サクセスストーリー/在日外資系企業エグゼクティブの声 デルタ航空会社 (Vinay Dube 氏) 米国のデルタ航空会社は、321 都市(2015 年4月現在)を繋ぐネットワークを有する世界最大規模の航空 会社である。前身の一つであるノースウエスト航空が 1947 年に日本への乗り入れを開始して以来、順調 にビジネスを拡大してきた。日本におけるビジネス状況や今後の展開について、デルタ航空会社アジア太 平洋地区担当上級副社長 Vinay Dube 氏にインタビューを行った。 米国ジョージア州に本社を置くデルタ航空会社は、 成長した。当社は成田空港をアジア太平洋地域のハ 年間 1 億 7 千万人以上の搭乗者を誇る世界最大規 ブ空港として米国本土 7 都市(ロサンゼルス、ニューヨ 模の航空会社である。前身のひとつ、ノースウエスト航 ーク、デトロイト、シアトル、アトランタ、ポートランド、ミ 空が 1947 年に日本に進出して以降、日本での事業 ネアポリス)、アジア 5 都市(シンガポール、マニラ、台北、 を拡大し続けてきた。日本におけるビジネスの状況や 上海、バンコク)、リゾート地4都市(サイパン、グアム、 今後の展開について、デルタ航空会社(以下、デルタ コロール(パラオ)、ホノルル)に就航している。また、羽 航空)アジア太平洋地区担当上級副社長 Vinay 田空港、関西国際空港、中部国際空港、福岡空港 Dube 氏にインタビューを行った。 からもリゾートや米国本土に就航している。 デルタ航空の強みは? まず、「人材」が挙げられる。特にサービス産業では、 どの企業の経営者に聞いても、顧客志向である人材 が最も重要だと答えるだろうが、「従業員を大切にする」 という企業文化は当社のユニークな強みといえる。これ は、従業員に働きやすい環境を提供し、高い満足度 を実現することが、お客様へのサービスのクオリティー向 上に直結するという信念に基づくものである。当社が 本拠地を置く米国南部の温かいホスピタリティ精神が 当社の企業文化に影響を与えている。多くの日本の 企業が「安全性・信頼性・品質」を企業の DNA として デルタ航空会社 アジア太平洋地区担当 上級副社長 Vinay Dube 氏 いるように、「従業員を大切にすることで、顧客を大切 にする」という企業文化こそが当社の DNA であり、当 日本でビジネスを始めた経緯は? 当社が日本で事業を始めた理由は 2 つある。まず、 日本と米国のコミュニティ・ビジネス・文化を繋ぐことが 社そのものである。当社は、米国航空会社のなかで、 唯一労働組合が組織されていない。このことこそが、 従業員の満足度の高さの証と考える。 挙げられる。1947 年に日本に乗り入れを始めた当時、 日本- 米国間を結ぶこと が、旧ノースウエスト航空 日本でビジネスを行うメリットは? (2008 年にデルタ航空と合併)に求められていた。2 つ 1 つは、旅行産業に対する旺盛なニーズがあり、大 目の理由は、日本の民間航空産業の立ち上げに貢 きな市場を形成していることだ。当社はそのような市場 献することである。1951 年に日本航空が運航を始め 環境の中で順調に拡大してきた。当社は成田をハブ た際、最初の 1 年間は全ての便が旧ノースウエスト航 空港としている。米国のお客様にとって成田は、日本 空の航空機とパイロットにより運航されていた。 の玄関口であるだけでなく、地理的に東南アジアの各 都市への乗り継ぎに適した位置にある。 日本におけるビジネスの現状は? 日本でビジネスを始めてから今年で 68 年目を迎え、 日本に就航している最大の外資系航空会社にまで また、日本人スタッフによる効率的かつ安全なオペ レーションとサービスの質の高さを、他の国に“輸出”で きることも大きなメリットである。日本でデルタのサービス Copyright (C) 2015Japan External Trade Organization (JETRO). All rights reserved. を経験したことがあるお客さまや従業員の誰もが、日 今後の日本でのビジネス展開は? 本のスタッフが提供するサービスとオペレーションのレベ 我々は、日本と米国のお客様へのサービス拡大に ルの高さを認めている。お客様への接し方やチェックイ 引き続き、取り組んでいく方針だ。今後も当社のネット ンからトラブル対応まで、日本人の対応は素晴らしく、 ワークの接続性を高めていくとともに、継続的に顧客エ 世界中のデルタの拠点に浸透させるよう努めている。 クスペリエンスの改善に努めていく。当社には、 「Kaizen(カイゼン)」あるいは「Keep Climbing(注:デル 地方でのビジネスについて タ航空の広告のタグライン)」、すなわち継続的に改善 日本には活気のある都市や空港が数多くあり、世 努力を続けるといった哲学がある。ネットワークの拡充 界各国の都市を結ぶ路線に大きな需要がある。当社 を図るとともに、お客様に満足いただくためにあらゆる観 は 1967 年に大阪、1991 年に名古屋、2011 年には福 点からサービスの向上に努めていくというのが我々の方 岡へ乗り入れを開始したが、この理由も各都市に需 針だ。 (2014 年 12 月) 要と魅力があったためである。つまり、常にお客様の需 要に合わせて、路線網を構築している。 日本における沿革 1947 年 日本への乗り入れを開始 / 支社をオープン 1951 年 日本航空が、デルタ航空の前身のひとつ、旧ノースウエスト航空との運航契約を締結 1967 年 大阪発着便の運航を開始 1991 年 名古屋発着便の運航を開始 2011 年 福岡発着便の運航を開始 2014 年 成田空港に「成田テクニカルオペレーションセンター(格納庫)」をオープン デルタ航空会社(日本支社) 設立: 1947 年 事業概要: 航空会社 住所: (東京事務所)東京都港区虎ノ門 4-3-1 城山トラストタワー16 階 URL: http://www.delta.com/ 経済産業省のウェブサイト内「CEO Voices in Japan」で、本インタビューの一部が動画でご覧いただけます。 CEO Voices in Japan (使用言語:英語) Copyright (C) 2015Japan External Trade Organization (JETRO). All rights reserved.
© Copyright 2024 ExpyDoc