ゴルフ時の腰痛症について(平成28年7月号)

姫路市医師会
スポーツ医学
委員会
ゴルフ時の腰痛症について
段
秀 和
ある調査ではゴルファーの4人に1人は腰痛を訴えて
す。仮に腰椎を20°回旋させたとすると残りの7
0°は胸
います。ゴルフスイングでは最後の腰の伸展(逆C型ポ
椎と股関節によって作り出すことになります。ヒトは加
ジション)時に体重の約8倍の力が腰にかかります。ア
齢によりだんだん背中が丸まり、頭が前方へ突き出した
マチュアゴルファーよりプロゴルファーのスイングの方
姿勢になっていきます。アドレスの時点で、この姿勢
が腰へのストレスが少ないという報告があります。不適
(C型ポジション)では胸椎や股関節の捻じりの低下を腰
切なフォームは腰痛の原因になります。適切なスイング
椎がカバーすることになってしまいます。
を獲得するためには『十分な体幹筋力』と『十分な関節
ゴルフによる腰椎の中には腰以外に原因を認める場合
の可動性』が必要です。今回は後者にスポットを当てて
があります。正しいスイングが行える土台作りとして専
みます。
門医による胸椎や股関節の動きのチェックを受けてみて
まず、
“腰を捻る”とはどういう動作なのでしょうか?
下さい。また、理学療法士の指導のもとにトレーニング
ヒトの関節の中で“捻る(回旋)
”ことが可能な箇所は肩
(アスレティックリハビリテーション)を行うと『関節
関節、股関節、脊柱の3つです。このうち脊柱は頸椎・
の可動性』の向上も期待できます。腰痛の原因の正しい
胸椎・腰椎のそれぞれで捻ることが可能な範囲に差があ
見極めとそれに対するアプローチにより楽しいゴルフを
ります。腰椎は最も捻りにくい箇所で可動域は約15〜
長く続けていきたいものです。
2
5°です。ゴルフスイングでは体を90°以上回旋させま