3.教育(PDF形式, 213.71KB)

【3】 教育 活動報告
発表者:⽥部⽒(⾼津養護学校)、⽩井⽒(中央⽀援学校)、室⽒(市教育委員会)
■⽩井⽒
(1)就労初期のつまずきの対応について、学校以外にも、援助センター、就労移⾏、相談⽀援などの機関
と共有できました。学校は 3 年ルール(原則 3 年間は学校側で主な⽀援を⾏う)があり、孤軍奮闘に
なりがち。「どこに、どう相談をすればよいのか」、困惑するケースも少なからずあります。
(2)もちろん、学校は卒後フォローの中⼼を担う存在であるが、他機関にアドバイスを求め、より的確な⽀援
を⾏っていく必要もあります。そのためにも、「顔の⾒える関係」は必要で、事例検討会では、他機関に
学校特有の現状を知ってもらう良い機会となりました。
■⽥部⽒
(1)家庭への⽀援が必要なケースは多く、就労後、お昼ご飯に⾷パン 1 ⽄を持っていくような就労者もいま
す。家庭からのバックアップが望めず、また、経済的にも厳しいケースも珍しくありません。
(2)在学中に、就労⽣活に必要な最低限の部分を整えることが難しいケースもあります。卒後、学校だけで
はなく、地域で⽀援を⾏っていくケースはますます増えていくと思われます。
■室⽒
特例⼦会社に就労すれば、援助センター登録がされることも多く、ある程度の⽀援体制が整うが、皆が皆、特
例に就労するわけではありません。だからこそ、地域で就労⽣活を⽀える必要性が求められていると考えます。
感じたこと(感想)
学校の就労⽀援の実情・課題
・本⼈の終了能⼒よりも、⽣活⽀援や家庭環境を整えていくことが⼤変である話を伺い、学校としてのご苦労
を感じた。
・学校の現場でしか⾒えてこない課題や葛藤のお話を聞けてよかった。学校が求められている就労⽀援を明確
に知ることができた。
・教育という分野から福祉分野への引継ぎや、本⼈家族との兼ね合いなど、独特の課題と福祉就労全般にい
える課題との両⽅が複雑に絡んでいるのだと感じた。
・家族の思いとの折り合いの難しさ、家庭⼒の低い家族への対応の難しさが伝わり課題・役割の多さを感じた。
学校の問題のある⽅に踏み込んでやっていこうという姿勢を感じた。
・インターンシップなど学校での就労の取り組みは⼤変参考になった。もっと詳しく聞く機会があればと思う。
教育と福祉・就労の連携
・卒後の⾃⽴、社会参加、⽣活と就労は密接。地域につなげることの⼤切さが伝わった。
・事例によるが、もっと就労⽀援施設職員も参加して検討したほうが視野も広がるのではないかと感じた。⽴場
が違うと⾒えるものも異なるので、もっと理解し何か⼒になりたい。
・事例検討会に参加したが、もっと連携し、お互いノウハウを共有できたらと思った。
・⽀援の思いを出し合う場の必要性を感じた。
家庭⼒
・家庭の部分、⾒えない部分、どこまで教育分野で関われるんだろうと思った。
・本⼈⾃⾝の能⼒、障害特性だけでなく、家庭の⽀援⼒や育ての過程が重要。⽀援⼒が弱い家庭が増えて
いる(特に分教室)。家庭⼒の問題(課題)は教育関係だけの問題ではない。
・家庭⼒が弱い家庭が増えたという話にショックを受けた。就労前に考えるべきサポートがあるように感じた。
聞いてみたいこと(質問)
Q.家庭訪問が不⼗分であったがために⽀援が⼗分になしえなかったこと、アセスメントを通して的確な意
思決定出来た事例など知りたい。養護学校(学校関係)の進路指導、就労⽀援の実情について知
らないことが多いので、具体的な事例等聞いてみたい。
A.次年度、他校の発表に期待したいところです。
Q.川崎⽅式って何?3 年間をどのように実践しているか。引継ぎはどうしているか?
A.卒後3年間は学校がフォローを⾏うと同時に、どんな⽀援が必要なのか⾒極める期間としています。その
間必要があれば就労援助センター、⽣活⽀援センターとも連携、引継ぎを⾏います。卒後 1 年⽬は1
〜3 か⽉後に巡回(企業訪問)、その後、電話連絡中⼼に必要時巡回します。2、3 年⽬は電話連
絡中⼼に、状況の変化があれば巡回します。引継ぎは区 CW や相談⽀援センターへの連絡、就労援助
センターの登録を⾏っています。
Q.能⼒的に⾼くても、なかなか仕事が決まらない⼈は、どのように⽀援しているか。
A.実習を通して働くイメージを構築してもらい、⾃発的に「働きたい」という思いがなければ卒業と同時の就
職には進めず、就労移⾏⽀援事業所や就労継続への進路変更も視野に⼊れ、⾯談で確認しながら進
めます。
Q.在学中における⽀援機関、就労事業所との連携はあるか。(特に⽀援が複雑な場合)
A.児童相談所、区 CW、相談⽀援センターと連携しています。実習を通した関わりや(卒業⽣がいれば)
卒業⽣⽀援での巡回もあります。
Q.先⽣たちの家庭訪問が出来ていないということだが、学校での三者⾯談はできているのか。家庭との
連絡はどのようにされているのか。
A.実習後、四者⾯談を⾏っています。連絡帳や電話で連絡、緊急時には訪問します。電話が⽌まってしま
ったご家庭との連絡には苦労します。
Q.不登校の⽣徒さんへのアプローチはどのようにしているのか。
A.連絡、訪問を中⼼に、時と場合によっては、児相へ連絡します。
提案・要望・応援メッセージ
提案
・家庭⼒の弱いご家庭は、相談⽀援センターにつなぎ⽣活⾯を整えることを優先させたほうがいいのでは。就労
援助センター+相談⽀援センター。
・先⽣と企業との関わりが必要。他の就労⽀援機関と企業開拓や定着⽀援のノウハウは共有できるものが多
くあるのではと思いました。
・(就労移⾏⽀援事業所に)是⾮、⾒学に来てください。
・不登校、メンタルの弱い⽣徒を学校卒業後にも引き続き⽀援ができる体制が⼤切なのでは。在学中から卒
業後を考えた⽀援体制を作っていきましょう。
・地域の⾃⽴⽀援協議会に参加してみたらどうでしょう。
要望
・⽀援機関に引き継ぐ場合、先⽣から⾒た評価(家庭の様⼦、家族関係、医療情報など)をきちんと出して
もらいたい。
応援メッセージ
・就労以前に、ルールを守る、体⼒をつけるなど基本的な事が出来ているか確認することは⼤切ですね。家庭
の問題も含めた⽀援はデリケートであり、どこまで関わってよいかわからなくなりますが、当事者の思いを⼤切に
する意味でも避けて通れないと思います。ひとつずつ積み重ねが⼤切です。応援します。
・さまざまな機関との連携が強化され広がっていくことを応援しております。