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週刊原油
世界の原油情報がここに凝縮されています。
毎週木曜日午後発行
NY原油価格反発
発行日
:
2015/3/26
25日のNY原油5月限は+1.70ドル高の49.21ドル。ICE北海ブレント原油5月限は+1.37ドル高の56.48。
米エネルギー情報局(EIA)統計での予想以上の原油在庫増加なども、原油生産の伸びが鈍化したことや対ユーロ
でのドル下落などを背景にした動きに支えられ、期近は9日以来の水準へ一段と上昇した。5月限は、夜間取引では
一時、47.00ドルへ下落。米石油協会(API)統計での原油在庫増加などが嫌気されるも、その後は3月の独企業景
況感指数が5カ月連続して改善したことなどを背景にした対ユーロでのドル下落に反応し切り返した。米東部夏時間
午前10時30分に発表されたEIA統計では、原油在庫と受渡場所となるオクラホマ州クッシング原油在庫が統計開始
後の過去最高水準を再び更新したことに圧迫されるも、夜間取引の安値を試すような動きは強まらず。一方で、原油
生産も統計開始後の最高水準を更新するも、前週とほぼ変わらない水準で伸びが鈍化したことや、再びドル安による
投機妙味の動きなどに支えられた。終盤には前日の高値(48.56ドル)突破でテクニカルな買い圧力も強まり、一時、
49.46ドルと期近ベースで9日以来の水準へ一段と値を伸ばした。
石油製品は、ヒーティングオイルが反発、改質ガソリンは期近が急反発。EIA統計では留出油在庫は微減となり、
ガソリン在庫は予想されたほど減少しなかったことで、発表直後は売り押されたものの、中盤以降は原油相場の上昇
などから切り返した。
ブレント原油期近5月限は急反発。米市場に追随する展開となるなか、序盤に54ドル台後半へ軟化もその後は買い
戻されることとなり、一時、期近ベースで11日以来となる57.17ドルまで急回復した。
一部メディアが入手したナイジェリアの輸出プログラムによると、5月の原油輸出は日量197万バレルと前月を
6.3%下回り、3カ月ぶりの低水準となる見通し。4月は210万バレル。
シンガポール拠点の商品ヘッジファンドを運営するRCMAアセット・マネジメントのマネジング・ディレクター、
マイク・コールマン氏は25日、同国のゴム会議で、今後6-8週間に原油価格の下落を見込んでいると述べた。同氏
によると、WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)原油価格の期近がバレル当たり40ドル以下へ、ブレ
ント原油は40ドル台半ばへ下落する可能性があるとのこと。
EIAが25日発表した3月20日までの週間石油統計は以下の通り。事前予想は原油在庫が前週比475万バレルの増
加、ガソリン在庫が230万バレルの減少、留出油在庫は100万バレルの減少だった。前週比 原油 4億6667万
8000バレル 817万バレル増加、ガソリン 2億3338万6000バレル 201万4000バレル減少、留出油 1億2584
万9000バレル 3万4000バレル減少、 ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油受け渡し場所とな
るオクラホマ州クッシング原油在庫は5631万4000バレルと、前週比191万1000バレル増加した。
TOPICs
米国の石油状況
by
EIA
米国の原油在庫は過去最大の水
①
米国の原油在庫は過去最大の水準
米国の原油在庫
米国の石油在庫
までの週
在庫量(千バレル)
原油在庫
ガソリン在庫
留出油在庫
原油
ガソリン
留出油
原油
ガソリン
留出油
2015年1月2日
1,073,354
237,163 136,926
▲3,064 +8,115 +11,205 ▲0.3%
2015年1月9日
1,078,741
240,334 139,851
+5,387 +3,171 +2,925 +0.5% +1.3% +2.1%
2015年1月16日 1,088,811 240,922 136,579
2015年1月23日 1,097,684 238,335 132,687
2015年1月30日 1,104,017 240,670 134,475
+8,873 ▲2,587 ▲3,892 +0.8% ▲1.1% ▲2.8%
2015年2月6日
+4,867 +1,977 ▲3,252 +0.4% +0.8% ▲2.4%
