公開講義レジュメ

【Z会×TAC共催講座】司法試験
<サンプルテキスト>無断複製・無断転載等禁止
予備試験(サンプル)一般教養科目 問題
[短答式試験問題]
〔第2問〕
(配点:3点)西洋思想(自然法思想)
17世紀から18世紀にかけての人間や社会に関する哲学の重要な枠組みとされたのが自然法の考え方である。近代の自然法
は,人間の本性(nature)にかなった正当な社会を構想するに当たっての理論的根拠として用いられた。次の1から5まで
の各記述のうち,最も適切なものを選びなさい。
(解答欄は,
[№2]
)
1.ロックは,ピューリタン革命をもたらしたイギリスの内乱を背景に,生存のためなら何をしてもよいという自然権を
人間の生得的な権利とした。そして,この権利の無制約な行使は,
「万人の万人に対する闘争」を招くとした。したが
って,人間は,もし平和が可能と見たら,
「平和を求めよ」という自然法に従い,自らの自然権を譲渡して絶対的主権
(政治社会)を樹立するとした。
2.ホッブズは,イギリスの商業発展を基盤に,身体や労働,財産を所有するという権利を人間の生得的な自然権とみな
した。そして,この権利は,
「他人の所有を侵すべきでない」という自然法の制約の下で成立すると説いた。そして,
この自然法が具体化されるためには,政治社会の樹立が必要であるとした。
3.ルソーは,人間の不平等は自然法によって正当化されないとした。不平等を生み出す人間の利己的性質は,人間本来
の共感と自己愛に根ざした自然な人間本性が,私的所有によってゆがめられたものであるとした。彼は,
「社会契約」
によって自由で平等な共同社会を構想できるとした。
4.マルクスは,人間は利己的でありながらも,他者への同感の感情も備えており,それが自らの利己心を制御するとし
た。したがって,人間は,自己の利益の追求を阻むいかなる政策も認めてはならず,
「見えざる手」としての自然法に
従うことによって,公正な商業社会を形成できると説いた。
5.カントは,フランス革命の顛末から,フランス革命の理論的根拠として用いられた自然法の形式性や抽象性を批判し
た。その上で,他者との相互的な承認関係において成り立つ人倫を基礎とした共同社会を構想した。人倫は,家族,市
民社会,国家の密接な連関の下で体系的にとらえられている。
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【Z会×TAC共催講座】司法試験
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〔第2問〕
(配点:3点)西洋思想(自然法思想)
正解№2-3
最も適切な記述は3であるから,正解は№2-3となる。
1.適切ではない。
ロックは,本記述のような主張をしていないから,本記述は適切ではない。
すなわち,本記述のような主張をしたのは,ホッブズ(Hobbes,Thomas:1588-1679)である。ロック(Locke,John:
1632-1704)については,記述2のとおりである。
2.適切ではない。
ホッブズは,本記述のような主張をしていないから,本記述は適切ではない。
すなわち,記述1の解説で述べたとおり,本記述は,ロックに関する説明となっている。ホッブズとロックはいずれ
もイギリスの哲学者ではあるが,いわゆる自然状態を,「闘争」と捉えるのか(ホッブズ)あるいは平和なものと捉え
るのか(ロック)という点で差異がある。
3.最も適切である。
本記述のとおりであるから,本記述が最も適切である。
すなわち,ルソー(Rousseau,Jean-Jacques 1712-78)は,フランスの思想家で,本記述のような主張をした。ルソ
ーは,「人間不平等起源論」において,私的所有こそ,政治的経済的不平等と悪をもたらす根源であるとし,「社会契
約論」において,一般意思に基づく社会の構成によって真の自由と平等が確立されるとした。
4.適切ではない。
マルクスは,本記述のような主張をしていないから,本記述は適切ではない。
すなわち,本記述のような主張をしたのは,人間は,自己の利益の追求を阻むいかなる政策も認めてはならず,「見
えざる手」としての自然法に従うことによって,公正な商業社会を形成できると説いたのは,アダムスミス(Adam
Smith:1723-90)である。マルクス(Marx,Karl Heinrich:1818-83)は,19世紀ドイツの哲学者・経済学者で,史的
唯物論,科学的社会主義を提唱した。
5.適切ではない。
カントは,本記述のような主張をしていないから,本記述は適切ではない。
すなわち,本記述のような主張をしたのは,ヘーゲル(Hegel,Georg Wilhelm Friedrich:1770-1831)である。カン
ト(Kant,Immanuel:1724-1804)は,近世自然法論が人間の本性から実質的な規範を導いている点を指摘したうえで,
経験的に把握されるべき事実としての人間の本性から,絶対的かつ必然的に妥当する規範を導くことはできないと主張
した。
【解答過程】わざわざ英語まで付けてリード文で強調されている“人間の本性(nature)”というキーワードが使われてい
るのは記述3だけ!
