平成25年度那珂市経営戦略会議からの提言(概要版)

平成25年度那珂市経営戦略会議からの提言
概要版
平成24年度にまとめた提言書の骨子、①那珂市が直面している課題、②未来のための経営戦略、③経営
戦略の展開、これらを実施していくための行動計画を検討した。
提 言
概 要
幅広い分野から専門知識を有する人からのヒアリングや先進事例の実地研修を行った。
行動計画を5つのテーマにまとめた。
テーマ1 地域資源の活用とコミュニケーション戦略
1 基本的な考え方
・市のアイデンティティをつくりあげる。
・市の居心地の良さを再発見する。
・一人ひとりの生きるチカラを磨きあげる。
・市民一人ひとりが、明日への希望が抱けるプロジェクトを展開する。
2 プロジェクトの進
め方
・アピール効果のあるキャッチコピーを発信する。
・市民がふるさとを知り、愛着を持ち、様々な活動に参画するコミュニケーション型のメディアを創出する。
3 プロジェクト「い
い那珂暮らしたん
けん隊と地域学芸
員」
(1)ふるさとの宝物を探すプロジェクト
・「たんけん隊」を組織し、宝物探しを実施する。その成果をブックレット「いい那珂暮らし風土記」として
編纂し、刊行する。また、パンフレットを公共施設に設置し、活用する。
・「ふるさと学芸員」によるブックレットを活用した学びを展開する。それらの成果を記録、活用する「ふるさ
との宝物」によるデジタルミュージアムを設置する。
(2)コミュニケーション戦略を支える人材と事業の組織化
・あらゆる生活者が「地域学芸員」として活躍できる場をつくる。
・市の宝物を活用し、人々の学びを育む地域リーダー「ふるさと学芸員」制度を設置する。
・市内で生活する暮らしの達人「ふるさとマイスター」制度を設置する。
・これらの人材が互いに助け合いながら、“ふるさとの宝物”を探し、交流を深め、その宝物を磨いていく。
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テーマ2 那珂市暮らしのデザインミュージアム構想
1 事業目標
・地域資源(ふるさと力を学ぶ環境と人材)を活かし、交流人口を増大させ、新たな富の創造をめざす。
2 事業展開
・「ふるさと力」と「暮らしのデザイン」をテーマにした「ミュージアム楽習都市」をめざす。
・拠点施設「暮らしのデザイン大学校(大地のミュージアム)」を創設し、市民の「ふるさと力(愛着、交流、
まちづくり参画)」を高めるための学びの場を提供する。
・ミュージアムでは、「ふるさと学芸員」を養成し、活動の場を提供する。
・ミュージアムでは、「ふるさと力」を糸口に、商品を開発し、その商品を那珂市での生活をデザインでき
る学習商品(プログラム)として活用する。
・これらの事業を総合的に展開することで、交流人口を増やし、ブランド力を高め、新たな雇用創出と市
への投資を促す。
3 事業イメージ
・五節句とお花見、二十四節、七十二候を軸に、家族を幸せにする“暮らしのカタチ”を開発し、誰もが楽
しく体験できるプログラムを編集する。
・学んだ者が、“我が家の学芸員”となり、学びの成果を持ち寄り、ミュージアム活動に参加する。
4 顧客ターゲットと
マネジメント
・顧客ターゲットは、首都圏の富裕層と教育熱心なファミリー層に絞る。
・地域資源を広く活用し、リピート誘導を促す学びのプログラムを展開する。
・最終的には、これらのターゲットには第2の那珂市民になってもらう。
5 プロジェクトの将
来像
・「ふるさとの宝物」を活用し、アートや暮らしを提案する「文化企業家」を育成したり、デザイン大学院を
設置したりする。(市内の短期大学や企業等の共同出資を想定)
・ミュージアムグッズを商品化する。
・顧客ターゲットに的を絞り、都心にサテライトミュージアムを設置する。
6 プロジェクトの事
業スキーム
・事業主体「いい那珂暮らしミュージアム」は行政・大学・企業・市民ファンド等により運営する。(PFI方式、
指定管理方式)
・市外や県外といった顧客ターゲットに目を向け、外部からの参画を視野に入れた組織体とする。
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テーマ3 パブリックスクールとヒューマンライブラリー 1
1 基本的な考え方
①みんなでつくる地域社会への転換
・地域社会が直面する地域課題を地域社会自らのチカラで解決する。
・生活者一人ひとりが地域社会に参画する仕組みをつくり、「みんなでつくる地域社会」を生み出す。
②地域社会の主役である一人ひとりにまなざしをあてる
・一人ひとりの生活者にまなざしをあて、新しいアプローチを見出す。
③人への投資は知と学びから始まる
・知と学びを育む仕組みとその活動を生み出す。
