of 30 第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行) - アジア経済研究所

ジェトロ北京ニューズレター
JETRO
Beijing
Newsletter
2015 年 3 月 31 日号(Vol.129)
ご挨拶
北京の最高気温は 20 度前後まで上昇し、建国門駅の入口近くにある桃の花が満開となっています。木蓮の
花もあちこちで咲き始めました。北京は一気に春の訪れを迎えています。
3/5~3/15 の日程で全国人民代表大会(全人代)が開催されました。その中で中国の 2015 年の成長率の目標
が 7.0%前後に引き下げらました。ジェトロが 12 月末に発表した「在アジア・オセアニア日系企業活動実態調
査」結果では中国に関して、今後の事業を「拡大」すると回答した企業の割合が 46.5%となり、前年比 7.5 ポ
イント減尐、反対に「現状維持」が 46.0%で、前年比 6.5 ポイント増加しました。輸出比率の高い日系企業が
多いと思われる地域では「拡大」が平均値よりも低くなり、逆に内販比率の高い日系企業が多いと思われる地
域では「拡大」が平均値を上回っています。
上記調査ではアセアンへの事業拡大意欲が中国を上回る結果となり、日系企業の中国ビジネスへの意欲は従
来に比べて、やや低下していると見る向きもあります。しかし現在、広東省、江蘇省、山東省は既にインドネ
シア一国を上回る GDP の規模です。成長率が引き下げられたとは言っても、それぞれの省が 7%成長すると考
えれば、ビジネスチャンスは相応にあるとも言えるのではないでしょうか。
調査結果にご興味ある方はこちらをご参照ください。
http://www.jetro.go.jp/news/releases/20141211348-news
独立行政法人 日本貿易振機構(ジェトロ)北京代表処
岡田 英治
今号の目次 CONTENT
【1】ご挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(Page1)
【2】ジェトロ北京からのお知らせ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(Page2)
<1>中国におけるサービス産業4分野の外資規制
<2>北京市、4 月から最低賃金を 10.3%引き上げ月額 1,720 元に
<3>外商投資産業指導目録 2015 年改訂版
【3】華北経済スコープ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(Page3)
【4】華北イベント情報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(Page8)
【5】進出企業支援情報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(Page11)
<1>法務労務・会計税務情報
<2>知っておきたい中国語
【6】ニューズレターの登録・解除などのご案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(Page30)
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第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)
<1> 中国におけるサービス産業4分野の外資規制
改革開放(1978 年)から 30 年以上が経過し、その間に日本の多くの製造業が中国進出を果たした。今で
は中国に進出する日本企業の 8 割以上が人件費をはじめとするコストの上昇を経営課題に挙げるようになり、
労働集約型産業や輸出産業では中国ビジネスが転機を迎えている。他方、中国のサービス業は外資参入の歴史
が製造業に比べ短く、また中国の巨大な国内市場をターゲットとしていることから、人件費の上昇が続く中国
にあっても外資企業の注目度は依然高い。近年は世界の対中投資の過半を非製造業が占めているようになって
いる。そこで今回、中国でこれからさらなる発展が期待され、日本企業の注目度も高いと考えられるサービス
産業の 4 分野(1 物流業、2 医療(病院)
、3 高齢者介護、4 人材派遣業)を取り上げ、その外資規制について、
a)出資規制、b)資本金に関する規制、c)その他の規制の 3 つの観点でまとめた。
(全 10 ページ)
詳細は、以下よりダウンロード下さい。
http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/reports/07001961
<2> 北京市、4 月から最低賃金を 10.3%引き上げ月額 1,720 元に
北京市人力資源社会保障局が 2 月 15 日に発表した「北京市の 2015 年の最低賃金基準の調整に関する通知」
(京人社労発[2015]44 号)によると、4 月 1 日から正社員(全日制労働者)の最低賃金基準が月額 1,560 元
(約 2 万 9,640 円、1 元=約 19 円)から 1,720 元(約 3 万 2,680 円)に 10.3%引き上げられる。時給換算では
8.97 元から 9.89 元となる。
詳細は、下記ウェブサイトをご覧ください。
http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/biznews/54ec16142ee00
<3> 外商投資産業指導目録 2015 年改訂版
≪外商投資産業指導目録(2015年改訂版)≫の翻訳と新旧対比表を WEB アップしていますので、ご参考
ください。
詳細は、以下よりダウンロード下さい。
http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/kahoku/
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第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)
華北経済スコープ
<1>
中国のマクロ経済指標
(中国)
マクロ項目
統計項目
単位
2013年
2014年
2015年第1四半期
1月
2月
1~2月
6.8
- 34,477
13.9
- 47,993
10.7
0.8
1.4
1.1
3,405
2,778
6,182
-10.9
10.8
-2.3
2,003
1,692
3,694
-3.3
48.3
15.0
1,402
1,086
2,488
-19.9
-20.5
-20.2
600
606
1,207
2266
31.8
139
29.4
-
GDP総額
億元
568,845 636,463
実質GDP成長率
%
7.7
7.4
工業
工業生産増加額伸び率
%
9.7
8.3
固定資産投資総額
億元
436,528 502,005
国内投資
固定資産投資総額伸び率
%
19.6
15.7
社会小売品販売総額
億元
234,380 262,394
消費
社会小売品販売総額伸び率
%
13.1
12.0
物価
消費者物価上昇率
%
2.6
2.0
貿易総額
億ドル
41,603
43,030
貿易総額伸び率
%
7.6
3.4
うち輸出総額
億ドル
22,100
23,427
貿易
輸出総額伸び率
%
7.9
6.1
うち輸入総額
億ドル
19,503
19,603
輸入総額伸び率
%
7.3
0.4
貿易収支
億ドル
2,598
3,825
対内直接投資件数(契約ベース)
件
22,773
23,778
件数伸び率
%
-8.6
4.4
対内直接投資
対内直接投資額(実行ベース)
億ドル
1,176
1,196
実行ベース金額伸び率
%
5.3
1.7
(注)伸び率は前年同期(月)比
(出所):中国国家統計局ウェブサイト、商務部ウェブサイト、中国投資指南ウェブサイト、海関統計、中国経済景気月報より作成
GDP
2012年が7.8から7.7へ(8月に下方修正)
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第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)
<2>
北京市のマクロ経済指標
(北京市)
マクロ項目
統計項目
単位
2013年
2014年
2015年第1四半期
1月
GRP総額
億元
19,501
21,331
実質GRP成長率
%
7.7
7.3
工業
工業生産増加額伸び率
%
8.0
6.2
固定資産投資総額
億元
6,798
6,873
国内投資
固定資産投資総額伸び率
%
8.9
1.1
社会小売品販売総額
億元
8,375
9,098
消費
社会小売品販売総額伸び率
%
8.7
8.6
物価
消費者物価上昇率
%
3.3
1.6
0.4
貿易総額
億ドル
4,291
4,157
298
貿易総額伸び率
%
5.1
-3.3
-25.1
うち輸出総額
億ドル
632
623
49
貿易
輸出総額伸び率
%
6.1
-1.2
-13.5
うち輸入総額
億ドル
3,659
3,533
249
輸入総額伸び率
%
5.0
-3.7
-27.1
貿易収支
億ドル
-3,026
-2,910
-200
対内直接投資
対内直接投資件数(契約ベース)
件
件数伸び率
%
対内直接投資額(実行ベース)
億ドル
85.2
90.4
実行ベース金額伸び率
%
6.0
6.1
注:伸び率は前年同期(月)比
(出所):北京市統計局ウェブサイト、北京市商務局ウェブサイト、海関統計、中国経済景気月報より作成
GRP
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第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)
<3>
天津市のマクロ経済指標
(天津市)
マクロ項目
統計項目
単位
2013年
2014年
2015年第1四半期
1月
GRP総額
億元
14,370
15,722
実質GRP成長率
%
12.5
10.0
工業
工業生産増加額伸び率
%
13.0
10.1
固定資産投資総額
億元
9,103
10,490
国内投資
固定資産投資総額伸び率
%
15.0
15.2
社会小売品販売総額
億元
4,470
4,739
消費
社会小売品販売総額伸び率
%
14.0
6.0
物価
消費者物価上昇率
%
3.1
1.9
0.7
貿易総額
億ドル
1,285
1,339
108
貿易総額伸び率
%
11.2
4.2
-4.8
うち輸出総額
億ドル
490
526
52
貿易
輸出総額伸び率
%
1.5
7.3
15.7
うち輸入総額
億ドル
795
813
56
輸入総額伸び率
%
18.1
2.3
-18.2
貿易収支
億ドル
-305
-287
-4
対内直接投資件数(契約ベース)
件
564
674
67
件数伸び率
%
-10.8
19.5
19.6
対内直接投資
対内直接投資額(実行ベース)
億ドル
168.3
188.7
16.4
実行ベース金額伸び率
%
12.1
12.1
12.1
注:伸び率は前年同期(月)比
(出所):天津市統計局ウェブサイト、天津市商務委員会ウェブサイト、海関統計、中国経済景気月報より作成
GRP
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第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)
<4>
河北省のマクロ経済指標
(河北省)
マクロ項目
統計項目
単位
2013年
GRP総額
億元
28,301
実質GRP成長率
%
8.2
工業
工業生産増加額伸び率
%
10.0
固定資産投資総額
億元
22,630
国内投資
固定資産投資総額伸び率
%
18.5
社会小売品販売総額
億元
10,401
消費
社会小売品販売総額伸び率
%
13.6
物価
消費者物価上昇率
%
3.0
貿易総額
億ドル
549
貿易総額伸び率
%
8.5
うち輸出総額
億ドル
310
貿易
輸出総額伸び率
%
4.6
うち輸入総額
億ドル
239
輸入総額伸び率
%
14.1
貿易収支
億ドル
70
対内直接投資件数(契約ベース)
件
195
件数伸び率
%
対内直接投資
対内直接投資額(実行ベース)
億ドル
64.5
実行ベース金額伸び率
%
11.1
注:伸び率は前年同期(月)比
(出所):河北省統計局ウェブサイト、海関統計、中国経済景気月報より作成
GRP
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2014年
2015年第1四半期
1月
29,421
6.5
5.1
26,147
15.5
11,690
12.4
1.7
599
9.1
357
15.4
242
0.9
115
198
63.7
-1.2
第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)
0.2
49
-12.7
34
9.5
16
-39.5
18
-
<5>
西安市のマクロ経済指標
(西安市)
マクロ項目
統計項目
単位
2013年
GRP総額
