韓国におけるマイナンバー制度の利活用について

韓国におけるマイナンバー制度の利活用について
2016年1月21月
内閣府大臣補佐官 福田峰之
韓国における住民登録番号制度と電子政府
 住民登録番号制度 (韓国のマイナンバー制度)
• 1962年から住民登録番号制度が導入されており、住民番号は、生年月日・性別・出生地といくつかの数字
から構成されている。 (そのため、住民番号が分かれば銀行口座開設等が出来てしまう)
• 個人情報の1.5億件に上る大規模漏洩(人口5000万人)は、政府からではなくて、セキュリティ向上のた
めに作成した銀行の共通子会社に勤務している人が意図的に漏洩させた。 政府は住民番号の公共部門
以外での利用を法律で禁止し、代わりにi-PINもしくは携帯電話番号を使う仕組みに置き換えている。
 住民登録番号制度をキーとして、電子政府が進んでいる (次項参照)
• 1987年の金大中時代から電子政府を推し進め、今ではほぼすべての申請や通知等がスマートフォンから
可能である。 キーとなったのは住民登録番号制度(マイナンバー)であり、マイナンバーがあった
ので電子政府化が可能であった。
• パソコンやスマートフォンのセキュリティーについては政府が一括管理をしており、パソコンから初めてアク
セスする瞬間に政府のセキュリティーソフトがインストールされる。スマートフォンも政府のセキュリティーを
準備する。 (国家公務員業務システムはIPHONEからは利用できなくなる予定)
• 電子政府については上記のように、国が開発をして自治体にも利用させている。
• まずは住民票を機械で発行することを手掛けた。次に自宅のプリンターでも印刷可能なようにした。今では、
紙で発行するのではなくてデータ的に連携できるようになっている。
• クレジットカード利用を推進したために利用率が高く、また、現金でも現金領収書の仕組みで把握している。
 情報の保護
• 個人情報への政府機関からのアクセスはGPKIを使って認証し、全てのアクセスログがとられている。地方
自治体のシステムも、地域情報開発院(日本のJ-LISにあたる)が開発して提供しており、そこでログがとら
れている。
• アクセス違反については、違反度合いに応じて懲戒免職や禁固刑などの処罰が科せられる。
• 個人情報へのアクセスは個人のポータルサイトで見ることも可能であるし、住民票が発行された時にはプッ
シュでメールが来るようになっている。
• 個人情報は分散して保管されているが、どこにどのようなデータがあるかのカタログを持っている。
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韓国における住民登録番号制度と電子政府
 韓国における電子政府の推進は、住民登録番号の電子化がキーとなっている
•
1962年の住民登録番号制度導入がきっかけとなり、各種キーとなるデータベースの整備、主要サービス
の電子化、ユーザー視点からのサービス整理統合(BPR)と進んできている
1962
住民登録番号制度の導入
1987~1994 住民、不動産、自動車、雇用などの主要データベース整備
2001
民願24,電子調達,ホームタックスなど11大電子政府事業推進
2003
財政,人事,刑事司法など31大電子政府ロードマップの推進
金泳三政権
金大中政権
蘆武鉉政権
2007
中央行政機関情報システムの政府統合電算センターへの統合
2011
カスタマイズサービスの拡大、個人情報保護法の制定
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(各論)
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電子政府ポータル 民願24
(情報提供5012種類、申請3020種類、証明書等発行1200種類)
 自宅でもオフィスでもどこからでも24時間365日、各種の申請等手続 や 証明証の発行 が可能
• 住民登録、戸籍、不動産登記、自動車登録、国税、年金、健康保険、高校や大学の卒業・成績証明証、兵役、出入国事
実証明、犯罪経歴関連 等々
• 公共施設(地下鉄、空港、病院 等)に数多く設置されている端末や、自宅等のPCから、13桁の住民登録番号と指紋に
よって本人を認証して各種証明証の印刷が可能 (電子透かし および 発行番号による照会 により原本として通用する)
。(設置場所によって 機能はカスタマイズされている)。 役所が発行する9割以上の証明証は自宅で発行可能
• 現状ではさらに進化させており、PCやスマホから、直接 官公庁や民間の担当者へメール送信する事で、紙の証明証を
発行せずに連携可能 (本人確認は公的個人認証か、携帯電話会社の契約との突合)
• 1:台帳コピー ⇒ 2:システムから出力 ⇒ 3:端末から各所