→おそらくこれがヒントだろうと考えて選択すると,結果的に正解できる。
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【Z会×TAC共催講座】司法試験
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〔第21問〕物理(ドップラー効果)
一定速度で走行する列車が,警笛を鳴らしながら踏切を通過した。警笛の周波数は,列車が観測者に近づいてくるときに
は765.0Hz,列車が観測者から遠ざかるときには680.0Hzで観測された。
このとき,実際に列車が発している警笛の周波数は何Hzか。次の1から5までの各数値のうち,最も適切なものを選びな
さい。ただし,観測時は無風状態であって,列車は観測者に対して真正面から近づき,後方へ遠ざかるとする。また,音速
を340.0m/sとする。(解答欄は,[№21])
1.700.0
2.710.0
3.722.5
4.720.0
5.725.0
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〔第21問〕物理(ドップラー効果)
正解№21-4
実際に列車が発している警笛の周波数は720.0Hzなので,正解は№21-4となる。
【解答過程1】
まず,音は音源から出てしまえば空気の状態で速度が決まるので,音速(本問では340.0m/s)は,音源(本問では列車)
の速度とは関係がない。ただ,音源が近づくと音波が圧縮され(周波数が増加し,音が高くなる)
,逆に音源が遠ざかると
音波が伸長される(周波数が減少し,音が低くなる)
。
すると,まず,列車が近づいてくるときは,警笛の音波が
340.0m/s-v
340.0m/s
の割合で圧縮された以上,これは,実際に列車が発している警笛の周波数をfとすると,
f
765.0Hz
という割合と等しい。 ……①
逆に,列車が遠ざかるときは,警笛の音波が
340.0m/s+v
340.0m/s
の割合で引き伸ばされた以上,これは,
f
680.0Hz
という割合と等しい。 ……②
そして,上記①②の等式を計算すると,以下のようになる。
①→765×(340-v)=340f
→260100-765v=340f ……③
②→680×(340+v)=340f
→231200+680v=340f ……④
ここで,③と④の右辺が340fと等しいので,左辺も等しい。
⇒260100-765v=231200+680v
→1445v=28900
→v=20
これを③に代入すると,
260100-765×20=340f
→244800=340f
→f=720
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【解説:ドップラー効果の公式】
音速をVとし,速度vで観測者に近づく音源の発する振動数f’の音を,速度uで音源に近づく観測者が聞くとき,観測
された振動数fは,
f’×(V+u)
V-v
に等しい。
【解答過程2】~ドップラー効果を全く知らない場合の解き方
“列車が観測者に近づいてくるときには765.0Hz,列車が観測者から遠ざかるときには 680.0Hz”とあるので,だいたい
その中間(722.5 Hz)くらいだろう。
しかし,“3.722.5Hz”は,選択肢のうち1つだけ“.5”が入っていて,いかにもあやしいと感じることができれば,
これに最も近い4.を選べる。
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〔第33問〕英語中文(空欄適語補充)
次の英文中の空欄(ア)及び(イ)に入る語の組み合わせとして最も適切なものを,後記1から5までの中から選びなさ
い。(解答欄は,[№33])
(著作権保護のため英文略)
1.ア existent
イ habitats
2.ア existent
イ hangers
3.ア export
イ havens
4.ア extinct
イ habitats
5.ア extinct
イ havens
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〔第33問〕英語中文(空欄適語補充)
正解№33-4
(ア)にはextinct,(イ)にはhabitatsが入るから,正解は№33-4となる。
【英文全文和訳(意訳)】(著作権保護のため省略)
【選択肢和訳】
ア existent:存在する
export:輸出品
extinct:絶滅した
イ habitat:生息地,住所
hanger:(衣服をかける)ハンガー,
(急斜面の森@イギリス英語)
haven:安息の地,避難所
【出典】Andy Hopkins and Joc Potter, Animals in Danger . Oxford University Press, 2008.