億元
4,884
実質GRP成長率
%
11.1
工業
工業生産増加額伸び率
%
15.4
固定資産投資総額
億元
5,055
国内投資
固定資産投資総額伸び率
%
21.3
社会小売品販売総額
億元
2,548
消費
社会小売品販売総額伸び率
%
14.0
物価
消費者物価上昇率
%
2.7
貿易総額
億ドル
180
貿易総額伸び率
%
38.2
うち輸出総額
億ドル
85
貿易
輸出総額伸び率
%
16.1
うち輸入総額
億ドル
95
輸入総額伸び率
%
66.3
貿易収支
億ドル
-10
対内直接投資件数(契約ベース)
件
152
件数伸び率
%
74.7
対内直接投資
対内直接投資額(実行ベース)
億ドル
31.3
実行ベース金額伸び率
%
26.3
(注)伸び率は前年同期(月)比
(出所):西安市統計局ウェブサイト、海関統計、中国経済景気月報より作成
GRP
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2014年
2015年第1四半期
1月
5,475
9.9
11.1
5,904
15.0
2,873
12.8
1.4
250
38.9
120
41.1
130
37.0
-11
103
-32.2
37.0
18.3
第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)
-0.8
22
-31.6
11
25.8
11
-53.5
0
-
華北イベント情報
華北イベント情報(2015 年 4 月)(後半)
1. 第七回中国西安国際食品博覧会&シルクロード特色食品展
期間:2015年4月16-19日
場所:西安曲江国際会展センター
URL:http://www.xafoodexpo.com/content/detail/703
2. 2015北京国際潜水&ホリデー観光ツアー展示会
期間:2015年4月17-19日
場所:国家会議センター
URL:http://www.beijingdiveexpo.com/
3. 2015中国(西安)国際茶業博覧会
期間:2015年4月17-20日
場所:西安緑地筆克会展センター
URL:http://www.teaexpo.org/cnt_9.html
4. 第十八回中国国際撮影機器器材と技術博覧会
期間:2015年4月17-20日
場所:国家会議センター
URL:http://www.ccoea.org.cn/gongju/index.asp
5. 2015中国国際現代農業博覧会
期間:2015年4月19-21日
場所:全国農業展覧館
URL:http://www.cimae.com.cn/zhanhuigaikuang/
6. 2015中国(北京)国際スマートホームとインテリジェントビル展示会
期間:2015年4月22-24日
場所:中国国際展覧センター
URL:http://china-ibuildexpo.com/IB15/Home/lang-simp/Information.aspx
7. 2015中国(北京)国際照明展示会&中国(北京)国際半導体照明産業博覧会
期間:2015年4月22-24日
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第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)
場所:中国国際展覧センター
URL:http://www.chinalightingexpo.com/LIGHT15/Main/lang-simp/Information.aspx
8. 2015西安娠婦幼児児童製品博覧会
期間:2015年4月22-24日
場所:西安曲江国際会展センター
URL:http://www.cineeexpo.com/
9. 第十回中国西安国際建築省エネおよび新規建材展示会
期間:2015年4月22-24日
場所:西安曲江国際会展センター
URL:http://www.cibes.com.cn/cn/
10.CIMT2015第十四回中国国際工作機械展示会
期間:2015年4月20-25日
場所:中国国際展覧センター(新館)
URL:http://www.cimtshow.com/
11.第十三回中国国際科学計器及び実験室設備展示会
期間:2015年4月23-25日
場所:国家会議センター
URL:http://www.cisile.com.cn/
12.第十六回中国国際模型博覧会
期間:2015年4月23-25日
場所:北京展覧館
URL:http://hobbyexpochina.com/
13.第六回中国国際茶業および茶芸博覧会
期間:2015年4月23-26日
場所:全国農業展覧館
URL:http://www.teaexpo.org.cn/
14.2015北京国際良質農産物交易会
期間:2015年4月27-29日
場所:中国国際展覧センター
URL:http://www.ciqaf.com/
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第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)
15.2015中国国際コンクリート工業展示会
期間:2015年4月27-29日
場所:中国国際展覧センター
URL:http://www.concretechina.org/
16.第十六回中国国際セメント技術と設備展示会
期間:2015年4月27-29日
場所:中国国際展覧センター
URL:https://www.eventbank.cn/zh/event/475/
17.2015第十回北京国際温泉プールバース SPA 展示会
期間:2015年4月27-29日
場所:中国国際展覧センター
URL:http://www.shs-china.com/
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第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)
進出企業支援情報
アドバイザーの一言アドバイス
申し訳ありませんが、今号はお休みさせていただきます。
<1>法務労務・会計税務情報
当コーナーでは、最近の中国における法務労務・会計税務の動きについて把握頂くため、
要点を絞ってご説明致します。
(1)「政府調達法実施条例」
(政府采购法实施条例)
2015 年 1 月 30 日公布、2015 年 3 月 1 日施行
http://www.gov.cn/zhengce/content/2015-02/27/content_9504.htm
同条例の主な内容、今後の注意点について、KLO 投資コンサルティング(上海)有限公司に解
説頂いた。
解説
1.主な内容
中国の政府調達総規模は、2002年から2013年までの間に1009億元から1兆6381億元と、約16
倍になりました。もっとも、同時に政府調達時において見られる「天価調達」
(非常に高い価格
での調達)
、質が高くない、効率が悪い等の問題が社会の関心を集め、また政府調達制度への疑
義を生じさせていました。これらの問題を解決するため、政府調達法1(以下「本法」といいま
す)の施行から12年目にして、本法の細則である本条例が制定されました。本条例の制定によ
り、政府調達の規範化、法制化が更に推進され、規範が透明で、公平な競争があり、監督も十
分で、厳格な問責をも行う政府調達業務システムが構築されることが期待されています。本条
例のうち、サプライヤー(供給者)にも関連する主な条項は以下のとおりです。
1
2002 年 6 月 29 日公布、2003 年 1 月 1 日施行、2014 年 8 月 31 日改正
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(1)調達人員及び関連人員の回避に関する条項
本法第12条は、政府調達活動において、調達人員及び関連人員がサプライヤーと利害関係を
有する場合には、必ず回避をしなければならず、また他のサプライヤーが回避の申し立てをで
きる旨を規定しています。本条例では、
「利害関係を有する場合」について具体的に列挙し2、
また、回避の申し立ては書面で行い、かつその際に理由を説明する旨を規定しています(本条
例第9条)
。さらに、調達人員が、回避を行わない場合について、財政部門が警告を与え、かつ
2000元以上、2万元以下の過料に処する旨を規定しています(本条例第70条)。
(2)政府調達活動への参加条件に関する条項
本法第22条は、サプライヤーが政府調達活動に参加する場合の条件を規定しており、その中
の一つとして、
「政府調達活動に参加する前の3年間において、経営活動に重大な違法記録がな
いこと」を挙げています3。本条例は、ここでいう「重大な違法記録」について、「サプライヤ
ーが違法な経営によって刑事処罰又は生産・営業の停止命令、ライセンス若しくは許可証の取
り消し、かなり大きな金額の過料等の行政処罰を受けることを指す」と規定し、その内容を明
確にするとともに、サプライヤーが、政府調達活動に参加する前の3年間において、違法な経営
によって政府調達活動への参加を一定期間禁止され、その期限が満了した場合には、政府調達
活動に参加できる旨を規定しています(本条例第19条)。
また、本法第22条は、調達項目の特殊な要求に基づきサプライヤーについて特定条件を定め
ることができるものの、但し、不合理な条件でサプライヤーに対し差をつけた待遇又は差別的
な待遇を実行してはならない旨を規定しているところ、本条例は、不合理な条件による差をつ
けた待遇又は差別的な待遇の実行に該当する事由を具体的に列挙しています4(本条例第20条)。
さらに、本条例は、サプライヤーが政府調達活動に参加するにあたって提供すべき資料5につ
いても明確にしています(本条例第17条)。
2
具体的には、調達活動に参加する前の 3 年間において、サプライヤーとの間で、労働関係、
董事、監事への就任関係、経営参画株主又は実質的な支配者の関係にある場合、サプライヤー
の法定代表者又は責任者と配偶者、直系親族等の親族、姻戚関係を有する場合、及びその他の
政府調達活動の公平、公正な実行に影響を与える可能性がある関係を有する場合が列挙されて
います。
3 その他の条件としては、①独立して民事責任を引き受ける能力を有すること、②良好な商業
的信用・名誉及び健全な財務会計制度を有すること、③契約履行に必要な設備及び専門技術能
力を有すること、④法により租税及び社会保障資金を納付した良好な記録を有すること、⑤法
律及び行政法規所定のその他の条件が列挙されています。
4 具体的には、①同一の調達項目に関し、差をつけた項目情報をサプライヤーに提供している
場合、②調達需要における技術、役務等の要求が特定のサプライヤー、特定の製品に向けたも
のとなっている場合、③特定の行政区域又は特定の業界での実績、賞を加点の条件又は落札、
成約の条件にしている場合等、8 つの事由が挙げられています。
5 具体的には、①営業許可証等の主体の証明書類、②財務状況報告書、税及び社会保障資金納
付に関する関連資料、③契約履行に必要な設備及び専門技術能力を具備することの証明資料、
④政府調達活動に参加する前 3 年以内に、経営活動に重大な違法記録がないことの書面での表
明、⑤法律、行政法規所定のその他の条件を具備していることの証明資料、また、⑥調達項目
に特別な要求がある場合の自らが特別な要求を満たしていることの証明資料又は状況の説明が
挙げられています。
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(3)政府調達手続及び政府調達契約に関する条項
本条例は、本法で規定する政府調達手続に関しても、より詳細な規定を設けており、例えば、
入札募集文書の提供期間について入札募集文書の発送開始日から起算して5業務日を下回って
はならないこと(本条例第31条第1項)
、入札募集文書に含まれる内容6(本条例第32条第2項)、
入札者に入札保証金の納付を求める場合の限度額(調達項目の予算金額の2%以内)、納付形式
(小切手、金融機関発行の保証状等の現金以外の形式)、返還方法7(本条例第33条)、落札、成
約がなされた場合の落札、成約結果の公告8(本条例第43条)等について規定しています。
また、本条例は、落札、成約後に締結される政府調達契約に関しても、より詳細な規定を設
けており、例えば、国務院の財政部門が、国務院の関係部門とともに政府調達契約の標準様式
を制定するものとすること(本条例第47条)
、落札又は成約サプライヤーが契約履行保証金を差
し入れる場合の限度額(政府調達契約金額の10%以下)、差し入れ形式(小切手、金融機関発行
の保証状等の現金以外の形式)
(本条例第48条)
、落札又は成約サプライヤーが調達者との契約
締結を拒否した場合の処置9(本条例第49条)、政府調達契約が締結された場合の政府調達契約
の公告10(本条例第50条)等について規定しています。
(4)質問、質疑及びクレームに関する条項
本法は、サプライヤーによる質問11、質疑12及びクレーム13について規定しているところ、
本条例はこれらについてもより詳細な規定を設けています。具体的には、質問に対する回答は3
