SES(等価構造計算書)審査 モノコック:補足 モノコック SESの基本は最弱パネル評価 モノコックはパイプフレームに比べ構造が複雑 最弱部のフラットパネル換算(T3.29)でBaseline Materialsパイプ(n本)と 等価以上なら剛性・強度は十分担保できるという考え方 各モノコックガイダンスのシナリオ1は全てこの最弱パネル評価に基づく 最弱パネルの寸法 交点や曲がりは無視 フラットパネル換算が義務化されているSectionに注意 Front Bulkhead Support Structure 垂直壁はフラットパネル換算でBaselineパイプ1本分以上のEI Side Impact Structure 垂直壁はフラットネル換算でBaselineパイプ2本分以上のEI 床板はフラットパネル換算でBaselineパイプ1本分以上のEI を有していることがMUST!!(T3.32.2, T3.33.2) 地表から350mm Panel Height Panel Width Side Impact Structure の例 注: ルールには最弱箇所であることの明記は無いが、 箇所を指定していないということは全域で満たす必要がある。 則ち、最弱部で満足していればルールを満たす。 モノコック ・T3.30 Laminate Test (3点曲げ)とT3.32.3,T3.33.3 Shear Tests(せん断テスト) T3.30 Laminate Test 記入例 T3.32.3,T3.33.3 Shear Tests記入例 テスト時の写真 テスト時の写真 テスト時の写真 テスト時の写真 結果グラフ 結果グラフ 結果グラフ 結果グラフ 計測データ 計測データ 計測データ 計測データ 計測データをExcelのセルに記入すること モノコック ・T3.32 Main Hoop Bracing Support 開口部がある場合はその分を引く (1) 最弱パネル換算 ⇒計算シートに寸法を記入すればBaseline2本分と比較評価計算される Panel Heightは右図の通り 開口部がある場合はその分の高さを除いた最小高さで計算する (2) (1)でEIが100%未満となる場合 ①車両センター垂直軸周りの断面二次モーメントIzzを求める。 ②MHBS片側の幅の半分の位置(距離d)にパイプ2本がある条件で 車両センター垂直軸周りの断面二次モーメントIloc + A*d2を求める ③ Eyour*Izz≧EBaseline* (Iloc + A*d2 ) であることを証明する 紛らわしい (3) パネル換算できない場合 (2)と同じ計算を行う。 計算に使用する断面は、Baseline2本の幅が~150mmのときと 曲げ方向と直交する主軸基準のEIが等価となる断面である。 ~75mm この軸周りのEIが等価な 断面で(2)の計算を行うこと SESではこのいずれかで証明しなければならない! この条件で比較せよ モノコック ・T3.36 Front Hoop Bracing (1) 最弱パネル換算 ⇒計算シートに寸法を記入すればBaseline1本分と比較評価される 天板だけでBaselineのFHoop Bracing 1本分以上のEIがあればOKである。 Panel WidthはFHoopからFBHまでの間で最小となる部分で評価すること 開口部がある場合はその分を引いた最小幅で計算すること 端がR形状になっている場合、天板上面から下方50mm以内の幅のみ認められる。 (2) (1)でEIが100%未満となる場合 車両センターから天板の下方50mm以内の部位をFront Hoop Bracingとみなし、 主軸まわりの断面二次モーメントの弱い方に対しEIを求め、 BaselineのFHoop Bracing 1本分以上であることを証明する 赤枠部分のみをFront Hoop Bracingとみなす 50mm SESではこのいずれかで証明しなければならない! 材料力学のおさらい 主軸まわりの断面2次モーメント: 図芯を原点とする直交座標(YZ)の内、 断面相乗モーメントIYZ = 0となる軸が主軸である。 IYY及びIZZがそれぞれ最大最小をとる モノコック ・T3.32 Front Bulkhead Support (1) 最弱パネル換算 ⇒計算シートに寸法を記入すればBaseline3本分と比較評価される 垂直壁だけでBaselineパイプ3本分以上のEIがあればT3.32.1, T3.32.2は両方満足する (2) (1)でEIが100%未満となる場合 ①車両センター垂直軸周りの断面二次モーメントIzzを求める。 ②MHBS片側の幅の半分の位置(距離d)にBaselineパイプ3本がある条件で 車両センター垂直軸周りの断面二次モーメントIloc + A*d2を求める ③ Eyour*Izz≧EBaseline* (Iloc + A*d2 ) であることを証明する (1)においてFBHS最小断面の 全体の高さをPanel Heightとしてよい 開口部がある場合はその分を引くこと (2)ガイダンスに計算方法が記載されている。 (2015の間違いが2016で修正された) 紛らわしい この条件で比較せよ モノコック ・T3.31 Front Bulkhead (1) 最弱パネル換算 Front Bulkheadの弱い対辺のBulkhead面および FBHSのBulkhead後面から25.4mm分のパネル と、Baseline 2本とで比較評価される。 (2) (1)でEIが100%未満となる場合 FrontBulkheadの弱い対辺のBulkhead前面から Bulkhead後面より後方25.4mmまでの構造に対し、 主軸まわりの最小断面二次モーメントを求め、 EIがBaselineパイプ2本分以上となることを示す。 Bulkhead前面 25.4mm 弱い方の対辺で計算する Bulkhead後面 主軸 モノコック ・T3.33 Side Impact Structure (1) 最弱パネル換算 T3.33.2のため最弱パネル換算しか選択肢が無い 垂直壁の最小EI≧Baselineパイプ2本分のEI 床板の最小EI≧Baselineパイプ1本分のEI EIに関しては上記を満足すると自動的にT3.33.1を満足したことになる これ以外の手法(構造補正)による証明は認められない 計算パネルの寸法 交点や曲がりは無視 地表から350mm Panel Height Panel Width T3.33 Side Impact Structure モノコック構造におけるSide Impact Structure の高さは地上より350mmより上を含めては ならない。SES上はサスペンションの可動域 (25mm)を考慮してPanel Height 325mm以上 で計算できないようになっている。 モノコック ・T3.34, 35, 36, 39 各 Monocoque Attachments Main Hoop Front Hoop ⇒ モノコック 車両片側2箇所以上 各Attachment M8ボルト2本以上で固定のこと Front Hoopはラミネート可 (但し、パイプ肉厚検査できるよう一部を露出させること) Roll Hoop Brace ⇒ モノコック Front Hoop Brace M10以上のボルトで固定のこと(T3.39.5) Backing Plateはこちらも必須である Insert コアがつぶれないようインサートを入れること (T3.39.6) Backing Plate 鉄 t2以上のバックプレートが必須(T3.39.4) 外周長さを正確に記入すること Bracket / Insert / Backing Plate / Edge Distance を証明できる図を添付すること! Bracket 溶接部長さ、接触面の外周長さを正確に 記入すること Edge Distance (2016新規追加) エッジ部までの最短距離を記入する モノコック ・ Monocoque Attachments 計算しているのは ・Bracket側から荷重したときのせん断強度と ・BackingPlate側から荷重したときのせん断強度 ・エッジ部からの割れ落ち強度(2016新規追加) これらが30kN以上に耐えるかを計算している。 (せん断テスト結果をこの計算に使用している) 基本はBracket(BackPlate)とInsertの 外周部でせん断するという計算 計算に用いるパラメータが全てCAD図等で図示されている必要がある。 ブラケット単体が30kN以下で 曲がる・壊れるようなものは認められない Edge distanceはボルトセンターから モノコックのエッジまでの最小距離を 記入すること IA AttachmentsはM8が4本以上ならOK モノコック ・T3.40 Harness Attachments Shoulder Harness Attachment Lap Belt Attachment Anti-submarine Belt Attachment Lap Belt と Anti-submarine Beltを 同じAttachmentに取り付ける場合は 記入例 試験結果 ψdeg テスト写真 試験結果 13kN以上 13kN以上 6.5kN以上 19.5kN以上 θdeg テスト写真 テストサンプル固定写真 テストサンプル固定写真 荷重方向を図示すること! 荷重方向は Lap Belt T5.3.5 Shoulder Harness T5.4.4 に定められた範囲の中で 最悪の条件で行うこと! また、最悪の条件であることを 明示すること! まとめ 1. SESはドライバの安全を担保するエビデンス 基本構造(Primary Structure)は万一の際にドライバの命を守るための最後の砦 である。SESはその基本構造の安全性を担保するエビデンスに他ならない。よっ て基準を満たせない車両の走行は一切認められない。 2. 確実な設計 基本構造の設計段階からSESに記入・確認し確実にSES要件を満たすこと。 (フレーム完成後に不適合箇所が見つかると修正が大変) 3. 早期の提出 SESに不備があれば再提出を要求する。SESが受理されるまで基本構造が確定 しないことを意味するので、極力早期に提出し受理されることを強く推奨する。 4. RulesやSESの数式・Guidanceをよく読み理解する 基本的な部分は全てRulesやSESの数式・Guidanceに書かれている。 よく読んで理解すること。
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