平成23年度前期

11年度系統進化学試験問題(舘田英典) 1.4生物種A−Dで、SINE 配列がゲノム中の10箇所で挿入されているか(+)、いないかを(ー)を調べたところ
次のようなデータを得た。次の問いに答え
なさい。(15点) (1)SINE とは何か、簡単に説明しなさい。 (2)上のデータに基づいて4種の系統関係を
A
B
C
D
+ ー ー + ー + ー ー ー ー + ー + ー ー + + + ー + + ー ー + ー ー + ー + ー ー + + ー ー ー ー
ー
ー
+
最大節約法により推定しなさい。 2.ショウジョウバエ雄100個体をサンプルし、X染色体
上のある遺伝子の配列を決めたところ多型サイト数は
二個有り、4タイプの数は右の表のとおりだった。この
集団は連鎖平衡であるかどうかを検定しなさい。但し自
由度1および2のχ2 値がそれぞれ 3.84 及び 5.99 を超え
多型サイト1
A
A
C
C
多型サイト2
G
T
G
T
数
11
9
59
21
る確率は 0.05 である。(15点)
3.ある遺伝子座に二対立遺伝子 A, a があり適応度が以下の通りであった。 適応度 AA Aa aa 1 1 1-s A から a への突然変異率は一代あたり u であるとし、逆向きの突然変異は無視する。A、a の遺伝子頻度をそれぞ
れ p, q とする。次の問いに答えなさい。(20点) (1)p の次世代の頻度を p を使って表しなさい。 (2)平衡状態(頻度変化が無くなる)での q の値を求めなさい。 (3)平衡集団では集団の平均適応度は AA のみの集団に較べてどの程
度低下するか求めなさい。 4. Elderflower orchid の集団では黄色と紫色の花が多型的に存在する。
このような集団内多型がどのようにして維持されているのかを、右
の図(Gigor et al. 2001 より)を使いながら説明しなさい。(15
点) 5.自殖を行う二倍体植物に関する次の問いに答えなさい。なお考慮する遺伝子座は中立である(20点) (1)ずっと任意交配を続けて来た無限大集団がある世代(0世代)か
ら自殖を始めた。自殖により生まれた子供(第1代)の coefficient of inbreeding(近交係数)を求めなさい。 (2)その後自殖を何世代も続けたとする。t 世代での近交係数を Ft
で表す事にする。Ft+1 を Ft を使って表しなさい。 (3)集団中の a の割合の個体は自殖により生まれるが、他の個体は任
意交配により生まれる無限大部分自殖集団を考える。t 世代のこの
集団での平均近交係数を Ft で表す。Ft+1 を Ft を使って表しなさい。
また平衡状態での値(F)を求めなさい。 6.右の図(Gojobori et al. 1990)を使って「分子進化の中立説」につ
いて論じなさい。(15点)