気象庁 2月号 です! 平成28年 (2016年) 気象測器検定試験センターによる 海外への技術協力活動 気象庁は、雨量計などの各種気象測器を適切に維持・管理するため、茨城県つくば市にある「気象測 器検定試験センター」において、国内の気象台で使用している気象測器の分解点検や清掃、故障した気 象測器の修理、さらには高い観測精度を維持するための点検・校正(※)などの業務を行っています。加 えて、海外の気象機関に対する技術協力も極めて重要な責務です。 大気に国境はなく、わが国の毎日の気象予測や地球規模での気候変動の監視を高い精度で実施する ためには、世界各地で高品質の気象観測が行われることが必要です。しかしながら、開発途上国の中に は気象測器の管理やメンテナンスが適切でないために、正しいデータが取得できていない国も少なくあり ません。このため、世界の気象業務の調整役を担う国連の専門機関である世界気象機関(WMO)は、各 国の保有する気象測器の精度を高い水準に維持することや、気象測器の維持・管理を担う専門家を育 成することを目的として、世界各地に地区測器センター(RIC)を設置しています。気象測器検定試験セン ターは、WMOにおける第Ⅱ地区(アジア地域)の測器センターに指名されています。 気象測器検定試験センターでは、RICとしての様々な国際協力を、国際協力機構(JICA)の技術プロジェ クトなどとも連携して行っています。例えば、気象測器をより適切に維持・管理できるよう、気象測器の校 正技術を伝えたり、適切な観測環境に関する指導を行ったりすることで、各国の気象局の人材育成・観 測技術向上を支援しています。 同センターにおける最近の国際的な活動として、2010年には「気象観測データ品質管理に関するワー クショップ」を、2013年には「WMO 第Ⅱ地区気象測器の校正及び保守に関するワークショップ」をWMOと 共同で開催しました。 2013年以降はバングラデシュを皮切りに、フィジー、モザンビーク、スリランカの各国気象局職員をJICA が招へいし、同センターが協力して測器校正技術に係る研修を実施しています。各国の実情に合わせた 意見交換に多くの時間を費やしたり、実習時間を多く割り当てたりすることで、帰国後の気象測器の校正 技術や観測技術の向上に直結した研修内容となるよう工夫しています。さらに、日本での研修の後、同 センターの職員を専門家として各国に派遣して、現地における検査装置の使用方法が適切であること、 校正が的確であることの確認・指導を行い、また、他の案件でそれらの国に出張する他部局の職員にも フォローをお願いするなど、粘り強く技術の定着を図っています。 気象測器検定試験センターでは、今後もアジア地区をはじめとする各国気象局職員の人材育成などを 通じ、世界各地における高品質な気象観測の実施に貢献していきます。 ※校正 : 計器・測定装置の目盛りを正しい基準量と比較して補正値を知ること 地区測器センターとしての国際協力活動の様子。測器校正に係る研修風景。 フィジー気象局(FMS)職員によるデジタ ル気圧計の校正。FMS職員は、2015年 6月に来日し、約2週間にわたって研修 を受けられました。 モザンビーク気象局(INAM)職員によ るガラス製温度計の読み取り。INAM職 員は、2015年12月に来日し、約2週間 にわたって研修を受けられました。
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