8. 電気情報システム工学科/ 知能情報工学科における安全

8. 電気情報システム工学科/
知能情報工学科における安全
本稿は、横浜国立大学工学部安全委員会発行の「実験・実習における安全の手引
平
成 5 年度版」の第 6 章「電子情報工学科における安全」からの抜粋を、若干加筆修正
したものである。
大学の実験・研究室で問題となる電気に関する災害の中で、特に重大な影響を及ぼす
のは、電気に触れることによる感電災害であろう。そのほか電気火花や電流による火
災・爆発災害、電動機・発電機など回転機操作に伴う機械的災害もある。またレーザ光
線 、 紫 外 線 や マ イ ク ロ 波 等 に よ る 眼 や 皮 膚 の 傷 害 、 OA 機 器 の 電 磁 雑 音 に よ る 健 康 傷 害
なども最近注目されるようになってきた。
8.1
一般的心得
8.1.1
感電
感電とは人体に電流が流れショックを受ける現象である。電流が外皮を通して人体を
貫流する場合をマクロショックといい、一般に感電と言われるのはこの場合である。感
電の影響の程度は人体中を流れる電流値と通電時間に依存する。感電は人体が直接充電
部に接触することのほか、漏電によっても発生する。
(1)感電(マクロショック)について
1)皮膚の電気抵抗
人体は、良導体の電解質で構成された実質部をやや絶縁性を持った皮膚で包んだ
ものである。従って、感電時に人体に流れる電流値を左右する人体の電気抵抗は、
ほとんど皮膚の電気抵抗に依存すると言っても差し支えない。その皮膚の抵抗は乾
燥時には数十kΩ以上あるが、水や汗で湿ると数百Ω以下にまで大幅に低下するの
で 、 100 V で も 100 mA 以 上 の 電 流 が 流 れ 死 に 至 る こ と も あ る 。 ま た 、 高 電 圧 に な
ると皮膚が乾燥していても絶縁破壊による導通を生じ、やはり生命の危機に瀕する。
ゴム性の絶縁靴や絶縁手袋の着用は、皮膚にかわって高い電気抵抗と絶縁性を確保
するものとして有効である。
2)感電ショックと電流の関係
電流が皮膚の表面のみを流れる場合は、火傷を負ったり激痛を受けることはあっ
ても、それだけで直ちに感電死に至ることは少ない。しかし、体内を流れると、そ
の値によっては神経や筋肉に重大な作用を及ぼし、死に至る。感電による生理作用
の程度と電流値の関係は体質、体重や性別によって異なるが、成人男子に対する標
準的な例を表 1 および表 2 に示す。
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表1
50-60Hz の電流
区分
マクロショックと電流の関係
通電時間
生理作用
[mA]
0
0~ 1
時間の長さに関係ない
関知できる限界以下
1
1~ 3
時間の長さに関係ない
軽い刺激を受ける
2
3~ 10(15)
時間の長さに関係ない
痛みを感じる。離脱可能
3A
10(15)~ 30
数分以内
筋肉のけいれん。離脱不能
3B
30
数分以上
血圧上昇、呼吸困難
4A
30~
約 1 分以内
呼吸停止、脈拍不整
4B
50(75)
約 1 分以上
血圧上昇
5A
50(75)~
約 1 秒(1 脈拍)以内
強い電撃、心室細動は起きない
5B
250(300
約 1 秒以上
心室細動、失神、電流痕跡を生じる。
感電による
直接の生命
の危機はほ
とんどない
生命の危機
がある
死に至る
電気による麻痺状態になり死に至る。
6A
約 1 秒(1 脈拍)以内
脈拍位相のある区域では心室細動を起こす。
電流痕跡を生じる。失神、生命の危機ある。
250(300)以 上
6B
約 1 秒以上
心臓停止。火傷、失神、死に至る、電流痕跡
を生じる。
7
4(5)A 以 上
人体の重要な部分を通
身体の内部組織まで火傷を受ける。
過しない場合
表2
接地のある場合とない場合の感電状態の比較
感電電流と障害比較
100V 回 路
200V 回 路
接 地 し な い で 漏 電 電 圧 100V の 場 合
接 地 し な い で 漏 電 電 圧 200V の 場 合
約 3 [mA]
約 6[mA]
かなりの痛み、ショック