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[論文式試験問題]
〔問〕次の文章を読んで,後記の各設問に答えなさい。
(著作権保護のため文章略)
〔設問1〕 1800年を境に,音楽の在り方はどのように変化したと筆者は述べているか,6行程度で要約しなさい。
〔設問2〕 相撲,剣道,柔道といった,日本の伝統的な競技を国際化することについて,現在,賛否両論がある。この問
題に対し,設問1で要約した筆者の主張を踏まえながら,10行から20行程度で自分の考えを述べなさい。
【出題趣旨】
本問は,音楽に関する評論を題材としているが,音楽に関する知識を問うものではなく,一定の題材を与えて小論文の
作成を求めることで,思考力,分析力,理解力等を問うものである。設問1においては,題材とされた評論を読み解き,
筆者の主張を要約することを求めており,これに当たっては,限られた人々を対象とすることが念頭におかれている言語
としての音楽と,万人が聴衆であることが念頭におかれている気分に訴えかける音楽との対比を的確にとらえる必要があ
る。設問2においては,設問1で要約した上記の対比を踏まえながら,国際化,グローバリゼーションの問題の一場面と
して,日本の伝統的な競技への外国人の参加を促したり,これを海外に広めることについて,自らの見解を述べることを
求めている。各設問とも,解答の目安となる行数を示しているが,これは,理解力を問うとともに,一定程度の分量で,
的確に表現できるかどうかも含めて,思考,分析,表現の能力を試すためであり,目安に示された行数程度の分量で,簡
潔かつ的確な論述を行うことが求められる。
【出典】岡田暁生『音楽の聴き方聴く型と趣味を語る言葉』(中公新書,平成21年)
なお,出題の都合上,文中の出典の記載を省略し,注を付した。
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1 民法における4段階アルゴリズム(4A)の具体化
1-1 事例問題~請求権パターン
1 当事者確定(本問のケンカ(トラブル)の当事者は誰と誰か、確定する。
)
2 言い分(上記1で確定した当事者の身になって、相手にケンカを売る。
)
⑴ 「物よこせ!」
⑵ 「金払え!」等
3 法的構成(上記2で立てた言い分を実現する効果のある条文を探す。
)
⑴ 物権的請求(上記2⑴は原則としてこちら。
)
ア 返還請求(202条1項・200条1項)
:①自己物権②相手方占有
イ 妨害排除請求(202条1項・198条)
:①自己物権②相手方妨害
ウ 妨害予防請求(202条1項・199条)
:①自己物権②相手方妨害のおそれ
⑵ 債権的請求(上記2⑵はこちら。
)
ア 約定債権関係←当事者間に契約(債権債務)関係がある場合
→契約各則(贈与~和解)のうち、どれに当たるか検討する。
→どれかに当たった場合(典型契約)
⇒その中の規定に従って処理する。
→どれにも当たらなかった場合(非典型契約)
⇒契約の文言と当事者の合理的意思を解釈して処理する。
※契約総則→債権総則→民法総則に遡ることも。
イ 法定債権関係←当事者間に契約(債権債務)関係がない場合
(ア) 事務管理(697条)⇒好意でやってあげた費用を請求(702条)
(イ) 不当利得(703~4条)=損した人が得した人に不当利得返還請求
(ウ) 不法行為=被害者側が加害者側に損害賠償請求
→一般不法行為(709条)+特殊不法行為(714~719条)
※ 債務者の責任財産保全:債権者代位権(423条)
、詐害行為取消権(424条)
=上記2⑴⑵ともありうる→債務者無資力といった事情があれば疑え!
4 あてはめ(上記3で構成した条文の文言に、問題文の事情を“代入”する。
)
→文言にあてはまりにくい場合や、文言の意味が明らかでない場合には、条文の趣旨から解釈する。
(明文にない文言を解釈で導く場合もある。
)
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[民 法](H26 年予備試験 民事系科目)
次の文章を読んで,後記の〔設問1〕及び〔設問2〕に答えなさい。
【事実】
1.Aは,自宅近くにあるB所有の建物(以下「B邸」という。)の外壁(れんが風タイル張り仕
上げ)がとても気に入り,自己が所有する別荘(以下「A邸」という。)を改修する際は,B邸
のような外壁にしたいと思っていた。
2.Aは,A邸の外壁が傷んできたのを機に,外壁の改修をすることとし,工務店を営むCにその
工事を依頼することにした。Aは,発注前にCと打合せをした際に,CにB邸を実際に見せて,
A邸の外壁をB邸と同じ仕様にしてほしい旨を伝えた。
3.Cは,B邸を建築した業者であるD社から,B邸の外壁に用いられているタイルがE社製造の
商品名「シャトー」であることを聞いた。CはE社に問い合わせ,「シャトー」が出荷可能であ
ることを確認した。
4.Cは,Aに対し,Aの希望に沿った改修工事が可能である旨を伝えた。そこで,AとCは,工
事完成を1か月後とするA邸の改修工事の請負契約を締結した。Aは,契約締結当日,Cに対
し,請負代金の全額を支払った。
5.工事の開始時に現場に立ち会ったAは,A邸の敷地内に積み上げられたE社製のタイル「シャ
トー」の色がB邸のものとは若干違うと思った。しかし,Aは,Cから,光の具合で色も違っ
て見えるし,長年の使用により多少変色するとの説明を受け,また,E社に問い合わせて確認
したから間違いないと言われたので,Aはそれ以上何も言わなかった。
6.Cは,【事実】5に記したA邸の敷地内に積み上げられたE社製のタイル「シャトー」を使用
して,A邸の外壁の改修を終えた。ところが,Aは,出来上がった外壁がB邸のものと異なる
感じを拭えなかったので,直接E社に問い合わせた。そして,E社からAに対し,タイル「シ
ャトー」の原料の一部につき従前使用していたものが入手しにくくなり,最近になって他の原
料に変えた結果,表面の手触りや光沢が若干異なるようになり,そのため色も少し違って見え
るが,耐火性,防水性等の性能は同一であるとの説明があった。また,Aは,B邸で使用した
タイルと完全に同じものは,特注品として注文を受けてから2週間あれば製作することができ
る旨をE社から伝えられた。
