はじめに、目次、第1章(PDF:1.5MB)

大津市
公共施設適正化計画
平成27年3月
大津市
は
じ め に
これまで本市では、高度経済成長とそれに伴う都市化や人口増加を背景とした行政需要の高ま
りにより、南北に細長い地理的条件のなか、全市均一な行政サービスの提供を目指し、公共施設
をはじめとする都市基盤の整備に取り組んできました。その結果、生活の利便性は大きく向上し
た一方で、多くの公共施設を保有することになりました。
しかし、今後はこれらの公共施設の多くが、数十年の間に老朽化し、更新の時期を迎えること
になります。さらに、少子高齢化の進行による人口構造の変化から、新たな市民ニーズへの対応
や社会保障費の増加など、公共施設を取り巻く環境の大きな変化が予想され、全ての公共施設を
現状のまま維持していくことが極めて困難な状況となることが予想されます。
そのため、本市では、公共施設の現状について理解を深め、広く議論していくことを目的とし
て、平成24年 6 月に「大津市公共施設白書」を公表しました。その後、将来を見据えた公共施
設のあり方について本格的な検討を開始し、平成26年3月には、本市の公共施設が抱える課題
や今後の公共施設マネジメントの考え方などを示した「大津市公共施設マネジメント基本方針」
を策定しました。
今後、持続可能な公共施設でのサービスを展開していくためには、公共施設を行政需要やニー
ズに合わせ、様々な角度から全体として維持可能な最適な状態に見直しを図っていく必要があり
ます。
本計画は、
「大津市公共施設マネジメント基本方針」の考え方を踏まえ、公共施設に関する諸課
題の解消に向けた取り組みを確実に推進していくための方向性や方策、施設分類毎の取り組みの
内容などについてまとめたものであり、これを基に、公共施設の適正化に向けた具体的な取り組
みを進めていきます。
<
目
第1章 計画の機能と位置づけ
次
>
・・・・・・・・・・・・・・
1
1 適正化を行う必要性について
1
2 適正化の検討について
4
3 計画の位置づけと役割
9
4 計画の策定における考え方と骨格
10
第2章 適正化を進めるための具体的な方策や取り組み
・・・・・・・ 14
1 適正化に向けた取り組み
14
2 地域ごとの適正化方策と検討施設
20
3 施設総量の適正化に向けた数値目標
31
4 施設分類別個別計画に向けた取り組み
36
第3章 推進体制と取り組みの検証
・・・・・・・・・・・・・・ 44
1 公共施設マネジメントの推進体制
44
2 適正化を進めるための地域等との調整
46
3 施設分類別の実施計画(個別計画)の作成
47
4 取り組み進捗管理(検証)とローリング
48
用語解説
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50
第1章
1
計画の機能と位置づけ
適正化を行う必要性について
(1)これまでの取り組み
本市では、公共施設に係る諸課題に対応するため、平成22年2月に策定した(新)大津
市行政改革プラン(前期)集中改革プランに「公共施設のあり方検討」を掲げ、公共施設マ
ネジメントの推進に向けた取り組みを開始した。
平成22年度からは、公共施設に係る検討を進めるため、公共施設の基礎調査を実施し、
市全体の建物状況や利用状況などをはじめとした、施設の現状や将来の更新コストなどの動
向を示した「大津市公共施設白書」
(以下「白書」という。)を作成し、現状の把握を進めな
がら、公共施設のあり方検討を進めてきた。
平成 26 年 3 月に策定した「大津市公共施設マネジメント基本方針」
(以下「基本方針」
という。)では、白書などを基に公共施設(建物)が抱える課題や、その解消に向けた考え
方や方向性、数値目標についてまとめたところである。今後は、基本方針に掲げた考え方を
基に数値目標などを達成し、時代を見据えた公共施設のあり方検討をはじめ、施設の保全・
長寿命化なども含めた公共施設の横断的なマネジメントを推進していくことが重要である。
これまでの主な取り組み
○公共施設白書の公表(平成 24 年 6 月)
施設状況の可視化、将来コストのシミュレーションなど
○施設所管課に対しヒアリングを実施(平成 24 年8月から9月)
白書を基にした所管部局の計画や考え方などの調査
○大津市公共施設マネジメント推進委員会の設置(平成 25 年 1 月)
学識者 3 人、市民 3 人から外部の意見を聴取するために設置
○公共施設マネジメント推進室の設置(平成25年4月)
推進体制の整備
○公共施設マネジメント基本方針(平成26年3月)
課題の明確化、考え方、進め方、数値目標の設定