で印刷可能 ⇒ 4:ネットで自宅等で発行可能 ⇒ 5:データ連
携で発行しなくて良い という段階を経てきている
病院に設置された行政端末
スマホの画面(民願24)
• 民願とは、国民が行政機関に対して、申請や処分等、特定の行
為を要求する行為 (民願事務処理に関する法律第2条第2号)
許認可・免許・特許・承認・指定・認定・推薦・試験・検査・検定等の申請、 帳簿・台帳等への登録・登
載の申請又は届出、 特定の事実又は法律関係に関する確認又は証明の申請、 法令・制度・手続等
の行政業務に対する質疑・相談を通じた説明や解説の要求、 行政制度や運営の改善に関する意見
の建議、 その他行政機関に対し特定の行為を要求する事項
• 転入手続きは電子的に行えて、同時に転出手続きも行われ、郵
便局、銀行、税務、運転免許、自動車登録、健康保険、国民年
金、建築物、学校の転学 手続をワンストップで行ってくれる (
後で本当に住んでいるのかを確認している)
• 共同情報センターには、中央省庁以外にも118自治体、電力の
ような準公共機関、銀行、教育機関も参加
• 年間6億件の証明証発行をしていたが、2億件が必要なくなった
利用件数:11,563千件(‘05) → 66,833千件(’10) → 205,072千件(‘13)
↑ 右手親指指紋で認証中
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電子政府ポータル 民願24 の具体的なサービス事例
 出生申告簡素化サービス
•
(本人が申し込んでおけば、)病院のカルテから地方自治体へ出生申告書が送られて、自動的に家族構成が変わる。
その時には、児童手当申請も自動的になされる
 予防接種通知記録サービス
• (申し込んでおけば、)一度、インフルエンザ予防接種をすると、次に受けるタイミングのメールが来る。何処の病院でもカ
ルテは見られるようになっているので、何処の病院で注射を受けることも可能である。小学校入学時に、予防接種の記
録を出さないとならないが、自動的に送付されるようになっている。保健所、病院、家族、学校 が連携しているサービス
である
 年金
• 国民年金で、幾ら振り込んでいて、将来いくら貰えるのが見られるのはありがたい
 不動産
• 不動産の過去の売買の値段が、全てオープンで見られるようになっている。 (資産価値向上に対して、売却時に課税し
ている)
 苦情受付
• 国民申聞鼓と言うアプリは、ネットで苦情(不法駐車や不法自転車をカメラで撮影して送付等)を受け付けるアプリであり
、マウスカーソルを置くと太鼓の音がする。 苦情の処理状況も見られるようになっている
• 元々ソウル市には115システムで電話の同様なシステムがあった。 美味しいレストランの問い合わせに答えてもくれる
が、それがアプリに移行したと理解して貰えれば良い。 各部署に振り分けられて各部署の責任で処理が行われている
。処理状況はモニタリングされており、達成率を会議等で共有されてしまうので、全ての部署が真剣に対応しなくてはな
らなくなっている
 許認可自己判断サービス
• 地番を入力する事で、家を建てる時に関連するであろう全ての法律や規制を、教えてくれる
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その他の電子政府等 (1/2)
 電子決済
• 昔は、各府省庁ごとに電子決済の仕組みを作成していたが、今は行政自治部が全省庁が使える電子決済を作って使わ
せる形になっており、44省庁が開発するような重複がなくなっている
 代金徴収
• 国民年金、雇用保険、医療保険、労災保険 は一括で徴収する仕組みになっている。 全てのATMでは税金が支払える
• また、民間においても、総合管理費告知サービスとして、銀行・ガス・水道・アパートを金融監督院で一括してアパートの
管理事務所が建て替え出費をしておき、清算を一括で行ってくれる仕組みがある。これは、申込制である
 金融機関ワンストップ引越し
• オンライン上で指示をすることで、口座引き落としの金融機関をワンストップで変更できる。チェックボックスで選択して移
動する仕組みであり、一部引き落としの移動も可能となっている
 クレジットカード、ポイントカード
• オンラインとオフラインの両方で、クレジットカードやポイントカードの統合をしている
 お香典
• 葬儀場にもクレジット端末が多数設置されていて、お香典もクレジット端末で支払う人が多い
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その他の電子政府等 (2/2)
 印鑑制度
• 2年前に印鑑制度が無くなって、電子印鑑制度になっている
 入出国
• 出国は指紋認証で機械で出来る。 パスポートを機械で読み取り、次に指紋を読み取って処理する仕組みである
