No.18(在宅での排尿管理) - 国立障害者リハビリテーションセンター

「 在 宅 生 活 ハ ン ド ブ ッ ク № 18」
在宅での排尿管理
別府重度障害者センター
( 看 護 ・ 介 護 部 門 2014 )
もくじ
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
Ⅰ.排尿コントロールの基礎知識
1.排尿のメカニズム・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.頸髄損傷者の排尿・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
3.排尿コントロールの必要性・・・・・・・・・・・・・・4
(1)排尿コントロールのための薬剤の種類と効果・・・・4
(2)排尿を促進するための心がけ・・・・・・・・・・・6
Ⅱ . 介 助 で 行 う 排 尿 方 法 (介 助 者 の 方 へ )
1.自然排尿の介助方法・・・・・・・・・・・・・・・・・7
2.膀胱瘻・尿道留置カテーテルの方への介助方法・・・・・7
(1)膀胱瘻・尿道留置カテーテルと蓄尿袋の接続方法・・7
(2)蓄尿袋の固定方法・・・・・・・・・・・・・・・・8
(3)尿捨ての介助方法・・・・・・・・・・・・・・・・8
(4)蓄尿袋の洗浄方法・・・・・・・・・・・・・・・・9
3.コンドーム式男性用尿器を
使用している方への介助方法・・・・・・・・9
(1)装着方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(2)使用時の注意点・・・・・・・・・・・・・・・・10
(3)洗浄方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
4.特殊尿器(安楽尿器)を使用している方への介助方法・12
(1)装着方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
(2)使用時の注意点・・・・・・・・・・・・・・・・12
(3)洗浄方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
5.
尿取りパッド装着方法・・・・・・・・・・・・・・13
(1)男性の場合・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
(2)女性の場合・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
Ⅲ.尿路感染症の対処法
1.
尿路感染症とは・・・・・・・・・・・・・・・・・14
2.
尿路感染の症状・・・・・・・・・・・・・・・・・14
3.
対処法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
【参考】排尿トラブルの対処法
1.
自尿管理のトラブルと対処法・・・・・・・・・・・15
2.
自己導尿管理のトラブルと対処法・・・・・・・・・17
3.
尿道留置カテーテルのトラブルと対処法・・・・・・18
4.
膀胱瘻留置カテーテルのトラブルと対処法・・・・・20
はじめに
センター利用時には排尿管理が順調だった方でも、自宅に戻って
から水分量や食事内容が変わったり、仕事を持つことなどで生活環
に ょ う ろ か ん せ ん
境が変わると、身体に変調をきたし、尿路感染(尿の通る経路で起
は つ ね つ
こる感染症)となり、発熱や尿漏れが起こる可能性があります。
そこで、排尿コントロールの基礎知識及び自宅において介助で行う
排尿方法、排尿管理で注意することや考えられるトラブルとその対
処法などの基本的なことを紹介します。なお、カテーテル管理の排
尿では、定期的な泌尿器科受診が必要です。自宅に戻られる前にお
近くの泌尿器科を受診する手配をしておきましょう。困ったことな
どありましたら、泌尿器科医師や当センターにお問い合わせくださ
い。自分で排尿動作ができる方は、別冊の「自分で行う排泄動作」
を参照してください。
Ⅰ.排尿コントロールの基礎知識
1.排尿のメカニズム
ろ う は い ぶ つ
腎 臓 は血 液 中 の老 廃 物 から尿 をつくります。つまり、尿 は、腎 臓 でろ
過 された体 内 の老 廃 物 や余 分 な水 分 です。腎 臓 は左 右 の腰 背 部 に1
つずつあるそら豆 形 の臓 器 で握 りこぶしくらいの大 きさです。 腎 臓 の腎
実 質 で作 られた尿 は腎 盂 に集 まり、左 右 の尿 管 を通 って膀 胱 に運 ばれ
ます。 次 頁 の尿 路 の 図 を 参 照 し てくださ い 。
膀 胱 は 筋 肉 で で きて い る ゴム 風 船 の よう な 袋 で 、 尿 を 漏 ら す こ と な く溜
ち く にょう
めてお く 蓄 尿 と 、溜 ま った 尿 を 排 泄 する 排 尿 の 2つの 働 きがあり ま す 。
膀 胱 に 3 50 ~ 400 m l の尿 が溜 ま ると 、 「お し っこ を し たい 」と い う 尿 意 を
せ ん ず い
感 じます。尿 意 は、脊 髄 を通 って仙 髄 の排 尿 中 枢 に伝 わり、大 脳 が出
すか出 さないかの判 断 を行 います。排 尿 する準 備 ができると大 脳 が膀
胱 反 射 中 枢 に 指 令 を だし 、 膀 胱 を し ぼま せ て 、 反 対 に 尿 道 は ゆ る ませ て
尿 を出 します。膀 胱 と尿 道 は逆 の働 きをしながら、蓄 尿 と排 尿 のコントロ
ールを 行 ってい ます 。
-1-
図 1
尿 路 の図
じ
じ ん ぞ う