○公共施設に関する市民意識調査の実施(平成 26 年 6 月から 7 月)
広く意見を聴取するため、市民 3,000 人に対して調査を実施
-1-
(2)適正化を行う必要性について
そこで今後、具体的な公共施設の検討を進めるにあたり、本市における公共施設の状況に
ついて整理すると、次のようなことがあげられる。
●南北に細長い地形の中で、全市均一的なサービスの提供を目指しながら、多く
の行政需要に対し、市民ニーズへの対応を図り利便性などを高めてきた。
●現在、本市における市民 1 人あたりの施設量は 3 ㎡強であり、一般的に望まし
いとされている水準(約2㎡)を上回っている。
●本市建物の老朽化は、20年後には全体の約9割が築30年以上の建物となり、
平成34年ごろには施設の建替え等に係るコストが急速に増加することが予想
される。
●本市の公共施設について、市民アンケートなどから見ると、現状の公共施設に
おいて、施設を使いたい思いはあるものの、様々な理由や要因によって利用で
きないなどの声がある一方で、稼働率等が低く利用状況が芳しくない施設があ
るなど、時代の変化に対し、必ずしも市民ニーズに応えられていない側面も見
られた。
このような中、基本方針において、公共施設が抱える諸課題について示してきたところ
であるが、仮に現在の施設全てを現状のまま維持し耐用年数を迎えた後、更新(建替え)
するとした場合の将来必要となるコスト試算を行ったところ、現在の公共施設に係る投資
水準(平成 22 年度から平成 24 年度の公共施設の建設、修繕に要した費用の年平均額)を
維持したとしても、以後60年間の年平均コストは、現在の約 1.5 倍となることが判明し
た。また、一般財源ベースで換算しても、将来必要となるコストの70%程度しか賄えな
いことが判明した。
将来コストの状況(歳出ベース)
160
今後、大きな
財政負担に!
4,500
修繕費
4,000
140
更新費
3,500
120
事業費(億円)
3,000
100
2,500
80
2,000
60
1,500
40
累計事業費(億円)
累計
1,000
H22~24年度
平均投資額
20
500
0
0
H25
H30
H35
H40
H45
H50
H55
H60
H65
H70
H75
H80
年度
約1.5倍
平成 25 年度から平成 84 年までの 60 年間の
66億円
将来コストは、歳出ベースで約 3,938 億円、
1年度あたり約 66 億円(平均)となり、一般
財源ベースでは、約 1,848 億円、1年度あた
42億円
(現在)
(将来コスト)
(現在) H22年度からH24年度の公共施設の整備と修繕に
要した経費の1年平均額
り約 31 億円(平均)となる。
(将来 今後60年間に必要となる施設の建て替えと修繕に
コスト) 要する試算額の1年平均額
-2-
また、今後の人口動向についても、しばらくはなだらかに増加する傾向であるものの、少
子高齢化に加え、生産年齢人口(15 歳から 64 歳までの人口)の減少が進行することが予
想されることから、将来の市民ニーズの変化を見据えた施設の検討が必要となる。
これらの課題に対して、このまま何もせず放置しておくと、以下のようなことが現実とな
り、大きな負担や問題を次の世代に引き継いでしまうことになる。
このまま放置しておくと・・・
<建物が危険な状態に>
<ニーズに対応できない>
<大きな将来負担に>
公共施設の維持保全に必要なお金
公共施設に係る資金不足から人口
全ての公共施設の維持、建て替え
が回せず、建物の老朽化に伴い、
動向など社会情勢の変化に伴う市
に多額の借金が必要となり、将来
安全が確保できない施設が増加。
民ニーズへの対応が不可能に。
今以上の住民負担が必要となる。
↓
↓
↓
相次ぐ施設の
使用禁止や閉鎖
建物事故の多発
低利用施設の増加
魅力ないまちへの変化
人口の流出を招く恐れ
財政収支の悪化
人件費などの削減
財政破綻の危険性も
大きな負担や問題のある資産を次の世代に引き継ぐことになる
そのため、時代の変化や将来のあるべき姿を踏まえ、量的な見直しを図るなど、将来コ
ストの縮減に向けた公共施設の適正化を進める必要がある。
本計画における適正化とは・・・
公共施設(建物)全体を、財政・サービス・運営面から最適かつ安全に維持可能
な規模・量・運営形態に見直すことをいう。
その上で、今後の本市における公共施設の諸課題を解決していくためには、施設の保全
や長寿命化を図りながら、限りある財源を有効に活用していく必要がある。
-3-
2
適正化の検討について
(1)本市の目指す公共施設の適正化
