全体構想 1 厚木市の現況と動向(PDF形式 402キロバイト)

全体構想
1
厚木市の現況と動向
2
都市づくりの課題
3
都市づくりの基本方向と将来像
4
都市づくりの骨格
5
部門別整備方針
現況と動向
1
厚木市の現況と動向
■ 厚木市の成り立ち
通により、東京、横浜との結びつきは一層深まり、
市制施行後の昭和 40 年前後に国道 246 号、東名
高速道路が開通し、市内にも工業団地や住宅団地
などが建設され、都市化が急速に進みました。
その間、昭和 45 年には都市計画法の施行によ
り市街化区域及び市街化調整区域の区域区分(線
引き)が行われ、現在の都市計画の基礎が定めら
れました。
厚木市は、昭和 30 年に 1 町(厚木町)4 箇村(南
毛利村、睦合村、小鮎村、玉川村)が合併して、
人口約 31,000 人の市となり、次いで 3 箇村(相川
村、依知村、荻野村)が加わり、今の厚木市が誕
生しました。
古く江戸時代は、「小江戸」と呼ばれ、交通の要
衝として栄えてきましたが、大正 15 年(1926 年)
の相模鉄道、昭和 2 年(1927 年)の小田急線の開
人口
8万人
10万人
19万人
20万人
22万人
年表
年号
(S30)
(S39)
(S43)
(S44)
(S45)
(S46)
(S48)
(S62)
(H 1)
(H 3)
(H 9)
(H 10)
(H 11)
(H 12)
(H 13)
(H 14)
(H 15)
(H 19)
位置づけ
都市計画等
その他
西暦
1955年 厚木町、南毛利村、睦合村、小鮎村、玉川村の1町4箇村が合併し、厚木市が誕生(合併時昭和30年2月1日、人口31,295人)
次いで相川村、依知村及び荻野村が編入された(人口44,652人)
1964年
国道246号(東京∼沼津間)全線開通
1968年
東名高速道路(東京∼厚木間)が完成
1969年
国道271号(小田原厚木道路)が開通
1970年
市街化区域と市街化調整区域の設定
1971年 厚木総合計画策定
(当初線引き)
1973年 郵政省テレトピア構想モデル都市に指定
1987年 インテリジェントシティに指定
1989年 ハイビジョンシティ構想モデル都市に指定
1991年
1997年 業務核都市基本構想の承認
1998年 厚木市総合計画「あつぎハートプラン」策定 厚木市都市マスタープラン策定
1999年 厚木市業務核都市推進基本計画策定
2000年 厚木市中心市街地活性化基本計画策定
2001年
第5回線引き見直し
2002年 特例市の指定
2003年 厚木市住みよいまちづくり条例制定
2007年 新総合計画策定に向けスタート
厚木市都市マスタープラン改定に向け
見直しスタート
■ 現況と特性
1
地形的特徴
えた相模川が流れ、市街地を貫流する 5 本の河川
が相模川に放射状に合流し、緑地とともに市街地
のアクセントになっています。これらの河川沿い
は地形に起伏があり、低地部には農地と集落、台
地との境には斜面緑地が残るという、地域の原風
景といえる田園環境・景観を形作っています。
厚木市は、相模川の右岸に開けた扇状の地形で、
丹沢山麓に連なる北西部の丘陵地帯とそこから
南東に緩やかに開けた平野部からなる変化に富
んだ地形を有しています。特に、市街地に伸びて
くる緑地・樹林地は、市街地内の貴重な自然資源
です。
また、厚木市には昔から河川交通の要として栄
変化に富んだ地形
尼寺原工業地域
5
1 厚木市の現況と動向
2
人口動向
今後も、こうした傾向は続くことが予測され、
厚木市の人口は、長期的には減少に転じる見込み
となっています。
また、平成 7 年から 17 年の 10 年間で、厚木地
域は 14%の人口増加、北部地域(依知、睦合、荻
野、小鮎)は 7%程度の増加を見せている反面、
南部地域の玉川及び相川では人口が減少してい
ます。
厚木市の人口は、市制施行時(昭和 30 年)は 3
