平成27年度 後 期 日 程 理 科 (1・・分) 注 意 事 項 1.試験開始の合図があるまで,この問題冊子を開いてはいけません。 2.問題は,1物理]が1ページから1]ページまで,1化学]が12ページから22ペー ジまであり註解醐は,「物馴ま[亙ユ[亙ユ[璽コの3 枚1化学」は[亙ユ[亙],[亙コ,[亙]の轍からなっ ています。ページの脱落等に気付いたときは,手をあげて監督者に知らせなさ い。「化学且HのB,Cは選択問題です。解答用紙の所定の欄に選択した問題の記 号(BまたはC)を記入すること。記入のあった記号の問題を解答したものとして 採点します。 3.解答は,以下の指示に従い解答用紙の指定された欄に記入しなさい。 (ア)生命・物質工学科,環境材料工学科,電気電子工学科,建築・デザイン工学科, 都市社会工学科を志望するものは,「物理],「化学1のうちから1科目を選択し, 解答しなさい。 (イ)機械工学科,情報工学科を志望するものは,「物理]を解答しなさい。 4.監督者の指示に従って,選択した科圏のすべての解答用紙の該当欄に志望学科名 及び受験番号(2か所)を記入しなさい。 5.解答用紙の※を付した欄には,何も記入してはいけません。 6.問題冊子の白紙と余白は,下書きに適宜利用してもよいが,どのページも切り離 してはいけません。 7.試験終了後,この問題冊子及び下書き用紙は持ち帰りなさい。 ◇M4(641−35) 理 物 注意問題は1,丑,皿の3題である。 1 図1に示すように,質量の無視できるばねの一端を床に固定し,他端に質量 M〔kg〕の板をつけ,その上に質量祝〔kg〕のおもりを乗せると,自然長からL〔m〕だ け縮んだ位置で静止した。このときのおもりの位置Oを原点とする。ばねは鉛直 方向にのみ伸び縮みし,板やおもりの運動は鉛直方向にのみ起こるものとする。空 気の抵抗およびおもりと板の大きさは無視できる。重力加速度をg〔m/s2〕とす る。以下,原点Oからのおもりの鉛直上向きの変位をκ〔m〕とする。以下の問いに 答えよ。 (1)このばねのばね定数を求めよ。 ばねをわずかに押し縮めてから静かに放したところ,おもりと板は互いに接した 状態で単振動をした。 (2)単振動の周期を答えよ。 (3)おもりと板のそれぞれの鉛直方向の運動方程式をたてよ。ただしおもりにはた らく垂直抗力の大きさをN〔N〕,鉛直上向きの加速度をα〔m/s2〕とする。 (4)おもりにはたらく垂直抗力の大きさNおよび鉛直上向きの加速度αをκの関 数として求めよ。ただし,勿,g, L,κのうち必要なものを用いて表せ。 1 <>M4(641−36) おもり(質量鋤 L至 板(質量ルf) 図1 2 〈〉]㌧44(641−37) 以降は,図2のようにばねをOから2Lだけ押し縮めてから静かに放した場合 を考える。このときはばねが上方に運動する途中におもりが板から分離する。分離 後のおもりは重力を受けながら運動し,ある時間が経過した後に必ず板に衝突す る。 (5)おもりと板が最初に離れるときの変位κを求めよ。 (6)押し縮めたばねを静かに放した瞬間を考える。このときの,おもりの重力によ (a) る位置エネルギー,板の重力による位置エネルギー,およびばねの弾性力による (b) (c) 位置エネルギーを求めよ。さらに,おもりが最初に板から離れる瞬間を考える。 このときの,おもりの重力による位置エネルギー,板の重力による位置エネル (d) (e) ギー,およびばねの弾性力による位置エネルギーを求めよ。ただし,重力による (f> 位置エネルギーは原点Oを基準として求めよ。おもりと板の大きさは無視でき る。