栃木労働基準監督署 Press Release 平成27年3月24日 栃木労働基準監督署 (担当)次長 菅又 正太郎 (電話:0282-24-7766) (夜間:0282-24-7798) 報道関係者 各位 労働基準法違反(違法な時間外労働及び 労働基準監督署への虚偽報告)の疑いで書類送検 栃木労働基準監督署(署長 小野寺 利公)は、本日、株式会社ダイヤモンド観光及び 同社代表取締役並びに同社から委任を受けた社会保険労務士を、労働基準法違反の疑い で、下記のとおり宇都宮地方検察庁栃木支部に書類送検した。 記 1 被疑者 (1)株式会社ダイヤモンド観光 所 在 地:栃木県佐野市村上町380番地2 事業内容:バス業 (2)同社代表取締役 A (3)社会保険労務士 B 2 違反条文 労働基準法違反 (1)株式会社ダイヤモンド観光について 労働基準法 第32条第2項(法定労働時間) 同 法 第104条の2第2項(報告) 同 法 第119条第1号(罰則) 同 法 第120条第5号(罰則) 同 法 第121条第1項(両罰) (2)被疑者代表取締役Aについて 労働基準法 第32条第2項(法定労働時間) 同 法 第104条の2第2項(報告) 同 法 第119条第1号(罰則) 同 法 第120条第5号(罰則) 刑 法 第60条 (3)社会保険労務士Bについて 労働基準法 第104条の2第2項(報告) 同 法 第120条第5号(罰則) 刑 法 第60条 同 法 第65条 (※ 3 適用条文については別紙のとおり) 事件の概要 株式会社ダイヤモンド観光はバス事業等を営み、平成24年当時は、ツアーバス企画会 社が催行するバス運行のほか、個別の顧客からの注文によるバス運行等を実施していた。 ●第一の犯罪(違法な時間外労働) 株式会社ダイヤモンド観光代表取締役Aは、平成24年7月13日から平成24年9月 15日までの間、同社の労働者2名に対し、1日の法定労働時間である1日8時間を超え、 さらに、労働基準法第36条第1項に基づく時間外労働に関する協定(※)で定めた、1 日に延長することができる時間である4時間を超えて、延べ93回にわたり、1日につい て13分乃至4時間20分労働させたもの。 (※)時間外労働に関する協定とは、労働者に法定労働時間(原則 1週40時間、1 日8時間)を超えて労働させるときに、労使間で締結する協定。当該協定において 定めた延長時間の範囲内で、法定時間外労働を行わせることが可能となる。 ●第二の犯罪(虚偽報告) 当署労働基準監督官Cは、株式会社ダイヤモンド観光に対する監督指導において指導し た事項への対応状況を確認するため、同社代表取締役Aに対し同状況の報告を求めたが、 同人は社会保険労務士Bと共謀し、株式会社ダイヤモンド観光に在籍する労働者2名の平 成24年6月30日から同年7月30日まで間の労働日数について、真実は各人の合計が 25日または27日であったのに、この合計が17日または19日とする内容の書面を提 出し、労働基準監督官Cに虚偽の報告をしたもの。 4 捜査着手の端緒 平成24年9月23日に脳疾患により死亡した株式会社ダイヤモンド観光の労働者D (男性、死亡時年齢44歳)の遺族から、平成25年9月5日に労災補償の請求手続がな された。これを受け同労働者の労働の実態を調査するなかで、違法な時間外労働が判明す るとともに、平成24年度中に実施した、当署労働基準監督官から株式会社ダイヤモンド 観光に対する労務管理の改善に向けた指導について、虚偽の内容による対応状況の報告が なされていたことが判明。これら法違反について、事件として捜査に着手したもの。 なお、労働者Dに係る労災補償については、調査の結果、平成26年3月17日、労働 者Dが長時間労働を原因とした業務上災害で死亡した旨の、当署長の決定がなされている ものである。 ●労働基準法(昭和二十二年四月七日法律第四十九号) 第三十二条(労働時間) 第二項 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時 間を超えて、労働させてはならない。 第三十六条(時間外及び休日の労働) 第1項 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合において はその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半 数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第 三十二条…(略)…の労働時間…(略)…に関する規定にかかわらず、その協定で定める ところによつて労働時間を延長…(略)…させることができる。…(略) 第百四条の二(報告等) 第2項 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、使用者又 は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。 (罰則) 第百十九条 次の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰 金に処する。 一 (略)…第三十二条…(略) 第百二十条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。 五 第百四条の二の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた 者 第百二十一条 この法律の違反行為をした者が、当該事業の労働者に関する事項について、 事業主のために行為した代理人、使用人その他の従業者である場合においては、事業主に 対しても各本条の罰金刑を科する。ただし、事業主(事業主が法人である場合においては その代表者…(略)…)が違反の防止に必要な措置をした場合においては、この限りでな い。 ●刑法(明治四十年四月二十四日法律第四十五号) (共同正犯) 第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。 (身分犯の共犯) 第六十五条 犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であ っても、共犯とする。
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