アナリストレポート:三光合成

2016 年 1 月 18 日
三光合成(7888)
担当 近藤 浩之
レーティング:
OUTPERFORM(2015/10/19)→
OUTPERFORM
為替差損・特別損失よりも本業の伸びを評価したい。
売上高
(百万円)
連 12/5
34,477
連 13/5
43,865
連 14/5
43,231
連 15/5
50,174
連 16/5(予)
60,000
第 2 四半期累計期間
連 14/6-11
24,544
連 15/6-11
29,421
株価(2016/1/15)
発行済み株式数(15/11 末)
自己株式数(15/11 末)
時価総額
企業価値(EV)
ROE(15/5 実績)
予想配当利回り
予想 PER
BPS(15/11 実績)
PBR
CFPS(15/5 実績)
PCFR
EV/EBITDA(15/5 実績)
伸び率
(%)
2.4
27.2
-1.4
16.1
19.6
営業利益
(百万円)
1,575
2,052
1,902
2,338
2,500
伸び率
(%)
7.8
30.2
-7.3
22.9
6.9
経常利益
(百万円)
1,371
2,833
1,552
1,875
2,100
伸び率
(%)
12.4
106.7
-45.2
20.3
11.9
純利益
(百万円)
699
1,905
1,118
1,359
1,500
伸び率
(%)
-50.7
172.3
-41.3
20.9
10.3
EPS
(円)
33.43
91.06
53.43
64.99
60.67
1 株配
(円)
5.00
6.00
7.00
9.00
10.00
17.5
19.9
1,053
1,395
369
25,688
202
9,479
16,902
12.3
2.7
6.1
557.81
0.7
134.8
2.7
5.0
15.9
32.5
1,006
784
44.9
-22.0
745
532
39.5
-28.6
35.63
22.20
4.00
5.00
円
千株
千株
百万円
百万円
%
%
倍
円
倍
円
倍
倍
株価チャート(週足)
出所:三光合成、ブルームバーグ、今村証券
主力事業はプラスチック部品の製造・
販売。成形品事業は、車両(自動車向け
内装・外装部品、機能部品等)、情報・
通信機器(コピープリンター向け部品等)、
家電その他(エアコン向け部品等)の3
部門に分けられる。成形品の品質を守る
ため、自社で金型の設計・作製も手掛け
る。車両部門を中心に海外展開が進んで
いる点が特徴だ(資料1、出所:同社決
算短信)。
(資料1) 売上構成比(2015 年 5 月期)
2016 年 5 月期第 2 四半期は約 2 割の増収、3 割の営業増益であり、会社計画比では売上高は
ほぼ同水準、営業利益は 16%上回った(資料2、出所:同社決算短信)
。半面、経常利益は為替
差損 406 百万円(前年同期は為替差益 102 百万円)の計上により 2 割の減益となった。対米ドル
でのメキシコ・ペソ、インドネシア・ルピアなど新興国通貨の急落、日本円の上昇が響いた(資
料3、出所:ブルームバーグ)。純利益は経常減益のほか、特別損失として特別退職金 97 百万
円(タイでの人員削減)、災害による損失 63 百万円(タイでの火災等)の計上もあり、減益率が
大きくなった。ただ、為替差損と 2 つの特別損失は第 1 四半期決算で既に明らかになっており、
新たなネガティブ材料ではない。むしろ、本業が伸びている点を評価したい。本業好調の主因は
「買収」と「欧米での好調」だ。
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・ 買収
前期末に 2 件の買収を実施した(資料4、出所:同社リリース・積水工機決算短信)。この 2
件で今第 2 四半期の売上高を 50 億円弱、営業利益を 2 億円強押し上げた。2 件ともにほぼ計画
通りの進捗となっている。
・ 欧米での好調
既存事業の営業利益は 1 億円強増えた。欧州ではイギリスやハンガリーで自動車部品の受注が
拡大し、2014 年 2 月から顧客への納入を始めたメキシコは増産が続いた。一方で、アジアが苦
戦した。なかでもタイは自動車販売台数の減少、モデルチェンジに伴って部品受注が減少し赤字
となった。
日本は買収分を除くと、減収減益だ。自動車向け金型や自動車部品の受注が減った。受注が伸
びたのはスマートメーター(次世代電力計)向け部品であり、フル稼働が続いた模様だ。
通期見通しは変更していない。今村証券では昨年 8 月に「通期の営業利益は会社計画の 25 億
円から 10%程度の上振れが可能」と予想しており、今回もこの予想を据え置く(資料5、出所:
同社決算短信)。上振れ予想とした理由にも変更はなく、①欧米での好調、②国内でスマートメ
ーター向け部品の受注増加―である。アジアは、タイが不透明ながら、インドネシアは下期から
新規受注の納入が始まったようで業績は回復基調に転じるとみられる。第 3 四半期に連結子会社
となる「SANKO SEKISUI JRG TOOLING INDIA PRIVATE LTD.」は赤字が見込まれるものの、全体に
及ぼす影響は軽微だ。
経常利益、純利益においては、為替差損の影響が残りそうで、下振れが避けられそうにない。
今後の為替動向次第ではあるが、足元でメキシコ・ペソがさらに大きく下落しており、注意が必
要だ。
(資料2) 業績の推移(半期)
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(資料3) メキシコ・ペソ、インドネシア・ルピア、日本円 チャート(週足)
(資料4) 2015 年 5 月期以降の買収案件の内容
被取得企業・譲受対象事業
積水工機製作所
企業結合日
経営成績
・事業譲受日
売上高
16/3期
プラスチック成型用金型の製造・販売並びに押出成形機及び
6,400百万円
2015/4/24
(会社計画)
周辺設備、省力・自動化設備、その他産業機器の製造・販売
事業内容
Bhar Inc.
