0
イタリア
日本
0.0
0.0
日本
フランス
▲ 2.0
▲ 2.0
▲ 4.0
▲ 4.0
▲ 6.0
▲ 6.0
▲ 8.0
▲ 8.0
▲ 10.0
▲ 10.0
2007
2008
2009
2010
2011
2012
(出典)OECD Economic Outlook 98(2015年11月公表)
2013
2014
2015
ギリシャ
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
4
各国の経済状況②
○ 長期国債金利
○ G7では長期国債金利は全体として低下傾向にある。
○ GIIPS諸国では欧州債務危機により金利が上昇しているが、混乱の続くギリシャを除き、2012年以降低下している。
≪G7諸国(イタリア除く)≫
(%)
25.0
リーマン・ショック
(2008年9月)
リーマン・ショック
(2008年9月)
ギリシャ危機
(2009年10月)
20.0
20.0
15.0
15.0
10.0
10.0
5.0
≪GIIPS諸国≫
(%)
25.0
イギリス
ギリシャ危機
(2009年10月)
ギリシャ
5.0
ポルトガル
アメリカ
カナダ
フランス
ドイツ
日本
0.0
2007
2008
2009
2010
2011
2012
(出典)OECD Economic Outlook 98(2015年11月公表)
2013
2014
2015
スペイン
イタリア
アイルランド
日本
0.0
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
5
各国の経済状況③
○ 失業率
○ G7ではフランスの失業率が高止まりしている。ドイツではリーマン・ショック後も失業率が下がり続けている。その
他の国では失業率はリーマン・ショック前の水準まで戻ってきている。
○ GIIPS諸国では全体的に失業率は高水準であるが、特にギリシャ、スペインでは20%を上回っている。
≪G7諸国(イタリア除く)≫
(%)
30
リーマン・ショック
(2008年9月)
≪GIIPS諸国≫
(%)
30
リーマン・ショック
(2008年9月)
ギリシャ危機
(2009年10月)
ギリシャ危機
(2009年10月)
ギリシャ
25
25
20
20
15
15
スペイン
フランス
アメリカ
10
ポルトガル
イタリア
10
アイルランド
カナダ
イギリス
5
ドイツ
日本
5
0
日本
0
2007
2008
2009
2010
2011
2012
(出典)OECD Economic Outlook 98(2015年11月公表)
2013
2014
2015
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
6
各国の財政状況①
○ 財政収支対GDP比
○ 各国ともリーマン・ショック後の経済対策等により財政収支は大きく悪化。
○ G7ではドイツが収支均衡を達成。他のG7諸国も着実な収支改善を達成。GIIPS諸国ではギリシャやスペインの収
支改善に遅れが見られたが、足元では、ギリシャを除きマーストリヒト基準(▲3%)に向けた改善が見込まれている。
≪G7諸国(イタリア除く)≫
(%)
5.0
リーマン・ショック
(2008年9月)
ギリシャ危機
(2009年10月)
リーマン・ショック
(2008年9月)
ドイツ
0.0
2007
2008
2009
2010
≪GIIPS諸国≫
(%)
5.0
2011
2012
2013
2014
ギリシャ危機
(2009年10月)
イタリア
0.0
2007
2015 カナダ
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
フランス
▲ 5.0
▲ 5.0
日本
▲ 10.0
イギリス
ポルトガル
日本
▲ 10.0
アメリカ
▲ 15.0
▲ 15.0
▲ 20.0
▲ 20.0
▲ 25.0
▲ 25.0
▲ 30.0
▲ 30.0
▲ 35.0
▲ 35.0
(出典)OECD Economic Outlook 98(2015年11月公表)
スペイン
ギリシャ
アイルランド
(注)アイルランドは、政府の自己資金による銀行セクターへの資本注入のため、
大規模な赤字となった。
7
各国の財政状況②
○ 債務残高対GDP比
○ 各国ともリーマン・ショック後に債務残高対GDP比は大きく上昇。
○ G7ではアメリカ、ドイツは安定的に低下、フランスでは増加傾向が止まっていない。GIIPS諸国ではギリシャを除
き増加傾向に落ち着きが見られる。
≪G7諸国(イタリア除く)≫
(%)
250
リーマン・ショック
(2008年9月)
≪GIIPS諸国≫
(%)
250
ギリシャ危機
(2009年10月)
リーマン・ショック
(2008年9月)
日本
ギリシャ危機
(2009年10月)
日本
200
200
ギリシャ
イタリア
ポルトガル
150
150
アイルランド
フランス
イギリス
アメリカ
スペイン
100
100
カナダ
ドイツ
50
50
0
0
2007
2008
2009
2010
2011
2012
(出典)OECD Economic Outlook 98(2015年11月公表)
2013
2014