① 社会状況の変化に応じた検討
これまでの公共施設は、高度経済成長や人口増加に伴う行政需要の多様化や税収入の増
加を背景に、それぞれの行政分野や施策毎の需要に対応していくための地域サービスの拠
点として、行政分野毎にサービス圏域等を設定し、整備を進めてきた。
しかし、今後は、経済情勢や人口増加をはじめとした成長一辺倒(右肩上がり)の時代
から、経済情勢は不透明で、人口についても減少や少子高齢化などの進行が見込まれる成
熟社会といわれる時代へ移行していく。生産年齢人口の減少など、税収入の大幅な増加が
見込めない中で、社会の状況や変化に対応した持続可能な都市経営を実現していく必要が
ある。
このような状況の中で、市民にとって魅力あるまちを維持していくためには、これまで
の行政分野毎の市民ニーズや需要への対応だけではなく、全市横断的な視点から効率的か
つ的確に対応していく必要があり、公共施設についても、全市的な視点からそのあり方を
考え、
「造る」ことから「賢く使う」ことへ転換していく必要がある。
これまで
これから
高度経済成長の時代
成熟社会(人口減少時代)
ニーズごとの行政需要に対応
持続可能な都市経営を踏まえた対応
② 数値目標の達成に向けた進め方
公共施設の諸課題に対応するため、基本方針において、将来コストの30%に相当する
財源不足を解消する数値目標を掲げたところであるが、特に30%に相当するコストを縮
減するという数値目標は非常に厳しいものである。そのためには、施設におけるサービス
提供のあり方やサービスそのものの見直しなど、様々な工夫や知恵を絞りながら対策を講
じていく必要がある。
また、公共施設の適正化を進めていくためには、利用者や地域住民との合意形成が不可
欠であり、継続的な検討が必要となるものも考えられることから、基本方針の考え方を基
に、すみやかに具体的な取り組みを計画していく必要がある。
そこで、まず公共施設の適正化の考え方や進め方、検討の方向性を示し、将来のあるべ
き姿をイメージしながら、公共施設の課題解消に向けた取り組みを、全市横断的に方針決
定し進めていく。
-4-
③ 本市の目指す適正化のイメージ
近年では、社会状況の変化に伴い、これまで市が主体となって公共施設を整備し提供し
てきたサービスを、民間等でも実施する分野が増えてきた。
市民アンケートにおいても、選択と集中の視点に立ち、限られた税金を市でなければで
きないことに活かすべきとの声も多くあった。
そこで、本市における適正化については、時代の変化や需要の状況に適応し、サービス
の規模的な見直しを行うとともに、既存サービスに加え新たなサービス需要に対しても、
コスト縮減に向けた工夫を図る。また、民間等が主体となって提供することが可能なもの
については、可能な限り公共施設以外の場でも利用できるようにしていくなど、サービス
全体として水準の維持・向上を図りながら、公共施設の総量およびコストの縮減を目指し
ていく。
(サービス全体)
市提供の
サービス
サービスは
維持・向上
[公共施設]
(サービス全体)
公共施設は
総量削減
適
正
化
の
進
展
廃
止
新
た
な
サ
ー
ビ
ス
市提供の
サービス
PPPによる
新たな運営管理
手法も可能
[公共施設]
(サービス全体)
廃
止
民間
代替
市提供の
サービス
地域
連携
[公共施設]
民間や地域も
サービス提供
-5-
新
た
な
サ
ー
ビ
ス
時代の変化に
適切に対応
④ 適正化による目標達成のイメージ
基本方針で示した数値目標は、持続可能な公共施設でのサービスを提供しつつ、将来世
代に大きな負担を残さないよう、将来コストの30%を縮減することであり、その達成手
法として、
「延床面積の削減」と「その他コストの縮減」の2つの方策を掲げ、取り組ん
でいくものである。
その中で、延床面積の削減については、目標達成の期限とした今後30年の間に、施設
総量の半数が耐用年数を迎えることから、数値目標の約半分の15%部分の縮減を目指す
ものである。ただし、面積の削減については、時代の変化に適切に対応していくことが重
要であるため、施設全体としての総量削減を図る必要はあるが、全ての施設で一律に面積
を削減するのではなく、施設の種類や提供サービスによっては、需要の増大や新たなニー
ズへの対応も必要なことから、面積が増える施設があることも想定している。
一方、その他コストの縮減については、修繕、更新工事の実施や日常的な維持管理、事
業運営に際して、様々な工夫や知恵を積み重ねることにより、あらゆる費目でコスト縮減
を目指していくものとする。
目標
⇒ 「将来コストの30%縮減する」
面積、コスト 15%減
の内訳は?
