説明書(PDF)

刑を言い渡された者の移送に関する日本国とイラン・イスラム
共和国との間の条約の説明書
外
務
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条約の成立経緯…………………………………………………………………………………………………………………………………
概説…………………………………………………………………………………………………………………………………………………
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次
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条約 締結 の意 義………………………………………………… …… …… …… …………………………………………………… …… ……
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条約の主要な内容…………………………………………………………………………………………………………………………………
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条約の実施のための国内 措置 …… ………………………………………………………… …… …… …………………………………………
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概説
条約の成立経緯
我が 国は 、 欧 州 評 議会が 作 成 し た「刑を 言 い 渡 さ れ た 者 の 移送 に関 す る 条 約 」に 加 入し たこ と に よ り、 同条約 の 締約 国と の間で は
一 定 の 条 件 の 下 で 外 国 人 受刑 者 の本 国 へ の 移 送を 実 施 す るこ と が 可 能 と な って いる が、 イラ ン 側 は 同 条 約 に 加 入 して おら ず 、 両 国 間
で 受刑者 の移送を 実施する ため、二国間の受刑者移 送条 約の作成及び締結に向け、平成二十五年(二千十 三年)六月に 交渉を 開始し
た 。 交 渉 の 結 果 、 条 約 案 文に つい て 最 終 的 合 意を み る に 至 っ た ので 、 日 本 側 は 、 平 成二 十七 年 ( 二 千 十 五 年 ) 一 月 九 日 に 東 京 に お い
て 岸田 外務 大 臣に より、 イラ ン側は、 同年一月十日に テヘラ ンに おいて プー ルモ ハン マデ ィ法務大 臣に より、こ の 条約 の署 名が 行わ
れた。
条約締結の意義
この条約 は、イラ ンにおいて 刑に服して いる邦人受刑者及び我 が国 において 刑に服して いるイラ ン人受刑者を本国に 移送する ため
の 条 件 ・ 手 続 等 に つ いて 定め たも ので あ り 、 我 が 国 がこ の 条 約を 締結 す る こ と は、 こ れ ら の 受 刑 者 の 更 生 及 び 社 会 復 帰 の促 進 に 寄 与
す るこ と に つな が る と と も に 、 刑 事分 野に お け る 二 国間 協力 の発 展 に 貢 献す る と の観 点 から も 有 意義で あ る と 認めら れ る 。
条約の主要な内容
「刑」、「刑を言い渡された者」、「判決」、「裁判 国」及び「執行国」に ついて 定義を 定める。(第一条)
こ の条 約は 、前 文、本文十七箇条及び末文から 成り、 それら の主要な 内容は、次 のとおりで ある。
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刑を 言い渡された者は 、自 己に 言い渡された刑に服するため、こ の条約に従い裁 判国 の領 域から 執行国 の領域に移送されるこ とが
移送の要請については、当該移送がいずれかの締約国の主権、 安全、公の秩序その他の重要な利益を害するおそれがある場合に
ことを定める。(第三条)
と なっ た作 為又は 不作 為が 双罰性を 構 成す るこ と 等 の条 件が 満た されて いる場合に限り、こ の条約に基づいて 移送するこ とができ る
刑 を 言 い 渡 さ れ た者 に つ い て は 、判 決が 確 定 して い るこ と 、 刑 を 言 い 渡 さ れ た者 が 移 送に 同意 して い るこ と 、 刑 が 科 せら れ る 理 由
できるとの一般原則を定める。(第二条)
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は、拒否することができることを 定める。(第四条)
こ の条約 の適 用を 受け るこ と ので き る 全て の刑を 言 い 渡され た者は 、 条 約 の 内容 につき 裁判国 から 通知を 受けるも のとす るこ と、
刑を言い渡された者が、自ら の移送について裁 判国 に対して 関心を表明した場合には、裁判国は 、判 決が 確定 した後速やかに、執行
国 に そ の 旨 を 通 報す るこ と並 びに 裁 判 国 又 は 執 行 国 は 、 刑 を 言 い 渡 さ れ た 者に 対し 、こ の条 約 の 規 定 に 従 って と っ た 全て の 措 置 及 び
い ず れ か の国 が 移 送 の要 請 に つ いて 行 っ た 全て の 決 定を 書面 に よ り 通 知 す るこ とを 定 める 。 ( 第 五 条 )
移 送 の要 請 及 び 回 答 は 、 権 限 のあ る 当 局 に よ り 書 面で 通 報 さ れ る 。 我が 国 に ついて は 権限 のあ る当 局は 法務 省 と し、 イラ ン ・ イ ス
ラ ム共 和国 に ついては権限のある当局は法務省とすることを 定める。 (第六条)
移送後 の刑 の執行 の継続は、 執行国 の法 令に より 規律 されるこ と並びに 執行国は、裁判国において 決定 され た刑 の法 的な性 質 及び
各締約国は、自国の憲法及び法 令に 従い 、特赦、大赦又は減刑を 認めることがで きることを定 める。(第十一条)
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期間を 受け 入れなけ ればならないが、刑の性質又は期間が自国の法令に適 合しない等の場合には、自国 の法令に規定する制裁に 合わ
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こ の 条約 の適 用 に 当 た り要 す る 費 用は 、 専ら 裁 判 国 の 領 域 にお いて 要す る 費 用を 除 く ほ か 、 執行 国 が 負 担す るこ と 及 び執 行国 は、
せることができることを定める。(第十条)
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刑 を 言 い 渡 さ れ た者 に 対 し 、 移送 の費 用 の 全 部 又 は 一 部 の 償 還 を 求 め るこ と がで き るこ とを 定め る 。 ( 第 十 五 条 )
条約の実施のための国内 措置
こ の条約を 実施するための新たな 立法 措置 及び 予算措置は、 必要としない。
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