かなりの痛み、ショック
約 20 [mA]
約 40 [mA]
けいれん、筋肉不自由収縮
けいれん、危険性
濡れた手からコン
約 35 [mA]
約 70 [mA]
クリート素足
けいれん、危険性
致命的
濡れた手から手ま
約 50 [mA]
約 100 [mA]
たは土間素足
危険性大
致命的
感電状態
手からくつばき足
乾いた手から手
5kΩ
3kΩ
2kΩ
3 ) Let-go current
表 1 で 判 る よ う に 、 電 流 値 が 10 な い し 15 mA に 達 す る と 筋 肉 の け い れ ん が 生
じ、随意な運動、動作ができなくなる。充電部を握ったり触れたりしたとき自力で
105
は 離 脱 不 能 に 陥 っ て し ま う 。 こ の よ う な 状 態 に な る 限 界 の 電 流 値 を “ Let-go
current” と い い 、 お お よ そ 次 の よ う な 値 と さ れ て い る 。
成人男子に対する平均値
16
mA
成人女子に対する平均値
10.5 mA
感電者が離脱不能に陥ったときには、直ちに他人が力を貸して離脱させるか、電
源を遮断しなければならない。ある規模以上の電気実験では常に複数人で行う必要
性がここにある。離脱救助や電源遮断の作業中に、自分自身が連鎖感電したり火傷
その他の二次被災を生じないよう、周到な注意を払わねばならない。
(2)感電時の応急措置と注意
1)感電者の離脱時の注意
自力離脱不能の感電者を速やかに充電部から離脱させる必要があるが、救助者自
身が連鎖感電する恐れがある。救助者は絶縁手袋、絶縁靴を着用したり、絶縁台に
乗っているなどして大地から絶縁されていなければならない。
もし救助者が大地から絶縁されていないときには、感電者に触れる前に電源の遮
断と充電部の接地を行う必要がある。
2)感電者に対する応急措置
万一感電事故が生じたときは、先ず上記の方法で感電者を充電部から離脱させる
( 電 源 は 遮 断 、 充 電 部 接 地 の 状 態 )。
感電者が失神状態に陥った場合には、呼吸状態(停止あるいは困難)と脈拍状態
(有無あるいは不整の様子)を確認の上、直ちに救急医の手配を行うとともに、人
工呼吸と心臓マッサージなどの救護措置を構ずること。人工呼吸と心臓マッサージ
を同時に行うには二人必要であるが、その救護の効果は大きい。人工呼吸、心臓マ
ッサージについては付録を参照。
失神状態に陥るほどではなくても、皮膚や内部組織に火傷を負うことが多い。ま
た、心身への衝撃も大きい。その程度によっては医師の診察や心電図検査などを受
けねばならない。
感電の衝撃のため転倒や転落して、外傷や打撲傷を負うこともしばしばある。場
合によっては、止血や骨折などに対する応急措置も必要となる。
(3)感電の原因と対策
実験者の不注意、勘違い等に起因する感電事故が少なくない。これに対しては他
の一般の事故と同様、実験者の安全意識高揚、安全のための注意事項の徹底等の対
策が構じられなければならない。
ここでは、電気設備的な面からみて、感電の原因となる主要な事項に限って述べ
る。
1)配線材料や装置の不良
ネジが緩んだスイッチやプラグ、締め付け不良の端子、配線材料や器具類の機能
的欠陥や機械的不良は感電事故に結び付く。常時の点検が必要で、場合によっては
器具や部品の交換が必要となる。
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2)絶縁不良
絶縁不良部に直接触れなくても漏電の原因となり、感電や電気火災などの事故の
発生につながる。絶縁抵抗の低下は、絶縁材料の経年劣化、吸湿、絶縁物表面の汚
損や濡れ等によって生ずる。常時点検し、乾燥清浄状態を維持するよう心がける。
3)接地の不備
接地が不十分であると、思わぬ場所に予想外の高電圧が現れ、機器の絶縁破壊を
招くばかりか、感電や漏電の原因になる。接地不備のため漏電が感電事故につなが
る例を図 1 に示す。
図1
漏電危険防止設置
4)漏電
漏電には抵抗性漏電と容量性漏電とがある。後者は図 2 に示すように交流電圧