1,108,884
242,647 131,223
+10,070
+588
▲3,272
+3.5% +8.9%
+0.9% +0.2% ▲2.3%
+6,333 +2,335 +1,788 +0.6% +1.0% +1.3%
+485
2015年2月13日 1,116,599 243,132 127,409
2015年2月20日 1,125,026 240,014 124,698
2015年2月27日 1,135,329 240,060 122,976
+7,715
2015年3月6日
+4,510 ▲187 +2,527 +0.4% ▲0.1% +2.1%
1,139,839
239,873 125,503
2015年3月13日 1,149,461 235,400 125,883
2015年3月20日 1,157,630 233,386 125,849
米国における原油の在庫量
1,200,000
過去5年比(%)
前週比(千バレル) 前年同月比(%)
▲3,814
+0.7% +0.2% ▲2.9%
+8,427 ▲3,118 ▲2,711 +0.8% ▲1.3% ▲2.1%
+10,303
+46
▲1,722
+0.9% +0.0% ▲1.4%
+9,622 ▲4,473
+380 +0.8%
+8,169 ▲2,014
▲34
▲1.9% +0.3%
+0.7% ▲0.9% ▲0.0%
原油
▲0.4%
▲0.9%
▲1.9%
▲2.7%
▲3.3%
▲3.7%
▲4.4%
▲5.2%
▲6.1%
▲6.5%
▲7.3%
▲8.0%
ガソリン 留出油
+5.2%
+4.8%
+4.5%
+2.5%
+2.9%
+3.7%
+4.3%
+3.9%
+4.6%
+6.1%
+5.2%
+5.8%
米国におけるガソリン在庫量
過去
5年
300,000
平均
▲4.9%
▲3.6%
▲4.6%
▲5.9%
▲4.6%
▲5.3%
▲6.8%
▲8.2%
▲8.3%
▲5.5%
▲4.9%
▲4.2%
米国の原油在庫は
前週比+816万バ
レル増と2週連続で
大幅に増加し11億
5763万バレルと
過去最大を記録し
ている。
米国における留出油在庫量
過去5年 160,000
平均
2012 140,000
過去5
年平均
1,150,000
201 250,000
2年
1,100,000
200,000
2013
年
100,000
150,000
2014
年
80,000
2013
年
201
100,000
4年
2015
年
60,000
2014
年
40,000
2015
年
1,050,000
1月第1週
1月第4週
2月第3週
3月第2週
4月第1週
4月第4週
5月第2週
6月第1週
6月第4週
7月第3週
8月第1週
8月第4週
9月第3週
10月第1週
10月第4週
11月第3週
12月第2週
12月第5週
950,000
②
201
5年
20,000
0
0
出所:EIA
出所:EIA
ただ、価格との関係を見ると、米国の原油在庫は価格が下がってから増加している。
米国の原油在庫量と価格
1,200,000
50,000
1月第1週
2月第1週
3月第1週
4月第1週
4月第5週
5月第4週
6月第4週
7月第4週
8月第3週
9月第3週
10月第2週
11月第2週
12月第2週
1,000,000
2012
年
120,000
1月第1週
2月第1週
3月第1週
4月第1週
4月第5週
5月第4週
6月第4週
7月第4週
8月第3週
9月第3週
10月第2週
11月第2週
12月第2週
201
3年
年
過去5年平均在庫
原油在庫
NY原油価格
$120
左のグラフで分かるように原油在庫の増加は、価格が下落して以降に
生じており、これは、生産者が安い原油をたくさん作って在庫してお
こうという意図であるものと思われる。
$100
1,150,000
$80
1,100,000
$60
1,050,000
$40
1,000,000
$20
950,000
$0
出所:
EIA
③ ただし、原油の保管場所が少なくなっており、生産された
原油を貯蔵できなくなる事態が考えられる。その場合、二つの
対応が想定される。一つは生産を縮小すること、もう一つは原
油在庫のスペースを空けるために、投げ売りをすることであ
る。
後者が起きた場合は、原油価格は一層下落する可能性がある。
米国の原油生産量は引き続き増加しており、価格下落の影響は出ていな
