長崎県水産業振興基本計画(仮称)

長崎県水産業振興基本計画(仮称)
(平成28年度∼32年度)
(案)
漁業を担う人材を確保し、地域の柱
となる力強い水産業の育成を目指す
平成28年3月
長
崎
県
目
第1章
次
本県水産業を取り巻く環境・水産業の現状
1 海況の特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2 本県水産業の地位 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
3 本県水産業の現状
(1)漁業生産量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2)漁業生産額・魚種単価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(3)海面漁業生産量(魚種別)と資源動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・
(4)養殖業生産量・生産額・単価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(5)加工・流通について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(6)水産物消費動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(7)漁場環境の変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ポイント ① 水産経営について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ポイント ② 漁業就業者について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ポイント ③ 雇用型漁業について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ポイント ④ 水産物の輸出について …・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ポイント ⑤ 沖合漁業について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
5
7
9
11
13
15
17
19
21
23
25
第2章
前計画の成果検証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
27
第3章
本県水産業の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
30
第4章
本計画の主旨
1 基本理念 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
2 基本目標
(1) 収益性の高い魅力ある経営体の育成 ・・・・・・・・・・・・・・・・
(2) 浜・地域の魅力を活かした水産業の活性化と
就業者確保 …・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(3) 国内外での販路拡大と価格向上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4) 漁業生産を支える豊かな漁場・安全で快適な
漁村の環境整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
33
35
37
39
3 基本指標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
41
4 計画の成果指標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
42
第5章
1
2
3
4
第6章
部門別の取組方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
44
沿岸漁業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
養殖業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
沖合漁業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
加工・流通 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
45
55
59
61
海区別の取組方針
1
2
3
4
5
6
7
8
西彼海区 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64
大村湾海区 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 70
橘湾海区 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 75
有明海海区 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 79
県北海区 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83
五島海区 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92
壱岐海区 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 97
対馬海区 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 103
第7章
試験研究の取組方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 112
第1章 本県水産業を取り巻く環境・水産業の現状
1 海況の特徴
本県は、九州の西北端に位置し、海岸線は、多くの離島、半島、岬、湾、
入江を形成し、変化に富んでいます。海岸線の長さは全国の約12%に
あたる4,179㎞(※)に及び、北海道に次ぎ2番目の長さとなっていま
す。
この海岸線に面した広大な海域には、九州西方を北上する対馬暖流
のほか、済州島方面からの黄海冷水、九州からの沿岸水などが流入して
おり、多くの島々や複雑な海底地形により、好漁場が形成され、内湾から
沖合までその漁場環境を活かした多種多様な漁業が営まれています。
※海岸線延長:全 国
うち長崎県
:
:
35,635 Km
4,179 Km(11.7%)
(海岸統計 平成25年度)
2 本県水産業の地位
◎平成25年の海面漁業・養殖業生産量及び生産額は、北海道に次いで全
国2位となっています。
<生産量・生産額>
H25 海面漁業・養殖業生産量
海面漁業・養殖業生産額
265,360 トン
921 億円
北海道
22%
北海道
27%
その他
38%
その他
38%
全国
473万トン
(100%)
全国
1兆3542億円
(100%)
長崎
6%
静岡
岩手
3% 鹿児島
三重 4%
3% 千葉 茨城 青森 4%
3% 3% 4%
長崎
7%
愛媛
6%
宮城
5%
兵庫
3% 青森
宮城
3% 三重 高知 静岡 4%
3% 4%
4%
海面漁業・養殖業生産量
鹿児島
6%
海面漁業・養殖業生産額
-1-
◎生産量(平成25年)が全国1位を誇る主要な魚種も数多くあります。
<海面漁業>
魚種名
生産量
51,623 トン
全国シェア
29.4%
24,197 トン
1,306 トン
16,222 トン
3,320 トン
27.1%
15.2%
13.7%
14.2%
1,118 トン
775 トン
270 トン
982 トン
24.9%
17.2%
24.7%
17.4%
6,511 トン
14.8%
フグ類
生産量
2,528 トン
全国シェア
50.9%
クロマグロ
4,616 トン
アジ類
《マアジ1位》
ウルメイワシ
クロマグロ
ブリ類
タイ類
《マダイ、チダイ・キダイとも1位》
イサキ
アナゴ類
アマダイ類
サザエ
イカ類
(スルメイカ、アカイカを除く
:主にケンサキイカやアオリイカなど)
<海面養殖業>
魚種名
31.4%
(資料:平成25年農林水産統計年報
クロマグロ:平成26年水産庁集計)
-2-
3 本県水産業の現状
(1)漁業生産量
○ 本県の漁業生産量は昭和54年の99万トンをピークに減少してきた。
平成14年頃からは減少傾向は緩やかになっている。
生産量の減少要因としては、カタクチイワシ、サバなどの漁獲減少、
まき網漁船隻数の減少や漁場環境の変化等が考えられる。
○ 平成20年はカタクチイワシが6万トンと豊漁で、30万トンの生産量
があったが、それ以降は2万トン程度まで激減したため全体量が減
少、沿岸漁業も減少、中小型まき網・大型定置網は横ばい。
本県水産業の生産量推移(S54∼H25)
長 崎 県(万トン)
全 国 (万 トン)
全国ピーク
S63 1,259万ト ン
140.00
120.00
1,200
長崎県ピーク
S54 99万 ト ン
1,000
養 殖業
大 臣許可 漁業
100.00
一 般漁業
800
80.00
600
60.00
400
40.00
200
20.00
0
0.00
S54
59
61
63
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
24
H20∼H25の生産量
海面漁業
養殖業
合計
H20
302,844
22,563
325,407
H21
267,851
23,103
290,954
H22
253,117
21,188
274,305
H23
270,052
21,112
291,164
(単位:トン)
H24
H25
245,565 244,050
21,727
21,310
267,292 265,360
資料:長崎県農林水産統計年報
-3-
年
漁業種類別生産量の推移(H20∼H25)
(大臣許可漁業・中小型まき網・大型定置網・その他沿岸)
160,000
トン
140,000
120,000
100,000
大臣許可漁業
中小型まき網
大型定置網
その他沿岸
80,000
60,000
40,000
20,000
0
H20年 H21年 H22年 H23年 H24年 H25年
単位:t
長崎県 海面漁業生産量の推移(H20-H25)
生産量・漁業種類
年
海面漁業生産量
うち指定漁業
(大臣許可:大中型まき網等)
うち一般漁業
中小型まき網
大型定置
その他沿岸
H20年
2008
H21年
2009
H22年
2010
H23年
2011
H24年
2012
H25年
2013
302,844 267,851
253,117 270,052 245,565
244,050
130,653 142,864
132,903 124,535 114,564
113,878
172,191 124,987
107,093 67,108
10,249 7,185
120,214 145,517 131,001
69,536 87,550 79,202
6,420 8,502 7,842
130,172
81,770
6,685
54,849 50,694
44,258 49,465 43,957
41,717
-4-
資料:長崎県農林水産統計年報
(2)漁業生産額・魚種単価
○ 本県の漁業生産額は昭和59年の2,259億円をピークにその後減
少傾向が続き、特に沖合漁業(大臣許可漁業等)は大きく減少してい
る。
○ 平 成 4年 までは2,000億 円 を維 持 していたが、平 成 13年 には
1,000億円台を割り込み、以降は900億円台で推移している状況
にある。
○ カタクチイワシやマアジの価格は横ばい、サバ類は近年上昇傾向に
ある。
○ ブリ類やスルメイカの価格は低下傾向にあり、天然マダイも一時大き
く下がったが近年は上昇傾向にある。
本県水産業の生産額推移(S57∼H25)
長崎県(億円)
全国 ピーク
S57 27,684億円
3,000
養殖業
長崎県 ピーク
S59 2,259億円
全国(億円)
沿岸漁業
沖合漁業
25,000
20,000
2,000
15,000
10,000
1,000
5,000
0
0
S5759 61 63 2 4
6 8 10 12 14 16 18 20 22 24
年
注)19年から統計調査項目の変更により沿岸、沖合の区分ができなくなり沿岸漁業へ合算
H20∼H25の生産額
海面漁業
養殖業
合計
H20
77,888
24,662
102,550
H21
72,046
23,843
95,889
H22
66,412
23,730
90,142
H23
71,046
24,947
95,993
(単位:百万円)
H24
H25
64,080
64,199
26,015
27,941
90,095
92,140
資料:長崎県農林水産統計年報
-5-
主要魚種単価の推移
資料:長崎県農林水産統計年報
円/kg
1,000
900
800
かたくちいわし
まあじ
さば類
ぶり類
たちうお
まだい
いさき
さざえ
するめいか
700
600
500
400
300
200
100
0
15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
15
かたくちいわし
まあじ
さば類
ぶり類
たちうお
まだい
いさき
さざえ
するめいか
50
223
97
435
731
885
738
670
333
16
47
256
105
426
683
840
604
670
282
17
53
243
90
521
801
770
570
675
357
18
53
295
111
438
851
819
626
736
394
19
20
57
308
109
439
621
743
603
645
312
54
273
97
420
631
792
824
658
286
21
49
245
104
350
647
544
686
593
289
22
年
(単位:円/kg)
24
25 価格動向 資源動向
56
72
64
235
284
273
137
119
134
294
299
245
720
815
844
N.D.
634
629
661
735
716
768
N.D.
706
711
721
N.D.
257
239
265
23
56
233
117
313
862
570
713
623
253
資料:長崎県農林水産統計年報
-6-
(3)海面漁業生産量(魚種別)と資源動向
○ 漁獲量が最も多いサバ類は近年減少傾向にあり、資源水準も低位
で減少傾向と評価されている。
○ マアジは年変動はあるものの漁獲量は横ばいで、資源水準は中位
で横ばい傾向と評価されている。
○ 平成20年と比べ漁獲量が大きく減少しているカタクチイワシは、資
源水準が低位にあり、減少傾向と評価されている。
○ 沿岸域で漁獲されているマダイやイサキの漁獲量は横ばいであるが、
マダイは資源水準が低位にあり、減少傾向と評価されている。
○ 主要魚種の資源動向は横ばい若しくは減少傾向となっている。
主要魚種の漁獲量推移
トン
100,000
90,000
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
かたくちいわし
まあじ
さば類
ぶり類
するめいか
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26(概数)
(単位:トン)
かたくちいわし
まあじ
さば類
ぶり類
するめいか
H20
59,333
43,703
76,444
9,042
13,293
H21
20,115
44,465
90,944
8,290
12,928
H22
26,582
51,691
76,015
9,549
8,912
H23
31,280
54,661
67,405
14,193
13,852
H24
23,439
41,802
68,454
10,592
11,292
H25
23,708
47,910
50,619
16,222
7,480
H26(概数)
29,933
44,977
58,236
12,508
概数値無し
資料:長崎県農林水産統計年報
トン
主要魚種の漁獲量推移
2,500
2,000
たちうお
まだい
いさき
さざえ
1,500
1,000
500
0
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26(概数)
(単位:トン)
たちうお
まだい
いさき
さざえ
H20
2,152
1,900
1,388
1,419
H21
539
1,741
1,064
1,268
H22
390
1,480
835
968
-7-
H23
633
2,101
1,367
738
H24
406
1,911
1,086
776
H25
767
1,629
1,118
982
H26(概数)
861
1,698
1,035
概数値無し
資料:長崎県農林水産統計年報
主要魚種の資源動向
年度(上段:水準、下段:動向)
魚 種
◎:高位、○:中位、△:低位
H23
H26
○
○
【横ばい】
【横ばい】
○
△
【増加】
【減少】
△
○
【増加】
【増加】
○
△
【減少】
【減少】
◎
◎
【増加】
【増加】
○
△
【横ばい】
【減少】
△
△
【横ばい】
【横ばい】
○
○
【減少】
【横ばい】
◎
◎
【横ばい】
【横ばい】
△
△
【増加】
【横ばい】
○
△
【減少】
【減少】
マアジ
マサバ
(漁獲量はサバ類)
マイワシ
カタクチイワシ
ブリ
(漁獲量はブリ類)
マダイ
ヒラメ
スルメイカ
(冬季発生系)
スルメイカ
(秋季発生系)
ケンサキイカ
クロマグロ
(太平洋)
概
況
・S53 から H7 までは増加傾向
その後やや減少し 5 万トン前後で横ばい。
※サバ類(マサバ・ゴマサバ)
・S53 から H2 までは減少傾向
その後 H8 年に20万トンまで増加。その後減
少。
・H2 の 40.3 万トン以降減少傾向
・H14 には 32 トンまで激減
その後やや増加し横ばい。
・S53 から H7 まで 1∼3 万トンで変動
・H8 年から増加。H20 は 5.9 万トン。
その後減少
※ブリ類(ブリ、カンパチ、ヒラマサ)
・H5 まで 6,000 トン前後で推移
その後 H8 年から増加
・S53 まで 3,000 トン台で推移
その後減少し 1,500 トン前後で推移
・S60 前後、H8,9 に 600 トン台の高位
その後減少し横ばい。
・H5 にかけ 4 万トンまで増加
その後減少し横ばい。
・S62 頃まで 9,000 トン台で安定
その後減少し 5,000 トン前後で横ばい。
・H17 頃から増加し H20 には 4,800 トン
その後減少傾向
出展:資源動向は国の「魚種別系群別資源評価」(毎年1回評価)
漁獲量は長崎県農林水産統計年報(一部県総合水試推計値)
-8-
資源動向
(4)養殖業生産量・生産額・単価
○ ブリやマダイの生産量は減少傾向にあり、フグ類(トラフグ)は横ば
い。
○ 単価はフグ類において低下傾向
○ クロマグロの生産量が大きく伸びたことに伴い、生産額も300億円
近くまで増大している。
○ 養殖用飼料の原料となる輸入魚粉価格が近年上昇傾向にあり、コス
ト高となっている。
H20とほぼ同じ
水準
海面養殖業生産量の推移
万トン
3
その他
くろまぐろ
ふぐ類
まだい
ぶり類
2
1
0
H20
ぶり類
まだい
ふぐ類
くろまぐろ
その他
合計
H20
11,570
3,344
2,496
776
4,377
22,563
21
22
H21
10,656
3,468
2,936
1,141
4,902
23,103
23
H22
8,842
3,359
2,449
2,287
4,251
21,188
24
25
年
(単位:トン)
H24
H25
10,319
9,410
2,667
2,424
2,289
2,528
2,655
3,070
3,797
3,878
21,727
21,310
H23
9,841
2,472
2,073
2,613
4,113
21,112
資料:長崎県農林水産統計年報
H20から13%
の増加
海面養殖業生産額の推移
億円
300
その他
200
くろまぐろ
ふぐ類
まだい
100
0
ぶり類
まだい
ふぐ類
くろまぐろ
その他
合計
ぶり類
H20
H20
8,324
2,382
5,675
2,600
5,681
24,662
21
22
H21
7,690
1,845
5,377
3,200
5,731
23,843
23
H22
6,538
2,172
4,304
5,100
5,616
23,730
24
25
H23
7,076
1,623
3,902
7,300
5,046
24,947
年
(単位:百万円)
H24
H25
6,712
6,853
1,976
1,869
3,570
3,812
8,243
8,835
5,514
6,572
26,015
27,941
資料:長崎県農林水産統計年報
-9-
円/kg
300
輸入魚粉単価の推移
輸入国:ペルー
250
200
150
100
50
0
H22.4
H23.4
H24.4
H25.4
H26.4
H27.4
資料:財務省貿易統計
養殖魚単価の推移
円/kg
4,000
3,500
3,000
ぶり類
まだい
ふぐ類
くろまぐろ
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
H20
21
22
23
24
25
長崎県農林水産統計年報より推計(クロマグロは県調べ)
- 10 -
(5)加工・流通について
○ 水産加工品はその生産量の約8割を冷凍水産物が占めており、煮
干し等低次加工品が多く、高次加工品の生産量が少ない。
(冷凍水産物:全国4位、素干し:全国4位、食用加工品:全国25位)
○ 水産加工場は、個人経営体の割合が5割を超え、小規模経営が多
いため、多様化するニーズや大口需要に対応できていない。
○ 水産物の流通実態としては、数量では直接出荷が約7割、漁協取扱
が約2割を占めており、直接出荷の割合が増加している。
○ 共販出荷における主な出荷先は、県内では長崎魚市場、佐世保水
産市場、松浦魚市場の3市場及び県漁連を中心として約5割、福岡、
京阪神、関東等への県外出荷が約5割となっている。
冷凍物
その他の加工品
トン
冷凍食品
ねり製品
160,000
煮干し
塩干品
140,000
素干し
120,000
100,000
80,000
60,000
40,000
20,000
0
H10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
24年
23
水産加工品生産量の推移
水産加工品生産状況(平成24年)
生産量(トン)
割合(%)
品目
全国
長崎県 ( 長 崎 県 / 全 国
ねり製品(かまぼこ類)
474,503
2.31%
10,965
冷凍食品
263,212