• 以前は、出国する時に脱税や逃亡の可能性を調査するために、出国時に法務院で1カ月掛かったが、今では住民登録
番号があるので毎日チェックしており、脱税している人は出国できなくなっている
• パスポート出国システムと銀行システムを連動させており、出国したら海外でキャッシュカードやクレジットカードが使える
ようになるが、帰国したら使えないようにする仕組みがある
 電子投票
• 韓国では、軍事政権の独裁制の記憶が強く刻み込まれており、独裁の危険性を孕んでいるので、電子投票に対しては
強い拒否感がある
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戸籍
 戸籍について
• 戸籍と住民票に分かれていたが、5年前に戸籍制度は無くなって家族関係登録簿(家族関係証明書)に変わった。 離
婚するとなぜ名字が違うのかと言う議論になって、男女平等のために家族証明証に変更された
 死者や過去の戸籍情報について
• 死んでしまった人の番号も消さないで残しておき、デリートするのではなくて別のテーブルに移動する。 日本の戸籍の
除籍簿と同じ取扱いである
• 法的相続人であれば、委任等の特別な操作をすることなく、死者に代わって各種の代理申請が可能である。また、全て
の銀行口座も教えてくれる
• 過去の戸籍も全て電子化している。 これは、金大中大統領の時にIMF危機で大量に失業が発生したので、そのタイミン
グで10年程度掛けて入力させた (例えば銀行員で失業した人は入力が上手い)
• 中身をデータベース化した期間が決まっていて その前の物はスキャニングでイメージ化している
• 韓国では、住民登録番号は意味のある番号なので、死者に対しても番号を振る事が可能なので、対応する戸籍の電子
化も可能である
• 韓国は殆どの家に家系図があり、データ化に適している
 その他
•
•
韓国でヒットした政策として、「先代の遺産を探してあげます」 と言うサービスがある。 国民からすると、亡くなってしま
った先祖が持っていた預金や保険などを探し出してくれて貰えるサービスであり、宝くじのようなものでみんなが喜んで
活用した
行政からみれば、 「道路を作りたいのに誰の物か分からなくて困る」と言ったことを解決する政策である
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行政自治部 (日本の総務省に相当)
 政権交代に伴う省庁再編成により、電子政府に関し行政自治部と情報通信部に分かれていた権限が、
行政自治部を改組した「行政安全部」に一元化。地方分権推進の観点から、次世代の電子政府構築への
取組みを一層加速していくものと期待される。行政安全部(わが国の総務省に相当)が大統領の指示
を受けて、関係各省や地方政府との調整を含め、韓国全体の電子政府の司令塔役を果たしている
 その後、2014年に行政安全部が行政自治部に改称。
行政自治部
電子政府政策と国家情報化政策を 一元的に担当
情報社会振興院(NIA)
各省庁のシステム調達支援 と 中央政府の電子化戦略立案
地域情報開発院(LID)
共同利用アプリケーションの開発 と 5年ごとの地方行政情報化戦略の策定
行政情報共同利用センター(PISC)
行政情報共同利用システムの運用
韓国情報保護振興院(KISA)
主に民間の情報セキュリティ研究、技術開発など
 韓国の公務員人事制度について
• キャリアは事務官から入る。上に行くほど数字が小さい。長官と次官は1級、室長は2級、次が局長で、一番下が9級。
キャリアは5級からスタートする。ノンキャリアは9か7からスタートする。局長は優秀でないと持たないので、法律で30%
は必ず外部採用になっている。さらに、自分の省庁から局長になれるのは30%しかなく、40%は他の省庁から来る。も
の凄く勉強しないと局長になれないし、また、きちんとコミュニケーションが取れないと他の省庁の局長になれない
• 博士以上でないと課長になれない
• 韓国では大統領になる時にマニフェストを作る。大統領が終わると、報告書を作成して国民に公開する事が決まってい
る。 金大中大統領は11課題 、ノムヒョン大統領は31課題 と言うのを決めて推進したのが効いている
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韓国情報化振興院 [NIA:National Information society Agency]
(各府省システム調達支援 と 政府電子化戦略立案)
 システム戦略検討 および 設計開発部隊
• 韓国は、2000年ぐらいから350名規模の情報社会振興院を作って国家情報化マスタープランを立てた。
• 情報システムの設計見積もりまで出来る組織であり、NIAが無ければ電子政府かはうまく進んでいなかったであろう。
• 院長と副院長は公募であり、職員のほぼ全員が民間出身者。院長は次官級。職員の9割が博士。
