歯内療法 2回シリーズ講習会

―抄録―
歯内療法
2回シリーズ講習会
①5月 30 日「歯内療法のコンセプトを知る」
内容:歯内療法の原則、無菌的処置、根管形成・洗浄・貼薬、根管充填
②6月6日「難症例への対応」
内容:なぜ治らないのか?、外科的歯内療法、再治療における意思決定
我われ開業医において、歯内療法は最も頻度の高い治療です。しかしながら、苦手
意識を持つ歯科医が最も多いのも歯内療法ではないでしょうか?
ある調査によると日本の根尖性歯周炎の罹患率は高く、根管処置後の経過不良例が
きわめて多数存在していると報告されています。現に 2010 年の政府統計によります
と抜髄処置の保険診療請求回数よりも感染根管処置のそれが上回っており、このこと
は日本の歯科医が日々再治療に苦しんでいることを示唆しています。多くの歯科医が
歯内療法に対して「治らない」というイメージを持っているのもうなづける結果でし
ょう。
果たして歯内療法はそれほどに難しい治療なのでしょうか?
ここで世界の歯内
療法の現状に目を向けてみますと、抜髄処置においては 90%程度、感染根管治療に
おいても 60∼80%程度の成功率と報告されています。また近年、歯根端切除術の成
績も飛躍的に向上し、実に 90%以上の成功率を示しています。これらの結果は、基
本コンセプトさえ厳守して行えば、歯内療法はかなりの確率で「治る」治療であるこ
とを示しているのではないでしょうか。
もちろん根尖病変を有する症例において、難治性と思われる困難な症例は数多く存
在します。今回は2回の講演の機会をいただき、1回目を「歯内療法のコンセプト」、
2回目を「難症例への対応」としてお話させていただき、皆様と一緒に現代歯内療法
の可能性について考えてみたいと思います。