0.99%
2,606
素干し
15,799
1.96%
309
2.34%
塩干品
177,678
4,158
煮干し
61,167
9.15%
5,599
塩蔵品
198,445
0.33%
660
くん製品
9,031
1.36%
123
節製品
91,393
0.27%
251
1.09%
その他食用加工品
372,915
4,081
冷凍水産物
1,257,111
7.80%
97,994
全国
順位
15
24
6
13
4
16
3
18
25
4
資料:農林水産省「水産加工統計調査」
注)ねり製品の長崎県生産量及び全国順位はかまぼこ類によるもの
注)全国順位は、公表数値の単純集計値より求めた。
形態別工場数(平成25年)
都
名
計
道
994
宮
城
293
長
崎
501
北
道
府
海
県
単位:工場
個人
会社
132
(13.3%)
29
(9.9%)
276
(55.1%)
796
(80.1%)
257
(87.7%)
191
(38.1%)
漁協、漁連、
生産組合
52
(5.2%)
4
(1.4%)
31
(6.2%)
組 合
水産加工組合、
加工連
6
(0.6%)
3
(1.0%)
資料
- 11 -
その他
その他
2
6
(0.2%) (0.6%)
3
(0.6%)
農林水産省「2013年漁業センサス」
単位:億円
水産加工生産額の推移 業種
H20
H21
H22
H23
水産缶詰・瓶詰製造業
33
32
31
海藻加工業
30
39
32
水産練製品製造業
98
104
102
塩干・塩蔵品製造業
16
10
13
冷凍水産食品製造業
100
94
90
その他(素干・煮干等)
149
154
137
食用加工品製造業 計
426
434
405
冷凍水産物製造業
126
38
29
合 計
552
472
434
H24
30
108
17
H25
32
26
23
25
97
92
21
22
76
78
130
127
117
285
376
360
120
134
496
494
-
450
資料
経済産業省「工業統計調査」
類型別流通構成比の年次推移(数量)
生産者の直接
出荷
生産者の直接出荷
平成2年
65.1%
21.0%
10.5%
平成5年
65.5%
20.2%
10.5%
平成8年
75.7%
平成11年
平成14年
19.4%
64.2%
平成17年
平成23年
40%
2.7%
18.3%
60%
買付業者の直接買付
その他
4.4%
22.8%
72.8%
20%
組合開設市場
7.1%
20.2%
64.8%
4.5%
4.7%
21.3%
69.3%
平成20年
0%
13.0%
68.2%
共販出荷
80%
2.7%
100%
漁協共販出荷の主要仕向地(平成23年)
漁協
42,775t
長崎主要市場(13,500t)
(長崎・佐世保・松浦)
31.6%
県内(21,210t)
49.6%
県漁連(6,660t)
15.6%
県内その他(1,050t)
2.5%
福岡・その他九州、
下関(16,391t)
38.3%
県外(21,565t)
50.4%
京阪神(2,294t)
5.4%
関東(565t)
1.3%
県外その他(2,315t)
5.4%
資料
- 12 -
平成23年水産物流通の実態調査
(6)水産物消費動向
○ 生鮮魚介よりも生鮮肉の購入数量が多い。
(平成 18 年を境に生鮮魚介と生鮮肉の購入数量が逆転)
○ 生鮮魚介の購入数量、金額ともに減少傾向にある。
○ 家族が魚介類を好まない傾向があること、調理手間がかかること等
が影響していると思われる。
○ 一方、8割以上の親が、子供に今以上に魚を食べさせたいと思って
いる。
生鮮魚介・生鮮肉の1人当たりの購入数量
生鮮魚介と生
鮮肉が逆転
g
17,000
16,000
15,000
14,000
13,000
12,000
11,000
10,000
9,000
8,000
平成 15
16
17
18
g/人・年の購入数量
19
20
21
22
23
全国 生鮮魚介
全国 生鮮肉
長崎市 生鮮魚介
長崎市 生鮮肉
24
25
26
年
1人当たりの購入数量
平成
(単位:g)
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
全国 生鮮魚介
13,186 12,827 12,747 12,183 12,224 11,608 11,664 10,996 10,411 10,106 10,027
全国 生鮮肉
12,316 12,155 12,592 12,622 12,945 13,256 13,878 13,881 14,011 14,269 14,841 14,868
長崎市 生鮮魚介
16,410 16,484 14,616 12,927 12,850 13,028 13,728 11,277 11,115 12,148 11,323 11,914
長崎市 生鮮肉
14,261 14,360 13,706 13,383 14,539 14,522 16,045 16,248 13,685 14,319 15,675 16,542
資料: 家計調査年報
親が子供に今以上に魚を食べさせたいかという調査
では8割以上が「そう思う」と回答
- 13 -
9,441
生鮮魚介の1世帯あたり年間支出金額の推移
総務省:家計調査
- 14 -
(7)漁場環境の変化
○ 東シナ海北部海域における、平成26年までのおよそ100年間の海
域平均海面水温(年平均)の上昇率は、+1.2℃/100 年で、この上昇
率は、世界全体の平均海面水温の上昇率(+0.51℃/100 年)の2倍
以上と大きな値となっている。
○ 沿岸部では、魚介類が産卵したり、幼稚魚の時期を過ごす場として重
要な藻場が減少・消滅する、いわゆる「磯焼け」が見られており、これ
は近年の海水温上昇に伴い海藻を食べる魚介類(植食性魚介類)の
活動の活発化や長期化が影響しているものと考えられる。
○九州・沖縄海域における海域平均海面水温の上昇率
+1.22±0.30
+1.20±0.25
+1.14±0.17
数値は海面水温上昇率(℃/100 年)
+0.73±0.21
(資料:海面水温の長期変化傾向
(気象庁ホームページ)を改編)
- 15 -
- 16 -
ポイント① 水産経営について
○ 漁獲量減少や魚価安などにより漁労収入は減少傾向
○ 漁労支出の25%を占める燃油は平成16年から平成20年にかけ
急激に上昇し、漁業経営に大きな打撃となった。その後価格は下が
ったものの現在でも平成16年当時の2倍の価格となっており、依然
として厳しい経営状況
○ 68%の漁業経営体が漁業所得100万円未満。そのうち65歳以上
が60%を占めている。
沿岸漁業1経営体当たり漁労収入の推移
千円
6,000
5,000
4,000
3,000
生産額
2,000
1,000
0
H元
H5
H10
H15
H25
※生産額は漁業センサスからの推計値
年
生産額
H元
5,674
H5
5,854
(千円)
H15 H25
4,942 4,413
H10
5,234
漁労収支・所得の推移
(全国の漁船漁家)
(千円)
7,000
6,000
収入
6,716
5,000
収入
6,141
収入
5,058
4,000
支出
3,947
3,000
2,000
所得
2,742
1,000
支出
4,100
所得
2,041
支出
3,705
所得
1,353
0
H19年(全国)
H24年(全国)
※資料:全国- 「漁業経営調査報告」に基に基づき水産庁作成
長崎- 県調査
- 17 -
H24年(長崎)
漁労支出の構成割合
漁船・漁具費
4%
雇用労賃
7%
その他
26%
減価償却費
8%
修繕費
9%
漁労支出の割合
3,705千円
(100%)
油費
25%
魚箱代
3%
販売手数料
13%
氷代
3%
※県調べ
えさ代 2%
A 重油価格の推移
円
円/ℓ
100.0
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
価格
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
H17
H16.4
H18
H19
H20
H21
H22
H23
資料:
H24
H25
H26
H27
( 財 ) 経済調査会
漁業所得(階層別・専業兼業別)
5 0 0 ∼( 専)
3 0 0 ∼5 0 0
( 兼)
5 0 0 ∼( 兼)
100万以下経営体年齢構成
3 0 0 ∼5 0 0
( 専)
1 0 0 ∼3 0 0
( 兼)
∼49歳
∼1 0 0 (専)
1 0 0 ∼3 0 0
( 専)
50∼64歳
∼1 0 0 (専)
65歳以上
65歳以上
∼1 0 0 ( 兼)
100万未満のうち
60%が65歳以上
1 0 0 ∼3 0 0 ( 専)
50∼64歳
1 0 0 ∼3 0 0 ( 兼)
3 0 0 ∼5 0 0 ( 専)
49歳以下
3 0 0 ∼5 0 0 ( 兼)
5 0 0 ∼( 専)
∼1 0 0 ( 兼)
5 0 0 ∼( 兼)
所得額(万円)
経営体割合
∼100(専)
34.9
(単位:%)
∼100(兼)
33.3
100∼300(専) 100∼300(兼) 300∼500(専) 300∼500(兼)
15.9
7.9
3.5
1.2
500∼(専)
500∼(兼)
2.7
0.6
※県調べ
- 18 -
漁業所得100万円以下経営体の年齢別内訳
年齢区分 65歳以上 50∼64歳 49歳以下
経営体数
3,037
1,638
385
割合(%)
60%
32%
8%
(H25)
合計
5,060
ポイント② 漁業就業者について
○ 平成25年の漁業就業者数14,310人は、平成5年比で49%(半
減)、平成20年比で82%となっており減少に歯止めがかからない状
況にある。年齢構成比は直近10年では40∼64歳が約半数を占め、
40歳未満が15%、65歳以上が30%程度となっている。
○ 漁業就業者の減少は、平成20年と平成25年の年齢構成比から65
歳以上が約3千人減少していることが主な要因。 65歳未満の漁業
就業者の離職率は10%程度となっている。 平成20年と平成25年
のすう勢から平成30年の漁業就業者は11,349人と予測してい
る。
○ 近年、新規漁業就業者は毎年約150名程度が確保され、うち地元
出身で漁家子弟が約3割を占めている。新規漁業就業者のうち約2
割が就業後3年以内に離職している。
長崎県漁業就業者の推移
単位:人
調査年
40才未満 40∼64才 65才以上
40歳未満 40∼64歳 65歳以上
割合
割合
割合
合計
S53
S58
S63
H5
H10
H15
H20
14,965
12,879
10,101
6,245
4,147
2,921
2,600
25,380
24,994
21,646
17,963
14,243
10,882
9,142
3,329
3,541
3,698
4,981
5,987
6,288
5,724
43,674
41,414
35,445
29,189
24,377
20,091
17,466
H25
2,100
7,321
4,889
14,310
就業者合計
S53比33%
H5比49%
H20比82%
34%
31%
28%
21%
17%
15%
15%
58%
60%
62%
62%
58%
54%
52%
8%
9%
10%
17%
25%
31%
33%
15%
51%
34%
資料:漁業センサス
単位:人
年齢階層別漁業就業者構成数
平成25年
H25−20 年
比較 ※
40歳未満
2,100
1,741
359
40∼64歳
7,321
7,921
-600
65歳以上
4,889
7,804
-2,915
14,310
17,466
-3,156
計
※
平成20年
平成20年から5年後の平成25年への推移により算出した
階層別増減数
- 19 -
新規漁業就業者数の推移 (普及指導センター調べ)
年度
7∼11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
実績数値(人)
599 115 107 116 104 137 145 169 110 134 147 146 152 152 170 136
116
141
151
5ヵ年平均(人/年) 120
新規漁業就業者の年齢構成比
年齢
単位:人
H23∼26平均 構成比(%)
∼19歳
20∼29
30∼39
40∼49
50∼59
60∼ 女性
合計
25
33
24
19
21
16
15
153
17%
22%
15%
12%
14%
10%
10%
100%
UIターン、地元、漁家子弟の状況
加入元(出身) H23∼26平均 構成比(%)
UIターン
地元
(うち漁家子弟)
合計
37
116
(39)
153
○長崎県における新規漁業就業者の離職状況(着業後1∼4ヵ年経過後の状況)
平成22年度
新規漁業就業者数
平成23年度
新規漁業就業者数
平成24年度
新規漁業就業者数
平成25年度
新規漁業就業者数
単位:人
146人
4年後の離職者44人(離職率30%)
152人
3年後の離職者22人(離職率14%)
152人
2年後の離職者27人(離職率18%)
170人
1年後の離職者18人(離職率11%)
- 20 -
24%
76%
(26%)
100%
ポイント③ 雇用型漁業について
○ 中小型まき網漁業と定置網漁業は、漁村地域において重要な雇用
の受け皿となっており、さらには加工業、流通業、鉄工所など、地域
経済や社会の維持に大きな役割を担う産業となっている。
○ 両漁業でも他産業と比べ労働条件が厳しいことや、休漁期間があり
周年雇用されていないケースもあることなどから、乗組員の確保が
厳しい状況となっている。
○ 加えて、乗組員の高齢化が進行している。
県内まき網漁業及び定置網漁業の現状
資料:漁獲量、経営体数は農林水産統計年報
就業者数は県調べ
漁獲量〈千トン〉
(割合)
経営体数
(割合)
就業者数〈人〉
(割合)
まき網
82(34%)
71(1%)
1,091(8%)
定置網
13(5%)
296(4%)
1,132(8%)
244
7,690
14,310
県内全体
県内まき網漁業及び定置網漁業の1統当たりの雇用者数
小型
中型まき網・大型定置網
まき網
3∼10人
10∼25人
定置網
2∼15人
5∼30人
県調べ
県内まき網漁業及び定置網漁業における操業パターン〈例〉(周年操業を除く)
※周年操業を行わない統数はまき網で全体の約3割、定置網で4割
- 21 -
まき網漁業就業者年齢構成(H26)
16%
27%
30歳未満
31歳∼60歳
60歳以上
57%
県調べ
定置網漁業就業者年齢構成(H25)
4%
30歳未満
31歳∼60歳
60歳以上
44%
52%
県調べ
- 22 -
ポイント④ 水産物の輸出について
○ 本県水産物は、活鮮魚(特に養殖魚)を中心に輸出されている。
○ 輸出拡大を図るには、先行する他県と差別化しつつ、海外のニーズ
を踏まえた魚づくりを行うとともに、安定供給のための協業化を含め
た生産体制づくりが必要である。
○ 米国等の輸出先国が求める衛生管理基準を満たした HACCP 対応
施設は、県内では5箇所のみであり、今後更なる輸出拡大を図るに
は衛生管理体制の構築等を推進していくことが必要である。
本県水産物輸出の推移(H24∼H26年度)
長崎県水産物海外普及協議会(※)による実績
※
長崎県水産物海外普及協議会:長崎県産水産物の輸出推進に向け、県内の魚市場、
漁業団体、関係市及び県が平成20年に設置
単位:
百万円
1,000
944
900
644
644
644
800
(うち中国)
(うち中国)
602
557
700
600
352
500
(うち中国)
352306
400
300
200
100
0
H24年度
H24年度
H25年度
活鮮魚(天然)
H25年度
活鮮魚(養殖)
冷凍魚
H26年度
H26年度
加工品
主要国における水産食品に対する輸入規制
国・地域
輸入規制の概要
EU
漁船、養殖場、市場、加工場等はEUの衛生基準を満たし、認定・登
録を県や水産庁から受ける必要。また、加工場等はHACCPによる衛
生管理が必要
米国
加工施設(フィレ加工や冷凍等)は米国の衛生基準(HACCPによ
る衛生管理)を満たしている必要がある。
ブラジル
加工場はブラジルが定める衛生基準(HACCPによる衛生管理)を
満たす必要がある。
※
輸入される水産食品に対するHACCP義務が現在ない国・地域においても、今後義務化される
可能性がある。
- 23 -
主要輸出先国における形態別の輸出額割合(H26年度)
※長崎県水産物海外普及協議会による実績
【輸出額:602百万円】
中国
韓国
【輸出額:150百万円】
3%
23%
43%
1%
【輸出額:25百万円】
香港
0%
3%
8%
75%
他 県 産 水 産 物 の 輸 出 推 移
平成24年度
平成25年度
平成26年度
北海道
82,000トン
132,000トン
115,000トン
福岡県
601トン
622トン
361トン
長崎県
541トン
947トン
2,394トン
大分県
507トン
503トン
722トン
熊本県
1,261トン
1,322トン
1,795トン
宮崎県
198トン
209トン
263トン
3,163トン
3,811トン
2,246トン
鹿児島県
17%
48%
48%
道県
15%
83%
【輸出額:21百万円】
米国
0.5%
2%
31%
備考
ホタテ等
ビゼンクラゲ等
クロマグロ、ブリ、マダイ等
生鮮ブリフィレ【米国等】
ブリ【米国等】
生鮮ブリ【香港等】
生鮮ブリフィレ【米国等】
※各県等への聞き取り調査(北海道は年計、他は年度計)、長崎県データ:H24,25は協議会実績、H26は協議会以外も含む。
︵ 平 成
年 度 ︶
輸 出 キ ロ 単 価
26
魚種
クロマグロ
タイ
生鮮
冷凍
形態
備考
3,736円 2,171円 RD、DR等 太平洋クロマグロ
974円
320円 RD、DR等 マダイ、キダイ、クロダイ等
ブリ
1,692円 1,642円 フィレ
アジ
1,768円
ブリ、ヒラマサ、カンパチ
113円 RD、DR等 マアジ、マルアジ
※財務省貿易統計より計算(輸出額/輸出量)
RD(ラウンド):原魚のまま
DR(ドレス) :頭・えら・内臓除去
- 24 -
ポイント⑤ 沖合漁業について
○ 沖合漁業(大臣許可漁業)は、国(農林水産大臣)の管理のもと、東
シナ海、日本海等を主な漁場として会社経営で営まれ、本県漁業生
産量の約4割を占め、その従業員数は約 1,200 名と本県雇用の受け
皿となっている。
○ 魚市場、造船、運送業及び水産加工業などの関連産業とも密接な
関連があり、本県にとって重要な産業である。
○ 主漁場である東シナ海における外国漁船との漁場競合、資源の減
少、燃油の高止まりや魚価の低迷によって厳しい経営環境が続くと
ともに、漁船の老朽化等も進行しているため、漁業の構造転換を促
進し、国際競争力を強化し、より厳しい環境下でも操業を継続できる
経営体の育成を図る必要がある。
○ 乗組員は、従来までは55歳で定年を迎えていたが、若年層乗組員
の確保が困難となっており、近年は61歳以上の乗組員も就業を続
けている。
○ 漁獲物の付加価値向上や海外輸出に対応するため、漁船内の冷
凍・冷蔵設備の改善等による鮮度保持や市場における衛生管理の
強化が重要となっている。
本県に本社がある沖合漁業経営体数と許可隻数(平成27年8月現在)
大中型まき網 以西底びき網 沖合底びき網 北太平洋さんま
9
16
経営体数
許可隻数
2
8
沖合漁業漁船(許可船)の船齢構成(H25)
2
4
1
2
合計
14
30
沖合漁業漁船乗組員の年齢構成(H27)
7%
4%
22%
9%
∼10年未満
19%
15%
30歳以下
10∼15年未満
13%
15∼20年未満
20∼25年未満
25年以上
48%
- 25 -
31∼40歳
41∼50歳
40%
51∼60歳
61歳以上
23%
●トピックス●
以西底びき網、大中型まき網及びさんま棒受け網漁業などの沖合
漁業は、アジ、サバ、サンマ、キダイなどの「旬」な魚を全国各地
に食材として提供するほか、魚市場、食品販売、運送及び造船など
の関連産業とも密接な関係があります。
本県沖合漁業の関連産業への経済波及効果について、各種統計資
料をもとにピーク時である昭和 55 年当時と現状を比較すると、ピ
ーク時には年間約 340 億円あった関連産業への投入額は、現状で
は年間約 90 億円まで減少しているものと推測されます。
主要業種別に投入額のピーク時と現状を比較すると、運送業は約
60%、魚市場・魚介類販売業と造船業は約 30%、水産加工業は約
25%、石油製品業は約 15%まで減少しています。
○沖合漁業の関連産業への経済波及効果
魚市場・魚介類販売(商業)
26億円 ⇒ 8億円
沖合漁業の生産額
( S 55 )
( H
2 5 )
889億円 ⇒ 244億円
(H25/S55:27.5%)
・県内魚介類販売業
3,147 施設 → 2,320 施設
・県内魚介類せり売業
62 施設 → 38 施設
・漁業生産量 58 万トン → 11 万トン
・漁労体数
176 統
→
25 統
運送業
15億円 ⇒ 9億円
・県内運輸業等事業所数
1,589 → 1,608
関連産業への投入額合計
340億円 ⇒ 91億円
(H25/S55:21.5%)
水産加工業(食料品)
27億円 ⇒ 7億円
・県内水産加工場数
865 → 501
その他の産業
120億円 ⇒ 38億円
造船業(船舶・船舶修理)
33億円 ⇒ 10億円
・県内造船所数
94 事業所→78 事業所
・県内漁船(鋼船)建造数
→ 3隻
62 隻
石油製品業
119億円 ⇒ 19億円
・県内石油製品販売量(重油)
151 万キロ㍑ → 74 万キロ㍑
※ 長崎農林水産統計年報・長崎県産業連関表より算出(H25 の生産額は県推計値、また投入額は H17 年投入係数表から算出)
※ 比較数値は、「長崎県統計年鑑(長崎県統計課)」に記載されている統計値から引用
- 26 -
第2章 前計画の成果検証
○ 基本目標9項目中5項目、基本施策25項目中17項目についてそれぞ
れ達成の見込み。
○ 資源は依然として厳しい状況にあり、海面漁業生産量は目標を達成で
きず、加工品出荷額も原料不足に加え、高次加工が進まず、目標を達
成できなかった。
○ 養殖生産額は目標を上回り、新規就業者数は目標に近い数を確保で
きた。
○ 漁業体験参加者数や環境保全活動取組集落数も目標を達成した。
基本目標関連指標の達成見込み
基本目標
関連指標
達成
5
未達成
4
H25
基準年
H26
基準値
目標値 実績値 目標値 実績値
H27
目標値
達成
見込み
30 万トン
30
24
30
24
30
×
H24年度
14 種
17
13
18
14
19
×
③ 海面養殖業生産額
H20年
247 億円
276
279
288 未公表
300
○
④ 漁業就業者一人あたりの生産額
H20年
587 万円
696
644
718 未公表
740
×
⑤ 水産加工品出荷額
H20年
552 億円
579
494
614 未公表
650
×
H21年
254 円/kg
258
264
260
273
