「平成27年度 屋外タンク実務担当者講習会」 事故防止調査研修センター 「平成27年度 屋外タンク実務担当者講習会」を下記 会場で開催いたしました。全国の屋外タン ク貯蔵所を保有する事業所、タンクメーカー、非破壊検査会社及び消防機関等の屋外タンク貯蔵所 に係わる業務に携わる方など361名のご参加をいただきました。 屋外タンク貯蔵所の技術基準は、昭和34年に危険物の規制に関する政令等が制定されて以来、こ れまでに発生した様々な事故事例を教訓に見直され、今日に至っており、保安の確保は、関連基準 の正しい理解及び適切な検査等に関する知識・技術の継承が喫緊の課題となっております。このた めの一助となるよう本講習会を開催しております。 開 催 日 11月 会 場 日 (金) 大阪会場(大阪科学技術センター) 11月13日 (金) 東京会場(科学技術館サイエンスホール) 11月20日 (金) 札幌会場(北海道自治労会館) 11月27日 (金) 北九州会場(TKP 小倉シティーセンター) 本講習会では、受講者の方々に今後の業務にお役立ていただける様、過去のアンケートで寄せら れたご要望、最新の技術基準の改正内容とその背景、書類審査や現地審査を実施した際に見られた 問題点など幅広いテーマの中から時流に合い、今後の業務に活用いただけるテーマを選んで情報提 供させていただいております。 今年度の講習は下記 テーマについて行いました。その概要と受講者の方々からの感想を紹介し ます。 .屋外貯蔵タンク区分ごとの技術基準の概要 消防法令では、屋外タンク貯蔵所の容量や設置時期によって、準特定タンク、特定タンクや新 法タンク、旧法タンクといった区分により、それぞれ異なる技術基準が規定されています。 今回の講習会では、このような経緯を踏まえ、屋外貯蔵タンクの区分ごと(新法タンク、新基 準タンク、準特定タンク)の技術基準の概要と開放周期等について解説しました。 *受講者の方々からの感想* ・技術基準の概要がまとめられており、これからタンク業務を行う者の教育資料としても使用 できるのでよい。 ・新法や旧法、新基準などの基準ができた経緯や各基準の違いを把握することができた。 .準特定タンク、浮き屋根式タンク及び浮き蓋付タンクに係る技術基準の概要と設計審査時の留 意事項 準特定タンク、浮き屋根式タンク及び浮き蓋付タンクには、それぞれの構造に係る技術基準が 規定されており、準特定タンク及び浮き屋根式タンクにあっては平成29年 付タンクにあっては平成36年 月末までに、浮き蓋 月末までにそれぞれの技術基準に適合することとされています。 Safety & Tomorrow No.165 (2016.1) 56 今回の講習会では、これらの適合期限が定められている技術基準について解説するとともに、 基準適合の審査を実施する上で留意すべき事項について解説しました。 *受講者の方々からの感想* ・溶接方法の詳細が知れて良かった。浮き輪やペットボトルなどの小道具などを使用されて分 かりやすく説明された。 ・今後、浮き屋根付きタンクの改修、 新基準適合への対応を行う予定であるので大変参考になっ た。 .特定タンクに適用される非破壊検査の概要と現地審査時の留意事項 特定タンクの底板及び側板の溶接部や板の厚さが技術基準に適合しているかどうかを確認する ためには、種々の非破壊検査が適用されています。タンクからの流出事故を未然に防ぐためには、 適切な非破壊検査を実施することが重要となります。 今回の講習会では、当協会が委託を受けた現地審査で確認された基準に適合しない事例等を紹 介するとともに、タンクに適用される非破壊検査の概要及び検査実施時に留意すべき事項につい て解説しました。 *受講者の方々からの感想* ・常日頃から使用している知識であるが細かい点や注意点についても説明があり理解が深まっ た。 ・MT.RT 等には、法令で説明を受けた様な基準があるのは知っていたが、今回の説明で、よ りイメージを詳しく持つことが出来た。 .屋外貯蔵タンクの老朽化の実態と維持管理のあり方 大量の危険物を貯蔵する屋外タンクは昭和40年代に建設されたものが多く、現在使用中のもの の多くは建設されてから30年以上経過しているのが実態です。最近では、高度経済成長期に建設 されたインフラ設備の老朽化が懸念され社会問題となっていますが、屋外タンクも例外ではあり ません。危険物が流出すると、環境汚染や火災を引き起こす可能性があるため、屋外タンクから の流出事故は未然に防がなければなりません。 今回は、屋外タンクからの危険物流出事故事例や、屋外タンクの底板及び側板等の腐食の実態 に関するデータを紹介するとともに、タンクの維持管理のあり方について解説しました。 *受講者の方々からの感想* ・タンクの開放にあわせて側板の検査を実施することの重要性を確認できた。 ・現状のタンクの老朽化より、どのような支障が発生しているのか写真を用いて分かり易く説 明されたので、良く理解できた。 .屋外貯蔵タンクの基礎・地盤に関する技術基準と維持管理 屋外貯蔵タンクの基礎・地盤に関する技術基準は容量の区分(特定タンク、準特定タンク) 、建 設時期及び基礎形式の違いによって異なっており、多種多様に規定されています。また、基準に 適合しているタンクは前提としては基礎地盤が健全であることが条件とされています。しかし、 57 Safety & Tomorrow No.165 (2016.1) 東京会場 北九州会場 講習会風景 建設から30年以上も経過しているタンクも多いことから、コンクリート等の劣化による老朽化も 懸念されます。 今回の講習会では、基礎・地盤の技術基準の概要と新基準への適合に関する経過措置の期限が 平成29年 月31日とされている準特定タンクの技術基準と、近年は完成検査前検査の不具合事例 の割合が多いことから新設するときの工事上の留意点や維持管理上のポイントについて解説しま した。 *受講者の方々からの感想* ・不適合事例紹介は非常に役に立つ。基準について整理されているので、参考としたい。 ・新基準適合のための条件が良く理解できた。 Safety & Tomorrow No.165 (2016.1) 58
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