• 第3セクターであり、半分公務員で身分保障もしている。給料は公務員とほぼ同じである。40後半になると不安だが国家
公務員に慣れて給料もそこそこ保証されるのでサムスンなど辞めて来る 、経歴を積むと逆に民間で就職できるのでキ
ャリアプランになる
• どう使うかのアイデアを出すと、IT集団が作成する。決める所はNIAでやる
• 日本では予算を上げる時に業者から見積もりを貰うが、韓国では法律で予算策定のための発注も出来る。正確な数字
が出せるので、安くさせなくて良い
• 韓国の官僚は給料以外にも成果給があって、3割ぐらい給料が違う。企業誘致件数 や 海外からの旅行者数など 人
事考課の時位KPIを建てる仕組みになっている。お互いに納得できる数字を出さないとならないのでやっている。そうは
いっても数字を出すと“甘いのではないか”と言われがちなので、かなり保守的な数字を出す
• 情報システムの構築の時にも、政策実名制として誰が発案したか、効果はどのようなものか、を最後まで付けて行く
• 戸籍制度を廃止して家族関係登録簿制度に移行したり、印鑑証明制度の廃止 等において、シンクタンクとして関わり、
NIS職員のほかに、関係する省庁、当該分野の専門家が入り、具体的な電子化戦略を練り上げる。 こうした検討結果
は、各省庁のシステム調達戦略にそのまま反映されることもあれば、大統領の選挙時のマニフェストに加えられ、国家プ
ロジェクトになることもある
• 1995年から20年間、通信事業者から売り上げの1%(毎年1000億円ぐらい、携帯電波のオークションに含まれている
)の基金を作っていて、電子政府の基金となってNIAが管理をしている。どういう電子政府が良いのかと言うのを各政府機
関から提案書を貰って、一番良い事業を審査して始める。そうしないと、各々の機関が自分のやりたい事だけをやる。国
民から見て集めてこういうサービスをするのが適正だと言うのが出来ない。1995年から20年間やって来ている。
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行政情報共同利用センター [PISC]
 行政情報のデータ交換
 電子政府の推進にあたり紙の書類、特に添付書類の削減が重要な命題として掲げられており、その実現には各行政機
関が保有するデータベースの連携が不可欠
 2002年に「行政情報共有推進委員会」および「行政情報共有推進タスクフォース」が設置、2002年からG4C(韓国の電
子政府ポータルサイト)のサービスにて17種類の情報に関する検索や電子申請サービスの提供が存在していたが、そ
れを発展させる形で2005年に行政情報共有推進委員会を設置。 2006年の「行政情報共同利用法」制定とともに、国
民の生活の中で良く活用される、住民登録情/土地情報/登記簿謄本/出入国などの70種の情報を共同利用対象の
行政情報として選定した上で、「行政情報共同利用センター」を設置
 行政情報共同利用センターでは、行政情報を求める側と提供する側を仲介する情報連携ハブの役割を担う
 省庁以外にも118自治体、電力のような準公共機関、銀行、教育機関にまで拡大した行政情報の共同利用化を推進
 2001年制定の電子政府法において、各行政機関が保有する行政情報は必要とする他の行政機関と共同利用しなけれ
ばならないこと、また他の行政機関等から行政情報を受け取ることができる場合には、同様の情報を個別に収集しては
ならないことを規定した(電子政府法第36条)
①行政情報共有推進委員会が情報利用機関お
よび共同利用対象情報の登録を審査
②共同利用対象情報は2011年度で94情報が登
録されている。
③利用行政機関の担当者はGPKIで認証し、予
め登録された共同利用の権限がチェックされ、
アクセス証跡管理がなされる
④情報提供機関は要求された行政情報を抽出し、
行政情報共同利用センターの閲覧サービス機
能経由で提供(PISCはデータは保持しない:右
図参照)
情報利用
機関
情報保有
機関
情報利用
機関
情報保有
機関
情報利用
機関
情報保有
機関
情報利用
機関
情報保有
機関
情報利用
機関
情報保有
機関
PISC
PISC
PISC
PISC
PISC
転送
分配
収集
収集・分配
カスタマイズ
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行政情報共同利用センター [PISC]
 行政情報のデータ交換の仕組み
利用機関
行政情報共同利用センター
情報提供機関
政策情報共有モデル
定型の政策情報
③統計/政策情報
閲覧
①生成情報分析
②統計/政策情報生成/保
管/提供
機関別/テーマ別
業務運営システム
74種DB
非定型の政策情報
①政策情報要請
②収 集
④政策立案活用
③政策情報加工/提供
住民登録