7.そこで,Aは,Cに対し,E社から特注品であるタイルの納入を受けた上でA邸の改修工事
をやり直すよう求めることにし,特注品であるタイルの製作及び改修工事のために必要な期間
を考慮して,3か月以内にその工事を完成させるよう請求した。
〔設問1〕
【事実】7に記したAの請求について,予想されるCからの反論を踏まえつつ検討しなさい。
【事実(続き)】
8.【事実】7に記したAの請求があった後3か月が経過したが,Cは工事に全く着手しなかった。
そこで,嫌気がさしたAは,A邸を2500万円でFに売却し,引き渡すとともに,その代金
の全額を受領した。
9.なお,A邸の外壁に現在張られているタイルは,性能上は問題がなく,B邸に使用されている
ものと同じものが用いられていないからといって,A邸の売却価格には全く影響していない。
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〔設問2〕
Aは,A邸をFに売却した後,Cに対し,外壁の改修工事の不備を理由とする損害の賠償を
求めている。この請求が認められるかを,反対の考え方にも留意しながら論じなさい。
なお,〔設問1〕に関して,AのCに対する請求が認められることを前提とする。
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―
第
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三二一章
節節節
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- 12 -
第
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第
第第八
二一章
節節
先
先総取
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二
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【Z会×TAC共催講座】司法試験
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五四
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第五
一章
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一節
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一節
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節節
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―
第
第三
一章
節
相
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九
十
六
条
第第
十十
四三
節節
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―
―
遺相
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第
九
百
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第第
三二
節節
―
第
第四
一章
節
相
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十放
五棄
条
―
―
―
第
第二
一節
款
相
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承承
認認
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九
百
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十
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十
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章章
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第二
一節
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第
第七
一章
節
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第
第三
一節
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十
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章五四
節節
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節二
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第
七
百
六
十
条
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―
第
八
百
一
条
)
第
第三
一章
節
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(
第
七
百
七
十
二
条
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第
第二
一節
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要
件
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第
七
百
九
十
二
条
【Z会×TAC共催講座】司法試験
<サンプルテキスト>無断複製・無断転載等禁止
第9節 請負
第632条(請負)
□ □ □
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払う
