2015年3月30日号(PDF/317KB)

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2015 年 3 月 30 日
豪州主要経済指標
経済指標・イベント
2 月 技術職求人(前月比)
今週の注目点
直近
前回
日付
経済指標・イベント
0.20%
0.40%
4月2日
貿易収支(単位:百万豪ドル)
前回
市場予測
-980
-1,300
金融市場・原油・為替
指数等
S&P/ASX200 指数
2015年03月27日時点
2015年03月20日時点
前週比
2014年03月27日時点
前年比
5,919.94
5,975.49
-0.9%
5,350.09
+10.7%
1,309.7
1,335.5
-1.9%
994.7
+31.7%
豪州 90 日バンクビル利回り
2.23%
2.30%
-7bps
2.68%
-45bps
豪州債券 10 年物利回り
2.41%
2.38%
+2bps
4.08%
-168bps
豪ドル円
92.35
93.34
-0.99
94.62
-2.26
豪ドル米ドル(セント)
77.52
77.75
-0.23
92.59
-15.07
64.5
63.8
+0.7
71.1
-6.6
S&P/ASX200 不動産投信
豪ドル TWI
先週の主な話題
先週の株式市場は値動きの荒い展開となりました。その要因は、米連邦準備制度理事会(FRB)の動向を巡る不透明感、米国テクノロジー株に
対する利益確定の動き、米国 3 月期決算シーズンを前にした様子見姿勢の強まったこと、サウジアラビアによるイエメンに対する空爆への警戒
感やギリシャを取り巻く不確実性等々、株式市場には下押し圧力が掛かりました。米国株(-2.2%)、欧州株(-1.3%)、日本株(-1.4%)、豪州株
(-0.9%)が軒並み下落した一方、中国株(+2%)は追加緩和観測に支えられ、辛うじて上昇しました。債券利回りは僅かに上昇しました。米ドル
が小幅に下落し、原油及び金価格が上昇する中、豪ドルは一時 0.78 米ドルの水準を突破した後、やや下落して週末を迎えました。
イエメン情勢については、警戒すべきなのでしょうか。いいえ、その必要はありません。中東では、紛争が勃発する度に、原油供給の途絶や危
機拡大に対する警戒感が高まり、その結果、原油価格の急騰や投資家心理の悪化につながっています。今回、イランが支援するイエメンのイス
ラム教シーア派の武装勢力に対し、サウジアラビアが空爆を行いましたが、これも例外ではありません。イエメンの産油量はごく少量ですが(日
量 12 万 5,000 バレル程度)、その国境は重要な航路であるバブ・エル・マンデブ海峡に面しています。世界の原油生産量の約 5%が同海峡経
由で日々輸送されているため、一部ではその封鎖を危惧する声が出ており、またそれ以上に、イエメンでの混乱が「サウジアラビア(スンニ派)対
イラン(シーア派)」の対立へ拡大するのではないかとの警戒感が広がっています。もちろん、イエメンを巡って様々な事態が発生し、原油価格が
今後、短期的に急騰する可能性があります。とはいえ、今回の件が深刻な問題を招くとは考えられません。なぜなら、サウジアラビアはイエメン
での地上戦に突入する意志はなく、原油価格を低水準に留めるために中東におけるイランの影響力を抑制することが同国の最大の狙いだと思
われるためです。従って、サウジアラビアは、生産量の拡大を図り、原油価格の上昇を阻止するとみられます。そのため、イエメンを取り巻く混乱
は、中東問題の一端に留まる見通しです。
世界経済指標
米国の経済指標は強弱交錯し、FRB 内のタカ派・ハト派勢力の双方にとって意味のある内容となりました。タカ派的には、住宅販売件数ならび
にマークイット発表の 3 月の製造業・サービス業購買担当者景気指数(PMI)が力強い結果となったほか、新規失業保険申請件数が減少、ミシ
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ガン大学消費者信頼感指数は予想以上に改善しました。これに対して、ハト派的には、おそらく米ドル高の打撃を反映した結果、耐久財受注が
