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1章
第
計画の基本事項について
1
1 計画策定の趣旨と背景
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、わが国の人口は今後減少していきますが、
高齢化率は継続して上昇していくことが見込まれています。高齢化率の上昇にともなって、医
療や介護といった社会保障の負担が、現役世代の肩に大きくのしかかってくることが予想され
ます。
平成 25 年8月に、社会保障制度改革の全体像や進め方等を示した「社会保障制度改革国民
会議報告書 ~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~」がとりまとめられました。
この報告書の中で、日本の社会保障は、
「自助を基本としつつ、自助の共同化としての共助(=
社会保険制度)が自助を支え、自助・共助で対応できない場合に公的扶助等の公助が補完する
仕組み」が基本であるとされています。また、地域包括ケアシステム※は将来の世代に引き継
げる貴重な共通財産であることや、
「互助(家族、親族、地域の人々等の間のインフォーマル
な助け合い)
」を積極的に推進するという方向性が示されています。
世界でも類を見ない超高齢社会に突入しているわが国にとって、医療や介護の需要はさらに
増加することが見込まれます。介護保険によるサービス、行政が行う高齢者福祉サービスのみ
では、この課題を解決することが困難となる中、地域の主体性に基づく相互扶助的な活動や、
近隣の見守り・支え合いといったインフォーマルなサービスも含め、地域包括ケアシステムを
構築していくことが重要となっています。
本市においては、高齢者が元気で安心して暮らせるまちを目指す中で、介護、医療や高齢者
福祉サービスに加えて、地域の中の人と人とのつながりや支え合いの活動が、それぞれで活動
するのではなく、すべての関係者が協力してケアしていくことができる仕組み(地域包括ケア
システム)を構築していきます。そして、すべての方が住み慣れた地域でいつまでも安心して
暮らし続けられるまちづくりを進めるため、本計画を策定します。
本計画書の文中において、
「※」印がついている用語は、巻末に説明をつけています。
(1ページの中
に同じ用語が複数回出てくる場合は、初出のものだけに印をつけています。
)
2
2 計画の位置づけ
高齢者福祉計画は、老人福祉法(昭和 38 年法律第 133 号)第 20 条の8に規定する「老
人福祉計画」に基づき、介護保険事業計画は、介護保険法(平成9年法律 123 号)第 117
条に規定する「介護保険事業計画」に基づき、それぞれ策定するものです。
なお、老人福祉法及び介護保険法では、高齢者福祉事業と介護保険事業の円滑な運営を図る
ために、
「老人福祉計画」と「介護保険事業計画」を一体として策定しなければならないと定
められています。
また、岐阜県計画との整合を図るとともに、平成 26 年3月に策定した「可児市地域福祉計
画」との関係においては、同計画の高齢者部門の実行計画として位置づけるものです。
■計画の位置づけイメージ
可 児 市
可児市総合計画
可児市地域福祉計画
岐阜県
整合
・都道府県計画(事業計画)
・介護保険事業支援計画
・医療計画(地域医療構想)
3
21
(可児市健康増進計画)
策定義務
健康かにプラン
策定義務
・老人福祉法
・介護保険法
可児市障がい者計画
可児市高齢者福祉計画及び介護保険事業計画
国
3 計画の期間
本計画の計画期間は平成 27 年度から平成 29 年度までの3年間と定めます。
また、中長期的視点では、団塊の世代※の方々が 75 歳以上となる 2025 年(平成 37 年度)
を見据えて施策を展開します。
H24
可児市高齢者
福祉計画及び
介護保険事業
計画
H25
H26
H27
H28
H29
H30
H31
H32
H33
H34
H35
H36
H37
第5期
2025 年
第6期(本計画)
第7期
4 第6期計画のポイント
国が示す第6期計画のポイント、制度改正内容を踏まえ、本市の計画を策定し、推進してい
くことが必要です。
厚生労働省が示した「介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な
指針」によると、各保険者には、第6期介護保険事業計画において次のような事項を示すこと
が求められています。
■第6期計画のポイント
①2025 年のサービス水準等の推計
各保険者は計画期間中の給付費の推計・保険料算定のみでなく、いわゆる団塊の世代が 75 歳以上の後
期高齢者となる 2025 年のサービス水準、給付費や保険料水準なども推計し、市町村介護保険事業計画
に記載する。
②在宅サービス・施設サービスの方向性の提示
「地域包括ケア計画」として、在宅サービス、施設サービスをそれぞれの地域で今後どのような方向
性で充実させていくか、地域の特徴を踏まえて中長期的な視点をもって方向性を提示する。
③生活支援サービスの整備
日常生活上の支援が必要な高齢者が地域で安心して在宅生活を継続できるよう、ボランティア、NPO、
協同組合等の多様な主体による多様な生活支援サービスを充実強化するための取り組み方針を示す。
平成 29 年4月までに新しい介護予防・日常生活支援総合事業を開始し、介護予防訪問介護及び介護
予防通所介護を第6期中に当該事業へ移行することを踏まえ、コーディネーターの配置などにより、地
域づくりを積極的・計画的に進める。
④医療・介護連携・認知症施策の推進
