Weekly Market Focus

No.2015‐11
Weekly Market Focus
債券市場
円貨資金証券部 アナリスト 古川麻由子
今週のサマリー
今週のサマリー
本邦長期金利は
本邦長期金利は低下
18 日の 20 年債入札が警戒されていたほど悪くなかったことで、
長期金利は急速に低下。米国で 17-18 日に開催された FOMC では、
フォワードガイダンスは概ね市場の想定通りだったものの、経済
見通し及び政策金利見通しが引き下げられたことで、早期利上げ
観測が後退した。米長期金利低下に後押しされ、本邦 10 年債利
回りは 0.3%台前半へ低下した。
来週のアウ
来週のアウトルック
のアウトルック
長期金利 は 低下継続を
低下継続 を
予想
FOMC で政策金利見通しが下方修正されたことを受け、6 月の
利上げ期待が後退。ECB の QE により欧州でも金利低下が継続し、
グローバルに金利は上昇しにくい地合いにある。本邦では 20 日
の国債大量償還を受けた再投資ニーズや、日銀による国債買い入
れによって、国債の需給が引き締まりやすい状況。長期金利は低
下が継続すると予想する。
来週の
来週のポイント
日銀は
日銀は CPI のマイナス化
のマイナス化
を 示唆したが
示唆 したが、
したが 、 追加緩和
は行わない見込
わない見込み
見込み
27 日に消費者物価指数(全国 2 月分)が公表される。物価上
昇率低下が予想される中、日銀は 16-17 日の金融政策決定会合で、
先手を打ってコア CPI マイナス化の可能性を示唆した。公表文で
は先行きの CPI が「当面 0%程度で推移するとみられる」とし、
黒田総裁も会見で「若干のマイナスになるという可能性も排除で
きない」と発言している。ただし、
「2015 年度を中心とする期間」
に 2%に達するとの見方は崩していない。
黒田総裁は物価見通しについて、当面 0%程度で推移するもの
の、年度後半に物価が急上昇することによって、2015 年度見通
し(1.0%)を達成できるとしている。即ち、たとえ CPI が前年比
マイナスとなっても、物価の基調が変わらない限り追加緩和を行
わない方針だ。物価の基調判断については、需給ギャップや中長
期的な予想物価上昇率に加え、企業・家計の物価観を注視すると
繰り返した。賃上げや株高、エネルギー価格下落による実質所得
の増加などがこれらの支えとなることで、CPI がマイナス化して
も物価の基調は維持されるだろう。
2015 年度前半の金融政策変更を見込みにくいことから、長期
金利は当面、低位安定推移するとみる。
1
2015 年 3 月 20 日
Weekly Market Focus
経済指標
国内 ~ 2 月の貿易収支は
貿易収支は、▲4,246 億円と
億円と赤字額が
赤字額が大幅に
大幅に減少
2 月の貿易収支は、▲4,246 億円と赤字幅が 1 月から大幅に改善した。輸出額の伸びは 1 月の前年比
+17.0%から同+2.4%に鈍化したが、これは中国の春節等の影響であり、均してみると依然として高い伸
びを維持している。地域でみると米国向け輸出の増加(同+14.3%)が全体を牽引している。一方、輸入
は数量指数が 5 ヵ月ぶりに増加したものの、原油価格下落の影響で金額は同▲3.6%と減少した。
貿易収支と輸出入額の推移
30
(兆円)
(前年比、%)
1.5
20
1.0
10
0.5
0
0.0
-10
-0.5
-20
-1.0
-30
-1.5
貿易収支〈右目盛〉
-40
-2.0
輸入〈左目盛〉
-50
-2.5
輸出〈左目盛〉
-60
-3.0
11
12
13
14
15
(年)
(資料)財務省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
(経済調査室)
海外 ~ 米国の
米国の 2 月の住宅着工件数
住宅着工件数は
工件数は前月比で
前月比で大幅減小
米国の 2 月の住宅着工件数は、前月比▲17.0%の季節調整済年率 89.7 万戸と事前の市場予想
(Bloomberg 調査:同 104 万戸)を大幅に下回り、3 ヵ月ぶりに減少した。内訳をみると、一戸建住宅が同
▲14.9%、集合住宅が同▲20.8%となった。他方、着工件数の先行指標である住宅着工許可件数は、
同+3.0%の同 109.2 万戸と 3 ヵ月ぶりに増加した。
米国の住宅着工件数と住宅着工許可件数
250
(年率、万件)
住宅着工許可件数
住宅着工件数
200
150
100
50
0
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15(年)
(資料)米国商務省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
(経済調査室)
2
2015 年 3 月 20 日
Weekly Market Focus
マーケットデータ
14年3月末
14年9月末
3/13(金)
3/16(月)
3/17(火)
3/18(水)
3/19(木)
0.044
0.029
0.075
0.075
0.075
0.075
0.071
全銀協日本円TIBOR (3ヵ月物,%)
0.21182
0.21000
0.17182
0.17182
0.17182
0.17182
0.17182
円金利先物 (期近限月,ポイント)
99.800
99.805
99.830
99.830
99.835
99.835
99.835
債券先物 (期近限月,円)
144.62
145.84
147.13
147.05
147.09