262
○
H17-21
年度
705 人
150
170
150
136
150
○
① 海面漁業生産量
H20年
Ⅰ 次世代へつなぐ水産資源と漁場づくり
② 資源状態が維持・回復した魚種数
Ⅱ
Ⅲ
収益性の高い、安定した漁業・養殖業
の経営体づくり
消費者も産地も潤う水産物の供給体制
づくり
⑥ 魚価
⑦ 新規就業者数 *5ヵ年度累計
Ⅳ 地域を支え、食を支える漁業者づくり (150×5=750)
⑧ 漁業体験参加者数
H21年度
20 千人
23.3
27.4
24.2
27.7
25
○
⑨ 環境保全活動取組集落数
H22年度
112 集落
125
125
125
127
125
○
Ⅴ 安全で快適な活力ある漁村づくり
①「海面漁業生産量」は、多獲性魚種
のカタクチイワシ、サバなどの漁獲減
少やまき網等漁船隻数の減少などによ
り、目標達成は厳しい見通しです。
④「漁業就業者一人あたりの生産額」
は、漁業生産量の減少、魚価の伸び悩み
等により、目標達成は厳しい見通しで
す。
⑦「新規就業者数」は、国や県の新規
就業者支援対策の活用により目標を達
成する見通しです。
②「資源状態が維持・回復した魚種
数」は、公的・自主的な資源管理を推
進してきましたが、海況等の自然環境
の影響等により目標達成は厳しい見通
しです。
⑤「水産加工品出荷額」は、練製品など
の高次加工品が伸びず、また、原料不足
により、煮干、素干などの製造量が減少
したため目標達成は厳しい見通しです。
⑧「漁業体験参加者数」は、農林漁業
体験プログラム数の増加に伴い漁業体
験参加者数も増加し、目標を達成する
見通しです。
③「海面養殖業生産額」は、クロマグ
ロの生産量の増大、真珠価格の上昇等
により、目標を達成する見通しです。
⑥「魚価」は、漁獲の多いアジ、サバ、
イワシ等の魚価が高めで推移しており、
目標を達成する見通しです。
⑨「環境保全活動取組集落数」は、環
境保全への意識の醸成により各地で環
境保全活動は活発に取り組まれてお
り、目標を達成する見通しです。
- 27 -
基本施策関連指標の達成見込み
基本目標
基本施策
関連指標
達成
17
未達成
8
H25
基準年
基準値
35 件
1.資源管理による水産資源の維持・回復
① 自主的な資源管理計画策定数
H21年度
2.栽培漁業の効率的な推進
② 共同放流体制が構築された魚種数
H21年度
3.漁業管理体制の見直しと取締の強化
③ 許可制度の見直し件数
H21年度
H26
達成
見込み
H27
目標値 実績値 目標値 実績値 目標値
207
210
211
223
215
○
2
2
2
2
3
○
−件
2
3
2
4
3
○
H21年度
531 km2
593
608
639
622
650
○
⑤ 新技術等の導入に対する支援件数
H21年度
−隻
15
4
20
5
25
○
⑥ 認定漁業者に対する支援件数
H21年度
−件
72
51
96
60
120
×
43.0
45.4
44.0 未公表
45.0
○
2,700 3,070 2,700 4,616
2,700
○
56
70
×
1 魚種
Ⅰ 次世代へつなぐ水産資源と漁場づくり
4.資源増殖と沿岸環境の保全を目指す漁場
④ 漁場整備面積
づくり
5.収益性の高い漁業生産体制の構築
Ⅱ
収益性の高い、安定した漁業・養殖業
の経営体づくり
6.収益性の高い養殖業の育成
7.漁家経営安定対策の推進
⑦ 魚類養殖生産量に占める新魚種
(ハマチ・マダイ以外)の割合
H20年
35.6 %
⑧ マグロ養殖の生産量
H21年
1,100 トン
H21年度
43 %
⑨ 共済加入率
60
47
65
①「自主的な資源管理計画策定数」
は、資源管理意識の醸成と、国が導入
した資源管理・収入安定対策により資
源管理計画の策定が進み、目標を達成
する見通しです。
⑥「認定漁業者に対する支援件数」
は、支援に関する事業の認定要件をク
リアできる漁業者が少なかったため、
目標達成は厳しい状況です。
②「共同放流体制が構築された魚種
数」は、ヒラメ栽培漁業推進会議な
ど、県内で共同放流に向けた体制づく
りが進み、目標を達成する見通しで
す。
⑦「魚類養殖生産量に占める新魚種の
割合」は、クロマグロの生産増大によ
り、目標を達成する見通しです。
③「許可制度の見直し件数」は、許可
の適格性基準を制定し、一斉更新に併
せた見直しなどにより、目標を達成す
る見通しです。
⑧「マグロ養殖の生産量」は、平成
26年7月に改定した「長崎県マグロ
養殖振興プラン」に基づく大型化や高
品質化、養殖用種苗の確保等の取組に
より、目標を達成する見通しです。
④「漁場整備面積」は、国営マウンド
魚礁の完成や県営大型魚礁等の整備に
より、目標を達成する見通しです。
⑨「共済加入率」は、クロマグロなど
養殖業の加入が進まなかったため、目
標達成は厳しい状況です。
⑤「新技術等の導入に対する支援件
数」は、漁業者に対する経営支援体制
を強化し、新技術導入が図られること
等により、目標を達成する見通しで
す。
- 28 -
基本目標
基本施策
関連指標
H25
基準年
⑩ ブランド産品販売額の向上
H26
目標値 実績値 目標値 実績値
達成
見込み
H27
目標値
99.7 億円
112.0
108.0
116.0
115.2
120
○
5.2 億円
8.0
8.4
9.0
9.6
10
○
⑫ ブランド鮮魚
94.5 億円
98.0
68.4
99.0
71.8
100
×
⑬ 地域ブランド
− 億円
⑪ 平成「長崎俵物」
H21年度
8.付加価値の高いブランド産品の育成強化
消費者も産地も潤う水産物の供給体制
Ⅲ
づくり
基準値
6.0
31.6
8.0
33.8
10
○
9.地産地消の推進と水産物の県外への販路拡大
⑭ 生産者と飲食店等との商談会等における
新たな取引成立件数
H21年度
−件
10
11
10
14
10
○
10.水産物輸出戦略の推進
⑮ 東アジア向け鮮魚等輸出額
(関係団体分)
H21年度
2.4 億円
4.0
4.6
6.0
6.5
11.安全・安心な水産物の安定供給
⑯ 高度な衛生管理体制により取り扱われる
水産物の数量
H21年度
− トン
設定
困難
-
設定
困難
12.漁業の将来を担う人材の確保
⑰ 営漁計画認定者数(リース漁船支援対象
者数)
H17-21
年度平均
6人
10
12
⑱ 漁業士数
H21年度
148 人
160
⑲ ライフジャケット装着率
H21年度
40 %
⑳ 漁業協同組合数
H21年度
21 就労環境改善のための施設整備(浮桟橋
等、防風対策、防暑対策)漁港数
8.0
○
-
50,000
×
10
7
15
○
157
164
162
168
×
56
53
58
57
60
○
71 組合
設定
困難
69
設定
困難
69
50
×
H21年度
20 漁港
設定
困難
27
設定
困難
28
29
○
22 耐震岸壁が完了した漁港数
H22年度
1 漁港
設定
困難
1
設定
困難
1
3
×
23 機能保全計画を策定した漁港数
H22年度
14 漁港
設定
困難
208
設定
困難
224
50
○
16.地域資源の活用による漁村地域の活性化
24 漁業体験メニュー数
H21年度
99 件
106
106
108
115
110
○
17.水産業・漁村に対する県民理解の促進
25 水産部HPへのアクセス件数
H21年度
29,851 件
34,000
31,441
35,000
26,983
36,000
×
Ⅳ 地域を支え、食を支える漁業者づくり
13.地域を支える意欲ある漁業者の育成
14.漁村の中核的組織である漁協の機能強化
Ⅴ 安全で快適な活力ある漁村づくり
15.安全で快適な漁村の生活 ・就労環境の基盤
整備
⑩「ブランド産品販売額の向上」は、
養殖によるクロマグロ、トラフグ、ブ
リ等のブランド化を重点的に支援した
ことにより、目標を達成する見通しで
す。
⑮「東アジア向け鮮魚等輸出額(関係
団体分)」は、円安基調に加え、中国
におけるアンテナショップの新設・拡
張等により取扱店舗の更なる拡大が見
込まれていることから、目標を達成す
る見通しです。
⑳ 「漁業協同組合数」は、現在、県
内6地区(20漁協)で合併について
協議・検討を進めているが、平成27
年度の漁協合併は見込まれず、目標達
成は厳しい状況です。
⑪「平成「長崎俵物」」は、値頃感の
ある乾製品(あごだし、いりこだし)
の生産量が伸び、県内での販売促進に
取り組むことにより、目標値を達成す
る見込みです。
⑯「高度な衛生管理体制により取り扱
われる水産物の数量」は、長崎魚市場
の高度衛生管理型荷捌所が平成33年
度に本格稼動予定であり、暫定供用段
階では、目標達成は厳しい状況です。
21「就労環境改善のための施設整備
(浮桟橋等、防風対策、防暑対策)漁
港数」は、計画どおり整備が進み目標
を達成する見通しです。
⑫「ブランド鮮魚」は、旬あじ、旬さ
ばの漁獲不振により、目標達成は厳し
い見通しです。
⑰「営漁計画認定者数(リース漁船支
援対象者数)」は、平成27年度から
中高齢層など幅広い世代が活用できる
リース漁船取得への支援を充実させて
おり、目標を達成する見通しです。
22「耐震岸壁が完了した漁港数」は、
整備地域での軟弱地盤出現への対応等
による工事完成の遅れ等により、目標
達成は厳しい状況です。
⑬「地域ブランド」は、びわ茶ぶりな
どバイヤーと連携した取組により、販
売が堅調な状況にあり、目標を達成す
る見通しです。
⑱「漁業士数」は、漁業廃業等による
漁業士辞退者の発生等により、目標達
成は厳しい状況です。
23「機能保全計画を策定した漁港数」
は、計画策定が予定通り進捗し、目標
を達成する見通しです。
⑭「生産者と飲食店等との商談会等に
おける新たな取引成立件数」は、ホテ
ルの料理長、介護施設や自衛隊などの
給食献立担当者と水産加工品生産団体
等との商談を重ねたことにより、目標
を達成する見通しです。
⑲「ライフジャケット装着率」は、海
難防止講習会での着用励行指導や海難
防止意識の醸成により、目標を達成す
る見通しです。
24「漁業体験メニュー数」は、水産業
と他産業(農林業、観光業)との連携し
たメニューづくりが進んでおり、目標
を達成する見通しです。
25「水産部HPへのアクセス件数」は、
水産部HPで発信していた水産部関係
のイベント、入札・公募情報等が県庁
HPリニューアル後、県庁担当課サイ
トからの発信となったため、アクセス
数は減少し、目標達成は厳しい状況で
す。
- 29 -
第3章 本県水産業の課題
本県水産業の現状や、前計画の成果検証等を踏まえ、今後重点的に取
り組むべき課題について、次のとおり整理しました。
1、漁業の収益性向上
漁船漁業・養殖業は、燃油や餌料等の経費の増大により収益性が悪化
しており、漁業者の経営力を強化するとともに、漁船漁業と貝藻類養殖
の組合せによる経営の多角化や雇用型漁業の優良な経営モデルの構
築等を推進していく必要がある。
2、浜の活性化と就業者の確保
漁業就業者の減少や高齢化により漁村地域の活力が低下しており、漁
業者・漁協・市町が連携して作成した「浜の活力再生プラン」の具体化や
6次産業化など浜・地域の魅力の活用による漁村地域の活性化、さらに
漁業就業者の確保と地域を牽引する漁業者の育成を推進していく必要
がある。
3、加工・流通対策
国内水産物需要が減少し生産者価格が低迷する一方で、世界的需要
は増大傾向にあり、また消費者ニーズは、安全安心・簡便化・低価格志
向など多様化している。国内外での多様な販路確保や安全安心な水産
物の供給体制づくり、多様なニーズに対応できる供給体制づくりを推進し
ていく必要がある。
4、水産資源の減少と環境変化
沖合漁場における外国漁船との漁場競合による操業の制約や水産資
源の減少、さらに海水温の上昇や磯焼け状態の継続などの海洋環境の
変化が続いている。限られた資源を持続的に利用するための資源管理
や栽培漁業、藻場回復などによる漁場づくりの推進、併せて漁村の生
活・就労環境の基盤整備が必要である。
- 30 -
第4章 本計画の主旨
1 基本理念
本計画の基本理念を以下のとおり定めます。
漁業を担う人材を確保し、地域の柱となる
力強い水産業の育成を目指す
上記理念のもと、水産業の現状や、前基本計画の成果検証等を踏まえ、
今後重点的に取り組むべき4つの基本目標と目標達成に向けた15の事業
群について、次のとおり整理しました。(次頁)
- 31 -
基本目標と関連事業体系
=基本目標
=事業群
基本目標(1)
収益性の高い魅力ある経営体の育成
①経営改善計画の策定及び実行による漁業者の経営力強化
②漁業・養殖業の収益性向上
③しごと創出のための雇用型漁業の育成
基本目標(2)
浜・地域の魅力を活かした水産業の活性化と就業者確保
①「浜の活力再生プラン」の作成と具体化の推進などによる浜と地域の活性化
②水産経営支援ときめ細かな離職防止
③漁村地域の魅力発信による幅広い年代にわたる漁業就業者の呼び込み
④他産業との連携強化などによる浜の活性化
基本目標(3)
国内外での販路拡大と価格向上
①地域内流通の強化と魚食普及の推進
②大消費地のニーズ等に応じた商品づくりと付加価値の向上
③海外で評価される魚づくり
④輸出拡大に資する流通・輸送体制の構築
⑤高度衛生管理やコスト削減に対応した流通体制の構築
基本目標(4)
漁業生産を支える豊かな漁場・安全で快適な漁村の環境整備
①資源管理の推進
②「藻場回復ビジョン(仮称)」に基づく総合的な藻場回復などの漁場づくりの推進
③漁港整備や浜の環境整備の推進
- 32 -
2 基本目標
● 基本目標 (1)
収益性の高い魅力ある経営体の育成
漁業・養殖業における経営力の強化や収益性の向上のため、経
営指導の強化により、新技術の開発・導入、経営の多角化などに取
り組み、地域のモデルとなるような魅力ある経営体や、しごと創出の
ための雇用型漁業の育成に取り組みます。
【事業群】
① 経営改善計画の策定及び実行による漁業者の経営力強化
収益性の高い漁業経営体を育成するため、漁協等関係団体、市
町及び県が連携し、経営改善に向けた計画づくりやその具体化へ
の指導・支援を行います。
また、経営指導にあたる関係機関職員のスキルアップや指導者
の育成を進め、漁業者の経営力強化の推進に繋げていきます。
さらに、浜の中核組織である漁協の指導力の強化、組合員の経
営安定に寄与する漁業共済、制度資金等の活用を推進します。
② 漁業・養殖業の収益性向上
漁業や養殖業の収益性の向上を目指し、新技術の開発や既存
技術の改良等に取り組みます。
また、漁場の高度利用のための漁業許可の有効活用、漁船漁
業と貝藻類養殖の組み合わせによる経営の多角化、養殖魚の高
品質化や養殖業者の協業化の推進、漁業構造改革総合対策事業
(※) の積極的活用を通じた地域のモデルとなるような取組の実証
及び普及展開により収益性向上を推進します。
※ 漁業構造改革総合対策事業 : 省エネ・省人等の取組による収益性重視の操
業体制への転換など、漁業の構造改革の取組を進める事業(国制度)
- 33 -
③ しごと創出のための雇用型漁業の育成
漁村地域の重要な雇用の場となっている中・小型まき網や定置
網漁業について、経営分析に基づく経営改善計画策定の指導、生
産設備の改善と併せて、漁獲物の高鮮度出荷や加工処理、さらに
観光漁業を取り入れるなど、一体的に取り組む優良な経営モデル
づくりを進め、離島等での安定した雇用の場の確保を推進します。
- 34 -
● 基本目標 (2)
浜・地域の魅力を活かした水産業の活性化と就業者確保
「浜の活力再生プラン(※)」の作成と具体化への支援の取組推進、
観光業、エネルギー産業などとの連携による交流人口や漁業収入
の拡大により地域の活性化を目指します。
また、浜・地域の魅力発信による就業者の呼び込みや水産経営
支援ときめ細かな離職防止に取り組みます。
※ 浜の活力再生プラン : 浜が抱える課題を整理し、地域の創意工夫に基づき漁
業者が取り組む収入向上とコスト削減の具体策を記載した所得向上を目指すプ
ラン(国制度)
【事業群】
① 「浜の活力再生プラン」の作成と具体化の推進などによる浜と地
域の活性化
各地域の「浜の活力再生プラン」に計画されている漁獲物の出
荷方法改善等による収入向上対策、効率的な操業等によるコスト
削減対策、新規就業者対策等について、その具体化を支援し、漁
業所得の向上や地域の活性化を目指します。
また、複数地域が連携した広域の流通対策等に取り組みます。
併せて漁協間の事業連携・統合の促進、財務改善や組織再編
等により漁協の経営基盤の安定強化を目指します。
② 水産経営支援ときめ細かな離職防止
漁業者の経営が安定し、長く操業を続けられるように、漁協・漁
業系統団体・市町・県が連携し、個々の漁業者の経営改善への取
組を指導、支援します。
また、漁業からの離職を防止するため、漁業種類の転換や経営
の多角化などへの支援の充実、安全な操業や海難事故の防止な
ど、労働環境の安全確保の対策を進め、持続的な漁業生産の推進
に取り組みます。
- 35 -
③ 漁村地域の魅力発信による幅広い年代にわたる漁業就業者の
呼び込み
漁協・市町・県が連携し、豊かな自然や漁村での暮らしぶりなど
の漁村地域の魅力、漁業就業条件、住環境等の情報を広く発信す
るとともに、中高年層を含む新規就業者の受け入れ態勢の強化と
研修の充実により、漁業就業者の確保に努めます。また、高校生
等を対象とした漁業体験学習等を充実し、就業促進に取り組みま
す。
④ 他産業との連携強化などによる浜の活性化
観光業、食品加工業などの他産業との連携を図り、体験型漁業
などのブルー・ツーリズムや6次産業化の取組を推進し、また海洋
エネルギーの利用促進に併せた交流人口の増大等による地域や
沿岸漁業の振興など、事業者と地域がともに利益を享受できる新
たな漁業システムなどの導入を進め、浜の活性化を目指します。
- 36 -
● 基本目標(3)
国内外での販路拡大と価格向上
本県水産物の国内外での販路拡大と価格向上を推進し、水産業
の収益性向上を図るため、県内向け供給体制の強化や消費ニーズ
に対応した商品づくり、輸出拡大のための流通・輸送体制の構築な
どに取り組みます。
【事業群】
① 地域内流通の強化と魚食普及の推進
本県水産物をメニュー化している飲食店「長崎県の魚愛用店」
(※)の認定推進やその PR を行うとともに、漁協等が行う魚食普及
活動を推進します。また、漁協・県漁連・流通販売業者等が地域内
流通の強化に取り組む活動を支援します。
※ 長崎県の魚愛用店 : 長崎の魚を積極的に活用したメニューを提供する店として県
が認定した飲食店
② 大消費地のニーズ等に応じた商品づくりと付加価値の向上
本県水産物の販売拡大や価格向上を意識した選ばれる・売れる
商品づくりのため、大消費地のニーズに応じた商品づくり及び消費
者の嗜好を重視した新商品開発の取組を実施・支援するとともに、
産地での簡易処理などの水産加工を推進します。
③ 海外で評価される魚づくり
海外市場を開拓する潜在力を有する、高品質で安全・安心な県
産養殖魚の輸出拡大を図るため、対象国の消費動向などのマー
ケティングに基づき、養殖業者、輸出関係者、市町、県が連携し、
海外で評価される品質を有する養殖魚を生産する体制づくりに取
り組みます。
- 37 -
④ 輸出拡大に資する流通・輸送体制の構築
東アジアのほか、北米、東南アジア、中東等への販路や輸出品
目の拡大、民間企業の円滑な輸出に向けた情報収集や海外へ
の適切な輸送ルートの構築、魚の取扱いに関する現地スタッフへ
の教育等に、県・市町・輸出関係者が連携して取り組むことにより、
輸出拡大を図ります。
⑤ 高度衛生管理やコスト削減に対応した流通体制の構築
高度衛生管理に必要な荷捌所等の整備を行うとともに、国の衛
生管理基準に基づいた衛生対策の促進やHACCPの普及等に取
り組みます。
また、産直販売などによる流通コストの削減に取り組みます。
- 38 -
● 基本目標(4)
漁業生産を支える豊かな漁場・安全で快適な漁村の環境整備
水産資源の維持・回復を図るため、資源管理の推進や、増殖場の
整備などに積極的に取り組みます。
また、漁業に従事する高齢者や女性にとっても安心して働くことが
できる漁港・漁村の環境を整えていきます。
【事業群】
①
資源管理の推進
資源の特性や状況を踏まえた国の TAC 制度(※)に基づく、マア
ジ等を対象とした漁獲の総量を規制する資源管理に加え、漁業
者は自主的に作成した資源管理計画に基づき、休漁等の操業規
制、その効果の検証・改善にも取り組み、漁業経営の安定と両立
した実効ある資源管理を推進し、水産資源の持続的利用を進め
ます。
※TAC制度 : 特定の水産資源につき、資源動向を勘案して、漁獲が許される上限
量を設定して、漁獲を管理する制度
② 「藻場回復ビジョン(仮称)」に基づく総合的な藻場回復などの
漁場づくりの推進
近年、本県の沿岸では「磯焼け」と呼ばれる藻場の減少が見ら
れることから、藻場回復の全体像として、具体的な目標を掲げたビ
ジョンを策定し、藻場の回復に向けた増殖場の整備や漁業者自ら
行う取組などを積極的に推進するとともに、魚礁等の整備を行い、
水産資源を育む漁場づくりを進めていきます。
- 39 -
③
漁港整備や浜の環境整備の推進
高齢者や女性にとっても働きやすい潮の干満に対応した浮桟橋
や防風・防暑施設等の整備を推進するとともに、FRP漁船の廃船
処理対策を支援します。
また、災害時においても円滑な水産物の供給を維持するため、
漁港における一連の生産・流通過程に係る事業継続計画(BCP)
(※)の策定を推進します。
※ 漁港における事業継続計画(BCP) : 流通拠点漁港において災害が発生した
際、可能な限り水産物の生産・流通にかかる事業継続が図られるよう、水揚げか
ら出荷までの過程を維持する計画
- 40 -
3 基本指標
基本理念のもとに掲げた4つの基本目標の達成に向け、関係施策を展開し
ていきますが、以下6項目を基本指標として定め、目標達成状況を管理・評価
します。
単位
基準値
(基準年)
目標値
(目標年)
海面漁業生産量
トン
24万4千
(H25 年)
25万4千
(H32 年)
海面漁業生産額
億円
642
(H25 年)
670
(H32 年)
海面養殖業生産額
億円
279
(H25 年)
330
(H32 年)
漁業就業者数
人
14,310
(H25 年)
12,000
(H32 年)
食用加工品出荷額
億円
360
(H25 年)
400
(H32 年)
水産物輸出額
(関係団体分)
億円
11
(H26 年度)
30
(H32 年度)
指標名
【参考】
(海面漁業生産量・生産額目標値の沿岸、沖合別内訳)
海面漁業生産量
海面漁業生産額
沿岸
13万
13万3千
沖合
11万4千
12万1千
沿岸
398
411
沖合
244
259
トン
億円
- 41 -
4 計画の成果指標
基本目標
(1) 収益性の高い
魅力ある
経営体の育成
事業群
関連指標
① 経営改善計画の策定及び
実行による漁業者の
経営力強化
○漁業所得300万円以上に達した経営体数
基準値:594経営体 (H25年)
目標値:790経営体 (H32年)
○経営改善に向けた取組により、経営改善・強化
を図った漁業者数(経営改善計画策定数)
(累計)
基準値: − ( − )
目標値:161件 (H32年度)
② 漁業・養殖業の収益性向上
