平成 28 年 1 月 26 日 進 路 指 導 部 はじめに センター試験が終わり、3年生は国公立大学の出願に向けて準備を進めています。私も何人かの生徒さん、 そして保護者と面談をさせてもらいましたが、改めて、生徒、保護者、そして学校のそれぞれの思いをまとめ ていくことの難しさを痛感しています。 「平成28年度大学入試センター試験(本試験)平均点一覧(中間集計) 」について 1月20日(水)に、大学入試センターから、受験者数 260,970 人分を集計した「平成28年大学入試セン ター試験(本試験)平均点一覧(中間集計) 」が発表されました。主な教科・科目についてまとめました。 教 科 名 科 目 名 受験者数 平 均 点 最 高 点 標準偏差 国 語 国 語 222,768 125.90(62.95) 200(100) 37.81(18.90) (200 点) 世 界 史 B 39,745 68.86 100 20.30 地理歴史 日 本 史 B 70,764 66.59 100 19.20 (100 点) 地 理 B 46,759 61.74 100 14.11 現 代 社 会 29,833 55.84 100 16.79 倫 理 9,739 51.56 94 15.81 公 民 政 治・経 済 19,990 61.81 100 16.70 倫理,政治・経済 21,011 60.96 100 15.72 155,171 56.65 100 20.21 数 数学① 数学Ⅰ・数学A 学 数学② 数学Ⅱ・数学B 139,494 50.18 100 22.63 物 理 基 礎 8,095 35.05(70.10) 50(100) 10.30(20.60) 化 学 基 礎 37.004 27.56(55.12) 50(100) 11.16(22.32) 生 物 基 礎 42,734 28.32(56.64) 50(100) 9.58(19.16) 理 地 学 基 礎 14,325 35.65(71.30) 50(100) 10.49(20.98) 科 物 理 65,297 62.32 100 23.77 学 84,447 55.73 100 21.23 理科② 化 生 物 30,941 64.23 100 18.92 語 233,457 114.67(57.33) 200(100) 42.97(21.48) 外 筆記 英 国 リスニ 英 語 227,755 31.28(62.56) 50(100) 9.54(19.08) 語 ング ※ 平均点、最高点及び標準偏差欄の( )内の数値は、100点満点に換算したもの。 ※ 「得点調整」はありません。 なお、 「5-8文系(900点満点) 」と「5-7理系(900点満点)の平均点について、 「ベネッセ・駿台」 及び「河合塾」は以下のように予想しています。 ベネッセ・駿台 河 合 塾 5-8文系(900点満点) 547点(前年差:+7点) 558.9(前年差:+0.6) 5-7理系(900点満点) 564点(前年差:-6点) 573.5(前年差:-0.5点) 理科① 2016 年度入試志望動向について( 「ベネッセ・駿台」の説明会資料から) (1) 国公立大学 国公立大志向は継続しており、学部系統別にみると、文系学部の多くで志望者数の増加がみられます。特に 増加が目立つのは、法学系統や経済・経営・商学系統、国際関係学系統です。理系では、医学系統、歯学系統、 薬学系統で志望者数の減尐がみられます。 (2)私立大学 センター試験利用大学は増加しており、2016 年度入試では過去最高の527大学となります。その影響や、 入試方法の複線化の影響もあり、募集人員が増加している学部系統が多いようです。 学部系統別に志望状況をみると、文系では特に法学系統で志望者数の増加がめだっています。それ以外の学 部系統では概ね前年並みの志願者数か、前年を下回っています。また理系ではすべての学部系統で志望者数が 減尐するなど、センター方式を敬遠する受験生の動きが全体的にみられました。募集人員の増加もみられるの で、入試競争は緩和すると予想されています。 