米国産原油の生産量
日量千バレ
10,000ル
9,132
9,192
9,186
9,213
9,177
9,226
9,280
9,285
9,324
9,366
9,419
9,422
+588
+60
▲6
+27
▲36
+49
+54
+5
+39
+42
+53
+3
+987
+1,033
+1,134
+1,169
+1,133
+1,094
+1,132
+1,226
+1,247
+1,184
+1,204
+1,232
米国の原油生産量
過去5
年平均
2012
年
9,000
8,000
2013
年
7,000
200,000
6,000
2014
年
5,000
100,000
2015
年
4,000
EIA
3,000
出所
+1,992
+2,127
+2,132
+2,105
+2,061
+2,056
+2,087
+2,116
+2,145
+2,140
+2,183
+2,192
米国の原油生産量と価格
過去5年平均
10,000
9,000
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
1月第1週
1月第4週
2月第3週
3月第2週
4月第1週
4月第4週
5月第2週
6月第1週
6月第4週
7月第3週
8月第1週
8月第4週
9月第3週
10月第1週
10月第4週
11月第3週
12月第2週
12月第5週
出所:
2010年1月
2000年1月
1990年1月
1980年1月
1970年1月
1960年1月
1950年1月
1940年1月
1930年1月
1920年1月
0
7,140
7,065
7,054
7,108
7,116
7,170
7,193
7,169
7,179
7,226
7,236
7,230
$160
$140
$120
$100
$80
$60
$40
$20
$0
米国の原油生
産(日量千…
08年1月
300,000
+12.1%
+12.7%
+14.1%
+14.5%
+14.1%
+13.5%
+13.9%
+15.2%
+15.4%
+14.5%
+14.7%
+15.0%
15年1月
400,000
8,145
8,159
8,052
8,044
8,044
8,132
8,148
8,059
8,077
8,182
8,215
8,190
14年1月
1920年以来の米国の原油生
産量
月間
千バレル
7,002
7,041
6,989
6,993
6,997
7,064
7,118
7,096
7,093
7,159
7,150
7,151
13年1月
5,844
5,726
5,722
5,720
5,763
5,819
5,817
5,814
5,806
5,830
5,826
5,821
12年1月
5,598
5,575
5,205
5,321
5,568
5,597
5,610
5,604
5,591
5,593
5,591
5,570
11年1月
5,507
5,496
5,404
5,421
5,403
5,475
5,482
5,505
5,510
5,527
5,540
5,536
過去5年平均 過去5年平均比
10年1月
1月第1週
1月第2週
1月第3週
1月第4週
2月第1週
2月第2週
2月第3週
2月第4週
3月第1週
3月第2週
3月第3週
3月第4週
前年比 前年比%
09年1月
2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 前週比
日量千バレル
出所:
EIA
EIA
米国の原油生産量は日量942万バレルに増加している。前週比では+3千バレルとわずかであるが、まだ増加傾向
は止まっていない。
米国の石油リグ数は、前週から▲56本減少
地域
米国
カナダ
世界
計測日
稼働リグ数
15年3月20日
15年3月20日
15年2月1日
1,069本
140本
1,275本
前回比
前回の計測日
▲56本
▲80本
+17本
15年3月13日
15年3月13日
15年1月1日
米国の稼働中の石油掘削リグ数と価格
3,000本
08年6月
$140
08年8月
2,487本
2,500本
14年10月
2,214本
$160
$140
15年2月
1,424本$120
2,000本
$80
$60
1,000本
09年1月 09年5月
$41.68 1,001本
15年1月 15年2月
