関連記事(産経新聞 2015.3.8);pdf

シ ャープ ﹁
液晶敗戦﹂の教 訓
︱︱
■疑 憐 評 輸 家 ド
評・
山崎 元
鮮明なテレビは工場の名前が
﹁
亀山モデル 一とプランド化
日本 のも のづくりはなぜ世界 で勝てなくな った のか
される勢いだ った。それが、
中 田行 彦著 実娑脅諄豚
i 500円+む なぜ今日の苦境に陥 ったか。
いずれの理由にも興味深い
者は、長年シャープで太陽電 教訓が含まれるが、最大の要
池と液晶に関わ った技術者で 因は、パソコンやスマートフ
あると同時に経営学者でもあ ォンを典型とする主力製品の
り、このテーマを語るに最も
﹁
モジ ュール化 一に、適応し
ふさわしい方だといえよう。 損ねたことだ った。日本企業
シャープはソニーと並んで の強みは、数多くの部品 ・製
独自性のある商品を作る面白 造 工程を自社内 ・系列内 で
い会社だ った。思い起 こす
﹁
すり合わせ﹂する技術と経
と、かつてのザウルスは現在 験にあ った。しかし主力製品
のスマートフォンの 一歩手前 の構造がモジ ュール化され、
まで来ていたし、液晶画質が 強みの多くが無力化した。加
経営 の現場を丁寧 に
か つて日本の家電メーカー
は
自
動
車
と
並
ん
で
圧
倒的な国
際競争力を持 った ﹁
勝ち組﹂
であり、強い ﹁
日本のものづ
くり﹂の代表選手だ った。
しかし今では、ソニーやシ
ャ
っ
プ
と
ー
い
た
代
表
企
業
が
い
る
ように見える。両者の
赤
て
字 ・黒字の境界をさまよい、 差の ︲
原因﹂は何なのか。
米国のア ップルや韓国のサム
本書は、シャープの事例を
スンに進かに き離されたば 中心に日本の家電メーカーの
引
かりかデ沖国、台湾の有力企
﹁
敗因﹂を分析した本だゃ著
業にも後塵を拝する。他方、
自動車はトヨタ自動車を筆頭
にまだ強い国際競争力を持 っ
1造
1 0
日曜 日
8日
(2015年 )3月
27年
平成
)―
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えて、技術 ・品質 への過剰な
傾斜や投資タイミ ング の拙
さ、提携戦略の失敗などで、
日の丸家電は凋落に向かう。
現在の自動車や高級デジタ
ルカメラにはまだ日本の ﹁
す
り合わせ ﹂の強みが生きてい
るが、電気自動車が普及した
時に日本の自動車が勝ち残る
ことができるかは不透明だ。
著者はシャープの開発 ・製
造 ・経営の現場を丁寧に追い
ながら、ビジネス環境も作昭
し つつ、失敗とその教訓を 一
つ 一つ明らかにする。この種
の本にありがちな ﹁
あの社長
がダメだ った﹂式の悪国が 一
切ないので、失敗の物語なの
だが、読後感は爽やかだ。