「北陸地域の企業における雇用・賃金設定スタンス」(PDF

2016 年 1 月 25 日
日本銀行
行金沢支店
店
北陸
陸地域の企
企業にお ける雇用
用・賃金設
設定スタン
ンス
1.概要
・ 北陸
陸地域の企
企業における
る雇用・賃金
金設定スタ
タンスをみると、好調
調な企業収益
益や北陸
新幹線
線開業効果
果を受けて、総じて前向きなスタ
タンスとなっ
っている。 すなわち、
、雇用面
では、一部の業
業況不芳先に
において人員
員整理等を
を行う動きが
があるもの
のの、生産が
が好調な
製造業
業や需要が増加してい
いる観光関連
連企業を中
中心に採用を増加させ
せる動きがみ
みられる。
また、賃金面で
でも、正社員
員に対するベ
ベア実施や
や賞与の増額
額支給、非
非正規社員の
の時給を
引き上
上げる動きが広範にみ
みられる。
・ 先行
行きについては、人手
手不足感が強
強い状態が
が続くとの想
想定の下、 積極的な雇
雇用スタ
ンスを
を維持する先が多い。賃金設定に関しては
は、好調な企
企業収益を
を背景に、冬
冬季賞与
の増額
額により積
積極的に利益
益を還元する動きがみ
みられる一方
方、今春の
のベアについ
いては、
今後の
の事業環境
境や収益見通
通しも考慮し、検討中
中とする先が
が多い。
2.企業の
の雇用スタンスの現状
状と特徴
(1)足も
もとの企業
業の雇用スタ
タンス
・ 北陸
陸地域の有効求人倍率
率は高水準で
で推移(15
5/11 月:1.53 倍<全国
国:1.25 倍>)して
倍
いるほ
ほか、短観で
でも、15 年入り後、
年
全
全産業の雇用
用人員判断
断DIは大幅
幅な不足超
超(▲20%
ポイン
ント前後で推移し、92
2 年以来の
の不足超幅)となっており、企業
業の人手不足
足感が強
い状態
態が続いている。
・ やや
や仔細にみ
みると、中国
国をはじめとする新興
興国経済の減
減速に伴う
う影響を受け
けている
企業で
では、雇用維持の困難
難化や一部人
人員整理を
を行う動きが
がみられる
るものの、好
好調な生
産が続
続く電子部
部品・デバイ
イスや後発医薬品関連
連、自動車関
関連企業の
のほか、北陸
陸新幹線
開業に
に伴い観光
光需要が増加
加している宿
宿泊・飲食
食サービス関
関連企業を
を中心に、積
積極的な
雇用ス
スタンスとなっている
る。
(2)雇用
用スタンス
スの特徴等
・ 人手
手不足感が強
強い状況が
が続く中、こ
このところ
ろ、従来以上
上に雇用形態
態を柔軟化
化・多様化
し、必
必要人員を確
確保しよう
うとする動き
きが広がっ
っている。こ
この点、非正
正規雇用者
者や中途採
1
用によ
よる人員確保
保が難航し
していることを背景に
に、これまで
で採用してい
いなかった
た高卒を含
めた新
新卒正社員の採用や非
非正規雇用者
者の正社員
員化を進める
る先が増加
加している。また、女
性社員
員の役員や管理職への
の積極的な登
登用、シニ
ニア層の活用
用、成果報酬
酬制度の導
導入を含む
処遇改
改善やイン
ンターン制度
度を活用し
した学生の囲
囲い込み等
等により人手
手不足を解
解消しよう
とする
る動きも引き続きみら
られている。
。さらに、外国人の採
採用を拡充
充する動きも
もみられ、
一部企
企業における外国人の
の積極的な活
活用により
り、総人口に
に占める外国
国人のウェ
ェイトが上
昇して
ている地域
域も存在して
ている。
3.企業の
の賃金設定
定スタンス
・ 当地
地の場合、製造業を中
中心とする好
好調な企業
業収益や北陸
陸新幹線開
開業効果もあ
あって、
人件費
費支出に当たっては、比較的積極
極的なスタ
タンスにある先が多い
いのが特徴で
である。
すなわ
わち、中国
国をはじめと
とする新興国経済減速
速の影響を受
受けている
る企業では、
、引き続
き抑制
制的な賃金
金設定スタン
ンスにある先
先も存在す
するものの、
、全体とし
してみると、
、収益改
善に伴
伴う利益還
還元や人員確
確保を企図して、正社
社員の新卒初
初任給の引
引き上げや、
、ベア実
施、賞
賞与の増額
額支給のほか
か、非正規社
社員の時給
給を引き上げ
げる動きが
が幅広くみられる。
とりわ
わけ、北陸
陸新幹線や大
大型商業施設
設の開業に
に伴い労働需
需給が逼迫
迫している宿
宿泊・飲
食サー
ービス、卸
卸・小売業で
では、良質な人員の確
確保を強く意
意識して、 雇用形態に
に関わら
ず処遇
遇改善に取
取り組む先が
が多い。一部