腎臓
ん
う
腎盂
にょうかん
尿管
ぼ う こ う
膀胱
にょうどう
尿道
に ょ う ど うこ う
尿道口
は約
00m
膀膀
胱胱容容量量は
5005ml
でlすで す
2.頸髄損傷者の排尿
し ん け い い ん せ い
脊 髄 が障 害 されると膀 胱 の働 きが妨 げられます。これを「 神 経 因 性
ぼ う こ う
ひ ん にょう
にょう し っ き ん
膀 胱 」と呼 び、蓄 尿 機 能 が障 害 されると、頻 尿 (尿 が近 い)、尿 失 禁 (尿
にょうへい
が漏 れる)、排 尿 機 能 が障 害 されると、排 尿 困 難 、尿 閉 (膀 胱 に溜 まっ
た尿 が 出 せない ) 、 な どの症 状 が出 現 し ま す。
膀 胱 の働 きを調 節 する神 経 は、仙 髄 から大 脳 までの長 い経 路 をたど
るので、脊 髄 損 傷 では損 傷 部 位 の高 さにかかわらず排 尿 障 害 を伴 いま
す。
受 傷 後 急 性 期 には、尿 閉 となります。数 日 から数 ヶ月 を経 過 すると、
損 傷 部 位 以 下 の 神 経 機 能 が回 復 し 始 め、そ の後 の 排 尿 障 害 は損 傷 部
位 により 以 下 の 2 つ のタ イプ ( 過 活 動 膀 胱 と 弛 緩 膀 胱 ) に分 け られます 。
-2-
膀
胱
か
か つ ど う ぼ う こ う
し か ん ぼ う こ う
過活動膀胱
弛緩膀胱
主に頸髄・胸髄損傷
主に腰髄以下の損傷
の
型
損
傷
レ
ベ
ル
・ 膀 胱 排 尿 筋 の緊 張 が強 くなり、 ・ 膀 胱 排 尿 筋 の緊 張 が低 下 し 、
特
徴
無 意 識 に膀 胱 が収 縮 して尿 が
尿 を押 し出 すのに十 分 な力 がな
出 る。
い。
・ 膀 胱 は 小 さ く萎 縮 す る。
・ 膀 胱 は大 きくなり、括 約 筋 はゆ
・ 排 尿 時 、 括 約 筋 はゆ るみにくい 。
刺 激 で 反 射 的 な 排 尿 が起 こ る。
るむ 。
・腹 部 に圧 力 がかかると尿 が漏 れ
やすい 。
ぼ う こ う ろ う
じ は い に ょ う
反 射 性 排 尿 、間 歇 導 尿 、膀胱瘻
失 禁 性 排 尿 、 自 排 尿 など 。
など 。
・ 腹 圧 ・ 手 圧 で排 尿 を 促 し ます。
し ゅ あ つ
排
・ 反 射 性 排 尿 の場 合 は、収 尿 器
尿
を装 着 した失 禁 性 排 尿 管 理 とな
管
る。下 腹 部 を叩 打 し、排 尿 反 射
理
を誘 発 させ手 圧 により排 尿 を促
方
します。叩 打 手 圧 排 尿 とも呼 ば
法
れるが、この方 法 は膀 胱 の変 形
を招 くので、残 尿 のある人 には、
間 歇 導 尿 を すす めて い ます。
※ 間 歇 導 尿 と は 、自 己 導 尿 と も 言 い ま す。 膀 胱 に 溜 ま っ た 尿 を 一 定 の 時 間
ごとに尿道口からカテーテル(管)を挿入して体の外に排出する方
法
※膀胱瘻とは、直接、膀胱に穴を開けて管を通して尿を出す方法
-3-
3.排尿コントロールの必要性
当 センター利 用 時 に排 尿 管 理 方 法 の選 択 をしていただきますが、ど
の管 理 方 法 で あ れ 最 も 重 要 なこ と は 、「 膀 胱 を 空 にし て尿 路 感 染 症 を 防
ぼ う こ う に ょ う か ん ぎゃくりゅう げ ん し ょ う
ぐこと」と「膀 胱 尿 管 逆 流 現 象 を起 こさないこと」です。腎 臓 と膀 胱 は尿
く
だ
管 という管 でつながっていますが、管 と膀 胱 とのつなぎ目 には弁 の役 目
をする特 殊 なしくみがあって、膀 胱 内 に溜 まった尿 が腎 臓 へ逆 戻 りする
こ と を 防 い で い ま す 。 し か し 、 脊 髄 損 傷 に よ る 膀 胱 機 能 障 害 が あ る と 、し
ばし ばこ の逆 流 を 防 止 す るし くみ がう ま く 働 か なく な るこ と があ り ます 。さ ら
に、膀 胱 内 で細 菌 に感 染 した尿 が尿 管 を逆 流 してしまうと、腎 臓 に炎 症
じ
ん
う じ ん え ん
(腎 盂 腎 炎 )を起 こします。腎 盂 腎 炎 をくりかえすと腎 臓 の働 きが低 下 し、
腎 不 全 に至 ることもあります。在 宅 での排 尿 コントロールにおいても、尿
路 感 染 症 予 防 や 尿 の溜 めす ぎを 起 こ さ ない こ と など は 大 変 重 要 で す 。
(1) 排 尿 コ ント ロー ルのための 薬 剤 の種 類 と 効 果
排 尿 困 難 、頻 尿 、残 尿 、尿 閉 、失 禁 などの症 状 を改 善 する目 的 で処
方 される主 な薬 を以 下 に説 明 します。自 分 が飲 んでいる薬 の服 用 方 法
や効 能 などをよく理 解 して介 助 者 の方 にも説 明 できるようにしておきまし
ょう。
当 セ ンタ ーで主 に使 用 さ れて い る薬 剤
薬品名
内服量
特徴
(一 般 名 )
尿
失
ポラキス
2~3 m g を
抗 コリン剤 といって膀 胱 の収 縮 を
(オキシブチ
3 回 /日
抑 え、膀 胱 の筋 肉 を柔 らかくして
ニン塩 酸 塩 )
尿 を溜 めやすくします。口 の渇 き・
便 秘 ・めまいなどの症 状 が現 れる
禁
の
こ と があり ます 。
バ ップ フォ ー
10~ 20 mg を
抗 コリン剤 です。作 用 と副 作 用 は
(塩 酸 プロピ
2 回 /日
ポラ キ スと ほと ん ど 同 じ です が 、副
ベ リ ン)
作 用 で目 のかすみが現 れること
があり ます 。
予
防
ベ シ ケア