▲30%
現在
30 年後
①公共施設の延床面積を 15%削減
◎延床面積
・全施設で一律に面積削減ではなく、総量の削減を目指す
・現在及び今後の状況変化に的確に対応し、ニーズ増加に
対応するため、面積を増やす施設も出てくると想定
(※新たなサービスを提供する施設整備の可能性もあり!)
+
面
積
増
減
量
高齢者
施設
子育て
施設
新たな
サービス
○施設
幼稚園
●施設
小中学校
住宅
-
②事業手法の見直し、新たな財源確保等により、15%分のコスト縮減
◎コスト
・あらゆる費目でコスト縮減を図る
・修繕費、更新費については、将来コストの試算結果に対し、
その他の費目については現状の水準に対しての縮減を図る
+
コ
ス
ト
縮
減
額
【修繕・更新費】
修繕費
更新費
【維持管理費】
光熱水
保守
費
点検費 ●●費
PPPの活用、
新たな財源確保
etc
-
-6-
【事業運営費】
業務
委託費
人件費
(2)公共施設適正化の進め方
① 適正化の進め方
これまで、事務事業をはじめとした政策の推進においては、統一的な実施計画を策定し、
Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Act(改善)からなる PDCA サイクルなどを用
い、業務を改善してきた。しかし、公共施設適正化の取り組みは、多くの行政分野に影響
を及ぼすとともに、長期間にわたり、また、事務事業のように同じ活動を毎年繰り返すも
のではなく、異なる施設や地域を対象として施設分類別の実施計画(個別計画)を策定す
ることになる。したがって、個別計画の策定にあたっては、行政分野毎に横断的な視点か
ら連携を図るとともに、時代の変化に合わせて柔軟に対応しながら確実に全体の目標に向
かって進めるよう、実行に先立ち、より的確な方向性を示していくことが重要になる。
そのため、まず現状を把握した上で、全体の目標及びあるべき姿や考え方を共有し、そ
れらに基づき各分野の関係各所との調整を行い、必要な修正等の改善を加えることで的確
な個別計画を策定し、具体的な取り組みを実行する。そして、再び現状の把握から始め、
全体の目標設定の順でマネジメントサイクルをまわしていくことが必要である。
現状の把握
実行
目標
改善
調整
-7-
② 適正化の今後の展開
公共施設の適正化を実現するにあたっては、先に述べた現状の把握から目標、調整、改
善、実行からなるマネジメントサイクルに沿った取り組みを進めていく。
本市では、これまでに現状の把握として白書を作成し、今後の考え方や目標を示す基本
方針を策定してきたところである。これを基に目標を達成するための方策などを本計画で
示すとともに、「将来のあるべき姿」を踏まえた最終的なゴールについて庁内で共有し、
公共施設適正化のための個別計画の策定、実行などに取り組んでいく。
現状の
把握
大津市公共施設白書
大津市公共施設マネジメント基本方針
数値目標 将来コスト30%縮減
目標
考え方
と目標
の設定
施設量
15%削減
■適正化計画の策定
基本方針を踏まえ、課題
解消や目標を達成するた
めの道筋
調整
改善
実行
計画実
行段階
地域の特性等を考慮し、
より実現性を確保して
いく。
コストベース
15%縮減
■将来配置素案の検討
あるべき姿を創造する
[将来配置素案(たたき台)]
共有・調整
住民との方向性を整える
目標とすべき状況の設定
