居宅介護・移動支援にかかる適正な報酬請求及びサービス提供

平 成 28 年 1 月 27 日 ( 水 )
事業者説明会資料(資料3)
居宅介護・移動支援にかかる適正な報酬請求及びサービス提供記録等の作成について
神戸市保健福祉局
障害福祉部障害者支援課(兼務)
(高齢福祉部介護指導課)
1.本事業者説明会の趣旨
先般、神戸市は、居宅介護サービスの介護給付費及び移動支援費に関して不正請求を行ったこと
を理由に、居宅介護事業所の指定取消し及び移動支援事業所の認定取消しの行政処分を行ったとこ
ろである。
今回、この説明会(集団指導)を開催した趣旨は、今後このような不正が繰り返されることのな
いよう、この場で改めて居宅介護及び移動支援サービスにかかる適正な報酬請求とサービス提供記
録の作成等について周知し、指導するものである。
2.居宅介護計画に沿った居宅介護サービスの提供(運営基準第 25 条及び第 26 条)
・指定居宅介護の提供に当たっては、居宅介護計画に基づき、利用者が日常生活を営むのに必要
な援助を行うこと。
・サービス提供責任者は、利用者又は障害児の保護者の日常生活全般の状況及び希望等を踏まえ
て、具体的なサービスの内容等を記載した居宅介護計画を作成しなければならない。
・サービス提供責任者は、居宅介護計画を作成した際は、利用者及びその同居の家族にその内容
を説明するとともに、当該計画を交付しなければならない。
・サービス提供責任者は、居宅介護計画作成後においても、当該計画の実施状況の把握を行い、
必要に応じて当該計画の変更を行うものとする。
① 居宅介護サービスは、居宅介護計画に基づいて提供されるものである。
② 居宅介護計画の作成は、サービス提供責任者の中心的な業務である。サービス提供責任者は、
利用者の状況を把握・分析し、サービス提供によって解決すべき問題を明らかにし(アセスメン
ト)
、指定特定相談支援事業者等が作成したサービス等利用計画を踏まえて、他の保健医療サー
ビスや福祉サービス等の連携を含め、居宅介護計画の原案を作成するものとされている。
③ サービス提供責任者は、居宅介護計画の目標や内容について、利用者・家族に理解しやすい方
法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとされている。
④ サービス提供責任者は、他の従業者の行うサービスが居宅介護計画に沿って実施されているか
について把握するとともに、助言、指導等の必要な管理を行わなければならない。
⑤ 居宅介護計画に明記する事項(計画書の様式は任意)
・援助の方向性や目標
・担当する従業者の氏名
・提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程 等
15
⑥ 居宅介護計画について、利用者・家族等から同意を得たことが客観的に確認できるようにして
おくこと。
(利用者等から署名(同意日の記入を含む)及び押印をもらうなど)
⑦ なお、移動支援サービスについては、本市の要綱等では計画の作成までは定めていないものの、
提供するサービスの具体的内容等について利用者に説明する際に、居宅介護に準じて、同様の内
容等を記載した計画書を作成し、交付するなど留意すること。
3.サービス提供記録の適正な作成(運営基準第 19 条)
・指定居宅介護事業者は、指定居宅介護を提供した際は、提供日、内容その他の必要な事項を、提
供の都度記録しなければならない。
・指定居宅介護事業者は、記録に際しては、支給決定障害者等から指定居宅介護を提供したことに
ついて確認を受けなければならない。
(1)記録とは
①「サービス提供記録」とは、指定障害福祉サービスの報酬の対象となる適正なサービスを提供
したことを挙証する書類であり、報酬請求の根拠となる書類である。そのため、記録に何らか
の記載漏れ等の不備があり、適正なサービスを提供したことが確認できない場合には、報酬返
還の対象となるほか、不正な記録と認められる場合には、指定取消し等行政処分の対象となる。
② そのため、従業者には、記録の重要性について周知を図るとともに、サービス提供責任者等
は、従業者が適正にサービス提供を行い、かつ適正な記録を作成していることを確認しなけれ
