みんな、ありがとう。

六年
みんな、ありがとう。
南鳩ヶ谷小学校
三谷
花奈
「大丈夫だって。だから泣かないで。強くなれ
ないよ?」
今 日 は 、 バ レ ー ボ ール の 試 合。 チ ー ム の 子 が 一 人 、
あ ま り に ミ ス を し す ぎ て 泣 い てし ま っ た 。 そ の 子 は 、
顔をおおいかくして下を向いて泣いていた。私は、
「 大 丈 夫 。 大 丈 夫 。 そ ん な こ と だ っ て あ るよ 、 み ん
な。
」
と 言 っ た 。 で も 私 は 、 そ う 言 い な が ら も 心で は 、 コ
ートの中で、下を向いて泣くという行為が嫌いだった。
私 が こ の チ ー ム に 入っ た の は、 去 年 の 六 月 。 だ い た
い 一 年 半 ぐ ら い や っ て い る 。 そし て わ た し は 、 入 っ た
後に決めたことがある。
〝あたしは、絶対に泣かない〟
な ぜ な ら ば 、 私 が 入 っ た 時 、 たぶ ん 一 番 声 が デ カ か っ
た の は 私 だ と 思 う 。 大 き な 声 を出 し て ボ ー ル を 拾 い 、
大 き な 声 で 返 事 。 そ れ を く り 返し て い る う ち に 、 チ ー
ムのムードメーカーのようになっていた。
するとお母さんに、
「 花 奈 は 、 チ ーム で 一 番 声 が出 る の 。 し か も 、 花 奈
が一番元気があって周りを明るくしてくれる。
だから花奈が下を向くと声を出せる人が居なくな
っちゃうから、絶対に下を向いてはいけないんだ
よ。」
と言われた。私はこの言葉で心に火がついた。
(みんなの頼れるムードメーカーになろう!)
そして、試合の日が来た。みんな気合いを入れてき
た 。 一試 合 目 は ギ リ ギ リ 勝 っ て 、 ホ ッ と した 。 で も 、
二試合目から負けて、どんどん落ちていった。
五 試 合 目 前 の 練 習 の時 、 横 に 行 っ た ボ ー ル が取 れ な
く て 、コ ー チ に 怒 鳴 ら れ て 、 つ い に 私 は くや し く て 泣
い て しま っ た 。 く や し く て 、 く や し く て 、座 り こ ん で
泣 い てい た 。 も う や り た く な い 。 そ う 思 うと 、 お 母 さ
ん の 言っ て い た こ と を 思 い だ し た 。 思 い 出す と 、 今 の
自分が情けなく思えてきた。すると、
「 大 丈 夫 だ よ !泣 か な い で !強 く な れ な く な っ ち ゃ
うよ!」
(あれ…。私の言った言葉と同じだ…。
)
顔 を 上げ て み る と 、 チ ー ム の 子 が 私 の 周 りを か こ ん で
いた。みんな笑顔だった。
「泣いちゃだめ。私達がいるから大丈夫。
」
嬉しい。私は立ち上がってコートに行った。
そ れ か ら 私 は 決 め た 。 強 く な ろ う と。 み ん な が い る
から。みんな、ありがとう。