業務日以内に行わなければならない旨(本条例第52条第1項)、質問又は質疑事項が落札、成約
結果に影響を与える場合、調達者は契約の締結を暫定的に停止しなければならず、既に契約を
締結しているときは契約の履行を中止しなければならない旨(本条例第54条)
、サプライヤーに
よるクレーム事項は、質疑事項の範囲を超えてはならない旨(本条例第55条)、クレーム事項に
対する処理決定は、省級以上の人民政府の財政部門が指定するメディア上において公告しなけ
6
入札募集文書には、調達項目の商務条件、調達需要、入札者の資格条件、入札オファーの要
求、評価方法、評価基準及び締結予定の契約様式等が含まれるとされています。
7 未落札のサプライヤーは、落札通知書の送付日から 5 業務日以内に、落札したサプライヤー
は、政府調達契約の締結日から 5 業務日以内に返還するとされています。
8 公告は、落札、成約サプライヤーの確定日から 2 業務日以内に、省級以上の人民政府財政部
門が指定するメディア上で行われます。含まれる内容は、大まかに分けると、①調達者及び調
達代理機構の情報、②落札又は成約サプライヤーの情報及び③落札又は成約内容の情報等とさ
れています。
9 次点候補者を落札又は成約サプライヤーとして確定することも、政府調達活動を改めて実施
することもできるとされています。
10 公告は、政府調達契約の締結日から 2 業務日以内に、省級以上の人民政府の財政部門が指定
するメディア上で行われますが、政府調達契約における国家秘密、営業秘密に関わる内容はこ
の限りでないとされています。
11 サプライヤーが、政府調達活動に関わる事項について疑問がある場合に、調達者又は調達代
理機構に対して行うことできます(本法第 51 条、第 54 条)
。
12 サプライヤーが、調達文書、調達過程及び落札又は成約成果が自己の権益に損害をもたらす
と認める場合に、調達者又は調達代理機構に対し行うことができます(本法第 52 条、第 54 条)
13 質疑を提出したサプライヤーが調達者又は調達代理機構からの回答に満足せず、又は所定の
期間内に回答がなされない場合に、同級政府の調達監督管理部門に対し行うことができます(本
法第 55 条)
。
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ればならない旨等が規定されています(本条例第58条第2項)。
(5)法的責任に関する条項
本条例では、本法で規定する各法的責任条項についてもより詳細に規定しています。そのう
ち、サプライヤーに関しては、本法第77条第1項に処罰14及び処罰事項等が規定されているとこ
ろ、本条例は、同条の規定に従って法的責任が追及される事項15を追加的に列挙しています(本
条例第72条、第74条)
。
また、本条例では、サプライヤーが事実を捏造し、虚偽の資料を提出し、又は非合法的な手
段で取得した証明資料をもってクレームを行った場合について、不良行為記録リストへ組み入
れ、1年から3年の政府調達活動への参加が禁止される旨が規定されています(本条例第73条)。
2.今後の注意点
本条例の制定により、政府調達の規範化、法制化が推進されることは、サプライヤーとなり
うる日系企業にとっても歓迎すべきことであるといえます。特に、
「回避」や「不合理な条件に
よる差をつけた待遇又は差別的な待遇」に関する事項が明確にされ、またサプライヤーによる
質問、質疑及びクレームについても詳細に規定されたことから、今後これらの条項を効果的に
活用することが期待できます。
もっとも、本条例で規定されたサプライヤーの法的責任追及事項を通じて、サプライヤーが
政府調達契約に厳格に縛られることが明確となりましたので、この点に留意する必要があると
考えます。
(2)「非居住者企業による財産間接譲渡の企業所得税に関する若干問題についての公告」
(关于非居民企业间接转让财产企业所得税若干问题的公告)
2015 年 2 月 3 日公布、同日施行
http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810755/c1491377/content.html
同公告の主な内容、今後の注意点について、KLO 投資コンサルティング(上海)有限公司に解
説頂いた。
解説
14
処罰内容としては、調達金の 0.5%以上 1%以下の過料、不良行為記録リストへの組み入れ、
1 年から 3 年の政府調達活動への参加禁止、及びこれらに加え違法所得の没収の併科、並びに
事案が重大である場合の営業許可証の取消しが規定されています。また、犯罪を構成する場合
には、法により刑事責任を追及するとされています(刑事責任としては、通謀入札罪(刑法第
223 条)
、単位贈賄罪(刑法第 393 条)に基づくものなどが考えられます)
。
15 本条例第 72 条で 6 つ、本条例第 74 条で 7 つの事項が挙げられていますが、その中でも、政
府調達契約に関するものとして、①落札又は成約後、正当な理由なく、調達者との政府調達契
約の締結を拒否した場合、②政府調達契約を再委託した場合、③政府調達契約を無断で変更し、
中止し又は終了した場合が挙げられており、サプライヤーが政府調達契約に厳格に縛られるこ
とが明確となった点が注目に値します。
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1.主な内容
中国でビジネス展開を行う場合のスキームとして、中国外の投資者(以下「非居住者企業」
といいます)が、直接投資するのではなく、まず中国外に企業(以下「国外企業」といいます)
を設立し、当該国外企業が中国に企業(以下「中国居住企業」といいます)を設立するとのス
キームを採用することが考えられます。当該スキームを採用した場合、仮に非居住者企業が、
国外企業の持分を他者に譲渡したとしても、中国居住企業の持分は依然として国外企業が有す
ることから、形式的には中国居住企業の持分譲渡は行われておらず、中国での所得課税も発生
しないことになりえます。
しかし、中国では、このような間接的な中国居住企業の持分譲渡について、以前より、一定
の条件を有する場合に中国で所得課税が発生する旨を規定してきました(
「非居住企業持分譲渡
所得の企業所得税管理の強化に関する通知」[国税函[2009]698号]16(以下「2009年通知」
といいます)第6条)
。本公告は、上記のような間接的な中国居住企業の持分譲渡における所得
税管理をさらに規範化及び強化するためことを目的として制定されました(本公告前文)。その
主な内容は以下のとおりです。
(1)合理的な商業目的及びその判断分析要素
本公告第1条は、合理的な商業目的を有せずに中国居住企業の持分等の財産を間接譲渡し、企
業所得税の納税義務を回避した場合、企業所得税法第47条17に基づき、改めて当該間接譲渡取
引の性質を定め、直接譲渡として確認する旨を規定しています。
また、本公告第3条は、合理的な商業目的を判断する際の分析要素について規定しており、大
まかに分類すると、①国外企業の有する役割・価値に関するもの(ⅰ国外企業持分の主要な価
値が直接的又は間接的に中国課税財産18に由来しているか否か、ⅱ国外企業及び直接的又は間
接的に中国課税財産を所持する傘下企業が実際に履行している機能及び負担するリスクが、そ
れらの企業の構造が経済的実質を備えていることを実証できるか否か等)
(同条第1項~第4項、
第6項)
、②課税状況・税収協定の有無に関するもの(中国課税財産の間接譲渡取引における国
外での所得税納付状況等)
(同条第5項、第7項)が挙げられます。
(2)合理的な商業目的を有しないと認定される場合(企業所得税の課税対象となる場合)
本公告第4条は、以下の全ての状況に合致する場合、合理的な商業目的を有しないと直接認定
する旨が規定されています。
① 国外企業の持分の75%以上の価値が直接的又は間接的に中国課税財産に由来している場
合
16
2009 年 12 月 10 日公布、2008 年 1 月 1 日施行
企業所得税法第 47 条は、
「企業が合理的な商業目的を有しないその他の活動を実施し、その
課税収入又は所得額を減尐させた場合、税務機関は合理的な方法により調整する権限を有する」
と規定しています。
18 中国課税財産とは、中国で企業所得税を納付しなければならない中国国内機構・場所の財産、
中国国内の不動産、中国居住企業の権益性投資資産等を指します。
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17
② 中国課税財産の間接譲渡取引発生前1年のいかなる時点においても、国外企業の資産総額
(現金を含まない)の90%以上が直接的若しくは間接的に中国国内での投資により構成
されている、又は中国課税財産の間接譲渡取引発生前の1年以内に、国外企業の所得収入
の90%以上が直接的若しくは間接的に中国国内を出所としている場合
③ 国外企業及び直接的又は間接的に中国課税財産を所持する傘下企業が所在国家(地域)
で登記・登録し、法律の要求する組織形態を満たしているが、実際に履行している機能
及び負担するリスクが限定的であり、それが経済的実質を備えていると実証するには足
りない場合
④ 中国課税財産の間接譲渡取引により国外で納付しなければならない所得税の税負担が、
中国課税財産の直接譲渡取引により中国で負う可能性がある税負担を下回っている場合
(3)適用外の場合及び合理的な商業目的を有すると認定される場合(企業所得税の課税対象
とならない場合)
まず、本公告は、本公告によって直接譲渡であるとの確認がなされない場合として、①公開
市場で同一上場国外企業の持分の買入及び売却がなされる場合、②適用可能な税収協定又は処
理の規定に基づき、財産譲渡所得に関する税の納付が免除される場合を挙げています(本公告
第5条)
。
また、本公告第6条は、同時に以下の条件に合致する場合、合理的な商業目的を有すると認定
しなければならない旨を規定しています。
① 取引双方の持分関係が、以下のいずれかの状況を有している場合
I.
持分譲渡側が直接的又は間接的に持分譲受側の80%以上の持分を擁している
II.
持分譲受側が直接的又は間接的に持分譲渡側の80%以上の持分を擁している
III. 持分譲渡側及び持分譲受側が同一支配者により直接的又は間接的に80%以上の持分を
擁されている
国外企業の持分の50%以上(50%を含まない)の価値が直接的又は間接的に不動産に由来し
ている場合、本条第1項第1、2、3号の持分比率は、100%でなければならない
② 今次の間接譲渡取引後、再び発生する可能性がある間接譲渡取引と比較して、今次の間接
譲渡取引が発生しない状況における同一又は類似の間接譲渡取引について、その中国にお
ける所得税負担が減尐しない場合
③ 持分譲受側が当該企業又はそれと支配関係を有する企業の持分(上場企業の持分を含まな
い)をもって、持分取引の対価の全額を支払う場合
(4)持分譲渡事項の報告及び報告した場合のインセンティブ
本公告第9条は、中国課税財産を間接譲渡する取引双方及び持分を間接譲渡される中国居住企
業は、主管税務機関に持分譲渡事項を報告し、資料19を提出できる旨を規定しています。
19
提出資料としては次のものが挙げられています(外国語文書である場合は同時に中国語訳文
も添付)。①持分譲渡契約又は協議書、②持分譲渡前後の企業持分構造図、③国外企業及び直接
的又は間接的に中国課税財産を所持する傘下企業の前 2 年度分の財務・会計報告表、④中国課
税財産の間接譲渡取引が本公告第 1 条を適用しない理由
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上記規定により、取引当事者及び取引対象企業は、持分譲渡事項について自主的に報告20を
することが可能であり、仮に持分譲渡契約又は協議締結日から30日以内に上記資料を提出した
場合、後に間接譲渡について所得税の納付が必要であることが判明した場合であっても、延滞
による責任の軽減又は免除や、追徴時の利息の利率において優遇が受けられる旨が規定されて
います(本公告第8条第3項、第13条第2項)。
2.今後の注意点
現在、世界的に「税源侵食及び利益移転」
(BEPS)の問題が注目を浴びていますが、中国にお
いても同問題に対処するための法整備を積極的に行っています21。本公告もその中で制定され
ており、中国居住企業持分の間接譲渡に対する税務面での規範化を更に推し進める内容となっ
ています。本公告が、今後の中国への投資スキームに与える影響は小さくないといえますが、
例えば、香港等の第三国・地域にアジア統括会社を設立し、同社経由で中国大陸への投資を行
っている企業においては、特に本公告の内容に注意が必要です22。
以上公告の主な内容、企業への影響について、徳勤華永会計師事務所にも解説頂いた。
解説
1. 主な内容
本公告は、非居住者企業による中国居住者企業の持分等の間接譲渡に係る所得税の処理につ
いてより包括的に規定したものであり、公布により 698 号23及び 24 号公告24の一部の条項は失
効する。本公告は公布日より施行され、まだ税務処理が行われていない公布以前の取引にも適
用される。依って、当該規定は将来及び過去の取引に影響を与えることになる。
【適用範囲】