また,ばねの弾性力による位置エネルギーは自然長を基準として求めよ。解 答は,(6)の(a)から(f)の欄に記入せよ。 (7)おもりが最初に板から離れる瞬間のおもりと板の速さをγ〔m/s〕とする。おも りが最初に板から離れる瞬間のおもりと板の運動エネルギーをそれぞれγ,勿, Mを用いて表せ。 (8)おもりが最初に板から離れる瞬間の速さγを求めよ。 (9)分離後に板は単独で単振動する。この単振動の周期を求めよ。 分離から衝突までの時間が,板が単独で単振動する際の周期と等しかった。おも りと板の間の反発係数(はね返り係数)を1とする。ただし,衝突は瞬間的に起きる ので,おもりと板が接触している間の重力とばねの弾性力の力積は無視できる。 (10 おもりと板が分離後に最初に衝突する瞬間の変位克を答えよ。 (1D分離後に最初に衝突する直前と直後のおもりと板の速さをそれぞれ求めよ。 (12)単振動の周期とおもりが衝突するまでの時間を比べることにより,分離から衝 突まで塒間が諏蝉独禅働する際の周期と等しいときの昔を勅よ・ 一3 〈〉]VI4(641−38) 自 然 長 板 図2 一4 ◇M4(641−39) H 図1のように,起電力γ〔V〕の電池,抵抗値1∼〔Ω〕の抵抗,電気容量C〔F〕のコ ンデンサー,およびスイッチSW 1,SW 2からなる回路に,長さL〔m〕,質量 鯛〔kg〕の一様な導体棒XYを接続し,空中に水平につり下げて静止させた。回路の 点M,Nと導体棒をつなぐ二本の導線の一部は,それぞれが鉛直方向のみに伸縮 するばね定数吾〔Mn〕のばねになっており・導構は鉛莇向に働できる・導 体棒の可動範囲には導体棒と垂直に水平右向きの一様な磁束密度BこT〕の磁場が加 えられている。導線の質量,電池の内部抵抗,導線および導体棒の抵抗は無視でき る。また,回路を流れる電流がつくる磁場の影響は無視できるものとする。以下の 問いに答えよ。 問]最初,スイッチSW 1は開いており,スイッチSW 2は図1の端子S, Tの どちらにもつながれておらず,コンデンサーの両極に電荷は蓄えられていな い。この状態でスイッチSW 1を閉じると回路に電流が流れ始めたが,この電 流はすぐに減衰してゼロとなった。この後スイッチSW 1を開いた。以上の過 程を「過程1」と呼ぶ。 (1) スイッチSW 1を閉じた瞬問に回路を流れる電流の大きさを記せ。 (2) 樋程1]の後に,コンデンサーに蓄えられている電気量を記せ。 (3) このときコンデンサーに蓄えられている静電エネルギーを記せ。 (4) 樋程1」の間に抵抗Rで発生したジュール熱の総量を求めよ。 SWI / X ⇒ 8 (a)↓Y1 ’図1 5 〈>M4(641−40) 問2 「過程1」でコンデンサーを充電してスイッチSWIを開いた後,スイッチ SW 2を端子Sにつなぐと,回路に電流が流れ始めた。この電流はすぐに減衰 してゼロとなったが,その間に流れた電流により導体棒は磁場から撃力を受 け,鉛直方向の速度を得た。スイッチSW 2を端子Sにつないでから電流が いったんゼロとなるまでの,このわずかな時間内の過程を「過程21と呼ぶ。こ の間の導体棒の変位は無視できる(随程2」終了直後の電流はゼロであるが, さらに時間が経過すると導体棒が鉛直方向に変位し,その速度がばねの復元力 によって変化するため再び電流が流れる。)。 (5)「過程2」で導体棒が磁場から受ける力の向きは図1の矢印(a),(b)のどちら であるか。 (6)随程2」終了直後におけるコンデンサーの極板問の電位差は最初の電位差 γのα倍(0〈α<1)となっていた。