4-瀬戸市人口ビジョン(本冊)(2.17MBytes)

資料-2
瀬戸市人口ビジョン
平成28年1月
瀬戸市
目
第1章
序論
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・
1.1
瀬戸市人口ビジョンの位置付け
1.2
対象期間
第2章
次
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
人口の動向分析
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2.1
瀬戸市の人口動向分析における視点
2.2
瀬戸市の人口動向分析
3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10
被扶養 1 人当り成人数
2.1.2
総人口
2.1.3
人口移動
2.1.4
現状の人口動向による将来人口推計
第3章
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
17
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
21
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
23
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
23
人口動向の分析結果から見える課題
人口の将来展望と目指すべき将来の方向
3.1
3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2.1.1
2.3
1
将来展望に必要な調査・分析
3.1.1
就労・産業
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
23
3.1.2
出生(20~39 歳女性の動向) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
31
3.1.3
住環境(住宅・市民の定住意向)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
34
3.2
人口の将来展望
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
40
3.3
目指すべき将来の方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
43
第1章
序論
1.1
瀬戸市人口ビジョンの位置付け
国においては、2014 年 11 月に公布・施行された「まち・ひと・しごと創生法」に
基づき、日本の人口の現状と将来の姿を示し、今後目指すべき将来の方向を提示する
「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」と、これを実現するため、今後 5 か年の目
標、施策や基本的な方向を提示する「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が策定され
ました。
瀬戸市人口ビジョンは、国の「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」の趣旨を尊
重し、本市の人口の現状分析を行い、本市における社会的な課題解決策や未来予想図
を描く与件として、今後目指すべき将来の方向性や人口の展望を示し、市民の皆様と
共有することを目的に策定しました。
○まち・ひと・しごと創生法(2014 年法律第 136 号)
(目的)
第一条
この法律は、我が国における急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、
人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、
それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会
を維持していくためには、国民一人一人が夢や希望を持ち、潤いのある豊かな
生活を安心して営むことができる地域社会の形成、地域社会を担う個性豊かで
多様な人材の確保及び地域における魅力ある多様な就業の機会の創出を一体的
に推進すること(以下「まち・ひと・しごと創生」という。)が重要となってい
ることに鑑み、まち・ひと・しごと創生について、基本理念、国等の責務、政
府が講ずべきまち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施
するための計画(以下「まち・ひと・しごと創生総合戦略」という。)の作成等
について定めるとともに、まち・ひと・しごと創生本部を設置することにより、
まち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施することを目
的とする。
-1-
1.2
対象期間
瀬戸市の人口ビジョンは、2060 年までを対象として、本市の将来人口を推計し、都
市の持続をテーマに、予測値に潜在する様々な要因を分析することとしました。
-2-
第2章
人口の動向分析
2.1 瀬戸市の人口動向分析における視点
わが国における人口減少や高齢化の進行に伴う社会的課題といわれる『社会保障制
度の維持』を考える指標として、社会保障制度の受給世代のバランスが将来も維持す
ることができるかを考える必要があります。
これまでの統計分析では、「年少人口(15 歳未満)」、「生産年齢人口(15~64 歳)」、
「老年人口(65 歳以上)」の 3 階層で表現されることが一般でしたが、社会全体の高
学歴化や、老年人口に対する社会保障制度の対象年齢の細分化等といった、わが国の
実情を考慮すると、社会保障制度の原資を稼ぐ世代が実情に合っているのかという疑
問が湧いてきます。
そこで、瀬戸市人口ビジョンでは、社会保障制度を支える原資を稼ぐ世代に着目し、
【成人人口:20 歳~64 歳】と、【被扶養人口=未成年:0~19 歳+前期高齢者:65~
74 歳+後期高齢者:75 歳以上】に区分したうえで、『被扶養 1 人当り成人(人)』の
推移を見ることで分析を進めることとしました。
■瀬戸市が着目する指標
被扶養 1 人当り成人数(人)
成人人口
=
被扶養人口 =
未成年
0~19 歳
+
20~64 歳
前期高齢者
65~74 歳
+
後期高齢者
75 歳以上
※ 被扶養 1 人当り成人数(人)とは、社会保障制度 1 人分を、何人の成人人口で支え
ているかを示す指標です。
-3-
2.2 瀬戸市の人口動向分析
2.1.1
被扶養 1 人当り成人数
(1)年齢4区分による人口推移と被扶養 1 人当り成人数
瀬戸市の人口動向分析における視点に基づき、年齢4階層「未成年(0~19 歳)」、
「成人(20~64 歳)」、
「前期高齢者(65~74 歳)」、
「後期高齢者(75 歳以上)」の人口
動向と、被扶養 1 人当り成人数の推移を見ていきます。
図表-1 年齢4区分による人口推移(国勢調査)
経済成長期
人口ボーナス期
経済減退期
人口オーナス期
( 出所)国勢調査
-4-
<人口ボーナス期>
瀬戸市では、戦後から高度経済成長を経て『被扶養 1 人当り成人数』が増加し、1995
年の国勢調査時には、最大で 1.80 人まで増加しています。
これは、団塊世代に加えて、団塊ジュニア世代の成長に伴う【成人人口】の加速度
的な増加によって、社会全体の稼ぐ力が備わった発展期にあったことを意味します。
このように、人口増加に伴う稼ぐ世代の増加が、被扶養人口を大きく上回る人口動
向と連動して、経済成長も同調する状態を、『人口ボーナス状態』といいます。
人口ボーナス状態にある期間は、経済成長が加速度的に上向くスパイラルにあるた
め、社会保障制度の充実も同時に進展させることが可能となります。
しかし、この時期に社会保障制度の水準を、理想や理論だけで押し上げ過ぎると、
