28 細胞診で肉芽腫性乳腺炎が示唆されステロイド剤が有効であった1症例 ◎永尾 聡子 1)、皆倉 愛美 1)、川元 幸子 1)、川野 萌香 1)、西 亜希子 1)、前鶴 麻樹 1)、前田 ゆかり 1) 社会医療法人博愛会相良病院 1) 【はじめに】肉芽腫性乳腺炎は、臨床的には乳癌との鑑別 <細菌培養検査>一般細菌(-),MRSA(-),緑膿菌(-),嫌気性 が問題となる良性の炎症性疾患である。出産後数年以内の 培養(-) 比較的若い女性に多く、授乳、経口避妊薬の使用、自己免 <細胞診所見>好中球、リンパ球、形質細胞、泡沫細胞を主 疫疾患などが関与しているといわれているが原因は不明で 体とした多量の炎症性細胞を背景に、核小体明瞭でライト あるため治療に難渋することも多い。また近年、 グリーンに淡染する細胞質を有する類上皮細胞を散在性~ Corynebacterium kroppenstedtii の感染が関連しているとの報 集塊状に多数認めた。乳管上皮細胞は見られなかった。明 告もある。今回我々は細胞診においても肉芽腫性乳腺炎が らかな悪性所見は見られず、臨床所見と針生検の結果を考 示唆されステロイド剤が有効であった 1 症例を経験したの 慮し、肉芽腫性乳腺炎が示唆された。 で報告する。 <病理所見>針生検組織が提出され、組織学的には膿瘍形成 【症例】30 歳代女性。左乳房痛と腫瘤を主訴に来院。超音 と周囲の炎症浸潤が顕著であった。辺縁部では肉芽腫もみ 波検査にて左 D 領域に4cm大の不整形低エコー腫瘤を認 られ、granulomatous lobular mastitis も疑われたが、膿瘍形 め、悪性が疑われたため、針生検が施行されたが、悪性所 成が著しく、確定できず mastitis と診断された。 見は見られなかった。1ヶ月後超音波にて同部位に膿瘍の 【まとめ】肉芽腫性乳腺炎は皮膚の潰瘍、発赤などから乳 増大がみられ、細菌培養と細胞診を実施した。その後疼痛 癌との鑑別が問題となる場合があるが、細胞診で本疾患を 増強のため切開排膿施行し、ステロイド投与を開始したと 推定できれば、治療方針決定に有効であるためその細胞所 ころ病状は軽快した。 見を認知しておくことは重要である。 【検査所見】<血液検査> WBC:9700/μl Lympho :18.9%) CRP:0.32mg/dL (Neut:75.3% 連絡先:099-224-1802(内線 250)
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