このときの極板間の電位差と導体棒に 生じる誘導起電力との関係から,導体棒の速度の大きさをα,.8,L,γを 用いて表せ。 (7)以下の文章の空欄ア∼ウに当てはまる式を答えよ。ただし,同じ記号の空 欄には同じ式が入る。 この導体棒に大きさ∫〔A〕の電流が流れているとき,導体棒が磁場から受 ける加大きさは巨]N〕である.ある椥塒蹴〔・〕硝では翫∫ は一定とみなすことができるので,この時間内に導体棒の断面を通過する電 気量はω一[乙〔c〕であり,こ醜問内に導繊が嚇から受ける力 勧大きさはz㌍巨⊃MQ〔N・s〕と鍵れる.従って,ある時間内 に導体棒を流れる電流によって導体棒が磁場から受ける力積の大きさ ヵ〔N・s〕は,その間の電流の時間変化によらず,導体棒の断面を通過した総 電気量Q〔c〕のみで決まり,グ巨]×Qと表される. (8)上間(7)の結果から,「過程2」の間に導体棒が磁場から受けた力積の大きさ をα,B, C, L,γを用いて表せ。 (9)上問(6),(8)の結果から,αを勿,B, C, Lを用いて表せ。 一6 〈〉入44(641−4/) 問3今度は,導体棒がっり合いの位置で静止し,電流およびコンデンサーの電荷 がゼロである状態においてスイッチSW 2を端子Tにっなぐ。その後,導体棒 をつり合いの位置から鉛直下方へゆっくりとκo〔m〕だけ引き下げて静かに放す と,導体棒は鉛直方向に振動し,回路には振動電流が流れた。 ⑩ 導体棒の静止位置から鉛直下向きの変位をκ〔m〕,鉛直下向きへの速度を 〃〔m/s〕,導体棒を図1のXからYの向きに流れる電流を∫〔A〕とするとき, 導体棒にはたらく全ての力の合力を,鉛直下向きを正として表せ。 (鋤 コンデンサーに蓄えられている電気量が,ある時刻から微小時間4オの間 に五Qだけ変化したとすると,電流/はコンデンサーの正側(図1の上側)の 極板から靴醐当たりに放出される電気量・すなわち一 Wに等しい。 また・こ媚噂峰の醸の変化軸とすると・導構の加雄は晋 である。このことをふまえ,コンデンサーの極板問の電位差と導体棒に生じ る誘導起電力との関係から,導体棒の鉛直下向きへの加速度を8,C, Lお よび電流∫を用いて表せ。 (12)上間(IDの関係式と導体棒の運動方程式を用いると,鉛直下向きの加速度 α〔m/S2〕と変位κの問にβ〔S 2〕を正の定数とする比例関係 α=一βκ が成り立ち,導体棒の運動が単振動となることが分かる。この定数βを求 めよ。 (13 導体棒を流れる振動電流の振幅(最大値)を求めよ。解答には上問q2>のβ を用いてよい。 7 <>M4(641−−42) 皿 ドップラー効果についての次の問いに答えよ。ただし,音速γ〔m/s〕は∼定で, その値が必要な場合は3.40×102m/sとする。 問1 図1に示すように,音源Sは一定の速さ01〔m/s〕で観測者Oに向かって進 んでいる。音源Sは一定の振動数∫s〔Hz〕の音波を出している。時亥れ=0〔s〕 において音源SはA点を通過し,その時に発した音波は時刻τ=7「]〔s〕に C点に静止している観測者Oに到達した。r=ハにおける音源Sの位置を B点とする。ただし,音源Sの速さ〃1は,音速γよりも小さい。 (1)時刻τ=ハにおいて,B点とC点の間に存在する波の数を与えられた記 号を用いて示せ。ただし,音波の1波長分を1個の波と数える。 ② 観測者Oが聞く音の振動数を与えられた記号を用いて示せ。 A C 音源S 『・=0 観測者O 一〇1 A B C r=7「茎 図1 一8 <>M4(641−一一43) 図2に示すように,板Wと音源Sと観測者Oが一直線上に並び,音源Sと 観測者Oは静止しており,その直線上を板Wが速さρ2〔m/s〕で音源Sと観測 者Oに近づいてくる。