☆ 今週の相場展望 株式売却資金の行先は? 世界の株式市場の時価総額は国際取引所連盟によれば 2015 年 12 月末で 7,569 兆円だった。この内、米国 (ニューヨーク証券取引所、NASDAQ)、中国(上海、深セン証券取引所)、香港(香港証券取引所)、日本(東京 証券取引所)、ドイツ(ドイツ証券取引所)の 7 取引所の合計時価総額は 5,187 兆円と全体の 68.5%を占めてい た。しかし、年初から株式市場 年初来の世界の株式市場の下落率と喪失時価総額の推定値 は下落し、1月 26 日時点(アジ 指数名 下落率 証券取引所名 兆円 ア市場については1月 27 日時 NYダウ -7.2% NYSE ▲ 154 NASDAQ総合 -8.8% NASDAQ ▲ 77 点)でこの 7 取引所の時価総額 日経平均 -9.8% 東京 ▲ 58 の合計額は推定 598 兆円減少 上海総合 -22.7% 上海 ▲ 124 した。株式を売却した資金はど 深セン総合 -26.4% 深セン ▲ 116 こへ行ったのだろうか。この間、 ハンセン -13.1% 香港 ▲ 50 日本国債は 0.270%から DAX -8.6% ドイツ ▲ 18 0.215%に低下、米国債は 計 ▲ 598 2.275%から 1.998%に低下して 欧米市場の指数については2015年末と2016年1月26日の終値の比較により下落率を算出。 いるが、それぞれの上昇率は、 アジア市場の指数については2015年末と2016年1月27日の終値の比較により下落率を算出。 各証券取引所の喪失時価総額については代表的指数の下落率より推定。 0.5%、2.5%に過ぎず、債券市 (出所)QUICKより当社作成 場が株式売却資金を吸収した とは思えない。金は 5.5%上昇して 1,000 ドル台を回復しているが、金市場は株式市場よりかなり小さいと考えら れ、とても吸収したとは思えない。そうすると、株式売却資金はどこへいったのだろうか?どこにも行かず、投資 家の手に現金として眠っており、次なる投資機会を狙っていると考えるのが合理的ではないだろうか。 2014 年 1 月以降の日経平均株価の予想 PER は 13.3 倍から 18.2 倍程度の間で推移している。日経平均が昨 年 9 月 29 日に安値をつけた時点も、現時点で今年 1 月の安値である 1 月 21 日の安値をつけた時点も、13.3 倍台であり、現在の水準もほぼ下限にあると考えられ、日本株は割安だといえる。 そのため、今後、現金として待機している資金は日本株に向かうのではないかと予想する。 今週は週末に 1 月の米 日経平均株価の予想PERの推移(日足) 雇用統計が発表されるほ か、中国の PMI、米国の ISM など景況感を示す経済 指標の発表が予定されて いる。また、米国では民主・ 共和各党の大統領候補者 を決める党員集会が 2 月 1 日のアイオワ州党員集会を 皮切りにスタートする。各種 世論調査によると、アイオ ワ州では民主党は、社会主 義者を自認するサンダース (出所)QUICKより当社作成 期間:2014年1月4日~2016年1月27日 上院議員がヒラリー・クリン トン前国務長官と接戦する と予想され、共和党は不動産王のトランプ候補のリードが伝えられている。民主党でサンダース候補が勝ち、共 和党でトランプ候補が勝利した場合、市場のボラティリティが高まる可能性があり、注意が必要であろう。 (1/28 記、津本) このレポートは投資の判断となる情報の提供を目的としたものです。銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身の判断でなさるようにお願い致し ます。なお、株式は値動きのある商品であるため、元本を保証するものではありません。
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