部の温泉旅
旅館では、人
人手不足解
解消のため、
、歩合制
の客室
室係を固定
定給の正社員
員とすることで労働環
環境の改善に
に取り組む
む動きもみら
られる。
・ また
た、賃上げ
げを見送った
た先でも、足
足もとの業
業績好調を受
受けて特別
別ボーナスを
を支給す
る先や
や扶養手当等の増額、業務上必要
要な資格の
の取得費用を負担する
ることなどに
により処
遇改善
善に取り組
組む先もみら
られる。
・ 今後の賃金設
設定スタンスについて
ては、冬季賞
賞与は、今
今年度上期の
の好調な企
企業収益を
映じて増額した
た先が多い一方、今春
春のベアに関しては、今後の事業
業環境や収
収益見通し
も考慮し、検討
討中とする先
先が多い。
以
本
本件に関するお問い合わせは、日本銀行
行金沢支店営業
業課・広報担当(電話 076-2223-9522)まで
でお願い
いたします。なお
お、本ペーパー
ーは日本銀行金
金沢支店のホー
ームページ(h
http://www3.bboj.or.jp/kan
nazawa/)
でもご覧いただけます。
本
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目的で転載・複
複製を行う場合
合は、予め日本
本銀行金沢支店
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転載
載・複製を行う場合は、出所を明記して ください。
2
上
(参考図表)
(図表1)有効求人倍率の推移
(季調済、倍)
2.40
2.20
2.00
1.80
1.60
1.40
1.20
1.00
0.80
0.60
0.40
北陸
全国
90
93
96
99
02
05
08
11
14
15/11月
(注)北陸は、富山県、石川県、福井県の有効求人数、有効求職者数を基に日本銀行金沢支店が算出。
(資料)富山労働局「富山県の雇用失業情勢」
、石川労働局「いしかわの労働市場」
、福井労働局「労働市場月報」、厚生労働省「職業
安定業務統計」
(図表2)正社員有効求人倍率の推移
(原計数、倍)
1.20
北陸・直近15/11月:1.09倍
北陸
1.00
全国
0.80
0.60
0.40
0.20
0.00
08
09
10
11
12
13
14
1515/11月
(注)北陸は、富山県、石川県、福井県の正社員有効求人数、正社員有効求職者数を基に日本銀行金沢支店が算出。
(資料)富山労働局「富山県の雇用失業情勢」
、石川労働局「いしかわの労働市場」
、福井労働局「労働市場月報」、厚生労働省「職業
安定業務統計」
(図表3)就業地別有効求人倍率の状況(15/11 月)
(季調済)
石川県
富山県
福井県
1.50 倍(全国 8 位)
1.71 倍(全国 1 位)
1.70 倍(全国 2 位)
(注)求人票を受理したハローワークの所在地ではなく、求人票に実際に記載されている就業地で集計した有効求人倍率。
(資料)厚生労働省「職業安定業務統計」
(図表4)雇用人員判断 DI(製造業)の推移
(「過剰」―「不足」、%ポイント、逆目盛)
▲ 60
北陸
全国
▲ 40
▲ 20
北陸・直近15/12月:▲16
北陸・リーマンショック前ピーク06/12月:▲11
0
20
40
60
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 年
(資料)日本銀行金沢支店「北陸短観」
、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」
3
(図表5)雇用人員判断 DI(非製造業)の推移
(「過剰」―「不足」、%ポイント、逆目盛)
▲ 60
北陸
▲ 50
全国
北陸・直近15/12月:▲31
▲ 40
▲ 30
北陸・リーマンショック前ピーク06/12月:▲22
▲ 20
▲ 10
0
10
20
30
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 年
(資料)日本銀行金沢支店「北陸短観」
、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」
(図表6)新卒採用計画
(前年度比、%)
2013 年度
2014 年度
2015 年度
実績
実績
計画
北陸
6.1
6.4
10.9
全国
5.4
3.5
6.3
(資料)日本銀行金沢支店「北陸短観」
、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」
4