SURE: Shizuoka University REpository

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IIC-6 水準測量による静岡大学静岡キャンパスの地殻変動
(『人間と地球環境』研究報告 : 地球環境保全とエコシス
テム)
里村, 幹夫
静岡大学学内特別研究報告. 2, p. 82-83
2000-03
http://doi.org/10.14945/00008243
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Ⅱ C-6
水準測量による静岡大 学静岡キャンパスの地殻変動
理 学部
1。
里村幹夫
3.測 量結果
はじめに
静 岡大学 静 岡キャンパ スにお いて、現在進行
従来 の測定結果と合 わせて今回の結 果を図 2
しつつ ある地 殻変動を調 べ るために、1993年 以
に示 す。測量は、す べ て往 復測量を実施 してい
来学生実験 を兼 ねて水 準測 量を繰り返し実施 し
るのが、往と復 の測定値 の差はほとんどがこの 図
て い ることは 、す で に 報 告 した (里 村・狩 野
の点よりも小さい。往 復 の値 の差 が 点 の大きさよ
この 結 果 によると、静 岡キャンパスの 中で
りも大きいときのみそ の差を誤差棒で示してある。
1999)。
最も低 い停 年 坂 下を基準とすると地殻活動観演1
1995年 の測 量は、水 準儀 の調整 が不 十分であ
施設 があるキャンパス内 最 高地点が5年 間で約
ったため誤 差 が大きい が 、他 の年 は地 殻変動 の
2cm隆 起していることになる。
議論 に耐えうる精度で測 量が実施されている。
今回の調1量 で 目立つ 変化 は、BM 9を 基準とし
1999年 4月 から7月 にかけて、同じ区間の水準
測 量 を再 度 実施 したので 、そ の結果 を報 告す
た時 の BM 8の 沈降である。BM 8に 対しては BM
る。
lが 隆起しているので、BM
8が 沈降したと考えら
れるが、 BM 8の 周辺 を見た限りでは水 準点 が
2.測 量
工事等 により移動 したとい うような気 配 はなか っ
静 岡 キ ャンパ ス 内に設 置 され た水 準 点 の 分 布
た。
を図 1に 示 す 。このうち BM 2と BM 6は 、工 事 など
のた めなくな ってしまっている。従来 か ら、BM
3-BM9-BM 8-BMlの ル ー トで水 準測
量を実施 してお り、今回 の 測 量も、学 生 実験 を兼
ね て 、同じル ー トで 実施 した。測 量に用 いた水 準
儀は
WId社 製 自動読 み 取 り式水準儀
NA2002
JT 4 1 1 1 1 1
―BM
ll
で 、水 準儀 を水 平 に設 置 す れ ばボタンを押 す だ
けで 自動 的 に バ ー コー ドの標 尺 の値 を読 み 取 っ
てくれ る。した がつて 、水 準 儀 の取り扱 い に不 慣
れ な学 生 が 使 用 しても、ある程 度信 頼 で きる値 が
得 られ る。
測量は、1999年 4月 28日 に BM llか ら BM 3
に向かつて最初 の測量を実施し、ほぼ 1週 間に 1
図
回の割で隣り合う水準点間 の片道測定を行うと
1静 岡大学静 岡キャンパス内
の水準点 の分布。このうちB
いうペ ースで 、最終的 に5点 の間の往復測定を
M2と BM6は すでになくなっ
実施した。原則 として、往 の測定値と復 の測定値
ている。いつ も、BMll― B
が距離 ピkmで 2.0√ ごmm以 上の差が出たとき
M3-BM9-BM8-BMl
は再測を実施することとした。実際 BM 3と BM 9
のル ー トで水準測量を繰り返
の間、BM 8と BM lの 間の測定では、それぞれ 1
し実施している。
回ずつ再測を実施している。
―-82-―
BMl― BMll
80.850
80.845
? 80.840
E 80.835
fl
eo.eso
80.825
80.820
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
年
BM3… BMll
BM9-BM3
16.745
25.340
16.740
i-E
fl
25.335
16.735
?
E 25330
16.730
1E25.325
ro.res
ヨ 25.320
16.720
25.315
1
25.310
6.715
1993
1994
1993
1996
1994
1995
1996
BM8-BM9
BMl― BM8
20.8r0
?
E
fl
1999
年
年
18.000
20.805
17.995
20.800
?
17.ee0
E
S
17.e85
20.7e5
eo.rgo
20.785
rz.sso
17.975
20.780
1993
1994
1995
1996
17.970
1998
1999
1996
1997
年
図
2水 準測 量 の結果。最 上段は停年坂下から地殻活動観 測室までの比 高 の変化。他 は
隣り合う水 準点 の比高の変化。往 復 の測 定値 の差 が点 の大 きさよりも大きい場合 にそ
の差を誤差棒で示してある。
れる。BM 8の 位置 は、もともと尾根 にあたるとこ
この BM 9と BM 8の 間の沈降量が大きいため、
停年坂下 の BMllか ら地殻活動観測室横 の BM
ろであり、決して地盤 の悪いところではないだけ
lま での高さ変動も、観測を開始して始めて沈 降
に、今後の推移 に興味が持たれる。
を示した。
BM 9と BM 8の 変動が大きかったので 、これが
参考文献
真の変動を表していると言 い切るには不 安 が残
里村幹夫・狩野謙 一 :静 岡大学 の地 質・防災環
るが、往 の測定と復 の測定 の間の差はそれ ほど
境 .静 岡 大 学 学 内 特別研 究 報 告 第 1号
大きくはなく、BM 8が 沈降したのは事実と考えら
(1999),93-96頁
一-83-―
.