2015
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
8
各国の構造問題①
○ 潜在成長率の推移
○ リーマン・ショック後、各国ともに潜在成長率は低下し、イギリスを除きリーマン・ショック前の水準まで回復してい
ない。
≪G7諸国(イタリア除く)≫
(%)
5.0
リーマン・ショック
(2008年9月)
≪GIIPS諸国≫
(%)
5.0
リーマン・ショック
(2008年9月)
ギリシャ危機
(2009年10月)
4.0
4.0
3.0
3.0
イギリス
2.0
アメリカ
カナダ
ドイツ
1.0
フランス
ギリシャ危機
(2009年10月)
アイルランド
2.0
ポルトガル
スペイン
1.0
日本
日本
0.0
0.0
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2007
2015
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
イタリア
2015
ギリシャ
▲ 1.0
▲ 1.0
▲ 2.0
▲ 2.0
(出典)OECD Economic Outlook 98(2015年11月公表)
9
各国の構造問題②
○ 労働生産性の推移
○ アメリカやアイルランドは、他国と比べて労働生産性が高水準かつ上昇傾向。他方で、労働生産性が低水準にと
どまっている国としては、ギリシャとポルトガルが挙げられる。
≪G7諸国(イタリア除く)≫
≪GIIPS諸国≫
(購買力平価換算USドル)
120,000
(購買力平価換算USドル)
120,000
リーマン・ショック
(2008年9月)
リーマン・ショック
(2008年9月)
ギリシャ危機
(2009年10月)
アイルランド
ギリシャ危機
(2009年10月)
110,000
110,000
アメリカ
100,000
100,000
フランス
90,000
カナダ
ドイツ
イギリス
80,000
70,000
日本
90,000
イタリア
80,000
スペイン
日本
70,000
ギリシャ
60,000
60,000
ポルトガル
50,000
50,000
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
(注)労働生産性は、購買力平価で換算したGDPを就業者数で割ったもの。
(出典)OECD Statistics
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
10
各国の構造問題③
○ 労働力人口の推移
○ 各国では、外国人労働者の存在が労働力人口に大きな影響を与えている。GIIPS諸国の一部はリーマン・ショック
頃を機に労働力人口が減少している。
≪G7諸国(イタリア除く)≫
(1995=100で指数化)
160
≪GIIPS諸国≫
(1995=100で指数化)
160
アイルランド
150
150
スペイン
140
140
カナダ
130
120
アメリカ
イギリス
フランス
110
ドイツ
100
日本
130
120
ギリシャ
イタリア
110
ポルトガル
日本
100
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1995
90
90
(出典)OECD Economic Outlook 98(2015年11月公表)
11
各国の構造問題④
○ 高齢化率の推移
○ 国連の人口推計(中位推計)によれば、各国とも2050年にかけて高齢化が進むとされている。特に、イタリア、ス
ペイン、ポルトガル、ギリシャ、ドイツが高い伸びを示している。
≪G7諸国(イタリア除く)≫
(%)
40
日本
≪GIIPS諸国≫
(%)
40
日本
ポルトガル
35
35
スペイン
ギリシャ
ドイツ
30
30
25
イギリス
アメリカ
フランス
25
20
20
15
15
10
10
カナダ
5
アイルランド
イタリア
5
0
0
1950
1970
2000
2015
2016
2030
2050
1950
1970
(出典)日本 ~2010:国勢調査報告(総務省)2011~:日本の将来推計人口(2012年1月、国立社会保障・人口問題研究所)
諸外国 WORLD POPULATION PROSPECTS: THE 2015 REVISION(中位推計)
2000
2016
2015
2030
2050
12
各国の構造問題⑤
○ 各国とも高齢化の進展に伴い、2050年には現役世代(20~64歳)の高齢世代(65歳~)に対する比率が大幅に減
少する見通し。
現役世代の高齢世代に対する比率
(2016年と2050年の比較)
現役世代の高齢世代に対する比率(2016年)
アイルランド
4.4
アメリカ
3.9
3.8
3.6
(出典)OECD Statistics
2.2
OECD
2.1
スペイン
3.2
イギリス
3.0
ギリシャ
2.9
フランス
2.9
ポルトガル
2.8
ドイツ
3
1.3
1.6
1
0
2050年
2.0
1.4
1.7
1.5
日本
2
2016年
2.2
イタリア
2.0
4
2.6
カナダ
3.2
2.7
5
2.0
1.2
0
1
2
3
4
5
13