○コスト削減、高品質化、経営多角化により
収益向上を図った経営体数(累計)
基準値: 22経営体 (H26年度)
目標値:190経営体 (H32年度)
○マグロ養殖の生産量
基準値:3,070トン (H25年)
目標値:3,500トン (H32年)
○雇用確保、雇用条件等処遇改善を実施した
経営体数(累計)
基準値:− ( − )
目標値:35経営体 (H32年度)
③ しごと創出のための
雇用型漁業の育成
(2) 浜・地域の
魅力を活かした
水産業の活性化と
就業者確保
① 「浜の活力再生プラン」の
作成と具体化の推進など
による浜と地域の活性化
○漁業所得(1経営体平均)
※浜プラン参加者
基準値:2,239千円 (H25年)
目標値:2,555千円 (H30年)
○漁協連携等に取り組む地区数(累計)
基準値: 3地区 (H26年度)
目標値:11地区 (H32年度)
② 水産経営支援ときめ細かな
離職防止
○65歳未満漁業就業者の5年間における離職率
基準値:10% (H25年)
目標値: 5%以下 (H32年)
○漁業共済加入率
基準値:56.0% (H26年度)
目標値:70.0% (H32年度)
③ 漁村地域の魅力発信による
幅広い年代にわたる
漁業就業者の呼び込み
○新規漁業就業者数
基準値:136人/年度 (H26年度)
目標値:180人/年度 (H32年度)
※H28∼H32累計 900人
④ 他産業との連携強化など
による浜の活性化
○他産業と連携した新たな取組の導入件数
(累計)
基準値: 5件 (H26年度)
目標値:26件 (H32年度)
−42−
基本目標
(3) 国内外での
販路拡大と
価格向上
事業群
関連指標
① 地域内流通の強化と魚食普
及の推進
○長崎県の魚愛用店の認定店舗数(累計)
基準値:121店舗 (H26年度)
目標値:200店舗 (H32年度)
○地域内デリバリー配送先数(累計)
基準値: 8箇所 (H26年度)
目標値:60箇所 (H32年度)
(4) 漁業生産を支える
豊かな漁場・
安全で快適な
漁村の環境整備
② 大消費地のニーズ等に
応じた商品づくりと
付加価値の向上
○大消費地において新たに取引を開始した
商品数(累計)
基準値:− ( − )
目標値:50商品 (H32年度)
③ 海外で評価される魚づくり
○海外ニーズを踏まえた製品開発(養殖魚)
を行い輸出につながった件数(累計)
基準値:− ( − )
目標値:15件 (H32年度)
④ 輸出拡大に資する流通・
輸送体制の構築
○水産物輸出額(関係団体分)
基準値:11億円 (H26年度)
目標値:30億円 (H32年度)
⑤ 高度衛生管理やコスト削減
に対応した流通体制の構築
○HACCP等認定加工場数(累計)
基準値: 5件 (H26年度)
目標値:12件 (H32年度)
① 資源管理の推進
○検証・改善に取り組む資源管理計画数(累計)
基準値: − ( − ) ( − )
目標値:189件(31件※) (H32年度)
※地域特産魚種に関する計画数
② 「藻場回復ビジョン(仮称)」
に基づく総合的な藻場回復
など漁場づくりの推進
③ 漁港整備や浜の環境整備
の推進
−43−
○漁場整備面積(累計)
基準値:622k㎡ (H26年度)
目標値:742k㎡ (H32年度)
○浮桟橋、防風施設、防暑施設等の整備を
行う漁港数(累計)
基準値:28漁港 (H26年度)
目標値:60漁港 (H32年度)
第5章 部門別の取組方針
1 沿岸漁業
Ⅰ 浜と地域の生産力を支える収益性の高い魅力ある経営体の育成
Ⅱ 浜と地域の活力再生と漁業就業者の確保・育成
Ⅲ 漁業者自らが率先し実践する資源管理と漁場の高度利用
Ⅳ 総合的な漁場づくりと漁港や浜の環境整備の推進
2 養殖業
Ⅰ 収益性の高い生産体制の構築
Ⅱ 新魚種の組み合わせや輸出に対応した魚づくり
Ⅲ 赤潮・魚病被害の対策や安全安心な生産物の供給体制の確立
3 沖合漁業
Ⅰ 収益性が高い操業・生産体制への転換と国際的資源管理の推進
Ⅱ 将来を担う人材の確保・育成
4 加工・流通
Ⅰ 魚食普及と流通促進による地域内消費の強化
Ⅱ 選ばれる、売れる商品づくりによる大消費地の販路拡大
Ⅲ 相手国ニーズを捉えた商品開発による輸出促進
- 44 -
1 沿岸漁業
目指す姿
Ⅰ
浜と地域の生産力を支える収益性の高い魅力ある経営体の育成
厳しい経営環境が続く中、浜と地域の生産力を支える収益性の高い魅力
ある経営体の育成を目指して、関係機関と連携した経営指導、沿岸漁業や養
殖業の新技術の開発や経営の多角化、雇用型漁業の育成による優良な経営
モデルの構築等に取り組みます。
◆基本目標関連事業群◆
(1)- ① 経営改善計画の策定及び実行による漁業者の経営力強化
【主な取組】
・・ 漁
関
【
養
漁業
業者
者に
に対
対し
して
て、
、
関係
係機
機関
関が
が連
連携
携し
して
て指
指導
導・
・支
支援
援を
を行
行う
う体
体制
制を
を整
整備
備
【養
殖
殖業
業と
と共
共通
通】
】
経営改善や新たな事業展開を目指す漁業者に対して、漁協・漁業系統
団体・市町・県が連携して指導・支援する体制を整備し、漁業者の漁業所得
向上を図り、地域漁業を牽引する強い経営体づくりを推進します。
・・ 所
殖業
業と
と共
共通
通】
】
所得
得向
向上
上に
に必
必要
要な
な機
機器
器整
整備
備や
や活
活動
動へ
への
の支
支援
援【
【養
養殖
経営改善や新たな事業展開を目指す漁業者が、経営改善計画に基づき、
目標とする所得向上のために必要な機器整備や活動を支援します。
- 45 -
◆基本目標関連事業群◆
(1)−② 漁業・養殖業の収益性向上
【主な取組】
・・ 漁
漁船
船漁
漁業
業と
と貝
貝藻
藻類
類養
養殖
殖の
の組
組合
合せ
せ等
等に
によ
よる
る経
経営
営の
の多
多角
角化
化へ
への
の支
支援
援
殖
業
と
共
通
】
【
養
【養殖業と共通】
沿岸において無給餌でできる貝藻類養殖、定置網等で漁獲される小型
魚を種苗として利用し、従来より短い飼育期間で出荷できる養殖など新た
な取組を支援することで、経営の多角化・効率化を推進します。
・・ 漁
漁船
船漁
漁業
業の
の省
省エ
エネ
ネ・
・省
省コ
コス
スト
ト対
対策
策の
の推
推進
進
船底清掃など省燃油活動の奨励や国の漁業経営セーフティネット構築事
業制度(※)への加入等を通じて漁家経営における省エネ・省コスト対策を推
進します。
※ 漁業経営セーフティネット構築事業制度 : 漁業者と国の拠出により、燃油価格や配合飼料
価格が上昇したときに補填金を交付する制度
・・ 収
収益
益性
性向
向上
上に
に繋
繋が
がる
る新
新技
技術
術導
導入
入の
の推
推進
進や
や既
既存
存技
技術
術の
の改
改良
良・
・普
普及
及
収益性向上に繋がると期待される新しい技術(※)等の導入を推進すると
ともに、既存技術についても、実証試験による改良や漁業者への情報提供
などを通じて普及展開を図ります。
※ 新しい技術 : コスト削減や魚価向上のための漁具・漁法の開発の検討、市場価値の高い養
殖用種苗の実用化や養殖貝類の生産技術の開発、鮮度保持技術の開発、魚粉削減飼料の
開発及び実用化など
◆基本目標関連事業群◆
(1)- ③ しごと創出のための雇用型漁業の育成
【主な取組】
・・ 雇
雇用
用型
型漁
漁業
業へ
への
の支
支援
援強
強化
化
中・小型まき網や定置網漁業は、雇用型漁業として地域の重要な雇用の
場となっており、生産設備の改善と加工・流通・観光等とを一体的に取り組
む優良な経営モデルの構築への支援策の強化と普及展開を図ります。
- 46 -
◆基本目標関連事業群◆
(2)−② 水産経営支援ときめ細かな離職防止
【主な取組】
・・ 水
水産
産経
経営
営に
に係
係る
る支
支援
援体
体制
制の
の充
充実
実【
【養
養殖
殖業
業と
と共
共通
通】
】
漁業関係団体、市町・県が構成する経営支援協議会を効果的・効率的
に運営し、県内6地域に設置した作業部会とともに個別経営指導、相談会
の開催、指導者の育成と資質向上に取り組みます。
◆基本目標関連事業群◆
(2)−④ 他産業との連携強化などによる浜の活性化
【主な取組】
・・ ブ
ブル
ルー
ー・
・ツ
ツー
ーリ
リズ
ズム
ムや
や6
6次
次産
産業
業化
化の
の取
取組
組推
推進
進
漁村地域の漁業や水産資源を活用した体験メニューを観光業等と連携し
て提供するブルー・ツーリズムの取組や、漁業と食品加工業等との連携によ
る6次産業化を推進し、交流人口や漁業収入の拡大を図るとともに、浜の活
性化を目指します。
- 47 -
目指す姿
Ⅱ
浜と地域の活力再生と漁業就業者の確保・育成
漁業就業者の減少と高齢化に歯止めがかからない中、浜と地域の活力再
生と漁業就業者の確保・育成を目指して、「浜の活力再生プラン」の作成と具
体化、新規漁業就業者の受入体制の整備と研修の充実強化、経営指導に
携わる人材の資質向上、漁協の組織と機能の強化等に取り組みます。
◆基本目標関連事業群◆
(1)- ① 経営改善計画の策定及び実行による漁業者の経営力強化
【主な取組】
・・ 漁
漁協
協職
職員
員・
・県
県職
職員
員・
・市
市町
町職
職員
員の
の経
経営
営指
指導
導力
力の
の強
強化
化
漁業種類や経営規模等に合わせて、的確な経営指導・支援が行えるよう
日頃から自己研鑽を積むとともに、各種研修を行うなど、経営指導・支援に
携わる関係職員の指導力と資質の向上に取り組みます。
・・ 漁
導体
体制
制の
の強
強化
化に
によ
よる
る強
強い
い経
経営
営体
体づ
づく
くり
りの
の推
推進
進
漁協
協指
指導
漁協の経営を担う人材の育成、指導事業の充実、経済事業の組合間連
携の促進等による組合機能の強化を図るとともに、組合員により漁業経営
安定対策や金融・保険制度が積極的に活用されるよう、漁協の指導体制の
強化を図ります。
- 48 -
◆基本目標関連事業群◆
(2)−① 「浜の活力再生プラン」の作成と具体化の推進などによる浜と地域の活性
化
【主な取組】
・・ 「
「浜
浜の
の活
活力
力再
再生
生プ
プラ
ラン
ン」
」を
を県
県内
内全
全域
域で
で作
作成
成し
し、
、取
取組
組の
の具
具体
体化
化を
を推
推進
進
所得向上や地域の活性化のため、県内の各浜での「浜の活力再生プラ
ン」策定を進めるとともに、プランの具体化に向けた支援体制を構築し、プラ
ンに計画される漁獲物の出荷方法改善などの収入向上対策、省燃油などの
コスト削減対策、後継者対策について具体化を推進します。
・
再
・流
流通
通な
など
ど広
広域
域で
で取
取り
り組
組む
むべ
べき
き課
課題
題を
を内
内容
容と
とす
する
る広
広域
域版
版「
「浜
浜の
の活
活力
力再
生
生プ
プラ
ラン
ン」
」の
の作
作成
成と
と具
具体
体化
化を
を推
推進
進
複数地域や関係機関等が連携した、販売戦略の構築や産地市場の機能
強化・再生整備、地域の中核となる担い手の確保・育成を内容とする広域版
「浜の活力再生プラン」の作成を進めるとともに、具体化に向けた支援を行い、
地域の持続的発展や活性化を目指します。
・・ 地
ーの
の育
育成
成
地域
域を
を支
支え
える
る浜
浜の
のリ
リー
ーダ
ダー
地域漁業の中核的推進者となる漁業士の認定・養成をはじめ、漁協青壮
年部連合会や漁協女性部連合会等の活動を支援し、浜のリーダー育成や漁
業者の生産技術向上など漁村の活性化を進めます。また、地域の小中学校、
高校と連携した、水産教室の開催等を通して水産業の魅力を発信するなど
漁業の担い手確保を図ります。
・・ 組
組織
織再
再編
編等
等に
によ
よる
る漁
漁協
協経
経営
営基
基盤
盤の
の安
安定
定強
強化
化
合併や事業統合による漁協の経営基盤の安定強化を図るため、自主的
な組織再編等の取組と合併推進組織の啓発活動等に対し、関係機関と連
携して指導・支援します。
- 49 -
・・ 経
経営
営不
不振
振漁
漁協
協の
の財
財務
務改
改善
善
欠損金や固定化債権を抱えるなどの経営不振漁協への指導強化、経
営改善計画の進捗管理、定期的な行政検査や経営モニタリングの実施
等による繰越欠損金保有漁協の縮減に取り組みます。
(
・・ 「
(※
※)
)の
の更
更な
なる
る有
有効
効活
活用
用
「離
離島
島漁
漁業
業再
再生
生支
支援
援交
交付
付金
金」
」
条件が不利な離島の漁業集落が実施する、収益性の向上に直結する付
加価値向上の取組や、集荷・搬送の協業化により魚価向上を図る取組等を
推進します。また、新規漁業就業者に対する漁船リースの取組を支援しま
す。
※ 離島漁業再生支援交付金 : 離島漁業の再生のため、漁場の管理・改善や種苗放流等の
生産力向上、新規就業者確保等に取り組む漁業集落に対する交付金(国制度)
◆基本目標関連事業群◆
(2)- ② 水産経営支援ときめ細かな離職防止
【主な取組】
・・ 現
現役
役漁
漁業
業者
者の
の離
離職
職防
防止
止対
対策
策
漁獲の減少や魚価安、燃油の高止まり等から、経営が悪化している漁業
者に対し、経営改善にかかる指導・支援、漁業技術等の向上、漁業種類転
換や経営の多角化等に必要な研修等を行うなど、離職防止に向けた取組を
充実します。
・・ 安
業・
・沖
沖合
合漁
漁業
業と
と共
共通
通】
】
安全
全操
操業
業と
と海
海難
難防
防止
止【
【養
養殖
殖業
漁船海難死亡事故の減少を目指して、関係機関と連携してライフジャケ
ットの着用推進を含めた海難防止講習会等を開催し、漁業者の安全確保に
対する意識向上を図ります。
- 50 -
◆基本目標関連事業群◆
(2)−③ 漁村地域の魅力発信による幅広い年代にわたる漁業就業者の呼び込み
【主な取組】
・・ 漁
漁業
業種
種類
類に
に応
応じ
じた
た技
技術
術習
習得
得研
研修
修の
の拡
拡充
充
新規漁業就業者の確保・育成のため、漁業系統団体の連携を強化し、国
事業による研修生受入体制を整備するとともに、漁業種類に応じた技術研
修制度の充実と拡充、リース漁船取得等に対する支援など、就業者を安定
的に確保するための漁業就業モデルを確立します。
・・ 幅
わた
たる
る漁
漁業
業就
就業
業者
者の
の確
確保
保・
・育
育成
成【
【沖
沖合
合漁
漁業
業と
と共
共通
通】
】
幅広
広い
い年
年代
代に
にわ
漁村地域の魅力発信による幅広い年代にわたる漁業就業者の確保・育成
と、離職防止を図るためのきめ細かなフォロー・受入体制の充実を図るととも
に、水産業に関する技術、制度などを系統立てて習得する場を設け、漁村の
活力に繋がる人材を育成します。
・・ 水
魅力
力な
など
どを
を伝
伝え
える
る授
授業
業や
や体
体験
験学
学習
習の
の実
実施
施
水産
産業
業の
の魅
【
【養
養殖
殖業
業・
・沖
沖合
合漁
漁業
業と
と共
共通
通】
】
高校での漁業体験学習の場を拡大するなど、高校生等に対し漁業の魅力
を発信するとともに、求人情報の提供など、漁業就業者確保に向けて高校等
との連携の拡大に取り組みます。
◆基本目標関連事業群◆
(2)- ④ 他産業との連携強化などによる浜の活性化
【主な取組】
・・ 海
海洋
洋エ
エネ
ネル
ルギ
ギー
ー産
産業
業と
との
の連
連携
携に
によ
よる
る地
地域
域の
の活
活性
性化
化
洋上風力発電など、海洋エネルギーの利用が促進される際に、沿岸漁
業の振興や、関連産業の創出など、地域全体が活性化する対策を検討し、
発電事業者と地域漁業がともに利益を享受できる事業形態を構築します。
- 51 -
目指す姿
Ⅲ
漁業者自らが率先し実践する資源管理と漁場の高度利用
水産資源の維持・回復と漁場の高度利用を目指して、漁業者が実践する
資源管理計画づくりや効果的な栽培漁業の推進、漁業許可の有効活用、悪
質・広域化する密漁の撲滅に関係機関と連携して取り組みます。
◆基本目標関連事業群◆
(1)- ② 漁業・養殖業の収益性向上
【主な取組】
・・ 漁
漁場
場の
の高
高度
度利
利用
用を
を目
目指
指し
した
た漁
漁業
業許
許可
可等
等の
の有
有効
効活
活用
用
意欲ある漁業者や漁業後継者が許可を取得しやすい環境を整備するた
め、漁業者に情報提供を行うとともに、利用されていない許可が有効活用さ
れるよう、許可の仕組みについて見直しを行います。
◆基本目標関連事業群◆
(4)- ① 資源管理の推進
【主な取組】
・ 漁
漁業
業者
者に
によ
よる
る資
資源
源管
管理
理計
計画
画の
の推
推進
進【
【沖
沖合
合漁
漁業
業と
と共
共通
通】
】
水産資源の維持・回復を図るため、漁業者自らが取り組む資源管理計画
づくりを推進し、漁業経営の安定と両立した実効ある資源管理の取組となる
よう支援を行います。
・・ 放
生息
息環
環境
境や
や経
経済
済性
性を
を重
重視
視し
した
た種
種苗
苗放
放流
流技
技術
術の
の確
確立
立と
と実
実施
施
放流
流魚
魚の
の生
成育適地への放流や生残率を高めるための適正サイズでの放流につい
て、研究機関や関係県との広域的な連携を図り、放流効果のさらなる検証等
を行うことにより栽培漁業を一層効果的に推進します。
・・ 悪
広域
域化
化す
する
る密
密漁
漁の
の撲
撲滅
滅に
に向
向け
けた
た漁
漁業
業取
取締
締の
の実
実施
施
悪質
質・
・広
広範な本県海域において漁業違反に対処し、漁業秩序の維持と資源管理
を推進するため、取締船の機能向上や効果的な運航、海上保安部や警察と
の連携、漁業者等の自警活動などを促進し、密漁防止のための漁業取締を
強化します。
- 52 -
目指す姿
Ⅳ
総合的な漁場づくりと漁港や浜の環境整備の推進
漁業生産を支える豊かな漁場と安全で快適な漁村の環境整備の推進をめ
ざして、藻場回復などの漁場づくり、浮魚礁等による漁場の開拓、高齢者や
女性、新規漁業就業者が安心して働ける環境づくり、災害に強い漁業地域
づくり、FRP漁船の廃船対策、有害生物等の防除対策と沿岸環境の保全等
に取り組みます。
◆基本目標関連事業群◆
(4)- ② 「藻場回復ビジョン(仮称)」に基づく総合的な藻場回復など漁場づくりの推
進
【主な取組】
・・ 活
活動
動組
組織
織の
の育
育成
成・
・強
強化
化と
と藻
藻場
場造
造成
成等
等の
の推
推進
進
本県の藻場回復の全体像として、具体的な目標を掲げたビジョンを策定
し、漁業者等による活動組織が行う藻場再生の取組や、新たな磯焼けの
発生を予防、監視する藻場の見守り体制づくりを推進します。また、着定
基質及び核藻場(※)礁等の整備により藻場の造成を推進します。
※ 核藻場 : 周辺に海藻の胞子・遊走子や幼胚を長期間にわたり拡散させるための核とな
る母藻群落のこと
・・ 浮
浮魚
魚礁
礁等
等に
によ
よる
る漁
漁場
場づ
づく
くり
り
カツオ・マグロ類、サワラ等の回遊性魚類の効率的な蝟集と漁獲が期
待される浮魚礁の整備を推進するとともに、平成27年度に完成した国直
轄の五島西方沖マウンド礁における資源の増殖効果と連動した魚礁漁場
の整備など、新たな漁場の造成を通じて漁業生産の安定を図ります。
・・ 赤
岸環
環境
境の
の保
保全
全
赤潮
潮や
や有
有害
害生
生物
物等
等の
の対
対策
策と
と沿
沿岸
赤潮の予測技術等の研究開発や観測体制の整備、有害生物等の防
除などを進め、被害の防止・軽減を図ります。また、漁業者が行う藻場保
全活動の支援等を通して、水産生物の産卵・成育場を保全するとともに水
質浄化機能を向上させ、水産生物にとって良好な沿岸環境づくりを推進し
ます。
- 53 -
◆基本目標関連事業群◆
(4)−③ 漁港整備や浜の環境整備の推進
【主な取組】
・・ 高
高齢
齢者
者や
や女
女性
性、
、新
新規
規漁
漁業
業就
就業
業者
者が
が働
働き
きや
やす
すい
い漁
漁港
港づ
づく
くり
り
漁業に従事する高齢者や女性、新規漁業就業者にとっても安心して水産
物の陸揚げなどの漁業活動ができる漁港・漁村の環境を整えるため、潮の
干満に対応した浮桟橋や防風・防暑施設等の整備を推進します。
・・ 災
災害
害に
に強
強い
い漁
漁業
業地
地域
域づ
づく
くり
り(
(災
災害
害発
発生
生時
時に
にお
おけ
ける
る水
水産
産物
物の
の流
流通
通体
体制
制確
確
保
ため
めの
の計
計画
画策
策定
定)
)
保の
のた
大規模災害時においても長期間にわたり水産物の生産・流通が途絶する
ことがないよう、水産物流通拠点漁港において漁業地域が一体となった水
産物の一連の生産・流通過程に係る事業継続計画(BCP)の策定を推進しま
す。
・・ FFRRPP 漁
漁船
船の
の廃
廃船
船対
対策
策の
の推
推進
進
本県のFRP漁船の多くは老朽化が進んでおり、今後10年程で使用を終
え、廃船として大量に排出されると予測されることから、FRP廃船に係るリ
サイクル処理の体制づくりのための地域の取組を推進します。
- 54 -
2 養殖業
目指す姿
Ⅰ
収益性の高い生産体制の構築
収益性の高い生産体制の構築による漁家経営安定を目指して、養殖魚等
の高品質化と省コスト化を推進するとともに、クロマグロの完全養殖技術の
確立に取り組みます。
◆ 基本目標関連事業群◆
(1)- ② 漁業・養殖業の収益性向上
【主な取組】
・ 養殖魚の高品質化と養殖業の協業化・省コスト化の推進
消費者に支持される肉質づくり等による高品質化や、低魚粉飼料を用
いた養殖技術の開発・導入を産学官連携により推進するとともに、協業
化等による省コスト化や販売力強化の取組を支援します。
・クロマグロ人工種苗量産技術の開発等による完全養殖技術の確立
人工種苗量産技術の開発等による完全養殖技術の確立など、「長崎
県マグロ養殖振興プラン」(※)に基づく取組を関係団体と連携して推進し
ます。
※ 長崎県マグロ養殖振興プラン : 本県を全国有数の養殖マグロ生産地とするための総
合的な振興策
・ 高品質真珠の養殖技術開発
高品質真珠の需要が高まっている中、入札単価が高いものの収穫量
が極めて少ない照り(光沢)が強い真珠の出現率を向上するための養殖
方法を開発・普及します。
- 55 -
・ 需要に見合った生産体制の確立による経営の健全化
ハマチ、マダイ、トラフグの魚価は、過剰生産等により急落し、経営に大
きな影響を及ぼすため、国が定めたガイドライン等に基づいて、養殖業者
が需要に見合った生産を行うよう関係団体に働きかけます。
・ 経営安定対策の推進
魚価安や飼餌料高など厳しい経営の中、経営安定のため、養殖業者
に対し、関係団体と連携して、国の漁業収入安定対策(漁業共済、積立
ぷらす)やコスト対策(漁業経営セーフティーネット構築事業)への加入促
進を図ります。
- 56 -
目指す姿
Ⅱ
新魚種の組み合わせや輸出に対応した魚づくり
生産額の増加と安定した養殖経営を目指して、魚価が高く養殖期間が短
い魚種や貝藻類養殖の導入による経営多角化、輸出に向けた海外で評価さ
れる養殖魚の生産体制づくりなどに支援を行います。
◆基本目標関連事業群◆
(1)- ② 漁業・養殖業の収益性向上