2.5 ~ 5 m g を
抗コリン薬に分類される新し
(コハク酸 ソ
1 回 /日
い治療薬です。尿道機能障害
リ フェナ シ ン)
の腹圧性尿失禁には向きませ
ん。従来の同類薬に比べ口の
-4-
薬
渇きなどの副作用が比較的少
なく、血中濃度半減期が長い
( 約 50 時 間 )の で 1 日 1 回 の
服用で済みます。
ベ タ ニス
25・ 50 mg を
抗コリン薬と同等以上の効果
(ミラベグロ
1 回 /日
が 期 待 で き 、口 の 渇 き や 便 秘 、
ン)
尿が出にくいといった副作用
が少ないですが、新しい薬の
ため実績がまだ少なく、安全
性についてよく分からない部
分があります。併用療法の適
否 、不 整 脈 や 緑 内 障 の リ ス ク 、
また生殖器に対する影響が指
摘されており、これらについ
ての検証が今後の課題です。
ウブレ チド
残
5mg を 1 回 / 日
膀 胱 の収 縮 を助 け、排 尿 をしや
(ジスチグミ
すくします。下 痢 ・腹 痛 ・吐 き気 ・
ン臭 化 物 )
頻 尿 などの症 状 が現 れることが
あり ます 。
尿
エブラ ンチル
15~ 30 mg があり
α遮 断 薬 と い っ て 尿 道 の 筋 肉 に
( ウラピジ ル)
90m g まで /日
作 用 し緩 めることで排 尿 をしやす
を
くします。血 圧 を下 げる作 用 もあ
ハルナール
軽
0.1 と 0.2 mg が あ
( タ ム ス ロ シ り 0.2 mg/ 日
ります。めまいや立 ちくらみなどの
症 状 が 現 れ るこ と が あり ます 。
ン塩 酸 塩 )
減
す
る
ミ ニプレ ス
0.5 と 1 mg があり
(プラゾシン
6mg まで/ 日
塩酸塩)
ユリ ーフ
2・4 m g があり
尿 道 内 部 の圧 力 を下 げ、前 立 腺
(シ ロド シ ン)
1~2 回 /日
肥 大 による尿 が出 にくい症 状 を
改 善 し ます 。
アボルブカプ
薬
0.5 mg/ 日
肥 大 した前 立 腺 を小 さくして、排
セル(デュタ
尿 障 害 など の症 状 を 改 善 し ます 。
ステ リ ド )
-5-
( 2) 排 尿 を 促 進 す る ための心 がけ
① 適 切 な水 分 摂 取 を 心 がけ まし ょ う 。
か ん け つ ど
う に ょ う
間 歇 導 尿 管 理 (膀 胱 に 溜 ま っ た 尿 を 、 一 定 の 時 間 ご と に 尿 道 口
く だ
か ら カ テ ー テ ル( 管 )を 挿 入 し て 体 の 外 に 排 出 す る 方 法 。自 分 で
行 う場 合 は自 己 導 尿 と言 います。) を 行 っ て い る 方 の 場 合 は 、 1 日
に 120 0 ~ 1 500 m l く ら い 水 分 を 摂 る こ と が 目 安 に な り ま す 。
失 禁 性 排 尿 や膀 胱 瘻 、尿 道 留 置 カテーテル管 理 の人 は、それより少
し 多 め に 1 日 1 500 ~ 2000 ml くらい 摂 っ た方 がい い でし ょ う 。
大 量 の 水 分 を 一 気 に摂 る のでは なく 、3 食 毎 と 10 時 、15 時 など 、ほぼ
同 じ 間 隔 (3 ~ 4 時 間 毎 ) で 時 間 を 決 めて 、1 回 に 200 ml 位 ず つ水 分 を 摂
りましょう。頸 髄 損 傷 の人 は水 分 を摂 ってから排 泄 するまでに時 間 がか
か るた め 、 夜 間 眠 っ てい る間 にた くさ んの 尿 が溜 ま るこ と に な り ますので 、
夕 食 後 の水 分 は控 える など 注 意 し まし ょ う 。
せいじょう
② 尿 の 性 状 (性 質 や 状 態 のこ と ) に注 意 し てくださ い 。
正 常 な尿 の色 は、黄 色 または薄 い黄 色 です。尿 中 に糸 くずのようなも
のや血 液 が混 じっている、濁 りがひどい、臭 いが強 い 、などの場 合 、まず
は、水 分 を い つ もよ り 500m l 程 度 多 め に摂 り 、 規 則 正 し い 生 活 を 心 がけ
てください。介 助 者 の方 にも尿 の性 状 を適 宜 チェックしてもらうように して
日 ご ろの 尿 と の違 い を 把 握 し てお くと 良 い でし ょ う 。 2 ~3 日 し ても 性 状 が
改 善 さ れ ない 場 合 や 熱 が 出 た場 合 には 泌 尿 器 科 を 受 診 し ま し ょ う 。
③ 陰 部 は 清 潔 にし まし ょ う 。
不 潔 にしていると尿 路 感 染 症 を起 こしやすくなりますので、ベッドから
車 い す への 乗 車 前 な ど にお 尻 の 観 察 もか ねて、 1 日 2 回 は、 陰 部 洗 浄
や清 拭 を す る (ま たは 、し て もらう ) な ど清 潔 に心 がけ まし ょ う 。
④ 定 期 的 に 検 査 を 受 け まし ょ う 。
感 染 症 などから腎 臓 の機 能 障 害 を起 こし、生 命 にかかわることも起 こ
り得 ます。泌 尿 器 科 で定 期 的 に検 査 を受 けて排 尿 方 法 や腎 機 能 など
の 確 認 を す るよう にし まし ょ う 。
⑤ ア ルコ ールの 飲 み過 ぎには 十 分 注 意 し まし ょ う 。
アルコールの摂 取 は、間 歇 導 尿 の場 合 、尿 意 などの神 経 系 統 を鈍 ら
じ
り
つ し ん け い か は ん し ゃ
せ、尿 量 も多 くなります。そのため、尿 が溜 まり過 ぎて 自 律 神 経 過 反 射
は っ か ん