稼ぐ力の低下(人口減少や経済成長の鈍化による配当の低下)の時代に入った時に、
社会保障制度を支えられなくなる要因となることも忘れてはならないといえます。
<人口オーナス期>
瀬戸市の【成人人口】は、2000 年の 83,801 人をピークに減少へと反転します。
更に、少子化により、近未来の成人人口となる【未成年】の更なる減少や、高齢化
社会の進行に伴う【高齢者人口】の増加によって、『被扶養 1 人当り成人数』は 2010
年で 1.38 人まで落ち込んでおり、成人1人が 1 人分の社会保障制度を支える時代を間
近に控える時代に入ったことがわかります。
こうした人口減少を要因とする低経済成長によって、社会的な稼ぐ力の低下する中
で、社会保障制度等の持続のための責任を背負う状態を『人口オーナス状態』といい
ます。
諸説ありますが、わが国全体では 1990 年を境に『人口オーナス期』に入ったといわ
れています。
それは、増え続ける社会保障費を支えるための制度や維持に対する処方箋を、早期
に作らなければならないという暗示でもあります。
-5-
(2)年齢3区分による人口推移と被扶養 1 人当り生産年齢人口数
ここでは、これまでの人口統計で使われてきた年齢階層 3 区分である「年少人口(15
歳未満)」、「生産年齢人口(15~64 歳)」、「老年人口(65 歳以上)」により、図表-1
と同様の分析することにします。
図表-2 年齢3区分による人口推移(国勢調査)
(出所)国勢調査
被扶養 1 人当り生産年齢人口数(人)
生産年齢人口
=
被扶養人口 =
15~64 歳
年少人口
0~15 歳
+
-6-
老年人口
65 歳以上
図表-2 で示した『被扶養 1 人当り生産年齢人口数(人)』は、これまで税収と社会
保障制度のバランスを取り上げる際に使われており、団塊の世代が働く世代だった時
代の社会保障制度を、生産年齢人口 2 人以上で支えていたものが、団塊の世代が老年
人口になる時代では、2 人未満になってしまったことへの懸念の根拠となっているも
のです。
ここで、図表-1 と図表-2 を比較すると、年齢階層区分に関わらず同じ傾向になっ
ているように見えますが、『被扶養1人当り成人数(図表-1)』よりも、『被扶養 1 人
当り生産年齢人口数(図表-2)』の方が大きな数値になっています。
計算結果に差が生じた要因は、
『被扶養1人当り成人数(人)』に対して、
『被扶養 1
人当り生産年齢人口数(人)』は、「被扶養人口」の対象となる「年少人口」が減少し
た分が「生産年齢人口」に加算される形で整理(分母が減って分子が増える整理)さ
れるためですが、この計算公式が果たして現状に合った手法と言えるかという疑問に
つながります。
社会全体の高学歴化や、老年人口に対する社会保障制度の対象年齢の細分化等の、
わが国の実情を考慮すると、これまで以上に正確な状況分析が必要な事は明らかです。
瀬戸市の未来予想図を実現するために、どの世代に、どういった政策が必要なのか
を見極めていくには、図表-1 の整理を与件とすることが妥当だと考えられます。
-7-
2.1.2
総人口
ここでは、
『被扶養1人当り成人数』の指標を取り巻く、その他の人口動向を見てい
きます。
(1)人口推移
瀬戸市の総人口の動向を、5 年毎に実施される国勢調査をもとに見ると、1970 年~
1980 年にかけて人口が大きく増加し 12 万人を超えました。
その後、増加は緩やかになるものの、2000 年に 13 万人を超え、2010 年現在 132,224
人となっています。
ただし、2010 年以降の人口動向を、国勢調査と同じ区分で整理されている愛知県人
口動向調査をもとに見ると、2010 年をピークに減少に転じ、既に人口減少期に突入し
ていることがわかります。
また、対前年比で見ると、2008 年~10 年にはプラスに転じていますが、2011 年か
らマイナス傾向が続き、現在に至っています。
図表-3 瀬戸市の人口推移(国勢調査、愛知県人口動向調査)
(出所)国勢調査(1970~2010)、愛知県人口動向調査(2011~2014)
(注)愛知県人口動向調査 人口総数推計値=国勢調査結果+住民基本台帳等による増減数
-8-
(2)年齢5歳階級別男女別人口
年齢5歳階級別男女別人口を見ると、ポスト団塊の世代と言われる 1950 年代前半生
まれの「60~64 歳代」が男女ともに最も多く、男性で 5,360 人、女性で 5,855 人とな
っています。
続いて、団塊世代ジュニアの「35~39 歳代」が多くなっており、これより出生時期
が遅い年齢階級ほど、人口は少なくなる傾向にあります。
また、性別で見ると、
「45~49 歳代」以上は女性の方が多く、
「40~44 歳代」以下は
男性の方が多くなっていることから、瀬戸市における女性の長寿と、子育て世代の女
性が少ないことがわかります。
図表-4 年齢5歳階級別男女別人口(2010 年)
男性
830
1,563
2,373
80~84歳
2,357
75~79歳
2,718
女性
3,230
70~74歳
3,738
3,974
65~69歳
4,867
5,016
60~64歳
5,360
5,855
55~59歳
4,026
4,413
50~54歳
3,699
3,722
45~49歳
4,146
4,161
40~44歳
4,666
4,538
35~39歳
5,223
4,993
30~34歳
4,033
3,966
25~29歳
3,213
3,628
20~24歳
3,199
3,660
15~19歳
3,126
3,292
3,415
3,026
4,000
10~14歳
3,033
5~9歳
5~9歳
2,959
0~4歳
0~4歳
2,786
6,000
(人)
85歳以上
85歳以上
2,000
2,650
0
0
(出所)国勢調査
-9-
2,000
4,000
6,000
(人)
2.1.3
人口移動
人口移動については、2.1.1 と 2 で分析を行った国勢調査では収集できないデータ
があることから、主に住民基本台帳を元に分析を行うこととしました。
なお、2012 年 7 月に施行された住民基本台帳法の改正により、外国人住民も対象と
なっていますが、それ以前は、同制度の対象となっていないことから、今回の分析で
は、外国人住民数を含まないデータで整理しています。
(1)人口増減数
人口増減と、その内訳である自然増減数、社会増減数を見ると、2004 年までは自然
増(出生者数が死亡者数を上回る状態)であったことに加え、2001 年までは社会増(転
入者数が転出者数を上回る状態)に支えられ、全体的に人口増加の傾向にありました。
しかし、自然増減数は、わが国の社会的な課題といわれる晩婚化や少子化の影響か
ら、2005 年を境に減少傾向に転じています。
また、社会増減数では、2002 年を境に減少傾向に転じたものの、愛・地球博の好景
気を背景として 2007 年~2009 年に一時的に持ち直しますが、リーマンショック以降
は減少傾向に歯止めがかからない状況になっています。
図表-5 人口増減数の推移
(人)
1,000
922
800
600
400
200
666
528
480
432
422
285
266
75
169 133
317
223
172
294
0
-36
-200
-206
-249
-400
-230
-389 -355
-470
-600
-443
-608
-800
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13
自然増減数
社会増減数
人口増減数
(年)
(出所)住民基本台帳人口要覧(財団法人国土地理協会)
(注) 人口、世帯数は 2013 年まで 3 月 31 日時点、2014 年以降は 1 月 1 日時点。日本人のみ。
- 10 -
(2)自然増減数
自然増減数の要因である出生数を見ると、2004 年まで 1,000~1,100 人で推移して
いましたが、その後減少傾向に転じ、2005 年にマイナスとなりますが、2007 年~2011