[将来配置原案]
適正化計画を踏まえた
個別計画の策定、実行
状況変化を踏まえたあ
るべき姿の見直し
-8-
取り組み結果や、
状況変化を踏まえた
適正化計画の見直し
3
計画の位置づけと役割
本計画は、公共施設の適正化を推進するための施設分類別の実施計画(個別計画)策定に
向け、全庁的に共有すべき考え方や方策、今後の公共施設マネジメントを推進するために必
要となる仕組みを示すものであり、公共施設マネジメントの基本的な方向性を示す『大津市
公共施設マネジメント基本方針』と、各施設で策定する『個別計画』をつなぐ役割を果たす
ものとして策定するものである。
今後は、各施策との整合性を図りながら、将来のあるべき姿とそれに対応した保全や長寿
命化の考え方を踏まえ、個別計画を策定し、取り組みを実行していく。
さらに、市全体の公共施設の適正化の観点から、全体目標に対する進捗状況や公共施設を
取り巻く環境を踏まえ、定期的に検証・見直しを図っていくものとする。
現
状
把
握
大津市公共施設白書
大津市公共施設マネジメント基本方針
課題の整理
考
え
方
と
目
標
の
設
定
これら課題を解消し、将来世代に大きな負担を残さないための考え方と目標の設定
今後の考え方と目標
基本方針
数値目標
マネジメント方針 5項目
将来コスト 30%縮減
面積15%
取り組み方針 18項目
コスト15%
基本方針で示した考え方を基に、数値目標を達成していくための実施方策など・・・
大津市公共施設
適正化計画
実
施
計
画
30年後
将来配置
施設分類別のあり方(機能)検討
保全計画
方針OR指針
施設分類別の実施計画の作成
個別計画
・・・
○○施設
個別計画
反
映
○○施設
長寿命化計画
取り組み開始
公共施設の適正化
-9-
評価・検証
ロ
ー
リ
ン
グ
4
計画の策定における考え方と骨格
(1)公共施設の考え方
公共施設は、義務的に設置する必要のある学校施設を含め、住民へ公的なサービスを提供
することを目的に整備された場所であり、これらの建物を通じて、様々な住民サービスや福
祉の向上を図ってきた。
しかしながら、近年では、企業やNPO等の行政以外が公共サービスの実施主体となるこ
とがあるなど、公的なサービスの提供手法や枠組みが変化してきている。今後、時代の変化
に応じた公共サービスを効率的、効果的に提供していくためには、行政によるサービス提供
だけでなく、行政の関与の必要性を踏まえながら、民間活用なども含めた公共施設でのサー
ビス提供について考えていく必要がある。
そこで、公共施設の適正化の検討にあたっては、次に掲げる『「場をつくる」⇒「場所を
つくる」⇒「使い方を変える」
』というプロセスを踏まえ、施設そのものについて、今一度
考えていく必要がある。
(そもそも、公共施設とはどのようなものか?)
●第一に、住民などが活動できる場やニーズ、社
会情勢に応じたサービスを提供するため、必要
な機能を提供する場をつくることが目的。
公共でも民間でも
場をつくる
すでに民間により提供されている場はどうか?
●その中で公共が場所をつくる必要があるもの。
公共で必要なら
場所をつくる
どうしても公共で設置する必要があるのか?
有効に使うために
●現在、公共施設として使われている施設につ
いても市のやるべきことを明確化し、最大限に
「
使い方を変える
活用する。
有効に使うために制限されている機能は?
