量的緩和プログラム(QE)により欧州国債利回り低下

EURO EXPRESS
臨時レポート
2015年4月13日
量的緩和プログラム(QE)により欧州国債利回り低下
 欧州中央銀行(ECB)は2015年3月9日からPSPP(国債等公的部門の債券買い取りを通じた量的緩和策)
を開始しました。
 ABSやカバードボンドも含め3月月間で600億ユーロを越える資産の買い入れを行っており、量的緩和プロ
グラムの目標額を達成しました。
 ECBは量的緩和プログラムを目標通り継続していくと明言しており、今後も欧州圏国債の金利低下(価格
は上昇)につながるとともに景気回復の下支えとなることが期待されます。
【量的緩和プログラム(QE)の購入ペースは概ね順調】
ECBは従来実施してきたABSやカバードボンドの購入による量的緩和策に加え、2015年3月9日に国債や政
府機関債、欧州機関債の買い入れを行うPSPP(国債等公的部門の債券買い取りを通じた量的緩和策)を開
始しました。4月7日には、3月月間のPSPPの購入総額とその詳細が発表され、3月の1カ月間で約473.56億
ユーロのPSPP適格債(国債、政府機関債、欧州機関債)の買い入れが行われました。ECBは2015年1月22
日に「毎月600億ユーロ程度」の資産買い入れを2015年3月から19カ月にわたって実施することを決定してい
ました。ECBは3月の購入額(PSPP適格債、ABS、カバードボンドの合計)はその目標を達成したと発表して
おり、購入ペースは概ね順調であると評価出来ます。
なお、PSPPによる購入債券の内訳には、下記のような特徴が見られます。
①ECB資本割当率に概ね応じた比率で購入が進められている
②平均残存期間は8.56年と比較的長めである
【図表1】PSPP適格債購入内訳(2015年3月末時点)
国
ドイツ
フランス
イタリア
スペイン
オランダ
ベルギー
オーストリア
ポルトガル
フィンランド
アイルランド
スロバキア
スロベニア
ルクセンブルグ
ラトビア
リトアニア
マルタ
欧州機関債
総計
保有残高
( 億ユーロ)
1 1 0 .6 3
8 7 .5 2
7 6 .0 4
5 4 .4 4
2 4 .8 6
1 5 .2 7
1 2 .1 5
1 0 .7 3
7 .7 4
7 .2 1
5 .0 6
2 .0 9
1 .8 3
0 .7 5
0 .3 9
0 .0 5
5 6 .8 0
4 7 3 .5 6
保有残高割合
( %)
2 3 .4
1 8 .5
1 6 .1
1 1 .5
5 .2
3 .2
2 .6
2 .3
1 .6
1 .5
1 .1
0 .4
0 .4
0 .2
0 .1
0 .0
1 2 .0
100
平均残存期間(年)
8 .1 2
8 .2 2
9 .0 7
1 1 .6 6
6 .7 1
8 .8 0
7 .7 9
1 0 .9 6
7 .2 6
9 .4 3
9 .4 9
6 .3 3
7 .0 1
6 .4 3
6 .4 6
1 0 .3 7
7 .2 6
8 .5 6
ECB資本割当率
( %)
2 5 .6
2 0 .1
1 7 .5
1 2 .6
5 .7
3 .5
2 .8
2 .5
1 .8
1 .6
1 .1
0 .5
0 .3
0 .4
0 .6
0 .1
-
出所:ECB
※ECBの資本は他にキプロス、ギリシャ、エストニアに割り当てがあります。
ドイツをはじめとして、欧州主要国の短期国債の利回りは、概ねマイナス利回りになっており、購入対象とし
ても残存期間の長いものが対象となり易い傾向が伺えます。
※データは記載時点のものであり、将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。
当資料は、情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品の推奨や投資勧誘を目的としたものではありま ■レポートの作成・配信は
せん。当資料は、信頼できる情報をもとにドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が作成しておりますが、正確
性・完全性について当社が責任を負うものではありません。当資料記載の情報及び見通しは、作成時点のもの
であり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。当資料に記載されている個別の ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社
銘柄・企業名については、あくまでも参考として記載したものであり、その銘柄・企業の株式等の売買を推奨する
ものではありません。 D-150410-2
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【欧州国債利回りは低下傾向に】
ECBのドラギ総裁は「購入目標に困難は無い」といった発言をしています。また、インフレ率が中銀目標の
2%弱の水準に向け「持続的に調整するようになるまで」資産購入を継続することを明言しています。そのた
め、今後も量的緩和策が積極的に進められると考えられることから、欧州国債の利回りは低下傾向(価格は
上昇傾向)となることが想定されます。
(%)
0.00
【図表2】各国国債利回りの変化幅
(2015年1月22日と2015年4月10日の比較)
-0.10
-0.20
-0.30
-0.40
-0.50
-0.60
-0.70
-0.80
ドイツ
イタリア
フランス
オランダ
スペイン
出所:Bloomberg
-0.90
2年
5年
7年
10年
30年
(年限)
【欧州経済における影響】
足元の欧州のマクロ環境は、緩やかな改善傾向が依然継続しています。各経済指標をみると失業率は着実
に低下しており、また景況感に関しても年明け以降力強さを増しています。
ユーロ圏の3月総合購買担当者指数(PMI)は経済活動の拡大を示しており、製造業・サービス業ともに改善
しています。製造業・サービス業における新規受注の増加が追い風となっており、製造業においては雇用環
境も改善傾向にあります。また、ユーロ圏消費者物価指数(CPI)(前年比)は、原油価格が依然低水準で推
移する中でも、直近はその下落幅が縮小しており、ドイツ等一部の国では前年比プラス圏にまで回復してき
ています。
このような中で、ECBが強力な金融緩和策を継続することが、ユーロ安の進行につながり、欧州経済の下支
え要因となることが期待されます。
60
【図表3】ユーロ圏総合PMI*の推移
(2011年4月~2015年3月、月次)
【図表4】ユーロ圏CPI、コアCPI(前年比)の推移
(2011年4月~2015年3月、月次)
(%)
3.5
58
3.0
56
2.5
54
52
50
48
46
CPI
コアCPI
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
-0.5
44
-1.0
2011/4
2012/4
2013/4
2014/4
2011/4
2012/4
2013/4
2014/4
(年/月)
出所:Bloomberg
出所:Bloomberg
*景気の方向性を示す経済指標で、50を判断の分かれ目として
この水準を上回る状態が続くと景気拡大、逆に50を下回る状
態が継続すると景気減速を示す。
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(年/月)
当資料は、情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品の推奨や投資勧誘を目的としたものではありま ■レポートの作成・配信は
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