年に一時的に回復して 1,000 人弱で推移し、2012 年からは、再び減少の割合が大きく
なり、瀬戸市の自然減を進行させる要因になっています。
一方、死亡数を見ると、1990 年は約 750 人で推移していましたが、その後は増加傾
向にあり、2010 年頃から約 1,200 人で推移しています。
図表-6 自然増減数の推移
(人)
1,500
1,000
500
333
227 285 278
253
216
280
260 241
188 210 114
112
21
48
-107
0
-216
-88 -133 -107
-220 -222
-274
-340
-500
-1,000
-1,500
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13
出生
死亡
自然増減数
(年)
(出所)住民基本台帳人口要覧(財団法人国土地理協会)
(注) 人口、世帯数は 2013 年まで 3 月 31 日時点、2014 年以降は 1 月 1 日時点。日本人のみ。
- 11 -
(3)合計特殊出生率
合計特殊出生率は、2011 年で 1.29 となっています。
瀬戸市では、出生後に市外から市内へ転入する子育て世代の転入が多いことから、
全国平均(1.41)及び愛知県平均(1.46)よりも下回っていると予測されます。
図表-7 合計特殊出生率
1.6
愛知県
1.5
1.46
1.41
1.4
全国
瀬戸市
1.3
1.29
1.2
1.1
1
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11
(出所)
(注)瀬戸保健所管内:瀬戸市、尾張旭市、日進市、長久手市、豊明市、東郷町
- 12 -
(4)社会増減数
社会増減数については、2010 年からの転入数の縮小が大きく影響しており、転出超
過(社会減)の歯止めがかからない状態にあります。
まず、転入数では、1993 年をピークに緩やかな減少傾向にありましたが、水野地区
における大規模な宅地開発により、2002 年から 2007 年の間は一時期増加したものの、
2008 からは再び減少に転じ、その後は約 3,500 人で推移しています。
一方、転出数を見ると、1996 年をピークに緩やかな減少傾向となり、2009 年からは
約 3,700 人で推移しています。
いずれにしても、社会増減数の要因である転入及び転出は、いずれも 4,000 人前後
で推移しており、その値は、先の自然増減(出生数及び死亡数)の4倍であることか
ら、瀬戸市の人口を分析するうえで重要な要素であるといえます。
図表-8 社会増減数の推移
(人)
6,000
4,000
2,000
99 58
381 644
-141
227
129 212 58
-111 -127 25
0
-501 -376
-84
-99
-33
616 356 401
-250
-2,000
-8
-169
-268
-4,000
-6,000
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13
転入
転出
社会増減数
(年)
(出所)住民基本台帳人口要覧(財団法人国土地理協会)
(注) 人口、世帯数は 2013 年まで 3 月 31 日時点、2014 年以降は 1 月 1 日時点。日本人のみ。
- 13 -
(5)都道府県・市町村別社会増減数
直近の都道府県別の社会増減数を見ると、愛知県内での転出・転入が最も多く、そ
れぞれ 2,000 人以上となっています。
その内訳を見ていくと、東京都へは、転出が超過しており、80 人以上の転出超過(社
会減)となっており、更に、首都圏に拡大して見ると、200 人近くの転入に対して 300
人以上の転出により、100 人以上の転出超過(社会減)となっています。
一方、市町村別での社会増減数では、名古屋市からの転出・転入が最も多く、次い
で、尾張旭市、春日井市、豊田市、長久手市の順ですが、名古屋市、長久手市、尾張
旭市、春日井市は、転出超過(社会減)、豊田市は転入超過(社会増)となっています。
図表-9 都道府県別社会増減数(上位・下位 5 都道府県)
転入
東京都
静岡県
兵庫県
千葉県
三重県
沖縄県
熊本県
福岡県
岐阜県
愛知県
(再掲)
首都圏
近畿圏
2012年
転出
社会増減数
78
164
-86 愛知県
71
99
-28 東京都
15
38
-23 千葉県
22
39
-17 神奈川県
49
66
-17 京都府
17
13
38
222
2,288
8
3
24
190
2,152
194
132
312
166
9
10
14
32
136
大阪府
奈良県
長崎県
広島県
福岡県
(再掲)
-118 首都圏
-34 近畿圏
2013年
転入
転出
社会増減数
2,291
2,399
-108
100
183
-83
15
40
-25
56
81
-25
13
35
-22
67
15
12
19
31
60
8
5
11
21
7
7
7
8
10
199
141
350
156
-151
-15
(出所)住民基本台帳人口移動報告 2012、2013
(注)首都圏:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
近畿圏:滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、兵庫県
図表-10 愛知県の市町村別社会増減数(上位・下位 5 都道府県)
長久手市
尾張旭市
北名古屋市
名古屋市
知多郡
小牧市
日進市
春日井市
みよし市
豊田市
2012年
転入
転出
社会増減数
84
149
-65 名古屋市
309
357
-48 長久手市
13
35
-22 尾張旭市
790
801
-11 春日井市
8
19
-11 一宮市
安城市
46
104
230
58
192
24
78
200
19
117
22
26
30
39
75
北設楽郡
設楽町
みよし市
日進市
豊田市
(出所)住民基本台帳人口移動報告 2012、2013
- 14 -
2013年
転入
転出
社会増減数
783
910
-127
93
155
-62
352
404
-52
217
244
-27
29
44
-15
12
27
-15
11
10
47
86
252
1
0
23
58
122
10
10
24
28
130
(6)5歳階級別男女別
①
社会増減数
国勢調査 2005-2010 をベースとした分析
国勢調査をもとに、2005 年から 2010 年における5歳階級別男女別の社会増減数を
見ると、男女ともに、結婚期である「25~29 歳」で大きく社会減となっており、住宅
の1次取得期である「35~39 歳」で社会増となっています。
性別で見ると、男性は「15~19 歳」「20~24 歳」で社会増となっており、特に、他
県からの転入者が多くなっています。
また、「20~24 歳」「25~29 歳」において、他県への転出者も多くなっています。
図表-11 5歳階級別男女別 社会増減数(国勢調査 2005-2010)
-1200
1200
85歳以上
85歳以上
80~84歳
80~84歳
75~79歳
75~79歳
70~74歳
70~74歳
65~69歳
65~69歳
60~64歳
60~64歳
55~59歳
55~59歳
50~54歳
50~54歳
45~49歳
45~49歳
40~44歳
40~44歳
35~39歳
35~39歳
30~34歳
30~34歳
25~29歳
25~29歳
20~24歳
20~24歳
15~19歳
15~19歳
10~14歳
10~14歳
800
女
0~4歳
県内他市区町村から
(出所)国勢調査
- 15 -
1200
400
85
歳…
0
80
~…
5~9歳
-400
75
~…
45
~…
県内他市区町村へ
40
~…
35
~…
男
0~4歳
他県へ
30
~…
25
~…
20
~…
15
~…
10