個人添付情報共有モデル
①添付書類
発給申請
省庁別業務運営システム
/政府業務管理システム
②認証・権限確認
③情報提供要請
⑤添付書類
受付・確認
④添付書類情報保管
⑦添付書類
閲覧・確認
⑥添付書類閲覧番号送信
土地/建物
租税/納税
要請された情報の抽出
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地域情報開発院 [KLID]
 自治体のシステム
• (ソウル市等の特別大きな自治体を除いて、)日本のJ-LISに相当する地域情報開発院が、自治体業務のためにクシス
テムを構築運用して無償で提供している (基幹行政システム、財政システム、税システム、人事給与システム等)
• 地域情報開発院は、“日本のLASDEC (当時)が、地方自治体が共同で利用できるアプリは全部自分が開発して提供し
ています” と聞いたので、同じように地域情報開発院が構築提供するようにした
• 地方自治体のセキュリティーは、田舎の自治体では自分で見ることが出来ない。地域情報開発院にセキュリティイーセ
ンターがあり、プロが一括して管理監視している。物理的に同じ場所にあり、監視や対策が行いやすい
• 利用は強制ではないが、国の事務の委託事務なので、地方の特色を出せる事は無い。 自治体の首長から見れば地方
分権を一切言わずに、おんぶに抱っこでやってくれるとありがたい。 全自治体が利用している
• 地域情報開発院は、5年ごとに地方行政の情報化戦略を策定する政府内シンクタンクとしての役割も担う。また、法律作
成にも関わっており、局長級か次官級が来るポストである
• 漢字のコードをUTF-8に統一したり外字の統一など、ベンダーごとに異なっていたデータ仕様も標準化した。税体系など
自治体ごとに異なる点については、年齢層別税率ルールエンジンにパラメータ設定で対応できるようにした(独自開発)
• 共同利用するソフトのうち、大規模なものは上位組織である行政自治部が発注し、開発が終了したソフトをKLIDが引き
受け、維持管理や改修を行う。追加機能の開発や小規模のソフトの開発は地域情報開発院が担う。 ソフトを発注する
のに必要な要件定義を行う職員が12名いるほか、改修を行うITベンダーの技術者が約150人ほど常駐している。ITベン
ダーは毎年入札で選定し、年間400件ほどの開発、修正を実施している
• 特定のハードやソフトに縛られないための仕組みとして、「ソフト/ハードの移行に全責任を負う」というITベンダーが現
れた場合、例え移行に失敗しても調達した職員の責任を問わない、というウィンバック制度がある。 ソフトの改修を担う
ITベンダーについては、地域情報開発院では1年で1回ベンダーを変更することで、特定の業者への依存を防いでいる。
例えITベンダーが変更しても、だいたいのケースにおいて1~2カ月でスムーズに仕事できるようになる
• ソウル市は独自のシステムを持っているが、国のシステムに合わせられるように地域情報院の協力で改良している。
地域情報院が作成したプログラムは公開するようにしてるので、ソウル市としても対応が出来る
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調達庁
 調達庁について
• 韓国の国と地方自治体における調達は、調達庁が一括して行うようになっている。調達庁は財務省傘下で、調達庁長は
次官に相当する。財務省には属しているがコントロールは受けない独立した機関。財務省は金額と法律を担当、調達庁
が調達を担当している。一番大切なのは契約であり、物品の調達契約が一番大きな仕事となっている。備蓄事業も行っ
ている。
 電子入札
• 入札と一般購入品に分かれている。入札につぃては、KONEPSを通じて63%が調達されている。(公営企業は独自に調
達している企業もある)。JONESは業者登録 入札 契約 まで一貫して電子で行える仕組みであり、不正防止のために
業者と役人が会わない仕組みとして作られた。 IMF危機時に、自治体の負債を把握できなかったので一本化した。
• 入札については、国と地方の業者登録は一元化されており一つ行えば国でも地方でも入札が可能。また、業者は関心
のあるカテゴリーを登録しておけば、関連する調達が一覧で見られるようになっている。
• 入札の資格審査まで各府省からのデータを集め照り要している。例えば、きちんと税金を払っているのか、道路建築の
許可はとっているか、信用状況 など、あらゆるデータベースで検索する。
• これまでは、企業が入札に参加するには10か所とかぐらいの役所を回って書類を集める必要があり、5日ぐらい掛かっ
ていた。
• 手数料はだいたい1%前後であり、高い物は1.5%低い物は0.02%である。KONOEPSの年間費用は3億円であり、
手数料は30-40億と十分にまかなえている。開発時にはゼロベースで27億円かかった。