ことを約することによって、その効力を生ずる。
第1 請負総論
1 特徴:目的は「仕事を完成」することにあり、目的物の移転そのものは主たる目的ではない≠549・555条
※製作物供給契約(ex)建売住宅の分譲
解釈
→基本的に売買契約≠業者が注文に応じて建築⇔多少の建築変更可→請負契約との混合ともいえる。
⇒製作物完成の過程では請負の規定が適用され、製作物移転の局面では売買の規定が適用される。
2 効果
⑴ 請負人
ア 「仕事…完成」義務→過程は問わない⇒下請負も可。
※請負人と下請負人の契約は、本来の注文者・請負人間の契約とは別個独立の契約 解釈
→原則:相互に影響なし⇔注文者にとって下請負人は請負人の履行補助者的立場
イ 目的物引渡義務⊂633条
ウ 担保責任:634条~
⑵ 注文者:報酬支払義務(632条)→原則後払い(633条)※出来高払いが多い。
※義務そのものは契約成立時に発生しているので、譲渡・差押え可。
→履行は目的物の引渡しと同時か(633条本文)
、仕事の終了後(同条但書)
第2 請負における法律関係
1 完成後引渡し前における製作物の所有権の帰属 解釈
⇒材料提供者帰属説
∵①付合(243条)・加工(246条)を前提とする当事者の合理的意思、②請負報酬債権の確保
※特約による変更可、工事代金の大半を注文者が支払っていたときは注文者に帰属
2 注文者帰属特約と下請負 ⇒元請負契約の特約に拘束される ∵前記第1の2⑴ア※ 解釈
3 目的物の滅失・損傷
⑴ 仕事完成前の滅失・損傷
ア 完成可能な場合 :請負人の仕事完成義務・注文者の報酬支払義務は、ひとまず存続
(ア) 請負人に帰責事由 ⇒請負人が履行遅滞責任(415条前段・541条)を負う
※仕事内容可分 +完成部分が注文者に有益 →解除は未完成部分限定 ∵635条但書の趣旨 解釈
(イ) 両当事者に帰責事由なし ⇒請負人は履行遅滞責任を負わない
※報酬増額請求 :原則認められない ∵仕事の「結果」に対して報酬(632条) 解釈
⇔特約、請負人の負担が著しく重い場合は事情変更の原則(521条直前:3)
(ウ) 注文者に帰責事由
⇒注文者が信義則上の付随的保護義務不履行責任(415条前段:2⑴)or不法行為責任を負う
- 14 -
【Z会×TAC共催講座】司法試験
<サンプルテキスト>無断複製・無断転載等禁止
イ 完成不能な場合
(ア) 請負人に帰責事由 →請負人が仕事完成義務の履行不能責任(415条後段・543条)を負う
⇒注文者の報酬支払義務は滅失部分につき消滅
※工事可分 +完成部分につき注文者に利益 →完成部分につき報酬支払義務存続 解釈
(イ) 両当事者に帰責事由なし →請負人の仕事完成義務消滅
⇒注文者の報酬支払義務も消滅(536条1項) 解釈
∵請負契約 =仕事完成目的(632条) +従たる引渡し(633条) ≠「物権の…移転…目的」(534条1項)
(ウ) 注文者に帰責事由 ⇒注文者の報酬支払義務存続(536条2項)
⑵ 仕事完成後・引渡し前の滅失・損傷
ア 請負人の仕事完成義務 ⇒容易補修できる損傷を除き、社会通念上履行不能 解釈
∵仕事完成という本質的義務は果たした →再度の仕事完成を求めるのは酷
イ 注文者の報酬支払義務等 ≒⑴イ
第633条(報酬の支払時期)
□ □ □
報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、
第六百二十四条第一項の規定を準用する。
第634条(請負人の担保責任)
□ □ □
仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求す
ることができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りで
ない。
2 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合にお
いては、第五百三十三条の規定を準用する。
1 趣旨
570条の特則と、不完全履行責任(415条)の特則 解釈
∵有償契約である請負契約において特別に定められている(559条参照)点で570条の特則ともいえる一方で、
仕事完成を目的とする請負契約においては仕事の結果の瑕疵は不完全履行を意味する点で、415条の特則
を定めたともいえる。
2 要件
⑴ 「仕事の目的物に」 ←引渡し・仕事終了時から担保責任適用(cf)637条
⑵ 「瑕疵」 =通常・約定の品質・性能を欠く点
⑶ 636条
3 効果
⑴ 瑕疵修補請求・損害賠償請求 ≦履行利益 ∵不完全履行責任の特則 解釈
※損害賠償請求と請負報酬請求は、信義則に反しない限り、全額同時履行関係(2項)
→505条1項但書⇔相殺も可 ∵実質的に報酬減額→等価関係→抗弁権喪失の不利益なし 解釈
⑵ 解除→635条
- 15 -
【Z会×TAC共催講座】司法試験
<サンプルテキスト>無断複製・無断転載等禁止
第635条
□ □ □
仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解
除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。
1 趣旨(但書)
莫大な費用で建築した土地工作物の撤去 =請負人に酷 +社会経済上不利益
2 解除の要件
⑴「仕事の目的物に瑕疵」 →634条
⑵「契約をした目的を達することができない」
⑶「仕事の目的物」が「建物その他の土地の工作物」でないこと(但書)
⑷ 636条
※催告は不要 ∵修補が不可能・無意味 →翻意を促し履行の機会を与える意味なし
3 効果
解除
※倒壊の危険があるほどの欠陥住宅につき、建替費用相当額の損害賠償請求可≒解除 ⇔635条但書 解釈
∵客観的価値ない欠陥住宅は撤去するしかないから、請負人に酷でないし、社会経済上の不利益もない。
第636条(請負人の担保責任に関する規定の不適用)
□ □ □
前二条の規定は、仕事の目的物の瑕疵が注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じたと
きは、適用しない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、こ
の限りでない。