非居住者企業が合理的な事業目的のない取引スキームの実施を通じ、中国居住者企業の持
分等の財産を間接的に譲渡し、企業所得税の納税義務を回避する場合、企業所得税法第 47
20
なお、2009 年通知では、間接譲渡について、国外企業の所在国(地域)の実質税負担が 12.5%
を下回る場合又は所得税が課税されない場合、中国居住企業所在地の主管税務機関に対する持
分譲渡契約又は協議書等の資料の提出を義務付ける旨を規定していました(2009 年通知第 5 条)
が、本公告の施行に伴い同規定は廃止されます(本公告第 19 条)。
21 例えば、昨年 12 月 2 日に公布され、本年 2 月 1 日より施行されている「一般租税回避防止
管理弁法(試行)
」
[国家税務総局令第 32 号]等が挙げられます。
22 本公告第 3 条第 3 項は、合理的な商業目的を判断する際の分析要素の一つとして、
「国外企
業及び直接的又は間接的に中国課税財産を所持する傘下企業が実際に履行している機能及び負
担するリスクが、それらの企業の構造が経済的実質を備えていることを実証できるか否か」を
挙げています。このため、本文記載のような企業においては、例えば、アジア統括会社の担う
機能等について再検討を行うことも考慮に値します。
23参考 URL: http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810765/n812166/n812602/c1086388/content.html
24
参考 URL: http://www.chinatax.gov.cn/n810341/n810765/n812156/n812499/c1187218/content.html
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条25の規定に従い、当該間接譲渡取引の性質を改めて定め、中国居住者企業の持分等の財
産を直接譲渡するものと見なす。