音源Sは振動数∫s頂z〕の音波を出している。ただし, 板Wの速さu2は,音速γよりも小さい。 (3)板Wを動く観測者と考える。音源Sから出た音を板Wが受けるとき, その振動数をγ,の,∫sを用いて示せ。 (4)板Wで反射した音を,観測者Oが聞くときの振動数をU〃2,五を用い て示せ。 音源S 観測者O 02 板W 図2 一9 <>NI4(641−44) 問2 図3のように,十分に長い直線道路の近くに観測者Oを配置した。車が 左側から右方向に一定の速さぴ〔m/s〕で移動しており,その車には振動数 ∫sα{z〕の音を出す音源Sが取り付けられている。観測者Oの位置を点C, づ 音源Sの位置を点Pとしたとき,車の速度ベクトルとベクトルPCのなす角を θ〔rad〕とする。ただし,車の速さ妬は,音速γよりも小さい。 (5)θ=θ1となる位置で出された音を観測者Oが測定するとき,音源Sは ρmcosθ1の速さで観測者Oに近づいているとみなすことができる。このと き,観測者0が測定した音の振動数をジρm,∫s,θ1を用いて示せ。 ㈲ 車が左側の十分遠方にあり,θが十分に0に近いときに測定された音の振 動数九〔Hz〕を,万ρm,∫sを用いて示せ。 (7)車が右側の十分遠方にあり,θが十分にπに近いときに測定された音の振 動数∫R〔Hz〕を,γ,〃。、,允を用いて示せ。 〈8)車の速さ〃。、を,γ,九,∫Rを用いて示せ。 (9)音源Sの出す音の振動数を観測者Oが測定したところ,その振動数の 変化を表したグラフは図4のようになった。このグラフから九=L53× 103Hz,∫R=1.36×103Hzの値を得ることができた。車の速さ〃。、の値を 有効数字2桁で求めよ。 ⑱ 音源Sの出す音の振動数∫sの値を有効数字2桁で求めよ。 C .燈 ./観測者O “。。。,θ/糟 ! \ 1 、 P / θ 、 、 、 車 ! ρm 音源S 図3 一10一 <>M4(641−45) 邑 了 宮 蓑 ◇ ご ト 軽 さ Oo o 包 ふ 蒸 N 〔油 憩漫 〕輝 冨誌憲㍍㌫冨宗 o 学 化 注 意 問題は1,丑,皿の3題である。解答に単位が必要なものには単位をつけ て記すこと。皿のAは全員解答し,頂のBとCはどちらか一方を選択して解答 すること。また,問題文中の体積の単位記号Lは,リットルを表す。 1 次の文章を読み,以下の問1∼問5に答えよ。なお,問1,問2,問3(2)と(3)は 解答に至る導出過程も記すこと。ただし,実験中の大気圧は1.0×105Paで変化 しなかったものとする。必要であれば,下の値を用いよ。 気体定数 1∼=8.3×103Pa・L/(mol・K) 水の密度:1.Og/mL 浸透圧は様々な現象に関係している。不揮発性の溶質を溶かした希薄水溶液の浸透 圧は,その溶液のモル濃度C(mol/L)に比例する。図のようなU字管の真ん中に水分 子のみを通す半透膜をつけた容器がある。円柱部分の断面積は10Cm2で完全に左右 対称になっている。溶液を図の左側に,右側に同じ体積の水を入れると,水分子が 半透膜を通って左側に移動していく。10mLの水が移動したとすると,液面の高さの 差は2.OCmとなる。結果として,左側の溶液のモル濃度は小さくなっていく。十 分な時間がたっと,左右の液面の高さの差がんcmで一定になる。左右の円柱は同じ 大気圧を受けているので,この高さの差による圧力が浸透圧になる。希薄溶液の密 度は濃度により変化せずに水と同じ値であるとすると,右図の場合の浸透圧(π)は カ×98Paとなる。