$48.24 $51.53
$40
$20
$0
06年1月
06年5月
06年9月
07年1月
07年5月
07年9月
08年1月
08年5月
08年9月
09年1月
09年5月
09年9月
10年1月
10年5月
10年9月
11年1月
11年5月
11年9月
12年1月
12年5月
12年9月
13年1月
13年5月
13年9月
14年1月
14年5月
14年9月
15年1月
15年5月
15年9月
0本
前年の計測日
▲734本
▲249本
▲66本
14年3月6日
14年3月7日
14年3月8日
3月20日時点の石油リグ数は前週より▲56
本減少している。それでも生産量が減少してい
ないということは、効率の悪いリグを閉鎖して
いるものと思われる。
$100
1,500本
500本
前年比
出所
Rig
Data
しかし、2008年~09年にかけての原油価格
高騰及び急落時点では、価格が底を着けた
2009年1月から4カ月後の2009年5月に稼働
リグ数が最少となっている。ということは、今
回も石油リグ数の減少傾向はまだ途中経過であ
り、前回の例でいけば今年7月頃にリグ数が最
少になるものと思われる。
米国の石油精製設備稼働率
石油精製設備稼働率
1月第1週
1月第2週
1月第3週
1月第4週
2月第1週
2月第2週
2月第3週
2月第4週
3月第1週
3月第2週
3月第3週
3月第4週
過去5
年平均
比
09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年
84.6
85.2
83.3
82.5
83.5
81.6
82.3
81.4
83.1
82.7
82.1
82.0
▲0.5 +1.6 +6.9 +8.0%
79.9
81.3
78.4
78.5
77.7
79.1
79.8
81.2
81.9
80.7
80.6
81.1
88.0
86.4
83.0
81.8
84.5
84.7
81.2
79.4
80.9
82.0
83.4
84.1
85.6
83.7
82.2
81.8
82.8
84.0
85.5
83.6
83.9
82.7
82.2
84.5
89.1
87.9
83.6
85.0
84.2
83.8
82.9
85.1
82.2
81.0
83.5
85.7
92.3
90.0
86.5
88.2
86.1
87.1
86.8
88.0
87.4
86.0
85.6
86.0
93.9
91.0
85.5
88.0
89.9
90.0
88.7
87.4
86.6
87.8
88.1
89.0
▲2.9 +1.0 +4.0 +4.6%
▲5.5 ▲1.0 ▲1.5
▲1.7%
+2.5 ▲0.2 +1.0
+1.9 +3.8 +2.9
+0.1 +2.9 +3.0
▲1.3 +1.9 +1.7
▲1.3 ▲0.6 +0.4
+1.2%
+3.4%
米国の石油精製設備稼働率
100.0
過去5年
平均
2014年
90.0
2012年
80.0
2013年
+3.5%
2015年
+2.0%
+0.5%
▲0.8 ▲0.8 ▲0.4
▲0.4%
+1.2 +1.8 +0.8
+0.3 +2.5 +1.1
+0.9 +3.0 +2.0
+0.9%
70.0
1月第1週
2月第1週
3月第1週
4月第1週
4月第5週
5月第4週
6月第4週
7月第4週
8月第3週
9月第3週
10月第2週
11月第2週
12月第2週
%
%
過去5
前週比 前年比 年平均
+1.3%
出所:EIA
+2.3%
石油精製設備稼働率は89%と回復しているが、今後春のメインテナンスに入る可能性がある。
米国の石油製品出荷量
石油製品出荷量
までの週
1月2日
1月9日
1月16日
1月23日
1月30日
2月6日
2月13日
2月20日
2月27日
3月6日
3月13日
3月20日
ガソリン出荷量
日量千バレル
10,000
9,800
9,600
9,400
9,200
9,000
8,800
8,600
8,400
8,200
8,000
7,800
出荷量(日量千バレル)
石油製品 ガソリン 留出油
19,344 8,809 2,865
19,224 8,875 3,943
20,204 8,851 4,524
20,508 9,022 4,567
18,635 8,442 3,684
19,655 8,282 4,300
20,387 8,809 4,250
19,776 8,915 4,282