~…
5~
9歳
0~
4歳
-500005000
5~9歳
-800
70
~…
800
65
~…
400
60
~…
0
55
~…
-400
50
~…
-800
-1200
他県から
国外から
社会増減数
②
住民基本台帳 2012・2013 をベースとした分析
更に、住民基本台帳をもとに、2012 年と 2013 年の単年での5歳階級別男女別の社
会増減数を見ると、20 代においては男女ともに社会減となっています。
性別で見ると、男性は 30 代から 40 代前半において社会増となっていますが、女性
は 2012 年と 2013 年でバラつきが見られるものの、2012 年で「30~34 歳」、2013 年で
「40~44 歳」が社会増となっています。
図表-12 5歳階級別男女別 社会増減数(2013、2012)
(人)
-150 -100 -50
0
50
(人)
100
-150 -100 -50
85歳以上
85歳以上
80~84歳
80~84歳
75~79歳
75~79歳
70~74歳
70~74歳
65~69歳
65~69歳
60~64歳
60~64歳
55~59歳
55~59歳
50~54歳
50~54歳
45~49歳
45~49歳
40~44歳
40~44歳
35~39歳
35~39歳
30~34歳
30~34歳
25~29歳
25~29歳
20~24歳
20~24歳
15~19歳
15~19歳
10~14歳
10~14歳
5~9歳
5~9歳
男
0~4歳
2012
0~4歳
0
(人)
-150 -100 -50
(出所)住民基本台帳人口要覧(財団法人国土地理協会)2013、2012
- 16 -
50
100
女
0~4歳
2013
0
50 100
男
2.1.4
現状の人口動向による将来人口推計
ここでは、現状の人口動向を基にした将来人口推計と、被扶養 1 人当り成人数を見
ていきます。
(1)年齢4区分による将来人口予測と被扶 1 人当り成人数
瀬戸市の人口動向分析の視点に基づき、年齢4階層「未成年(0~19 歳)」、
「成人(20
~64 歳)」、
「前期高齢者(65~74 歳)」、
「後期高齢者(75 歳以上)」における人口の将
来推計と、被扶養 1 人当り成人数の将来推計を行った結果が図表-13 です。
図表-13 年齢4区分による将来人口予測と、被扶養1人当り成人数
(注釈)コーホート要因法による独自推計(p37 参照)
「成人(20~64 歳)」は減少となる一方で、高齢者の人口は 2050 年頃まで増加する
と予測されることから、被扶養 1 人当り成人数は 2050 年頃まで減少傾向となり、2036
- 17 -
年頃を境に、成人 1 人が 1 人分の社会保障制度を支える時代に突入します。
この推計値と、国が「まち・ひと・しごと創生の人口ビジョン」での推計値と比べ
ると、瀬戸市は、わが国全体よりも 5 年ほど早く、成人 1 人が 1 人分の社会保障制度
を支える時代に突入することになるため、他市に先駆けた対応策を実行することが求
められます。
また、今から 10 年後の 2025 年には、団塊の世代が 75 歳となり、「後期高齢者(75
歳以上)」の人口が 2010 年と比べて 1.8 倍に増加することから、社会保障費の増加に
対する備えも必要となります。
- 18 -
(2)年齢3区分による将来人口予測と被扶養人口 1 人当り生産年齢人口数
これまでの統計分析で一般的に用いられてきた、
「年少人口(15 歳未満)」、
「生産年
齢人口(15~64 歳)」、「老年人口(65 歳以上)」の 3 階層で、(1)と同様の推計を行
った結果が、図表-14 になります。
図表-14 年齢3区分による将来人口予測と、扶養1人当り生産年齢人口数
(注釈)コーホート要因法による独自推計(p37 参照)
ここで、図表-13 と図表-14 を比較すると、年齢階層区分に関わらず同じ傾向にな
っているように見えますが、3 階層区分での推計では、2045 年頃に成人 1 人が 1 人分
の社会保障制度を支える時代へ突入することになるため、図表-13 の推計とは 10 年
近いズレが生じていることがわかります。
このズレをどのように捉えるかについては諸説あるところですが、いずれにしても、
- 19 -
瀬戸市における社会的な課題への解決策の実行を、先送りするかどうかという視野で
捉えるべき値であるといえます。
- 20 -
2.3 人口動向の分析結果から見える課題
これまでの瀬戸市の人口動向の分析結果から、以下の課題が明らかとなりました。
(1)成人 1 人が被扶養 1 人分の社会保障制度を支えられるかという課題
瀬戸市では、2010 年の 『被扶養 1 人当り成人数』を見ると、成人 1.38 人で 1 人分
の社会保障制度を支えている状態ですが、現状のまま、何も対応せず推移していけば、
2036 年頃を境に、国よりも早く成人 1 人が 1 人分の社会保障制度を支える時代に突入
します。
また、成人人口に区分される女性の就業率を勘案すれば、更に楽観的な見方ができ
る状況でないことは明白です。
いまこそ、20 年後に到来する厳しい時代に備える術は何かを考え、早期に実行する
行動力が求められています。
(2)間近に迫っている 2025 年問題への処方箋という課題
本年は、団塊の世代が『年金受給者』となる 65 歳を迎えています。
そして、10 年後の 2025 年には、団塊の世代が『後期高齢医療制度』の適用年齢で
ある 75 歳となることから、「後期高齢者(75 歳以上)」数は、2010 年に比べて 1.8 倍
に増加し、社会保障費の加速度的な増加は避けられない状況にあります。
そうした将来の不安にどう対峙していくのかという処方箋が求められています。
(3)転入数縮小による人口減少問題の加速という課題
これまで見てきたように、瀬戸市における人口増減は、自然増減の 4 倍ある社会増
減が主たる要因であることが明らかになりました。
瀬戸市における社会増減の分析から、市民のライフステージにおいて、婚姻期(男
女とも 20 代後半)における転出と、住宅1次取得期(男女とも 30 代)における転入
で、大きな転入・転出の変動が見られるという特徴を踏まえて、社会増につながる政
策の実行を着実に進めていく必要があります。
また、住宅 1 次取得者は子育て世代でもあることから、バランスの取れた人口構成
- 21 -
を実現する処方箋でもあるため、新規の宅地開発だけでなく、既存の住宅を活かす政
策を含めた居住環境への政策が求められています。
- 22 -
第3章 人口の将来展望と目指すべき将来の方向
3.1
将来展望に必要な調査・分析
第 2 章では、瀬戸市の人口動向における新たな視点での分析において、【成人人口】
の社会増が鍵となることが明らかになりました。
そこで、本章では、
【成人人口】の社会増を考察するために、これまでの統計データ
及び市民アンケートにより、
「就労・産業」、
「出生(20~39 歳女性の動向)」、
「住環境
(住宅・市民の定住意向)」に着目して分析を行いました。
3.1.1
就労・産業
【雇用の拠点性】
・昼夜間人口比は 100 を下回っており、雇用の受け皿としての拠点性は低く(図表-
17)、市内の若い世代は市内事業所を選択せず、愛知県内の他市町村での就業を選択
しています(図表-18)。
・市民アンケートでは、雇用促進・産業振興施策に関して、雇用創出や起業支援など
の働く場づくりに対する要望が最も高くなっています(図表-24)。
【産業構造の変化】
・ 市外へ通勤する人も含めた瀬戸市内の就業者は、第3次産業就業者が増加しており、
若い世代ほど製造業への就業者が減少する傾向が見られます(図表-15、16)。
・雇用面では、電気機械機器具製造業等を中心とした製造業の従業者数が増加すると
ともに、医療・福祉における従業者数の増加が見られます(図表-19、20)。
・瀬戸市は窯業を核として発展したまちであり、現在も製造業の事業所数では窯業が
4割を超えていますが、従業者数では全体の2割、製造品出荷額では1割程度とな