「中国居住者企業の持分等の財産」とは、非居住者企業が直接保有した場合には、その譲
渡によって取得した所得に対し、中国税法の規定に従って中国で企業所得税を納付しなけ
ればならないものであり、
「中国課税財産」と総称され、以下を含むとされている。


中国国内の機構、場所の財産

中国国内の不動産

中国居住者企業の権益性投資資産
「中国課税財産の間接譲渡」とは、非居住者企業が直接又は間接的に中国課税財産を保有
する中国国外の中間持ち株会社(中国国外で登録された中国居住者企業を含まない、以下
「中国国外企業」
)の持分及びその他の類似の権益(以下「持分」と総称)を譲渡すること
により、中国課税財産を直接譲渡したのと同じ又は近い結果が生じる取引をいい、非居住
者企業の再編によって中国国外企業の株主が変更される場合も含む。依って、関連の取引
が本公告にいう中国課税財産の間接譲渡に該当するか否かを判断するために、当該取引の
実質を分析する必要がある。

中国課税財産の間接譲渡と関連する全体的な手配が以下のいずれかの状況に合致している
場合、本公告第 1 条の規定を適用しない。

非居住者企業が公開市場で同一の中国国外の上場企業の持分を売買することにより、
中国課税財産間接譲渡による所得を得る場合

非居住者企業が中国課税財産を直接保有し、且つ譲渡する場合、適用される租税条約
又は協定の規定に基づき、当該財産の譲渡所得が中国において企業所得税を免除され
る場合
【合理的な事業目的の判断】

合理的な商業目的の判断は、中国課税財産の間接譲渡取引と関連する全ての手配を全体的
に考慮し、実際の状況と結び付けて以下の関連要素を総合的に分析しなければならない。

国外企業持分の主要な価値が直接的もしくは間接的に中国課税財産に由来しているか否か

国外企業の資産が主に直接的もしくは間接的に中国国内での投資により構成されているか
否か、又はその所得収入が主に直接的もしくは間接的に中国国内を源泉としているか否か

25第
国外企業及び直接的もしくは間接的に中国課税財産を所持する傘下企業が実際に履行して
47 条: 企業がその他の合理的な商業目的のない計画を実施し、課税収入或いは所得額を
減尐させた場合、税務機関は合理的な方法により調整を行う権限を有する。
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いる機能及び引受けているリスクが企業構造に経済的な実質を有していることを証明する
ことができるか否か

国外企業の株主、業務形態及び関連組織構造の存続期間

中国課税財産の間接譲渡取引における国外での所得税納付状況

持分譲渡側による中国課税財産の間接投資、間接譲渡取引と中国課税財産の直接投資、直
接譲渡取引との代替可能性

中国課税財産の間接譲渡に係る所得に対して中国で適用される租税条約もしくは協定の状
況

その他の関連要素

中国課税財産の間接譲渡と関連する全体のスキームが同時に以下の状況に該当している場
合、合理的な商業目的を有しないと直接に認定される。

国外企業の持分の 75%以上の価値が直接的もしくは間接的に中国課税財産に由来している
場合。

中国課税財産の間接譲渡取引発生前 1 年のいかなる時点においても、国外企業の資産総額
(現金を含まない)の 90%以上が直接的もしくは間接的に中国国内での投資により構成さ
れている、又は中国課税財産の間接譲渡取引発生前 1 年以内に、国外企業の所得収入の 90%
以上が直接的もしくは間接的に中国国内を源泉としている場合。