この状態での左側の溶液のモル濃度がC(mol/L)であったとする と,π=C1∼7×7’は絶対温度)の関係が成立する。水の移動が起きる前に円柱に蓋(ふ た)をすると,水の移動と共に気体の圧力が変化する。そのため,蓋をしなかった場 合と違い,蓋をした側の気体の圧力は大気圧とは異なる値となる。結果として,十分 な時間がたった後の,左右の液面の高さの差は丘Cmではなくなる。すなわち,浸透 圧の値が変化することになる。ただし,蓋をしても容積には変化はないものとする。 一12一 <>M4(641−47) 溶液 カCm 水 1 卜 半透膜 問1 ある濃度のグルコース水溶液と水を用いて,21℃で浸透圧の実験を行っ た。左側にはグルコース水溶液600mLを,右側には水600 mLを最初に入れ た。十分な時間がたった後には,カは16.6cmであった。そのときのグルコース 水溶液のモル濃度(mo1/L)を求め,3桁目を四捨五入して有効数字2桁で記せ。 解答に至る導出過程も記すこと。 問2 問1の実験で,最初に入れたグルコ∼スの濃度は問1で求めた値よりも高く なる。最初のグルコース水溶液のモル濃度(mol/L)を求め,3桁目を四捨五入し て有効数字2桁で記せ。解答に至る導出過程も記すこと。 一13一 <>M4(641−48) 問321℃で,問1で用いたのと同じグルコース水溶液600mLと水600 mLを最 初に入れ,水の移動が生じる前に水の方の円柱(右の円柱)に蓋をして,空気が入 らないようにした。この状態で,U字管の右側では蓋から20 cm下に水面が存 在した。その後,水の移動により左側の水面は徐々に上昇していき,左右の液面 の高さの差が万cmで移動は止まった。このとき,左側の水溶液のモル濃度は σmol/Lであった。ただし,21℃における飽和水蒸気圧は無視できるほど小さ いものとする。 (1)〃の値は16.6clnより大きいか小さいか,およびσの値は問1で求めたモ ル濃度の値よりも大きいか小さいかを各々記せ。 ② 右側の容器内の気体の圧力(Pa)を〃’を用いた式で記せ。解答に至る導出過 程も記すこと。 (3)この実験における半透膜にかかる浸透圧(πつを,ηを用いた式で記せ。解 答に至る導出過程も記すこと。 問4 この問題では21℃での水の飽和蒸気圧は無視できるほど小さいとしたが, 有機溶媒では21℃での飽和蒸気圧はかなり高いものが多い。任意の割合で混合 できる物質Aと物質Bを混合した場合のAと8の蒸気圧は,ラウールの法則に従 う。ラウールの法則によると,AとBの物質量を晦と編とし,ある温度での AとBの飽和蒸気圧をPAとPBとすると,溶液の全蒸気圧Pは以下の式で表さ れる。 多2A %1ハ ×PI3 ×PA十 P= κA一卜銘13 ηA◇κB AとBを物質量比3:1で混合した溶液がある。以下の(1),(2)に,PA, PBを 用いて答えよ。ただし,蒸発量は小さく,溶液内の物質量の変化はないものとする。 (D A,Bともに揮発性である場合の,その温度での溶液の全蒸気圧Pを式で 記せ。 ② 8が不揮発性である場合の,その温度での溶液の全蒸気圧Pを式で記せ。 問5ベンゼンと酢酸を物質量比3:1で混合した溶液がある。この溶液の全蒸気 圧Pを測定したところ,問4の式で求めた値とはかなり異なっていた。この理 由を2行以内で記せ。 一一14− ◇M4(641−49) H 次の文章を読み,以下の問1∼問6に答えよ。ただし,問2,問4(2),問6(1)と (3)は,解答に至る導出過程も記すこと。 水素は次世代エネルギーを担う重要なプレイヤーとして新たな1歩を踏み出しつつ ある。