19,654 8,630 4,053
18,609 8,515 3,758
19,518 9,260 3,774
18,700 8,619 3,966
前年同月比(%) 過去5年比(%)
前週比(千バレル)
石油製品 ガソリン 留出油 石油製品 ガソリン 留出油 石油製品 ガソリン 留出油
▲595 ▲805 ▲1,370 +6.2% +6.5% ▲5.2% +5.5% +4.7% ▲14.1%
▲120
+66 +1,078 +1.9% +10.6% +5.9% +4.1% +5.9% +9.6%
+980
▲24 +581 +6.6% +9.8% +19.7% +6.6% +5.5% +22.5%
+304 +171
+43 +2.3% +5.1% +1.0% +8.9% +6.6% +17.6%
▲1,873 ▲580 ▲883 ▲2.5% ▲0.1% ▲6.5% +0.9% +0.3% ▲0.7%
+1,020 ▲160 +616 +6.0% ▲0.5% +17.0% +3.6% ▲1.8% +14.3%
+732 +527
▲50 +9.0% +9.7% +17.3% +7.8% +3.8% +14.7%
▲611 +106
+32 +8.2% +4.5% +18.4% +4.8% +2.1% +18.2%
▲122 ▲285 ▲229 +7.5% +2.6% +14.3% +5.1% +0.2% +9.7%
▲1,045 ▲115 ▲295 ▲2.2% ▲4.8% +1.6% ▲2.6% ▲3.6% +0.3%
+909 +745
+16 +3.9% +8.8% ▲9.3% +5.9% +7.9% +1.3%
▲818 ▲641 +192 +2.4% ▲4.3% +14.1% ▲0.5% ▲2.7% +5.1%
2008年の原油価格高騰・急落時の米国の
全米レギュラーガソリン小売価格とガソリン出荷量ガソリン価格
ドル/ガロン
最終自動車用ガソリン出荷量
全米レギュラーガソリン小売価格
(日量千バレル)
4.500
4.000
3.500
3.000
2.500
2.000
1.500
1.000
0.500
0.000
ガソリン出荷量
日量千バレル
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
石油製品出荷量は、石
油製品とガソリンが前
週比マイナスで、留出
は+であった。過去5
年比でも同様な傾向と
なっている。
2008年の原油価格高騰・急落時の米国の
ガソリン価格
全米レギュラーガソリン小売価格とガソリン出荷量
ドル/ガロン
最終自動車用ガソリン出荷量
全米レギュラーガソリン小売価格
(日量千バレル)
4.000
3.500
3.000
2.500
2.000
1.500
1.000
0.500
0.000
上左のグラフは2008年~09年にかけての全米レギュラーガソリン小売価格と自動車用ガソリン需要の推移を描い
たものである。当時も価格が下がったが、それでガソリン需要がすぐに多くなったわけではなかった。しかし、ドラ
イブシーズンになるとガソリン需要は増加している。今回もガソリン需要は価格下落にもかかわらず需要は増加して
いない。しかし、5月以降のドライブシーズンには価格効果により例年以上の需要になるのではなかろうか。
TOPICs 3月15日発行のIEA(国際エネルギー機関)によるOil Market Report
2015年3月15日
Highlight
IEA Oil Market Report Highlight
原油価格は2月初めの上昇により少し安定してきた。米国の原油在庫が急増していることにより下押しされているが、
ICEブレント価格はNYMEX WTI原油価格より大きく上昇し、ブレント原油価格は58ドルと1月の6年ぶりの安値から
3割程上昇しており、WTI原油価格は48ドルになっている。
2014年第2四半期に世界の原油需要は底を打ち、回復軌道に乗っている。2014年第4四半期の原油需要は前年比
+日量90万バレル増、2015年第1四半期の原油需要は前年比+日量100万バレル増と前回の予測より+日量7万5
千バレル上方修正して世界の原油需要は平均9350万バレルとなった。
世界の供給は2月には前年比+日量130万バレル増の9400万バレルであり、非OPEC諸国からの供給は+日量140
万バレルであった。米国における稼働リグ数は減少しているが、それでも北米の原油生産量は増加している。12月の