(血 圧 が上 昇 して、頭 痛 ・発 汗 ・鳥 肌 ・胸 苦 しさなどの自 覚 症 状 が現 れ
れます 。)を 引 き起 こ すこ と にも なり ます の で注 意 し まし ょ う 。
-6-
Ⅱ .介 助 で 行 う 排 尿 方 法 ( 介 助 者 の 方 へ )
1 .自 然 排 尿 の 介 助 方 法
男性の場合は尿器をペニス部に当ててから下腹部を軽くさすり
し ゅ あ つ
ま す 。手 圧 を 行 う 際 、ベ ッ ド 上 で あ れ ば 紙 お む つ を 敷 い て お く よ う
にしましょう。
女性の場合は尿取りパッドやおむつを着用する方法もあります
が 、当 セ ン タ ー で は 褥 瘡 の 原 因 に も な る た め 、膀 胱 瘻 や カ テ ー テ ル
の 使 用 を お 勧 め す る こ と も あ り ま す 。主 治 医 と 相 談 す る こ と を 薦 め
て下さい。
2 .膀 胱 瘻 ・ 尿 道 留 置 カ テ ー テ ル の 方 へ の 介 助 方 法
当 セ ン タ ー で は 、膀 胱 瘻 や 尿 道 留 置 カ テ ー テ ル を 使 用 し て い る 方
の 多 く が 蓄 尿 袋( レ ッ グ バ ッ ク 、ウ ロ ガ ー ド 、ウ ロ バ ッ ク な ど の 商
品があります)を使用しています。
こ の 蓄 尿 袋( ウ ロ バ ッ ク )は 、サ イ ズ が 大 き
く 多 量 の 尿 を 溜 め て お く こ と が 出 来 る た め 、夜
間 な ど ベ ッ ド 上 で 過 ご す 際 や 、外 出 時 な ど 長 時
間尿捨てが出来ないような場合に適していま
す 。( ウ ロ ガ ー ド な ど の 商 品 が あ り ま す 。)
(ウロバック)
こ の 蓄 尿 袋 ( レ ッ グ バ ッ ク ) は 、ベ ル ト で 上
腿 と 下 腿 に 固 定 し て 使 用 し ま す の で 、体 の 動 き
を 妨 げ ず 、リ ハ ビ リ 時 に 適 し て い ま す 。種 類 に
じ ゃ ば ら
よ っ て 尿 の 入 る 容 量 が 異 な り ま す 。管 が 蛇 腹 の
ような形状になっていて伸縮可能なものもあ
(レッグバック)
ります。
(1)膀胱瘻・尿道留置カテーテルと蓄尿袋の接続方法
膀 胱 瘻 ま た は 尿 道 に 留 置 し た カ テ ー テ ル の 接 続 部( 排 尿 口 )を 消
毒 綿 花 ま た は ウ ェ ッ ト テ ィ ッ シ ュ で 拭 き 取 り 、蓄 尿 袋 の 管 と 接 続 し
ま す 。そ の 際 、留 置 カ テ ー テ ル を 引 っ 張 り 過 ぎ な い よ う に 注 意 し ま
す い ほ う
し ょ う 。蓄 尿 袋 の 管 が 直 接 肌 に 当 た る と 擦 れ て 水 疱 な ど の 原 因 に な
るので、タオルなどをあてましょう。
-7-
(2)蓄尿袋の固定方法
①
固定する足に蓄尿袋を合わせたときに袋の部分と蓄尿袋の管
の接続部分がねじれていないか確認します。ねじれていると、
尿が流れなくなり尿失禁や過反射の原因になります。
②
留置カテーテルと蓄尿袋の接続部が肌に直接当たると擦れて
水疱などの原因になるのでガーゼやハンカチなどで保護をし、
太 腿 あ た り で ベ ル ト に よ り 固 定 し ま す 。( 写 真 1)
③
蓄尿袋を足首にベルトで固定します。足首に固定する際、尿
捨て口の栓の閉め忘れや、故障での尿漏れを防止するために少
し ( 下 の 部 分 ) を 折 り 曲 げ て 固 定 し ま す 。( 写 真 2 )
( 写 真 1)
④
( 写 真 2)
車 椅 子 へ 乗 車 介 助 な ど を 行 っ た 場 合 は 、留 置 カ テ ー テ ル が 折 れ
ていないか、尿が管の中を流れているか確認しましょう。
(3)尿捨ての介助方法
①
足首のベルトを外し、蓄尿袋の尿捨て口を上に向け栓を外し、
トイレまたは尿器に尿を捨てます。
②
蓄 尿 袋 に 残 尿 が な い こ と を 確 認 し 、尿 捨 て 口 を 上 に 向 け て か ら
栓をして、尿捨て口をウェットティッシュやちり紙などで拭き
ます。下に向けたままで栓をすると残った尿で、ズボンなどを
汚染することがあります。
③
蓄尿袋を元に戻すときは、留置カテーテルが折れ曲がってい
ないか、また、袋部分にしわができていないか確認します。
-8-
(4)蓄尿袋の洗浄方法
①
蓄尿袋を取り替えた時は、使用した蓄尿袋を洗浄します。水
を管から通して蓄尿袋に半分入れ、振って、洗い流します。そ
れを数回繰り返します。
②
しっかりと乾燥させます。
③
洗っても汚れが落ちなくなったら、新しいものに交換しまし
ょう。
3 .コ ン ド ー ム 式 男 性 用 尿 器 を 使 用 し て い る 方 へ の 介 助 方 法
コ ン ド ー ム 式 男 性 用 尿 器 と は 男 性 の 頸 髄 損 傷 者 な ど で 、尿 道 括 約
筋 切 開 術 と い う 手 術 を 受 け 、失 禁 性 排 尿 の 管 理 方 法 を と っ て い る 場
合に多く使用されます。
コンドーム式男性用尿器をペニスに装着し蓄尿袋に接続して尿
を出すものです。
当 セ ン タ ー で は 、① 接 着 剤 を 使 用 し た も の と ② ゴ ム な ど で 固 定 す
るものを使用していますので、その 2 種類について説明します。
①はコンドームの内側部分に接着剤が付いており装着しやすく
激しい動きにも対応できます。1 回の使い捨てタイプなので、1 日
1 回 の 交 換 が 必 要 と な り ま す 。コ ン ビ ー ン( 写 真 1 )、ア キ シ ー ル ・