147.56
147.90
日本国債 (10年物,%)
0.642
0.531
0.410
0.418
0.425
0.366
0.337
円金利スワップ(対LIBOR)(10年物,%)
0.825
0.656
0.586
0.588
0.582
0.534
0.516
日経平均株価 (225種,円)
14827.83
16173.52
19254.25
19246.06
19437.00
19544.48
19476.56
ドル/円 (東京17:00現在)
102.98
109.42
121.34
121.24
121.40
121.33
120.62
ユーロ/ドル (東京17:00現在)
1.3758
1.2685
1.0612
1.0531
1.0612
1.0613
1.0710
米国FFレート (%)
0.06
0.07
0.11
0.12
0.12
0.11
-
米国国債 (10年物,%)
2.718
2.489
2.114
2.072
2.051
1.920
1.969
16,457.66
17,042.90
17,749.31
17,977.42
17,849.08
18,076.19
17,959.03
101.58
91.16
44.84
43.88
43.46
44.66
43.96
1,283.40
1,210.50
1,152.40
1,153.20
1,148.20
1,151.30
1,169.00
無担保コール (翌日物,加重平均,%)
NYダウ工業株 (30種,ドル)
WTI原油先物 (ドル/バーレル)
金先物 (ドル/オンス)
(注)為替レートは日本銀行の公表値を参照
(資料)Bloomberg、Reuters等より三菱東京UFJ銀行作成
日米長期金利の推移
3.5
(%)
為替と株価の推移
(%)
3.0
0.8
125
0.7
120
(円/ドル)
(円)
19,000
18,000
0.6
115
17,000
0.5
2.5
110
0.4
14,000
0.1
14/1
14/4
14/7
14/10
15/1
米10年国債利回り(左目盛)
日本10年国債利回り(右目盛)
15,000
100
0.2
1.5
16,000
105
0.3
2.0
20,000
95
14/1
(年/月)
13,000
12,000
14/4
14/7
14/10
15/1
対ドル為替レート(左目盛)
日経平均株価(右目盛)
(資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行作成
(年/月)
(資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行作成
3
2015 年 3 月 20 日
Weekly Market Focus
マーケットカレンダー
最近の
最近の材料
3/17
火
3/18
3/19
水
木
国内
日銀金融政策決定会合
景気先行指数
景気一致指数
貿易収支(通関ベース)
全産業活動指数(前月比)
結果
80兆円/年
1月確報
105.5
1月確報
113.3
2月
-¥424.6B
1月
1.9%
マネタリーベース
3/13
金
3/16
月
3/17
3/18
3/19
火
水
木
3/23
3/24
月
火
3/25
3/27
水
金
3/30
月
3/31
火
4/1
水
4/2
木
4/3
金
海外(米国)
PPI 最終需要(前月比)
ミシガン大学消費者信頼感指数
ニューヨーク連銀製造業景気指数
鉱工業生産(前月比)
NAHB住宅市場指数
住宅着工件数
FOMC
経常収支
フィラデルフィア連銀景況調査
結果
2月
-0.5%
3月速報
91.2
3月
6.9
2月
0.1%
3月
53
2月
897K
政策金利 0-0.25%
4Q
-$113.5B
3月
5
今後の
今後の材料
3/25
3/27
3/30
3/31
4/1
4/2
水
金
月
火
水
木
国内
企業向けサービス価格指数(前年比)
失業率
有効求人倍率
全国CPI(除生鮮/前年比)
東京CPI(除生鮮/前年比)
鉱工業生産(前月比)
住宅着工戸数(前年比)
日銀短観 大企業製造業業況判断
マネタリーベース(前年比)
今回
2月
2月
2月
2月
3月
2月速報
2月
1Q
3月
前回結果
3.4%
3.6%
1.14倍
2.2%
2.2%
3.7%
-13.0%
12
36.7%
海外(米国)
中古住宅販売件数
消費者物価指数(前月比)
新築住宅販売件数
耐久財受注(前月比)
実質GDP(前期比年率)
ミシガン大学消費者信頼感指数
個人所得(前月比)
PCEコア・デフレータ(前年比)
シカゴ購買部協会景気指数
消費者信頼感指数
ADP雇用統計
建設支出(前月比)
ISM製造業景況指数
貿易収支
製造業受注指数
非農業部門雇用者数変化
製造業雇用者数変化
失業率
今回
2月
2月
2月
2月
4Q確報
3月確報
2月
2月
3月
3月
3月
2月
3月
2月
2月
3月
3月
3月
前回結果
4.82M
-0.7%
481K
2.8%
2.2%
91.2
0.3%
1.3%
45.8
96.4
212K
-1.1%
52.9
-$41.8B
-0.2%
295K
8K
5.5%
国債入札
3/18 水
今週の結果
20年利付国債入札
3/26 木
4/2
木
入札倍率
3.42
発行
今後の予定
2年利付国債入札
10年利付国債入札
(株)三菱東京 UFJ 銀行 円貨資金証券部
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2015 年 3 月 20 日