の加わった部分と、ケースや接地線との間の浮遊静電容量を通して流れる現象で、
完全な防止は不可能である。
漏電が生じても接地が十分であれば、漏電電流は大地に流れる。電蝕や電磁誘導
などの傷害を引き起こすが、これが直ちに感電につながることは少ない。しかし接
地されていなかったり、たとえ接地されていても不十分(接地抵抗が高い)であれ
ば、足元が接地状態にある人間が手などで漏電部分に触れると、抵抗の低い人体を
通 っ て 漏 電 電 流 が 流 れ 、 重 大 な 感 電 事 故 と な る ( 図 1 )。 も し こ の 人 間 が 絶 縁 性 の
台や履物によって大地から絶縁された状態であれば、感電は免れる。
図2
容量性漏電
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5)設備、器具の誤用と定格不足
抵抗素子や配線器具の電流・電力容量の不足、コンデンサの耐電圧などの定格不
足などは回路の焼損や絶縁破壊の直接原因となり、電気火災、漏電、感電等の事故
につながる。
6)コンデンサの扱いと接地
高電圧コンデンサは、両端子間を一度短絡して放電させても、端子間を解放のま
まにしておくと、内部の誘電体から吸収電荷が現れ、再び高電圧に復帰する。従っ
て高電圧コンデンサは実験休止中でも常に両端子間を短絡接地した状態に保つ必要
がある。またコンデンサを含む回路に触れるときは、両端子間が確実に短絡接地状
態でなくてはならない。確認を怠ってはならない。
7)露出充電部と離隔距離
実験中誤って直接充電部に触れるのを防ぐため、実験回路や装置の充電部はでき
るだけカバーなどで覆い、露出させないこと。やむをえず露出充電部が存在すると
きは、実験中人体や他の物体が容易に触れないような場所に配置する。扱うのが
100V , 200V で あ っ て も 軽 視 し て は な ら な い 。
8)高電圧
設備的な面からみた安全確保の要点は、接地、絶縁および離隔距離の三つである。
接地と絶縁の重要性についてはすでに述べた。高電圧に対する安全離隔距離には、
強電界による回路周辺の絶縁破壊や放電の発生、および静電誘導、電磁誘導の影響
が 考 慮 さ れ な く て は な ら な い 。 2.5kV で は 30cm、 50kV で は 1m 以 上 離 れ な い と
危険である。更に作業のしやすさ、実験中の安全性などを勘案して安全離隔距離を
決める必要がある。
高電圧実験では安全確保のため必ず複数人員でチームを構成する。万一事故が発
生した場合、適切な応急措置や事後処理を行うためにも必要である。
9)静電気
乾燥した室内で敷物や靴などにより大地から絶縁された人間が運動すれば、人体
に静電気が帯電し、接地金属に触れると火花放電を生じて電撃を受ける。人体電位
が 1.5kV 以 上 に な る と か な り 激 し い シ ョ ッ ク を 感 じ る 。 こ の シ ョ ッ ク を 緩 和 す る
ためには、鍵など人体と一緒に帯電した金属片を手に持ち、これで接地金属に触れ
て放電させる。直接指先に火花放電を受けないようにすればよい。
8.1.2
その他の電気による災害
電気実験において遭遇するおそれのある災害のうち、感電以外の主要なものについて
述べる。
(1)電気火災
電気機器や配線の加熱、漏電加熱は共に電気火災の主要因である。前者は当該設備の
電流、電力容量の増強や冷却効果の向上によって防止される。後者は絶縁の破損や老朽、
更に接地の不備のために生ずるから、絶縁抵抗の点検を行い、絶縁物の乾燥と表面の清
浄を保ち漏電を防止するのが基本対策である。
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電気接点の開閉や静電気による火花も、引火性気体や可燃性物質の存在する場合には
火災あるいは爆発の原因となる。
(2)回転機等による機械的災害
発電機や電動機など大きな機械エネルギーを持った回転器を操作する場合には、巻き
込まれないように実験時服装に注意を要する。裾の長い作業着やネクタイ等は着用しな
い。