(3)- ② 大消費地のニーズ等に応じた商品づくりと付加価値の向上
(3)−③ 海外で評価される魚づくり
【主な取組】
・ 市場価値が高い魚種の養殖技術確立と導入による経営安定化
従来の養殖経営に市場価値が高い魚種を組み合わせた経営の多角
化を推進するため、養殖期間が短いカワハギや市場価値の高いクエ等
の魚種の養殖技術の確立と民間業者への技術移転を行います。
・新たな養殖手法の導入による経営の安定化
アサリの垂下式養殖やマガキのシングルシード養殖、生産を安定させる
ためのアサリの網袋式養殖など、高品質で市場性が高い新しい養殖手法
の導入を推進します。
・ 他産地と差別化し、特色を生かした売れる魚づくり
本県の養殖魚の輸出拡大を図るため、対象国の消費動向などの市場
調査結果に基づき、県・関係市町・輸出関係者・養殖関係者が連携・協力
し、海外で評価される養殖魚の生産体制づくりに取り組みます。
- 57 -
目指す姿
Ⅲ
赤潮・魚病被害の対策や安全安心な生産物の供給体制の確立
漁業者が安心して養殖業に取り組めるよう、赤潮等被害の防止・軽減を目
指します。
また、県産養殖魚に対する信頼性の向上を目指して、長崎県適正養殖業
者(※)の認定を推進するとともに、生産段階での貝毒やノロウイルス検査を
実施します。
※ 長崎県適正養殖業者 : 生産した養殖魚が安全・安心であるという情報提供能力を有
すると認定された業者(関係団体・大学・県等で構成する委員会が認定)
◆基本目標関連事業群◆
(1)- ② 漁業・養殖業の収益性向上
【主な取組】
・ 赤潮や魚病被害の防止・軽減対策の推進
赤潮や魚病被害の防止・軽減のため、有害赤潮プランクトンの動向予
測や魚病対策の技術開発と指導体制を充実します。
・ 安全・安心な養殖魚介類の供給体制の確立
県産養殖魚に対する信頼性を向上するため、関係団体と連携して長崎
県適正養殖業者認定制度を推進するとともに、生産段階での貝毒やノロ
ウイルス検査を実施します。
- 58 -
3 沖合漁業
目指す姿
Ⅰ
収益性が高い操業・生産体制への転換と国際的資源管理の推進
輸入水産物や外国漁船との競合、燃油・資材価格の高止まり等により経営
環境が厳しさを増すなか、省エネ・省コスト等の取組を推進することによって、
厳しい環境下でも操業が継続できる収益性が高い操業・生産体制への転換を
図るとともに、魚市場等の衛生管理体制の構築と、東シナ海等における国際
的な資源管理措置の確立を目指します。
◆基本目標関連事業群◆
(1)- ② 漁業・養殖業の収益性向上
【主な取組】
・ 漁業構造改革の推進【沿岸漁業と共通】
省エネ・省コスト等の取組により、収益性が高い操業・生産体制への転換
と競争力の強化を図るため、漁業者と一体となって国の漁業構造改革総
合対策事業等を活用し、改革型漁船の導入等を推進します。
・ 魚市場や加工場の衛生管理体制の構築等【沿岸漁業と共通】
消費者に安全・安心な水産物を供給する水産物産地市場において、市場
関係者自ら水産物の鮮度保持や衛生管理を高める取組を行うとともに、新
たな施設を整備し、より高度な衛生管理を図ります。
・ 東シナ海等における水産資源の保存・管理措置の確立
日中・日韓暫定措置水域等における水産資源の保存・管理措置の早期
確立を国に求めるとともに、我が国排他的経済水域における中国・韓国漁
船の操業条件について、本県漁業者の意向(※)を踏まえた見直しを行うよ
う国に要望します。
※ 本県漁業者の意向 : 韓国タチウオ漁の禁止区域の拡張、漁獲割当量の削減等
- 59 -
目指す姿
Ⅱ
将来を担う人材の確保・育成
若い乗組員の安定的な確保が困難な状況となるなか、持続的な操業を確
保するため、関係団体と一体となって就業情報の提供を行うほか、安全対策
を含む労働環境の改善を促し、将来を担う就業者確保を推進します。
◆基本目標関連事業群◆
(2)−③ 漁村地域の魅力発信による幅広い年代にわたる漁業就業者の呼び込み
【主な取組】
・ 労働環境の改善と安全性の向上
国事業を活用して漁船を建造する際、労働環境の改善や安全性の向上
に配慮した構造となるよう促すとともに、ライフジャケットの常時着用等を啓
発し、漁業者の安全に対する意識向上を図ります。
・ 将来にわたり安定的な操業を行うための人材確保
将来にわたり安定的な操業を行うため、関係団体が海技士資格を有する
船舶職員を採用するための活動に協力するなど人材確保の取組を支援しま
す。
- 60 -
4 加工・流通
目指す姿
Ⅰ
魚食普及と流通促進による地域内消費の強化
地元での水産物消費拡大を図るため、観光との連携などにより、外食産
業等での県産魚利用を促進するとともに、市町・漁協・県漁連・地元流通業
者が行う県内販売促進及び必要となる地域内配送の取組を支援します。
◆基本目標関連事業群◆
(3)- ① 地域内流通の強化と魚食普及の推進
(3)- ⑤ 高度衛生管理やコスト削減に対応した流通体制の構築
【主な取組】
・ 家庭等の内食や「長崎県の魚愛用店」に代表される飲食店等の外食
など、あらゆる食の場面での県産魚利用促進
本県水産物を積極的に提供している「長崎県の魚愛用店」を県民及び観
光客に浸透させるとともに、本県水産物を学校給食のメニューに取り入れる
などの食育の推進活動への支援や、漁協や漁業士などが実施する水産教
室において、魚のさばき方や魚料理の作り方を指導するなど、魚食普及を
推進します。
・ 県産水産物の地域内流通の強化
漁協・県漁連・流通販売業者が、地元産の魚や加工品等の地元流通、
消費を強化させるために取り組む配送・販売促進や消費拡大イベント等の
活動を支援します。
- 61 -
目指す姿
Ⅱ
選ばれる、売れる商品づくりによる大消費地の販路拡大
県・加工業者・養殖業者・流通販売業者等の関係者が連携し、国内の消
費地のニーズや消費動向等を把握し、対応した鮮魚・養殖魚・加工品等の
売れる商品づくり及び販路拡大に取り組みます。
◆基本目標関連事業群◆
(3)- ② 大消費地のニーズ等に応じた商品づくりと付加価値の向上
(3)- ⑤ 高度衛生管理やコスト削減に対応した流通体制の構築
【主な取組】
・
・大
大消
消費
費地
地の
の嗜
嗜好
好に
に対
対応
応し
した
た売
売れ
れる
る商
商品
品づ
づく
くり
りの
の推
推進
進
漁協・県漁連・加工業者グループ等が、大消費地の消費動向などマーケ
ットリサーチの結果やバイヤー等の意見を基に行う、大消費地の嗜好に対
応した売れる商品づくりの取組を支援し、販売力強化を図ります。
・
・流
流通
通を
を担
担う
うグ
グル
ルー
ープ
プの
の形
形成
成推
推進
進
・生
生産
産・
・加
加工
工・
大消費地等からの大型発注の獲得や高鮮度水産物等の新商品の消費
地サイドへの提案などを実施するため、県漁連・加工団体・県内有力企業
等を中核としたグループ形成を推進し、その活動を支援します。
・
品づ
づく
くり
り
・消
消費
費者
者の
の求
求め
める
る健
健康
康志
志向
向を
を捉
捉え
えた
た商
商品
健康面を考慮した減塩、減糖すり身などの機能性食品の開発や脂肪含
有量の化学的分析等を進めるとともに、その成果を活用した漁協・加工業
者が行う消費者の関心が高い健康志向を捉えた商品づくりの取組を支援し
ます。
・
・産
産直
直販
販売
売な
など
ど流
流通
通コ
コス
スト
ト削
削減
減の
の取
取組
組推
推進
進
漁協・県漁連・加工業者等が行う、大消費地の高級スーパー等との直接
取引やインターネット販売等の生産者がより流通コストを削減できる取組の
支援を行うとともに、県内水産物の集約化による流通コスト削減策を検討し
ます。
- 62 -
目指す姿
Ⅲ
相手国ニーズを捉えた商品開発による輸出促進
本県水産物の輸出促進を図るため、海外で評価される魚づくり及び安定
した供給体制づくりを推進するとともに、輸出拡大に対応してHACCP等の
高度衛生管理対策や、流通・輸送ルートの構築などに取り組みます。
◆基本目標関連事業群◆
(3)- ③ 海外で評価される魚づくり
(3)- ④ 輸出拡大に資する流通・輸送体制の構築
【主な取組】
・・ ニ
ニー
ーズ
ズに
に合
合っ
った
た魚
魚づ
づく
くり
り・
・安
安定
定供
供給
給体
体制
制づ
づく
くり
り
関係市町・養殖業者・輸出入関係者と連携・協力し、市場調査結果やバ
イヤーの助言等を踏まえた評価される魚づくり及び大量ロットに対応した安
定供給を実現するための協業化等を推進します。
・・ 輸
対応
応や
や衛
衛生
生管
管理
理体
体制
制等
等の
の充
充実
実
輸入
入規
規制
制対
民間企業の輸出拡大を図るため、国庫事業等を活用した対米HACCP
施設等の整備や産地市場の高度衛生化を推進するとともに、輸出連絡会
を通じた輸出関連情報の提供や相談体制の充実に取り組みます。
・・ 航
航空
空便
便等
等輸
輸送
送ル
ルー
ート
トの
の確
確保
保
輸出量増大に対応するための既存ルートの活用とともに、新たな航空便
最適ルートの確保などのほか、中国向けの活魚出荷の検討や海外輸送ル
ートの構築に取り組みます。
・・ 輸
輸出
出拡
拡大
大に
に対
対応
応し
した
た販
販路
路の
の確
確保
保・
・拡
拡大
大
輸出拡大に向けた新たな信頼できる輸出パートナーの確保や、県・養殖
業者・輸出入関係者が連携し、販売拠点となるアンテナショップの整備や各
種 PR 等を実施し、販路の確保・拡大に取り組みます。
- 63 -
第6章
海区別の取組方針
1 西彼海区
(1)海況、地域の特徴
西彼海区は、長崎半島から西彼杵半島西岸と離島域で囲まれ、西方向に
開いた五島灘の一部で、沖合域は九州西方を北上する対馬暖流の影響を受
けています。沿岸域では沿岸流との境界に多くの潮目が形成され、変化に富
んだ海洋環境となっています。
漁業は、中・小型まき網、刺網、定置網、はえ縄、養殖業等が行われていま
す。
地域内には水産物の水揚げの拠点として新長崎漁港が立地し、多くの魚介
類が集荷されるとともに、海外向けの出荷も行われています。また、漁港の背
後地には水産加工団地や、行政、大学の海洋関係の研究機関が集積してお
り、生産・流通・加工・研究・教育にわたる水産基地が形成されています。
また、近郊都市部は商業施設や観光施設も多く、交通網の整備も進んでお
り、交流人口も多い地域となっています。
(2)主要漁業の現状・課題と課題解決に向けた主な取組
○ 中・小型まき網漁業
【現状・課題】
中・小型まき網漁業は、面高、神ノ島、毛井首地域の漁船が煮干の原
料であるカタクチイワシを主体に、三重地域の漁船がアジ、サバを主体に
操業しており、平成 25 年の漁獲量は 10,883 トンで、地域漁業生産の
28.4%を占めています。
近年は魚価の低迷、燃油・資材の高騰、資源の減少等により経営は厳
しい状況が続いています。さらに、新規就業者不足による乗組員の確保
が課題となっています。
まき網漁業は、従事者が多く、また乗組員の食料、使用燃料、漁業資材、
漁船管理のための資材や修理等に関連する産業との関係が深く、地域
産業への影響が大きい漁業種類です。
- 64 -
【課題解決に向けた主な取組】
生産者及び漁協は、蓄養生簀の増加や規模を拡大するとともに、研究機関等の指導を受け、活魚の品
質向上による価格、販売量の向上を目指します。
漁協は、餌として利用されている小型魚を練り製品等の高次加工品原料として販売し、漁獲物の有効利
用を図ります。
生産者は、行政機関や研究機関の指導を受け、鮮魚選別機の改良等を進め、漁獲物の高鮮度化や漁
獲物選別の効率化を図り、魚価の向上を目指します。
○ 刺網漁業
【現状・課題】
崎戸、三重、大瀬戸地域の漁業者を中心とした 99 経営体がイセエビ、ヒ
ラメ、カマス、マダイ、コウイカ等を漁獲対象として操業しており、平成 25
年は 266 トンの漁獲量となっています。
一部の地域では 20∼30 歳代の後継者が育っていますが、近年の漁獲
量は減少傾向であり、特にカマス、イセエビ、ヒラメ等の漁獲不振や価格
の低迷が続いているため、漁獲物の付加価値向上や貝藻類養殖との経
営の複合化が課題となっています。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、カマスの規格サイズを厳守することにより価格の向上を図ります。
漁協は、抱卵イセエビを再放流することにより資源の維持・増大を図ります。
漁協は、飲食店との漁獲物の直接取引や各種イベントでの漁獲物販売により消費者への普及を図りま
す。
行政機関は、各種施策により生産者の経営力強化、離職防止を図るとともに経営分析支援、改善指導
を行います。
漁協及び行政機関は、生産者の複合経営を促進し、漁家経営の安定を図ります。
- 65 -
【独自指標】
指標名
単位
H26
(基準年)
H32
(目標年)
漁獲物販売促進のための
イベント参加
回
2
4
○ その他の漁船漁業
【現状・課題】
定置網漁業は全域で、タコつぼ漁業及びひき縄漁業(タチウオ等)は主
に大瀬戸、三重地域で、はえ縄漁業(クエ、アマダイ、キダイ等)は主に大
瀬戸、深堀地域で、その他の釣漁業(イサキ、マアジ等)は主に大島、崎
戸、大瀬戸地域で行われています。
平成 25 年はその他の漁船漁業として合わせて 309 経営体で、702 トン
の漁獲量となっています。
近年は、有用魚種の来遊減少等により漁獲が不安定な状況が続いて
おり、低価格魚の有効利用や経営の複合化が課題となっています。
【課題解決に向けた主な取組】
漁協は、投棄されたり、低価格でしか取引されないアイゴやイスズミ等低・未利用魚の練り製品化等に
試験研究機関等の指導を受け加工業者とともに取り組みます。
生産者及び漁協は、活魚や高鮮度の状態での出荷、ブランド化等漁獲物の品質向上により魚価の向上
に努めます。
漁協は、飲食店との漁獲物の直接取引や各種イベントでの漁獲物販売により水産物の消費者への普
及を図ります。
行政機関は、各種施策により生産者の経営力強化、離職防止を図るとともに経営分析支援、改善指導
を行います。
漁協及び行政機関は、生産者の複合経営を促進し、漁家経営の安定を図ります。
- 66 -
○ 養殖業
【現状・課題】
ブリ、ヒラマサ、マダイ、クロマグロ等の魚類養殖が、大島、三重、長崎、
蚊焼地域で、カキ等の貝類養殖が大島、崎戸地域で、藻類(ワカメ)養殖
が大島地域で行われています。
平成 25 年は 10 経営体で生産量 659 トンとなっています。
餌料の高騰、価格低迷、販売量の伸び悩み等により漁業経営は厳しい
状況にあり、単一の漁業種類では安定した収益が得られにくい状況にな
っており、ブランド化、コスト削減、経営の複合化などが課題となっていま
す。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、安全安心な養殖魚生産のPRやブランド化を図り、収益性の向上を目指します。
生産者及び漁協は、試験研究機関等が行う肉質改善、餌料添加物等によるコスト削減等に効果的な養
殖技術開発への協力や導入について検討します。
生産者及び漁協は、販売促進活動により養殖生産物の販売量増加に努めます。
生産者及び漁協は、各種イベントでの販売により消費者への養殖生産物の普及を図ります。
漁協及び行政機関は、ワカメ養殖等と漁船漁業との複合経営を促進し、生産者の経営安定を図ります。
【独自指標】
指標名
養殖魚のブランド化
単位
H26
(基準年)
H32
(目標年)
件
-
2
- 67 -
○ 水産加工業
【現状・課題】
神ノ島、深堀地域では漁協自営により比較的大きな規模で煮干や塩干
品等の加工が行われていますが、その他地域の多くの経営体ではマダコ、
ワカメ、ウニ、エソ等を原料とした煮だこや塩蔵品、すり身等の小規模な加
工が行われています。
近年は、原料高や原料不足、および製品の販売不振等により加工生産
は低迷しており、原料の安定確保や販路の拡大が課題となっています。
【課題解決に向けた主な取組】
漁協は、各種イベントでのマダコ加工体験等による販売促進、ボイルタコの産地直送による販売量の増
大に努めます。
行政機関は、加工業者の協業化を促進し、経営の効率化を図ります。
生産者及び漁協は、新規加工商品の開発を行い、加工品販売量の増加を目指します。
行政機関は、水産加工振興方針をとりまとめ、体系的に地域水産加工業の振興を図ります。
生産者は、低・未利用資源を原料とした加工商品の開発、販売促進に努めます。
【独自指標】
指標名
低・未利用資源の加
工原料化
単位
種
- 68 -
H26
(基準年)
-
H32
(目標年)
2
(3)海区共通指標(西彼海区)
指標名
単位
H25
(基準年)
H32
(目標年)
海面漁業生産量
トン
11,956
12,024
海面養殖業生産額
億円
5
6
漁業就業者数
人
910
760
新規漁業就業者数
人
5
8
雇用改善経営体数
経営体
-
3
回
2 (H26)
4
【独自指標】
漁獲物販売促進のための
イベント参加
養殖魚のブランド化
件
- (H26)
2
低・未利用資源の加工原料化
種
- (H26)
2
- 69 -
2 大村湾海区
(1)海況、地域の特徴
大村湾海区は、南北に約 26km、東西に約 10km、湾北部の針尾瀬戸と早岐
瀬戸の 2 本の細い水路を経て支湾である佐世保湾を通じてのみ外海とつなが
る閉鎖性の強い内湾です。水の出入りが非常に少ないため、湾内の水温は
気温の影響を受けやすく、夏季は 30℃を超え、冬季は 10℃を下回るなど季節
変動が大きいのが特徴です。また、夏季に赤潮や貧酸素水塊(溶存酸素量が
極めて少ない水塊)の発生が見られるなど、厳しい漁場環境にあります。
湾内では、小型底びき網、刺網、はえ縄、カゴ、採介藻等の漁業が営まれ、
ブリ類やマダイ等の魚類養殖やカキや真珠の貝類養殖も行われています。
また、湾央部には長崎空港が、湾北部には国内でも有数の集客を誇る観
光施設が立地し、国内はもとより中国、韓国などアジア各国からの来訪もあり、
交流人口の多い地域となっています。
(2)主要漁業の現状・課題と課題解決に向けた主な取組
○ 小型底びき網漁業
【現状・課題】
漁獲の主体はナマコであり、海区のほぼ全域で行われています。平成
25 年は 221 経営体で 144 トンの漁獲量があり、経営体は海区全体の
27.4%、漁獲量は海区全体の 5.3%を占めています。
ナマコは種苗放流、禁漁期間の設定等の資源管理も実施されています
が、以前は 200 トンを超えることもあった漁獲量が、近年は 50∼100 トン程
度となっています。また、需要が多くなる時期が限られるため出荷価格が
大きく変動します。
このため、資源の増加が期待される漁場環境の改善や価格の向上が
課題となっています。
- 70 -
【課題解決に向けた主な取組】
生産者及び漁協は、漁場環境、特に底質環境を改善するための海底耕耘や客土・覆砂の実施を検討し
ます。
生産者は、ナマコ天然採苗や種苗放流を実施するとともに、禁漁期間の設定や総量規制等の資源管理
の取組を行います。
漁協は、行政機関の支援により、投石等による漁場造成や幼稚仔生育場の造成を行います。
漁協は、漁獲物の保管・蓄養施設を整備し出荷時期を調整することにより、漁獲物の価格向上を図りま
す。
○ その他の網漁業
【現状・課題】
平成 25 年は 42 経営体で 495 トンの漁獲量があり、経営体は海区全体
の 5.2%、漁獲量は海区全体の 18.1%を占めています。
主なものは佐世保湾の瀬川地区を中心にカタクチイワシを対象として操
業されている地びき網漁業で、漁獲量は、400 トンを超えています。漁獲さ
れたカタクチイワシは大部分が県外カツオ釣漁船の餌として利用されてい
ます。
近年は漁場環境の悪化や、食害動物の出現等の問題が発生している
ため、漁場環境改善や食害動物対策、漁獲物の価格の向上が課題とな
っています。
【課題解決に向けた主な取組】
漁協は、浚渫等の漁場環境改善手法の実施を検討します。
生産者は、追い払い等食害動物対策を実施します。
生産者及び漁協は、カタクチイワシの生食出荷、加工、養殖餌料向け出荷等を行い漁獲物の価格向上
を図ります。
- 71 -
○ その他の漁船漁業
【現状・課題】
刺網漁業ではクロダイ、マダイ等、小型定置網漁業ではマアジ等、はえ
縄漁業ではクロダイ、スズキ等、ひき縄釣漁業ではスズキ等、その他の釣
漁業ではマアジ、マダイ、スズキ等、カゴ漁業ではガザミ類、タコ類等、採
介藻ではウニ類、サザエ、海藻類等が漁獲されています。
平成 25 年は 437 経営体で 735 トンの漁獲量があり、経営体は海区全体
の 54.2%、漁獲量は 26.9%を占めています。
一定の漁獲があるものの、価格が安いクロダイ、スズキ等の価格向上
や漁業者の高齢化が課題となっています。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、クロダイ、スズキ、ヒラメ等、資源量が増えていると思われる魚種について、積極的に漁獲を
行い収益の増加を目指すとともに、漁協はこれら魚種の流通加工対策を推進します。
生産者及び漁協は、高齢者でも安全に操業できるよう、カサゴ、メバル等、ごく沿岸に定着する魚類の
種苗放流、資源管理を実施します。
生産者及び漁協は、漁獲された小型魚を養殖し大きくして販売したり、釣堀用に供給する方法を検討し
ます。
生産者は、ワカメ等の藻類養殖を副業として導入することにより経営の複合化を図ります。
【独自指標】
指標名
藻類養殖導入件数
単位
件
- 72 -
H26
(基準年)
1
H32
(目標年)
2
○ 養殖業
【現状・課題】
佐世保湾でブリ類、マダイ等の魚類養殖、湾西部を中心にカキ養殖及
び真珠養殖が行われています。
平成 25 年は魚類養殖が 10 経営体で 685 トンの生産量、カキ養殖が 57
経営体で 263 トンの生産量があり、魚類養殖の経営体は海区全体の
1.2%、生産量は 25.0%、カキ養殖の経営体は海区全体の 7.1%、生産量
は 9.6%を占めています。
魚類養殖の近年の生産量は 700∼900 トン程度で推移していますが、有
害赤潮による養殖魚の大量へい死等により、生産量は減少傾向です。
また、佐世保湾は他海区の養殖漁場と比べて、夏季の水温が高く冬季
の水温が低い傾向があるため、養殖魚の成長や生残に不利な面があり
ます。
カキ養殖は経営体が小規模であり、以前は 500 トンを超える生産量が
ありましたが、近年は夏季の高水温によるへい死等により生産量が減少
しています。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、日常モニタリングの強化により早期に有害赤潮の発生を検知し、餌止めを徹底するととも
に、漁場環境改善を行うことでへい死被害軽減を図ります。
県は、実効性のある赤潮被害対策手法の確立に努めます。
生産者及び漁協は、量販店等の販路を開拓し、多様な売り先の確保を図ります。
漁協は、行政機関の支援により、貝類養殖への新規参入者に対し、漁場の割当や施設導入に係る初期
費用の軽減を図ります。
【独自指標】
指標名
養殖魚のブランド化
カキ養殖経営体数
単位
件
件
- 73 -
H26
(基準年)
57
H32
(目標年)
2
59
(3)海区共通指標(大村湾海区)
指標名
単位
H25
(基準年)
H32
(目標年)
海面漁業生産量
トン
1,630
1,638
海面養殖業生産額
億円