国内自動車メーカーは燃料電池車の一般向け販売を行うことを発表しており, 家庭用の小型燃料電池システムはすでに市販され,大規模発電システムいわゆる水素 発電所の計画も実現段階に来ている。水素の発生方法は多岐にわたり,水素より (a) 巨]傾向の大きな醐に希罐を加えて巨]融法で糠する,矯Aと水 (b) を反応させる,水を電気分解するなどがあるが,工業的にはほとんどが天然ガスであ (C) るメタンガスの水蒸気改質によって製造されている。高温下で金属触媒存在下におい 6,メタンガスを樵気と賄させること}・より・糠と巨コ醗生する・ 巨]はギ麟蹴酸で脱水すること1・よって粥られる.水素は端粧下で}ま 気体であり可燃性でもあるため,その安全かつ低体積な貯蔵および輸送方法に難があ る。高耐圧タンクに加圧圧縮水素を極低温にて液体水素にする,無機物もしくは有 機物に吸蔵させ常温常圧下で貯蔵するなど様々な技術が実現しつつある。 剛文物空欄[司一巨]に当てはまる鎚な縦記せ. 問2下線部(a)における反応の結果,27℃で41.5Lの水素が発生した。発生し た水素の物質量(mol)を求め,3桁目を四捨五入して有効数字2桁で記せ。 ただし,27℃において大気圧は101kPa,水の蒸気圧は3. O kPa,気体定数は 8.3×103Pa・L/(mol・K)とする。なお,解答に至る導出過程も記すこと。 問3 金属Aは燈赤色の炎色反応を示した。下線部(b)で起こる反応の化学反応式を 記せ。 一15一 ◇M4(641−50) 問4 以下の(1)と(2)に答えよ。 (D 下線部(d)で生じる反応の化学反応式を記せ。 (2)内容積500mLの密閉容器にメタン2. O mdと水蒸気2. O molを入れて,あ る温度で下線部(d)の反応を行ったところ水素が3.Omol生成して平衡状態と なった。下線部(d)の反応の,この温度における(濃度)平衡定数κ(mol/L)2の 値を求め,3桁目を四捨五入して有効数字2桁で記せ。ただし下線部(d)以外の 反応は起こらないものとする。なお,解答に至る導出過程も記すこと。 問5 白金電極を用いた電気分解に関する以下の(1)と(2)に答えよ。 (1)下線部(c)にっいて水素が発生するのは陽極,陰極のいずれであるかを記せ。 (2)以下の組み合わせの中で(Dで選んだ極における,電子を含む反応式が異なる ものを選び,その記号を記せ。 A 水酸化ナトリウム水溶液の電気分解 B 硫酸水溶液の電気分解 C ヨウ化カリウム水溶液の電気分解 D 塩化ナトリウム水溶液の電気分解 問6 濃度未知の硫酸鉄(H)の硫酸水溶液5001nLを,白金電極を用いて2.5Aで 32分10秒電気分解したところ,一方の電極では鉄(田)イオンが生成し,もう一 方の電極では水素が発生した。電気分解終了後の水溶液を0.080mol/Lの硫酸 (e> 酸性過マンガン酸カリウム水溶液400mLと反応させたところ,過不足無く反応 した。以下の(1)∼(3)に答えよ。ただし,実験全体を通して空気と溶液が接触しな い装置を用い,Fe 2+イオンの酸素による酸化は起こらないようにした。また,水 素が発生した電極では,水素発生以外の酸化還元反応は起こっていなかった。 (D この電気分解で発生した水素の標準状態に換算した体積(L)を求め,3桁日 を四捨五入して有効数字2桁で記せ。ファラデー定数は9.65×104C/mo1と する。なお,解答に至る導出過程も記すこと。 (2)下線部(e)の反応をイオン反応式で記せ。 (3)電解前の硫酸鉄(H)の濃度(mol/L)を求め,3桁目を四捨五入して有効数字 2桁で記せ。なお,解答に至る導出過程も記すこと。 − 16 − 〈〉‡∼44(641−51) 皿 Aについては全員が解答すること。B, Cについてはいずれか一方を選択し,解 答用紙の所定の欄に選択した問題の記号(BまたはC)を記入すること。 A次の文章を読み,以下の問1∼問6に答えよ。構造式は化合物Xにならって記す こと。 新規液晶物質を開発する目的で,下図に示す化合物Xを合成した。化合物AとBの ジアゾカップリング反応で化合物Cを合成し,化合物Cと化合物Dを反応させて目的 化合物Xを得た。 [化合物X] H3C−CH−CH 2−8−0〈⊃〉一はN−《}CH 2−1::CH 2−−CH、 問1化合物Aは,ベンゼンスルホン酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの固体を混 合して高温(290∼340℃)で加熱すると得られる物質である。化合物Aの構造式 を記せ。ただし,塩の形で記す必要は無い。 問2化合物Bは,以下の手順で合成した。化合物Eに混酸を反応させてパラ位を ニトロ化して化合物Fを合成した後,スズと塩酸で還元して化合物Gを得た。化 合物Gはさらし粉で呈色した。化合物Gの塩酸溶液を,低温で亜硝酸ナトリウム 水溶液と反応させて化合物Bを得た。化合物B,E, F, Gの構造式を記せ。 問3 ジアゾカップリング反応の生成物Cの構造式を記せ。 問4化合物Dは,化合物Hに十酸化四リン(P40]o)を加えて加熱すると生成す る。化合物Hの構造式を記せ。 、 一17一 <>M4(641−52) 問5化合物Gと化合物Dを反応させたところ,化合物1が得られた。化合物1の 構造式を記せ。 問6化合物Eのベンゼン環を有する構造異性体のうち,不斉炭素原子を有するも のの構造式をすべて記せ。なお,不斉炭素原子には*を付けて記すこと。 一18一 ◇M4(641−53) B 次の文章を読み,以下の問1∼問4に答えよ。なお,各元素の原子量およびアボ ガドロ定数は下の値を用いよ。ただし,高分子化合物の末端に関しては考慮する必 要は無い。また,構造式は下の例にならって記すこと。 原子量 H:1.O C:12 N:14 アボガドロ定数 6.02×1023/mol 【例】 工業的用途に応じて,合成高分子化合物単体だけではなく,他の素材と組み合わせ た複合材料が利用されている{列は多い。 炭素蹴は・鉄と比べて÷の罐でありながら約1・駒醸を示す「軽くて弓壺 い]素材として工業的に利用されている。初めて作られた炭素繊維はレーヨンを原料 q) としていたが,最近ではポリアクリロニトリル(PAN)を不活性ガス存在下高温で炭 化させることにより得られる。このPAN系炭素繊維は,ランボルギー二社の自動車 躰にも棚されている.ポリアクリにトリル嚥巨]性を示姶成高分子で あるが,この炭化処理により高い強度と耐熱性を持った炭素繊維となる。また,炭素 繊維は繊維状であるのでそのままでは板状や棒状などの構造材料として用いることは 難しい。そのため,複合材料として用いる場合には,プラスチックのモノマー成分を 炭素繊維に含浸し,成形しながら硬化させることで利用されている。炭素繊維と複合 化して得られるプラスチックは炭素繊維強化プラスチックと呼ばれ,これまでは主に エポキ端脂のよう撫巨]欄脂に対してのみ棚可能であったが,近年ポ・〕 アミドやポリプ・ピレンのような熱巨]噛脂}・対しても利嗣能な技術が確立 され麟繊強化熱[]性プラスチックとして油礁めている. また,タイヤなどのゴム材料に対して強度を与える添加剤としてカーボンブラック と呼ばれる炭素材料の利用も知られている。