カテなどの商品があります。
② は 使 用 後 に 、穴 が 開 い た り 破 れ た り し な け れ ば 、洗 浄 、乾 燥 さ
せ て 繰 り 返 し 使 用 す る こ と が 出 来 ま す 。 ユ リ ド ー ム ( 写 真 2 )、 ユ
リサーバーなどの商品があります。
写 真 1( コ ン ビ ー ン )
写 真 2( ユ リ ド ー ム )
コンドーム式男性用尿器は自分のサイズにあった
ものを使いましょう。
小さすぎるとペニスを締め付けてしまい腫れてし
まうこともありますし、大きすぎると尿がすきま
から漏れてしまうこともあります。
-9-
(1)装着方法
①
コンドーム式男性用尿器を蓄尿袋の接続部へつなげます。接
着 剤 付 き の 場 合 は ペ ニ ス に 装 着( 下 記 ③ で 説 明 )し て か ら 蓄 尿 袋
と接続します。
②
蓄尿袋の栓が閉じていることを確認しましょう。少しで
も開いていると漏れの原因となります。
③
ペニス、睾丸部を清拭し清潔にした後、ペニスの先端(亀
頭 部 )か ら 装 着 し て い き ま す 。陰 毛 が 長 い と 毛 を 巻 き 込 ん で し ま
うので、巻き込まない程度にカットする事をお勧めします。
接 着 剤 付 き の も の は ア プ リ ケ ー タ ー が 付 い て い ま す 。( 写 真 1
の 緑 の 部 分 )ア プ リ ケ ー タ ー を つ ま み 、先 か ら 2cm 程 の 部 分 に 亀
頭 部 が く る よ う に し て 装 着 し ま す ( 写 真 1 )。 ア プ リ ケ ー タ ー を
外 し た 後 に 蓄 尿 袋 を 接 続 し ま す ( 写 真 2)。
( 写 真 1)
( 写 真 2)
(コロプラスト㈱HPより)
④
しっかりと奥まで装着した後、ゴムでペニスの根元に固定し
ます。接着剤付きのものは、しっかりと固定させます。
(2)使用時の注意点
コンドーム式男性用尿器は、必ず 1 日 1 回外し、装着部全体を
清拭か洗浄をしてください。装着により発疹・発赤・かぶれ・か
ゆみ等の症状があらわれた場合、または傷が生じた場合は、装着
を中止し、かかりつけ医に相談または受診することを薦めて下さ
い。
- 10 -
(3 ) 洗 浄 方 法
①
コンドーム式男性用尿器はこすり洗いをして汚れを落とします。
ゴム製品のためお湯で洗うと破損しやすくなります。ぬる湯か水
で洗いましょう。この時に排尿口をつまみ、水を溜めて穴が開い
て い な い か 確 認 し ま す 。針 穴 大 の 穴 で も 尿 漏 れ の 原 因 と な る の で 、
必ず確認しましょう。
(接着剤付きのものは粘着力が落ちますので
毎 回 使 い 捨 て し ま す 。)
②
日陰乾燥します。乾かしたコンドームを裏返しにしてから綿花
やガーゼなどでベビーパウダーを薄く塗布し、元に戻して表にも
薄く塗布して巻いておきます。
巻 い て 巻 い て ・・・
ベビーパウダーを付けすぎると
肌荒れの原因にもなるので余分
な分は叩きましょう。
- 11 -
4 .特 殊 尿 器 ( 安 楽 尿 器 ) を 使 用 し て い る 方 へ の 介 助 方 法
ベッド上で横になったまま排尿できるもので、
ベッド上で長い時間過ごす際に適しています。
(1)装着方法
①
臀部の下に平オムツを敷き、伸縮包帯を腰に通します。
②
安楽尿器のホースを膝下から通し、受尿器の口にペニスを入れ
ます。この時、受尿器の口が直接肌に当たらないよう小さめのタ
オル、またはガーゼハンカチを当てておきます。また、膝下とホ
ー ス の 間 に も タ オ ル を 敷 い て お き ま し ょ う 。( ホ ー ス が 肌 に 触 れ 、
摩 擦 に よ っ て 水 疱 が で き る こ と が あ り ま す 。)
③
伸縮包帯を受尿器の口にある取手部分に二度巻き、腹部の前辺
り で 蝶 結 び に し ま す 。( 画 像 1)
受尿器
タンク
ホース
( 装 着 例 、 画 像 1)
④
ホースが曲がったりしていないか、受尿器がきちんとセットさ
れているか確認します。
(2)使用時の注意点
ベッドをギャッジアップしたりダウンする時には、動くことで
受尿器の口が上を向いてしまったり、外れてしまうことがあるの
で必ず尿器の位置を確認しましょう。受尿器を外す時は、受尿器
を少し持ち上げて、ホース内に残留している尿を完全にタンク内
に流し落とします。
- 12 -
(3)洗浄方法
①
受尿器を流水で注ぎ洗いしてください。
②
その時に受尿器のゴムの内側を指でめくり、ゴムの裏側も
落とし水で、じゅうぶん洗い流してください。
③
タンクの部分は水を入れて上下に振ってゆすぎます。
毎日水洗いをしても、尿は、ねばり気があるので、尿の成分
が 付 着 す る こ と が あ り ま す 。汚 れ 具 合 を み な が ら 、1 週 間 に 1
度ぐらいは消毒用アルコールなどで消毒して下さい。タンク
は尿の成分が沈殿して汚れが目立ちやすいので、汚れがひど
いときは、びんブラシやポット洗いブラシを使って洗剤で洗
いましょう。
5.尿取りパッドの装着方法
(1)男性の場合
①
尿 取 り パ ッ ド を 横 向 き に 入 れ る 場 合 は 、睾 丸 が 中 央 に 来 る 位
置 に 下 か ら 差 込 み 、睾 丸 と ペ ニ ス を 包 み 込 む よ う に し て 取 り 付
け ま す 。尿 道 口 が き ち ん と パ ッ ド 内 に 入 る よ う に 包 み ま し ょ う 。
②
縦 向 き に パ ッ ド を 入 れ る 場 合 は 、肛 門 か ら 、睾 丸 ・ ペ ニ ス に
