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差木地の大クス・観音堂
【さしきじのおおくす・かんのんどう】
所在地:差木地 2
差木地入り口バス停からの道は境内の横手に当たっている。参道は海沿いの道にあり、そ
の道を進むと広場がある。そこには東福寺という寺院があったが、大正の初め頃焼失してし
まった。東福寺跡の広場に数体の地蔵尊や墓石があるのは、古い墓地の名残である。その広
場から石段を上ったところが観音堂である。中には、大きな鈴、数条の布きれ、賽銭箱、中
段中央に厨子があり、御本尊は如意輪観音、左側に二基の古い位牌がある。観音堂へと続く
石段左側に大日如来、それをお守りするように石像の狐が一対左右に坐っている。この大日
如来は宝冠をかぶり、智拳印を結んで台座の上に坐っている。
大クスは、緩く南に面する境内の中で、ツバキ林に囲まれて生育している。クスノキ科に
属するタブノキ(1)で、イヌグスとも称される。この大クスの太い幹は、低い位置から大枝に
分岐しているが、中央の大枝に折れた痕跡がある。中央に存在した主幹が折れたことにより、
幹周の大きさに対して樹高がやや低目となっているものと考えられる。幹の太さから樹齢
800 年以上と推定される伊豆諸島最大クラスのクスノキである。
(1) タブノキは常緑高木で、一般に高さ 15m、幹の直径 50~60cm となり、時に高さ 25m、
直径 2m に達するものもある。シイ類、カシ類とともに暖帯林(2)を代表する樹種の一つ
で、本州、四国、九州などに分布。特に沿海地に林を形成する。
(2) 暖帯に発達する森林。カシ、シイ、クスノキなどの常緑広葉樹を主とする。