複数人で共同実験を行う場合、スイッチの投入や機器の起動操作は必ず全員の確認を
とった上で行う。
(3)光線等による眼や皮膚の傷害
レーザ光線、赤外・紫外線やマイクロ波などは、眼や皮膚の傷害を引き起こす。特に
レーザ光線は眼に入らないように注意する。赤外線は光路が見えないので常に安全眼鏡
を着用する。紫外線や強い光は直視しないこと。直視する場合は必ず安全眼鏡を着用す
ること。
強いマイクロ波も火傷や眼の傷害を招く。充分な遮蔽を施すこと。
(4)化学薬品やガス等による傷害
材料の洗浄や処理のため種々の化学薬品やガスが用いられる。中には腐食性や毒性の
強いものもある。これらの具体的な取扱方については、当該実験室または研究室の責任
者 の 指 示 に 従 う こ と 。 な お 、 詳 細 は 第 7.2 節 お よ び 第 9.2.6 項 を 参 照 さ れ た い 。
(5)コンピュータ機器による電磁傷害と健康管理
最近コンピュータ機器に従事する作業者の健康管理がクローズアップされている。
CRT デ ィ ス プ レ イ や キ ー ボ ー ド な ど の VDT 機 器 の 使 用 に お け る 眼 や 心 身 の 健 康 管 理 な
ど、大学においても長時間コンピュータを操作する場合には充分な注意が必要である。
8.2
学生実験における安全
学生実験といえども、テーマによっては危険性の高いものもある。各自、安全性につ
いて充分配慮する必要がある。特に高電圧のかかる装置、機械的に強い力を発生する装
置 ( 例 え ば 回 転 機 )、 爆 発 の 危 険 の あ る も の 、 あ る い は 薬 品 な ど を 取 り 扱 う 場 合 に は 、
何段構えにもした安全対策と慎重な配慮が必要である。実験に臨むには、テーマにふさ
わしい服装を着用することも必要である。
電気情報システム工学科・知能情報工学科で設けている実験・演習のうち、電気情報
システム工学実験Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのテーマには直流電動機、誘導電動機などの回転機に関す
る 実 験 お よ び 絶 縁 破 壊 、 イ ン パ ル ス 電 圧 な ど の 高 電 圧 に 関 す る 実 験 ( 交 流 110kV、 直
流 200kV) が 含 ま れ て お り 充 分 な 注 意 が 要 求 さ れ る 。
ここでは、一般的な注意事項について述べる。個々のテーマについては、実験指導書
およびそのテーマの指導者の指示に従うこと。
(1)服装等に関する注意
実験に際しては危険防止に万全の注意を払い、指導者の注意をよく守り、実験台上及
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びその周辺の整頓に心がけ、実験にふさわしい服装をし、衣服が回転部分に触れたりし
ないように心掛ける。
(2)実験実施中の注意
実験は、漫然と機器等に触れるのではなく、熱心に、静粛に、傍観者がないように、
一致協力して行う。特に音響、臭気に注意し、異常を認めたら直ちに実験を中止し、原
因を調べると共に指導者に報告しその指示に従う。原因が明らかになるまで実験を進め
てはならない。
(3)配線、接続に関する注意
配線用電線、抵抗器類は、電圧および電流容量を考え、実験に適するものを使用する。
配線の変更や討議の時は、必ず電源スイッチを切って行う。
(4)高電圧、高圧コンデンサを扱う際の注意
高電圧を扱う実験で放電ギャップなどの充電部に接近したり触れたりする必要のある
ときには、電源が切れていることを必ず自分で確認すること。また、高圧コンデンサに
触れる場合には、電極間を必ず短絡すること。
8.3
各研究室における安全
(1)回転機を扱う場合の注意
1)安全確認と万一の場合の応急処置のため、複数人で実験を行うことが望まし
い。
2)裾の長い作業着やネクタイは、巻き込まれる恐れがあるため避ける。
3)できれば、万一の場合に備え、機器の周りに防護柵を設けることが望ましい。
4)スイッチの投入や機器の起動操作は、各メンバー間で確認の上で行う。
(2)高電圧を扱う場合の注意