一段と減少したことが注目されました。一方、コア消費者物価指数(CPI)は僅かながら予想を上回り、インフレ圧力が加速したとの確信につなが
る可能性もありますが、この結果から多くのことを導き出すのは早計でしょう。概して、FRB が年内の利上げに向かっているとの印象に変わりは
ないものの、開始の時期については、6 月よりも 9 月に傾いていると思われます。イエレン議長は講演で、「年内の利上げが想定されるものの、
そのペースは緩やかになる可能性が高い」と述べ、新たな手掛かりは示唆されませんでした。
ユーロ圏の経済指標は引き続き明るい内容となり、製造業及びサービス業の PMI は更に上昇しました。特に総合指数は 2011 年 5 月以来の
高水準を付け、また、マネーサプライ及び銀行融資も一段の増加がみられました。これらの結果はいずれも、ドイツ、フランス、ベルギーにおける
企業景況感指数の改善ならびにユーロ圏消費者信頼感指数の継続的な上昇と整合的です。なお、ユーロ圏の株式は、極めて魅力的なバリュエ
ーションを維持しています。
ユーロ圏及び米国の PMI が堅調な結果となった一方、日本の野村・JMMA 製造業 PMI は予想に反して悪化しました。とはいえ、その他の日
本の経済指標はまずまずの内容となり、家計調査による消費支出が予想を上回ったほか、失業率は僅かに低下、有効求人倍率は 23 年ぶりの
水準に上昇、中小企業景況判断指数も改善しました。しかしコア CPI は低水準に留まり、消費増税の影響を除けば前年比+0.3%程度となりま
す。日銀は一層の対応に迫られるとみられ、それに伴い円安が進むと考えられます。
中国でも、3 月の HSBC 製造業 PMI 速報値が予想以上に低下しました。但し、依然として直近 4 年間のレンジ(48~52)に収まっており、懸念
材料ではありません。一方で、今回の結果は「中国の経済成長が年初来低調であり、追加の金融緩和が必要になる」との見方を強化しています。
中国人民銀行(PBOC)は現在、1 年物貸出基準金利を 5.35%としていますが、年内に 4%程度まで引き下げる見通しです。
全体的な印象として、世界経済の成長は継続しているものの、依然としてトレンド以下であり、また各国の PMI の結果から明らかなように、成長
のペースには格差が生じています。
豪州経済指標
豪州の金融システムは強固ですが、多少のリスクも存在します。豪州準備銀行(RBA)は半期に一度発表する「金融安定化報告(FSR)」の中で、
家計向けの与信及び企業部門の融資に関するリスクが比較的抑制されているなど、金融システムが健全な状態にあることを述べました。但し、
大都市圏における住居用不動産価格及び住宅投資向け融資に対する警戒感が解消されないことに加え、商業用不動産に伴うリスクがあること
も指摘し、銀行が融資基準を維持する必要性が強調されました。直近の RBA 理事会でも、この FSR の内容が取り上げられたものの、金融政
策のスタンスとしては緩和バイアスが維持されました。そのため、弊社ではこれまで通り、RBA が豪州経済全体の底上げを図るべく、今後数ヶ
月以内に追加利下げを実施するとみています。銀行の融資基準の監督機能は、引き続き、豪州健全性規制庁(APRA)に託されることになりま
す。
商業用不動産の投資利回りについては、賃料に対して不動産価値が上昇していることから低下傾向にありますが、注目すべき点として、国債
利回りとの格差が依然として世界金融危機前の水準を大幅に上回っており、歴史的にみても非常に拡大した水準となっています。もっとも、住
居用不動産の投資利回りについては、同様の傾向は確認されません。
今週の注目点
米国では、米供給管理協会(ISM)の 3 月の製造業景況指数(水曜日)が焦点となり、悪天候の影響を受けた 2 月と比較して、小幅ながら改善
する見通しです。また 3 月の雇用統計(金曜日)では、雇用者数が 25 万人と堅調な伸びを示し、失業率は横ばいの 5.5%となる見込みです。
他方、個人消費支出(PCE コア・デフレーター、月曜日)は、FRB が重視するインフレ指標ですが、低水準に留まると予想されます。このほか、
