【技術資料】 Li イオン電池材料の XRD による解析(最大エントロピー法)

技術レポート No.T1411
2015.03.18
【技術資料】 Li イオン電池材料の XRD による解析(最大エントロピー法)
概要
Li イオン電池の正極材には LiCoO2 や LiMn2O4 などのリチウム含有遷移金属酸化物が使用されており、材料
開発には Li 状態の解析が重要です。Li は軽元素のため X 線散乱能が低く、X 線を用いた構造解析(Rietveld
解析)が困難ですが、最大エントロピー法(MEM 法)を用いた電子密度分布解析より Li 状態を推定可能です。
分析事例の紹介
MEM 法により LiMn2O4 の電子密度分布を推定し、Li 状態を解析しました。
使用ソフトウェア:RietanFP1)、Dysnomia2)
Mn
実測XRDパターン
O
結晶構造モデル
Mn
Li
Rietveld解析による
フィッティング
結晶構造因子
(回折線位置、強度)
Li
O
【図 2】LiMn2O4 の結晶構造
【図 3】LiMn2O4 の電子密度分布
110 面
110 面
O Mn
110 面
MEM法
Li
O
Li
Li
O
Mn
O
Li
Li 拡散経路
電子密度分布
原子座標、結合状態を推定
Li
O
Mn
O
Mn
O
Li
Li
【図 1】MEM 法の原理
Li
Li
O
【図 4】110 面に沿った断面の電子密度分布
このように、電子密度分布から Li の存在位置を精密に評価可能です。また、断面の電子密度分布から、
110 面に沿ったトンネル構造の内部を Li 拡散経路と推察しました。
適用分野 : 電池、ゼオライト、セラミックス、その他結晶性材料
材料キーワード: Li イオン電池、正極材、最大エントロピー法(MEM 法)、XRD、結晶構造解析、電子密度
参考文献
1) F. Izumi and K. Momma, Solid State Phenom., 130, 15-20 (2007)
2) K. Momma, T. Ikeda, A. A. Belik and F. Izumi, Powder Diffr., 28, 184-193 (2013)
株式会社 東ソー分析センター
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