万人程度であったものが、昭和 48 年には 10 万人
に達し、平成 3 年には 20 万人を超え、平成 17 年
には市の人口規模は市制施行時の 7 倍強の規模
となっています。
昭和 60 年以前は県下でも高い水準で人口増が
続きましたが、近年は出生率の低下、社会流動の
減少などにより、増加傾向に陰りがみられます。
人口推移
人
250,000
%
32.8
200,000
35.0
197,283
33.4
31.4
222,403
175,600
30
100,000
25
20.8
108,955
17.3
20
82,888
15
12.3
61,383
39,409
40
35
145,392
150,000
50,000
208,627
217,369
10
46,239
5.8
4.2
5
2.3
0
0
S30
S35
S40
S45
S50
人口
S55
S60
増加率(%)
H2
H7
H12
H17
年
(資料:国勢調査)
3
産業の状況
4
厚木市は地形的にも交通条件的にも県央地域
の中心に位置する有利性から、昔から県央の拠点
都市として栄えてきました。さらに、東名高速道
路の完成に伴って、首都圏南西部の陸上交通の要
衝として、製造業、流通業、研究開発機能などの
立地が進み、産業都市として発展してきました。
また、厚木市で働く人は、市外からの流入も多
く、年々増加しておりましたが、近年では、横ば
い傾向にあります。
製造業、流通業については、内陸工業団地、尼
寺原工業地域や東名高速道路厚木インターチェ
ンジ周辺などの郊外部に大規模に集積し、高い成
長をみせていましたが、製造品出荷額は、平成 3
年をピークに減少傾向に転じました。しかしなが
ら、近年では、増加する傾向にあります。
商業については、本厚木駅周辺における再開発
事業等により高度利用、基盤整備による拠点づく
りを進めて、県央の中心都市として高い商業集積
がみられますが、近接都市への大型店舗の進出に
よる都市間、地域間競争が激しくなっています。
農業については、都市化の進展や後継者問題に
よって農地は平成 12 年から 17 年の 5 年間で約
340ha 減少しています。
市街地の状況
厚木市では、東名高速道路や国道 246 号などの
幹線道路の完成とともに急速に都市化が進行し、
人口集中地区は、平成 2 年まで急激に拡大してき
ましたが、近年は拡大が鈍化しています。
また、厚木市の市街地は、本厚木駅周辺から国
道・県道、河川沿いに放射状に広がっています。
郊外部では、大規模な面整備事業も行われてき
ましたが、集落地では、ミニ開発等により農地・
緑地が徐々に減少してきています。
今後は、第二東名自動車道、さがみ縦貫道路及
び厚木秦野道路といった高規格幹線道路※等の建
設が着工されている地区周辺では、土地利用の変
化も予想されます。
工事の始まったさがみ縦貫道路
※
6
高規格幹線道路:自動車の高速交通の確保を図るため必要な道
路で、全国的な自動車交通網を構成する自動車専用道路。高
規格幹線道路と一体となって、規格の高い幹線道路ネットワ
ークを形成する道路は、地域高規格道路という。
1 厚木市の現況と動向
5
道路・交通の状況
号)が中心市街地付近を通ること、更には地形的
制約から環状交通網が弱く中心部へ集中する傾
向にあることなどの要因によって、慢性的な交通
渋滞を引き起こしています。また、平成 20 年 3
月末時点の都市計画道路整備率は約 52%(幹線
街路で約 59%)で、高規格幹線道路等の早期完
成を始め、道路交通体系の確立が急がれています。
また、厚木市にある鉄道駅が市の南東部に偏っ
ているため、市内の公共交通網は、鉄道駅を中心
とするバスネットワークに頼っています。しかし、
交通渋滞などにより、定時性の確保が難しく、鉄
道駅と市街地を結ぶ円滑なバスサービスが不足
