実験概要PDF [PDFファイル/212KB]

コンクリート用表面含浸材の塗布量最適化に関する実験的検討
石川
健児 (都市環境デザイン専攻),福手
勤(都市環境デザイン学科)
福手研究室
Experimental study on the optimization of the quantity of the surface penetrant for concrete
Takeru ISHIKAWA and Tsutomu FUKUTE
ABSTRACT
This study examined the optimization of quantity of surface penetrant in the case of
combination of silane type and sodium silicate type on high quality cement mortal. As a
result, it is confirmed that the quantity of sodium silicate type surface penetrant can be
reduced for low W/C high quality concrete.
Keywords: surface penetrant, silane type, sodium silicate type, ratio of water absorption
1.はじめに
W/C=0.4
表面含浸材は主成分によりケイ酸塩系とシラン系の 2
種類があるが,今回は両者を併用する工法を対象として
いる.従来,新設時など高品質なコンクリートを対象と
した場合,ケイ酸塩系含浸材が塗布量によっては全量が
吸水率(%)
0.25
0.20
W/C=0.6
A液+B液
B液のみ
0.15
0.10
浸透しないことがあった.そこで,併用型を対象に母材
0.05
モルタルの品質とケイ酸塩系の塗布量を変化させた場合
0.00
0
の防水性や遮塩性について検討を行った.
50
100
A液塗布量(g/m2)
150
Fig 1 Ratio of water absorption
2.実験概要
2.1
W/C=0.5
は W/C=0.4,0.5,0.6 それぞれについて 0.69,1.01,1.49
供試体作製方法と含浸材の塗布について
(%)であった.A 液塗布量の差による大きな違いが確
本実験では S/C=3.0 のモルタルを使用した.品質の違
認できなかったことから,緻密で品質の高いモルタルで
いとして W/C を 0.4,0.5,0.6 の 3 水準に設定した.セ
は A 液塗布量を減量した場合でも,所定の性能が得られ
メントは普通ポルトランドセメント(密度
3.15g/cm3),
ることが確認された.しかし,W/C に関わらず A 液を
砂は標準砂(密度 2.64g/cm3)を使用した.供試体の寸
50g/m2 から増量すると吸水率がわずかながら増加して
法は 100×100×100mm であり,4 面をエポキシ樹脂で被
いく傾向となった.既往の研究においてシラン系単体に
覆した.これらは JSCE-K571 に準拠している.
比べ併用した場合は吸水率が増加する結果も存在したが
150g/m2)と
含浸材は A 液(ケイ酸塩系・標準塗布量
1 ,2),今回の結果と合わせて考察すると,ケイ酸塩系が
B 液(シラン系・標準塗布量 100g/m2)を材齢 35 日で
最適な塗布量であればシラン系単独より防水性は向上す
併用塗布した.それぞれの塗布量を Table 1 に示す.実
るが,過剰に増加させた場合,シラン系の効果を阻害す
施工を模擬し刷毛を用い,A 液塗布後 12 時間以上乾燥
る可能性が示唆された.
させ B 液を塗布した.
Table 1
4.まとめ
Type and coating amount
種類
A
主成分
塗布量
ケイ酸ナトリウム
0,50,100,150g/m2
塗布回数
1
B
アルコキシシロキサン
100g/m2
1
2.2
試験方法
ケイ酸塩系とシラン系の含浸材を併用塗布した場合,
W/C が小さく緻密なコンクリートにおいては,ケイ酸塩
系含浸材の塗布量をある程度減量した場合においても,
所定の性能が得られる可能性が認められた .
JSCE-K571 に準拠した吸水率試験,塩水浸漬試験お
よび含浸深さ試験を行った.
3.試験結果
紙面の都合上,吸水率試験の結果のみ記載する.
吸水率を Fig 1 に示す.なお,無塗布供試体の吸水率
参 考 文 献
1)
2)
櫨原ら:各種表面保護工法の併用が補修工法に与える影
響に関する研究,土木学会年次学術講演会講演概要集第 5
部,p53-54,2011
坂元ら:各種表面含浸材の塩分浸透及び中性化に対する
抑制効果,コンクリート工学年次論文集,Vol.33,No.1,
pp1625-1630,2011