プラスチック成形品の製造・販売
(プラスチック成形事業)
SANKO SEKISUI JRG
プラスチック成形用金型の製造・販売
TOOLING INDIA PRIVATE LTD.
2015/5/1 14/12期 2,837百万円
2015/10/15
15/3期
営業益
250百万円
107百万円
78百万円 ▲93百万円
(資料5) 業績の推移(通期)
来期に目を向けると、メキシコで引き合いが多いようで増産が見込め、東南アジアも回復に
向かうだろう。国内工場では設備のレイアウトを見直し、生産性向上に繋げていく。買収による
シナジー効果、2014 年 7 月に開示された双葉電子工業(6986 東証 1 部)との業務提携の進展(資
料6、出所:同社リリース)、炭素繊維事業の本格化なども期待したいが、中期的な課題となり
そうだ。
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(資料6) 双葉電子との資本業務提携の内容
( 1 ) 新技術・新製品の開発
双葉電子が有するモールドマーシャリング等技術商品と三光合成の金型・成形技術の融合による、
顧客のニーズに即した新技術・新製品の開発及びサービスの提供
( 2 ) 施設の利用
両社の国内外の拠点、生産設備等の施設の相互活用による、効率的な生産、新たな販路の獲得等
( 3 ) 国内、海外の市場開拓及び受注活動
両社ともに強みをもつ自動車関連顧客への販売ネットワーク、国内・海外拠点ネットワークの活用による、
新たな市場の開拓や受注拡大
( 4 ) その他、両社の事業発展又は業務改善に寄与する内容
人材交流等を通じた、生産や経営に関するベストプラクティスの共有による、生産効率向上や業務改善
株価は昨年末に一時 440 円台まで上昇した後、今年に入ってからの株式市場の混乱が響いて
再び軟調に転じた。投資判断では、本業の好調、来期の増収増益期待を評価する。株価指標では、
今期 EPS を会社計画から下振れした 52 円と予想しても PER は 7.1 倍と、割安感がある。来期は
さらなる新興国通貨の急落がないかぎり為替差損がなくなるため EPS が大きく増え、割安感が増
す。OUTPERFORMを継続する。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------アナリストによる証明
本資料に示された見解は、言及されている発行会社とその発行会社等の有価証券について、各アナリストの個人的見解
を正確に反映しており、さらに、アナリストは本資料に特定の推奨または見解を掲載したことに対して、いかなる報酬
も受け取っておらず、今後も受け取らないことを認めます。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------レーティングの定義
O U T P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超上回ると予想される。
N E U T R A L:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
U N D E R P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は 12 ヵ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------本資料に記載された意見及び予想は、記載された日付における今村証券の判断であり、これらは予告なく変更される場
合があります。今村証券は本資料の記載された日付以降に内容の変更・修正を行う義務を負いません。本資料はお客様
への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券売買に関する申込または勧誘を意図するものではなく、お
客様に対して投資の助言を提供するものでもありません。また、本資料に記載されている情報もしくは分析がお客様に
とって適切であると表明するものでもありません。投資に関する最終決定はあくまでもお客様ご自身の判断でなさいま
すようお願い申し上げます。
本資料に記載された内容は、信頼できると思われる情報、または信頼できる情報源から得た情報を基に今村証券が作成
しておりますが、機械作業上データに誤りが発生する可能性があります。当社はその内容の正確性や妥当性、適時性ま
たは完全性を保証するものではありませんし、本資料における過誤又は遺漏に対して何らの責任を負うものでもありま
せん。本資料でインターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている
場合を除き、アドレス等の内容について当社は一切責任を負いません。本資料は、当然にお客様の投資結果を保証する
ものではございませんので、今村証券は、本資料の内容について第三者のいかなる損害賠償の責任を負うものでもあり
ませんし、お客様が本資料に依拠した結果としてお客様が被った損害または損失については一切責任を負いません。ま
た、今村証券は本資料に関するお客様からのご質問やご意見に対して、何ら対応する責任を負うものではありません。
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当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社
および関係会社は、本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買い
または売りのポジションを有している場合があり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係
会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘
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