実績と2015年第1四半期の予測では、米国からの原油供給量は予想外に増加しており、2015年の北米からの原油
供給量は増加するものと思われる。
2月のOPEC諸国の生産量は日量9万バレルと少し減少し、日量3022万バレルであった。リビアとイラクの原油生産
が前年比で落ち込んでいるが、サウジアラビア、イラン、アンゴラからの供給がそれを補っている。
少し原油需要が上方修正されたことによって、2015年上半期におけるOPECに必要とされる原油供給量は日量
3030万バレルとなり、OPEC諸国の目標原油生産量の日量3,000万バレルを少し上回ることになる。
世界の石油精製設備投入量は2015年第1四半期は日量7780万バレル、2015年第2四半期は日量7730万バレルに
上方修正した。石油精製マージンが上昇しており、少し需要の回復が見られる。2015年上半期の原油投入量は前年
比+100万バレルで、2014年第4四半期の前年比+220万バレル増よりは大きく減少したが、石油製品需要の増加
を見込んでいる。
1月のOECD諸国の民間石油在庫は、▲2310万バレル減少して27億3,300万バレルとなった。過剰在庫は6,030万
バレルに少し減少した。米国の原油在庫は7,200万バレルの記録的な過剰状態となっている。
2月の在庫は速報値によれば、▲880万バレルと少し引き出された。米国の過剰在庫は、天候に関連した石油製品の
在庫からの引き出しによって相殺された。
1月末~2月初めにかけての原油価格の反発により市場は一時停止したように見える。価格がレンジの間で動き、ブレ
ント先物価格は60ドル近辺、WTI原油価格は50ドル近辺で動いている。これを見ると原油価格はまだ当てになら
ない状態ではあるが、安定し始めたといえよう。
原油価格がまだ不安定である背景には、原油価格の急落により引き起こされた原油需給の均衡化がまだ完全には起き
ていないためである。
この需給均衡化が起きると予測するのは楽観的過ぎるだろう。米国の稼働リグ数の減少は鍵となる牽引要因である
が、今のところ米国からの供給は、減少傾向をほとんど見せていないどころか、予想の逆に動いている。2014年第
4四半期の北米からの原油供給は、日量30万バレル増加した。2015年第1四半期もまた、増加を記録するものと思
われる。米国の原油投入量は、季節駅な要因と予期せぬ石油精製設備の生産障害により、また12月に積み上げられた
ガソリン在庫の増加による石油精製マージンの縮小もあった、米国の原油在庫は急増し急激な供給増加の影響を見せ
ている。米国の原油在庫は過去最大の4億6800万バレルとなっている。
2015年第2四半期も季節的なメインテナンスを不承不承行わざるを得ないので、米国の原油在庫は更に積み上がる
だろう。それにより、在庫の保管能力が試されることになる。これは更に価格を下落させる要因となるだろう。しか
し、一方で、これまでは行われてこなかった供給削減の要因ともなるだろう。米国の供給量が価格下落の影響を受け
るには予想以上に時間を要し、またそれは突然の変化となるだろう。
同時に供給の減少リスクが発生している。産油国は原油価格に大きく依存している。現状の価格では、国家予算や政
府資金の社会的使用と収入をバランスさせることが徐々に難しくなっている。それは社会的安定の秘訣とならなく
なっている。またドル高は資金に余裕のないPetrobrasのような企業のドル建て債務の返済を難しくし資金的なハー
ドルを高くしている。イラクやリビアでは、引き続きアラブの春以降の政治的混乱が続くものと予想される。 (つ
づく)
製品市場ではまた、予想外に強い需要が見られる。石油製品価格が原油価格値下がりとタイムラグがあること(一般
的には価格が下落する時だけであるが)ばかりでなく、石油精製マージンを高いままに保つことや欧州やOECDアジ
ア諸国のような、石油精製量が減少している地域における予想外の石油需要の増加を長く保とうと価格の反発と競争し
ている。製品需要は欧州では12月は+3.2%、1月は+0.9%増と、減少傾向から一転して増加しており、これが長く
続きそうなサインを示している。
需要の増加は、OECD諸国の製品在庫を季節的な平均量より少ない水準に押し下げているが、米国の原油在庫の増
加によってほとんど見えなくしている傾向がある。
こうした石油製品需要の増加や石油精製設備の稼働は永続的なものであるかどうかはわからない。どちらも一時的な要