か け て 尿 取 り パ ッ ド を あ て ま す 。下 着 の 着 衣 時 に 前 か ら 半 分 差
込 み 、側 臥 位 の と き に 臀 部 に 合 わ せ て も う 半 分 を 引 き 抜 き ま す 。
臀部にあたるところがしわにならないように広げましょう。
(2)女性の場合
パッドは、縦向きに当てます。臀部に当たるところがしわに
ならないように気をつけましょう。
尿 取 り パ ッ ド を 長 い 間 装 着 す る こ と で 、特 に 女 性 の
場合は臀裂部がふやけてしまい傷ができてしまう
可 能 性 が あ り ま す 。必 要 時 以 外 は ナ プ キ ン や お り も
の シ ー ト を 使 用 し ま し ょ う 。ま た 、男 性 も 陰 部 が パ
ッドのビニール部分で肌荒れしてしまうことがあ
り ま す 。 そ の 場 合 は 、尿 取 り パ ッ ド の 下 に ガ ー ゼ ハ
ンカチを巻くなどして肌の保護に努めましょう。
清 潔 を 保 ち 、臀 部 チ ェ ッ ク を 忘 れ な い よ う に し ま し
ょう。
- 13 -
Ⅲ.尿路感染症の対処法
頸 髄 損 傷 者 の 排 尿 に 関 し て は 、い く ら 衛 生 管 理 に 努 め て い て
も尿路感染症などの合併症を併発してしまいます。ここでは、
頸 髄 損 傷 者 の 多 く の 方 が 発 症 す る 尿 路 感 染 症 に つ い て 、そ の 対
処法を説明します。
1.尿路感染症とは
腎 臓 か ら 尿 管 、膀 胱 を 通 っ て 尿 道 口 ま で の 尿 路 は 、健 康 な
人 の 場 合 、膀 胱 の 中 に あ る 尿 は 通 常 無 菌( 細 菌 な ど の 感 染 性
の 微 生 物 が 存 在 し な い 状 態 )で す 。尿 が 膀 胱 か ら 体 外 へ と 排
出 さ れ る ま で の 通 路( 尿 道 )に も 、感 染 症 を 引 き 起 こ す 細 菌
は ほ と ん ど 存 在 し て い ま せ ん 。し か し 、 頸 髄 損 傷 者 は 、排 尿
機 能 が 障 害 さ れ た こ と に よ り 、尿 路 の ど の 部 分 に も 感 染 が 起
こ る 可 能 性 は あ り 、尿 路 で 発 生 し た 感 染 症 は 、尿 路 感 染 症 と
よ ば れ て い ま す 。尿 路 感 染 症 を 繰 り 返 す と 腎 臓 の 機 能 低 下 を
はいけつしょう
招 き 、重 症 に な る と 敗 血 症( 全 身 性 炎 症 反 応 症 候 群 と い っ て
多臓器不全になる)となり大変危険な状態になります。
2.尿路感染の症状
①発熱
急な寒気と発熱は、上部(膀胱よりも上の尿管・腎臓)尿
路感染症が疑われます。
②腰背部痛
腰 の 鈍 痛 や 腹 痛 、背 中 の 鈍 痛 及 び 中 央 を 軽 く た た く だ け で
も 響 く よ う な 痛 み が あ る よ う な と き は 、上 部 尿 路 感 染 症 が 疑
われます。
③頻尿
尿 が 少 し し か 溜 ま っ て い な く て も 排 尿 し た く な っ た り 、頻
繁に尿漏れがするようなときは、膀胱炎が疑われます。
④排尿違和感
カテーテルを入れるときや排尿時にゾクゾクするような
- 14 -
感 覚 が あ る 。汗 が 出 る な ど の い つ も と 違 う 症 状 が あ れ ば 膀 胱
炎のほか、尿道炎の疑いがあります。
⑤血尿
カテーテル挿入時に入りにくくて傷をつけてしまった、留
置 カ テ ー テ ル の 交 換 時 に 出 血 し て い た な ど の 覚 え が な く 、尿 に
血 が 混 じ っ て い る と き は 、出 血 性 膀 胱 炎 で す 。ま た は 、膀 胱 結
石の疑いもあります。
3.対処法
( 2 )の ① ~ ⑤ の 症 状 が あ る 場 合 は 、水 分 を 多 め に 摂 り ま し ょ
う 。介 助 者 は 、体 温 計 で 体 温 を 測 り 、寒 気 が あ る 場 合 は 、保 温
に努めましょう。高熱の場合は、動脈の通っている腋の下や
そ
け
い
ぶ
鼠 径 部 を ア イ ス ノ ン な ど で 冷 や し ま す 。頭 痛 が あ る 場 合 は 、で
き れ ば 血 圧 測 定 も 行 い 、血 圧 が 高 け れ ば 留 置 カ テ ー テ ル の 方 は
管 に 詰 り が な い か を 確 認 し ま す 。そ れ で も 熱 が 下 が ら ず 頭 痛 が
続 け ば 、か か り つ け 医 に 処 方 さ れ て い る 鎮 痛 解 熱 剤 を 服 用 し ま
し ょ う 。早 め に か か り つ け の 泌 尿 器 科 に 受 診 し ま し ょ う 。 自 己
導 尿 の 方 は 、導 尿 前 に 手 を 清 潔 に し 、尿 道 口 周 囲 の 清 拭 を 十 分
に 行 い ま し ょ う 。 カ テ ー テ ル 液 は 必 ず 1 回 /週 に 交 換 し ま し ょ
う。
【参考】排尿トラブルの対処法
1.自尿管理のトラブルと対処法
自尿管理とは、不全麻痺で尿意があり、泌尿器科で残尿が
50ml 以 下 と 確 認 さ れ て お り 、ト イ レ や 尿 器 な ど で 排 尿 で き る 方
や尿取りパッドや失禁性排尿でコンドーム型収尿器管理の方
な ど が 対 象 に な り ま す 。こ こ で は 、在 宅 で 困 っ た 症 状 が 出 た と
きやその対処法について説明します。
尿が出にくい、出なくなったらどうしよう?