1)安全確認と万一の場合の応急処置のため、必ず複数人で実験を行う。
2)実験内容、設備などは、実験に携わるもの全員が熟知していなければならな
い。
3)実験開始時の回路点検、接地棒の着脱、電圧印加時の喚呼、操作順序の厳守
など基本的ルールを励行する。
4)実験を一次中断するときは、必ず電源を遮断し、回路各部を完全に接地する。
特にコンデンサは接地棒をかけた状態のままに保つ。
5)不測の事態が発生したときは、直ちに所定の手順で電源を遮断、接地し、実
験を中断して指導者に報告し指示を受ける。
6)指導者に報告し指示を受ける暇がないときは、共同実験者が直ちに所定の手
順で電源の遮断、接地を行い、事態の把握に勤める。万一負傷者が生じたと
きは、救急車の手配と共に、人工呼吸、心臓マッサージなどの適切な処置を
構ずる。上記の応急処置後は、速やかに指導者に報告し、その後の指示を受
ける。
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(3)レーザを使用する場合の注意
1)レーザは通常の光と異なり、眼に入った場合に網膜上の一点に光のパワーが
集中するので、その部分の網膜が焼けて失明する。従ってレーザビームを直
接眼で見てはならない。
2)赤外線レーザの場合、光路が眼に見えないためなるべく保護眼鏡をかけるよ
うにする。
(4)化学薬品、ガス取扱の注意
第 7.2 節 お よ び 第 9.2.6 項 を 参 照
(5)地震災害に対する注意
1)背の高い物体、本棚、ロッカーなどは上部をアンカーボルトなどで壁に固定
する。
2)動かすのが困難な重量物も、アンカーボルトで床に固定する。
3)ボンベは太い鎖で壁に固定し、転倒を防ぐ。
4)薬品や危険物は、保管庫の下の方に修納する。
5)卓上で使用する高価な機器(顕微鏡、天秤など)は机に固定し落下による破
損を防ぐ。
6)ガスコンロ等の火をすぐに消し、出火を防ぐ。
(6)その他の注意
1)冷却水を使用する機器では、漏水に充分注意する。終夜運転中の漏水は特に
危険である。階下の機器等をすべて使用不能にし、莫大な損害を与える。
2)実験はなるべく昼間に行うことが望ましいが、事情によってどうしても実験
装置を終夜運転しなければならない場合は、停電や断水に対応するためにも
必ず機器の側に操作者が居なければならない。
8.4
最近の事故事例
発生場所:生産技術センター
発 生 年 月 : 平 成 16 年 11 月
発 生 状 況 :「 機 械 製 作 実 習 」 の 授 業 中 に お け る 溶 接 作 業 中 、 他 の 学 生 が 溶 接 後 の
スラグを除去除去しているとき、その作業を見ていた学生が、実習中はゴー
グル装着を義務付けられていたにもかかわらずそれを怠っていたため、右眼
にスラグの破片が入ってしまった。
処置状況:大学内保健室に行って保健室の指示により、日野クリニックに行き、
眼中の破片を除去してもらったが、以後、加療が必要であった。
防 止 対 策 :「 安 全 の た め の 手 引 き 」 に も あ る よ う に 、 実 習 中 の ゴ ー グ ル 着 用 を 義
務付けているが、口頭でもゴーグル着用を徹底させる必要がある。
111
付
付1
録
人工呼吸
人工呼吸は呼吸困難または呼吸停止した被災者の気道を確保し、呼吸を回復させるた
めに行う。救助者はなんら器具を使用することなく、どんな状況においても実施できる
のが特徴である。人工呼吸は呼吸停止 3 分以内に実施しなければ、蘇生後に後遺症を
残し、6分以上たつと心臓が停止して、蘇生の可能性が少なくなる。
人工呼吸は付図 1 の要領で行う。
付図 1
人工呼吸法
① 仰向けにして、首の後ろを持ち上げる。
② 相手の鼻をつまみ、口から息を吹き込む。
③ 心臓を 1 秒おきに 5 回押す。
交互に繰り返す
④ なるべく早く始め、息を吹き返すまで継続する
付2
心臓マッサージ
心臓マッサージは、被災者の胸部を露出させ、術者が被災者にまたがり、その心臓部
の上に両手掌を当てがって、術者の全体重を加えた後にこれを放す。以下この動作を繰
り返す。
112