 物品購入
• 頻繁に購買する物品の消耗品的なものについては単価契約だけしておいて自治体はそこから購入すれば良い。37万個
ぐらいある。米国のMartと同じである。 修学旅行や翻訳などのサービスも含まれている。
• 一般購入品は、値段の安いものを厳選して購買サイトに掲載しており、そこから契約等を行うことなく購入できる。もちろ
ん、最も安い価格になっている。これは、韓国においては企業取引全てが、ほぼリアルタイムで国税庁に連携されている
ので、何処に幾らの価格で出しているかを把握することが可能である。
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税金 (1/2)
 確定申告
• 個人でも200万とかに達したら確定申告をすることになっており、普通のサラリーマンは殆どの人が還付がある。 例え
ば年収1000万円で、税金20%のうち最大30万円までが戻ってくる。スとかの金額も積み上げて申請して10万円分、
クレジットカードの枠、古い伝統的な市場で購入したら上乗せで10万円分など別枠になっている
• 年末調整で印刷も不要で国税庁に送信できるように変わった。 電子税金計算書 、現金領収書 、電子簡易年末調整
を実現した
• 韓国では、ほぼすべてのフローもストックも法定調書で集めている。 最終的な目的は、所得の把握である。 社会保障
支給対象も把握できる
• 今年から確定申告のページを10月からオープンするようになり、税務署が“枠が後これだけ使えますよ”と提示してくれ
る。 そうすると、殆どの人が限界まで使うためにアクセスするので、さらに利用率が向上している
 事業登録 と 現金領収書
• 韓国で何かしら事業をするには、税務署に申告しないとならず、事業者登録番号を貰う事になっている。 企業の法人番
号は別にあり、一つの法人で支社が幾つかある時には、複数の事業者登録番号を発行して貰う。事業者登録番号には
住民登録番号が紐付いていて、事業者登録番号は納税のためだけに付けている
• 事業登録をしていれば、現金領収書は100%発行されている。 税金と絡まなければ発行しなくても良い。 ネットオーク
ションの場合には、現金領収書を発行しなくて良い
• 最初は、企業の接待費用は不透明な物が多いため、接待枠を認めて貰いたければ、接待枠のある割合はクレジットカ
ードで無いと認めないようにした。 クレジットカードが使えない店は接待に使ってもらえなくなるので導入が進んだ。 個
人に対しては、クレジットカードのレシートに宝くじ番号を付ける事でクレジットカードの利用割合が拡大した
• 現金分は把握できないので、現金領収書制度を作った。 現金領収書の発行を推進するために、企業には控除枠を、個
人には現金領収書控除の枠の作った。 目的は、幾らの金額が企業側に入っているかを把握する事であり、そのため個
人側の管理は緩くしてあって、親が子供の番号を入力して申請する事も許されている
• 税金を増やすことが目的で、国税庁はどのぐらい税収が増えたかのデータを持っているが、明らかにしたくないようだ 15
税金 (2/2)
 その他
• 電子領収書の発行端末として、クレジットカードのCATを使えるようにした。 小さなお店には現金領収書端末機を配った
。クレジットの手数料を支払うが、その分税金を免除して店にとっては負担が無いようにした
• 税ラッチと言うのがあって 交渉した事を録音して持って行くと賞金が貰える仕組みがある。脱税者は、2-3倍の罰金が
掛かる。 良くあるのが、整形で安く申告して貰うパターンである。“国民をお互いに監視させるのか、行政のために仕事
をさせるのか”と言う議論はあったが、今は落ち着いている
• 給付つき還付金をワーキングプアーに対してやっている。 仕事した方がさらに特になるように設計されている
• 富裕層のストックとフローを把握するためには、海外での資産・金融資産以外の美術品や装飾品、金銀の資産の追跡を
することが必要であるが、美術品や貴金属の購入は政府に報告するようになっている
• 不動産取引実名制は70%の難易度であり、金融取引実名制は80%の難易度である。まず、この2つが出来ないと把
握が出来ない。 個人情報保護法・通信法の課題は40%程度。携帯の名義も自分の名義で無いとサービスが出来ない
と言う形に変わった
• 所得把握で所得把握が困難なのは次上位階層である (富裕層、中産層、次上位階層、貧困層)
• クレジットカードを促進する施策の課題としては、クレジットで使いすぎる人が増えた事と、手数料が海外に流出してしま
う事である。 韓国ではクレジット不良者が増える事は想定出来ていなかった
16
医療 健康保険審査評価院 [HIRA]
1/2
 韓国の医療制度とHIRA
• 韓国では1989年に国民皆保険が実現、2000年には各保険者は統合されて、国民健康保険公団(National Health