8
10
漁業就業者数
人
1,304
1,090
新規漁業就業者数
人
9
7
【独自指標】
藻類養殖導入件数
件
養殖魚のブランド化
件
カキ養殖経営体数
件
1 (H26)
2
- (H26)
2
57 (H26)
- 74 -
59
3 橘湾海区
(1) 海況、地域の特徴
橘湾海区は長崎県の南部に位置しており、西は長崎半島、東は島原半島
に囲まれ、湾口は南西に大きく開いており、海岸線は比較的単調な湾です。
対馬暖流の影響を受け、主にカタクチイワシ、マアジ、サバ類、タチウオ、エ
ビ類、イカ類が漁獲され、サザエ、ウニ類等の磯根資源にも恵まれ、中・小型
まき網のほか小型底びき網、刺網、はえ縄等の漁業が営まれています。また、
静穏域では、トラフグ、ブリ、マダイ等の魚類養殖、カキの養殖が営まれてい
ます。
地域内には、観光施設、温泉地も多く、漁協直売所による販売促進イベント
が定着するなど、今後、観光との連携強化等による一層の消費拡大が期待さ
れます。
(2)主要漁業の現状・課題と課題解決に向けた主な取組
○ 漁船漁業
【現状・課題】
中・小型まき網、小型底びき網、刺網、はえ縄、その他の釣りなど、平成 25
年は 454 経営体で、海区全体の 84.9%を占める地域内の重要な漁業となって
います。しかしながら、資源の減少により平成 20 年に 17,224 トンあった漁獲量
が平成 25 年は 6,520 トンと約4割の漁獲量となり、魚価も低迷している状況に
あることから、資源の増加が期待される漁場環境の改善や、魚価向上のため
の地域ブランド作りが課題となっています。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、堆積ゴミの除去や海底耕耘など漁場機能の回復対策により、湾内海底の漁場環境を改善
し、資源の回復・維持を図ります。
生産者は、行政機関や研究機関の指導を受け、産卵や幼稚仔の育成場である藻場の維持拡大を図り
ます。
生産者は、橘湾の海域特性に合ったヒラメ、クマエビ等放流効果が高い魚種について、放流適地への大
型サイズの放流等、効果的な放流の実践等により資源の維持・回復を図ります。
生産者は、漁協直売所等を中心とした地域水産物の直接販売、消費拡大イベント等のほか、市と連携し
た観光 PR 活動や地域ブランドの育成強化に取り組みます。
- 75 -
【独自指標】
指標名
単位
H25
(基準年)
H32
(目標年)
沿岸漁業生産量
(中・小型まき網除く)
トン
2,158
2,168
○ 養殖業(全体)
【現状・課題】
当該海区の魚類養殖は、長崎市戸石地区や雲仙市南串山地区の静穏域
を中心にトラフグ、ブリ、マダイ等 1,729 トン(H25)の水揚があります。
平成 10 年の 992t と比較し生産量は増加していますが、近年の魚価の低迷
とともに、燃油や飼料の高騰による生産コスト増加、赤潮発生等による環境の
悪化などにより経営が圧迫されています。
また、所得向上を図るため漁船漁業者の副業としてカキの養殖が行われて
います。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、赤潮による被害の軽減を図るため赤潮観測体制を強化します。
生産者は、養殖飼育作業のグループ化、飼料の改良等によるコスト削減及び高付加価値化(ブランド
化)による単価向上を目指すとともに、魚種の多様化を推進します。
生産者は、行政支援により県外販売イベントへの参画、地元小学校の給食への提供等養殖魚の消費
拡大対策(PR 活動等)に取り組みます。
○ トラフグ養殖業
【現状・課題】
主に長崎市戸石地区で行われており、生産量は平成 15 年の 361 トンから平
成 25 年には 592tに増加していますが、平均単価が 1,800 円/kg∼2,800 円/kg
と年により大きく変動し、また飼料価格の高騰等により生産コストが増加する
など、厳しい経営状態が続いており、生産コストの削減や、消費拡大が課題と
なっています。
- 76 -
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、県内外販売イベントへの参画、地元小学校の給食への提供等養殖魚の消費拡大に取り組
みます。
生産者は、身欠きふぐの販売等による付加価値化を図り、収益性の向上を目指します。
生産者は、飼育作業のグループ化、飼料の改良等によるコスト削減を目指します。
生産者は、赤潮による養殖魚へい死被害の防止・軽減を図るため、赤潮観測体制の強化に取り組みま
す。
○ カキ養殖業
【現状・課題】
長崎市戸石地区を中心に小型底びき網漁業者の副業として行われ、平成
25 年で 31 トンの生産量となっています。今後、当該海区の冬季の収入源とし
て期待されています。
近年、雲仙市南串山地区と長崎市戸石地区でイワガキの養殖が行われて
いますが、生食用出荷のための各種検査費の負担が大きく、イワガキ養殖に
取り組むうえでの課題となっています。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者及び漁協は、販売促進 PR イベントや漁協直売所での販売、カキ収穫体験(観光漁業)を行い、販
売量の増加による所得の向上を目指します。
生産者及び漁協は、行政支援によりカキの生食用販売に取り組むための海水殺菌施設整備を行い販
売単価向上を図ります。
生産者及び漁協は、漁船漁業者の副業として、カキ養殖の新規着業者を増加させ漁家収入の向上を図
ります。
【独自指標】
指標名
単位
イワガキ養殖
経営体
H26
(基準年)
2
- 77 -
H32
(目標年)
14
(3)海区共通指標(橘湾海区)
H25
(基準年)
H32
(目標年)
指標名
単位
海面漁業生産量
トン
6,520
海面養殖業生産額
億円
21
22
漁業就業者数
人
924
780
新規漁業就業者数
人
4
6
雇用改善経営体数
経営体
-
2
トン
2,158
2,168
経営体
2 (H26)
14
【独自指標】
沿岸漁業生産量
(中・小型まき網除く)
イワガキ養殖
- 78 -
6,555
4 有明海海区
(1) 海況、地域の特徴
有明海海区は長崎県、佐賀県、福岡県、熊本県に囲まれ、周辺に多くの
都市部や農村地区を抱え、陸域からの負荷により富栄養化が進行しやす
い閉鎖性の強い海域です。湾口部は橘湾と不知火海に接続し、湾奥部は
遠浅な海底地形となっています。
海域内の潮流は潮汐により随時流向を変えますが、長期的には海域内
の海水は反時計回りに移動しています。
潮汐による干満の差が大きく、湾奥部の広大な干潟に、二枚貝を始めと
する底棲生物が豊富に生息し、漁場として利用されるだけでなく、海域全体
がヒラメ類、カレイ類、フグ類、ガザミ類、エビ類、貝類等多くの重要水産資
源の産卵場や幼稚仔の育成場となっています。
近年は海底の泥化や有機物の堆積など漁場環境の悪化、赤潮や貧酸
素水塊の発生等が見られる中で、海面漁業生産量は減少傾向にあります。
島原半島の全域は、平成 21 年8月に国内第1号の世界ジオパークに認
定され、さらに、世界遺産登録を目指す史跡等の観光資源もあり、今後交
流人口の増加が見込まれます。
(2)主要漁業の現状・課題と課題解決に向けた主な取組
○ 漁船漁業
【現状・課題】
湾口部では一本釣り、はえ縄、刺網、たこつぼ、湾中央部ではごち網、小型
底びき網、げんじき網、待網、湾奥部ではかご、刺網等多種多様な漁船漁業
が営まれています。
漁獲量は平成 15 年の 4,346 トンから平成 25 年は 2,053 トンと半減し、魚価
も低迷している状況にあります。また、漁業就業者も平成 15 年の 1,596 人から
平成 25 年には 1,168 人と減少し、高齢化も進行しています。
このため、資源の増加が期待される漁場環境の改善や魚価の向上が課題
となっています。
- 79 -
【課題解決に向けた主な取組】
生産者及び漁協は、漁場環境の改善を図るため、国及び有明海沿岸4県と連携して、海底耕耘等によ
り漁場機能の保全・回復を図ります。
生産者は、産卵や幼稚仔の育成場である藻場の維持拡大を図ります。
生産者は、水産資源の維持・回復を図るため、国県等と連携しトラフグ、クルマエビ、ヒラメ、ガザミ、ホシ
ガレイ等有明海の海域特性に合った放流事業の推進を図ります。
生産者等は、漁獲物の付加価値向上を図るため、鮮度保持技術の取得・普及に取り組み、魚価の向上
を図ります。
【独自指標】
指標名
単位
放流による漁獲増
トン
H26
(基準年)
117.9
H32
(目標年)
137.5
○ 貝類養殖
【現状・課題】
諫早湾において、アサリ、カキの養殖が営まれ、平成 25 年度のカキ生産量
は 338 トン、アサリ生産量は 99 トンで海区の中心的な漁業種類となっていま
す。
貝類養殖は、天候、高水温、貧酸素・赤潮等の影響を受け、年により生産
量が大きく変動します。
このため、漁場環境の改善やブランド化による価格の向上が課題となって
います。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者及び漁協は、アサリ漁場の底質の泥化や砂れきの散逸等によるアサリ生息に不適切な生息環
境の改善を図るために、覆砂等の手法により漁場保全を行います。
生産者は、アサリ垂下式養殖等の取組や、カキ養殖技術の高度化等による収穫量の増加を図るととも
に、省力化など漁業就業者の高齢化対策に取り組みます。
生産者は、商標登録取得や広報活動等ブランド化に取り組み、販売単価の向上による収益の増加を図
ります。
- 80 -
【独自指標】
指標名
単位
H26
(基準年)
H32
(目標年)
垂下式養殖による
アサリ生産量
トン
11
30
○藻類養殖
【現状・課題】
県内有数のワカメ、ノリ、コンブ等の生産地域で、近年 10 ヵ年の生産量は、
ワカメ養殖で平成 17 年の 1,265 トンから平成 20 年の 818 トン、ノリ養殖では
平成 17 年の 28.02 百万枚から平成 25 年の 16.16 百万枚と、毎年の生産量の
変動が大きく、製品単価も変動しています。
また、平成 15 年と平成 25 年の経営体を比較すると、ワカメ養殖で 115 経営
体から 91 経営体、ノリ養殖で 26 経営体から 16 経営体と、従事者の高齢化等
により経営体数が減少しています。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者及び漁協は、行政機関や研究機関の支援・指導を受け、養殖藻類の特産品化に取り組み、価格
向上や販売量の増加を目指します。
生産者及び漁協は、新しい養殖対象種であるヒジキの養殖に取り組み、収入の増加を目指します。
【独自指標】
指標名
単位
養殖ヒジキ生産量
トン(乾燥)
- 81 -
H26
(基準年)
4.7
H32
(目標年)
5.2
(3)海区共通指標(有明海海区)
指標名
単位
H25
(基準年)
H32
(目標年)
海面漁業生産量
トン
2,053
2,062
海面養殖業生産額
億円
4
5
漁業就業者数
人
1,168
980
新規漁業就業者数
人
6
7
放流による漁獲増
トン
117.9(H26)
137.5
垂下式養殖によるアサリ生産量
トン
11 (H26)
30
養殖ヒジキ生産量
トン(乾燥)
4.7 (H26)
5.2
【独自指標】
- 82 -
5 県北海区
(1) 海況、地域の特徴
県北海区は本県の北西端に位置し、対馬暖流の影響を強く受け、五島列
島の最北部に浮かぶ宇久島、小値賀島を含む数多くの島嶼とリアス式海岸か
らなる複雑な海岸地形と相まって、沿岸水との潮境を形成することから、イワ
シ類、アジ類、サバ類、ブリ類、イカ類等の回遊がみられるほか、マダイ、ヒラ
メ、イサキや磯根資源のアワビ類、ウニ類等数多くの魚介類に恵まれていま
す。複雑な海岸地形の湾や入り江では、魚類や真珠などの養殖業も営まれ、
内湾から沖合まで漁場環境を活かした多種多様な漁業が営まれています。
また、豊かな海と出入りの多い海岸線は西海国立公園や玄海国定公園な
どに指定され、九十九島に代表される風光明媚で豊かな自然、美しい景観に
恵まれています。
(2)主要漁業の現状・課題と課題解決に向けた主な取組
○ 中・小型まき網漁業
【現状・課題】
佐世保地区を主体にカタクチイワシ・アジ類・サバ類を対象として 64 船団で
年間約 60 千トンの漁獲量があり、海区漁獲量の 8 割以上を占めるとともに県
内最大のイワシ煮干の生産地となっています。
近年は、燃油や資材価格の上昇に加え、カタクチイワシの不漁や煮干製品
価格の低迷などによる収益の悪化、他業種との漁場競合によるアジ類・サバ
類操業海域の沖合化や産地流通施設(拠点市場)の水揚処理能力不足など
が課題となっています。
- 83 -
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、少ない乗組員で操業可能な漁法の導入、鮮度保持技術の改良、アジ類・サバ類の養殖用種
苗採捕、加工業の協業化・省エネ型機器の導入・新商品開発等により収益性の向上を図ります。
生産者は、関係団体とともに操業の効率化等に必要な操業ルール見直しのための協議を行い、沖合域
における低利用資源の有効活用を図ります。
行政機関は、意欲ある生産者の経営改善に資する新たな事業展開などを支援するとともに、生産者と
関係者間の協議に参画して助言指導を行い、調整が整ったものから順次、操業ルールの見直しを行い
ます。
行政機関は、拠点市場(松浦、佐世保、平戸)の市場開設者による産地拠点市場の水揚機能等の強化
のための整備が円滑に進むように支援します。
【独自指標】
指標名
水揚機能等を向上させた市場数
単位
件
H26
(基準年)
H32
(目標年)
-
3
○ 沿岸許可漁業(固定式刺網、ごち網、機船船びき網など)
【現状・課題】
多くの許可漁業があり、固定式刺網漁業は、現在 318 隻がヒラメ、エビ類な
どを対象に操業し、ごち網漁業は、現在 126 隻がマダイ、イサキなどを対象に
操業しています。機船船びき網漁業は、平戸・生月地区のアゴ網、伊万里湾
等のイワシ網、各地のサヨリ網など、355 隻が操業しています。
魚価は、水揚不振や需要増により単価が上昇したトビウオ、ウチワエビなど
を除き低位に推移する一方、漁業経費は増加しています。また、従前より許可
漁業は、漁業調整上の必要性から各種制限を設けており、生産性の向上に
は限界があるため、他の漁業との複合経営や付加価値向上などによる経営
改善が課題となっています。
- 84 -
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、漁獲物の付加価値を最大限高めるため、漁協・産地市場等と連携し、漁獲物の取扱改善、
鮮度向上、活魚出荷、出荷調整や直接販売による流通コストの削減などに取り組み、所得向上を図りま
す。
行政機関は、水産物流通施設や直売所等の共同利用施設の整備、産地PR等による需要拡大及び意
欲ある生産者の経営改善に資する新たな事業展開などを支援します。
生産者は、資源を減少させない範囲で操業の効率化などを図るとともに、漁閑期の他漁業との複合経
営などにより経営の安定化を図ります。
行政機関は、漁場造成、種苗放流、資源管理の推進を図るとともに、漁業調整を図りつつ、漁業許可の
新規着業ルールや操業期間など、漁業許可制度の見直しに取り組みます。
○ その他の釣り漁業(いか釣、はえ縄、ひき縄、一本釣など)
【現状・課題】
いか釣漁業、クエ、カサゴなどを対象とするはえ縄漁業、クロマグロ、ブリを
対象とするひき縄漁業、イサキ、マアジなどを対象とする一本釣漁業があり、
平成 25 年には 728 経営体が年間約 2 千トンを漁獲しています。
近年、ケンサキイカ漁場は近海に形成されていますが、スルメイカ漁場は
沖合化しています。クロマグロの漁獲量、ブリの魚価は低迷し、イサキ、マア
ジの漁獲量は年変動が大きく不安定なため、付加価値向上による所得向上な
どが課題となっています。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、漁協・産地市場等と連携し、漁獲物取扱にかかる規格・基準の設定と管理を徹底し、ブランド
化などにより産地商品の良さをアピールし、販路拡大を推進することにより、所得向上を図ります。
行政機関は、水産物流通施設や新たな流通手段の導入、産地PR等による需要拡大及び意欲ある生産
者の経営改善に資する新たな事業展開などを支援します。
- 85 -
○ 定置網漁業(大型定置、小型定置)
【現状・課題】
イカ類、アジ類、サバ類、シイラ、ブリ類、その他多くの魚種を対象に、大型
定置 7 統のほか、小型定置が各地にあり、64 経営体で年間 4 千トンを漁獲し
ています。
近年の漁獲量は比較的安定していますが、魚価は低迷し、就業者不足や
高齢化などから、付加価値向上やコスト削減などによる経営の安定化、就業
者の確保などが課題となっています。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、省力化機器導入や漁具・漁船の改良等により漁獲効率を向上するとともに、漁獲物の鮮度
向上、活魚出荷、出荷調整による付加価値向上や直接販売、加工出荷による流通コストの削減などに
取り組み、所得向上を図ります。
生産者は、就労環境や住居等の生活環境を改善することにより定置従事者を確保するとともに、観光等
他の産業との連携によりブルー・ツーリズム等の体験型余暇活動等の促進により浜の活性化を図りま
す。
行政機関は、関係機関と連携し、生産性向上に向けて技術的サポートを実施するとともに、意欲ある生
産者の経営改善に資する新たな事業展開などを支援します。
行政機関は、雇用改善や浜の活性化に必要な取組や意欲ある生産者の経営改善に資する新たな事業
展開などを支援します。
- 86 -
○ ブリ類・マダイ養殖
【現状・課題】
多くの海域で行われており、平成 25 年には 6,013 トンを生産し、県内生産量
の 51%を占めています。
餌料価格の上昇と産地価格の低迷が経営を圧迫するとともに、大口需要者
からの一次処理加工のニーズに産地として十分対応できていないなど、高品
質で競争力のある養殖魚の生産や産地加工の促進などが課題となっていま
す。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、餌の工夫による品質向上や出荷先のニーズに合わせた身質改善、低魚粉飼料の導入や飼
料効率向上によるコスト削減、魚病のまん延を防止するための適正養殖密度の確保等により、高品質
で競争力のある養殖魚を生産します。
行政機関は、研究機関と連携し、身質改善効果の検証と生産者へのフィードバック、低魚粉飼料の実用
化、魚病対策技術の開発等とともに、区画漁業権免許設定についても機動的に対応します。
生産者及び漁協は、業者間や加工業者等との連携による生産体制の再構築とフィレ等簡易加工の導入
による販路開拓等に取り組むとともに、輸出先国における衛生管理基準(HACCP)に沿った加工場の
衛生管理体制を強化し、輸出促進を図ります。
行政機関は、国等と連携し、販売促進や産地加工の推進及び加工場の衛生管理向上に対する指導・支
援を行います。
【独自指標】
指標名
HACCP等認定加工場数
単位
H26
(基準年)
件
4
- 87 -
H32
(目標年)
5
○ トラフグ養殖
【現状・課題】
九十九島海域、伊万里湾海域などで行われており、近年の生産量は平成
21 年の 1,706 トンをピークに、平成 23 年に 1,035 トンまで減少した後、平成 25
年には 1,453 トンに回復しています。
全国生産量の 29%、県内生産量の 57%を占める大産地ですが、養殖経営
は、市況の低迷に加え、餌・資材等価格の上昇により厳しい状況にあります。
また、養殖漁場では魚病や有害赤潮が頻発し、歩留まりや品質を低下させる
大きな要因となっています。
このため、コストの削減や、新たな販路開拓が課題となっています。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、自主的な生産調整による収益性重視の生産体制を構築するとともに、餌料効率や歩留り向
上によるコスト削減、身質改善や餌の改良による付加価値向上、適正養殖密度の確保等により、高品
質で競争力のある養殖魚を生産します。
行政機関は、研究機関と連携し、飼料開発、人工種苗の選抜育種、魚病対策等の技術開発とともに、学
習会や講習会等により生産者の技術向上を支援します。
生産者及び漁協は、観光・飲食・流通業界と連携した新たな販路の開拓や夏場の需要掘り起こし、輸出
展開、PRの強化等により需要を喚起し、養殖トラフグの消費拡大を図ります。
行政機関は、加工事業を軌道に乗せている漁協の販売力強化とともに、加工に取り組む意欲のある生
産者等による6次産業化の取組を支援し、地域全体で加工拠点の形成を図ります。
【独自指標】
指標名
トラフグ加工品の加工場出荷額
単位
百万円
- 88 -
H26
(基準年)
228
H32
(目標年)
342
○ カキ養殖
【現状・課題】
九十九島海域、平戸海域を中心に行われており、専業・兼業として多くの経
営体が実施し、近年は、夏季に収益のあるイワガキ養殖に取り組む経営体も
増加しています。
マガキの生産量は、東日本大震災の影響によりカキ種苗の入手が不安定
となり、平成 22 年の 554 トンに対し平成 25 年は 434 トンと、未だに回復してい
ないことから、種苗の安定確保と販売促進などが課題となっています。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者及び漁協は、行政支援により海水殺菌装置等の導入を進め、作業効率や衛生管理の向上、販
売促進を図ります。
行政機関は、研究機関等と連携し、本県海域に適応した種苗の生産技術を開発し、種苗生産機関への
技術移転により良質な種苗の安定供給を図るとともに、施設整備や販売促進活動を支援します。
生産者は、マガキとイワガキの養殖を組み合わせ、周年供給による消費拡大、観光産業等との連携、
加工商品化などに取り組み、所得向上を図ります。
行政機関は、養殖生産の技術指導、新商品開発や産地PR等を支援し、周年出荷体制の確立による漁
業経営の安定化を支援します。
【独自指標】
指標名
単位
H26
(基準年)
カキ生産量
トン
447
- 89 -
H32
(目標年)
550
○ 水産加工業
【現状・課題】
九十九島地域、松浦地域の煮干加工、平戸地域のトビウオ塩干加工、かま
ぼこ製造などの漁村加工及び佐世保・松浦の拠点市場や養殖産地に近接す
る企業加工など、水産加工業が盛んな地域となっています。
近年は、漁獲量の減少による原料の安定確保、資材・燃油価格の高止まり
や就業者不足、衛生管理体制の整備や販路の拡大などが課題となっていま
す。
【課題解決に向けた主な取組】
加工業者は、省エネ・省力化機器の導入、衛生管理の向上及び原料仕入、製品受注にかかる業者間連
携を進め、販売力を強化するとともに、ふるさと納税、直売所などでの販売情報を活用し、売れる商品づ
くりを推進します。
行政機関は、販売促進に必要となる協業化の推進や商品開発、販路開拓、機器整備などを支援しま
す。