っています。近年は、電気機械機器具製造業等の窯業の副次的な産業が地域経済を
支える形となっています(図表-21、22、23)。
- 23 -
(1)産業別就業者数
国勢調査をもとに、産業別就業者数を見ると、第 2 次産業就業者は、1990 年まで 3
万人を超えていましたが、その後減少し、2010 年で約 2 万人となっています。
製造業における5歳階級別の就業者数の推移を見ると、2010 年は 30 年前の 1980 年
と比べて、30 歳代、40 歳代が大きく減少し、半数程度となっています。
図表-15 産業別就業者数の推移
70,000
60,000
50,000
31,550
28,812
35,100
39,097
40,464
40,529
40,000
第3次産業就業者
37,998
第2次産業就業者
30,000
第1次産業就業者
20,000
30,930
30,433
30,699
29,051
10,000
26,645
24,116
'00
'05
20,258
0
'80
'85
'90
'95
'10
(出所)国勢調査
図表-16 製造業における5歳階級別就業者数の推移
30,000
26,687
26,221
65歳~
25,910
55~59歳
20,780
2,025
20,000
60~64歳
23,329
25,000
50~54歳
18,802
2,874
15,736
3,664
40~44歳
15,000
3,751
10,000
3,981
5,000
3,494
0
45~49歳
35~39歳
1,589
1,410
1,755
1,970
2,006
1,517
1,166 724
1,969
1,400
1980
85
90
95
(出所)国勢調査
- 24 -
2000
05
10
30~34歳
25~29歳
20~24歳
15~19歳
総数
(2)昼夜間人口
昼夜間人口比を見ると、男性・女性ともに 20~69 歳において 100 を下回っており、
雇用の受け皿としての拠点性が低くなっていることから、瀬戸市が大都市圏のベッド
タウン化している傾向がうかがえます。
また、男性は 25~54 歳で 80 を下回っており、女性においても、20~39 歳で 90 を
下回っていることから、働く世代における瀬戸市内の雇用が選択されていない実態が
見えます。
図表-17 5歳階級別昼夜間人口(2010 年)
70
80
90
100
110
120
70
85歳以上
85歳以上
80~84歳
80~84歳
75~79歳
75~79歳
70~74歳
70~74歳
65~69歳
65~69歳
60~64歳
60~64歳
55~59歳
55~59歳
50~54歳
50~54歳
45~49歳
45~49歳
40~44歳
40~44歳
35~39歳
35~39歳
30~34歳
30~34歳
25~29歳
25~29歳
20~24歳
20~24歳
15~19歳
15歳未満
男
(出所)平成 22 年(2010 年)国勢調査
- 25 -
80
90
100
110
120
15~19歳
15歳未満
女
(3)5歳階級別
就業者の従業地
5歳階級別就業者の従業地を見ると、男性においては、20~64 歳で他市区町村へ通
勤する割合が高く、瀬戸市内で勤務する(自宅以外)割合は3割前後となっています。
特に、女性においては、20~34 歳で他市区町村へ通勤する割合が高く、逆に、35
歳以上は瀬戸市内で勤務する割合が高くなっていることから、子育て時期になると瀬
戸市内での勤務を選択していることが見えます。
図表-18 5歳階級別 就業者の従業地
【男性】
75歳以上
41.2%
70~74歳
28.5%
41.5%
65~69歳
17.0%
44.4%
60~64歳
12.9%
35.3%
55~59歳
9.5%
32.3%
50~54歳 7.5%
30.1%
45~49歳 5.9%
27.7%
40~44歳 5.5%
26.2%
35~39歳 4.1%
27.9%
30~34歳 3.3%
27.6%
25~29歳 2.2%
30.4%
20~24歳 0.9%
37.8%
15~19歳 1.6%
51.4%
0%
10%
自宅
【女性】
20%
30%
自宅外の
自市区町村
40%
50%
県内
他市区町村
39.1%
9.2%
20.5%
28.9%
43.7%
50.6%
53.1%
56.7%
57.3%
57.5%
59.2%
55.7%
53.1%
40.0%
60%
70%
他県
80%
90%
他市区町村
その他
100%
不詳
75歳以上
45.9%
38.1%
3.9%
70~74歳
37.2%
45.5%
9.4%
65~69歳
22.8%
56.5%
11.5%
60~64歳
15.6%
59.7%
19.1%
55~59歳 10.6%
59.3%
25.5%
50~54歳 7.9%
58.8%
29.3%
45~49歳 6.7%
57.9%
29.8%
40~44歳 6.1%
54.6%
33.5%
35~39歳 6.9%
48.7%
37.3%
30~34歳 5.0%
41.0%
45.4%
25~29歳 3.0%
38.5%
51.2%
20~24歳 0.7%
41.6%
51.2%
15~19歳 0.4%
49.6%
42.9%
0%
10%
自宅
20%
30%
自宅外の
自市区町村
40%
50%
県内
他市区町村
(出所)平成 22 年(2010 年)国勢調査
- 26 -
60%
他県
70%
80%
90%
他市区町村
その他
100%
不詳
(4)産業別事業所数・従業者数
経済センサスをもとに、瀬戸市内事業所の産業別事業所数及び産業別従業者数の推
移を見ると、製造業は、事業所数の減少がみられるものの、従業者数は増加しており、
事業所における規模拡大等が推定されます。また、卸・小売業は、事業所、従業者数
ともに減少傾向となっていますが、医療・福祉の従業員の増加が顕著となっています。
図表-19 産業別事業所数の推移
図表-20 産業別従業者数の推移
(出所)平成 24 年 経済センサス
- 27 -
(5)窯業・土石製品製造業
経済センサスをもとに、瀬戸市内事業所の専業別での事業所数・従業者数・製造品
出荷額等を見ると、窯業・土石製品製造業は、2012 年で、事業所数は全体の 4 割を超
えるものの、従業者数は 2 割となっており、製造品出荷額は 1 割に留まっています。
一方で、電気機械器具製造業は、事業者数が全体の 1 割程度に対し、従業者が 1/4、
製造品出荷額が 1/3 となっています。
窯業における経済面での支えが難しい状況となる中で、窯業の副次的な産業として
発展してきた電気機械機器具製造業等が地域の経済活動を支える形となっています。
図表-21 製造業における事業所数≪日本標準産業分類-産業中分類≫
(出所)平成 24 年 経済センサス
- 28 -
図表-22 製造業における従業者数≪日本標準産業分類-産業中分類≫
(出所)平成 24 年 経済センサス
図表-23 製造業における製造品出荷額≪日本標準産業分類-産業中分類≫
(出所)平成 24 年 経済センサス
- 29 -
(6)雇用促進・産業振興施策に関して市民が充実を希望する施策
平成 27 年 2 月に実施した市民アンケートでは、雇用促進・産業振興施策に関して、
市民が充実を希望する施策として、雇用創出や起業支援などの働く場づくりに対する
要望が最も高くなっています。
図表-24 雇用促進・産業振興施策に関して市民が充実を希望する施策(市民アンケート)
思わない
まちの歴史や伝統
5.2
やきもの産業の振興
24.9
7.4
商店街や中小企業
4.2
に対する支援
農業・畜産業の第6次産業化
への促進
25.2
16.2
5.7
雇用創出や起業支援など
2.7
の働く場づくり
お祭り・イベント
39.5
30.5
36.1
31.4
38.5
29.0
38.4
46.3
25.3
20%
そう思う
40.5
12.7
10%
ややそう思う
41.0
24.8