第637条(請負人の担保責任の存続期間)
□ □ □
前三条の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から一年
以内にしなければならない。
2 仕事の目的物の引渡しを要しない場合には、前項の期間は、仕事が終了した時から起算する。
第638条
□ □ □
建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物又は地盤の瑕疵について、引渡しの後五年間その担保の責
任を負う。ただし、この期間は、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の
工作物については、十年とする。
2 工作物が前項の瑕疵によって滅失し、又は損傷したときは、注文者は、その滅失又は損傷の時から一年以内に、
第六百三十四条の規定による権利を行使しなければならない。
第639条(担保責任の存続期間の伸長)
□ □ □
第六百三十七条及び前条第一項の期間は、第百六十七条の規定による消滅時効の期間内に限り、契約で伸長す
ることができる。
- 16 -
【Z会×TAC共催講座】司法試験
<サンプルテキスト>無断複製・無断転載等禁止
第640条(担保責任を負わない旨の特約)
□ □ □
請負人は、第六百三十四条又は第六百三十五条の規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっ
ても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができない。
第641条(注文者による契約の解除)
□ □ □
請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
1 趣旨
請負人の仕事完成は注文者のため→注文者都合で不要となった仕事完成を強要する実益がない
2「損害」 =請負人が支出した実費+仕事の完成で得られたはずの利益(履行利益)
第642条(注文者についての破産手続の開始による解除)
□ □ □
注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。こ
の場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に
加入することができる。
2 前項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における請負
人に限り、請求することができる。この場合において、請負人は、その損害賠償について、破産財団の配当に加
入する。
趣旨
無資力の注文者に対しても、請負人に仕事完成義務を従来どおり負わせるのは酷
(以下略)
- 17 -
【Z会×TAC共催講座】司法試験
<サンプルテキスト>無断複製・無断転載等禁止
<目標>
① 請負人の瑕疵担保責任の使い方を確立する。
② “立場”問題に慣れる。
※法務省が公表している出題趣旨
設問1は,AのCに対する請求が民法第634条第1項本文に基づく修補請求権によるものであることを明らかにし
た上で,この請求に対するCからの主要な反論が,①Aによる修補請求が相当の期間を定めたものか,②「B邸と同じ
仕様」になっていないことが仕事の目的物の瑕疵に当たるか,③Aによる修補請求が同項ただし書により退けられるの
ではないかという点に依拠することを踏まえ,それぞれについて民法第634条第1項の規範の意味を理論面で正確か
つ細密に示しつつ,本問事案に現われた具体的事実に即してAの主張の当否を検討することを求めるものである。
設問2は,AのCに対する請求が民法第634条第2項前段に基づく損害賠償請求権によるものであることを明らか
にした上で,①Aが既にA邸をFに譲渡していること,②その譲渡に際して,A邸には市場価値の下落がなかったこと
を踏まえ,本問事案における同項前段の損害賠償請求が瑕疵の修補に代わるものであることの意味を理論的に検討しつ
つ,本問事案に現われた具体的事実に即してAの主張の当否を検討することを求めるものである。
<重要条文>
□1 請負(民法632条)
□2 請負人の担保責任(634条)
<答案作成上のアドバイス>
① 淡々と条文の文言に問題文の事情をあてはめていけば足りる問題だったので、いわゆる“論点”
(解釈問題)単位で
事前準備していた受験生は、何を書けばよいか非常に困ったようです。
4A的には、むしろこのような問題の方が通常で、解釈は必要な限りで行う例外的なものです(司法修習・実務も同
様)
。
② 設問1の“予想されるCからの反論”や設問2の“反対の考え方”は、それと明示しなくても、実質的に同様の内容が
書けていれば配点されるはずですから、そのような形式にはあまりこだわらず、内容を充実させることを最優先してく
ださい。
- 18 -
【Z会×TAC共催講座】司法試験
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<解答過程>
〔設問1〕
☝ 当事者確定
⇒AvsC(
〔設問1〕
、
【事実】7)
☝ Aは、Cに対し、どのような言い分を主張しているだろうか?
⇒【事実】7“E社から特注品であるタイルの納入を受けた上でA邸の改修工事をやり直”せ(3か月以内)
=「金払え!」等 ∵「物よこせ!」っぽくない。
☝ これを法的構成すると?
⇒債権的請求
→約定債権関係 ∵AC間に契約関係あり。
→契約各則(目次)
:請負契約(632条)∵【事実】4
→632~642条に従って処理する(言い分を実現できそうな効果を定めている条文を探す)
。
⇒634条1項が使えそう。
∵A邸外壁が、Aが望んでいた“B邸のような外壁”
(
【事実】1)になっていない「瑕疵」?の「修補を
請求…できる」という効果を定めている。
→その文言に(必要かつ可能なら、解釈した上で)問題文の事情をできる限りあてはめる。
※その際、複数のあてはめ方を思いついたら、その一方を“Cからの反論”
、他方を“検討”として書
けばよい。
〔設問2〕
☝ 当事者確定
⇒AvsC(
〔設問2〕
)
☝ Aは、Cに対し、どのような言い分を主張しているだろうか?
⇒〔設問2〕
“外壁の改修工事の不備を理由とする損害の賠償を”しろ!=「金払え!」
☝ これを法的構成すると?