国外企業及び直接的もしくは間接的に中国課税財産を所持する傘下企業が所在国家(地域)
で登記・登録し、法律の要求する組織形式を満たしているが、実際に履行している機能及
び引受けているリスクが限定的であり、それが経済的実質を有していると証明するのに十
分でない場合。

中国課税財産の間接譲渡取引により国外で納付する所得税の税負担が、中国課税財産の直
接譲渡取引により中国で負う可能性がある税負担を下回っている場合。

中国課税財産の間接譲渡が同時に以下の条件に合致している場合、合理的な商業目的を有
すると認定され、中国においては企業所得税は課さない。

取引当事者双方の持分関係が、以下のいずれかに該当する場合

持分譲渡側が直接的もしくは間接的に持分譲受側の 80%以上の持分を保有していること。

持分譲受側が直接的もしくは間接的に持分譲渡側の 80%以上の持分を保有していること。

持分譲渡側及び持分譲受側が同一支配者により直接的もしくは間接的に 80%以上の持分
を保有していること。
国外企業の持分の 50%以上(50%を含まない)の価値が直接的もしくは間接的に中国国内の不
動産に生じたものである場合、上記持分保有割合の要件は 100%となる。

今回の間接譲渡取引の後に再度発生する可能性のある間接譲渡取引に係る中国での所得税
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第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)
負担が、今回の間接譲渡取引が発生しなかった場合の同じまたは類似の間接譲渡取引と比
べて減尐しないこと

持分の譲受側が持分取引の対価を全て、自社又はこれと支配関係を有する企業の持分(上
場企業の持分を含まない)をもって支払うこと
【納税管理】

機構・場所財産の間接譲渡所得が本公告の規定に基づき企業所得税を納付しなければなら
ない場合、納税義務発生の日が属する納税年度の当該機構・場所の所得に組み入れ、関連
規定に基づき企業所得税を申告・納付しなければならない。

不動産の間接譲渡所得もしくは持分の間接譲渡所得が本公告の規定に基づき企業所得税を
納付しなければならない場合、関連法律の規定もしくは契約の規定に基づき持分譲渡側に
対して関連代金を直接支払う義務を負う単位もしくは個人を源泉徴収義務者とする。

源泉徴収義務者が納付すべき税金を源泉徴収しなかった、もしくは源泉徴収不足な場合、
持分譲渡側は納税義務発生の日から 7 日以内に所轄税務機関に税金を申告・納付し、合わ
せて持分譲渡収益及び税金の計算と関連する資料を提出しなければならない。

源泉徴収義務者が源泉徴収せず、且つ持分譲渡側が納付すべき税金を納付しなかった場合、
所轄税務機関は『税収徴収管理法』及びその実施細則の関連規定に基づき源泉徴収義務者
の責任を追及することができる。

