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Column26
2015 年 3 月 24 日
再飛躍期に入った導電性高分子
導 電 性 高 分 子 の 用 途 展 開 の 流 れ を 大 別 す る と 3 期 に 分 け ら れ る 。第 Ⅰ 期 に は
ドーピングにより金属的な高い電気伝導度を持った導電性高分子が,電解コン
デンサの陰極材料や帯電防止剤として実用化され た。また,この期にはドーピ
ングにより電気伝導度が半導体から金属に転移する機構についての解明が進ん
だ。
次の第Ⅱ期には,荷電キャリア担体としての機能に注目が集まり, 電界効果
型 ト ラ ン ジ ス タ ( FET), 有 機 エ レ ク ト ロ ル ミ ネ ッ セ ン ス ( EL) お よ び 有 機 薄
膜太陽電池の実用化を目指した開発が スタートし,現在も実用化に向け開発が
継 続 し て い る 。こ の 期 に は 導 電 性 高 分 子 の 高 次 構 造 の 制 御 技 術 が 進 展 し ,繊 維 ,
ロッドおよびチューブなど各種の形態を持った導電性高分子を作り分けること
が可能となった。また,バンドギャップの狭いドナー・アクセプター型共重合
体( D-A 共 重 合 体 )が 開 発 さ れ ,FET お よ び 太 陽 電 池 の 性 能 が 向 上 し た 。さ ら
に,印刷法でデバイスを製造するプリテッドエレクトロニクスが注目を集め,
その主要な材料として導電性高分子の開発が加速した。
現在は,第Ⅰ期および第Ⅱ期の成果をベースに,導電性高分子の開発が新た
な 飛 躍 の 時 代 に 入 っ た 第 Ⅲ 期 と 捉 え る こ と が 出 来 る 。従 来 よ り 1 桁 以 上 も 向 上
した性能を持った導電性高分子が数多く開発され, 既存の応用分野以外にも開
発 が 拡 が っ て い る ( 次 ペ ー ジ の 表 1 を 参 照 )。
具 体 的 に は ① 8,000 S/cm を 超 え る 高 導 電 性 PEDOT,② 10 cm 2 /V・s 以 上 の 高
移動度で有機溶媒可溶な p 型導電性高分子,③空気中での安定性が良好で 5
cm 2 /V・s 以 上 の 高 い 移 動 度 を 示 す 有 機 溶 媒 可 溶 な n 型 導 電 性 高 分 子 , ④ 無 次 元
性 能 指 数 (ZT)が 0.42 と 高 い 熱 電 変 換 効 率 を 示 す 導 電 性 高 分 子 な ど が 挙 げ ら れ
る 。ま た ,導 電 性 高 分 子 と の 複 合 化 に よ り ,Li イ オ ン 電 池 や ス ー パ ー キ ャ パ シ
タの性能向上が図られています。さらに,導電性高分子の柔軟性と生体適合性
を活かして医療分野への応用も活発化してきています。
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