5.7
0%
あまり思わない
39.8
30%
(出所)瀬戸市市民アンケート
- 30 -
40%
50%
29.1
60%
70%
80%
90%
100%
3.1.2
出生(20~39 歳女性の動向)
【20~39 歳女性の大幅な減少】
・子どもの出生と相関関係にある 20~39 歳女性数が大きく減少しており、そのことが、
合計特殊出生率が増加する中で、出生数が減少する要因になっていると予想されま
す(図表-25)。
・女性の就業率は M 字曲線を描いており、30 代に低下傾向が見られます(図表-27)。
一方で、女性の有配偶者の就業率が 20 ポイント以上高い近隣市も見られます(図表
-28)。
・共働きの傾向が進む中で、20~39 歳女性に選択されるまちになるためには、女性の
仕事と育児・家事が両立しやすい環境づくりが求められています。
(1)女性 20-39 歳人口の推移
子どもの出生と相関関係にある 20~39 歳女性数を見ると、ポスト団塊の世代や、そ
の子世代の該当年齢により変動しています。
2000 年からは減少しており、減少率は-7.4%~-8.8%で、愛知県平均の-1.0%~
5.0%よりも大きくなっています。
図表-25 女性 20-39 歳人口の推移
(人:愛知県)
(人:瀬戸市)
19,871
20,000
19,000
瀬戸市
19,472
愛知県
1,012,297
(-1.0%)
1,007,382
1,016,878
18,000
1,040,000
1,022,643
1,046,607
18,100
994,125
17,000
974,991
16,486
1,020,000
1,000,000
18,202
16,789
1,060,000
17,766
16,859
( -7.4%)
16,000
961,683 980,000
(-5.0%)
960,000
940,000
15,371
(-8.8%)
932,524
15,000
920,000
900,000
1970
1975
1980
1985
1990
(出所)国勢調査
(注)括弧内数値は前年比
- 31 -
1995
2000
2005
2010
(2)5歳階級別
有配偶率
有配偶率を見ると、25~39 歳において、女性の有配偶率が男性より 10 ポイント以
上、上回っています。
5 歳階級別人口において、
「40~44 歳」以下は男性の方が多くなっていることも要因
と考えられます。
「35~39 歳」において、男性 59.9%、女性 71.9%で、近隣の尾張旭市に比べて 4~7
ポイント下回っています。
図表-26 5歳階級別 有配偶率(2010 年)
90.0%
80.0%
71.9%
76.0%
80.1%
83.7%
瀬戸市 男
77.8%
70.0%
73.8%
62.9%
瀬戸市 女
67.2%
60.0%
59.9%
愛知県 男
50.0%
49.4%
40.0%
愛知県 女
34.3%
尾張旭市
男
30.0%
22.1%
20.0%
尾張旭市
女
7.5%
10.0%
3.6%
0.0%
15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳
(出所)国勢調査
- 32 -
(3)女性の就業率
女性の就業率を見ると、M 字曲線と言われる 30 代における低下傾向があり、落ち込
みは約 10 ポイントとなっていますが、
「45~49 歳」からは、未婚と有配偶の差がほぼ
無くなっています。
女性の有配偶者の就業率を見ると、近隣市の長久手市に比べて、25~34 歳で 20 ポ
イント、35 歳以上で 10 ポイント下回っています。
図表-27 女性の就業率(2010 年)
90.0%
80.0%
70.0%
60.0%
50.0%
40.0%
30.0%
20.0%
10.0%
0.0%
15~
19歳
20~
24歳
25~
29歳
30~
34歳
35~
39歳
総数
40~
44歳
未婚
45~
49歳
50~
54歳
55~
59歳
60~
64歳
65歳
以上
有配偶
(出所)国勢調査
図表-28 女性の有配偶者の就業率(2010 年)
90.0%
80.0%
70.0%
60.0%
50.0%
40.0%
30.0%
20.0%
10.0%
0.0%
15~
19歳
20~
24歳
25~
29歳
愛知県
30~
34歳
35~
39歳
瀬戸市
40~
44歳
45~
49歳
尾張旭市
(出所)国勢調査
- 33 -
50~
54歳
55~
59歳
60~
64歳
長久手町
65歳
以上
3.1.3
住環境(住宅・市民の定住意向)
【名古屋市・豊田市のベッドタウン、住宅供給の低下】
・住宅の特徴としては、住宅ストックで持ち家の戸建てが占める割合が高く、共同住
宅(マンション等)や民営借家の割合が低くなっています(図表-29、30)。
・近隣都市と比較して安く住宅が所得できることから、名古屋市や豊田市で働く人が
持ち家を取得する先としての役割を担っていると考えられます。
・一方で、結婚を契機として転出しているのは、ファミリー向け賃貸物件の供給不足、
もしくは新生活の場として選択を回避されている可能性が考えられます。
・大規模な住宅供給が低迷している傾向にあります(図表-31)。
・地価が愛知県平均と比べて低く、空き家率が高い状態であることから、今後は、ベ
ッドタウンとしての評価の低迷が懸念されます(図表-32、33)。
・一方で、市民アンケートにおいて、瀬戸市転入の理由として、土地や建物の購入の
手頃さが最も高かったことからも、戸建志向の1次取得者に対しては、購入価格面
で値ごろ感があり、メリットとなっていることも見逃せません(図表-37)。
【市民の定住意向(アンケート)/瀬戸市への愛着度】
・市民アンケートによると、自身の定住意向が7割あるものの、子ども等にも瀬戸市
に住んで欲しいと考える割合は半数程度と低くなり、市民の居住環境に対する評価
が高くないことが懸念材料となります(図表-34)。
・瀬戸市に住み続けたくない・住んでもらいたくないと思う理由として、
「まちが古く・
新しさを感じない」が上位にあり、転入者の瀬戸市を選んだ理由としても、
「土地や
建物の購入が手頃だったこと」、「親族(実家)が近いこと」等から、若い世代に訴
求力のあるまちの魅力の向上が求められます(図表-35、36)
- 34 -
(1)住宅ストック
住宅ストックを見ると、持ち家・一戸建は増加しており 31,310 戸となっています。
また、分譲マンション等の持ち家・共同住宅は、2008 年から 2013 年にかけて減少
して 4,180 戸、借家・民営借家も 2008 年から 2013 年にかけて減少して 7,940 戸とな
っています。
構成比は、持ち家・共同住宅 8.6%、借家・民営借家 16.3%で、愛知県平均割合に
比べて低くなっており、新婚世代が選択する住宅形態の少なさが懸念されます。
図表-29 所有関係、建て方別 住宅ストック(瀬戸市)
(戸)
50,000
40,000
7,940
8,770
借家・UR・公社の借家
7,260
30,000
4,180
4,350
3,600
借家・給与住宅
借家・公営の借家
借家・民営借家
持ち家・その他
20,000
持ち家・長屋建
31,310
26,690
28,050
H15(2003)
H20(2008)
持ち家・共同住宅
持ち家・一戸建
10,000
0
H25(2013)
(年)
図表-30 所有関係、建て方別住宅ストック割合(愛知県)
100%
80%
60%
16.4%
8.1%
16.3%
18.5%
借家・給与住宅
30.4%
8.6%
借家・UR・公社の借家
9.2%
借家・公営の借家
10.4%
借家・民営借家
持ち家・その他
40%
60.1%
持ち家・長屋建
64.4%
59.2%
持ち家・共同住宅
47.3%
20%
持ち家・一戸建
0%
H15(2003)
H20(2008)
H25(2013)
(出所)住宅・土地統計調査(総務省統計局)
H25
(愛知県)