しています。
厚木市は、古くから矢倉沢往還、八王子道、津
久井道などの結節点として栄えてきましたが、東
名高速道路厚木インターチェンジ、小田原厚木道
路、国道 246 号、同 129 号などの広域幹線道路が
完成し、更に県央の交通の要衝として重要な役割
を担ってきました。
また、昭和 50 年代に入り、小田急線の連続立
体化、駅前広場の整備が完了するとともに、本厚
木駅までの地下鉄千代田線の乗り入れにより、交
通の利便性が一層高まりました。
しかし、鉄道利用の拠点である本厚木駅周辺は
市域全体から見て偏在した位置にあることや、広
域的な幹線道路(国道 246 号、同 129 号、同 412
都市計画道路の整備状況
7
1 厚木市の現況と動向
■ 広域的な位置付けと動向
厚木市は、東京から約 50 ㎞圏域に位置し、相
模川と丹沢山地に囲まれた豊かな自然に恵まれ
るとともに、首都圏における交通結節点としての
好立地条件のもと、県央の拠点都市としての役割
を担ってきました。
国の施策の中では、東京都区部における諸機能
の集中を是正し、東京圏における適正な配置を図
る都市として業務核都市※に位置付けられ、厚木
業務核都市推進基本計画に基づき整備が進めら
れています。
神奈川県が県土全体の広域的な都市づくりの
長期ビジョンとして示した「かながわ都市マスタ
ープラン」においては、県土全体の広域的な観点
に立った役割を有し、都市圏域全体の自立をけん
引する広域拠点として本厚木駅周辺が位置付け
られ、交通の要衝としてのポテンシャルを活かし
た機能の集積を図ることとされています。
また、厚木市では第二東名自動車道、さがみ縦
貫道路及び厚木秦野道路の 3 本の高規格幹線道
路等の整備が進められており、さらに、隣接都市
には東海道新幹線新駅構想や相模線の複線化に
よる輸送力の強化が計画されているなど、厚木市
を取り巻く交通条件は飛躍的に向上することに
なります。
資料:平成 19 年 10 月改定かながわ都市マスタープラン「相模連携軸総合整備方針図」
※
業務核都市:首都圏の分散型ネットワーク構造を構成するため、
東京都市圏における業務機能などが適正に配置された自立性
の高い地域の中心として、広域的な連携・交流の拠点となる都
市。神奈川県内では、横浜、川崎、厚木、相模原が位置付けら
れている。
8
1 厚木市の現況と動向
さらに、「ツインシティ整備計画※」(平成 14
年・神奈川県、神奈川県東海道新幹線新駅設置促
進期成同盟会策定)では、東海道新幹線新駅を中
心とした新たな拠点となる環境共生モデル都市
と業務核都市である厚木市を結ぶ新たな交通シ
ステムの整備が基本的方向として示され、厚木市
は利便性の高い自立都市圏の中核都市としての
機能の集積が期待されています。
平成 20 年 5 月、新幹線新駅を設置した際の新
駅利用者数や経済波及効果等を神奈川県が推計
した「東海道新幹線新駅設置に伴う経済効果等推
計」の結果が公表されました。
これによると、新駅開業時点における 1 日あた
りの乗降客数は約 11,100 人、利用者便益(時間
短縮効果等)は年間約 47.2 億円と推計され、ま
た、新駅 20km 圏域の市町村※における人口、従業
者数及び観光入込客数は、新駅が設置されない場
合と比較し、いずれも増加すると推計され、これ
により、経済波及効果があるものと推計されてい
ます。
資料:平成 14 年策定ツインシティ整備計画
「ネットワーク型都市圏形成の概念図」
※
※
ツインシティ整備計画:東海道新幹線新駅誘致地区の寒川町倉
見と対岸の平塚市大神を一体的に環境共生モデル都市として、
環境に配慮した新たなまちづくりを進めようとする計画
9
新駅 20km 圏域市町村:厚木市、綾瀬市、伊勢原市、海老名市、
相模原市、座間市、茅ヶ崎市、平塚市、藤沢市、大和市、愛川
町、大磯町、清川村、寒川町