新たに地域支援事業※に位置付けられる医療・介護連携の機能、認知症※への早期対応などについて必
要な体制の整備についての取組方針と施策を示す。
⑤住まい
高齢者の日常生活の支援や保健・医療・介護などサービス提供の前提となる住まいに関して、今後ど
のような方向性で充実させていくか方向性を提示する。
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平成 27 年4月から、介護保険制度が変わります。大きな改正のポイントは、次の3つです。
①予防給付(訪問介護・通所介護)を市町村が取り組む地域支援事業※に移行し、多様化
②特別養護老人ホームの新規入所者を、原則、要介護3以上に重点化
③費用負担の公平化
■平成 27 年度からの介護保険制度の主な改正内容
①予防給付(訪問介護・通所介護)を市町村が取り組む地域支援事業に移行し、多様化
介護保険のサービスには、要介護 1~5 の要介護認定者に対する「介護給付」と、要支援 1~2 の要支援認
定者に対する「予防給付」があります。このうち、予防給付で実施している「介護予防訪問介護」と「介護予
防通所介護」の2つのサービスを、地域支援事業に移行します。
このことにより、全国一律で提供されてきた「介護予防訪問介護」と「介護予防通所介護」について、従
来通りの介護サービス事業者に加えて、事業の担い手として NPO や民間事業者、住民ボランティアが加わ
ることになり、その中から一人ひとりに合ったサービスを選ぶことができるようになります。
②特別養護老人ホームの新規入所者を、原則、要介護3以上に重点化
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、これまで要介護1以上であることが入所要件となっていま
したが、今後はより介護の必要性の高い人に重点化するため、新規入所者について原則「要介護 3」以上の人
に限定されます。
(すでに入所している要介護 1~2 の人はそのまま入所可能。
)
③費用負担の公平化
低所得者の保険料の軽減割合の拡大(平成 27 年4月~)
第1号被保険者の介護保険料について、所得水準に応じてきめ細かな保険料設定を行うため、標準
段階を従来の6段階から9段階に見直します。また、低所得者対策として、公費を投入して保険料の
軽減を行います。
一定以上の所得のある利用者の自己負担割合の拡大(平成 27 年8月~)
これまで、介護保険の利用者負担は一律で1割となっていましたが、一定以上の所得がある人の利
用者負担を2割に引き上げます。
(所得水準:65 歳以上の被保険者のうち、合計所得金額※160 万円
以上を基本に設定。
)
補足給付※の見直し (資産等の勘案)(平成 27 年8月~)
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入所する低所得の人(住民税の非課税世帯)に対して
行う食費や居住費の補助について、住民税非課税の低所得者であっても、一定の預貯金等がある人に
対しては対象外となります。
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平成 27 年度からは介護予防給付の訪問介護、通所介護が「介護予防・日常生活支援総合事
業」へと移行します。
(円滑な制度移行を行うことができるよう、市町村による実施は平成 29
年4月まで猶予できることとされています。
)また、介護予防事業や包括的支援事業は内容の
充実を図ります。
■新しい介護保険制度の構成
<~平成 26 年度>
<見直し後>
現行と同様
介護給付(要介護1~5)
介護給付(要介護1~5)
介護予防給付(要支援1~2)
下記以外のサービス
介護予防給付
事業に移行
(要支援1~2)
訪問介護、通所介護
介護予防・日常生活支援総合事業
(要支援1~2、それ以外の者)
○介護予防・生活支援サービス事業
介護予防事業
多様化
○二次予防事業
○一次予防事業
・訪問型サービス
・通所型サービス
・生活支援サービス(配食等)
・介護予防支援事業(ケアマネジメント)
○一般介護予防事業
○地域包括支援センターの運営
(左記に加え、地域ケア会議の充実)
○在宅医療・介護連携の
在宅医療・介護連携の推進
在宅医療・介護連携の推進
○認知症施策の推進
認知症施策の推進(認知症初期集中支援
地域支援事業
包括的支援事業
○地域包括支援センターの運営
・介護予防ケアマネジメント、総合相
談支援業務、権利擁護業務、ケアマ
ネジメント支援
充実
地域支援事業
包括的支援事業
チーム、認知症地域支援推進員 等)
○生活支援サービスの体制整備
生活支援サービスの体制整備(コーディ
ネーターの配置、協議体の設置 等)
現行と同様
任意事業
任意事業
○介護給付費適正化事業
○家族介護支援事業
○その他の事業
○介護給付費適正化事業
○家族介護支援事業
○その他の事業
■訪問型サービスと通所型サービス
現行の介護予防給付
地域支援事業によるサービス提供
既存の訪問介護事業所による身体介護・生活援助の訪問介護
移行
NPO、民間事業者等による掃除・洗濯等の生活支援サービス
介護予防訪問介護
住民ボランティアによるゴミ出し等の生活支援サービス
既存の通所介護事業所による機能訓練等の通所介護
移行
NPO、民間事業者等によるミニデイサービス
介護予防通所介護
コミュニティサロン、住民主体の運動・交流の場
リハビリ、栄養、口腔ケア等の専門職等の関与する教室
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