各年 10 月1日現在
- 35 -
(年)
(2)住宅着工
市内の新設住宅着工数の推移を見ると、持家は 400~500 戸で推移していましたが、
2011 年頃から 400 戸を切り、減少傾向にあります。
一方で、分譲住宅は住宅開発等の影響でバラつきがあるものの、2009 年頃からは 150
~250 戸程度に留まっています。
2007~09 年にかけての人口の社会増は、この時期の大規模な宅地開発による住宅供
給(水野地区)と連動していることがわかります。
図表-31 新設住宅着工数の推移
(戸)
1,800
1,633
1,600
1,400
1,237
1,200
1,000
1,322
1,247
719 1,175
477
492
515
1,311
1,025
600
981
895
462
314
800
820
286
193
分譲住宅
260
736
400
156
282
281 346
給与住宅
828
771 766
218
286
403
383
146
318
304
1,180
1,139
396 425
251
139
223
71
660 176
132
87
200
471
175
231
223
122
146
400
580
772
貸家
705 685
160
持家
229
234 136
90
520
494 512 495
430 403 377 474 474 440
425 463
406 428 359 362 406 365
(出所)住宅着工統計(国土交通省)
- 36 -
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
0
(年)
(3)地価、空き家率
地価公示の推移を見ると、瀬戸市の地価は、2006 年頃から愛知県の平均よりも 5 万
円/㎡程低くなっており、近隣市と比べても低い状況にあります。
一方で、空き家率を見ると、2013 年で 12.3%となっており、近隣市よりも高い状況
にあります。
図表-32 地価公示の推移(近隣市比較)
(円/㎡)
180,000
160,000
140,000
120,000
愛知県
瀬戸市
100,000
80,000
60,000
40,000
19 96 97 98 99 20 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (年)
95
00
図表-33 空き家率
15.0%
12.7%
13.1%
12.4%
12.3%
10.0%
11.5%
愛知県
11.0%
瀬戸市
5.0%
H15(2003)
H20(2008)
(出所)住宅土地・統計調査(国土交通省)
- 37 -
H25(2013) (年)
(4)定住意向(市民アンケート)
市民アンケート調査において、瀬戸市の自分自身の定住意向の割合は 7 割であり、
愛知県の同様のアンケート結果の 8 割に比べて低い傾向となっています。
また、親や子供、親しい友達等にも瀬戸市に住んで欲しいと考える割合は半数程度
に留まっており、市民の居住環境に対する評価が高くないことが懸念材料となります。
図表-34 定住意向(市民アンケート)
思わない
瀬戸市に住み続けたい 7.8%
18.5%
あまり思わない
30.6%
両親や祖母など、高齢の親族にも
瀬戸市に住んでもらいたい
21.2%
27.1%
子供や孫にも瀬戸市に住み続けてほしい
18.9%
32.9%
親しい友達にも瀬戸市に住んでもらいたい
20.4%
0%
ややそう思う
43.2%
24.2%
(n=2020)
60%
(n=2128)
20.7%
28.3%
40%
(n=2242)
27.5%
27.4%
34.7%
20%
そう思う
16.7%
80%
(n=2125)
100%
(5)住み続けたい・住んでもらいたい理由(市民アンケート)
瀬戸市に住み続けたい・住んでもらいたいと思う理由については、もともと住んで
いた、実家や親せきの近さ等の地縁の理由が高いとともに、自然環境の豊かさへの回
答が多くなっています。
図表-35 住み続けたい・住んでもらいたい理由(市民アンケート)
0.0%
5.0%
10.0%
15.0%
20.0%
もともと住んでいたから
30.0%
24.3%
自然環境が豊かだから
16.7%
実家や親戚宅に近いから
13.2%
日常の買い物に便利だから
9.5%
通勤や通学に便利だから
8.0%
住宅事情(広さ・築年数)が良いから
6.8%
ご近所とつきあいやすいから
6.5%
歴史や伝統、文化があるから
5.2%
子育てがしやすいから
2.5%
物価が安いから
2.5%
公共施設が充実しているから
1.4%
福祉サービスが充実しているから
1.2%
その他
25.0%
(n=3951)
2.3%
- 38 -
(6)住み続けたくない・住んでもらいたくない理由(市民アンケート)
瀬戸市に住み続けたくない・住んでもらいたくないと思う理由については、通勤や
通学の不便、公共施設が充実していない、買い物が不便等の都市インフラに対する理
由が高いとともに、まちが古く新しさを感じないからという市のイメージに対する回
答も高くなりました。
図表-36 住み続けたくない・住んでもらいたくない理由(市民アンケート)
0.0%
2.0%
4.0%
6.0%
8.0%
10.0%
12.0%
14.0%
通勤や通学に不便だから
16.0%
15.2%
公共施設が充実していないから
14.3%
日常の買い物に不便だから
13.1%
まちが古く、新しさを感じないから
11.5%
福祉サービスが充実していないから
10.7%
もともと住んでいないまちだから
10.2%
実家や親戚宅が遠いから
5.5%
子育てがしにくいから
3.6%
ご近所づきあいがわずらわしから
2.9%
住宅事情(広さ・築年数)が悪いから
2.6%
物価が高いから
1.4%
自然環境が豊かではないから
1.3%
(n=1478)
その他
7.7%
(7)引越し先に瀬戸市を選んだ理由(市民アンケート)
引越し先に瀬戸市を選んだ理由では、土地や建物の購入が手頃だったこと、親族(実
家)が近いことが多くなっています。
一方で、住環境が良いは 7%に留まっています。
図表-37 引越し先に瀬戸市を選んだ理由(市民アンケート)
.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
土地や建物の購入が手頃だった
35.0
30.4%
自分や家族の通勤・通学が便利
20.9%
親族の住居に近い
(実家が近い)
住環境が良い
30.0
27.5%
7.0%
その他
14.2%
- 39 -
(n=1478)
3.2
人口の将来展望
(1)推計パターン
人口推計結果をもとに、施策の実施による出生率や純移動率が改善効果を仮定値
として上乗せ設定したシミュレーションを行うことにより、将来人口を展望します。
このとき、純移動率の改善は社会増を意味するものとなります。
なお、仮定値の上乗せは、政策効果の表れる 2015 年以降とします。
図表-38
人口推計方法について
推計方法
①
備考
<独自推計>
-
2005 年及び 2010 年の国勢調査結果を基準
として、市の出生数や死亡数をもとに、合
計特殊出生率や純移動率等を算出
純移動率は、2009 年の世界金融危機の影
響を勘案して 2000~2005 年及び 2005~
2010 年の純移動率の平均値を採用
②
<シミュレーション1>
国の指針では 2030 年に国民希望出
①をベースに、
生率である 1.8、2040 年に人口置換
合計特殊出生率について
水準である 2.07 を設定することと
2040 年を 1.80(国民希望出生率)
と設定
しているが、瀬戸市では大幅に下回
るため、2040 年に希望出生率となる
ように設定
③
<シミュレーション2>
現在の「t→t+5歳」の純移動率
②をベースに、
が
現在の純移動率が 3 割改善するように設
0.10 であれば 0.13
定
-0.20 であれば-0.14
にとなるように設定