Insurance Services、NHIS)が引き受ける単一支払者制度となった。 さらに、2000年に医療費支払いの審査と評価を
行うために、健康保険審査評価院(Health Insurance Review and Assessment Service、HIRA)が設立された。HIRA
では、診療報酬点数設定等のルール策定とレセプトの審査(ほぼ電子化)を行っている。
• 日本と同様に過剰診療、病床過多と社会的入院が指摘されている。人口一人あたりの受診回数はOECDで最多、人口
あたり病床数は日本に次いで2位、平均入院日数も日本に次いで2位(2013年)。
• HIRAは、職員が2400人。医師免許を持っている人が70%で、 50人が医者であり、残りは看護師。ICT電算職員が1
0%-15%で、残りが行政関係者。電算要員には外注からの職員もいる(10%には含まれていない)。
• 2002年から全てのシステムに投下した開発運用費用は215億円(H/W60億円、S/W30億円、アプリ55億円、メンテナン
ス69億円)。
 DUR(Drug Utilization Review)システム
• 2008年にスタートしたシステムであり、重複診療や、同時に処方すべき薬であるとか処方すべきでない薬を、毎日500万
件を100%電子化により審査している。
• 2万種類の薬が登録されている。7.3万機関が関与しており、99%の医療機関と薬局がプログラムをインストールし、97
%が実際にチェックしている。 複数個所のサーバーに分散化されていて、0.4秒以内に結果が出される。
 セキュリティ
• 部ごとに権限を管理しており、ログは全て残っている。
• 複数のファイアーウォールがあり、直接インターネットに接続してはいない。HIRAのシステムは大統領の賞を受けるぐら
い安定したシステムである。
• 国民が直接に情報公開を要求した場合には、直接訪問をして見せることになっている。(この機関だけでは無くて政府と
して公開すべきとなっている)
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医療 健康保険審査評価院 [HIRA]
2/2
 医療費削減
• DURシステムは、ジェネリックの促進が目的ではないので、同じ効能でより安い薬などの情報は持っていない。基本的に
医者はオリジナルの薬を使いたがるので、政策的に押し付けるのは難しい。誘導するために、安い薬を処方するとイン
センティブを与えるであるとか、病院毎に年間で節約できた中の何割かを病院に与えたり、疾病ごとに薬の価格を追及し
たりしている。強制的に変更はしていない。
• 行為別に医療点数を申請する問題は韓国でもあった。対策としては、現場調査を行っている。実際の現場調査の対象に
なるのは、全体の8.5万の1%。 本当に悪質な病院が認定されると、韓国の厚生省のホームページに6か月間、10-30
病院が公開される。例えば、肺炎の多い病院としてブラックリスト化される。こうしたことによって、実際に抗生物質の処
方率が下がっている。
• HIRAの審査は2-3日で終わるが、悪い病院ほど支払いを遅らせて、1週間で支払う病院、1カ月で支払う病院 のように
してきちんとさせるようにしている。
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図書館
 図書館
• ソウル図書館では、電子タグで書籍が管理されており、自分で貸出処理が行えるようになっている
• 全国の図書館で使えるアプリを国が提供しており、公立図書館だけではなくて私立の図書館もも加盟すると使えるように
なっている
• 電子書籍の座席予約を行う事が可能である (韓国ではネット新聞は無料、紙面の形で見るのは有料)
貸出端末
電子タグ
返却処理
子どもが喜ぶギミックの付いた端末
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改札のあった場所
交通
改札のあった場所
 鉄道
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昔は日本のように改札が設置してあったが、キセル被害の額 と
改札維持費用を比べて改札維持費用の方が大きかったので、
改札を無くした
ETCも、同じ理由でゲートを無くそうとしている (ナンバープレー
トを読みやすい配色に変更して、機械で読み取りクレジットカード
引き落とし)
ソウル駅で飛行機のチェックインできる、荷物も預けられる
 バスと地下鉄
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バスと地下鉄は、距離制の共同料金体系になっていて、相互の乗り継ぎで追加運賃は発生しない