汐イヤには合成ゴムとともに天然ゴムも (2) − 19一 く>M4(641−54) 稠されているが,績を用いた[ハ]操作は炉ボンブラックの添加とともにゴ (3) ムの製造過程において重要な操作となっている。 問1蜘の空欄[コー[三]に当てはまる過な語を記せ・ 問2下線部(1)のレーヨンの繰り返し単位の組成式,およびポリアクリロニトリル の構造式を記せ。 問3下線部②の例として,タイヤに用いられる合成高分子であるスチレン・ブタ ジエン共重合体がある。スチレン・ブタジエン共重合体の中に存在するスチレン 由来の繰り返し単位とブタジエン由来の繰り返し単位の物質量(lnol)比は1:3 であった。この共重合体1.Og中に存在する,脂肪族炭素一炭素二重結合の数は いくつあるかを求め,3桁目を四捨五入して有効数字2桁で記せ。 問4下線(3)に関して,スチレン・ブタジエン共重合体のような脂肪族炭素一炭素 二酷髄約高分子を,難措つゴム}・変化させるためには,[ハ]酬 が瀕である.E三]操作により,どのような分禰造の変化が起こるためか を1行で記せ。 一20一 <>M4(641−55) C 次の文章を読み,以下の問1∼問4に答えよ。なお,各元素の原子量は下の値を 用いよ。 H 1.O C:12 0 16 醸とは主に躰内で起こる化学反応}・対して[イ]作用を示す生体分子磯称 である・多く囎素は[亘]であり,・ヲミノ酸が[三]結合によりつながっ た高分子化合物である。他にも核酸からなるDNAザイムやリボザイムなども 巨]作髄もつ生体分子として知られてレ・る。麟反応の撒として綻の分子 に対してのみ[作用を示す[三]欄生力助さら6翻・より反髄度 が大きくなる条件として髄「ホ]撮適「]がある. 酵素は,生納での化学反応に対して巨コ綱操たしているものであるが, 生体外に取り出して工業的にも利用されている。例えばリパーゼは油脂を加水分解す る酵素の一群であるが,油脂をグリセリンのようなアルコールと脂肪酸に分解させる (2) 鎚,皮脂汚れに対する分解試薬として洗剤に添加したり,製紙工程で問題となる木 材パルプに含まれるヤニ成分の分解試薬としても利用されている。また,リパーゼは 水が存在しない状態では,エステル交換反応を触媒できることも知られており,近年 (3) ではこの機能を利用した油脂からのバイオディーゼル燃料の生産に関する研究が行わ れている。 問1文申の空欄[1から[口に当て}ままる鎖な誠記せ.ただし, [記と[口馴椰である. 問2下線部(1)に関して,酵素により反応速度が大きくなる理由を1行で記せ。 一21一 〈>M4(641−56) 問3下線部(2)において,下図に示す同一の高級脂肪酸(分子量282)からなる油脂 がある。この油脂の4.42gがリパーゼにより完全に加水分解された時に得られ る高級脂肪酸の質量(g)を求め,3桁目を四捨五入して有効数字2桁で記せ。な お,脂肪酸はCOOHの状態で得られたものとする。また,この高級脂肪酸の名 称を記せ。 α1ガーO−CO−−Cl7H33 CH−O−CO−C17H33 CH 2−O−CO−−Cl7H33 問4下線部(3)のバイオディーゼル燃料として,高級脂肪酸のメチルエステルがよ く用いられている。問3の油脂とメタノールを原料としてエステル交換反応を行 い,バイオディーゼル燃料を得た。問3の油脂4.42gが完全にエステル交換さ れたときに得られる,バイオディー一ゼル燃料の質量(g)を求め,3桁目を四捨五 入して有効数字2桁で記せ。 一22一 〈>M4(641−57)
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