未来を拓く小松市伝統的ものづくり振興条例の概要案(pdf:102KB)

未来を拓く小松市伝統的ものづくり振興条例の概要案
前文(未来を拓く小松市伝統的ものづくり振興条例の制定にあたって)
霊峰白山を源とする豊かな自然と資源に恵まれた私たちのまち小松には、先人の長い営みの賜物とし
て築かれてきた、日本古来の伝統的ものづくりの技と心が息づいている。
小松のものづくりの歴史は、2 万年前、人々の生活の道具として始まる。弥生時代には、豊かな森と地
下資源を活かし、先進的な技術による優れた木製品や石製品、弥生土器を生み出した。特に、八日市地
方の碧玉製玉作りは、当時の高級装身具として全国に流通し、古代には、北陸最大規模の製陶製鉄地帯
を築くこととなる。そして、近世以降には、前田利常公が推奨した加賀絹や九谷焼、鉄鍛冶などの分野
における個性豊かで品質の高い製品づくりにつながり、現代の多彩な産業を創出する源となっている。
これらの伝統的ものづくりは、多くの富を生み出し、小松の茶道や芸能、芸術などの文化を育むとと
もに、文化がものづくりに新たな発想や用途を生み出させるなど、生活と文化、産業が相互に影響し合
い、小松の町衆文化の繁栄に大きな役割を果たしている。
先人の築いたものづくりの技と心が、現代の小松の文化を支えているとの認識を深めるとともに、私
たち一人一人が伝統的ものづくりを生活の中に活用することは、豊かで活力のある社会を実現する上で
重要である。
もとより、ものづくりはひとづくり。伝統的ものづくり振興において、担い手の育成は最も重要な課
題の一つである。職人の技を継承するとともに、蓄積された知識や経験を活かしながら、時代に応じた
新たな価値を積み重ね、その魅力を高めることで、未来のものづくりをデザインする取り組みが求めら
れる。
このような背景のもと、古きをたずね、新しきを知ることが、ものづくりのイノベーションであり、
新たな伝統の創造であることを認識し、その未来を切り拓く挑戦を続けていかなければならない。
ここに、私たちすべての市民が参加のもと、ものづくりのまちとしての伝統と誇りを継承するととも
に、伝統的ものづくりを次の世代につながる新たなものづくりに発展させることにより、創造性豊かな
社会を実現するため、この条例を制定する。
第 1 章(総則)
制定の目的
(1) 未来のものづくりをデザインし、小松の伝統的ものづくりを守り育てる。
(2) 伝統的ものづくりについて基本理念を定める。
(3) 事業者、産業関係団体、教育機関、市民及び市の役割を明らかにする。
(4) 伝統的ものづくりの振興を総合的かつ計画的に推進するため、施策の基本となる事項を定める。
用語の定義
伝統的ものづくり
・小松市で伝統的に使用されてきた原材料を用いた製品づくり又は小松市
に伝統的に継承されてきた技術による製品づくり。
伝統的ものづくり産業
・小松市において、伝統的ものづくりの歴史を有し、現にその技術等を活
用する業種。
石工品製造業(小松石材)、陶磁器製造業(九谷焼)、畳製造業(小松表)、
瓦製造業(鬼瓦等特殊瓦)、織物業(小松綸子)、金属製品製造業(鍛冶・
鋳物)、木製品製造業(曲物・木挽き・刳物)
事業者
など
・生産者、卸売業者、小売業者、その他伝統的ものづくり産業に属する事
業を行う者。
関係団体
・商工会議所、事業協同組合、その他の事業者の事業活動の支援に関する
事業を行う団体。
教育機関
・大学、高等学校、その他の教育を行う機関。
基本理念
伝統的ものづくりは、小松の市民生活及び文化の向上を支え、まちの発展に重要な役割を果たしている
ことを認識し、次に掲げる事項を基本理念として積極的に進められなければならない。
(1) 伝統的ものづくりの技と知識を保存し、次世代に継承するとともに、人材の育成を図る。
(2) 小松独自のブランドの魅力を高め、国内外に広く発信する。
(3) 伝統的ものづくりに最先端の技術等を融合させ、新たなものづくりへ進化させる。
小松市及び事業者等の役割
市の役割
・伝統的ものづくりの振興に関する施策を策定し、総合的かつ計画的に推
進する。
・伝統的ものづくりの振興施策の策定にあたっては、国、石川県、その他
関係機関と連携を図らなければならない。
・伝統的ものづくりの振興施策の策定にあたっては、事業者、産業関係団
体及び市民の意見を十分に得るように努め、これらの者の理解と協力を
得なければならない。
事業者の役割
・伝統的ものづくり産業に係る者として、自らが重要な役割を担っている
ことを認識し、地域貢献に取り組む。
・小松市が実施する伝統的ものづくりの振興施策に協力するよう努める。
・次世代の担い手の確保とその育成に務め、伝統的ものづくりの歴史及び
技術を次世代に継承する。
・関係団体、教育機関、市民及び市と相互に連携し、未来を拓くものづく
りの振興に努めるものとする。
・経済的社会的変化に応じて、経営の向上、改善に努める。
関係団体の役割
・事業者の経営向上及び改善の取り組みを積極的に支援する。
・小松市が実施する伝統的ものづくりの振興施策に協力するよう努める。
・事業者、教育機関、市民及び市と相互に連携し、ものづくりに新たな用
途や価値を積み重ねる取り組みを推進し、伝統的ものづくり産業の育成
に努める。
教育機関の役割
・事業者、産業関係団体等と連携し、伝統的ものづくりを担う人材を育成
するとともに、ものづくりに係る研究開発の成果等を積極的に活用し、
伝統的ものづくりの振興に努める。
市民の役割
・伝統的ものづくりの振興が、市民生活の向上及び小松市の発展に寄与し
ていることを理解し、伝統的ものづくりに関する施策に協力するように
努める。
・伝統的ものづくり及びそれに係る製品に誇りを持ち、生活の中に活用す
るよう努める。
第 2 章(伝統的ものづくりの保存・継承に関する基本的な施策)
ひとづくりの推進
・伝統的ものづくりの技術を次世代に継承するために必要な支援を行う。
・伝統的ものづくりの大切さについて、市民の理解と関心を深めるために必要な施策を講ずる。
・次世代を担う子供たちの理解と関心を深めるため、伝統的ものづくりに関する教育を推進する。
伝統的ものづくりを守る環境整備
・伝統的ものづくり事業の経営基盤の強化に必要な施策を行う。
・伝統的ものづくりの魅力を広め、伝統的ものづくりの活用を推進する。
第 3 章(未来を拓く伝統的ものづくりに関する基本的な施策)
創造的なものづくりの推進
・他産地、異業種、異文化との交流を深め、新たなものづくりを創造する。
・創造的かつ付加価値を高める伝統的ものづくりを推進する。
戦略的な販路開拓の促進
・小松独自の伝統的ものづくりに係る製品のブランド力向上及び販路開拓を促進する。
・伝統的ものづくりによる製品の販売、プロデュースに係る者が、伝統的ものづくり発信の新たな取り
組みをするために必要な支援をする。
第 4 章(雑則)
委任
この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。