No.2015‐08 Weekly Market Focus 債券市場 円貨資金証券部 アナリスト 古川麻由子 今週のサマリー 今週のサマリー 本邦長期金利は 本邦長期金利は低下 日銀による国債買入れで需給の良好さが確認される中、長期金 利は次第に低下。10 年債利回りは 0.3%台半ばで推移した。 来週のアウトルック 来週のアウトルック 長期金利 は 緩 やかな低 やかな 低 下基調に ると予想 下基調 に戻ると 予想 長期金利は良好な需給環境を背景に、次第に緩やかな低下基調 に戻るとみられる。ただし、3 日に 10 年債入札、5 日に 30 年債 入札を控え、神経質な値動きが見込まれる。 来週の 来週のポイント 日銀が 日銀が量的・ 量的 ・質的金融緩 出口に 和の出口 に言及 相場変動要因として関心を集めたわけではないが、今週は日銀 の情報発信に微妙な変化がみられた。23 日公表の金融政策決定 会合議事要旨(1/20-21 分)では、先行きの金融政策運営につい て、買入れの継続は技術的には当分可能だが、先行きにおける持 続可能性には留意すべきと複数の委員が言及。また、26 日に石 田審議委員(10/31 の追加緩和に反対)は、 「現在力いっぱい踏み 込んでいる量的・質的金融緩和のアクセルを徐々に緩めていくこ とも、いずれ必要になってくる」と発言。日銀がこれまで出口論 議を封印し、量的・質的金融緩和の継続を強調してきたことから すると意外感のあるものであった。もっとも、足元では原油安に より物価上昇率の低下が続き、当面上昇を見込みにくい状況であ ることから、当方では、拙速に出口論議が本格化する状況には全 くないと見ている。 一方で、日銀は追加緩和に対しても当面慎重姿勢を続けるだろ う。上述石田審議委員の発言から引用を続ければ、追加緩和につ いて「物価安定のもとでの持続的な経済成長の実現が損なわれる リスクが大きくなった場合」に行うものであり、目標達成の「時 期やペースに対応して行うものではない」との見解を示していた。 足元の景気は緩やかに回復しており、27 日発表の鉱工業生産(1 月分)は、前月比+4.0%と予想を上回る大幅な生産増を記録。在 庫率が依然高水準であり、先行き減産見込みであることから楽観 視はできないものの、景気腰折れ懸念は小さく、経済マクロ環境 からも追加緩和期待は醸成されにくくなってきている印象だ。 長期金利は徐々に安定感を取り戻しつつあるが、こうした状況 を踏まえれば、目先的な低下余地も限定的となろう。 1 2015 年 2 月 27 日 Weekly Market Focus 経済指標 国内 ~1 月の鉱工業生産は と、市場予測を 工業生産は前月比+4.0%と 前月比 市場予測を上回り 上回り 2 ヵ月連続の 月連続の増加 1 月の鉱工業生産は、前月比+4.0%と市場予測(Bloomberg 予測中央値:同+2.7%)を上回り、2 ヵ月 連続の増加となった。業種別にみると、輸送機械工業やはん用・生産用・業務用機械工業などを中心に 増加し、全体を押し上げた。製造工業生産予測調査では、2 月は同+0.2%と持ち直しが続くものの、3 月 には同▲3.2%と減少が予想されている。 鉱工業生産の推移 120 (2010年=100) 生産予測調査 110 100 90 80 70 08 09 10 11 12 13 (注)2015年2月と2015年3月の生産は、製造工業生産予測調査をもとに算出。 (資料)経済産業省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 14 15 (年) (経済調査室) 海外 ~ 米国の 米国の 1 月の耐久財受注は 久財受注は 3 ヵ月ぶりの増加 ぶりの増加 米国の 1 月の耐久財受注は前月比+2.8%と、事前の市場予想(Bloomberg 調査:同+1.6%)を上回り、 3 ヵ月ぶりに増加した。変動の大きい国防関連・民間航空機を除いた場合でみると同▲0.4%と、12 月 (同+0.2%)から減少した。GDP ベースの設備投資の基礎統計であるコア資本財出荷(航空機を除く非 国防資本財)は、同+0.6%と 5 ヵ月ぶりに増加した。 耐久財受注 3,000 (億ドル) (億ドル) 900 2,500 800 2,000 700 1,500 600 1,000 耐久財受注 同(除く国防関連・民間航空機) 非国防資本財受注(除く航空機)〈右目盛〉 500 08 09 10 11 12 (資料)米国商務省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 13 14 500 400 15 (年) (経済調査室) 2 2015 年 2 月 27 日 Weekly Market Focus マーケットデータ 14年3月末 14年9月末 2/20(金) 2/23(月) 2/24(火) 2/25(水) 2/26(木) 0.044 0.029 0.075 0.078 0.077 0.086 0.075 全銀協日本円TIBOR (3ヵ月物,%) 0.21182 0.21000 0.17273 0.17273 0.17273 0.17182 0.17182 円金利先物 (期近限月,ポイント) 99.800 99.805 99.830 99.830 99.835 99.835 99.835 債券先物 (期近限月,円) 144.62 145.84 147.33 147.42 147.50 147.85 147.85 日本国債 (10年物,%) 0.642 0.531 0.391 0.383 0.377 0.340 0.343 円金利スワップ(対LIBOR)(10年物,%) 0.825 0.656 0.566 0.561 0.554 0.511 0.513 日経平均株価 (225種,円) 14827.83 16173.52 18332.30 18466.92 