また、公共施設におけるサービス提供の方法については、ストック(建物)、施設維持、
施設運営の各サービス段階で様々な手法があり、公共施設の適正化(施設配置の将来像)を
検討するうえでは、
「保有形態」
、「運営形態」、「利用形態」、「集約化・複合化」など多面的
に見ていくことも必要となる。
- 10 -
建
所 有
物
共
用
維持管理
直
運営
営
PFI
【側面】
貸借(民間)
PPP(公民連携)
指定管理者
SPC(法人化)
民 間
市民協働
直 営
その他
[考え方]
サービス提供そのものや、使用する建物そのもの
保有形態
について、社会情勢や民間の実績を踏まえ、どの
ような形態がよいか。
市としてサービス提供を続ける場合、コスト縮減
運営形態
とサービスの質を両立させるためには、どのよう
な運営形態がよいか。
少子高齢化の進行等に伴う市民ニーズの変化を
利用形態
形態
踏まえると、根拠法令等で利用者が限定された施
設を、どのように利用機会を拡大し、有効利用し
ていくのがよいか。
施設をどのように魅力を高めていくか。
集約化
複合化
集約化、複合化については、単なる施設の寄せ集
めではなく、これまでにない利便性や付加価値の
向上につなげられないか。
- 11 -
(2)適正化検討の視点
次に、適正化の検討においては、これまでに掲げた考え方を基に、先に策定した基本方針
の「マネジメント方針(5項目)
」及び「取り組み方針(18項目)」も踏まえながら、次の
観点に着目して進めていくことも必要となる。
方針Ⅰ 適正配置と総量の適正化
商業的な
施設は?
地域にできる
ことは?
運営形態
保有形態
サービス提供主体の見直し
民間等による提供実績のある機能やサービスは、
市で抱え続けなくても良いのでは?
少子化だけど
保育所は一杯
保有形態
利用形態
運営形態
名前は違うけど
サービスの
違いは何?
市民ニーズ等の状況変化への対応
整備した時点から状況が変化している(見込まれる)施設は、今後のあ
り方を見直さなければ問題が生じるのでは?
また、コストをかけずに新たなニーズに対応する工夫も必要では?
高齢化への
対応は?
集約化
複合化
用事が一度で
済ませられて
便利!
集約化や複合化等による魅力の向上
施設総量の削減という後ろ向きの対応だけではなく、
集約化や複合化等による利便性向上や付加価値の提供など、
施設の魅力を高める前向きな取り組みも必要では?
みんないるから
子どもも安心!
地域のつながり
や世代間の交流
が増えた!
方針Ⅱ コストの縮減
保有形態
運営形態
市の職員が対応
してくれないと
困ることは?
民間ノウハウ等の活用
民間でも
うまくやれれ
ば
コスト削減と質の高いサービス提供の両立を図るため、
運営も含めて民間を積極的に活用すべきではないか?
方針Ⅳ まちづくり
集約化
複合化
将来のまちづくりを見据えた施設配置
コンパクトなまちづくり、防災拠点の確保など、
これからのまちづくりを意識した施設配置を検討すべきでは?
町が狭いから
施設をまとめた
ほうが便利だ
- 12 -
集落が散らばって
いるから拠点が
2箇所は必要
(3)計画の骨格
これまでに掲げた計画の位置づけと役割、考え方などを踏まえ、本計画の骨格を「施設分
類別の実施計画(個別計画)の策定に向けた取り組み方策・考え方」と「公共施設マネジメ
ントを推進するためのしくみ」とし、個別計画の検討につなげていくものとする。
各項目の概要は次のとおりである。
個別計画の策定に向けた取り組み方策・考え方
●適正化に向けた取り組み(共通方策)
・適正化方策の推進において目指すべき姿
・適正化に向けた具体的な方策
●地域ごとの適正化方策と検討施設
・地域における検討の方向性と検討時期
●施設総量の適正化に向けた数値目標
・全体目標を達成していくための施設分類別の目標設定
●施設分類別個別計画に向けた取り組み
・施設分類別の行動指針
公共施設マネジメントを推進するためのしくみ
●推進体制と取り組みの検証
・庁内横断的な推進体制と取り組み進捗の検証のしくみ
・地域等との適正化を進めるための調整
《計画と今後の取り組みの関連図》
適正化計画の構成
公共施設マネジメントの推進
適正化に向けた取り組み
対話・調整
適正化方策の推進にあたり常に意識しておく
適正化方策の推進において目指すべき姿
30年後
将来配置
素案
30年後
将来配置
原案化
地域
各施設分類毎に検討する手法を定めた
庁内
適正化に向けた具体的な方策
地域ごとの適正化方策と検討施設
方針決定
施設総量の適正化に向けた数値目標
分
類
別
の
あ
り
方
施設分類別個別計画に向けた取り組み
推進体制と取り組みの検証
個別計画
○○施設
個別計画
○○施設
施設所管部局
- 13 -
取
り
組
み
開
始
評
価
・
検
証