・「人に投資する福祉のかたち」を見出す。
④すべての人に知と学びを注ぎ込み、みんなで人を作る地域社会をつくる
・様々な生活課題について、誰でも知と、学びを等しく注ぎ込む仕組みと活動を生み出すための「パブ
リックスクール」を設置する・
2 パブリックスクー
ルの理念
・地域社会福祉活動の拠点であり、地域社会の学びの場である。
・本とふるさとの宝物を教材とし、誰もが自由に生きるチカラを育む学びの場とする。
・市のブランドイメージを向上させ、那珂市で暮らしたい人々の出現を促す。
3 パブリックスクー
ルの視点
・豊かな自然と水の恵み、大地を活かす知恵がたくさんある市の地域資源を活用する。
・保育所、幼稚園、小中学校などに任せていた教育から、地域社会が知恵とチカラを持ち寄り、みんなで
人を育む教育を展開する。
・知と学びを育む場を提供するとともに、ちいさなブックミュージアムを形成する。
4 パブリックスクー
ルの事業展開
・既存の教育文化施設及び民間施設を活用し、「図書」と「ふるさとの宝物」を縁結びして「新しい学びの
場」をデザインする。
・カフェスタイル等を取り入れ、自由に学びの活動に参画できる空間とする。
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テーマ3 パブリックスクールとヒューマンライブラリー 2
5 本とふるさとの宝
物を活用した学びを
豊かにする“楽習”
活動
・これまでの福祉施設、図書館や博物館、学校のイメージを変える。
・誰もが気軽に暮らしのチカラを学び、楽しめる活動とする。
・「ふるさと学芸員」「ふるさとマイスター」等と若者が力を合わせ、人々に夢と感動を育む学びのプログラ
ムを提供する。
6 担い手はふるさ
との人材
・パブリックスクールは、専門スキルを持った地域のボランティアが担う。
・担い手は、退職教員、保育士、社会教育経験者等を想定し、市は、人材育成に必要なスキルを習得し、
その資質を磨きあげるための研修の場を提供する。
テーマ4 那珂市の地域資源を活かした経済戦略 ~見つけた いい那珂暮らし ~
1 いい那珂暮らし
振興室(仮称)の設
置
・市にいい那珂暮らし振興室(仮称)を設置する。
・ 合わせて、振興室職員と公募のメンバー、アドバイザー、大学関係者等を構成員とした、「那珂未来研
究所」または「那珂ふるさと研究所」と称する研究所を設置する。
・振興室及び研究所は、平成24年度の経営戦略会議提案内容、「新しい視点からの経済産業の変革の
5分野」について、調査・研究・実施を業務とする。
・振興室あるいは研究所のなかに、産業(農業)振興グループ及び田園観光グループを設置する。(栗原
市・東海村の事例を参考)
2 地産地消の推進
・地産地消条例制定のもと、直売所の振興、学校給食での活用、6次産業化の推進、地場産品への認証
制度を行う。
(具体例:そばの地産地消、甘藷の再発見、倭文織の復活再現、これらを実現するためのNPO等の立
ち上げ支援)
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3 提案の背景
①市の特質
・人口の変動はそれほど激しくなく、近隣市町村との連携のなかで市民の安定した暮らしが確保でき
ている。
・市域は平坦で広く、農業が産業の基盤であるが、強い産業的農業ではなく、地元を相手とした暮らし
農業がメインとなっている。
・農産品にブランド力はないが、首都圏等大消費地が周辺にあるというのが強みである。
②市政の基礎領域としての農政
・市域の基本は農地で、市の自然は農地、山林、2つの河川が礎である。
・農地イコール生活空間で、市民の半分は農家とそこから出た世帯である。
・農家が生産する農作物は、食・食育の基本であり、健康・文化・経済にも密接につながりがある。
テーマ5 マネジメント(地域経営)力の強化
1 市職員の行政能
力の向上
①人事管理
・研修や人事交流等を行い、視野が広く行動力がある管理監督能力がある職員を養成する。
・専門的で即戦力の民間人を登用する。
②組織管理
・庁内の調整機能を担う政策企画部門の機能を強化する。
・市長(副市長)直轄で業務を行うプロジェクトチームを積極的に組織する。
・担当業務以外にも関心や目配りができるよう職員の意識改革を図る。
2 市民力の活用・結
集
・プロジェクトチームで企画し、事業推進にあたっては、市民がその一翼を担う方式を導入する。
3 市民参加型の協
働のまちづくり
・まちづくり委員会の単位で市政懇談会を計画的に実施するなど、対話と参画の行政運営を推進する。
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