⇒債権的請求
→約定債権関係 ∵AC間に契約関係あり。
→契約各則(目次)
:請負契約(632条)∵【事実】4
→632~642条に従って処理する(言い分を実現できそうな効果を定めている条文を探す)
。
⇒634条2項が使えそう ∵「損害賠償の請求をすることができる」という効果を定めている。
→その文言に(必要かつ可能なら、解釈した上で)問題文の事情をできる限りあてはめる。
※その際、複数のあてはめ方を思いついたら、その一方を“Cからの反論”
、他方を“検討”として書
けばよい。
- 19 -
【Z会×TAC共催講座】司法試験
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講師作成答案例
1
2
第1 設問 1
ACは、A邸改修工事の請負契約(632 条:本問契約)を締結した
3
4
が、Cが改修を終えた「仕事の目的物」たるA邸外壁は、Aが望むB
邸のような外壁になっていないから、本問請求は、瑕疵修補請求(634
コメント [中村充1]: 「仕事を完成」していないから、請
5
6
条 1 項)と構成できる。
1⑴ C反論:Aの希望に沿いE社製のタイル「シャトー」を使ったし、
【事実】6 冒頭“A邸の外壁の改修を終えた”=「工事
7
8
耐火性・防水性等の性能はB邸外壁のタイルと同一だから、発注前
にAがCに伝えた“B邸と同じ仕様”といえ、
「瑕疵」はない。
事を完成」したとする(東京高判昭 36.12.20 等)のが
9
10
ア 検討:同条の趣旨は、仕事完成を目的とする請負契約(632 条)
で仕事の結果の瑕疵は不完全履行を意味することから、債務不履
11
12
行責任の特則を定めた点にある。
とすると、債務の発生原因たる請負契約上の品質・性能を欠く
13
14
場合も「瑕疵」があると解すべきである。
イ 本問で、AはCに、B邸を実際に見せた上で、A邸外壁をB邸
15
16
と同じ仕様にしてほしい旨を伝えたから、色等の外観までB邸と
同じように改修する旨が、本問契約の内容となったといえる。
た(もちろん加点)
。
17
18
しかし、出来上がったA邸外壁は、B邸とは「シャトー」の原
料の一部が変わった結果、表面の手触りや光沢が若干異なるよう
は、契約の原始的一部不能部分だから、取引通念上の客
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になり、そのため色も少し違って見えるようになったから、本問
契約上の品質を欠くといえる。
解される。
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⑵ C反論:工事開始時に現場に立ち会ったAは、A邸敷地内に積み
上げられた「シャトー」の色がB邸のものとは若干違うと思ってい
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たのに、それ以上何も言わなかったから、その「シャトー」を使う
ことを認め、本問契約の内容もそのように変わった。
れでも少し加点されている可能性がある。
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ア 検討:Aが何も言わなかったのは、工務店を営む専門家Cから、
光の具合で色も違って見えるし、長年の使用により多少変色する
疵が生じたとあてはめるのは、よほどうまく書かないと
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との説明を受け、また、Eに問い合わせて確認したから間違いな
いと言われて、言い返す言葉がなかったからだと考えられる。
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イ しかし、Cは、Eに「シャトー」が出荷可能であることを確認
したにすぎず、その外観の変化については確認していない。
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他方、Aも、出来上がった外壁がB邸のものと異なる感じを拭
えず、直接E社に問い合わせたことからしても、B邸と原料の一
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部が異なる「シャトー」を使うことを認めたわけではないだろう。
ウ とすると、本問契約の内容は変わっていないとみるべきである。
負契約に基づき完成させろ等の反論も考えられるが、
が予定された最後の工程まで一応終了し」た以上、
「仕
一般的。
コメント [中村充2]: 出題趣旨では“634 条第 1 項の規範
の意味を理論面で正確かつ細密に示”すことが求められ
ているが、適切に書けていた再現答案はほとんどなかっ
なお、570 条で法定責任説をとっても、同条の「瑕疵」
観的な欠陥だけでなく契約上の主観的な欠陥も含むと
コメント [中村充3]: もちろん加点事由にとどまる。
この点を 636 条本文で構成していた再現答案もあり、そ
しかし、
「注文者」AがBに「与えた指図によって」瑕
無理があると感じる人が多いだろうし、判例でも上記構
成はあまり認められていないようだ(判例タイムズ№
1148P17)
。
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⑶ よって、A邸外壁には「瑕疵」がある。
2 C反論:3 か月以内にやり直しのA邸改修工事を完成させろという
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本問請求は、
「相当な期間を定めて」いない。
検討:同文言の趣旨は、瑕疵修補する請負人に時間的余裕を与える
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点にあるから、
「相当な期間」とは、瑕疵修補に必要な期間と解すべき
である。
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本問でCは、A邸外壁の改修を 1 か月で終えた以上、Eが「シャト
ー」の特注品の注文を受けてから制作までの 2 週間を差し引いた 2 か
いても加点にならないかもしれないが、出題趣旨で“634
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月半で、かなり余裕をもって瑕疵修補を終わらせることができよう。
よって、本問請求は「相当な期間を定めて」いる。
ことが求められているので、一応書いた。
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コメント [中村充4]: 無理筋の反論に思えるし、実際書い
ていない再現答案も結構あったが、出題趣旨でトップに
明示されているので、書くべきだった(加点)
。
コメント [中村充5]: これは当然といえば当然なので、書
条第 1 項の規範の意味を理論面で正確かつ細密に示”す
【Z会×TAC共催講座】司法試験
<サンプルテキスト>無断複製・無断転載等禁止
