第 36 回データ保護プライバシー 決議 ・コミッショナー国際会議 ビッグデータ 膨大なデータを保管・分析する能力が社会に利益をもたらすことは一般に認められている。 例えば、ビッグデータは伝染病の拡大を予想したり、薬剤の深刻な副作用を発見したり、又 は大都市の公害と戦うために使用される。これらの使用例のいくつかは個人情報に影響を 与えることはないが、ビッグデータが個人のプライバシーや市民権、差別的な結果に対する 保護、平等な処遇を得る権利の侵害に関して重大な懸念を引き起こすような方法で使用さ れることもある。 ビッグデータは、新しいデータ検索方法をもたらし、以前は得るのが困難だった情報やその 他の方法で秘匿されていた情報を明らかする。ビッグデータはデータの再使用が多分に関 係する。データの価値は将来の行動や事象を予知する能力につながる。ビッグデータは、重 要なプライバシー原則、特に利用目的の制限とデータの最小化の原則に問題を引き起こす ことが認識される場合もある。 プライバシー原則が与える保護は、個人に関し収集される情報が増えている中、以前よりも 重要性を増している。この原則は、新しいコンテキストが広がりを見せる状況において、広 範囲にわたるプロファイリングに対する保護手段の基礎となっている。重要なプライバシ ー原則の効力の希薄化は、ビッグデータのますます広がる使用と相まって、プライバシーや その他の基本的人権の保護にマイナスの結果をもたらしかねない。 本国際会議のメンバーと電気通信のデータ保護に関する国際作業部会(International Working Group on Data Protection in Telecommunications: IWGDPT、別名「ベルリング ループ」)などその他のステークホルダーは、ビッグデータに関連するデータ保護とプライ バシー問題を検証した。プロファイリングの使用に関連するプライバシー問題は、2012 年 プロファイリングに関するウルグアイ宣言及び 2013 年プロファイリングに関するワルシ ャワ決議において本国際会議が提起した。ビッグデータの使用に関連するリスクを低減す る一助として更なる取組が奨励される。 第 36 回データ保護プライバシー・コミッショナー国際会議は下記に関しビッグデータを使 用する全ての関係者を招集する。 利用目的制限の原則を尊重すること。 1 収集・保管するデータを意図する適法な目的のために必要なレベルまでに制限するこ と。 必要に応じて、分析及びプロファイリング目的に向けた個人情報の使用に関連してデ ータ主体から有効な同意を得ること。 どのデータを収集するのか、どのようにデータを処理するのか、利用目的は何か、デー タは第三者に配布されるのか否かに関して明確に示すこと。 個人に関して収集されるデータへの適切なアクセス権も当該個人に与えるとともに、 当該個人に関する情報と決定事項へのアクセスを認めること。個人は、様々な個人デー タの出所に関する情報も提供されるとともに、適切な場合には、個人情報を修正する権 利が与えられ、また、個人情報をコントロールする効果的な手段を与えられること。 適切な場合には、プロファイル作成の基礎として使用される主な入力情報と意思決定 基準(アルゴリズム)に関する情報へのアクセス権を個人に与えること。当該情報は明 確かつ理解しやすい形で提供されなければならない。 特にビッグデータ解析が個人データの全く新しい又は想定外の利用である場合、プラ イバシー影響評価を実施すること。 プライバシー・バイ・デザイン(Privacy by Design)原則に基づいてビッグデータ技 術を開発・使用すること。 匿名データがプライバシー保護を改善する分野を検証すること。匿名化することはビ ッグデータ解析に関連するプライバシーリスクの低減に有効であるが、これは、匿名化 が適切に設計・管理される場合に限られる。データの匿名化に関する最適な解決策は、 場合によっては技術の組合せを使用して、個別に決定されなければならない。 仮名化されたデータセット若しくはその他の間接的に特定可能なデータセットを共有 又は公表する場合、適用されるデータ保護法に従って、細心の注意を払って行動するこ と。データが他のデータセットにリンクする可能性がある詳細な内容を含んでいたり、 個人データを含んでいる場合、アクセスを制限し、慎重に管理すること。 ビッグデータの使用に関する決定は公正かつ明確で、説明責任があることを示すこと。 プロファイリング目的でデータを使用する場合には、プロファイルと基礎となるアル 2 ゴリズムはともに継続評価が必要である。これは、プロファイリングがもたらす結果が 確実で公正かつ倫理的であり、プロファイルが利用される目的に適合し整合するもの であるか否か、その是非を検証するために定期的な検査を必要とする。完全自動化によ る虚偽の肯定的又は虚偽の否定的な結果ゆえに生ずる個人に対する不当行為は回避さ れなければならず、また、個人に重大な影響を与える結果についてのマニュアルの評価 は必ず使用されなければならない。 3
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