「『スミレのように踏まれて香る』について 昨年の秋、岡山のノートルダム清心女子大学の関係者が来られ、一冊の本を置いて帰られました。タイトルは、 『スミレのように踏まれて香る』です。著者は、この大学の理事長でもある渡辺和子さんです。渡辺さんは、9 歳の時に、1936 年の「二・二六事件」に遭遇し、当時教育総監だった父親が襲撃されたことを目のあたりにする という経験をもたれています。その後、洗礼を受けられ、キリスト教にもとづいた教育を長年実践されています。 さて、 「スミレ」の花びらは傷つけられて芳香を放つそうです。掲載されていたどのお話も心に届く内容でした。 その中で特に印象に残った内容について紹介させていただきます。 みずから灯を 「夜が明けると太陽が昇る。私はじっとしていても、陽に光は私を幸せな気持ちにしてくれる。これが、以前の 私の“幸福”に対する考え方であったように思えます」。 三年前、幸せそのもののようにして学窓を巣立った卒業生からの手紙の一節である。 「ところが、今は違います。夜が明けても太陽は登らないかもしれない。もし昇らなければ、自分の手で灯をと もそう。体を動かして暖をとろう。人生は自分の手でつくりだしていくものであって、もとから、バラ色でも灰色 でもないことに気づきました」。 自主性の育成、主体性の確立ということが近来、さかんに叫ばれているが、ほんとうの意味での自主性、主体性 というのは、この手紙の後半に描かれたような人間について言えるころではないだろうか。 月着陸の壮挙に実証された科学技術の驚異的進歩に、すなおに感嘆しながらも、一方、人ひとりひとりは、それ に酔いしれることなく、文明を駆使する存在であっても、その奴隷と化することのないよう、人間らしさというも のを、この際、再考すべきであろう。 主体性をもった生き方とは、安易な人生を求めるよりも、強い人となることを、自分の力相応の仕事を求めるよ りも、与えられた仕事を果たす力を祈り求める謙虚さにある。このような謙虚さにこそ、真の人間の偉大さがある のだ。 思い出すこと 筆をとれば、説教がましいことを書く自分に、尐々いや気がさしてきた。でも、そうかといって、歌や詩がつく れる風流人ではなし、小説をものにするだけの度胸も腕も持ち合せていない。いつか、母が「あなたは平凡な女だ。 父親ゆずりで努力はするほうだけれども」といったことばが思いだされる。 父はほんとうに苦労した人だった。それでも、苦労した人に対しては、やさしい人だったように覚えている。三 十年前、不慮の死に見舞われるまで、年をとってからの子でもあり、早く別れなければならないことを予感してい たからか、私をとりわけかわいがってくれたらしい。その証拠に、父母の留守の間、私はいつも兄たちに「生意気 だ」といじめられては泣いていた。 軍務の暇をさいては、二階の書斎で読書に余念のなかった父を驚かそうと、階段をつま立ちで上がってゆくと、 父は知っていたであろうに、大仰にびっくりしたふうをしては幼い私を喜ばせてくれた。そして戸だなの中から鳩 落雁という干菓子を出してくれるのであった。宮中の宴会に招かれても、決しておみやげを忘れて帰る父ではなか った。 金色の紙に包まれたマロン・グラッセを宴会席上からそっとポケットにしのばせて帰るのに苦労したことは、 母が父の死後、私もだいぶん大きくなってから聞かせてくれた話である。 その父が、ある朝死んでしまった。それもほんの五分のほどのできごとの間に。 人間の生命のはかなさを幼な心にやきつけるようなできごとであった。 でも、あれでよかったのだと思う。なぜと聞かれてもわからない。多くのことが、その当時、たまらなく不幸に、 苦しいと思えても、あとでよかったと感じることがあるように。 私の心の中にいつまでもやさしく生きていてくれる父、秋の夜長に、虫の音を聞いていると、人一倍読書を好ん だ父が思いだされる。 終わりに この冬は暖冬かと思われましたが、先日、 「40年ぶり」という寒波に見まわれました。まだまだ寒い日が続 きますが、どうかご自愛のほどを。 (文責:進路指導部 池本 邦彦
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