LGcnsというitベンダーが子会社を作って、全てのバス会社から7500台のバスを借り上げて、一元的にコントロール
李明博前大統領がソウル市長の時に、清渓川の上に蓋がされていて、その上に自動車専用道が通っていたが、全て
を取っ払って川の流れを取り戻して市民の憩いの場所にしようとした。 しかし、改修工事中の大渋滞をどうするのかと
言う課題が持ち上がり、LGcnsが“全てのバスコントロールを任せてもらえれば、渋滞させることなく工事が可能”だとい
う提案を行いプロジェクトを推進した
交通量データを分析し、バス路線を一から見直すことで渋滞が発生しづらくし、さらには、バス専用レーンとすることで
渋滞発生時でも移動が可能と言う意提案であった
結果として建物価格が上がって固定資産税収入が上がり、景色も良くなって観光客も増えた
ローカルコミューターとしては、地下鉄よりもバスレーン付きのバスを機動的に運用した方が効率が高い
LGcnsは、運営をサービス提供している。 また、ビッグデータ解析、ウェリントンやインドのコンサルをするようになった
。 運用開始から5年を過ぎたところで、入札でオペレーションベンダーを選んでいる
バスが何分後に到着するかを予測して、バス停でもパソコンやスマホから見られるようになっている
バスの中でも無料Wifiを提供出来るように検討中。 無料充電器の貸し出しサービスも行っている
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大法院行政処(韓国の最高裁判所)
 電子訴訟
• 韓国においては、2010年4月の特許訴訟をスタートとして民事訴訟に拡大、2013年から行政事件および家事事件、成年
後見人事件、保全処分事件、2014年から破産・再生事件、2015年からは民事執行事件および非訴事件について、電子
訴訟が行えるようになっている。 (刑事事件を除いた全訴訟関連分野が電子訴訟に対応。弁護士を使わなくて良い、裁
判所に来なくて良い。特許の電子出願や審判手続き電子化が実現していたので特許からスタート。)
• 電子訴訟は、裁判の迅速化や透明化 と 国民の利便性の向上 を目的として、当事者が訴状、準備書面、証拠書類な
どを電子書類で提出して、法院も判決文や決定文を電子書類で送達して、電子的に期日などを通知出来るシステムを
利用した訴訟手続き。 当事者のいずれも、いつでも訴訟記録を見る事が出来る、オンラインで訴状提出や手数料支払
いが可能になる。
• 2010年3月の「民事訴訟等における電子文書利用等に関する法律」に基づいており、2010年4月の「特許訴訟における
電子文書利用等に関する規則」によって、特許裁判所事件について電子訴訟制度が導入された。
• 電子訴訟制度を利用するにあたっては、大韓民国法院電子訴訟ページにおいて、公的個人に認証による認証を用いて
登録を行う事が必要。韓国人だけでは無くて外国人も使用者登録が可能。法人や権利能力なき社団も使用者登録が可
能であるが、韓国に置いて法人登記や事業者登録がなされている事が必要。 サイトで訴訟に掛かる各種情報を入力し
、証拠や訴訟委任状などはPDFファイル化して送信する。電子手続きを望まない当事者は、書類の提出・受領は紙で行
う事が認められており、PDF化されて登録される。
• 韓国電子裁判手続き法は、国・地方公共団体が被告の場合には、電子手続きを最奥する事を義務付けており、審決取
消訴訟において被告となる特許庁は、常に電子裁判手続きで対応する事になる。
 裁判情報の公開
• 電子訴訟制度の利用に同意した場合、該当事件の事件記録を」いつでも電子訴訟HP上で閲覧・出力する事が可能。
• 2013年1月1日以降に確定した刑事事件について、原則として大法院のホームページ上で文全文を公開。
• 2013年3月21日には、テレビおよびインターネットでの大法院の弁護手続きを初めて生中継した。
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国会
 デジタル本会議場
• 2005にデジタル本会議場に変えて、ペーパーレスに。国会の座席にはモニターが設置されており、資料はペーパーレス
。採決もボタンで行い、大スクリーンにリアルタイムに投票結果が個人ごとに表示される。(左)
• 本会議場の座席の札は液晶であり、瞬時に変えることが可能。(中)
• 秘密投票は、ブースに行って投票結果を知られずに投票できる仕組みがある。(中の上部分)
• 2005年にかかった費用は7ヶ月で8.3億円。2013年に、画面大きく変更するアップグレードに6億円。 机の変更は必要な
かった。
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-以上-
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