18603.48 18585.20 18785.79 ドル/円 (東京17:00現在) 102.98 109.42 118.83 119.22 119.25 118.83 118.82 ユーロ/ドル (東京17:00現在) 1.3758 1.2685 1.1357 1.1357 1.1330 1.1373 1.1352 米国FFレート (%) 0.06 0.07 0.12 0.11 0.11 0.11 - 米国国債 (10年物,%) 2.718 2.489 2.112 2.057 1.980 1.969 2.030 16,457.66 17,042.90 18,140.44 18,116.84 18,209.19 18,224.57 18,214.42 101.58 91.16 50.34 49.45 49.28 50.99 48.17 1,283.40 1,210.50 1,204.40 1,200.30 1,196.90 1,201.00 1,210.10 無担保コール (翌日物,加重平均,%) NYダウ工業株 (30種,ドル) WTI原油先物 (ドル/バーレル) 金先物 (ドル/オンス) (注)為替レートは日本銀行の公表値を参照 (資料)Bloomberg、Reuters等より三菱東京UFJ銀行作成 日米長期金利の推移 3.5 (%) 為替と株価の推移 (%) 3.0 0.8 125 0.7 120 (円/ドル) (円) 19,000 18,000 0.6 115 17,000 0.5 2.5 14,000 100 0.2 0.1 14/1 14/4 14/7 14/10 15/1 米10年国債利回り(左目盛) 日本10年国債利回り(右目盛) 15,000 105 0.3 1.5 16,000 110 0.4 2.0 20,000 95 14/1 (年/月) 13,000 12,000 14/4 14/7 14/10 15/1 対ドル為替レート(左目盛) 日経平均株価(右目盛) (資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行作成 (年/月) (資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行作成 3 2015 年 2 月 27 日 Weekly Market Focus マーケットカレンダー 最近の 最近の材料 2/24 2/27 火 金 国内 企業向けサービス価格指数(前年比) 失業率 有効求人倍率 全国CPI(除生鮮/前年比) 東京CPI(除生鮮/前年比) 鉱工業生産(前月比) 住宅着工戸数(前年比) 結果 1月 3.4% 1月 3.6% 1月 1.14倍 1月 2.2% 2月 2.2% 1月速報 4.0% 1月 -13.0% 2/23 2/24 2/25 2/26 月 火 水 木 2/27 金 3/2 月 3/4 水 3/5 木 3/6 金 3/10 3/11 3/12 火 水 木 3/13 金 海外(米国) 中古住宅販売件数 消費者信頼感指数 新築住宅販売件数 消費者物価指数(前月比) 耐久財受注(前月比) 結果 1月 2月 1月 1月 1月 4.82M 96.4 481K -0.7% 2.8% 今回 4Q改定 2月 2月確報 1月 1月 1月 2月 2月 2月 4Q確報 1月 2月 2月 2月 1月 1月 1月 2月 2月 2月 1月 2月 3月速報 前回結果 2.6% 59.4 93.6 0.3% 1.3% 0.4% 53.5 213K 56.7 -1.8% -3.4% 257K 22K 5.7% -$46.6B $14.755B 0.1% $17.544B -0.9% -2.8% 0.1% -0.8% 93.6 今後の 今後の材料 3/3 3/6 火 金 3/9 月 3/11 水 国内 マネタリーベース(前年比) 景気先行指数 景気一致指数 国際収支-経常収支(季調済) 貸出動向 銀行/信金計(前年比) 実質GDP(前期比年率) 景気ウォッチャー調査 先行き判断DI 国内企業物価指数(前月比) 機械受注(前月比) 今回 2月 1月速報 1月速報 1月 2月 4Q確報 2月 2月 1月 前回結果 37.4% 105.6 110.7 ¥976.6B 2.5% 2.2% 50 -1.3% 8.3% 海外(米国) 実質GDP(前期比年率) シカゴ購買部協会景気指数 ミシガン大学消費者信頼感指数 個人所得(前月比) PCEコア・デフレータ(前年比) 建設支出(前月比) ISM製造業景況指数 ADP雇用統計 ISM非製造業景況指数 非農業部門労働生産性 製造業受注指数 非農業部門雇用者数変化 製造業雇用者数変化 失業率 貿易収支 消費者信用残高 卸売在庫 月次財政収支 小売売上高(除自動車、前月比) 輸入物価指数(前月比) 企業在庫 PPI 最終需要(前月比) ミシガン大学消費者信頼感指数 国債入札 2/24 火 2/26 木 今週の結果 40年利付国債入札 2年利付国債入札 3/3 火 3/5 木 3/12 木 入札倍率 3.40 4.39 発行 今後の予定 10年利付国債入札 30年利付国債入札 5年利付国債入札 (株)三菱東京 UFJ 銀行 円貨資金証券部 ※本資料は信頼出来ると思われる各種データに基づき作成しておりますが、当行はその正確性、安全性を保証するものではあり ません。また本資料はお客様への情報提供のみを目的としたもので、売買の勧誘を目的としたものではありません。投資に関する 最終決定はお客様ご自身の判断でなさいますようお願い申し上げます。本誌面の全部または一部を無断で複写、複製することを 禁じます。尚、当方の都合で、誌面の全部または一部を予告せずに変更させて頂くことがございますので、予めご承知下さい。 4 2015 年 2 月 27 日
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