持分譲渡側が中国課税財産の間接譲渡取引で納付すべき税金を期限どおりに納付せず、も
しくは納付不足があり、源泉徴収義務者も税金を源泉徴収しなかった場合、納付すべき税
金を追徴するほか、
『企業所得税実施条例』第 121、122 条26の規定に基づき持分譲渡側に
利息も追加徴収する。持分譲渡側が国外企業持分の譲渡契約もしくは契約締結の日から 30
日以内に本公告に規定する資料を提出した、又は関連規定に基づき税金を申告・納付した
場合、
『企業所得税法実施条例』第 122 条が規定する基準利率により利息を計算する。規定
により資料を提出していなかった、又は税金を申告・納付していなかった場合、基準利率
に 5%を加えて利息を計算する。
2、企業への影響
本公告は、中国課税財産の間接譲渡に係る税務処理について、包括的な指針を提供するもの
26
第 121 条:税務機関は税収法律、行政法規の規定に基づき、企業に対して特別納税調整を行
う場合、追徴税額に対し、税額の帰属する納税年度の翌年 6 月 1 日から追徴納税日までの期間
にわたり、日ごとに利息を加算しなければならない。前項に規定する利息は、課税所得額を計
算する場合に控除してはならない。第 122 条:企業所得税法第 48 条にいう利息は、税額の帰
属する納税年度により中国人民銀行が公布する追徴期間と同期間の人民元貸付基準利率に 5%
を加えて計算する。企業が企業所得税法第 43 条および本条例の規定により関連資料を提供す
る場合、前項に規定する人民元貸付基準利率により利息を計算することができる。
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であり、間接譲渡取引に対する中国の税務機関の徴税管理実務を改善すると共に、納税者にと
っての確実性を高めるものである。中国課税財産の間接譲渡を過去に行ったが、まだ税務処理
を行っていない取引の各当事者、および中国課税財産の間接譲渡を今後行おうとしている投資
者は、本公告の内容を理解した上で、当該公告が取引に与える影響を分析する必要がある。分
析では、何らかの措置を講じる必要があるか、財務諸表での開示又は引当計上の必要性に関す
る検討が含まれる。
「以上公告の主な内容、企業への影響について、徳勤華永会計師事務所に解説頂いた。」
(3)「インターネットユーザーアカウント名称管理規定」
(互联网用户账号名称管理规定)
2015 年 2 月 4 日公布、2015 年 3 月 1 日施行
http://www.cac.gov.cn/2015-02/04/c_1114246561.htm
同規定の主な内容、今後の注意点について、KLO 投資コンサルティング(上海)有限公司に解
説頂いた。
解説
1.主な内容
中国のインターネット利用者数は世界一であり、2014 年末時点で 6.49 億人に達したとされ
ています。そのインターネット利用者が利用しているコンテンツの中に、ブログ、マイクロブ
ログ、インスタントメッセージ等の情報発信、情報交換を目的とした情報サービスがあります。
これらの情報サービスを利用する際、利用者は自己を表示するためのアカウント名称を付しま
すが、従前、当該名称について「中紀委巡視組」等の党、政府機関の名称を冒用し大衆を誤導
したり、「人民日報」等のメディアの名称を冒用し虚偽のニュースを公表したり、また企業や
社会組織の名称を冒用し虚偽の情報を公表したりする事態が生じていました。本規定は、この
ような事態の発生を防ぐことを主な目的として制定されたものと考えられます。その主な内容
は以下のとおりです。
(1)適用範囲
中国国内で登録、使用及び管理するインターネットユーザーアカウント名称に本規定は適用
されます。なお、ここでいう「インターネットユーザーアカウント名称」とは、機構又は個人
がブログ、マイクロブログ、インスタントメッセージ、掲示板、貼吧27、(ニュースサイト等
での)投稿評論等のインターネット情報サービスにおいて登録又は使用するアカウント名称を
27
「貼吧」とは、百度が提供する掲示板に近いインターネット情報サービスです。
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指します(本規定第 2 条)。
(2)禁止されるアカウント名称
本規定第 6 条は、冒頭で言及した事態が生じていることを踏まえ、登録及び使用するインタ
ーネットユーザーアカウント名称について、以下で列挙する状況が存在してはならないとして
います28。
① 憲法又は法律法規の規定に違反するもの
② 国家の安全に危害を加え、国家秘密を漏洩し、国家の政権を転覆させ、又は国家の統一
を破壊するもの
③ 国家栄誉及び利益を損ない、又は公共の利益を損なうもの
④ 民族の怨恨、民族差別を煽動し、又は民族の団結を破壊するもの
⑤ 国家の宗教政策を破壊し、又は邪教及び封建的な迷信を宣揚するもの
⑥ 風説を流布し、社会秩序を乱し、又は社会の安定を破壊するもの
⑦ 猥褻、ポルノ、賭博、暴力、殺人、テロを流布し、又は犯罪を教唆するもの
⑧ 他人を侮辱し、又は誹謗して、他人の合法的な権益を侵害するもの
⑨ 法律又は行政法規の禁止するその他の内容を含むもの
(3)違法又は不良情報が含まれるアカウント名称等の処理
本規定は、インターネット情報サービス提供者に以下のとおり義務付けることによって、違
法又は不良情報が含まれるアカウント名称、人物画・画像及びプロフィール等(以下「アカウ
ント名称等」といいます)の登録ないしは使用継続を防ぐこととしています。
まず、インターネットユーザーが提出したアカウント名称等の登録情報に対して審査を行い、
違法及び不良情報を含む場合、登録させないようにしなければならないとしており、公衆から
通報のあったアカウント名称等の登録情報中の違法及び不良情報について、適時に処理しなけ
ればならないとされています(本規定第 4 条)。また、インターネット情報サービス利用者が、
虚偽情報をもってアカウント名称登録を騙し取ろうとし、又はアカウント人物画・画像、プロ
フィール等の登録情報に違法及び不良情報が存在する場合、期限を通知した是正、使用の一時
停止、登記の抹消等の措置を採らなければならないとされています(本規定第 7 条)。さらに、
インターネット情報サービス利用者が関連機構又は社会的な有名人の登録アカウント名称を冒
用する場合、そのアカウントを抹消し、かつインターネット情報内容主管部門に報告しなけれ
ばならないとされています(本規定第 8 条)。
(4)実名登録制
本規定は、アカウント名称等の管理の他、実名登録制についても規定しています。具体的に
は、インターネット情報サービス提供者は、「背後は実名、表は自由意志」との原則に照らし
28
なお、その内容は、電信条例(2000 年 9 月 25 日公布、施行(国務院令[第 291 号]
)第 57
条及びインターネット情報サービス管理弁法(2000 年 9 月 25 日公布、施行(国務院令[第 292
号])第 15 条において、作成、複製、公表又は伝播してはならない情報として列挙されている
内容とほぼ同一といえるものです。
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て、インターネット情報サービス使用者に対して、真実の身分情報による認証後にアカウント
登録することを要求しなければならないとしています(本規定第 5 条第 1 項)。なお、実名登
録制については、2012 年 12 月 28 日公布、施行の「インターネット情報保護強化についての決
定」第 6 条及び昨年 8 月7日公布、施行の「インスタントメッセージ公衆情報サービス発展管
理暫定規定」第 6 条において既に規定されていましたが、本規定では、インターネット情報サ
ービスに実名登録制が採用されることを明確にしています。
2.今後の注意点
中国では、新浪微博、QQ、微信等の各種情報サービスが多く利用されており、企業において
も、情報発信ツールの一つとしてこれらのサービスを利用するケースが増えているように感じ
ます。今回制定された本規定は、企業にとっては、冒頭でも言及したとおり、企業の名称を冒
用した虚偽情報の公表等を防ぐことが期待できる点で歓迎すべきものといえると考えます29。
(4)「直接投資外貨管理政策の更なる簡易化及び改善についての通知」
(关于进一步简化和改进直接投资外汇管理政策的通知)
2015 年 2 月 13 日公布、2015 年 6 月 1 日施行
http://www.safe.gov.cn/wps/portal/!ut/p/c5/04_SB8K8xLLM9MSSzPy8xBz9CP0os3gPZxdnX
293QwMLE09nA09Pr0BXLy8PQyNPI6B8pFm8s7ujh4m5jwFQ3t3AwNPEyd_PwznQ0MD
TmIDucJB9-PWD5A1wAEcDfT-P_NxU_YLcCIMsE0dFABRy5RE!/dl3/d3/L0lDU0lKSWdra
0EhIS9JTlJBQUlpQ2dBek15cUEhL1lCSlAxTkMxTktfMjd3ISEvN19IQ0RDTUtHMTA4V
TVDMElBVTNDTTc3MzBTNQ!!/?PC_7_HCDCMKG108U5C0IAU3CM7730S5000000_WC
M_CONTEXT=/wps/wcm/connect/safe_web_store/safe_web/zcfg/zbxmwhgl/zjtzwhgl/node_z
cfg_zbxm_kjtz_store/ecb2730047782024852fa73b4795588d
同通知の主な内容、今後の注意点について、KLO 投資コンサルティング(上海)有限公司に解
説頂いた。
解説
1.主な内容
本通知は、資本項目の外貨管理改革をさらに深化させ、企業のクロスボーダー投資・資金運
用を促進させ及び便利にし、直接投資にかかる外貨管理業務を規範化し、管理効率を向上させ
ることを目的に制定されました(本通知前文)
。本通知は、国内直接投資(国外から中国への投
29
なお、個人にとっては、本規定のうち、実名登録制の拡大に最も大きな影響を受けると考え
られます。実名登録を義務化することで、他者名義の冒用、虚偽情報の流布等の行為の減尐が
期待できますが、反面で、合法的な情報発信行為について萎縮効果を及ぼすことが懸念されま
す。
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資)に関わる事項、及び国外直接投資(中国から国外への投資)に関わる事項のいずれについ
ても規定していますが、ここでは日系企業にとってより関連性が高い国内直接投資に関する事
項をご紹介します。
(1)外貨管理局による外貨登記認可の取消し
これまで、外国投資者が国内直接投資を行う場合、
「外国投資者国内直接投資外貨管理規定」
30等の関連法規に基づき、外貨管理局において外貨登記を行うこととされていました(同規定
第 6 条)
。
本通知はこの点について、銀行が、本通知及び本通知添付の「直接投資にかかる外貨業務取
扱ガイドライン」に従って、直接に審査の上で国内直接投資における外貨登記(以下「直接投
資外貨登記」といいます)を行うとしています。また、これに伴い、国家外貨管理局及びその
分局・支局は、銀行を通じて直接投資外貨登記を間接的に管理監督する役割のみを負担するこ
ととなりました(本通知第 1 条)
。
なお、関連市場主体は、自ら登録地の銀行を選択して直接投資外貨登記を行うことができ、
また直接投資外貨登記の完了後に、直接投資に関する口座の開設、資金の送金等の後続業務(利
潤、配当金の仕向送金又はレパトリエーションを含む)を行うことができるとされています(本
通知第 1 条第 3 号)
。
(2)出資確認登記の簡素化
これまで、外国投資者が金銭等による出資を行った場合、外国投資者は、登録地の外貨管理
局において、出資確認登記手続を行わなければならないとされ、出資確認登記手続を行わない
場合には、口座内の資金の使用(元転、対外支払い、国内振替等)ができないとされていまし
た(
「外国投資者国内直接投資外貨管理規定」添付 3「国内直接投資業務操作手引」1.7、2.2
等)
。
本通知は当該出資確認登記について簡素化するとしています(本通知第 2 条第 1 項第 1 号)。
具体的には、まず、①国内直接投資における外国投資者非金銭出資確認登記及び②外国投資者
中国側持分買取出資確認登記を取消すとしています。
また、③外国投資者金銭出資確認登記を調整し、国内直接投資の金銭出資記帳登記とし、外
国投資者が金銭により(クロスボーダーの外貨送金及び人民元を含む)出資する場合、口座開
設銀行が、関連する資本金の受取後に外貨管理局の資本項目情報システムを通じて直接に国内
直接投資金銭出資記帳登記を行い、記帳登記がなされた資本金は使用可能としています。
このように、出資確認登記についても、外貨管理局から銀行へとその実施主体が変更されて
います。
(3)外貨年度検査から持分残高登記への移行
これまで、
「外国投資者国内直接投資外貨管理規定」第 11 条の規定等に基づき、直接投資外
貨年度検査を実施していたところ、今後は、年度検査を取消し、持分残高登記を実施するとさ
30
2013 年 5 月 11 日公布、同年同月 13 日施行(滙発[2013]21 号)
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れています(本通知第 2 条第 1 項第 3 号)。持分残高登記は、検査を行うものではなく、関連市
場主体が、毎年 9 月 30 日(同日を含む)までに、自ら又は会計事務所、銀行に委託して外貨管
理局の資本項目情報システムを通じて前年度末の国内外直接投資の持分残高のデータを報告す
るというものです(本通知第 2 条第 1 項第 3 号)。
もっとも、外貨管理局による直接投資持分残高のサンプリング調査に参加する外商投資企業
等の関連市場主体については、直接投資持分残高のサンプリング調査制度の要求に従って、四
半期ごとに登録地の外貨管理局に関連情報を報告しなければならないとされています(本通知
第 2 条第 3 項)
。
(4)関連市場主体が規定に従わない場合
関連市場主体が、本通知第 2 条第 1 項(金銭出資記帳登記、持分残高登記)の規定に従わな
い場合、外貨管理局が資本項目情報システムにおいて当該主体に対し業務の管理・コントロー
ルを行い、銀行は当該主体について資本項目における外貨業務を行ってはならないとしていま
す。
また、関連市場主体が、要求に従って報告を補完しかつ外貨管理局に対し説明書を提出し合
理的な理由を説明した後、外貨管理局は業務の管理・コントロールを取消し、外貨管理規定違
反の疑いがある場合は、法により行政罰を与えるとされています(本通知第 2 条第 2 項)。
なお、本通知には、申請者及び銀行が関連業務を行う際に参照しなければならないものとし
て、
「直接投資にかかる外貨業務取扱ガイドライン」及び各種申請表等のサンプルが添付されて
います。
2.今後の注意点
直接投資に関わる外貨登記の銀行処理への移行については、昨年 12 月 21 日に公布、施行さ
れた「中国(上海)自由貿易試験区における複製可能な改革試行試験の普及に関する通知」31に
おいて、2015 年 6 月 30 日までを期限として実行することが明示されていました。本通知はこ
のことを実現したといえます。
本通知に基づき各直接投資関連業務の実施主体が外貨管理局から銀行に変更されることで、
本通知の目的でもある「管理効率の向上」が実現されれば、企業にとっても円滑かつ適時の外
貨利用を期待できることになります。もっとも、各銀行にとっては、新たな業務、責務を負担
することを意味し、
「管理効率の向上」も、各銀行の新たな業務、責務に対する姿勢に左右され
ざるを得ないと考えられます。したがって、本通知施行後の各銀行の実務対応に注意する必要
があります。
(5)「一部製品の輸出還付率の調整に関する通達」(財税【2014】150 号)
(关于调整部分产品出口退税率的通知)
http://www.mof.gov.cn/zhengwuxinxi/zhengcefabu/201412/t20141231_1175119.htm
31
国発[2014]65 号
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第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)
2014 年 12 月 31 日発布
2015 年 1 月 1 日より実施
同通達の主な内容、企業への影響について、徳勤華永会計師事務所に解説頂いた。
解説
1、主な内容
本通達により、一部製品の輸出還付率が調整される。これは 2010 年以降に政府が行った最初
の輸出還付率に対する調整である。本通達によって、一部製品の輸出還付率が引き上げ、もし
くは下げられ、同時に一部製品の輸出還付政策が取り消された。その調整内容が下記の通りま
とめた。
輸出還付率の調整
製品