全期間の純移動率は固定
- 40 -
(2)シミュレーション結果
図表-38 に示した推計パターンによる試算結果をグラフ化した図表-39 を見る
と、出生率の改善(シミュレーション 1)の場合、2060 年における人口は、約 10
万人を維持できることとなります。
更に、純移動率を 3 割改善(シミュレーション 2)する要因を加えることにより、
約 11.5 万人となり、施策を講じない場合(独自推計)と比較して、約 3 万人増加す
る試算結果となりました。
図表-39
(人)135,000
132,224
130,000
130,995
将来人口シミュレーションの結果
①独自推計
②出生率上乗せ
③出生率+純移動率3割改善
129,650
125,000
127,275
128,324
124,507
128,161
124,599
121,946
120,000
123,969
120,451
118,774
116,416
118,875
115,000
120,181
117,495
116,066
113,128
114,662
110,153
113,166
110,000
105,000
107,213
104,001
107,232
100,000
100,684
101,679
95,000
96,263
90,000
90,528
85,000
84,538
80,000
2010
2015
2020
2025
2030
- 41 -
2035
2040
2045
2050
2055
2060 (年)
一方で、図表-40 の被扶養 1 人当たり成人数を見ると、シミュレーション 1 および 2
いずれも、被扶養人口の対象である出生数が増加するため、被扶養 1 人当り成人人口
の計算式に当てはめると、分母が大きくなる一方、分子である成人数に変化はないた
め、独自推計に比べて、値が小さくなっています。
これは、目標として掲げた人口構成の適正化を実現するためには、避けられないも
のです。
その意味でも、社会増を実現する方策が必要といえます。
これらを踏まえ、瀬戸市においては、2060 年において約 11.5 万人の人口規模を確
保することを施策による最大効果として見据え、この数値に近づけるように効果的な
政策を実行していくことを提案します。
図表-40
被扶養 1 人当たり成人数(人)
1.50
1.40
①独自推計
②出生率上乗せ
③出生率+純移動率3割改善
1.38
1.30
1.20
1.13
1.17 1.13
1.12
1.13
1.12
1.09 1.05
1.12
1.12
1.09
1.01
1.10
1.00
0.99
0.90
0.92
0.87
0.80
0.84
0.70
0.84
0.78
0.75
0.81
0.76
0.81
0.83
0.83
0.78
0.77
0.72
0.73
2050
2055
0.60
2010
2015
2020
2025
2030
2035
- 42 -
2040
2045
2060 (年)
3.3
目指すべき将来の方向
(1)取り組む方向

人口問題を、総数ではなく構成の視点で議論する
まち・ひと・しごと地方創生『人口ビジョン』の策定における先行事例の多くは、
人口問題を、総数で、どの規模として掲げるかの議論として整理されています。
しかし、理論上は 2 回目の人口ボーナス期は来ないことから、人口増や維持論だ
けでは地域における社会的な課題解決の処方箋にはなりません。
これから議論すべき真の処方箋とは、人口問題を総数ではなく人口構成に着目し、
その中でも「成人人口」の社会増を獲得する政策が必要だといえます。
現在、瀬戸市では、結婚期と重なる 20 代後半に性別を問わず市外に流出する傾向
が見られます。
一方で、30 代の住宅一次取得者においては、市外からの転入超過が生じているた
め、瀬戸市が子育て世代の定住の場として選択されることは、年少人口の増加策に
もつながり、結果として人口構成の適正化を実現することになります。
そこで、瀬戸市人口ビジョンでは、市内への転居や居住のニーズに見合った住宅・
宅地供給と、居住地としての魅力向上により、20 代を中心とした若い世代の流出抑
制と、30 代~40 代前半の住宅一次取得者における更なる転入促進を図ることを提案
し、成人人口の厚みの増加を目指します。

『市民の“じりつ”した営み』によって社会保障を支えるまちを実現する
成人 1 人が 1 人分の社会保障制度を支えるという、これまでに経験の無い厳しい
事態になっても、瀬戸市が存続していくためには、社会保障の原資を稼ぐ成人人口
の確保と共に、担ぎ手である成人一人ひとりが“じりつ”し、余裕を持って社会保
障制度を支えられる仕組みが必要です。
一方で、そうした骨太の成人を獲得するには、地域における働く場の創出は欠か
せない要素であると考えます。
そこで、瀬戸市人口ビジョンでは、
「やきもののまち」として受け継がれてきた有
形・無形の財産を活かした基盤産業に加えて、窯業から発生した副次的な産業の成
- 43 -
長を促し、更に、新たな産業の創出を図ることを提案し、その取り組みが『市民の
“じりつ”した営み』へとつながることを目指します。

結婚から子育てに至る切れ目のない支援を実現する
地域における働く場の創造や魅力を感じられるまちづくりは、
「成人人口」の社会
増を促す基盤は整うことになりますが、同時に、次の成人人口となる「未成年人口」
を拡大していくことも重要です。
「成人人口」の転入が増加すれば、一体的に行動する「その子ども世代」も必然
的に転入することが期待されるため、更に、地域で新たに子どもが産まれるような
環境を整えることが重要となります。
瀬戸市では、合計特殊出生率が、国の 1.41 に対して 1.29 と低く、若い世代が結
婚や出産の希望を叶えられていない懸念があります。
そこで、瀬戸市人口ビジョンでは、働く場の創造とともに、女性の雇用環境や再
就職等の支援、性別を問わず子育てをしながら働くことのできる社会の形成を提案
し、その取り組みによって『住みたくなるまち・魅力あるまち』へとつなげること
を目指します。
(2)目指すまちの姿

成長と成熟が融合するまちづくりをめざす
これまでの「まちづくり」を題材とした議論では、
「成長」、
「発展」、
「進化」が取
り上げられてきましたが、これからは、成長路線だけでオーナス期を乗り越えられ
る処方箋を描くには無理があるといえます。
他市に類のない歴史と文化・伝統を育んできた瀬戸市は、ある意味で成熟したま
ちであることから、こうした財産を「再評価」し、新しさと良い意味での古さを持
った資源が融合するまちづくりを目指す必要があると考えます。
そこで、瀬戸市の持つ歴史や文化・伝統に育まれた資源を、若者や外部の力を活
用しながら、新たな雇用を生み出す交流や、にぎわいを創出するとともに、まち自
体に対する「古い」イメージを「古くて新しい」ものに転換し、若い世代を中心と
- 44 -
した市民の瀬戸市に対する誇りや愛着の醸成を目指します。
また、新たに入居する住民の減少により高齢化が進んでいる地区においては、魅
力を感じられる住空間づくりや、多世代交流のコミュニティ形成を目指します。

全ての処方箋の基幹は『地域モデル』を構築することから始まる
これまでは、個別の目的や課題に対応した政策を実行してきましたが、瀬戸市ま
ち・ひと・しごと創生総合戦略では、個別の評価だけでなく、市民実感度(政策群
の実行を、テーマに沿って市民が総合的に感じる実感度)を評価軸とすることとし
ています。
それは、瀬戸市の未来予想図を実現するために、これから実行していくあらゆる
政策が連鎖し、共鳴しあうことで高まる評価軸です。
瀬戸市人口ビジョンでは、瀬戸市の未来予想図を実現するために、これから実行
していくあらゆる政策には、他に類をみない『瀬戸市独自の地域モデル』の構築が
不可欠であることを提案し、その取り組みによって『未来展望型と社会の課題解決
型が両立したまちづくりの実現』へとつながる成果を盛り込んだ将来人口を目標に
掲げます。
- 45 -