因として、北米の寒波による暖房油の需要増や、北大西洋地区の留出油需要を引き出しているのかもしれない。北米や
南米の石油精製設備の予期せぬ支障により、石油精製マージンが上昇し、長期にわたる石油製品の貿易を増加させてい
るのかもしれない。サウジアラビアやUAEにブラジルや米国東海岸向けの留出油需要がもたらされている。また需要
は安値の機会を利用した在庫積み上げのための購入を促進しているのかもしれない。こうした購入は経済成長に伴った
購入に比べると長続きはしないだろう。中国はまだ需要は冷め切っている。
もう一度、需要と供給にはタイムラグがあり、また上辺だけのものになる可能性があることを強調しておきたい。
従って、需要が本格的に増加したことをデータで捕えるには時間がかかる。石油精製マージンについては、新規の中近
東の石油精製設備が稼働を強化するにつれて季節的な世界の需要減と共に石油精製マージンはじきに低下してくるかも
しれない。
TOPICs
2014年第4四半期の石油上流部門に対する資本支出は▲12%減
by EIA Today in Energy 3月25日
石油・天然ガス国際企業の決算報告書を見ると、2014年第4四半期の石油上流部門に対する資本投下額は前年同
期に比べて▲12%減少している。こうした上流部門への資本投下額や探鉱、開発投資はこうした企業の投資費用の大
半を占める。
昨年第4四半期における世界的石油・天然ガス生産企業23社を集計すると、上流に対する資本投下額は770億ドル
であった。これは前年同期に比べて▲100億ドル、▲12%減となっている。上流への資本投下は、昨年の4四半期中
3四半期で前年比マイナスとなっている。年間では2970億ドルと、▲6%減である。
収益が石油価格に直接連動する石油精製設備、配送部門、
販売部門等石油や天然ガスの中流及び下流部門に対する
資本投下は更に少なくなっている。平均ブレント原油価格は
第4四半期に前年同期比▲30%下落している。
そのため、上流部門プロジェクトは延期されたり、中止され
ており、四半期の投資は季節的要因の影響度を下げている。
国際石油・天然ガス企業の四半期ごとの資本投下と
石油価格の低下により、将来の生産の採算が悪化すること
が予想され、上流への資本投下のインセンティブが小さく
なっている。
その結果新規の石油開発プロジェクトは延期されたり、
キャンセルされている。
また既存の生産油田に対する投資も減少し、生産の伸びを
遅らせるものと思われる。
プロジェクトの開発期間は長いので、この効果はすぐには
現れないだろう。しかし、この傾向が続けば、将来の石油
生産の伸びは、通常予測されるものより低下するだろう。
原油価格が昨年の水準から下落を続ければ、2015年においても資本投下は減少させるとする企業がある。
上流部門への投資が減少する将来の影響は、過去には石油価格と上流部門への投資は高い相関関係にあったため、上
流部門の活動コストが変わることを考慮するのは重要である。
今後の予想
原油価格は半年後には反転上昇し60ドル~70ドルになっていると思う。それは、供給が減少し、需要が増加する
と思われるからだ。2008年7月11日の147.27ドルから翌年1月15日33.2ドルまで▲114.07ドル、▲77%下
落する間に、米国の石油稼働リグ数が2008年8月に2,487本あったものが、▲1486本、60%減少し1001本と
なった。価格が底を打ってから稼働リグ数が最少になったのは4カ月後であった。これを今回に当てはめると価格が
底を打つのがこの3月とすれば、7月に石油稼働リグ数は最も少なくなり、現在は若干増加している米国の原油生産
は減少するだろう。一方で、夏のドライブシーズンに向け、景気が回復基調にある米国では安くなったガソリンをふ
んだんに使う雰囲気が現れ、世界的に石油需要は増加するだろう。それは、現在過去最大に達している米国の原油在
庫が毎週EIAの公表時に減少を見せ始めると思われ、そうなれば、原油価格は毎週上昇する機運となるだろう。
しかし、当面は、原油の在庫保管場所が満杯になり、これには生産を縮小するか、在庫している原油を投げ売りす
るしかない。投げ売りが多くなれば、原油価格は更に下落するものと思われる。従って今すぐ原油価格が下落するの
ではなく、しばらくしてから半年程かけて原油価格は上昇し始めるのではなかろうか。
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