加工業者と漁業者は、大口需要に対応するため、ネットワークを形成し、拠点市場と連携した生産・加
工・販売体制を構築するとともに、高度な衛生管理体制の整備を進め、アジアや北米など海外市場への
輸出拡大を図ります。
行政機関は、関係者間の連携や輸出展開をサポートするとともに、加工場の衛生管理向上に対する指
導・支援を行います。
- 90 -
(3)海区共通指標(県北海区)
指標名
単位
H25
(基準年)
H32
(目標年)
海面漁業生産量
トン
73,679
74,532
海面養殖業生産額
億円
98
110
漁業就業者数
人
3,745
3,140
新規漁業就業者数
人
26
55
雇用改善経営体数
経営体
-
10
件
- (H26)
3
【独自指標】
水揚機能等を向上させた市場数
HACCP 等認定加工場数
件
4 (H26)
5
トラフグ加工品の加工場出荷額
百万円
228 (H26)
342
カキ生産量
トン
447 (H26)
550
- 91 -
6 五島海区
(1)海況、地域の特徴
五島海区は長崎県の西に位置し、中通島以南の五島列島と男女群島を含
む広大な海域で構成され、東は五島灘、西は東シナ海に面し、黒潮本流から
分岐して北上する対馬暖流と列島付近にできる沿岸流の影響を受け、西日本
有数の好漁場を形成しています。海岸線は、大小百あまりの島々やリアス式
海岸で変化に富み、形成される静穏域には海面養殖の適地が多く、また、磯
根資源も豊かで、一本釣やはえ縄をはじめ、まき網、刺網、たこつぼ、採介藻、
魚類や真珠等の養殖、定置網など様々な漁業が営まれています。
地域内には世界遺産登録を目指す教会群や西海国立公園など観光資源
に恵まれていますが、2次離島が多いことや宿泊施設などの観光事業をサポ
ートする施設の不足が大きな課題となっています。
(2)主要漁業の現状・課題と課題解決に向けた主な取組
○ 漁船漁業(ひき縄、一本釣、はえ縄、刺網など)
【現状・課題】
ひき縄(クロマグロ、ヒラマサ等)、一本釣(イサキ、イカ類等)、はえ縄(マダ
イ等)、刺網(イセエビ、キビナゴ等)、二艘船びき網(トビウオ)などが営まれ、
平成 25 年には 892 経営体、漁獲量 3,359 トンで、大臣許可漁業を除くと海
区内漁獲量の 25%を占めています。平成 10 年に 1,968 人いた漁業就業者
は、平成 25 年には 867 人と減少しています。
漁業就業者の高齢化や、漁獲量の減少、魚価の低迷等から、漁業経営
は厳しく、担い手の確保も厳しい状況にあります。
このため、操業の効率化や付加価値の向上、新漁法の導入、漁獲物の
処理や蓄養・短期養殖、さらには流通加工販売に関する取組などが課題と
なっています。
- 92 -
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、将来的な漁業経営を検討し、漁協は生産者の経営状況の把握を行いながら、経営指導と収
益力強化を推進します。
生産者は、行政機関と連携して新漁法や新漁場での操業への取組を推進し、地元調整を図りながら、
必要に応じて許可の有効活用のための検討及び許可手続を行います。
生産者は、行政機関と連携して、磯焼け対策や種苗放流に継続的に取り組み、漁業収入の安定・向上
を目指します。
生産者及び漁協は、漁獲物の鮮度保持や神経締め技術の習得・向上によるブランド品としての出荷・流
通体制の向上、流通経費の削減や五島の強みを活かす事業を推進します。
漁協は、一次加工や新たな加工品開発による付加価値化を推進します。
漁協は、インターネットを活用した水産物の販売促進に努めます。
行政機関は、生産者の漁獲物の鮮度保持技術の向上等による品質向上や魚市等の販売チャネルを活
用した輸出促進等、流通面での取組を総合的に支援します。
生産者及び漁協は、行政機関と連携して、市場外流通、世界遺産登録や民泊の増加等を見据えた水産
物提供体制の構築、地産地消等、五島の強みを活かす施策による流通面での取組を推進します。
【独自指標】
指標名
神 経 締 めの 技 術 者
育成数(五島市地
域、定置網含む)
単位
人
H26
(基準年)
-
- 93 -
H31
(目標年)
30
○ 定置網漁業
【現状・課題】
平成 25 年は大型定置 24 経営体、小型定置 75 経営体で、水揚量は 5,460
トン、従事者数は 96 人と重要な雇用の場となっていますが、漁獲量が減少
する中、厳しい経営が続いており、操業の効率化を図る必要があり、新たな
技術を取り入れた漁船や漁網の導入、漁獲物の蓄養・短期養殖等に取り組
んでいます。
さらに、漁獲量の減少や魚価低迷による経営体の収益力低下に加え、従
事者の高齢化が進んでいるため、労働力の確保、技術者の育成が課題と
なっています。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者及び漁協は、研究機関の協力を得ながら漁場に応じた定置網の再設計や網の配置の検討と漁業
技術の向上に努めます。その結果、新規に漁業権を免許する必要がある場合には行政機関は積極的に
対応します。
生産者及び漁協は、行政機関と連携して、短期養殖の取組、活魚出荷や鮮度保持のための漁獲物取扱
のマニュアル化と徹底した品質管理による流通体制の改善を行います。
生産者は、短期養殖、仕切り網設置や選別漁獲等による魚価の向上に取り組みます。
生産者及び漁協は、行政機関の指導や支援を受けながら、省力化機器の導入、協業化等による経費削
減、乗組員の確保、周年操業への移行等による経営安定化の検討を行います。
【独自指標】
指標名
改良・改善した定
置漁場の数
単位
H26
(基準年)
箇所
-
- 94 -
H32
(目標年)
5
○ 養殖業
【現状・課題】
若松瀬戸、玉之浦湾を中心に、ブリ類、マダイ等の養殖が行われており、
近年は天然種苗の漁場に近い等、地理的優位性を活かし、クロマグロ養殖
が拡大しているほか、カキ等の貝類養殖も積極的に行われています。平成
25 年度は 57 経営体、生産量 4,520 トンで、県全体の養殖生産量の 21.2%を
占めています。
しかし、依然として魚価の低迷や資材・飼料価格の高騰、天然種苗の確
保が不安定等の課題があり、また、赤潮など漁場環境にも注意し、経営安
定化に努める必要があります。
【課題解決に向けた主な取組】
養殖業者は、魚類養殖と貝藻類養殖との複合養殖に取り組み、経営の多角化を図ります。漁協及び行政機
関は、漁場設定等の調整に協力するとともに、雇用拡大のため企業の参入を支援します。
行政機関は、研究機関と連携して低コスト飼料の開発・実用化を図り、生産者は当該飼料の実証試験に協
力します。また養殖業者及び漁協は、飼料に利用できる地元の漁獲物を確保するため、定置網漁業など他
の漁業種類との連携を深めます。
養殖業者は、差別化を図るため、品質を向上させるとともに、各種認証制度に参加し認定を受け、漁協は養
殖業者に対し適切な指導を行います。行政機関は、漁協と連携し助言指導するとともに、新たな機器等の導
入を支援します。
養殖業者は、藻類等の養殖に取り組み、漁場の自主的モニタリング体制を構築します。行政機関は、赤潮
予測技術の開発に取り組み、実用化を図るとともに、漁協と連携し迅速な赤潮情報の伝達を行います。
【独自指標】
指標名
単位
魚類養殖と貝・藻
類養殖の複合養
殖の漁場数
箇所
H26
(基準年)
-
- 95 -
H32
(目標年)
6
(3)海区共通指標(五島海区)
指標名
単位
H25
(基準年)
H32
(目標年)
海面漁業生産量
トン
13,407
14,243
海面養殖業生産額
億円
57
71
漁業就業者数
人
2,292
1,920
新規漁業就業者数
人
20
26
雇用改善経営体数
経営体
-
10
人
- (H26)
30
箇所
- (H26)
5
箇所
- (H26)
6
【独自指標】
神経締めの技術者育成数
(五島市地域、定置網含む)
改良・改善した定置漁場の数
魚類養殖と貝・藻類養殖の複合
養殖の漁場数
- 96 -
7 壱岐海区
(1)海況、地域の特徴
壱岐海区は、九州西部の玄海灘に位置する南北約 17km、東西約 15km の
壱岐島を囲む海域で、周辺海域には、対馬暖流分岐流と九州沿岸流が交差
し、七里ヶ曽根、平良曽根など天然礁が多く、イカ類、ブリ類、クロマグロ、サ
ワラ等の好漁場となっています。
沿岸の浅海域は、起伏に富む岩礁地帯が張り出し、ウニ類やアワビ類など
の磯根資源が豊富です。
漁業は、いか釣漁業、釣漁業を主体として、採介藻漁業、定置網漁業が行
われるとともに、島東部及び南部の静穏域では、魚類、真珠、カキ類の養殖
が行われています。
また、壱岐島は古くから大陸文化の中継地として重要な役割を果たしており、
平成 27 年 4 月に認定された日本遺産を構成する国指定特別史跡等を活用し
た地域振興に取り組んでおりますが、地理的特性から福岡都市圏との結びつ
きが強いこともあり、豊富な水産資源等を観光資源として活用することが求め
られています。
(2)主要漁業の現状・課題と課題解決に向けた主な取組
○ いか釣漁業
【現状・課題】
大型船(19 トン)、中型船(4.5∼10 トン)や、島の周辺海域では小型漁船(∼
4.5 トン)を用い、釣り(魚類主体)との兼業で行われており、その漁獲量は壱岐
海区漁業生産量の約 47%(平成 25 年)を占める代表的な漁業です。勝本地
域では大型船により、島根沖以北の日本海へ出漁する漁業者もいます。
漁獲量は平成 4 年の 15,026 トンをピークに平成 25 年は 2,561 トンまで減少
しています。燃油使用量が多いため、コスト削減の取組等による経営力の強
化を図るとともに、時期により水揚げが集中し価格が低下するスルメイカの価
格対策等が課題となっています。
- 97 -
【課題解決に向けた主な取組】
生産者及び漁協は、ブランド化推進(イカトレー出荷、規格統一)や冷凍設備を活用した出荷量調整、イカ
ゲソミンチ等漁協での一次加工の推進による魚価の安定・向上を図ります。
行政機関は、関係機関と連携し、生産者の収支構造見直しのための経営診断と診断結果に基づく漁業
種類の多角化等を推進し、漁家経営の安定を図ります。
生産者は、操業コスト削減のための取組を継続するとともに、行政機関は省エネ等経営力強化の取組
を支援します。
【独自指標】
指標名
経営セミナー・経営診
断を受けた漁業者数
経営改善計画を策定
した漁業者数
単位
H26
(基準年)
H32
(目標年)
人
−
20
人
−
5
※ 他の漁業分も含めた件数
○ 釣漁業
【現状・課題】
周囲を優良な漁場に囲まれており、ブリ類、クロマグロ、サワラ、マダイ、イ
サキ等が漁獲されています。平成 25 年の漁獲量は 1,457 トンで、当海区の漁
業生産量の約 19%を占めています。近年、クロマグロの漁獲が減少しており、
これに代わる収入源が求められていることから、漁業種類の多角化等による
経営力の強化が必要です。さらに冬季のブリ類をはじめとして魚価の低迷が
続いており、魚価の安定・向上が課題となっています。
- 98 -
【課題解決に向けた主な取組】
生産者及び漁協は、サワラ等のブランド化推進やフィッシュアナライザ活用等による売れる商品づくり、
一次加工の推進により魚価の安定・向上を図ります。
行政機関は、関係機関と連携し、生産者の収支構造見直しのための経営診断と診断結果に基づく漁業
種類の多角化等を推進し、漁家経営の安定を図ります。
生産者は、操業コスト削減のための取組を継続するとともに、行政機関は省エネ等経営力強化の取組
を支援します。
生産者は、行政機関の支援のもと、自主的な資源管理の継続・強化と種苗放流等による資源の維持・
回復を図ります。
行政機関は、生産者等の意向を踏まえ、魚礁設置や増殖場整備を継続し、操業の効率化や資源の維
持・増大を図ります。
○ 定置網漁業
【現状・課題】
箱崎漁協、郷ノ浦町漁協、石田町漁協管内で行われており、ブリ類、スルメ
イカ、ケンサキイカ、アジ類などが漁獲されており、平成 25 年の漁獲量は 796
トンです。
過去に比べると漁獲量は減少していますが、一定の漁獲は確保されていま
す。しかしながら、一時に大量に入網する魚の有効活用及び価格対策や、漁
場の有効利用が課題となっています。
【課題解決に向けた主な取組】
漁協は、旬の魚(カワハギ等)について島内及び福岡をターゲットとした活魚出荷の強化やブリ等の一次
加工を推振し、魚価の向上を図ります。
生産者及び漁協は、行政機関の協力・支援のもと、既存定置網の観光定置網としての活用や、体験型
観光定置網の新規導入を推進し、地域の活性化と漁家所得の向上を図ります。
- 99 -
○ 採介藻漁業
【現状・課題】
全地区で行われており、ウニ類、アワビ類等が漁獲されています。平成 25
年の漁獲量は 497 トンで当海区の漁業生産量の約 10%程度ですが、操業す
る漁業者が多い主要な漁業です。
ウニ類については、餌不足が原因と思われる身入り減少や黒化がみられて
おり、アワビ類については磯焼けによる生息場所や餌の不足による漁獲量の
減少が問題となっていることから、藻場の早急な回復が求められています。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、行政機関及び研究機関と連携して藻場回復の取組を推進し、資源の維持増大に繋げます。
生産者は、行政機関及び研究機関と連携してウニ・アワビ等の種苗放流や漁獲サイズ制限等の資源管
理を推進し、漁獲量の維持・増大を図ります。
生産者は、未利用資源であるアカモクを活用して所得向上を図るとともに、漁協による漁獲物の加工等
により販売拡大を図ります。
○ 養殖業
【現状・課題】
平成 25 年の生産量は 452 トンで、壱岐海区の海面漁業・養殖業生産量の
約 8%、このうちクロマグロ、トラフグ等の魚類養殖が 95%を占めています。
貝藻類養殖については、郷ノ浦町漁協や壱岐東部漁協でカキ類やコンブ等
が養殖されており、漁船漁業の漁獲が伸び悩む中、貴重な副収入源となるこ
とから、今後とも普及が必要ですが、販路確保と価格対策等、収益確保が課
題となっています。
- 100 -
【課題解決に向けた主な取組】
行政機関は、生産者の新規着業を容易にするため、適地判定と採算性確認のための試験養殖と着業
の支援を行います。
漁協は、海外も含めた販路開拓・確保と、自営養殖・加工・販売による働く場の確保を図ります。
行政機関は、研究機関と連携し、現在行われているトラフグ養殖等について、魚病対応などの技術的支
援等を行い魚類養殖の振興を図ります。
○ 観光業との連携
【現状・課題】
壱岐市は「国境の島 壱岐・対馬・五島 ∼古代からの架け橋∼」として、平
成 27 年 4 月 26 日に対馬市、五島市、新上五島町とともに日本遺産に認定さ
れたところであり、今後、観光対策の強化を図る必要があります。
現状では、各漁協個別の対応または検討を行っている中、漁家の所得向
上に繋げていくためにも、島全体を網羅した形での観光メニューづくりや島内
ホテル等への食材提供について連携して対応するとともに、観光業との連携
も強化していく必要があります。
【課題解決に向けた主な取組】
漁協及び行政機関は、「浜の活力再生プラン」に基づき、各漁協が地域資源を活かした漁業体験等コン
テンツの強化を図るとともに、漁協間の連携を進め、壱岐の観光振興に繋げていきます。
漁協及び行政機関は、島内ホテルや飲食店等に旬の食材提供やフェア実施等に連携して取り組み、観
光振興と島内での販売拡大を進めます。
【独自指標】
指標名
単位
H26
(基準年)
H32
(目標年)
観光メニュー数
メニュー
3
6
- 101 -
(3)海区共通指標(壱岐海区)
指標名
単位
H25
(基準年)
H32
(目標年)
海面漁業生産量
トン
5,432
5,522
海面養殖業生産額
億円
16
20
漁業就業者数
人
1,122
940
新規漁業就業者数
人
11※
10
※ 平成 24∼26 年の新規漁業就業者数の平均は 9 人
雇用改善経営体数
【独自指標】
経営セミナー・経営診断
を受けた漁業者数
経営体
-
5
人
- (H26)
20
経営改善計画を策定し
た漁業者数
人
- (H26)
5
観光メニュー数
メニュー
3 (H26)
6
- 102 -
8 対馬海区
(1)海況、地域の特徴
対馬海区は九州本土と朝鮮半島との中間に浮かぶ南北 82km、東西 18km
の対馬島を囲む海域で、海底は東側がなだらかな傾斜、西側は急深になって
おり、周辺には海谷、海盆や岩礁が多くあり、対馬暖流と大陸沿岸水が交錯
し、好漁場が形成されているためイカ類、ブリ類、タイ類、ヨコワ(クロマグロの
幼魚)、マアジ、サバ類等の回遊性魚類のほか、アワビ類、サザエ、ウニ類、
ヒジキやカジメ類等の豊かな磯根資源に恵まれています。森林が多く耕地面
積も少ないことから水産業が発展し、いか釣、ひき縄、はえ縄、一本釣などの
釣漁業、アナゴかご漁業、定置網漁業、採介藻漁業、クロマグロ養殖業や真
珠養殖業が営まれています。
韓国とは古くから交流が盛んで、特に近年は対馬の歴史や自然を目的とし
た韓国人観光客が増加しています。
(2)主要漁業の現状・課題と課題解決に向けた主な取組
○ 釣漁業
【現状・課題】
平成 25 年は 572 経営体で、全経営体の 35.3%を占めています。
漁獲量は、一本釣がブリ、マアジ、サバ類、イサキ、タイ類等で 758 トン、は
え縄がアカムツ、カレイ類、アマダイ、ブリ、マダイ、クエ等で 1,270 トン、ひき縄
がヨコワ(クロマグロ幼魚)、ブリ、サワラ、カツオ類、サバ等で 1,062 トンで、こ
れら合わせると海区漁獲量の 17.7%を占めており、多くはいか釣や採介藻と
兼業しています。
漁獲量の減少や一部の高級魚を除く魚価の低迷による収入の減少と燃油
価格の高止まりによる経費負担増が課題となっており、資源を維持増大させ
る取組や販売力の強化のほか、漁業者の経営力強化対策も求められていま
す。
- 103 -
【課題解決に向けた主な取組】
行政機関は、魚礁設置や増殖場整備を行い、操業の効率化や資源の維持増大を図ります。
生産者は、アマダイ、クエなどの自主的な資源管理や有用魚類の種苗放流による資源の維持増大を図
ります。
生産者は、行政機関の指導や休漁対策の支援を受け、クロマグロ資源管理を徹底します。
生産者は、省エネ機器(エンジン)への換装と効率的漁労技術(ソナー、潮流計)の導入を図り、収益性
の高い操業体制を構築します。
生産者は、行政支援や試験研究機関の指導等を受け、鮮度保持、ブランド化による魚価向上を図りま
す。
生産者は、行政支援や加工・販売業者等の関係機関との連携により加工製品化やネット販売、地元小
売による販路拡大を推進します。
生産者は、行政機関の指導・支援により収支構造の見直しのため経営診断を行い、収益性の高い他漁
業種や藻類養殖などとの多角経営や法人化を検討し、収益性の確保ができる経営改善計画を策定し経
営強化を図ります。
【独自指標】
指標名
単位
H26
(基準年)
H32
(目標年)
経営改善計画策定数
件
-
6
経営診断数
件
-
20
※いか釣、定置含む
- 104 -
○ いか釣漁業
【現状・課題】
平成 25 年の漁獲量は 4,892 トンで、海区漁獲量の 28.1%を占める代表的な
漁業です。漁船規模や他漁業との兼業など操業形態も多様で全島的に操業
されています。特に対馬東岸では大型船での専業が多く、島根沖以北の日本
海へ出漁する漁船もいます。また、本漁業は当海区の主力水産加工品である
イカ加工品の原料供給も担っています。
漁獲量はピーク時の平成 4 年には 23,229 トンでしたが、その後減少し平成
25 年は 4,892 トンとなっています。
経費の増大や、価格低迷に対応した収益性の向上対策のほか、従事者の
確保、育成も課題となっています。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、行政機関の支援を活用し、省エネ機器(エンジン)への換装と効率的漁労技術(ソナー、潮流
計)の導入を図り、収益性の高い操業体制を構築します。
生産者は、漁獲物の規格統一、取り扱いのマニュアル化により価格向上を図るとともに、行政支援等も
活用した活魚化や冷凍施設整備を行い、高付加価値化と出荷調整に取り組みます。
生産者は、行政機関の指導・支援により収支構造の見直しのため経営診断を行い、収益性の高い他漁
種や藻類養殖などとの多角経営や法人化を検討します。
行政機関は、雇用条件の改善・求人活動や従事者が独立できる支援体制を確立し、雇用型漁業の生産
者は行政・研究機関の求人や技術改善の支援等を受け、就業者の確保・育成を図ります。
- 105 -
○ 定置網漁業
【現状・課題】
島内全域で操業され、冬場のブリやスルメイカを主体として、平成 25 年は
47 経営体(2.9%)が操業し生産量は 2,276 トン、海区生産量の約 13%を占め
ています。
漁獲の減少や価格対策のほか、雇用確保や低・未利用魚の有効活用が課
題となっています。
当海区には、有望な漁場は多数あるものの、初期投資費用も多額であり、
新規参入は難しいのが現状となっています。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、行政機関の支援も活用し、直売所整備や集配システムの構築、関係機関と連携した島内ス
ーパー、飲食店等のニーズ把握により地産地消を推進します。
生産者は、低・未利用の漁獲物の新規加工品の開発や養殖用種苗への活用を検討し、行政機関の支
援により生産・供給体制の整備を行います。
生産者は、関係機関と連携し、一時期に大量に入網する低・未利用魚の輸出等の検討を行います。
生産者は、出荷マニュアルを作成するなど島内規格統一による対馬産鮮魚単価の底上げを図ります。
生産者は、行政機関の指導・支援により収支構造の見直しのため経営診断を行い、効率的操業体制
の整備や加工も含めた多角経営、法人化を検討します。
行政機関は、雇用条件の改善と求人の支援体制を確立し、生産者は行政・研究機関の求人情報の提
供や技術研修の支援等により、就業者の確保・育成を図ります。
生産者は、グループ化・共同経営等の経営基盤強化を図るとともに、行政・研究機関の支援により漁場
調査を行い、融資等を活用して島内定置網の新規着業を図ります。
- 106 -
○ 採介藻漁業
【現状・課題】
平成 25 年の漁獲量は 1,722 トンで海区の海面漁業・養殖業生産量の 9.9%
を占めますが、近年、磯焼けが進行し、漁獲の対象であったヒジキやアラメ等
の海藻類の減少とともに、餌・生息場所のなくなったアワビの漁獲量も減少し
ています。
また、サザエは年によって漁獲量の変動が大きく、豊漁時には価格が下落
し、課題となっています。
採介藻を主とする経営体は 283 で海区全体の 17.4%を占め、所得対策とし
ても重要な漁業となっていますが、従事者は高齢者が多いなどの課題があり
ます。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、アワビ等の種苗放流や漁獲サイズ制限等の資源管理を推進することで、漁獲量の増大を図
ります。
生産者は、行政機関や試験研究機関の支援・指導のもと、植食性動物の駆除や食害防止、母藻設置等
に取り組み、ヒジキやアラメ等の有用海藻類の増殖と、魚介類の産卵、育成、漁獲の場となる藻場の回