- 15 -
男性の場合は、前立腺に問題がある場合があります。女
性 の 場 合 は 、膀 胱 だ け で な く 子 宮 に 問 題 が あ る 場 合 が あ り ま す 。
じ ん う
尿が必要以上に膀胱に溜まると尿管に逆流して発熱し、腎盂
じ ん え ん
腎 炎 を 起 こ す 恐 れ が あ り ま す 。カ テ ー テ ル を 持 っ て い る 場 合 は 、
導 尿 し て 膀 胱 を 空 に す る こ と が 必 要 で す 。早 め に 泌 尿 器 科 を 受
診して検査・治療を受けましょう。
尿が近い、間に合わずに漏れる。
多量の水分摂取、飲酒、カフェインを含む飲料(お茶・コ
ー ヒ ー・紅 茶 な ど )を 摂 っ て い な い で し ょ う か ? 男 性 の 場 合
は、前立腺に問題がある場合や膀胱炎の可能性があります。
女 性 の 場 合 は 、膀 胱 炎 の 可 能 性 が あ り ま す 。尿 取 り パ ッ ド な
ど を 使 用 し て 衣 類 の 汚 染 を 防 ぎ 、泌 尿 器 科 を 受 診 し ま し ょ う 。
尿をするときに痛む。
尿路感染症をおこしている可能性が高いです。女性は尿道
が男性に比べて短いので膀胱炎をおこすことがありますが、
膀 胱 炎 だ け で は 発 熱 し ま せ ん 。背 中 や 脇 腹 に 痛 み を 感 じ る 場
にょうかん け っ せ き
合 は 、尿 管 結 石 の 可 能 性 が あ り ま す 。泌 尿 器 科 を 受 診 し ま し
ょう。
けつにょう
血 尿( 赤 ~ 黒 っ ぽ い 色 の 尿 )が 出 る 。尿 に 血 の 塊 が 混 じ る 。
痛みを感じなくても血尿がある場合は、膀胱がん・腎盂が
- 16 -
ん・尿 管がん が疑 われま す。結 石の 可能性 もあ りま す 。早め
に泌尿器科を受診しましょう。
2.自己導尿管理のトラブルと対処法
自 己 導 尿 管 理 で は 、何 度 も 500 ml 以 上 の 尿 を 溜 め る こ と を 繰
り 返 す と 、尿 管 逆 流 だ け で な く 膀 胱 の 形 が 変 形 し た り 、膀 胱 が
硬くなり収縮機能が衰えて尿を溜めにくくしてなりますので
注 意 が 必 要 で す 。ま た 、手 指 や 自 己 導 尿 に 使 用 す る も の 全 て の
も の は 清 潔 に 保 つ こ と と 、カ テ ー テ ル や 尿 器 は 、使 用 す る 度 に
洗 浄 し て 清 潔 を 保 つ こ と が 大 切 で す 。こ こ で は 、在 宅 で 困 っ た
症状が出たときの対処法を説明します。
カテーテルが入らない。
医 師 か ら 処 方 さ れ た キ シ ロ カ イ ン ゼ リ ー( 表 面 麻 酔 剤 )を 持
っ て い る 方 は 、カ テ ー テ ル の 先 端 と 尿 道 口 に ゼ リ ー を 塗 っ て 入
ぎ に ょ う ど う
れ て み て く だ さ い 。そ れ で も 入 ら な い 場 合 は 、 偽 尿 道 と い っ て
尿 道 損 傷 を 引 き 起 こ し 、本 来 の 尿 道 以 外 の 部 分 を 傷 つ け て し ま
う こ と が あ る の で 無 理 に 入 れ ず に 、す ぐ に 泌 尿 器 科 を 受 診 し ま
しょう。
尿道口やカテーテルなどから血が出た。
導尿後にカテーテル内やカテーテル先端に血がついている
場 合 は 、カ テ ー テ ル が 尿 道 部 分 を 刺 激 し て 出 血 し た も の と 考 え
ぎ に ょ う ど う
ら れ ま す 。尿 道 口 か ら の 出 血 が 続 く 場 合 は 、 偽 尿 道 の 可 能 性 が
あ る の で 泌 尿 器 科 を 受 診 し ま し ょ う 。カ テ ー テ ル か ら 出 た 尿 が
全 て 血 尿 の 場 合 は 、膀 胱 や 腎 臓 に 悪 性 の 疾 患 が あ る こ と も 考 え
られるので泌尿器科を受診しましょう。
- 17 -
導尿をしていても尿漏れしてしまう。
尿 路 感 染 症 を 起 こ し て い た り 、導 尿 の 回 数 や 時 間 設 定 に 問
題 が あ る 場 合 も あ り ま す 。カ リ ウ ム を 多 く 含 む 利 尿 作 用 の あ る
食 べ 物( き ゅ う り 、人 参 、レ タ ス 、ご ぼ う 、冬 瓜 、梨 、柿 な ど )
は 食 べ て い な い か 、水 分 摂 取 量 が 多 か っ た り 飲 酒 や カ フ ェ イ ン
を 含 む 飲 料 を 摂 っ た り し て い な い か を 振 り 返 り ま し ょ う 。そ の
場合は、導尿間隔を短くしましょう。
高い熱が出てしまった。
せ い そ う
尿 道 、膀 胱 の 感 染 だ け で は 発 熱 し ま せ ん が 、腎 盂 腎 炎 、精 巣
じょうたいえん
上 体 炎 、急 性 前 立 腺 炎 に な っ た 場 合 は 、高 熱 が 出 ま す 。抗 菌 剤
投与と安静が必要なのですぐに、泌尿器科を受診しましょう。
3.尿道留置カテーテルのトラブルと対処法
尿道留置カテーテルは、尿路感染症や膀胱結石、尿道の傷、
に ょ う ど う ひ ふ ろ う
男 性 で は 尿 道 皮 膚 瘻 と い っ て 尿 道 と 皮 膚( ペ ニ ス の お 腹 側 と 陰
の う の 境 界 あ た り )に 穴 が で き る こ と が あ り ま す 。カ テ ー テ ル
の 交 換 頻 度 は 、 2~ 4 週 間 に 1 回 で 病 院 か 訪 問 看 護 で 行 い ま す 。
こ こ で は 、在 宅 で 困 っ た 症 状 が 出 た と き の 対 処 法 を 説 明 し ま す 。
カテーテルがつまって尿が流れない。
カ テ ー テ ル の 交 換 は 、2~ 4 週 間 に 1 回 行 い ま す が 、ま ず
は 、カ テ ー テ ル を 揉 ん で み る こ と で 流 れ る よ う に な る こ と が あ
り ま す 。そ れ で も 流 れ が な い 時 は 、泌 尿 器 科 受 診 を し て 膀 胱 洗
浄やカテーテルの交換をしてもらいましょう。
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カテーテルが抜けてしまった。
ペニスに尿取りパッドを当てて
すぐに泌尿器科受診し
てカテーテルを入れてもらいましょう。
ナ イ ト バ ル ン( 外 出 時 や 夜 間 の み 留 置 す る カ テ ー テ ル )を 使 用