1 厚木市の現況と動向
■ 新たな社会的動向
1
人口減少、少子高齢社会への対応
2
経済のグローバル化※や技術革新の急速な進展
による産業構造の変化、社会経済構造の変化とと
もに、人口減少による市場競争の激化や産業の空
洞化が懸念され始めています。今後は、業務核都
市にふさわしい都市づくりに向けて、高規格幹線
道路等の整備を背景に、地域経済の基盤をより強
固なものとして、産業機能の集積を進めるととも
に、新たな産業の創出・育成や都市機能の充実、
安定した雇用の確保が求められています。
厚木市の人口は、増加傾向を維持しているもの
の、近年は増加率が急激に低減しつつあり、今後
人口減少に転じ、人口減少社会に突入すると予想
されます。
人口構成は、県下でも比較的若い年齢層の割合
が高い都市ですが、今後は少子高齢化が進み、厚
木市も他市町村と同様に、本格的な超高齢社会を
迎えようとしています。(試算によると、平成 32
年の高齢者人口比率は 25 % を上回ることが予想
されています。)
健全な地域社会の創造の中で、各世代がともに
暮らす地域社会を中心として、多様なコミュニテ
ィ活動が日常的に展開できる、やさしい心の通う
まちづくりを進めていくことが重要となってき
ます。
さらに、障害者が快適で安心して日常生活を営
むために、ノーマライゼーション※の理念をもっ
たまちづくりを進めていくことが求められてい
ます。
また、近年、女性の社会進出が盛んになり、専
ら女性が担っている育児・介護に対する社会的支
援体制の拡充も必要となってきています。
3
4
18.0
16.0
200,000
14.0 高
12.0 齢
化
10.0 率
8.0
%
6.0
︵
150,000
︵
︶
人
︶
100,000
4.0
50,000
2.0
0
0.0
S40
S45
15歳未満
S50
S55
15∼64歳
S60
H2
65歳以上
H7
H12
高齢化率
地方分権の進展と、
市民参加・協働の推進
地方分権一括法の施行以来、地方分権の動きは
拡大することが見込まれ、厚木市のまちづくりに
おいても市の責務はますます大きくなります。
同時に、大規模災害時における防災ボランティ
アや福祉分野におけるボランティア活動の活発
化、自治会組織等の地域自治への更なる取組、市
民の権利と義務や行政の責務などを規定する自
治基本条例の制定など、あらゆる場面で市民参加
と協働の重要性が高まっています。
また、増加する公益活動などを行う特定非営利
活動法人(NPO)やいわゆる団塊世代の地域回
帰は、新たな地域コミュニティの担い手として期
待されます。
こうした動きを背景に、今後の厚木市のまちづ
くりにおいては市民との協働を推進することが
重要となります。
年齢3区分別人口
人
口
環境との共生
地球温暖化防止対策を始め、環境への対応は厚
木市においても重要なテーマとなっています。
今後は、厚木市の誇れる自然環境・資源を保全
するとともに、環境保全を起点に地域の経済・社
会システムを構築する、環境と共生した持続可能
な都市※づくりが求められています。
厚木市の人口と高齢者人口比率の推移
250,000
産業構造の変化への対応
H17 年
県平均
(資料:国勢調査)
市民との協働
子育て支援
※
※
ノーマライゼーション:障害者などを特別視しないで、社会に
生活する個人として一般の社会に参加し、行動できるようにす
べきであるという考え方。また、すべての人が一緒に暮らす社
会こそが正常であるという福祉の在り方についての主張のこと
※
10
グローバル化:国境や人種を超えて、資本や労働力の移動、商
品・サービスの取引、投資等が増大することによる、全世界的
(グローバル)な結びつきが深まること
持続可能な都市:将来の世代の利益や要求を損なわない範囲内
で環境を利用し、要求を満たしていこうとする理念に基づく持
続可能性を持った都市