復・増大に取り組みます。
生産者は、漁協による直接取引、ネット販売や輸出などの新たな販路拡大等の取組への行政支援を受
け、漁獲物の価格向上と価格の安定化を図ります。
- 107 -
○ クロマグロ養殖業
【現状・課題】
浅茅湾地域を中心として平成 11 年から開始され、平成 25 年には 25 経営
体、生産量は 1,468 トンで、海区生産量の 8.4%を占めるまでに拡大していま
す。
しかし、現在は国際的なクロマグロ資源管理の強化のため、天然種苗を利
用した養殖の拡大が制限されています。
当海区ではほとんどを天然種苗に依存しているため、種苗の確保や、餌料
の安定確保、雇用の確保、赤潮対策などが課題となっています。
【課題解決に向けた主な取組】
生産者は、「長崎県マグロ養殖振興プラン」に基づく生産体制を構築し、県が策定した規格基準に基づく
販売戦略を推進し、価格向上と販路の確保を目指します。
試験研究機関は、種苗生産技術を開発・確立して普及するとともに、行政機関と生産者が一体となって
基幹施設(親魚養成と受精卵の提供)と地域種苗生産施設(稚仔魚育成)の連携による安定供給体制を
構築します。
生産者は、行政支援により地元産の魚や島外から購入した餌料を保管できる冷凍施設を整備し、餌料
安定供給体制の構築を目指します。
生産者は、行政及び試験研究機関等と連携して赤潮による被害防止のための監視体制を構築するとと
もに、養殖漁場の環境改善や魚病対策に取り組み、被害軽減と収益の向上を図ります。
生産者及び加工業者は、マグロ内臓の有効活用のため、料理・加工品・堆肥の製品化と生産体制構築
に取り組みます。
生産者は、雇用条件・労働環境の改善を図るとともに、行政機関は就業希望者に対する求人情報の提
供や技術研修を支援し、就業者の確保・育成を図ります。
【独自指標】
指標名
単位
H25
(基準年)
H32
(目標年)
養殖クロマグロ生産額
百万円
4,210
4,740
- 108 -
○ 真珠養殖業
【現状・課題】
平成 25 年の生産量は 4,236kg で本県の 59.8%、全国の 20.8%を占めてい
ます。経営体数は 46 で海区の 2.8%ですが、多くの従業員を雇用し、地域の
重要な産業となっています。
当海区の真珠の品質は品評会で多くの賞を受賞するなど、全国的にも高い
評価を受けていますが、より一層の高品質化のための養殖技術の改良や雇
用の確保が課題となっています。
【課題解決に向けた主な取組】
試験研究機関は、生産者と連携し、照りが良い真珠の出現率を高める養殖方法の開発・普及を図りま
す。
生産者は、雇用条件・労働環境の改善を図るとともに、行政は就業希望者に対する求人情報の提供や
技術研修を支援し、就業者の確保・育成を図ります。
【独自指標】
指標名
単位
H25
(基準年)
H32
(目標年)
真珠養殖生産額
百万円
2,334
2,850
- 109 -
○ 流通・加工
【現状・課題】
イカを原料とする加工を除くと、地域水産物を活用した加工はあまり盛んで
はなく、規模も小さく加工業者も少ない状況ですが、水産物の高付加価値化、
輸送コスト軽減の方策として、水産物加工を推進していく必要があります。
地産地消や観光客向けの消費拡大を推進するとともに、島内の需要に見
合った水産物供給体制の整備や、高品質な水産物の輸出促進が課題となっ
ています。
【課題解決に向けた主な取組】
加工業者は、行政機関の支援により対馬産水産物を原料とした、特長的な加工品について、新製品の
開発や安定生産可能な施設の整備、原料供給体制の確立、PR 活動等による生産体制、販路の確立を
目指します。
行政機関は、漁協等と連携して、水産加工に関する技術支援、創業への指導等により、対馬島内にお
ける水産加工業者を育成します。
生産者及び加工業者は、流通関係者と連携し、韓国向け輸出推進のため、PR 活動と出荷体制の整備
を行うとともに、他地域も含めた輸出戦略の検討及び効率的な輸出の展開に取り組みます。
行政機関は、島内の小売店、飲食店、宿泊施設等の地元産水産物の需要を調査し、関係者の連携によ
り島内の供給体制構築を目指します。
【独自指標】
指標名
単位
H26
(基準年)
H32
(目標年)
長崎県の魚愛用店店舗数
店
7
18
島内加工業者の平成「長
崎俵物」販売額
千円
13,922
15,500
- 110 -
(3)海区共通指標(対馬海区)
指標名
単位
H25
(基準年)
H32
(目標年)
海面漁業生産量
トン
15,494
15,853
海面養殖業生産額
億円
70
86
漁業就業者数
人
2,845
2,390
新規漁業就業者数
人
55
61
雇用改善経営体数
経営体
-
5
【独自指標】
経営改善計画策定数
件
- (H26)
6
経営診断数
件
- (H26)
20
養殖クロマグロ生産額
真珠養殖生産額
百万円
4,210
4,740
百万円
2,334
2,850
長崎県の魚愛用店店舗数
店
島内加工業者の平成
「長崎俵物」販売額
千円
- 111 -
7 (H26)
13,922(H26)
18
15,500
第7章
試験研究の取組方針
(1)現況、成果等
総合水産試験場は、本県の水産行政を技術的側面から支援することを目
的として、各種の研究開発に取り組んでいます。
前計画に掲げた基本目標のうち、
「次世代へつなぐ水産資源と漁場づくり」については、水産資源
の持続的利用を進めるうえで必要となる資源評価、栽培漁業の効果向上のた
めの基礎調査や放流技術の開発を行い、本県重要種の資源管理方法の検
討などに役立てられています。また、沿岸水産資源の基盤である藻場の保全
や、赤潮による漁業被害の防止・軽減のための技術開発など、水産資源や漁
場生産力の維持・向上を図るための研究・開発を行い、モデル地区などで実
用可能な成果につながっています。
「収益性の高い、安定した漁業・養殖業の経営体づくり」につ
いては、沿岸漁業において、漁海況情報の収集・発信や漁況予報及び漁場予
測技術の開発、定置漁場等の漁場調査などを行うとともに、養殖業において
は、餌の低コスト化、市場価値の高い魚種を対象とした優良種苗の作出や量
産化などを行い、生産性、収益性の向上につながる情報発信や技術開発を
進め、段階的に成果をあげています。
「消費者も産地も潤う水産物の供給体制づくり」については、多
様化する消費者ニーズに対応するための各種加工技術の開発、現地指導や
オープンラボを活用した技術普及を進め、多くの新商品が開発されています。
また、高品質で安全・安心な水産物の安定供給を図るため、水産物の鮮度保
持や品質向上に関する講習会を開催するとともに、輸送や品質測定にかかる
機器の開発・改良を行っています。
各分野で得られた研究開発の成果は、県内各地で開催する学習会(出前
水試)、ホームページへの掲載、ガイドラインや手引書の配付等を通して情報
を発信するとともに、水産業普及指導センターと連携しながら現場への技術の
普及と定着に努めています。
- 112 -
(2)課題
これまでの研究開発の取組や成果等を踏まえ、今後の課題を整理すると、
主に次のことが挙げられます。
● 水産資源の維持・増大を図るために、より的確な資源の評価と、より効
果的な放流手法の開発を行い、資源管理手法の確立に貢献していく必
要があります。また、効率的・効果的な操業に向け、漁況・漁場予測など
の有用な漁海況情報を、利便性の高い方法で積極的に発信するとともに、
収益改善に向けた定置網漁場調査の実施などにより、雇用型漁業の育
成に貢献することが必要です。
● 磯焼け対策については、温暖化に伴う水温上昇とそれに伴う魚の食害
の顕在化により、新たな技術開発が必要となっています。そのため、魚の
食圧の程度に応じて、漁場毎に増殖適種を選んで増やす藻場造成に取
り組んでいます。しかし、魚の食圧の強い場所では、食害対策に加え、母
藻の確保や造成規模、造成した藻場の維持・管理方法など、多くの課題
が残されています。
● 赤潮対策については、全国に先駆けて赤潮の消長予測の技術開発を
進めていますが、現時点では予測可能な原因プランクトン種が限られて
いるため、今後対象種を増やしていく必要があります。また、赤潮が長期
化・高密度化する場合は、その発生予測や餌止め等の対処だけでは被
害を抑えることができないこともあるため、赤潮の防除・抑制の技術開発
についても取り組む必要があります。
● 養殖業や放流を支える種苗生産の技術開発については、トラフグ、クエ、
ヒラメなど既に量産技術開発を終えた重要魚種を対象として、収益性を向
上させるための優良形質の付与や形態異常の軽減など、種苗のさらなる
質的向上を図る技術開発が必要です。また、県内産クロマグロ人工種苗
を安定供給するために、種苗生産現場の現状を踏まえた量産技術の開
発に取り組む必要があります。
● 水産加工品や活・鮮魚は、海外や大消費地に向けて本県産の良さを積
極的にアピールする必要があります。水産加工品においては、消費者ニ
ーズの多様化等に柔軟に対応した製品を開発するため、オープンラボを
活用した技術指導など支援体制の充実がますます必要となります。また、
活・鮮魚については、地域間の販売競争が激化する中で長崎産の優位
性を示すため、客観的な品質を測定する機器の活用や品質・鮮度等のさ
らなる向上など技術的側面からの支援が必要です。
- 113 -
● 飼料の高騰や魚価の低迷が養殖業者の経営を圧迫する中、特に飼料
コストの低減及び魚価の安定は養殖業者に共通した喫緊の課題です。こ
の課題を解決するためには、低魚粉飼料について成長や摂餌面での改
善を図ると同時に、関係者と連携して実証試験を展開する中で、低魚粉
飼料の使用方法など、コスト低減につながる飼育手法を検討していく必要
があります。また、輸出も含めて販売先に適した養殖魚づくりの検討が必
要です。
● その他、海水温上昇などの環境変化への適応策や海洋エネルギー産
業と連携した地域活性化対策などを検討するために必要な調査・研究も、
水産試験研究が取り組む新たな課題として想定されます。
- 114 -
(3)基本方針
研究開発の成果が実際に県内漁業者等の利益として還元されるよう、次の
視点を重視します。
【現場ニーズの把握】
現場の抱える課題に対し貢献度の高い研究開発を推進するため、移動
総合水産試験場「出前水試」等を活用して、これまで以上に積極的に現場
に出向いて、研究ニーズを的確に把握します。
【研究の重点化と現場展開シナリオを含めた計画の立案】
研究課題の選定においては、経済効果や緊急性などを十分検討したうえ
で重点化を図り、成果を還元すべき現場への展開シナリオを含めた計画を
立案します。
【研究・開発の効率的な推進】
国や大学、民間業者などの関係機関と有機的に連携・共同しながら、効
率的かつスピード感を持って研究・開発を進めます。
【研究成果の早期現場展開と確実な定着】
実用化レベルに到達した成果は、研究員自らが積極的に現場に赴いて
技術指導を行うなど、速やかに現場に還元します。また、成果の情報発信
については、ホームページや紙面媒体等による広報だけでなく、研究成果
をリスト化し配付するなど、より有効な手法を検討するとともに、次世代への
伝承も視野に入れて取り組みます。
【特許技術などの知的財産の活用推進】
総合水産試験場は、種苗生産や水産加工等を支える各種特許技術やノ
ウハウなどの知的財産を多く保有しており、これらは漁業の生産や流通販
売等で本県の優位性に貢献できることから、知的財産の有効活用を積極的
に推進していきます。
- 115 -
研究計画
Ⅰ
資源の的確な評価と管理、漁海況情報等の精度向上
水産資源の的確な評価、漁海況等の提供情報の高度化を行うことにより水
産資源の持続的利用と漁船漁業の操業の効率化を図り、漁業経営の収益性
の向上に寄与します。
◆基本目標◆
(1)収益性の高い魅力ある経営体の育成
【主な取組】
アジ類などの浮魚類やクロマグロなどの広域回遊魚については、これまでどおり他機関
と広域に連携して資源評価を行い資源管理に寄与します。更に、地域重要魚種や低・
未利用資源(植食性魚類等)については、漁獲関連データの収集体制を充実させなが
ら、漁獲実態や生態等の把握・解明に努め資源評価対象魚種の拡大を図るとともに、
既存の評価対象種(アマダイ・キビナゴなど)については、資源評価の精度向上と効果
的な資源管理手法の検討を行います。
操業現場のニーズに応えた漁海況情報の充実、漁況予報や漁場予測の精度向上、並
びにこれら情報の利便性の向上に努めるとともに、コスト削減や魚価向上のための漁
具・漁法の開発を検討します。
定置網漁場の調査・診断を充実し、既存漁場の改良や新規漁場の開発を支援すること
で、雇用型漁業の育成と生産性の向上に貢献します。
- 116 -
研究計画
Ⅱ
効果的な放流技術の開発や資源管理手法の開発
より効果的な種苗放流技術の開発及び放流後の的確な資源管理手法を構
築することにより、安定した漁業生産の確保に寄与します。また、「資源造成
型栽培漁業(※1)」の実現に向けた各種取組を推進します。
◆基本目標◆
(4)漁業生産を支える豊かな漁場・安全で快適な漁村の環境整備
【主な取組】
クエやヒラメ等の放流対象種の漁獲実態と資源生態を的確に把握し、これらに基づいた種
苗放流を含む資源管理手法を開発し、資源の維持・増大につなげます。
ナマコ、ガザミ等の新しい標識技術(DNA マーカー等)の開発・改良により、放流効果の推定
精度を高め、効果的な放流方法による栽培漁業を展開し、資源の維持・増大につなげます。
トラフグ、ホシガレイ等モデル魚種を設定し、「資源造成型栽培漁業」の実現に必要な「再生
産貢献度(※2)」の把握に努めます。
※1:「資源造成型栽培漁業」
放流種苗を漁獲の対象とするだけでなく、再生産に寄与させ資源の維持・回復を図る
ことまでも目的とした、資源管理を伴う栽培漁業
※2:「再生産貢献度」
放流魚の生き残りが、子孫を残して天然資源の増加に貢献する度合い
- 117 -
研究計画
Ⅲ
藻場の維持・回復や赤潮対策等による沿岸漁場環境の機能保全
藻場の維持回復に関する技術のほか、赤潮発生の予測技術や養殖魚の
被害軽減対策に関する技術を向上させ、沿岸漁場環境の機能保全に寄与し
ます。
◆基本目標◆
(4)漁業生産を支える豊かな漁場・安全で快適な漁村の環境整備
【主な取組】
磯焼けした沿岸漁場における藻場の維持・回復を図るため、 「磯焼け対策ガイドライン
(※3)」に基づく造成技術の現場への普及を積極的に進め、各地で実施されている磯焼
け対策の効率化・迅速化を推進します。また、主な課題である植食性魚類の食害対策、
母藻の確保、造成した藻場の管理手法等の技術開発について関係機関との連携を強
化し、取り組みます。さらに、「藻場回復ビジョン(仮称)」に基づいた長期的な取組とし
て、本県沿岸全域を対象とした、漁業者主体の活動を計画的に進めることとしており、着
実な藻場の回復を技術面から支援していきます。
赤潮対策については、養殖被害を最小限に抑えるための赤潮の発生・消滅の予測技術
(※4)や、粘土散布等の防除技術、赤潮の早期検出及び有害・有毒プランクトンの簡易
同定技術の開発を行い、現場への技術導入を進めます。また、赤潮の消長予測可能種
を増やします。
沿岸内湾域の貧酸素状態への対策や、底質改良に関する研究開発のための環境調査
を行い、情報提供に努めます。
※3:「磯焼け対策ガイドライン」
漁業者等による磯焼け対策の取組がより効率的かつ効果的に実践されるよう、
これまでの知見をとりまとめたもの。
※4:「赤潮の発生・消滅の予測技術」
赤潮の発生予測により餌止めなどの有効な対策を早目に行うことができ、消滅
の予測により餌止めの終了時期が分かるなど、適確な対策の徹底に繋がる。
- 118 -
研究計画
Ⅳ
有望な放流種苗・養殖種苗の生産技術開発および優良養殖種苗
の作出
水産業の収益性の向上につながる有望な放流対象種・養殖対象種の種苗
生産技術開発に取り組むほか、市場での付加価値の高い優良養殖品種の作
出及びその実用化を進めます。
◆基本目標◆
(1)収益性の高い魅力ある経営体の育成
【主な取組】
県内産クロマグロ人工種苗の生産・供給体制を構築するため、民間の種苗生産機関が
保有する水槽規模等を踏まえ、現場に導入しやすい種苗生産技術の開発を目指しま
す。
クエ、ヒラメなど既に量産化されている種苗についても体色異常や形態異常の軽減技術
など、種苗の質的向上を目指した技術開発を行います。
トラフグの「全雄早熟種苗(※5)」など、市場価値の高い養殖用種苗の実用化を目指す
とともに、精子の凍結保存や配付体制の整備など、優良家系の維持管理体制の構築も
併せて行います。
貝類・藻類の増養殖については、市場価値の高い養殖貝類(アコヤガイ、マガキ等)の
生産技術開発や、有明海特産二枚貝(アサリ、タイラギ等)の増養殖技術の開発、ヒジ
キ種苗の生産技術及び供給手法の確立を図り、それぞれ現場への技術普及を行いま
す。
※5:「全雄早熟種苗」
全オス化技術(産まれて来る子供が必ずオスになる技術)と選抜育種技術の組み合
わせにより生産される種苗。すべてがオスで白子早熟形質(精巣が通常より早く発達
する性質)を持つ。
- 119 -
研究計画
Ⅴ
長崎ならではの新しい水産加工技術の開発と技術支援の充実
国内外のニーズに対応できる水産加工業の育成のため、長崎の独自性を
アピールできる新しい水産加工技術の開発とオープンラボ等を活用した技術
支援の充実に努めます。
◆基本目標◆
(3)国内外での販路拡大と価格向上
【主な取組】
多様化する消費者ニーズに対応し、国内外への販売展開を見据えた製品開発を推進す
るため、これまでの知見や県有特許に加え、新しい加工技術などの指導をオープンラボ
や現地研修により実施します。
長崎県の独自性をアピールできる加工技術(減塩や発酵等)、輸出を視野に入れた高品
質な生食用冷凍加工技術を開発します。
鮮魚については、鮮度保持技術(血合肉の変色抑制等)を開発するとともに、長崎産の
品質の優位性を確立するため、「魚用品質状態判別装置(※6)」の応用技術を開発しま
す。
※6:「魚用品質状態判別装置」
魚に微弱な交流電流を流し、その流れにくさを示す抵抗値から脂肪量を推定する装置。
電流の周波数により脂肪量以外(鮮度や品質)の情報を得られる可能性がある。
- 120 -
研究計画
Ⅵ
長崎独自の新しい養殖技術の開発と魚病対策
省コスト化をはじめ市場での優位性の確保につながる新しい養殖技術の開
発と魚病対策技術の向上に努めます。
◆基本目標◆
(1)収益性の高い魅力ある経営体の育成
【主な取組】
現場ニーズの高い低コスト飼料として、低魚粉飼料の開発及び実用化に取り組みます。
カワハギ養殖など、本県独自の養殖マニュアルを作成し、普及啓発に努める他、新たな養殖
適種を各地域で探索し、地域特性を活用した短期蓄養殖等の技術開発に取り組みます。
クエなどを対象として閉鎖循環式陸上養殖システムにおける飼育技術・低コスト化技術の改
良に努めるとともに、陸上と海面を併用した養殖技術の確立を図ります。
ブリなど海外向けの養殖魚を中心として、高品質かつ低コストでの安定供給を可能とする養
殖技術の開発に努めます。
主要養殖魚種(クロマグロ、ブリ、トラフグ等)における重要疾病等について、育種技術を含
めて魚病対策向上のための技術開発に努めます。
- 121 -
研究計画
Ⅶ
新しい研究開発課題への対応
最先端技術の導入、気候変動に対する適応策の検討など、今後水産業界
にとって求められる研究開発課題に、長期的視野に立って対応を開始しま
す。
◆基本目標◆
(1)収益性の高い魅力ある経営体の育成
【主な取組】
海水温上昇などの海洋環境の変化への適応策を検討するため、南方系魚介類の水産
資源利用などを踏まえた情報収集に着手します。
「GCOM-C(※7)」などの観測衛星情報の利活用により、漁海況や赤潮動態等の取得情
報の高度化を検討します。
国・大学レベル等で取り組む水産関係最先端技術開発の動向を的確に把握し、本県へ
の導入の可否等について検討を進めます。
海洋エネルギー産業と連携した地域活性化対策に必要な技術的支援について検討しま
す。
※7:「GCOM-C」
地球の環境変動を、宇宙から長期間に渡りグローバルに観測することを目的とした人
工衛星プロジェクト「地球環境変動観測ミッション(Global Change Observation Mission)」
の中で、海色等を観測する気候変動観測衛星「GCOM-C(Climate)」
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研究計画
Ⅷ
他研究機関との連携強化等による研究開発の充実強化
国立研究開発法人や大学、県内公設試等との密接な連携により研究開発
の効率化・充実強化を目指します。また、研究者の資質向上に対する支援措
置等を検討します。
◆基本目標◆
(1)収益性の高い魅力ある経営体の育成
【主な取組】
これまでの技術開発成果に加え、他分野や民間企業等が保有する技術シーズを積極的に取り
込み、現場での活用を促進します。
外部リソースの活用や、県内公設試や民間企業との連携を行うことで、研究内容の充実強化と
研究開発の効率化を図ります。
「長崎水産研究三機関連絡会議(※8)」により、長崎大学環東シナ海環境資源研究センター、
西海区水産研究所との連携活動を強化し、共同研究の実施等を伴う研究活動の充実強化を図
ります。
※8:「長崎水産研究三機関連絡会議」
(研)西海区水産研究所、長崎大学環東シナ海環境資源研究センター、長崎県総合水
産試験場の3つの水産関係研究機関が、相互連携を強化しながら効果的かつ効率的
に研究を推進するために設置された会議
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研究計画
Ⅸ
県民への分かりやすい情報発信やニーズ把握の充実強化等
水産関係試験研究に対する漁業者等の理解を深めるため日頃から漁業者
等が分かりやすく利用しやすい情報の発信と普及啓発に努めます。また、生
産現場からのニーズ把握を充実させるとともに、大学等が行う人材育成プロ
グラム等へも協力していきます。
◆基本目標◆
(1)収益性の高い魅力ある経営体の育成
【主な取組】
「マリンラボながさき(水試ホームページ)」や「ながさき水産科学フェア」、漁業系統団体
の広報誌等を通じた分かりやすい情報発信や、移動総合水産試験場「出前水試」をはじ
めとする各種会合における水産研究への現場ニーズの把握に努めます。
得られた研究成果・開発した技術等は、特許技術等も含めリスト化を行うなど、漁業者が
利用しやすく、次世代にも伝えやすい形で情報提供し、水産業普及指導センター等関係
部署とも連携し、技術情報の普及拡大に努めます。
水産業関係の人材育成への貢献のため、「海洋サイバネティクスプログラム(※9)」等の
社会人教育プログラムに参画する他、各種研修の受け入れや実習等への対応を行いま
す。
※9:「海洋サイバネティクスプログラム」
長崎大学が主体となって運営している、長崎県の重要な産業である水産業・水産加工
業を活性化させる人材を養成するための社会人教育プログラムで、水産業の諸問題
について、環境科学、生物学、経済学、工学など関連分野の様々な専門知識・技術を
融合させ、集学的、多元的な問題解決方法を探るための学問領域
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