し て い る 人 が 、抜 け て し ま っ た 場 合 は 、固 定 水 の 接 続 が 割 れ て
固 定 の バ ル ン の 膨 ら み が 足 り な い か 、バ ル ン が 破 れ て い る こ と
が あ り ま す の で 予 備 を 必 ず 用 意 し て お い て 、他 の ナ イ ト バ ル ン
を挿入し直しましょう。
石のような物が出てきたり、濁りや臭いが強くなった。
水 分 を 多 め に 摂 り ま し ょ う 。膀 胱 結 石 の 可 能 性 が あ り ま す
ので泌尿器科受診して検査・治療をしてもらいましょう。
尿道口から血が出た。カテーテルに血が混じっている。
尿 道 口 か ら の 出 血 は 、カ テ ー テ ル を 引 っ 張 っ て し ま っ た な
ど の 刺 激 で 皮 膚 を 傷 つ け た 可 能 性 が あ り ま す 。ワ セ リ ン な ど を
塗 っ て 止 血 し ガ ー ゼ な ど を 当 て て お き ま し ょ う 。カ テ ー テ ル を
太 も も で ベ ル ト 固 定 し た り 、テ ー プ で カ テ ー テ ル を 固 定 し て 引
っ 張 ら れ る の を 防 ぎ ま し ょ う 。カ テ ー テ ル 内 の 出 血 は 、膀 胱 結
石や膀胱や腎臓に病気がある場合があるので水分を多めに摂
っ て 1 日 経 っ て も 治 ま ら な い 場 合 は 、泌 尿 器 科 を 受 診 し ま し ょ
う。1 日で治まり、尿の濁りや異常発汗などなければ問題ない
でしょう。
- 19 -
カテーテル周囲から尿漏れがある。
にょうどう か つ や く き ん ふ ぜ ん
カ テ ー テ ル が つ ま っ て い た り 、尿 道 括 約 筋 不 全 ( 尿 道 を 締
める働きのある筋肉が働かない)やカテーテルや固定水の注
入されたバルンによる尿道や膀胱粘膜の刺激、細菌感染で膀
胱の無抑制収縮が誘発されることが原因となっていることが
あります。カテーテルの詰りがない場合は、尿取りパッドを
当てて泌尿器科を受診しましょう。
4.膀胱瘻留置カテーテルのトラブルと対処法
膀胱瘻は下腹部から直接膀胱へカテーテルを入れるために
抵抗を感じる方も多いようですが、下腹部に固定されるので、
尿 道 が 温 存 で き ま す 。交 換 時 期 は 、3 ~ 4 週 間 に 1 回 で 病 院 か 訪
問看護で行いますが、交換のたびに出血する場合もあります。
ここでは、在宅で困ったときの対処法を説明します。
カテーテルがつまって尿が流れない。
カ テ ー テ ル の 交 換 は 、 3 ~ 4 週 間 に 1 回 行 い ま す が 、ま ず
は 、カ テ ー テ ル を 揉 ん で み る こ と で 流 れ る よ う に な る こ と が あ
り ま す 。そ れ で も 流 れ が な い 時 は 、泌 尿 器 科 を 受 診 し て 膀 胱 洗
浄やカテーテルの交換をしてもらいましょう。
カテーテルが抜けてしまった。
穴がすぐに塞がってしまうので、自分で出来る場合は自
分 で 、で き な け れ ば 介 助 者 が 、膀 胱 に 開 い て い る 穴 に す ぐ に 抜
け た カ テ ー テ ル を 入 れ て く だ さ い 。入 れ た ま ま 抜 け な い よ う に
- 20 -
して泌尿器科を受診してください。
膀 胱 瘻 周 囲 か ら 血 が 出 た 。カ テ ー テ ル に 血 が 混 じ っ て い
る。
カテーテルを引っ張ってしまったなどの刺激で皮膚を
傷 つ け た 可 能 性 が あ り ま す 。ワ セ リ ン な ど を 塗 っ て 止 血 し 、ガ
ー ゼ な ど を 当 て て お き ま し ょ う 。カ テ ー テ ル を 太 も も で ベ ル ト
固 定 し た り 、テ ー プ で カ テ ー テ ル を 固 定 し て 引 っ 張 ら れ る の を
防 ぎ ま し ょ う 。カ テ ー テ ル の 中 に 血 が 混 じ っ て い る 場 合 は 、膀
胱結石や膀胱や腎臓に病気がある場合があるので水分を多め
に 摂 っ て 1 日 経 っ て も 治 ま ら な い 場 合 は 、泌 尿 器 科 を 受 診 し ま
しょう。
変な汗がでる。
カ テ ー テ ル は 6 ~ 9 ㎝ 皮 膚 か ら 入 っ て い ま す が 、入 り こ み
過ぎていないか確認して入り込んでいればゆっくりと引き抜
く こ と で 落 ち 着 き ま す 。血 圧 計 が あ れ ば 介 助 者 に 測 定 し て も ら
い 、高 い 値 で あ れ ば 座 位 の 姿 勢 で 5 分 ほ ど 過 ご し て み ま す 。汗
が 引 か な け れ ば 尿 が つ ま っ て い た り 、石 が 出 る 兆 候 か も し れ ま
せん。泌尿器科を受診しましょう。
ペニ スか ら石 が 出てき た。尿が 濁 ってい る。いつ も より
臭いが強い。
膀胱結石の可能性があります。水分を多めに摂って泌
尿器科を受診しましょう。
- 21 -
引用参考文献
1
頸髄損傷のための自己管理支援ハンドブック
国立別府重度障害者センター頸髄損傷者自己管理支援委員会編
中央法規出版
2
西村
3
自己導尿教室
20 08
かおる著
20 11 . 5
排泄ケアブック
トラブル対応方法
Ga kken
(株)ディヴインターナシ
ョナル
4
自己導尿法
5
こんな症状があったら:東京医科歯科大学大学院
研究科
6
徳弘
健栄製薬株式会社
医歯学総合
泌尿器科
昭博著
のすすめ
7
2012 . 7
2001. 6
脊髄損傷
日常生活における自己管理
医学書院
脊髄損傷の看護
セルフケアへの援助
2003 .4
神奈川リハビ
リテーション病院看護部
8
脊損ヘルスケア
会
9
基礎編
20 09 . 12
脊損ヘルスケア編集委員
NP O 法 人 せ き ず い 基 金
脊髄損傷者のウェルビーイング
20 13 .3
NPO 法 人 せ き ず い 基
金
10
コロプラスト製品カタログ
11
安楽尿器
デラックス
2014 - 2015
男性用
- 22 -
Co lo plast
取り扱い説明書
国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局
別府重度障害者センター
(支援マニュアル作成委員会編)
〒 874-0904
大分県別府市南荘園町2組
電 話 : 0977-21-0181
HP:http://www.rehab.go.jp/beppu/
初版
23
平成27年3月発行