施行日32
一部の高付加価値製品(電力及び一部の医
療用品が含まれる)
輸出還付率の引き上げ

一部のトウモロコシ製品(例えば、トウモ
2015 年 1 月 1 日
ロコシ澱粉)33

一部の紡織品、アパレル
輸出還付率の取消

硼素を含む鋼
2015 年 1 月 1 日
輸出還付率の引き下げ

加工された頭髪及びカツラ材料
2015 年 4 月 1 日
2、企業への影響
輸出還付率は国家が一部製品の輸出を奨励或いは制限するための重要な手段の一つである。
中国が 2013 年に世界における貨物の貿易大国になって以降、政府は産業構造のグレードアップ
及び国際貿易構造の最適化に更に力を入れるようになった。こうした背景に基づき、本通達は
中国政府によるハイテク製品、高付加価値製品の輸出を奨励すると同時に、高汚染、高エネル
ギー製品の輸出を制限しようとする姿勢を表している。
輸出還付率の調整は輸出企業の利益水準に影響を与えるため、今回の調整によって影響を受
ける輸出企業は以下の対応を取ることを提案する。

輸出製品をレビューし、輸出還付率の変更が企業に齎す潜在的な影響を評価すること

価格設定方針をレビューし、必要かつ可能である場合に、国外顧客と輸出価格の調整につ
いて協議すること
32
輸出貨物通関申告書(輸出税額還付専用)に記載された輸出日を基準とする。
トウモロコシ加工製品の輸出還付率を引き上げる政策は 2015 年 12 月 31 日までの 12 ヶ月
間実施される。
33
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第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)

輸出製品の税関コードをレビューし、その商品分類が適切か否か、及びより高い輸出還付
率が適用されるコードに再分類できる可能性があるか否かについて検討すること

必要に応じて専門家の意見を求めること
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第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)
<2>知っておきたい中国語<第八十六回> ~「両会」の流行語編~
皆さん、こんにちは。3 月 15 日、年に一度の「両会」が成功裏に閉幕しました。世界の注目
を集める「両会」に出た言葉はすぐ人気言葉になり今回はこれらの流行語を紹介します。
・两会
年に一度の会議。全国人民代表大会と全国政治協商会議が同時に開催されます。今年は、第 12
期全国人民代表大会第 3 回会議(3 月 3 日~3 月 13 日)と全国政協第 12 期第 3 回会議(3 月 5
日~3 月 15 日)です。
・四个全面
「4つの全面」は、
「小康社会(ややゆとりのある社会)」、「改革の全面的深化」、「全面的な法
による国家統治」
、
「全面的な厳しい党内統治」
。
・经济新常态
経済の新常態(ニューノーマル)はすでに世界の経済界の流行語になっています。経済成長の
速度よりも質を重視する経済への転換で、高度成長から安定成長に移る状況です。
・调速不减势,量增质更优,实现中国经济提质增效升级。
発展の速度調整を、勢いが落ちず、量的増加・質的改善がともなうように推し進め、中国経済
の質・効率・レベルの向上を実現する。
・大家都知道要把老虎拉出来,态度上,大家都很任性。
党と政府、国民の、反腐敗問題に対する態度は一致しており、誰もが反腐敗を支持し、好きな
ように虎を捕まえられる。この態度はネット流行語を使えば、誰もが思うがままだ。
・在反腐斗争中,发现一起查处一起,发现多尐查处多尐,绝不封顶设限,没有不受查处的“铁
帽子王”。
反腐敗闘争において、事件が発覚するたびに対処し、発覚した事件は全て処理し、上限を決し
て設けず、調査・処分を受けない「鉄帽子王」は存在しない。
・铁帽子王
清の時代、功績が大きかったことから世襲が認められ、爵位が降下しない皇族のこと。
・大道至简,有权不可任性
大道は至りて簡し(道理は極めて簡単である)、権力を持つ者はそれを好き放題に使ってはなら
ない。
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第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)
・中国的朋友圈越来越大好伙伴越来越多。
中国の外交成果について、王毅部長は、中国の「朋友圈」
(友だちの輪)はますます拡大し、良
い友達、良いパートナーが増えていると語った。「朋友圈」は SNS 時代の流行語です。
・有困难请打 12308。来一场说走就走的旅行。
記者会見で、王毅部長は、世界領事保護緊急コールセンターの 12308 ホットラインについては
「トラブルがあったらすぐ 12308」
、ビザ発給の便利化の問題については「行きたくなったらす
ぐ行ける旅行を」と語った。いずれも人々がよく知る広告キャッチフレーズを借用したもので
す。
・亚投行
アジアインフラ投資銀行。2013 年 10 月に習近平主席が設立を提唱したもので、3 月末の加盟申
請の締め切りまでに、創設加盟国が 35 カ国を超える見込みです。
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第 129 号(2015 年 3 月 31 日発行)
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