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3 C反論:前記 1 の瑕疵は「重要でない」し、
「修補に過分の費用を要
する」
(634 条 1 項但書)
。
(以下検討)
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⑴ア 確かに、前記 1⑴冒頭からは、同瑕疵が「重要でない」とも思
える。
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イ しかし、Aは、自宅近くのB邸外壁(れんが風タイル張り仕上
げ)がとても気に入り、A邸改修の際はB邸のような外壁にした
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いと思っていたからこそ、わざわざ前記 1⑴イの行動をし、Cも、
B邸に用いられているタイルにつきわざわざDEに問い合わせた。
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その後も、Aは、A邸外壁工事開始時に、使われる「シャトー」
の色がB邸のものとは若干違うと思い、Cも前記 1⑵アの説明等
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をし、さらにAは前記 1⑵イの行動に出た。
ウ とすると、Aにとって前記 1 の瑕疵は重要で、Cもそれを認識
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していたといえるから、同瑕疵が「重要でない」とはいえない。
⑵ア また、
「シャトー」は、原料の一部につき従前使用していたもの
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が入手しにくくなり、B邸で使用したタイルと完全に同じものは
特注品となっているから、修補に要する「費用」が増える。
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イ しかし、Cは、A邸の外壁表面のタイルをはがす等した上で、
上記特注品で外壁を作れば足りるから、そこまで多額の費用は要
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しないだろう。
また、前記 1⑴冒頭の事情はあるが、上記⑴のとおり瑕疵が重
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要でないとはいえない。
ウ とすると、修補費用が修補により得られる利益を著しく上回る
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コメント [中村充6]: 全体的に加点事由にとどま
る。
なお、634 条 1 項但書全体の趣旨として注文者と
請負人間の公平を図る旨を示し、そこから検討
していくのも一手。
コメント [中村充7]: 「瑕疵が重要であるかどう
かは、その契約をした目的、目的物の性質その
他客観的事情によって定められる」
(我妻・各論中二P634)といったことを書けば
加点になるかもしれないが、あまり“理論面”
(出
題趣旨)の論述っぽくない感じがしたので、省
略した。
コメント [中村充8]: Aは、おそらくCにもその
旨を言ったのだろう。
コメント [中村充9]: 「過分の費用かどうかは、
修補に必要とする費用と修補によって生ずる利
益とを比較して定めるべきである」
(新版注釈民
法(16)P144)といったことを書けば加点になる
かもしれないが、やはり、あまり“理論面”
(出
題趣旨)の論述っぽくない感じがしたので、省
略した。
とはいえないから、
「修補に過分の費用を要するとき」ではない。
4 したがって、本問請求は認められる。
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第2 設問 2
瑕疵修補請求後 3 か月が経過したが、Cは全く工事に着手しなかっ
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たので、嫌気がさしたAによる本問請求は、前記第 1 の 1 の「瑕疵の
修補に代えて」の「損害賠償の請求」
(634 条 2 項)と構成できる。
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1 まず、既にA邸をFに売却して引き渡したAは、もはやA邸外壁に
利害関係がなくなったから、同請求ができないとも思える。
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しかし、
同請求は、
「注文者」
という請負契約上の地位に基づくから、
A邸売却・引渡し後でも、
「注文者」AがCに対し同請求ができる。
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2 また、
A邸外壁に現在張られているタイルは、
性能上は問題がなく、
B邸に使用されているものと同じものが用いられていないからといっ
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て、
A邸の売却価格 2500 万円には全く影響していないから、
Aには
「損
害」がないとも思える。
でもよい(むしろその方が無難)
。
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しかし、前記第 1 の 1⑴アから、
「瑕疵の修補に代えて」の「損害賠
償の請求」とは、仕事の目的物の「瑕疵」をなくし請負契約上の品質・
もあった。
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性能に達するようにするための修補費用の請求と解すべきである。
とすると、上記タイルに前記第 1 の 1 の「瑕疵」がある以上、B邸
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に使用されているものと同じものにする費用相当額が
「損害」
となる。
3 実質的にも、Aは、同「瑕疵」がなければA邸を 2500 万円でも売却
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していないと考えられるから、本問請求を認めてよいと考える。
以 上
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コメント [中村充10]: 何が問われているのか、何
を書けばいいのか分からなかったと思われる再
現答案が多かったので、全体的に加点事由にと
どまる。
コメント [中村充11]: 「損害」なしとの結論にし
た再現答案の方が多かったので、もちろんそれ
なお、Aの精神的「損害」ありとする再現答案
コメント [中村充12]: この点で設問1とリンクす
る。