中古住宅販売仮契約指数(月曜日)、S&P/ケース・シラー住宅価格指数(火曜日)、コンファレンス・ボード消費者信頼感指数(火曜日)、貿易収
支(木曜日)が公表予定となっています。
ユーロ圏の 3 月の消費者物価指数(火曜日)は、(少なくとも現時点で確認される)エネルギー価格の底打ちを背景にデフレ圧力の緩和を示す
とみられ、また失業率(火曜日)は緩やかな低下基調を維持する見通しです。各種信頼感指標(月曜日)は、PMI の着実な改善を裏付ける結果
となるかどうかに注目が集まるでしょう。一方、ギリシャは、金融支援を受け取る条件として、財政改革の詳細を提出する予定となっています(お
そらく月曜日)。ギリシャが新たな支援を受け取る必要性に迫られる中、ユーロ圏の財務相が改革案に対してどのような反応を示すかが焦点と
なります。
日本では、2 月の鉱工業生産(月曜日)及び 3 月期の日銀短観(水曜日)が発表予定であり、昨年の消費増税に伴う景気後退を経て、回復を示
す兆候が引き続き確認できるかどうかが焦点となります。
中国国家統計局発表の 3 月の製造業 PMI(水曜日)は、発表済みの HSBC の製造業 PMI(速報値)と比べて若干低下するとみられ、追加緩和
の正当化材料が増えるでしょう。
豪州では、引き続き、投資家向け住宅ローンが牽引役となり民間部門信用(火曜日)が増加、HIA 新築住宅販売件数(火曜日)は底堅く、住宅建
設許可件数(水曜日)は記録的高水準となった 1 月の反動から 2%の減少が予想されます。また RP データ・リスマーク発表の 3 月の住宅価格
指数(水曜日)はシドニーでの伸びを受けて小幅ながら更に上昇、他方、貿易収支(木曜日)はコモディティ価格の下落を背景に一段の悪化が見
込まれます。このほか、AIG の製造業 PMI 及び求人件数も公表予定となっています。
政治面では、3 月 28 日土曜日実施のニューサウスウェールズ(NSW)州議会選挙に関して、現政権の存続可能性に大きな関心が集まることは
確実でしょう。経済面からみて重要なのは、連邦政府のインフラ資産リサイクル・プログラムの実施動向です。現時点で、このプログラムを大々
的に実施するのは NSW 州のみとなりましたが、その行方は、現政権が勝利を収め(世論調査は勝利を示唆)、上院で「電力民営化」への十分
な支持が得られるかどうかにかかっています(この点についてはやや不透明です)。
相場見通し
株式市場では、FRB の利上げ開始観測が引き金となり、年内にある程度の調整局面を迎える可能性が高いと考えられます。とはいえ、株式市
場は上昇トレンドを維持する見込みです。その理由として、特に債券との比較において株式のバリュエーションが好水準にあること、経済成長が
続いていること、緩和的な金融政策が維持される見通しであり、欧州、日本、中国及び豪州では一段の緩和が見込まれ、米国の引き締めサイク
ルの進行はごく緩やかであることが挙げられます。従って、株式市場のリターンは今年もまずまずのものとなりそうです。特に、ユーロ圏、日本、
アジアの一部の株式がアウトパフォームするとみられます。
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低水準の債券利回りは、ソブリン債のリターンが中期的に低調となる可能性を示していますが、過度の預金、過剰生産能力、デフレリスクがみ
られる世界で、債券に対して過度に弱気の見方を取ることは難しいといえます。
直近の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合のハト派的なメッセージを契機として、豪ドルはそれまでの反動で(対円及び対ユーロで)上昇しま
したが、先週の動きはそれほどでもありませんでした。より長期的なトレンドとしては、豪ドル安が続くと予想されます。というのも、FRB が年内に
利上げに踏み切る見通しである一方、RBA は利下げスタンスを維持しており、コモディティ価格も長期的にみて下落傾向にあるためです。豪ド
ルは今年、0.70 米ドルまで下落するとみられ、向こう数年間では 0.60 米ドルという行き過ぎの水準に達することも想定されます。
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