平成26年度 12月号 ふようだより 台東区立富士幼稚園 園長 大 村 弘 子 台 東 区 浅 草 4- 48― 18 ℡ 3874-2460 [email protected] 自分で何度もやってみること 園長 大村 弘子 年少雪組のAちゃんは、名札のバッチを自分でつけようとしていました。何度も 何度もしていますが、なかなかうまくできません。私は“年少さんには難しいから 手伝おうかな。でも、自分で一生懸命やっているから、もう少し見守ろうかな”と 迷いながら、しばらく見ていました。そのうちにAちゃんと目があったので、「お 手伝いしましょうか?」と声をかけました。Aちゃんは、「うん」とうなずきまし た。私が少し手を添えながらも、Aちゃんは自分でつけることができました。その 時のAちゃんのうれしそうな顔。自分でできた喜びと自信にあふれた顔でした。 年長月組では、劇の恐竜役の子供たちが操り人形を作っています。新聞紙を丸め たものをビニールで包んで恐竜の頭、胴体、足などを作り、合体するのですが、B ちゃんは、頭と胴体が思うように付かないようです。「ここが、ふにゃってなっち ゃうんだよなぁ。もっとこういう風に(立つように)したいんだけど」とつぶやき、 セロテープを付けては様子を見ることを何度も繰り返しています。ようやくうまく できましたが、今度は「ここ(つなぎ目の部分)が長すぎるんだよ」と新たな課題 が出てきました。悩んでいるうちに片付けの時間になってしまいました。するとB ちゃんは「頭は明日、もう一回やることにする。」と自分で決めました。妥協せず に自分のイメージを実現しようとするBちゃんの気持ちの強さを感じ、明日のBち ゃんを応援したい気持ちでいっぱいになりました。 子供たちの“自分でやりたい”“こんな風にしたい”という思いを大切にしたい と思います。危険なことや人権に関わることは、しっかり伝えることが必要です。 しかし、そうでないことは、考えたり試したりしている子供たちを見守り支えなが ら、何とか実現できるようにしたいと思います。その過程で子供たちは、自分の願 いや要求をかなえる術(すべ)を学びます。すぐにあきらめずに頑張ること、工夫 すること、友達と助け合うことなどを学びます。そして、できた喜びは自信となり、 次への意欲となります。技術的に難しいことは少し手助けをしたり、一緒に考えた り悩んだり、ヒントを出したり提案したりして、子供が主体的に取り組む過程を十 分に経験できるようにしていきたいです。
© Copyright 2024 ExpyDoc