ばならない。
③ 何らかの記載不備が認められた場合には、原則として報酬を請求するまでに、必要な対応を
講じること。
(2)記録すべき事項
① サービス提供記録は、事業所として任意に定める様式で作成するが、適正なサービスを提供
したことが確認できるよう次の事項を記載すること
・サービスの提供日及び提供時間
・利用者名及びサービスを提供した従業者名
・身体介護・家事援助・通院等介助・通院等乗降介助の別(身体介護を伴う場合かを含む)
・提供した具体的な身体介護サービス及び家事援助サービスの内容
・利用者の心身の状況
・その他利用者へ伝達すべき必要事項
②「提供した具体的なサービス内容」について、身体介護中心型の報酬を請求している場合は、
当然、提供した具体的な身体介護サービスの内容が記載されていなければならない。身体介護
中心型の報酬を請求しているにもかかわらず、家事援助サービスの記録しかなく、適正な身体
介護サービスを提供したことが確認できない場合は、報酬の返還対象となる。
(3)記録における注意点
① 事業所として利用者の確認印の欄を設けたサービス提供記録の様式を使用している場合は、
当然に利用者からの確認の押印を受けるべきである。また、後日一括して記録を作成し、まと
めて利用者から押印を受けるなどの対応は、不適切である。
16
② 従業者が事業所にサービス提供記録を持ち帰った後などに、当該記録に記載不備や誤りが判
明した場合、利用者に説明のうえ、適切な対応をとること。また、複写式の用紙を使用してい
る場合には、利用者に渡した記録(控え)についても、利用者に説明のうえ必要な訂正等を行
うこと。
③ 利用者に対するサービス提供の記録の保存期間は、提供した日から5年間である(運営基準
第 42 条)
。
(4)移動支援サービスの提供記録について
① 移動支援費の支給対象となる適正なサービス提供内容が具体的に確認できる記録であるこ
とが必要であり、居宅介護等の障害福祉サービスと同様のサービス提供記録を作成すること。
② 移動支援サービスの対象となる外出であることが確認できるよう、移動の目的地等を記載す
ること。
③ 適正なサービスを提供したことが確認できない場合には報酬返還の対象となること、また、
不正な記録と認められる場合に認定取消し等行政処分の対象となることについても、障害福祉
サービスと同様である。
4.重要事項の説明及び交付(運営基準第 9 条、条例第 7 条、要綱第 21 条)
指定居宅介護事業者は、利用申込者に係る障害の特性に応じた適切な配慮をしつつ、利用申込者
に対し、運営規程の概要、従業者の勤務体制、サービスの提供に当たって利用申込者が支払うべき
費用の内容(当該費用の算出根拠及び支払方法を含む。)その他の利用申込者のサービスの選択に
資すると認められる重要事項を記した文書を交付して説明を行い、サービス提供の開始について利
用申込者の同意を得なければならない。
① 重要事項説明に対して利用者から適切に同意を得たことが客観的に確認できるようにしてお
くこと。
(重要事項説明書の同意欄等に、利用者や家族から署名及び押印をもらうなど)
② 重要事項説明書や契約書は2部作成し、事業者と利用者の双方が保管すべきである。
③ 記載不備(署名や日付等の記入漏れ)がないよう留意すること。
④ 利用者又は家族の個人情報を他の指定障害福祉サービス事業者に提供する際には、あらかじめ
文書(
「個人情報使用同意書」等)により利用者又はその家族の同意を得ておくこと。
以上において、「条例第○条」とあるのは、「神戸市指定障害福祉サービス事業者の指定の基準等並びに指定障害
福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準を定める条例」の条文を指し、
「運営基準第○条」とある
のは、同条例で引用されている「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律に基づく指定障害福祉サ
ービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」の条文を指す。
また、
「要綱第○条」とあるのは、
「神戸市移動支援事業実施要綱」の条文を指す。
17